(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記肉厚調整部材は、前記ブラケット本体、および前記固定部と同一の熱膨張率を有する樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ用ブラケット。
前記肉厚調整部材の周辺における前記固定部の肉厚が略均一に設定されていると共に、この肉厚と前記筒部の肉厚とが略同一に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のモータ用ブラケット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、樹脂は金属性の板材に比較して強度が低いため、樹脂製のブラケット側に電動モータの取付部を設ける場合には、強度を確保するために取付部周辺の肉厚を厚くする必要がある。このため、取付部周辺の肉厚と、ブラケット本体との肉厚とに差が生じ、樹脂成型後に固化する際、取付部周辺とブラケット本体とが均一に冷却しないおそれがある。これにより、いわゆる反りやひけの発生によるブラケットの寸法精度の低下や、ボイドの発生によるブラケットの強度低下のおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制できる軽量なモータ用ブラケット、およびこのモータ用ブラケットを備えた電動モータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るモータ用ブラケットは、モータケースの開口部に設けられ、この開口部、および外部機器の少なくとも何れか一方と嵌合可能な筒部を有するブラケット本体と、前記筒部の外周面に一体成形され、この筒部よりも厚肉な固定部とを有し、この固定部を介して前記外部機器に前記ブラケット本体を取り付ける樹脂製のモータ用ブラケットであって、
前記ブラケット本体、および前記固定部には、補強板が埋設されるとともに、前記外部機器に前記ブラケット本体を取り付けるためのカラーが前記補強板よりも径方向外側においてインサート成型され、前記固定部に、この固定部を樹脂成形する際の肉厚を調整するための肉厚調整部材を埋設したことを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、厚肉な固定部に埋設された肉厚調整部材により、強度確保のために厚肉な固定部を設けても、筒部の肉厚と、肉厚調整部材の周辺の肉厚との差が小さくなるように調整できる。これにより、筒部および肉厚調整部材の周辺の樹脂が略均等に冷却されて収縮し、固化することができる。したがって、筒部と固定部との樹脂の肉厚差に起因する、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制でき、軽量なモータ用ブラケットを得ることができる。
【0010】
また、本発明の請求項2に係るモータ用ブラケットは、前記固定部は、前記筒部の外周面を取り囲むように形成されたフランジ部と、このフランジ部から径方向外側に突設され、前記外部機器に固定するための固定部材が介装可能な固定台座部とを有し、少なくともフランジ部全体に亘って前記肉厚調整部材が埋設されていることを特徴としている。
本発明によれば、フランジ部全体にわたって、肉厚調整部材の周辺の樹脂が略均等に冷却されて収縮し、固化することができる。したがって、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制でき、軽量なモータ用ブラケットを得ることができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に係るモータ用ブラケットは
、前記補強板の前記固定部に対応する部位に、予め前記肉厚調整部材を設けることを特徴としている。
本発明によれば、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発
生による強度低下を抑制できるとともに、補強板によって強固なモータ用ブラケットを形
成できる。
【0012】
また、本発明の請求項4に係るモータ用ブラケットは、前記肉厚調整部材は、前記ブラケット本体、および前記固定部と同一の熱膨張率を有する樹脂であることを特徴としている。
本発明によれば、ブラケット本体、および固定部と同一の熱膨張率を有する樹脂により肉厚調整部材を形成しているので、温度変化が発生しても、熱膨張係数の差に起因する応力が肉厚調整部材の周辺で発生することがない。したがって、温度変化に対しても影響を受けない強固なモータ用ブラケットを形成できる。
