特許第5734638号(P5734638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734638
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】UVフレキソインキ用金粉
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/037 20140101AFI20150528BHJP
   C09C 3/12 20060101ALI20150528BHJP
   C09C 1/66 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C09D11/037
   C09C3/12
   C09C1/66
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-279487(P2010-279487)
(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2012-126824(P2012-126824A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239426
【氏名又は名称】福田金属箔粉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森川 和政
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信行
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 拓也
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−139842(JP,A)
【文献】 特表2007−513206(JP,A)
【文献】 特開2007−204638(JP,A)
【文献】 特開平09−165544(JP,A)
【文献】 特開平09−272817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/037
C09C 1/66
C09C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸で表面処理した平均粒径10μm〜30μmの片状黄銅金属粉100重量部に対し、エポキシ基を有機官能基として持つシランカップリング剤を0.2〜3重量部、混合被覆されたことを特徴とするUVフレキソインキ用金粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUVフレキソ印刷に使用するUVフレキソインキに対し優れた金属光沢を発揮し、かつ金インキ化後も長期貯蔵安定性を有するUVフレキソインキ用金粉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
片状黄銅金属粉(一般に金粉あるいはブロンズパウダーと呼ばれる片状の銅−亜鉛合金粉で、以下金粉と称することにする)を使用した金色印刷には、あらかじめ金下インキで印刷し乾かないうちに金粉を振り掛ける、振り掛け印刷法。低粘度のビヒクルに金粉を混合して印刷する、グラビア印刷法やフレキソ印刷法。比較的高粘度のワニスに金粉を混合して印刷する、平版印刷法などがある。
【0003】
これら印刷方法の中でも、フレキソ印刷は段ボール、製袋、ラベル、フレキシブルパッケージ、カルトン(容器包装)の分野への印刷が主流であり、フレキソ印刷により得られる印刷物は、平版印刷より金属光沢や発色が求められる。フレキソ印刷法では、アクリルエマルジョンやマレイン酸樹脂などを使用した水性フレキソインキがあり、またニトロセルロース、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などを使用したアルコールベースの溶剤型フレキソインキが主流であるが、近年環境対応として無溶剤型であるUVフレキソインキの使用が注目されている。
【0004】
しかし、UVフレキソインキに金粉を混合した金インキは、非常に貯蔵安定性が悪く、短時間に金属光沢がなくなり、長時間ではインキが増粘あるいはゲル化し印刷できなくなるという問題がある。詳しくは、脂肪酸で表面処理しただけの金粉をUVフレキソインキに混合し金インキを作製した場合、金粉の主成分である銅イオンが容易にインキ中に析出し短時間で金属光沢がなくなり、インキの増粘やインキ内部からゲル化が起こり印刷できなくなる。そのため、従来は印刷する直前に金粉とビヒクルを混合し、金インキ化後すぐにフレキソ印刷をする必要があった。
【0005】
金粉の粒度は10μm以下の細かい金粉を使用し、UVフレキソインキと混合すると初期においても金属光沢や発色が十分に得られず、また金インキ化後の貯蔵安定性が悪くなるため、UVフレキソ印刷には適さない。これらの問題を解決するために、10μmより粗い平均粒径の金粉を使用し、本発明のシランカップリング剤で表面処理する必要がある。
【0006】
また、水性、溶剤フレキソインキは乾燥(硬化)手段として、主として熱風で蒸発乾燥しているが、UVフレキソインキは揮発成分を含まず、紫外線照射によってオリゴマー、モノマーが重合することで硬化するため、高速印刷が可能となり生産性が向上し、乾燥スペースも不用となり省エネルギーでしかも揮発性有機化合物の発生も無い環境対応に適したインキである。また、UVフレキソインキは、印刷機での機上安定性が良く、皮膜が耐水性、耐摩耗性に優れているため需要は増えてきている。
【0007】
金粉を混合したUV金インキに関しては、平版印刷用として本発明者等は以前片状黄銅粉にシランモノマーを混合被覆した紫外線硬化型金インキ用金粉がある。しかし、UVフレキソインキにこの紫外線硬化型金インキ用金粉を混合し金インキを作製しても、金インキでの長期貯蔵安定性に劣り、また初期光沢においても金属光沢や発色が十分でない。(例えば、特許文献1参照)
【0008】
さらに、平均粒径10μm以下の金粉を使用し、メタクリル基あるいはエポキシ基を持つシランカップリング剤で被覆した紫外線硬化型金インキ用金粉をUVフレキソインキに使用した場合、粒度が細かくフレキソ印刷で求めている金属光沢や発色を得ることが出来ない。またメタクリル基を持つシランカップリング剤で表面処理した金粉を使用した場合においてもUVフレキソインキを使用した金インキの貯蔵安定性に欠ける。(たとえば、特許文献2参照)
