(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気体が所定量充填された内容積1デシリットル以下の小型気体容器が複数本箱詰めされた複数の梱包品が顧客先に供給され、該顧客先から少なくとも1個の前記梱包品又は複数本の充填済気体容器が店舗に配送され、該店舗によって小分けされた少なくとも1本の前記充填済気体容器がユーザに販売され、該ユーザによって前記充填済気体容器が気体噴射器具に取り付けられて使用され、前記ユーザによって使用された使用済気体容器が前記店舗を経て前記顧客先によって回収され、回収された前記使用済気体容器が複数本まとめられて前記顧客先から配送され、該顧客先から配送された前記使用済気体容器に再使用の可否の検査が行われ、検査の結果に応じて前記使用済気体容器が再使用に供されることが繰り返される小型気体容器の再使用方法であって、
予め、未使用気体容器の外面に、当該気体容器の製造番号、空重量、及びマトリックス型2次元コードをレーザ刻印しておき、
前記未使用気体容器にレーザ刻印された前記製造番号及び前記2次元コードと関連付けて前記製造番号及び前記2次元コードと、前記空重量及び前記気体の充填回数とをデータとして気体容器管理装置に記録し、
前記使用済気体容器の再使用の可否の検査において、前記気体容器管理装置によって前記製造番号、又は前記2次元コードを読み取り、記録されている前記空重量及び前記気体の充填回数と、前記2次元コード、又は前記製造番号とを読み取り、読み取られた充填回数が、予め設定された所定充填回数に達した前記使用済気体容器を除いて再使用せず、前記所定充填回数未満の前記使用済気体容器に前記気体を充填して再使用に供することを含み、
前記気体噴射器具は、前記充填済気体容器の気体が導かれ、かつ、オリフィスと、ガス噴射チューブ保持具と、前記ガス噴射チューブ保持具内に挿入され、その基端部が、前記ガス噴射チューブ保持具に取り付けられて保持されるガス噴射チューブと、が取付けられる開口部を有し、
前記ガス噴射チューブが挿入支持された前記ガス噴射チューブ保持具は、オリフィスを備えた開口部に螺着されることを特徴とする小型気体容器の再使用方法。
前記気体容器が未使用である初回の充填及び検査プロセスは、さらに、前記梱包工程における前記外観検査が良品である場合に、その外観の特徴を前記気体容器管理装置に入力する工程を有する請求項9に記載の小型気体容器の再使用方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の容器のリサイクル方法では、バーコードは、容器の製造メーカで、外部容器の側面板や底面板や蓋に、印刷等により、容器の洗浄等にもかかわらず消えないようにバーコード形式で押印され、凹んだ部分に着色されて、刻印されているに過ぎないので、使用に際して、特に、使用回数が多くなると、バーコードが汚損したり、破損したりする恐れがあり、バーコードが読み取れず、バーコードに記載された外部容器に関する情報が読み取れず、バーコードに対応させて記録された容器の使用に関する情報や内容物に関する情報、例えば、容器製造メーカによって記録されている、塗料メーカや食品メーカ等の販売先を含む外部側容器の使用に関する各種のデータ等や、内容物メーカによって内容物の充填、販売、回収時に記録された、内容物の種類や検査結果や充填日、容器の再使用回数、汚損状況、検査結果、補修内容や内容物の種類等の内容物に関する容器リサイクルに必要なデータを利用できなくなり、当該容器(外部容器、内装袋)の再使用の可否を判断することができず、この容器のリサイクルができなくなるという問題があった。
【0008】
したがって、特許文献1に開示の容器のリサイクル方法では、販売された容器は、容器の製造メーカとは異なる内容物メーカが独自に再使用や補修を判断し、又、補修して再使用を続けることができるが、暴発する危険性が避けられない気体容器では再使用に関して安全性を最重要視する必要があり、特許文献1に開示の容器のリサイクル方法は適用できないという問題がある。
