特許第5734650号(P5734650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロベンション インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ティウ, タイ ディー.の特許一覧 ▶ グラチェンスキ, ジョセフの特許一覧

<>
  • 特許5734650-自己拡張プロテーゼ 図000002
  • 特許5734650-自己拡張プロテーゼ 図000003
  • 特許5734650-自己拡張プロテーゼ 図000004
  • 特許5734650-自己拡張プロテーゼ 図000005
  • 特許5734650-自己拡張プロテーゼ 図000006
  • 特許5734650-自己拡張プロテーゼ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734650
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】自己拡張プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/86 20130101AFI20150528BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20150528BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   A61F2/86
   A61F2/95
   A61B17/12
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-515085(P2010-515085)
(86)(22)【出願日】2008年6月25日
(65)【公表番号】特表2010-531209(P2010-531209A)
(43)【公表日】2010年9月24日
(86)【国際出願番号】US2008068210
(87)【国際公開番号】WO2009003049
(87)【国際公開日】20081231
【審査請求日】2011年6月21日
(31)【優先権主張番号】60/946,101
(32)【優先日】2007年6月25日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500285576
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510000954
【氏名又は名称】ティウ, タイ ディー.
(73)【特許権者】
【識別番号】510000965
【氏名又は名称】グラチェンスキ, ジョセフ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ティウ, タイ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】グラチェンスキ, ジョセフ
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−521187(JP,A)
【文献】 特開2004−135905(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0069424(US,A1)
【文献】 特開2006−141881(JP,A)
【文献】 特開2004−65954(JP,A)
【文献】 特表平8−511437(JP,A)
【文献】 特表2006−522649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/86
A61B 17/12
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内でプロテーゼを拡張するためのシステムであって、
形状記憶材料を備えているプロテーゼであって、該プロテーゼは、体内の所望の部位において減少した直径の送達状態から拡張することを妨げられないように、該所望の部位に送達されるように構成されておりここで、該プロテーゼはさらに、第1のセグメント、第2のセグメントおよび該第1のおよび第2のセグメントと一体化された中間セグメントを備え、ここで、該第1のおよび第2のセグメントは、該中間セグメントの反対端に接続される、プロテーゼと、
該第1のセグメントを通過させられる電流が該第2のセグメントを通過させられる電流から独立するように該プロテーゼを通過させられる電流であって、ここで、該プロテーゼを通過させられる該電流が、該プロテーゼの温度を人間の体温より上昇させ、該形状記憶材料の相を変化させ、それによって、該プロテーゼを該減少した直径の送達状態から拡張された直径の状態に拡張ここで、該第1のおよび第2のセグメントを通過させられる該電流が、該中間セグメントを通過して該プロテーゼから流れ出る、電流と、
該プロテーゼの該温度を該人間の体温に減少させるための手段と