これらの特許は平版印刷に使用した場合十分に効果が発揮出来るが、フレキソ印刷には使用できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2721111号
【特許文献2】特許第3421286号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点である金粉をUVフレキソインキに混合した金インキでは、非常に貯蔵安定性が悪く、短時間に金属光沢がなくなり、長時間ではインキが増粘あるいはゲル化し印刷できない。そのため、金インキ化後の貯蔵安定性や短期間での金属光沢劣化を改善する必要があり、本発明者等は、これらの要求事項を満足するために金粉の粒度及び表面処理剤を種々検討した結果、本発明を完成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを目的としてなされたもので、即ち脂肪酸で表面処理した平均粒径10μm〜30μmの片状黄銅金属粉100重量部に対し、エポキシ基を有機官能基として持つシランカップリング剤を0.2〜3重量部、混合被覆されたことを特徴とするUVフレキソインキ用金粉を実現した。
【0012】
本発明の脂肪酸で表面処理した平均粒径10μm〜30μmの片状黄銅金属粉とは、機械的粉砕法で製造した金粉、あるいはブロンズパウダーと呼ばれているものである。通常金粉は金属光沢を発揮するために、ステアリン酸などの高級脂肪酸で処理されている。平均粒径を10μm〜30μmとしたのは、平版印刷用として本発明者等が以前発明した平均粒径10μm以下の紫外線硬化型金インキ用金粉(特許文献1、特許文献2)をUVフレキソインキに使用した場合、粒度が細かく初期光沢において金属光沢や発色が十分でなく、また、金インキでの長期貯蔵安定性に欠ける。
【0013】
また、30μmより粗いとフレキソ印刷法に使用されるアニロックスロールに金粉が残存し印刷物への印刷ムラや隠蔽力が低下する。更に、アニロックスロールに金粉が残存するため、印刷機を停止し洗浄する必要があり生産効率が低下する原因となる。
そのため、我々はUVフレキソ印刷において優れた金属光沢や発色が良い印刷物を得るため、UVフレキソインキ用に最適な金粉の粒度を検討した結果、平均粒径を10μm〜30μmの金粉にシランカップリング剤で混合被覆することにより金属光沢や発色が良く、貯蔵安定性が良いことを見出した。
近年では高精細の印刷を行うため、アニロックスロールの刷版線数も細線になってきているため好ましくは10μm〜20μmが望ましい。
【0014】
本発明のシランカップリング剤とは、分子中に2個以上の異なった反応基を持つ有機ケイ素化合物で、反応基の1つが無機物と化学結合する加水分解基で、もう1つの反応基が有機材料と結合する有機官能基で、有機官能基がエポキシ基を有するシランカップリング剤である。
具体的にはエポキシ基を有するものとしてγ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。シランカップリング剤には、有機材料と化学結合する有機官能基としてメタクリロキシ基、ビニル基、アミノ基、メルカプト基などが有るが、これらで金粉の表面処理をしても本発明のような金属光沢や貯蔵安定性向上の効果が得られない。
【0015】
シランカップリング剤の量は片状黄銅金属粉100重量部に対して0.2〜3重量部が良い。0.2重量部より少ないと均一に表面に被覆することが難しく、金属光沢や貯蔵安定性に効果が得られない。3重量部より多いと金粉表面に付着していない過剰のシランカップリング剤がインキに浮遊しUVフレキソ金インキの貯蔵安定性が悪くなり且つ十分な金属光沢が得られない。また、塗膜の密着性などが悪くなり好ましくない。
【0016】
片状黄銅金属粉にシランカップリング剤を混合、被覆する方法としては、添加量が少ない場合は、ボールを媒体とする回転式混合機などで被覆する方法が良い。添加量が多い場合はミキサーのような回転羽根が動く混合機で被覆すれば良い。
【0017】
本発明のUVフレキソインキ用金粉が優れた金属光沢を発揮し、かつ金インキ化後も長期貯蔵安定性を示す理由については、どのような結合あるいは作用をしているか、まだ十分に解明されていないが次のことが考えられる。UVフレキソインキは紫外線照射によりインキをラジカル重合し硬化する手段を応用したものである。UVフレキソインキの組成は光重合するモノマー・オリゴマー、触媒となる光重合開始剤、顔料(本発明の場合金粉である)、助剤などで構成される。
【0018】
金粉を混合したUVフレキソ金インキが貯蔵中に金属光沢が悪く増粘又はゲル化するのは、貯蔵中に混合した金粉が銅−亜鉛合金であるため、インキ中に銅イオンが触媒作用でモノマーと光重合開始剤の反応がさらに進みラジカル重合するのが理由と考えられる。また、アルコールベースの溶剤型フレキソインキに使用される金粉は、パルミチン酸やステアリン酸またはベヘン酸などの飽和脂肪酸で表面処理している。場合によりオレイン酸などの不飽和脂肪酸用いることがある。通常リーフィング性を要求される場合は飽和脂肪酸で表面処理を行う。
【0019】
しかし、飽和脂肪酸で表面処理された金粉をUVフレキソインキに混合した場合、短期間で金属光沢が悪くなるのは、金属表面に形成された脂肪酸膜だけでは十分なリーフィング現象が得られず、従来のアルコールベースの溶剤フレキソインキのような金属光沢が得られないためと考えられる。また、本発明者等が以前発明した片状黄銅粉にシランモノマーを混合被覆した紫外線硬化型金インキ用金粉(特許文献1)や平均粒径10μm以下の金粉を使用し、メタクリル基あるいはエポキシ基を持つシランカップリング剤で被覆した紫外線硬化型金インキ用金粉(特許文献2)をUVフレキソインキに使用した場合、貯蔵安定性に欠けまた粒度が細かく十分な金属光沢が発揮できない。
【0020】
本発明のUVフレキソインキに最適な処理と粒度は、貯蔵中での銅イオンの発生による重合開始を抑えることにより貯蔵安定性を飛躍的に向上させ、かつUVフレキソインキに十分な金属光沢を発揮できる粒度を使用することにより金粉を塗膜表面に浮かび上がらせることができる。