また、特許文献1に開示の容器のリサイクル方法では、データをディスクで管理しているが、容器とディスクとが異なる場所に保存されている場合には、回収された容器の情報を記録したディスクを探し出すのが大変で面倒であるという問題がある。
さらに、特許文献1に開示の容器のリサイクル方法では、内容物メーカによる使用済容器の回収をどのように行うか、すなわち回収の仕組みが何ら開示されておらず、したがって、回収された使用済容器の検査等がどのように行われ、再使用がどのようにして判断されるのかが開示されていない。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、小型気体容器を効率よく回収することができ、回収された小型気体容器の再使用の可否を正確に判断することができ、今までできなかった小型気体容器の再使用を実現することができる小型気体容器の再使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の
第1の態様の小型気体容器の再使用方法は、気体が所定量充填された内容積1デシリットル以下の小型気体容器が複数本箱詰めされた複数の梱包品が顧客先に供給され、該顧客先から少なくとも1個の前記梱包品又は複数本の充填済気体容器が店舗に配送され、該店舗によって小分けされた少なくとも1本の前記充填済気体容器がユーザに販売され、該ユーザによって前記充填済気体容器が気体噴射器具に取り付けられて使用され、前記ユーザによって使用された使用済気体容器が前記店舗を経て前記顧客先によって回収され、回収された前記使用済気体容器が複数本
まとめられて前記顧客先から配送され、該顧客先から配送された前記使用済気体容器に再使用の可否の検査が行われ、検査の結果に応じて前記使用済気体容器が再使用に供されることが繰り返される小型気体容器の再使用方法であって、予め、未使用気体容器の外面に、当該気体容器の製造番号
、空重量、
及びマトリックス型2次元コードをレーザ刻印しておき、前記未使用
気体容器にレーザ刻印された前記製造番号及び前記2次元コードと関連付けて前記製造番号及び前記2次元コードと、前記空重量及び前記気体の充填回数とをデータとして気体容器管理装置に記録し、前記使用済気体容器の再使用の可否の検査において、前記気体容器管理装置によって
前記製造番号、又は前記2次元コードを読み取り、記録されてい
る前記空重量
及び前記気体の充填回数
と、前記2次元コード、又は前記製造番号とを読み取り、読み取られた充填回数が、予め設定された所定充填回数に達した前記使用済気体容器を除いて再使用せず、前記所定充填回数未満の前記使用済気体容器に前記気体を充填して再使用に供する
ことを含み、前記気体噴射器具は、前記充填済気体容器の気体が導かれ、かつ、オリフィスと、ガス噴射チューブ保持具と、前記ガス噴射チューブ保持具内に挿入され、その基端部が、前記ガス噴射チューブ保持具に取り付けられて保持されるガス噴射チューブと、が取付けられる開口部を有し、前記ガス噴射チューブが挿入支持された前記ガス噴射チューブ保持具は、オリフィスを備えた開口部に螺着されることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様の小型気体容器の再使用方法は、気体が所定量充填された内容積1デシリットル以下の小型気体容器が複数本箱詰めされた複数の梱包品が顧客先に供給され、該顧客先から少なくとも1個の前記梱包品又は複数本の充填済気体容器が店舗に配送され、該店舗によって小分けされた少なくとも1本の前記充填済気体容器がユーザに販売され、該ユーザによって前記充填済気体容器が気体噴射器具に取り付けられて使用され、前記ユーザによって使用された使用済気体容器が前記店舗を経て前記顧客先によって回収され、回収された前記使用済気体容器が複数本まとめられて前記顧客先から配送され、該顧客先から配送された前記使用済気体容器に再使用の可否の検査が行われ、検査の結果に応じて前記使用済気体容器が再使用に供されることが繰り返される小型気体容器の再使用方法であって、予め、未使用気体容器の外面に、当該気体容器の製造番号、空重量、及びマトリックス型2次元コードをレーザ刻印しておき、前記未使用気体容器にレーザ刻印された前記製造番号及び前記2次元コードと関連付けて前記製造番号及び前記2次元コードと、前記空重量及び前記気体の充填回数とをデータとして気体容器管理装置に記録し、前記使用済気体容器の再使用の可否の検査において、前記気体容器管理装置によって前記製造番号、又は前記2次元コードを読み取り、記録されている前記空重量及び前記気体の充填回数と、前記2次元コード、又は前記製造番号とを読み取り、読み取られた充填回数が、予め設定された所定充填回数に達した前記使用済気体容器を除いて再使用せず、前記所定充填回数未満の前記使用済気体容器に前記気体を充填して再使用に供することを含み、前記気体噴射器具は、前記充填済気体容器の気体が導かれ、かつ、オリフィスと、ガス噴射チューブ保持具と、前記ガス噴射チューブ保持具内に挿入され、その基端部が、前記ガス噴射チューブ保持具に取り付けられて保持されるガス噴射チューブと、が取付けられる開口部を有し、前記ガス噴射チューブ保持具は、保持具本体と支持突起からなり、前記保持具本体は、その内部に長さ方向に延びるガス噴射チューブの挿入部を有するものであり、前記支持突起は、前記保持具本体の長さ方向の中間部に設けられ、前記保持具本体内に挿入されるガス噴射チューブを弾性的に把持するものであり、かつ、前記保持具本体が前記支持突起とともに円周方向に分割されてなるものであることを特徴とする。
ここで、本発明の第2の態様では、前記ガス噴射チューブ保持具は、オリフィスと一体化されることが好ましく、また、前記保持具本体は、凸リング状の挿入口リングに構成されかつ内部をすり鉢状の挿入口とした先端部を有することが好ましく、また、前記挿入口リングの外周側は、前記開口部の内面側に係止されることが好ましい。
【0011】
ここで、
本発明の第1および第2の態様では、前記使用済気体容器の検査及び再充填プロセスは、前記気体容器管理装置において前記使用済気体容器の前記2次元コードを読み取る工程と、前記2次元コードが読み取られた前記使用済気体容器を受入外観検査を行い、再使用できない不良気体容器を除く工程と、前記受入外観検査の結果で再使用可能な前記使用済気体容器について、読みとられた前記2次元コードに基づいて、前記気体容器管理装置から、それに記録されている前記製造番号、前記空重量、前記気体の充填回数を読み取る工程と、読み取られた前記充填回数に応じて再使用の可否を検査し、前記所定充填回数に達した前記使用済気体容器を除いて再使用せず、前記所定充填回数未満の前記使用済気体容器に対しては、再使用可能であることを前記気体容器管理装置に入力する工程と、再使用可能な前記使用済気体容器内の残留気体を抜き取る工程と、前記残留気体が抜き取られた前記使用済気体容器に、所定量の前記気体を充填する工程と、前記気体が充填された前記気体容器から前記気体の漏れを測定し、漏れのある不良気体容器を除く工程と、複数の充填済気体容器を
、外観検査を行いながら箱詰めして、前記顧客先に配送するための前記梱包品を作る梱包工程と、を有することが好ましい。
【0012】
また、前記使用済気体容器の検査及び再充填プロセスは、さらに、前記受入外観検査の結果が再使用可能である場合に、その外観の特徴を前記気体容器管理装置に入力する工程と、前記梱包工程における前記外観検査の結果が再使用可能である場合に、その外観の特徴を前記気体容器管理装置に入力する工程と、を有することが好ましく、またさらに、前記残留気体が抜き取られた前記使用済気体容器をその空重量毎に分類する工程を有し、前記気体の充填工程は、分類された前記使用済気体容器に所定量の前記気体を充填することが好ましい。
【0013】
また、前記気体容器が未使用である初回の
充填及び
検査プロセスは、予め、未使用気体容器の空重量を測定する工程と、前記空重量が測定された前記未使用気体容器の外面に、当該気体容器の製造番号及び空重量、及びマトリックス型2次元コードをレーザ刻印する工程と、刻印された前記未使用気体容器に所定量の前記気体を充填する工程と、前記気体が充填された前記気体容器から前記気体の漏れを測定し、漏れのある不良気体容器を除く工程と、複数の充填済気体容器を外観検査を行いながら箱詰めして、前記顧客先に配送するための前記梱包品を作る梱包工程と、前記未使用