を備え、該プロテーゼは、該プロテーゼの該温度を減少させた後に、該拡張された直径の状態を維持するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記プロテーゼを通過させられる、温度を上昇させる電流は、前記形状記憶材料の前記相をマルテンサイト状態からオーステナイト状態に変化させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロテーゼは、動脈瘤の開口部の上に該プロテーゼの位置を決められるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記動脈瘤内に送達されるように構成されたプロテーゼコイルをさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
人間の体内に配置するプロテーゼであって、
第1の相である間に減少した直径の送達形状を有し、第2の相である間に拡張した直径の形状を有する、管状のプロテーゼ本体であって、ここで、該プロテーゼはさらに、第1のセグメント、第2のセグメントおよび該第1のおよび第2のセグメントと一体化された中間セグメントを備え、ここで、該第1のおよび第2のセグメントは、該中間セグメントの反対端に接続される、プロテーゼ本体;および
該第1のセグメントを通過させられる電流が該第2のセグメントを通過させられる電流から独立するように該プロテーゼを通過させられる電流であって、ここで、該第1のおよび第2のセグメントを通過させられる該電流が、該中間セグメントを通過して該プロテーゼから流れ出る、電流
を備え、
該第1の相から該第2の相への遷移は、人間の体温より高い温度で起り、
該第2の相から該第1の相への遷移は、該人間の体温より低い温度で起る、プロテーゼ。
【請求項6】
前記プロテーゼ本体は、形状記憶材料を備えている、請求項に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記第1の相はマルテンサイト状態であり、前記第2の相はオーステナイト状態である、請求項に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記プロテーゼは、37℃より高い、活性オーステナイト開始温度および活性オーステナイト終了温度をさらに含む、請求項に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記活性オーステナイト終了温度は、約40℃〜約55℃の範囲内である、請求項に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
体に入る形状の送達ツールと、
該送達ツールに取り外し可能に配置されたプロテーゼであって、ここで、該プロテーゼは、第1のセグメント、第2のセグメントおよび該第1のおよび第2のセグメントと一体化された中間セグメントを備え、ここで、該第1のおよび第2のセグメントは、該中間セグメントの反対端に接続される、プロテーゼと、
該第1のセグメントを通過させられる電流が該第2のセグメントを通過させられる電流から独立するように該プロテーゼを通過させられる電流であって、ここで、該第1のおよび第2のセグメントを通過させられる該電流が、該中間セグメントを通過して該プロテーゼから流れ出る、電流
を備え、
該プロテーゼは、減少した直径の送達形状記憶構成と拡張した直径の記憶形状構成とを含み、該プロテーゼは、体内の所望の部位への該プロテーゼの送達後に、約37℃より高い温度で該減少した直径の送達形状記憶構成から該拡張した直径の記憶形状構成に変化する、
プロテーゼ送達システム。
【請求項11】
前記プロテーゼに接続された第1の端部および電源に接続された第2の端部を有する複数のワイヤをさらに備えている、請求項1に記載のプロテーゼ送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年6月25に出願された、名称が「Self−Expanding Prosthesis」である米国仮出願第60/946,101号の利益を主張し、該仮出願は、本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
より一般的にはステントと呼ばれる体内プロテーゼは、広範囲の医学状態の治療のために、当該分野において公知である。概して、体内プロテーゼは、より小さい直径構成からより大きい直径構成に拡張され得る円筒形デバイスからなる。より小さい直径構成は、患者のしばしば曲がった管腔を通って体内プロテーゼを前進させることを容易にし、一方、拡張された直径構成は、患者の管腔の壁に対して圧し、しばしば、プロテーゼを固定することおよび管腔の開通性を回復することの両方を行う。
【0003】
多くの体内プロテーゼデバイスは、その拡張の方法に従って分類され得る。一部のデバイスは、体内プロテーゼの内側表面に外側に向かう放射状の力の活動によって拡張される。例えば、体内プロテーゼは、バルーンカテーテルの収縮したバルーンの上に圧縮されるかまたは圧着され得る。体内プロテーゼが所望の目標領域に位置を決められるとき、バルーンは、膨張させられ、体内プロテーゼを拡張させる。
【0004】