【発明の効果】
【0021】
UVフレキソインキは瞬時に硬化し、熱風を使用しないため乾燥スペースが不用で省エネルギー化が可能である。しかも揮発性有機化合物の発生も無い環境対応に適したインキである。しかし、従来の金粉を混合したUVフレキソ金インキでは金インキ化後の貯蔵安定性が悪く、短期間での金属光沢劣化が起こり問題を有していた。しかし、本発明のUVフレキソインキ用金粉を使用すれば、UVフレキソ金インキとして優れた金属光沢が得られ、金属発色が必要な梱包容器やラベルシールへの使用が可能となった。また、貯蔵安定性も飛躍的に良くなり、長期間保存が可能となり、日本国内のみならず海外へ輸出も可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の構成を詳しく説明すれば次の通りである。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
平均粒径10μmの片状黄銅金属粉(銅90%、亜鉛10%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0024】
(実施例2)
平均粒径10μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0025】
(実施例3)
平均粒径15μmの片状黄銅金属粉(銅90%、亜鉛10%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0026】
(実施例4)
平均粒径15μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0027】
(実施例5)
平均粒径20μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0028】
(実施例6)
平均粒径25μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0029】
(実施例7)
平均粒径30μmの片状黄銅金属粉(銅90%、亜鉛10%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、ウレタンアクリレート30g、トリメチロールプロパントリアクリレート30g、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン9.9g、メチルハイドロキノン0.1gに本発明の金粉を各々25g混合し、UVフレキソ金インキを作成した。得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例1)
本発明の処理をしていない実施例1の金粉を使用して、実施例1と同じ配合組成でUVフレキソ金インキを作製し、得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表2に示す。
【0031】
(比較例2)
平均粒径35μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、実施例1と同じ配合組成でUVフレキソ金インキを作製し、得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表2に示す。
【0032】
(比較例3)
平均粒径5μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.2g、0.5g、1g、2g、3g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、実施例1と同じ配合組成でUVフレキソ金インキを作製し、得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表2に示す。
【0033】
(比較例4)
平均粒径10μmの片状黄銅金属粉(銅90%、亜鉛10%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを0.1g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、実施例1と同じ配合組成でUVフレキソ金インキを作製し、得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表2に示す。
【0034】
(比較例5)
平均粒径10μmの片状黄銅金属粉(銅75%、亜鉛25%)100gに対しエポキシ基を有するシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシランを4g添加しボールミルにて30rpm、2時間混合し、5種類のUVフレキソインキ用金粉を製造した。このように得たUVフレキソインキ用金粉の性能を評価するために、実施例1と同じ配合組成でUVフレキソ金インキを作製し、得られたUVフレキソ金インキをハンドプルーファーで厚紙に印刷後、紫外線照射し塗膜を作製し目視で金属光沢を評価した。更に作製したUVフレキソ金インキを缶に入れ密閉状態で20℃と60℃で保持し状態を目視で評価した。その結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
上記表1、表2に示した結果のように脂肪酸で表面処理した平均粒径10μm〜30μmの片状黄銅金属粉100重量部に対し、エポキシ基を有機官能基として持つシランカップリング剤を0.2〜3重量部、混合被覆することにより、UVフレキソ印刷に使用するUVフレキソインキに対し優れた金属光沢を発揮し、かつ金インキ化後も長期貯蔵安定性に効果が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本UVフレキソインキ用金粉を使用すれば、従来の金粉を混合したUVフレキソ金インキでは金インキ化後の貯蔵安定性が悪く、短期間での金属光沢劣化が起こり問題を有していた。しかし、本発明のUVフレキソインキ用金粉を使用すれば、UVフレキソ金インキとして優れた金属光沢が得られ、金属発色が必要な梱包容器やラベルシールへの使用が可能となった。また、貯蔵安定性も飛躍的に良くなり、長期間保存が可能となり、日本国内のみならず海外へ輸出も可能となる。また、揮発性有機化合物の発生も無い環境対応に適したインキである。