特許第5734646号(P5734646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5734646自動車のバッテリー充電用コンセントの検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734646
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】自動車のバッテリー充電用コンセントの検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20150528BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20150528BHJP
   G01R 19/15 20060101ALI20150528BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20150528BHJP
   B60L 11/18 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
   H01R43/00 ZZHV
   E04H6/42 Z
   G01R19/15
   B60L3/00 S
   !B60L11/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-289953(P2010-289953)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-138266(P2012-138266A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】東京エンジニアリングシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】巳波 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕次
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0230950(US,A1)
【文献】 特開2002−005963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
G01R 19/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車装置の可動式のパレットに設置され、電動モータを動力源に含む自動車に対する充電に応じた課金を行うシステムを備えるバッテリー充電用スタンドの、バッテリー充電用コンセントの検査方法であって、
前記バッテリー充電用コンセントに接続される電気ケーブルと、該電気ケーブルを流れる電流を検知して作動する通電表示手段と、該通電表示手段及び前記電気ケーブルを接続する電気回路に設けられた、常開接点及び可変抵抗器とを含む検査装置を用い、
前記電気回路に流れる電流が、前記自動車の車種毎に決定されている充電電流値となるとき、前記通電表示手段が動作するように、前記可変抵抗器を調整し、
前記電気ケーブルを、前記バッテリー充電用コンセントに接続し、
前記常開接点を閉じて、前記通電表示手段の動作の有無によって、前記電気ケーブルを流れる電流値が、所定のしきい値を越えているか否かを検査し、
前記バッテリー充電用スタンドの実際の設置状態での、前記コンセントに流れる電流として、前記自動車の車種毎に決定されている充電電流が供給されているか否かを把握することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記通電表示手段、前記常開接点及び前記可変抵抗器が1つのケースに内蔵されていることを特徴とする請求項1記載の検査方法
【請求項3】
前記通電表示手段が表示灯であることを特徴とする請求項1又は2記載の検査方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータを動力源に含む自動車に対する充電に応じた課金を行うシステムを備えるバッテリー充電用スタンドの、バッテリー充電用コンセントの検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド車のように、電動モータを動力源に含む自動車の普及を考慮して、かかる自動車のためのバッテリー充電用スタンドの設置が求められている。又、このような要請に応じて、機械式駐車装置にバッテリー充電用スタンドを設置する例も散見されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。図2に示された機械式駐車装置10は、本発明者が開発中のもの(非公知)であり、待機状態で入出庫面GLに位置する上段パレット12に、バッテリー充電用スタンド24が設けられたものである。
バッテリー充電用スタンド24には、車両22とバッテリー充電用スタンド24とを接続するための、着脱式の充電ケーブル24bのコンセント24cが設けられており、使用者H’によりスタンド扉24aが閉じられることで、コンセント24cの電極部が雨滴に曝されることを防いでいる。
【0003】