他の体内プロテーゼデバイスは、自己拡張であり、従って、圧縮された後に拡張位置に戻る。例えば、一部の自己拡張体内プロテーゼは、ニチノール(Ni−TI合金)などの形状記憶合金から構成される。形状記憶材料は、デバイスが送達カテーテル内で圧縮されることを可能にするが、患者の管腔内で解放されたとき、スプリングのように直径が拡張することを可能にする。一部の用途に対して、自己拡張体内プロテーゼは、バルーン拡張可能デバイスより優れていると考えられる。なぜなら自己拡張デバイスは、送達機構の精巧さがより少なくてすみ(例えば、膨張可能バルーンなし)、しばしば、配置後に(例えば、押しつぶされるかまたはそうでなければ、永続的に変形されることによって)損傷される可能性がより低い。従来技術の形状記憶デバイスの例は、Jervisへの特許文献1およびSakamotoらへの特許文献2に見られ得、これらの特許文献の内容は、本明細書に参考として援用される。
【0005】
しかしながら、自己拡張体内プロテーゼデバイスの送達システムは、その欠点がないことではない。例えば、一般的な送達システムは、格納式シースを有するカテーテルを含む。体内プロテーゼデバイスは、カテーテルの遠位端における減少した直径の領域に事前に装填される。格納式シースは、デバイスの上に位置を決められ、格納式シースの直径が拡張することを防ぐ。デバイスが所望の目標部位に到達すると、ユーザは、外側シースを格納させ、自己拡張デバイスを解放する。しかしながら、自己拡張力は、デバイスがシースから横にはねて出るようにし得、所望の目標領域を失うことがある。さらにデバイスは、シースの壁内に埋め込まれる傾向があり得、デバイスの損傷またはデバイスが動けなくなるという結果になり得る。さらなる送達システムの詳細は、特許文献3および特許文献4に見出され得、これらの特許文献の内容は、本明細書に参考として援用される。
【0006】
従って、先行技術の不利な点を克服した自己拡張体内プロテーゼに対するニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,665,905号明細書
【特許文献2】米国特許第4,925,445号明細書
【特許文献3】米国特許第4,580,568号明細書
【特許文献4】米国特許第4,732,152号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の目的および概要)
従来技術の不利な点を克服することが本発明の目的である。
【0009】
患者内でプロテーゼをより予測可能に解放し得るプロテーゼ送達システムを提供することが本発明の別の目的である。
【0010】
患者内でプロテーゼの送達中の望まない複雑性を減少させるプロテーゼ送達システムを提供することが本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
体内でプロテーゼを拡張する方法であって、
形状記憶材料を備えているプロテーゼを提供することと、
体内の所望の部位に該プロテーゼを送達することと、
該プロテーゼの温度を人間の体温より上昇させ、該形状記憶材料の相を変化させ、それによって、該プロテーゼを拡張された状態に拡張することと、
該拡張された状態を維持しながら、該プロテーゼの該温度を該人間の体温に減少させることと
を包含する、方法。
(項目2)
上記プロテーゼを拡張することは、該プロテーゼの直径を拡張することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記温度を上昇させることは、上記形状記憶材料の上記相をマルテンサイト状態からオーステナイト状態に変化させることをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記プロテーゼを拡張された状態に上記拡張することは、該プロテーゼの第1のセグメントを拡張することと、該プロテーゼの第2のセグメントを拡張することとをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記プロテーゼを上記拡張することは、該プロテーゼに隣接して熱を生成することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記プロテーゼを上記拡張することは、該プロテーゼを用いて熱を生成することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記プロテーゼを体内の所望の部位に上記送達することは、
動脈瘤を捜し出すことと、
該動脈瘤の開口部の上に該プロテーゼの位置を決めること
をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目8)
形状記憶材料を備えているプロテーゼを上記提供することは、その後、上記動脈瘤内にプロテーゼコイルを送達することが続く、項目1に記載の方法。
(項目9)
体内に配置するプロテーゼであって、
第1の相である間に第1の所定の形状を有し、第2の相である間に第2の所定の形状を有する、プロテーゼ本体を備え、
該第1の相から該第2の相への遷移は、人間の体温より高い温度で起り、
該第2の相から該第1の相への遷移は、該人間の体温より低い温度で起る、プロテーゼ。
(項目10)
上記プロテーゼ本体は、形状記憶材料を備えている、項目9に記載のプロテーゼ。
(項目11)