【0013】
また、本発明の請求項5に係るモータ用ブラケットは、前記肉厚調整部材の周辺における前記固定部の肉厚が略均一に設定されていると共に、この肉厚と前記筒部の肉厚とが略同一に設定されていることを特徴としている。
本発明によれば、筒部および肉厚調整部材の周辺の樹脂が均等に冷却されて収縮し、固化することができる。したがって、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を確実に抑制でき、軽量なモータ用ブラケットを得ることができる。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る電動モータは、上述したモータ用ブラケットを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、寸法精度が高く、かつ強度の高い,軽量な電動モータを得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、厚肉な固定部に埋設された肉厚調整部材により、強度確保のために厚肉な固定部を設けても、筒部の肉厚と、肉厚調整部材の周辺の肉厚との差が小さくなるように調整できる。これにより、筒部および肉厚調整部材の周辺の樹脂が略均等に冷却されて収縮し、固化することができる。したがって、筒部と固定部との樹脂の肉厚差に起因する、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制でき、軽量なモータ用ブラケットを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、ブラシレスモータ1は、例えば、電動パワーステアリング(EPS;Electric Power Steering)に用いられるものであって、有底筒状のモータケース2に内嵌固定されたステータ3と、ステータ3に対して回転自在に設けられたロータ4とを備え、モータケース2の開口部5に、これを閉塞するブラケット6(請求項の「モータ用ブラケット」に相当)がボルト26によって締結固定されている。
【0018】
モータケース2の周壁7には、ステータ3が内嵌固定されている。モータケース2のエンド部(底部)8には、径方向中央にボス部9が形成され、ここに軸受10が圧入されている。この軸受10に、ロータ4の回転軸11の一端が回転自在に支持されている。
【0019】
ステータ3は、略円筒状のステータコア12を有している。ステータコア12は、プレス加工によって略環状に打ち抜いた金属板(電磁鋼板)13をロータ4の軸方向に複数枚積層したものであって、コイル14を巻装するためのティース部15が放射状に複数形成されている。各ティース部15には、全周に渡って絶縁材であるインシュレータ16がそれぞれ装着され、このインシュレータ16上にコイル14が巻装されている。
【0020】
ステータ3のエンド部8とは反対側には、バスバー21が複数配設されたバスバーユニット22が設けられている。このバスバーユニット22は、ステータ3のコイル14から引き出されたステータ巻線23と、外部電源(不図示)とを電気的に繋ぐ役割を有するものであって、バスバー21の一端には、ステータ巻線23が接続されている。
【0021】
ロータ4は、回転軸11のステータ3に対応する部位に外嵌固定されているロータコア90を有している。ロータコア90は、軸方向に積層された略円板状の3つの分割コア91で構成されている。各分割コア91の径方向略中央には、回転軸11を圧入するための圧入孔92がそれぞれ形成されている。各分割コア91の外周面には、瓦状に形成された複数の永久磁石17が周方向に磁極が順番に変わるように配置されている。これら永久磁石17は、各分割コア91の周囲を取り囲むように形成されているマグネットケース93によって周方向の位置決めが行われるようになっている。
【0022】
マグネットケース93は、分割コア91と同様に軸方向に積層された3つのケース94,95,96で構成されている。これらケース94〜96はそれぞれ有底筒状に形成されており、各エンド部(底部)94a〜96aがそれぞれ分割コア91の上面側、つまり、モータケース2のエンド部8側とは反対側を覆うように配置されている。すなわち、3つのケース94〜96のうち、モータケース2のエンド部8側から1段目のケース94と2段目のケース95は、隣接する分割コア91,91の間にエンド部94a,95aが介在した状態になっている。
【0023】