気体容器にレーザ刻印された前記製造番号及び前記2次元コードと関連付けて前記製造番号及び前記2次元コードと、前記空重量及び前記気体の充填回数とをデータとして前記気体容器管理装置に記録する工程と、を有することが好ましい。
【0014】
また、前記気体容器が未使用である初回の
充填及び
検査プロセスは、さらに、前記梱包工程における前記外観検査が良品である場合に、その外観の特徴を前記気体容器管理装置に入力する工程を有することが好ましく、また、さらに、前記空重量が測定された前記未使用気体容器をその空重量毎に分類する工程を有し、前記刻印工程は、前記空重量毎に分類された前記未使用気体容器の外面に、当該気体容
器の前記製造番号、
前記空重量、及び
前記2次元コードをレーザ刻印することが好ましい。
また、前記2次
元コードの読み取りの際に、同時に製造番号を読み取ることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型気体容器を効率よく回収することができ、回収された小型気体容器の再使用の可否を正確に判断することができ、今までできなかった小型気体容器の再使用を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る小型気体容器の再使用方法を、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1(A)は、本発明に係る小型気体容器の再使用方法を実施する拠点を流通する小型気体容器のフローを示すフローチャートであり、
図1(B)は、本発明に係る小型気体容器の再使用方法の一実施形態の概略構成の一例を示すフローチャートであり、
図1(A)に示す小型気体容器の再使用方法の各プロセス(過程)を示す。
図2は、
図1に示す小型気体容器の再使用方法に用いられる小型気体容器の一実施例の構成を示す断面図である。
図3は、
図2に示す小型気体容器にレーザ刻印された製造番号、空重量、及びマトリックス型2次元コードの一例を示す図である。
なお、以下では、
図2に示す小型気体容器を
図5に示す携帯型気体噴射器具にセットしてガスパージによる清掃に用いる場合を代表例として説明するが、本発明はこれに限定されず、ビールサーバや、複写機や、自動改札機や、ATM等の精密機器の内部や部品等をガスパージにより清掃するのに用いられる携帯型ガス噴射清掃装置等に用いても良いのはもちろんである。
【0018】
図1(A)及び(B)に示すように、本発明の小型気体容器の再使用方法においては、まず、初回の充填/検査プロセスP100において、所定圧力の気体が所定量充填された内容積1デシリットル(dl)以下(高圧ガス保安法の表記に準拠)の気体充填済小型気体容器(以下、充填済容器という)を製造して供給する充填容器供給元10で、未使用小型気体容器(以下、未使用容器という)に気体を所定量充填し、その後、充填済容器を検査し、複数本、例えば所定本数の充填済容器を箱詰めして梱包し、梱包品を作る。
この時、初回の充填/検査プロセスP100では、
図3に示すように、予め、未使用容器の外面に、識別のために、未使用容器の製造番号、空重量、及びマトリックス型2次元コード(以下、2次元コードという)をレーザ刻印しておくと共に、未使用容器にレーザ刻印された製造番号及び2次元コードと関連付けて製造番号及び2次元コードと、空重量及び気体の充填回数とを管理データとして気体容器管理装置12に記録しておく。
ここで、気体容器管理装置12としては、パーソナルコンピュータ(PC)やサーバなどを用いることができ、未使用容器や、充填済容器や、使用済小型気体容器(以下、使用済容器という)などとして用いられる
図2に示す小型気体容器20の管理に用いる。
なお、小型気体容器20の詳細については、後述する。
【0019】