図2に示される機械式駐車装置10は、複数のパレット12、13、14が上下一列に固定されてなるパレット昇降体16が、地表面GLを掘り下げて形成されたピット18内に、左右に隣接して複数(図示の例では、161、162の2機)配置された、いわゆる昇降式の立体駐車装置である。各パレット昇降体161、162には、上下に昇降させる昇降機構が各々設けられており、独立して上下に昇降可能である。そして、使用者Hは、ピット18に隣接して設けられた操作盤20のスイッチを操作して、目的のパレットを地表面(入出庫面)GLに呼び出し、車両22の入出庫を行うものである。通常は、図示の如く上段のパレット12が入出庫面GLにある状態が、待機状態における定位置である。
なお、パレット昇降体16の昇降機構についての詳しい説明は省略するが、電動モータや油圧等を動力源とし、パレット昇降体16を昇降させるための動力伝達手段として、ワイヤ等が用いられるものである。(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
又、図示は省略するが、いわゆる横行昇降式の立体駐車装置(例えば、非特許文献1参照。)のパレットにも、同様にバッテリー充電用スタンドの設置が望まれているところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−222793号公報
【特許文献2】特開2001−164780号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「東急ネオ・トーパーク 地上4・3段・地下1段(横行昇降式・ピット式)駐車装置TPKc型」製品パンフレット,東急パーキングシステムズ株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図2に例示されるように、機械式駐車装置10のパレット12に設置されるバッテリー充電用スタンド24は、通常は構成部品単体での検査がされた後に、出荷され設置されるものである。しかしながら、バッテリー充電用スタンド24は、機械式駐車装置10の電気配線のうち、比較的末端部分に設置される場合が多いことから、実際の設置状態で、コンセント24cの最終的な通電検査を行うことが、必要不可欠である。又、バッテリー充電用スタンド24において充電の度に課金を行うシステムにおいては、実際の設置状態でコンセント24cに流れる電流を正確に把握しておくことが、当該システムの運用上必要不可欠となる。
【0008】
このような、電動モータを動力源に含む自動車のバッテリー充電用のコンセント24cの電流値を検査する手法としては、車両22とバッテリー充電用スタンド24とを充電ケーブル24bで実際に接続し、車両22の電流検知機能を利用することも可能である。しかしながら、諸般の事情により車両22を用いることができないような場合には、それに代わる検査手段を確保することが望まれるところである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電動モータを動力源に含む自動車に対する充電に応じた課金を行うシステムを備える、バッテリー充電用スタンドの、バッテリー充電用コンセントの検査を、簡単かつ正確に行うことにある。
【0009】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0010】
(1)機械式駐車装置の可動式のパレットに設置され、電動モータを動力源に含む自動車に対する充電に応じた課金を行うシステムを備えるバッテリー充電用スタンドの、バッテリー充電用コンセントの検査方法であって、
前記バッテリー充電用コンセントに接続される電気ケーブルと、該電気ケーブルを流れる電流を検知して作動する通電表示手段と、該通電表示手段及び前記電気ケーブルを接続する電気回路に設けられた、常開接点及び可変抵抗器とを含む検査装置を用い、
前記電気回路に流れる電流が、前記自動車の車種毎に決定されている充電電流値となるとき、前記通電表示手段が動作するように、前記可変抵抗器を調整し、
前記電気ケーブルを、前記バッテリー充電用コンセントに接続し、
前記常開接点を閉じて、前記通電表示手段の動作の有無によって、前記電気ケーブルを流れる電流値が、所定のしきい値を越えているか否かを検査し、
前記バッテリー充電用スタンドの実際の設置状態での、前記コンセントに流れる電流として、前記自動車の車種毎に決定されている充電電流が供給されているか否かを把握することを特徴とする検査方法(請求項1)。
本項に記載の検査方法は、通電表示手段と電気ケーブルとを接続する電気回路に流れる電流が、電動モータを動力源に含む自動車の車種毎に決定されている充電電流値となるとき、通電表示手段が動作するように、可変抵抗器を調整する。そして、通電表示手段の作動の有無によって、電動モータを動力源に含む自動車に対する充電に応じた課金を行うシステムを備える、バッテリー充電用スタンドのバッテリー充電用コンセントに対し、車種毎に決定されている充電電流が供給されているか否かを把握するものである。これにより、当該システムの運用上必要不可欠な、バッテリー充電用スタンドの実際の設置状態でコンセントに流れる電流を正確に把握する。又、常開接点によって本装置の電気回路が遮断状態にあることで、バッテリー充電用コンセントに電気ケーブルを接続する際の、バッテリー充電用コンセントからのスパークの発生を防止するものである。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記通電表示手段、前記常開接点及び前記可変抵抗器が1つのケースに内蔵されている検査方法(請求項2)。
本項に記載の検査方法は、通電表示手段、常開接点及び可変抵抗器が1つのケースに内蔵され、いわゆるポータブル型の検査装置を用いるものである。そして、この装置を、電動モータを動力源に含む自動車のバッテリー充電用コンセントの設置現場に持ち込んで、当該バッテリー充電用コンセントに対し、所定の電流が供給されているか否かを把握するものである。