各ケース94〜96の周壁94b〜96bには、それぞれ永久磁石17を受け入れ可能な切り欠き部(不図示)が形成されており、ここに永久磁石17が配置されることで永久磁石の周方向の位置決めが行われる。
モータケース2のエンド部8側から3段目のケース96には、エンド部96aの径方向中央に軸方向外方(
図2における上側)に向かって突出するボス部100が形成されている。ボス部100の径方向中央には、回転軸11を挿入可能な挿入孔101が形成されている。また、ボス部100の先端には、軸方向に延出し、回転軸11を挿通可能な筒部102が一体成形されている。筒部102の外周面には、回転軸11の回転角度検出用のレゾルバ18を構成するレゾルバロータ19が外嵌固定されている。
【0024】
1段目のケース94、および2段目のケース95には、エンド部径方向中央に回転軸11を挿通可能な挿通孔99が形成されている。
ここで、1段目のケース94、および2段目のケース95のエンド部94a,95aには、軸方向外方(
図2における上側)に向かって突出する位置決め突起98,98が形成されている一方、各分割コア91には、位置決め突起98に対応し、かつ軸方向に貫通する位置決め孔97が形成されている。すなわち、1段目のケース94、および2段目のケース95は、これらに形成されている位置決め突起98と、分割コア91の位置決め孔97とが嵌合することで回転方向の位置決めが行われるようになっている。
【0025】
各分割コア91に形成されている位置決め孔97は、1段目と、2段目と、3段目とが回転方向に徐々にずれるように形成されている。これによって、各ケース94〜96に形成されている切り欠き部(不図示)も1段目と、2段目と、3段目とで回転方向に徐々にずれることになる。したがって、各段に配設されている永久磁石17は、互いに同じ磁極が軸方向に捩れたスキュー角を有した状態になっている。
【0026】
ボス部100を挟んでステータ3の反対側には、レゾルバロータ19に対応する位置にレゾルバ18を構成するレゾルバステータ20が配設されている。このレゾルバステータ20は、ブラケット6にボルト88、および取付部材115によって締結固定されたレゾルバホルダ35に内嵌されている。取付部材115には、ボルト88が螺入されるインサートナット86が埋設されている。
【0027】
レゾルバホルダ35は、金属製で有底筒状に形成されたものである。レゾルバホルダ35の周壁35bの開口縁には、ボルト88に対応する位置に取付け座39が設けられている。取付け座39には、ボルト88が挿通可能であって、回転軸11を中心にして円弧状に形成された長孔49が設けられている。レゾルバホルダ35は、ボルト88がモータケース2の開口部5を閉塞するブラケット6側から取付部材115に向かって螺入されることで、ブラケット6に固定される。
【0028】
レゾルバステータ20は、このレゾルバホルダ35によってロータ4の軸方向、および径方向の移動が規制されるようになっている。レゾルバホルダ35は、ボルト88が長孔49内を移動できる分だけ、ロータ4の回転軸11を中心にして回動自在となっており、レゾルバステータ20の取付け角度を調整できるようになっている。すなわち、長孔49の周方向の長さによって、レゾルバステータ20の調整可能な角度が決定する。また、レゾルバホルダ35のエンド部35aには、ロータ4の回転軸11を挿通するための挿通孔36が形成されている。
【0029】
(ブラケット)
図3は、モータケース2側から見たときのブラケット6の平面図である。
図1〜
図3に示すように、ブラケット6は、樹脂製で平面視略円板状に形成されたものである。ブラケット6を形成する樹脂としては、熱可塑性の結晶性プラスチックであるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を用いている。しかしながら、これ以外の樹脂であってもよい。
ブラケット6のモータケース2側には、モータケース2の周壁7に嵌合される筒状のモータケースインロー部28(請求項の「筒部」に相当)が設けられている。一方、ブラケット6のモータケース2とは反対側には、減速機等に嵌合される筒状の減速機インロー部29(請求項の「筒部」に相当)が設けられている。この減速機インロー部29の外周面29aには、Oリング(不図示)を取り付けるためのOリング溝30が形成されている。モータケースインロー部28と減速機インロー部29とは同芯に配置されており、略同一の外径となるように設定されている。
【0030】
減速機インロー部29の外周面には、外部機器にブラシレスモータ1を取り付けるための固定部67が形成されている。