上記第1の相はオーステナイト状態であり、上記第2の相はマルテンサイト状態である、項目9に記載のプロテーゼ。
(項目12)
上記プロテーゼは、37℃より高い、活性オーステナイト開始温度および活性オーステナイト終了温度をさらに含む、項目9に記載のプロテーゼ。
(項目13)
上記活性オーステナイト終了温度は、約40℃〜約55℃の範囲内である、項目12に記載のプロテーゼ。
(項目14)
上記プロテーゼ本体は、第1のセグメントと第2のセグメントとをさらに備え、該第1のセグメントは、該第2のセグメントに対して独立して拡張可能である、項目9に記載のプロテーゼ。
(項目15)
上記プロテーゼは内部の直径を有する管状の形状をさらに備え、該直径は、上記第1の所定の形状中に第1の長さを有し、上記第2の所定の形状中に第2の増加した長さを有する、項目14に記載のプロテーゼ。
(項目16)
体に入る形状の送達ツールと、
該送達ツールに取り外し可能に配置されたプロテーゼと
を備え、
該プロテーゼは、第1の形状記憶構成と第2の記憶形状構成とを含み、該プロテーゼは、約37℃より高い温度で該第1の形状記憶構成から該第2の記憶形状構成に変化し、
該送達ツールは、該体内で該プロテーゼを選択的に加熱する、プロテーゼ送達システム。
(項目17)
上記送達ツールに配置された少なくとも1つの加熱要素をさらに備えている、項目16に記載のプロテーゼ送達システム。
(項目18)
上記プロテーゼは、複数の独立して拡張可能な領域をさらに備え、上記送達ツールは、複数の個々に作動可能なヒータをさらに備えている、項目16に記載のプロテーゼ送達システム。
(項目19)
上記複数の独立して拡張可能な領域の各々は、上記複数の個々に作動可能なヒータのうちの1つの対応するヒータの上に配置される、項目18に記載のプロテーゼ送達システム。
本発明は、選択的に拡張され得るプロテーゼを提供することによってこれらの目的を達成するように努める。一好ましい実施形態において、プロテーゼは、平均体温より高い温度に加熱されたとき拡張する形状記憶材料から構成される。プロテーゼの内部に位置を決められるヒータが起動されたとき、プロテーゼの形状記憶材料は所定の形状に拡張する。
【0012】
別の好ましい実施形態において、電流が電気リード線を有するプロテーゼに直接供給され、プロテーゼの本体自体が熱くされ、それによって直径が拡張させられる。一旦拡張されると、電気リード線は、プロテーゼから切り離され、患者から取り外される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に従うプロテーゼ配置システムの分解斜視図を示す。
図2図2は、図1のプロテーゼ配置システムの組立斜視図を示す。
図3図3は、本発明の別の好ましい実施形態に従うプロテーゼ配置システムの斜視図を示す。
図4図4は、本発明の好ましい実施形態に従う例示の形状記憶材料の示差走査熱分析(DSC)を示す。
図5図5は、動脈瘤を治療する際に用いられる図1のプロテーゼの側面図を示す。
図6図6は、動脈瘤を治療する際に用いられるプロテーゼコイルを有する、図1のプロテーゼの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
図1および図2を参照すると、本発明の好ましい実施形態に従うプロテーゼ配置システム100が示される。この配置システム100は、ヒータ110を起動することによって患者の管腔内に選択的に拡張され得るプロテーゼ102(例えば、ステント)を含む。その構成のために、プロテーゼ102は、所定の温度に加熱されたとき直径が拡張し、患者の体温で拡張されたままである。この点において、配置システム100は、ユーザが患者内でプロテーゼ102の直径が拡張する時を決定することを可能にする。
【0015】
好ましくは、プロテーゼ102は、ニチノールなどの形状記憶材料から構成され、ニチノールは、マルテンサイト状態からオーステナイト状態に相を変化させる。マルテンサイト状態において、プロテーゼ102は、患者内の蛇行した脈管を通ってプロテーゼ102を送達するとき特に有用であり得るじん性を維持する。オーステナイト状態において、プロテーゼ102は、より堅くなりながら、より大きい所定の形状に直径が拡張する。
【0016】
図4を参照すると、例示的な膨張式ロープは形状記憶材料の示差走査熱分析(DSC)グラフが示される。形状記憶材料のマルテンサイト状態からオーステナイト状態までの変態温度範囲は、活性(active)オーステナイト開始温度(A)から開始し、活性オーステナイト終了温度(A)で完了する。同様に、オーステナイト状態からマルテンサイト状態までの変態温度範囲は、活性マルテンサイト開始温度(M)から開始し、活性マルテンサイト終了温度(M)で完了する。図に見られるように、オーステナイト温度範囲は、概して、マルテンサイト温度範囲より高い。
【0017】
従来技術の典型的な自己拡張ステントは、37℃以下のAを有し、ステントが、患者内の所望の目標部位に送達されたとき、拡張することを確実にする。しかしながら、本発明に従う好ましい実施形態のプロテーゼは、MおよびMが37℃未満のまま、37℃を超えるAおよびAを有する。従って、プロテーゼ102は、それが柔軟性のあるマルテンサイト状態で目標部位に送達され、拡張されたオーステナイト状態(例えば、より大きい直径を有する事前設定の形状)への遷移まで加熱され、次いで、プロテーゼが拡張されたオーステナイト状態のままである37℃に冷えることを可能にされ得る。換言すると、プロテーゼ102は、単に加熱することによって選択的に拡張され得る。