【0012】
(3)上記(1)(2)項において、前記通電表示手段が表示灯である検査方法(請求項3)。
本項に記載の検査方法は、表示灯の点灯、非点灯状態に基づき、電動モータを動力源に含む自動車のバッテリー充電用コンセントに対し、所定の電流が供給されているか否かを把握するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明はこのように構成したので、電動モータを動力源に含む自動車に対する充電に応じた課金を行うシステムを備える、バッテリー充電用スタンドの、バッテリー充電用コンセントの検査を、簡単かつ正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る、自動車のバッテリー充電用コンセントの検査方法に用いられる検査装置と、バッテリー充電用スタンドとを示す模式図である。
図2】従来の昇降式の機械式駐車装を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る、自動車のバッテリー充電用コンセントの検査方法に用いられる、自動車のバッテリー充電用コンセントの検査装置30は、バッテリー充電用スタンド24のバッテリー充電用コンセント24cに接続される、プラグ32aを備える電気ケーブル32と、電気ケーブル32を流れる電流を検知して作動する通電表示手段34と、通電表示手段34及び電気ケーブル32を接続する電気回路36に設けられた、常開接点38及び可変抵抗器40とを含むものである。そして、通電表示手段34、常開接点38及び可変抵抗器40が、1つのケース42に内蔵されているものである。なお、図示の例では、通電表示手段34と常開接点38とが直列に接続され、通電表示手段34と可変抵抗器40とが並列に接続されている。
【0016】
ケース42の大きさは、概ね、使用される可変抵抗器40の大きさによって決まるものであるが、例えば、A5サイズのアタッシュケース程度となる。又、通電表示手段34には、例えば発光ダイオード等の表示灯が用いられているが、必要に応じ、液晶表示装置その他の画像表示手段や、ブザー等の音声表示手段を用いることも可能である。更に、電気ケーブル32は、必要に応じてケース42に対して着脱自在に構成し、又は、ケース42に電気ケーブル32巻取り機を設け、これによってケース42に対し、引出し収納自在に構成することも可能である。なお、当然に、電気ケーブル32のプラグ32aは、車両22の付属品として車載されている充電ケーブル24b(図2)のプラグと同一規格のものが用いられている。
【0017】
そして、図2に例示されるような、機械式駐車装置10の可動式のパレット16に設置される、電動モータを動力源に含む自動車のバッテリー充電用スタンド24に設置されたバッテリー充電用コンセント24cに、検査装置30の電気ケーブル32のプラグ32aを接続し、電気ケーブル32を流れる電流値が、所定のしきい値を越えているか否かを検査するものである。
【0018】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。まず、本発明の実施の形態に係る、自動車のバッテリー充電用コンセントの検査方法に用いられる検査装置30は、通電表示手段34と電気ケーブル32とを接続する電気回路36に流れる電流が、電気自動車の車種毎に決定されている充電電流値となるとき、通電表示手段34が作動するように、可変抵抗器40を調整するものである。
そして、バッテリー充電用コンセント24cに、検査装置30の電気ケーブル32のプラグ32aを接続し、このときの通電表示手段34の作動の有無によって、電気回路36を流れる電流値が、所定しきい値を越えているか否か、すなわち、電動モータを動力源に含む自動車22に対する充電に応じた課金を行うシステムを備える、バッテリー充電用スタンド24の、バッテリー充電用コンセント24cに対し、電動モータを動力源に含む自動車の車種毎に決定されている充電電流が、正確に供給されているか否かを把握することができる。これにより、当該システムの運用上必要不可欠な、実際の設置状態でバッテリー充電用コンセント24cに流れる電流を正確に把握することが可能となる。
【0019】
又、常開接点38によって本装置の電気回路36が遮断状態にあることで、バッテリー充電用スタンド24の、バッテリー充電用コンセント24cに電気ケーブル32のプラグ32aを接続する際の、バッテリー充電用コンセント24cからのスパークの発生を、確実に防ぐことが可能である。
【0020】
又、通電表示手段34、常開接点38及び可変抵抗器40が1つのケース42に内蔵されて、いわゆるポータブル型の検査装置として構成されていることから、電動モータを動力源に含む自動車22の、バッテリー充電用コンセント24cの設置現場に持ち込んで、バッテリー充電用コンセント24cに対し、所定の電流が供給されているか否かを把握することが可能である。
【0021】
又、通電表示手段34である表示灯の点灯、非点灯状態に基づき、電動モータを動力源に含む自動車22のバッテリー充電用コンセント24cに対し、所定の電流が供給されているか否かを、簡単かつ確実に把握することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
24c:バッテリー充電用コンセント30:自動車のバッテリー充電用コンセントの検査装置、32:電気ケーブル、32a:プラグ、34:通電表示手段、36:電気回路、38:常開接点、40:可変抵抗器、42:ケース
図1
図2