固定部67は、モータケースインロー部28、および減速機インロー部29の外周面を取り囲むように形成されたフランジ部67aと、フランジ部67aから径方向外側に突設して形成された固定台座部67b,67c(第1固定台座部67b、および第2固定台座部67c)と、を有している。
【0031】
フランジ部67aは、軸方向から見て略円形状をしている。固定部67の強度を確保するために、フランジ部67aの軸方向の肉厚は、モータケースインロー部28、および減速機インロー部29の径方向における肉厚よりも、十分厚くなるように設定されている。
第1固定台座部67b、および第2固定台座部67cは、それぞれフランジ部67aの周方向に沿って、3箇所ずつ形成されている。第1固定台座部67b、および第2固定台座部67cの軸方向の肉厚は、強度を確保するために十分厚肉に形成されており、フランジ部67aの軸方向の肉厚と略同一になるように設定されている。
【0032】
第1固定台座部67bには、金属カラー27がインサート成型されている。金属カラー27に不図示のボルトを挿通して、不図示の外部機器にボルトを螺入することで、ブラシレスモータ1が外部機器に取り付けられる。
また、第2固定台座部67cには、雌ネジ部を有するインサートナット24がインサート成型されている。インサートナット24には、ボルト26が螺入されており、モータケース2が締結固定されている。
【0033】
さらに、ブラケット6の外周面6aには、外部制御機器(不図示)に接続されレゾルバステータ20からの電気信号を取り出すためのセンサコネクタ37が一体成形されている。センサコネクタ37には、外側端に、外部制御機器に接続されている信号ケーブル(不図示)を嵌着可能な受け入れ口53が形成されている。センサコネクタ37内には、後述するセンサターミナルユニット56(
図7参照)が配置されている。
また、ブラケット6の外周面6aには、外部電源(不図示)に接続されバスバーユニット22に電力を供給するためのパワーコネクタ38が一体成形されている。パワーコネクタ38内には、後述するパワーターミナル70(
図7参照)が配置されている。
【0034】
(補強板)
図4は、補強板80の斜視図である。
図5は、
図4のA−A線に沿った断面図である。
ブラケット6には、
図4および
図5に示す補強板80がインサート成型されている。補強板80は、鉄等からなる板部材であり、略円盤状のプレート80aと、プレート80aの径方向中央部に配置された有底筒状の軸受ハウジング32と、により構成されている。プレート80a、および軸受ハウジング32で構成された補強板80は、金属製の板材をプレス打ち抜き、絞り加工することにより一体成形される。
【0035】
補強板80は、樹脂で成形されたブラケット6の強度を向上させるためのものである。
補強板80の略中央に形成された軸受ハウジング32は、このエンド部32aが減速機インロー部29側に位置するように配置してある。エンド部32aの径方向中央には、ロータ4の回転軸11を挿通するための挿通孔33が形成されている。軸受ハウジング32の周壁32bには、軸受34が内嵌固定されている。この軸受34に、ロータ4の回転軸11の他端側が回転自在に支持されている。回転軸11の他端には、減速機等と回転軸11とを連結するためのジョイント89が圧入されている。
【0036】
補強板80のプレート80aには、パワーターミナル用開口部6b、およびレゾルバ用開口部6cが形成されている。
パワーターミナル用開口部6bは、プレート80aの周方向において、ブラケット6に形成されたパワーコネクタ38に対応した位置に形成されている。パワーターミナル用開口部6bを介して、外部電源(不図示)から、ステータ3のバスバーユニット22に電力が供給される。
レゾルバ用開口部6cは、プレート80aの周方向において、ブラケット6に形成されたセンサコネクタ37に対応した位置に形成されている。レゾルバ用開口部6cを介して、レゾルバステータ20から外部制御機器に角度信号が送られる。
【0037】
(肉厚調整部材)
プレート80aの外周側には、肉厚調整部材84が設けられている。肉厚調整部材84は、軸方向に沿った断面が略L字形状に形成された樹脂からなる部材であり、例えば補強板80にアウトサート成型することにより設けられる。肉厚調整部材84は、ブラケット6を形成している樹脂と同一のPPS樹脂により成型される。しかしながら、これ以外の樹脂であってもよい。
【0038】
肉厚調整部材84は、プレート80aに沿って形成されたベース部84bと、ベース部84bから軸方向に沿って立設された調整部84aと、により構成されている。