【0018】
所望の遷移温度は、例えば、インゴット活性温度からかまたは熱処理によってのいずれかで得られ得る。
【0019】
好ましくは、Aは、37℃を超え、より好ましくは、約40℃〜約55℃の範囲内である。例えば、プロテーゼ材料のAは約45℃であり、Aは約55℃である。
【0020】
図1の分解図に最も良く見られるように、送達システム100は、高い抵抗の材料であって、電流がそこを通過すると熱を生成する材料から構成されるヒータ110を含む。図2は、拡張されていないプロテーゼ100の内部に位置を決められるヒータ110の組立図を示す。プロテーゼ102が患者内の所望の目標部位に位置を決められたとき、ユーザは、ヒータ110に電流を印加し、ヒータ110および従ってプロテーゼ102の温度を上昇させる。プロテーゼ102がA温度に達すると、プロテーゼ102は、患者の管腔の壁に対して直径が拡張する。従って、ユーザはまず、管腔における所望の部位にプロテーゼ102の位置を決め、次いで、プロテーゼ102を拡張させ得る。さらに、ユーザがプロテーゼ102の最初の位置に不満である場合、プロテーゼ102は、拡張の前に再捕捉され、より望ましい部位に再配置され得る。
【0021】
本好ましい実施形態において、プロテーゼ102は、第1のセクション104と、中間セクション106によって接続される第2のセクション108とを含む。第1のセクション104および第2のセクション108は、好ましくは、軸方向および放射状に相互に接続するセグメントから構成されるが、中間セクション106は、各セクション104および108が互いに独立して拡張することを可能にする軸方向のみに配置される部材105を含む。好ましくは、中間セクション106は、第1のセクション104および第2のセクション108と一体化され、従って第1のセクション104および第2のセクション108と同じ材料である。しかしながら、中間セクション106はまた、ポリマーなどの異なる材料から構成され、2つのセクション104および108の独立した拡張をさらに容易にし得る。
【0022】
ヒータ110は、セクション104および108内にそれぞれ位置を決められる第1の加熱コイル112および第2の加熱コイル114の形態の一致したセグメントを有する。ワイヤ116および118は、第1の加熱コイル112に電流を供給し、一方、ワイヤ120および118(コイル112および114の両方に電気的に接続される)は、第2の加熱コイル114に電流を提供する。従って、各コイル112および114は、他方に独立して加熱され得、このことは、最終的にプロテーゼ102の各セクション104および108が互いに独立して拡張させられることを可能にする。類似の加熱機構のさらなる考察は、米国特許出願公開第2006/0052815号に見出され得、該公開の内容は、本明細書に参考として援用される。
【0023】
好ましくは、ヒータ110は、プロテーゼ102の形状記憶材料の遷移温度に等しいかまたはその温度より高い温度に到達するのに十分な電流が提供される。しかしながら、熱の最高温度および継続時間が患者の管腔に対するさらなる損傷を防ぐかまたは最小にするように制限されることもまた好ましい。さらにプロテーゼ102は、患者の管腔への熱露出を制限する熱収縮管状材料などの薄膜で覆われ得る。
【0024】
プロテーゼ102のセクション104および108の独立した拡張は、ユーザが患者内の目標部位にプロテーゼ102をより正確に位置を決めることを可能にし得る。例えば、一旦プロテーゼが所望の目標部位に位置を定められると、ユーザはまず、遠位の第1のセクション104を拡張し、初めの固定点を提供し得、次いで、近位の第2セクション108を拡張し得る。多くの先行技術の自己拡張ステントは直径が増加すると長さが収縮する傾向があるので、送達中にステントの最終位置を予測することが困難であり得る。しかしながら、1つのセクション104または108をまず拡張することによって、プロテーゼ102の最終的な拡張された位置がより予測可能な位置に配置され得る。
【0025】
本好ましい実施形態において、2つのセクション104および108のみが示されているが、さらなるセクションもまた可能である。例えば、プロテーゼ102は、3個または4個のセクション、およびプロテーゼ102の各セクションを加熱するための等しい数の対応するコイルを有し得る。
【0026】
動作時、プロテーゼ配置システム100は最初にガイドワイヤを患者の中に通すことによってプロテーゼ102を配置するように用いられ、その結果、ガイドワイヤの遠位端は目標領域に位置を決められる。ヒータ110およびプロテーゼ102の両方を含むカテーテルまたはマイクロカテーテルは、カテーテルの遠位端が患者の管腔の所望の目標領域に到達するまでガイドワイヤ上を滑らされる。プロテーゼ102はマルテンサイト状態にあるので、プロテーゼ102は、比較的柔軟性があるままであり、従って蛇行した通路を容易に通過して目標領域に到達し得る。
【0027】