次に、顧客先への供給プロセスP102において、充填容器供給元10では、所定本数の充填済容器が箱詰めされた複数の梱包品を顧客先14に供給する。なお、充填容器供給元10では、小型気体容器20(充填済容器)の管理のために、充填済容器が供給された顧客先14を小型気体容器20毎に気体容器管理装置12に記録しておくのが好ましい。
次に、各店舗への配送プロセス104において、充填容器供給元10から複数の梱包品が供給された顧客先14では、少なくとも1つの梱包品、もしくは複数本の充填済容器を各店舗16に配送する。
【0020】
なお、顧客先14においても、小型気体容器20(充填済容器、使用済容器)の管理のために、気体容器管理装置12aを備えるのが好ましい。ここで、顧客先14の気体容器管理装置12aは、充填容器供給元10の気体容器管理装置12とインターネットやイントラネットなどの通信網で接続されいるのが好ましく、小型気体容器20の2次元コードや製造番号を読み取り、気体容器管理装置12にアクセスして、当該小型気体容器20の管理データを閲覧できるのが好ましい。さらに、顧客先14の気体容器管理装置12aでは、気体容器管理装置12の管理データを書き換えることはできないが、この管理データに、顧客先14において、不具合や、外観上の傷などの小型気体容器20の管理上必要となるデータを追加できるようになっているのが好ましい。なお、顧客先14では、小型気体容器20の管理のために、充填済容器が配送された各店舗16を小型気体容器20毎に気体容器管理装置12aに記録しておくのが好ましい。
【0021】
次に、各ユーザへの販売プロセス106において、顧客先14から複数本の充填容器が配送された各店舗16では、少なくとも1つの梱包品、もしくは複数本の充填済容器を各ユーザ18に販売する。
なお、各店舗16においても、小型気体容器20(充填済容器、使用済容器)の管理のために、気体容器管理装置12bを備えるのが好ましい。ここで、各店舗16の気体容器管理装置12bは、充填容器供給元10の気体容器管理装置12や顧客先14の気体容器管理装置12aとインターネットやイントラネットなどの通信網で接続されているのが好ましく、小型気体容器20の2次元コードや製造番号を読み取り、気体容器管理装置12や12aにアクセスして、当該小型気体容器20の管理データ等を閲覧できるのが好ましい。また、各店舗16の気体容器管理装置12bでは、気体容器管理装置12の管理データを書き換えることはできないが、この管理データに、各店舗16において、不具合や、外観上の傷などの小型気体容器20の管理上必要となるデータを追加できるようになっているのが好ましい。なお、各店舗16では、小型気体容器20の管理のために、充填済容器が販売された各ユーザ18を小型気体容器20毎に気体容器管理装置12bに記録しておくのが好ましい。
【0022】
次に、使用プロセス108において、店舗16から充填済容器が販売されたユーザ18では、購入した充填済容器を気体噴射器具52(
図5参照)にセットしてガスパージによる清掃等に使用する。ユーザ18では、回収のために、使用済容器を保存しておく。
なお、各ユーザ18においても、小型気体容器20(充填済容器、使用済容器)の管理のために、気体容器管理装置12cを備えることが好ましい。ここで、各ユーザ18の気体容器管理装置12cは、充填容器供給元10の気体容器管理装置12や顧客先14の気体容器管理装置12aや各店舗16の気体容器管理装置12bとインターネットやイントラネットなどの通信網で接続されているのが好ましく、小型気体容器20の2次元コードや製造番号を読み取り、気体容器管理装置12や12aや12bにアクセスして、当該小型気体容器20の管理データ等を閲覧できるのが好ましい。さらに、各ユーザ18の気体容器管理装置12cでは、気体容器管理装置12の管理データを書き換えることはできないが、この管理データに、各ユーザ18において、使用状態(使用前、使用中、使用済)や、使用上の不具合や、外観上の傷などの小型気体容器20の管理上必要となるデータを追加できるようになっているのが好ましい。
【0023】