肉厚調整部材84は、周方向におけるレゾルバ用開口部6cに対応した位置に切り欠き部84eを有しており、軸方向から見て、略C字形状に形成されている。
また、調整部84aは、パワーターミナル用開口部6bに対応した位置で分断されており、この領域におけるベース部84b上には、中心から径方向外側に向かって、放射状に壁部84dが2箇所形成されている。壁部84d間、および壁部84dと調整部84aとの間には凹部84cが3箇所形成されており、後述するパワーターミナル70(
図7参照)が載置される。
【0039】
図6は、
図2における領域Sの拡大図である。
ここで、肉厚調整部材84は、プレート80aの外周側において、ブラケット6における固定部67に対応した位置に配置される。具体的には、
図6に示すように、肉厚調整部材84の調整部84aは、フランジ部67aの内部であって、第1固定台座部67bのカラー27、および第2固定台座部67cのインサートナット24よりも内径側に位置するように配置される。
そして、肉厚調整部材84によって、減速機インロー部29の内周面と調整部84aとの間の肉厚W1、フランジ部67aと調整部84aとの間の肉厚W2、およびインサートナット24(またはカラー27)と調整部84aとの間の肉厚W3は、減速機インロー部29の径方向における肉厚W4と略同一となるように設定されている。すなわち、ブラケット6の固定部67における肉厚調整部材84の周辺の肉厚は、略均一となるように設定されている。
【0040】
図7は、補強板80にパワーターミナル70とセンサターミナルユニット56とを組み付けた状態を示す平面図である。
パワーターミナル70は、銅等の金属板からプレス加工等によって打ち抜かれたものである。パワーターミナル70は、バスバーユニット22から露出する3個のバスバー21に対応して3個形成されており、バスバー21の端末部21a,21b,21c(
図1参照)まで延出するように形成されている。
【0041】
各パワーターミナル70は、肉厚調整部材84に形成された凹部84cに配置されている。なお、各パワーターミナル70の間には樹脂により形成された壁部84dが介在し、各パワーターミナル70と補強板80との間には、樹脂により形成された凹部84cが介在している。したがって、各パワーターミナル70の間、および各パワーターミナル70と補強板80との間では、電気的絶縁が確保されている。そして、外部からの電力は、パワーコネクタ38(
図1参照)、パワーターミナル70、およびバスバーユニット22を介して、ステータ3のコイル14(
図1参照)に供給される。
【0042】
センサターミナルユニット56は、レゾルバステータ20と外部制御機器とを電気的に接続するためのものであって、6本のターミナル60と、これら6本のターミナル60を一体化する樹脂モールド部65とで構成されている65とにより構成されている。
センサターミナルユニット56は、肉厚調整部材84に形成された切り欠き部84eに配置されている。センサターミナルユニット56は、センサコネクタ37、およびブラケット6の形状に対応するように曲折した形状になっている。ターミナル60のレゾルバステータ20側(
図7における右側)には、接続部62が形成されており、レゾルバステータ20のハーネス接続端子47(
図1参照)に接続される。
【0043】
(本実施形態の作用)
上述のように、肉厚調整部材84が形成された補強板80に、パワーターミナル70、およびセンサターミナルユニット56を組み付けた状態で、ブラケット6を成型している。具体的には、ブラケット6成形用の金型(不図示)内に、パワーターミナル70とセンサターミナルユニット56とを組み付けた状態で補強板80をセットし、金型内に樹脂を射出することにより、パワーターミナル70、センサターミナルユニット56、および補強板80をインサート成型してブラケット6を成型している。
【0044】
ブラケット6成形用の金型を離型した後、ブラケット6は外側から内側に向かって冷却されて固化する。
ここで、一般に、ブラシレスモータ1を取り付けるための固定部67は、強度を確保するために他の部分(例えば、減速機インロー部29)よりも肉厚に形成される。そして、肉厚部と肉薄部とでは冷却時間に差が生じてしまい、均一に冷却されないおそれがある。これにより、樹脂が偏って収縮してしまい、いわゆる反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下のおそれがある。
【0045】
しかし、本実施形態では、