一旦カテーテルの遠位端が目標領域に到達すると、外側シース(存在する場合)は、格納され、プロテーゼ102を露出させる。ユーザがプロテーゼ102の位置に不満の場合、プロテーゼ102はオプションで、外側シース(再び、存在する場合)によって再捕捉され、所望の位置が達成されるまで前進させられるかまたは格納され得る。ユーザは次いで、第1のヒータコイル112の温度を上昇させ、それによって、第1のセクション104の相をマルテンサイトからオーステナイトに変化させることによって、プロテーゼ102の遠位の第1のセクション104を拡張する(すなわち、第1のセクション104を所定の拡張された構成に動かす)。次に、ユーザは、第2のヒータコイル114の温度を上昇させ、それによって、第2のセクション108の相を変化させることによって、近位の第2のセクション108を拡張する。最後に、ユーザは、プロテーゼ102の最後の位置を確認し(例えば、放射性蛍光透視法によって)、カテーテルを除去し得る。一部の事例において、ユーザは、近位の第2のセクション108を拡張しないことを好み得る。
【0028】
ここで図3を参照すると、本発明に従う自己加熱プロテーゼ200の別の好ましい実施形態が示される。自己加熱プロテーゼ200は、前に説明されたプロテーゼ102に類似し、セクション202および204の各々が互いに独立して拡張することを容易にする中間セクション206によって接続される、第1のセクション202と第2のセクション204とを有する。
【0029】
しかしながら、自己加熱プロテーゼ200は、ワイヤ208、210および212に直接接続され、これらのワイヤは、電流を選択的に提供し、プロテーゼ200の温度を上昇させる。より具体的には、ワイヤ212は第1のセクション202の遠位端に接続され、一方、ワイヤ208は中間セクション206に接続される。電流がこれらのワイヤ212および208を通過するとき、電流はまた第1のセクション202も通過し、それによって、第1のセクションの温度を上昇させる。この点に関して、プロテーゼ自体は、前に説明されたヒータコイルに類似して、加熱要素として働く。前に説明されたプロテーゼ102の場合のように、第1のセクション202がA温度を通過するとき、第1のセクション202はA温度に達するまで拡張することを開始する。
【0030】
さらにワイヤ210は、第2のセクション204の近位端に接続され、このことは、電流が第2のセクション204を通過してワイヤ210と208との間を選択的に流れることを可能にする。従って、第2のセクション204の温度は、同様に上昇し、最終的には、第2のセクション204が拡張されたオーステナイト状態になるようにする。この点において、ユーザは、ワイヤ212と208または210と208のいずれかを通って電流を流すことによって、セクション202または204のどちらかの温度が上昇し従って拡張することを制御し得る。
【0031】
セクション202および204の両方が拡張された後に、ワイヤ208、210および212はプロテーゼ200から分離される。例えば、これらのワイヤ208、210および212は、所定の温度に加熱されたとき分離される熱感応接続を有し得る。代替的に、ワイヤ208、210および212は、ユーザによる選択的な分離および取り外しを可能にするフックまたはラッチ機構を有し得る。
【0032】
本発明に従って、好ましくは電流が、熱を生成し、従ってプロテーゼを拡張するために用いられるが、他の形態のエネルギもまた用いられ得る。例えば、RF電流が用いられ得る。別の例において、高温液体がプロテーゼに送達され得る。さらに別の例において、熱生成化学反応が用いられ得る。
【0033】
前に説明された好ましい実施形態を含む本発明が、患者の体内における様々な治療、技術および処置のために用いられ得ることは理解されるべきである。
【0034】
図5は、動脈瘤152のためのそのよう例示的な治療の1つを示し、該治療において、プロテーゼ102は、血管150における動脈瘤152の開口部の上に位置を決められる。一旦プロテーゼ102が適切な位置に置かれると、内皮細胞の組織増殖が促進され(例えば、プロテーゼ102のみかまたは組織増殖促進剤のいずれかによって)、このことにより、結果として最終的に動脈瘤152を閉じる組織の層ができる。
【0035】
図6は、動脈瘤152がプロテーゼコイル160およびプロテーゼ102の両方を用いて治療される類似の例を示す。より具体的には、プロテーゼコイル160は動脈瘤152の中に送達され、一方、プロテーゼ102は、動脈瘤152の開口部の上に送達され、プロテーゼコイル160が血管150の中に移動するのを防ぐ。プロテーゼコイルの使用に関するさらなる詳細は、前に援用された米国特許出願公開第2006/0052815号において見出され得る。
【0036】
本発明に従う1つの好ましい実施形態は、体内でプロテーゼを拡張する方法を含み、方法は、形状記憶材料を備えているプロテーゼを提供することと、体内の所望の部位にプロテーゼを送達することと、プロテーゼの温度を人間の体温より上昇させ、形状記憶材料の相を変化させ、それによって、プロテーゼを拡張された状態に拡張することと、拡張された状態を維持しながら、プロテーゼの温度を人間の体温に減少させることとを包含する。