図6に示すように固定部67のフランジ部67aの内部に、肉厚調整部材84が埋設されている。そして、肉厚調整部材84により、減速機インロー部29の内周面と調整部84aとの間の肉厚W1、フランジ部67aと調整部84aとの間の肉厚W2、およびインサートナット24(またはカラー27)と調整部84aとの間の肉厚W3が、減速機インロー部29の径方向における肉厚W4と略同一となるように形成されている。
このように、肉厚調整部材84の周辺の肉厚は略均一となるように形成されているため、ブラケット6成形用の金型を離型した後、肉厚調整部材84の周辺の樹脂は均一に冷却され、収縮して固化する。
【0046】
(効果)
本実施形態によれば、厚肉な固定部67のフランジ部67aに埋設された肉厚調整部材84により、強度確保のために厚肉な固定部67を設けても、減速機インロー部29の径方向における肉厚と、固定部67における肉厚調整部材84の周辺の肉厚との差が小さくなるように調整できる。これにより、減速機インロー部29、および肉厚調整部材84の周辺の樹脂が略均等に冷却されて収縮し、固化することができる。
特に、本実施形態では、肉厚調整部材84の周辺における減速機インロー部29の内周面と調整部84aとの間の肉厚W1、フランジ部67aと調整部84aとの間の肉厚W2、およびインサートナット24(またはカラー27)と調整部84aとの間の肉厚W3、および減速機インロー部29の径方向における肉厚W4が略均一に設定している。
したがって、減速機インロー部29と固定部67との樹脂の肉厚差に起因する、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制でき、軽量なブラケット6を得ることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、肉厚調整部材84は略C字形状に形成されているので、フランジ部67aのほぼ全体に亘って、肉厚調整部材84の周辺の樹脂が略均等に冷却されて収縮し、固化することができる。したがって、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制でき、軽量なブラケット6を得ることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ブラケット6、および固定部67と同一の熱膨張率を有する樹脂により肉厚調整部材84を形成しているので、温度変化が発生しても、熱膨張係数の差に起因する応力が肉厚調整部材84の周辺で発生することがない。したがって、温度変化に対しても影響を受けない強固なブラケット6を形成できる。
【0049】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
本実施形態では、ブラケット6をブラシレスモータ1に適用した場合について述べたが、ブラシレスモータ1に限られず、例えば、DCサーボモータ等、種々のモータに対して適用が可能である。
【0050】
本実施形態では、ブラシレスモータ1を電動パワーステアリングの駆動用モータとして用いる場合について説明した。しかしながら、ブラシレスモータ1の連結先は電動パワーステアリングに限られるものではなく、電動パワーステアリング以外の機構や、他の外部機器に連結するようにしてもよい。
【0051】
本実施形態の肉厚調整部材84は、フランジ部67aのほぼ全体に亘って埋設されていた。しかし、肉厚調整部材84をフランジ部67aの一部にのみ埋設してもよい。ただし、広範囲にわたり、樹脂成型時の反りやひけの発生による寸法精度の低下や、ボイドの発生による強度低下を抑制できる点で、本実施形態に優位性がある。
【0052】
本実施形態の肉厚調整部材84は、補強板80にアウトサート成型することにより設けられていた。しかし、肉厚調整部材84は、アウトサート成型に限られず、例えば、肉厚調整部材84を樹脂成型した後、スナップフィット等で補強板80に肉厚調整部材84を固定することにより設けてもよい。
【0053】
本実施形態の肉厚調整部材84は、ブラケット6を形成している樹脂と同一のPPS樹脂により成型されていた。しかし、肉厚調整部材84を成型する樹脂はPPS樹脂に限られず、他の種類の樹脂であってもかまわない。
また、肉厚調整部材84の材料は、例えば金属であっても構わない。したがって、プレス加工により、肉厚調整部材84と補強板80とを一体的に形成してもよい。
ただし、ブラケット6、および固定部67と同一の熱膨張率を有する樹脂により肉厚調整部材84を形成することで、温度変化による熱衝撃にも強い強固なブラケット6を形成できる点で、本実施形態に優位性がある。