【0037】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼを拡張することは、プロテーゼの直径を拡張することをさらに包含する。
【0038】
この好ましい実施形態のさらなる例において、温度を上昇させることは、形状記憶材料の相をマルテンサイト状態からオーステナイト状態に変化させることをさらに包含する。
【0039】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼを拡張された状態に拡張することは、プロテーゼの第1のセグメントを拡張することと、プロテーゼの第2のセグメントを拡張することとをさらに包含する。
【0040】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼを拡張することは、プロテーゼに隣接して熱を生成することをさらに包含する。
【0041】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼを拡張することは、プロテーゼを用いて熱を生成することをさらに包含する。
【0042】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼを体内の所望の部位に送達することは、動脈瘤を捜し出すことと、動脈瘤の開口部の上にプロテーゼの位置を決めることをさらに包含する。
【0043】
この好ましい実施形態のさらなる例において、形状記憶材料を備えているプロテーゼを提供することは、その後、動脈瘤内にプロテーゼコイルを送達することが続く。
【0044】
本発明に従う別の好ましい実施形態は、体内に配置するプロテーゼであって、第1の相である間に第1の所定の形状を有し、第2の相である間に第2の所定の形状を有する、プロテーゼ本体を備え、第1の相から第2の相への遷移は、人間の体温より高い温度で起り、第2の相から第1の相への遷移は、人間の体温より低い温度で起る、プロテーゼを含む。
【0045】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼ本体は、形状記憶材料を備えている。
【0046】
この好ましい実施形態のさらなる例において、第1の相はオーステナイト状態であり、第2の相はマルテンサイト状態である。
【0047】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼは、37℃より高い、活性オーステナイト開始温度および活性オーステナイト終了温度を含む。
【0048】
この好ましい実施形態のさらなる例において、活性オーステナイト終了温度は、約40℃〜約55℃の範囲内である。
【0049】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼ本体は、第1のセグメントと第2のセグメントとをさらに備え、第1のセグメントは、第2のセグメントに対して独立して拡張可能である。
【0050】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼは内部の直径を有する管状の形状を備え、直径は、第1の所定の形状中に第1の長さを有し、第2の所定の形状中に第2の増加した長さを有する。
【0051】
本発明に従う別の好ましい実施形態は、体に入る形状の送達ツールと、送達ツールに取り外し可能に配置されたプロテーゼとを備え、プロテーゼは、第1の形状記憶構成と第2の記憶形状構成とを含み、プロテーゼは、約37℃より高い温度で第1の形状記憶構成から第2の記憶形状構成に変化し、送達ツールは、体内でプロテーゼを選択的に加熱する、プロテーゼ送達システムを含む。
【0052】
この好ましい実施形態のさらなる例は、送達ツールに配置された少なくとも1つの加熱要素を備えている。
【0053】
この好ましい実施形態のさらなる例において、送達ツールは、プロテーゼに電流を選択的に送達する。
【0054】
この好ましい実施形態のさらなる例において、プロテーゼは、複数の独立して拡張可能な領域をさらに備え、送達ツールは、複数の個々に作動可能なヒータをさらに備えている。
【0055】
この好ましい実施形態のさらなる例において、複数の独立して拡張可能な領域の各々は、複数の個々に作動可能なヒータのうちの1つの対応するヒータの上に配置される。
【0056】
本発明の好ましい実施形態の別の例において、プロテーゼは、管状である。より詳細には、プロテーゼ材料は、レーザ切断管から作られるかまたは編組の繊維もしくは部材によって形成される管である。
【0057】
本発明は特定の実施形態および用途の観点から説明されたが、当業者は、この教示を考慮して、本特許請求される発明の精神から逸脱したり、本発明の範囲を超えたりすることなく、さらなる実施形態および修正を生成し得る。従って、本明細書における図面および説明が、例示として本発明の理解を容易にするために提供されること、および本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではないことは理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6