次に、各ユーザからの回収プロセス110において、各店舗16では、充填済容器を販売した各ユーザ18から、使用済容器を回収する。各店舗16では、回収した使用済容器を保存しておく。なお、各店舗16の気体容器管理装置12bでは、回収した使用済容器の2次元コードや製造番号を読み取り、当該小型気体容器20が各店舗16に回収されたことを示す情報を小型気体容器20の管理上必要となるデータとして追加しておくのが好ましい。
次に、各店舗からの回収/配送プロセス112において、顧客先14では、使用済容器を回収して保存している各店舗16から、保存されている使用済容器を回収すると共に、回収した使用済容器を複数本に纏めて充填容器供給元10に配送する。なお、顧客先14の気体容器管理装置12aでは、回収した使用済容器の2次元コードや製造番号を読み取り、当該小型気体容器20が顧客先14に回収されたことを示す情報を小型気体容器20の管理上必要となるデータとして追加しておくのが好ましい。
【0024】
次に、2回目以降に行われる検査/再充填プロセスP114において、充填容器供給元10では、顧客先14から配送された使用済容器に再使用の可否の検査が行われ、検査の結果に応じて使用済容器が再使用に供される。すなわち、充填容器供給元10では、使用済容器の再使用の可否の検査において、気体容器管理装置12によって2次元コードを読み取り、記録されている製造番号、空重量、気体の充填回数を読み取り、読み取られた充填回数が、予め設定された所定充填回数に達した使用済気体容器は再使用せずに廃棄し、所定充填回数未満の使用済容器には気体を充填して検査し、再使用に供するために複数本纏めて箱詰め梱包する。この時、気体容器管理装置12においては、充填されて再使用に供される小型気体容器20の管理データの充填回数は、確実に1回増加される。
本発明の小型気体容器の再使用方法においては、充填容器供給元10と顧客先14との間、顧客先14と各店舗16との間、及び各店舗16と各ユーザ18との間のそれぞれの2者間でのみ、充填済容器及び使用済容器の受け渡しを行っており、また、充填容器供給元10、顧客先14、各店舗16、及び各ユーザ18の間のそれぞれの気体容器管理装置12、12a、12b及び12cをインターネットやイントラネット等の通信網で接続して、各小型気体容器20の管理データを閲覧できるようにして共有し、共同で管理することができるので、使用済容器を適切に回収することができ、また、回収された使用済容器を適切に再利用することができる。したがって、再使用可能な使用済容器を廃棄したり、再使用できない使用済容器を再使用する危険性を除去することができる。
【0025】
本発明の小型気体容器の再使用方法は、概略以上のように構成されるが、次に、本実施形態の特徴である初回の充填/検査プロセスP100及び2回目以降に行われる検査/再充填プロセスP114について詳細に説明する。
図4(A)及び(B)は、それぞれ
図1に示す小型気体容器の再使用方法の初回の充填/検査プロセス、及び2回目以降の検査/再充填プロセスの一例を示すフローチャートである。
【0026】
図4(A)に示すように、初回の充填/検査プロセスP100においては、充填容器供給元10では、まず、ステップ(以下、工程ともいう)S120において、
図2に示す金属製の小型気体容器20からなる未使用容器が用意され、小型気体容器20の空容器重量(以下、空重量ともいう)、すなわち未使用容器の重量が測定される。この未使用の小型気体容器20は、安全性を含めた保証ができるように、充填容器供給元10で製作された専用のものとするのが良い。
次に、ステップS122において、空重量が測定された未使用容器が、重量毎に分類される。
【0027】
なお、空重量の測定ステップ(工程)S120において、未使用容器の重量を測定し、測定空重量による分類ステップ(工程)S122において、測定された重量毎に未使用容器を分類するのは、以下の理由からである。
例えば、内容積1デシリットル(dl)以下の小型気体容器20は、高圧ガス保安法において規制されている条項が適用されない適用除外容器に分類されているが、炭酸ガスの液体充填においては、容器の破裂に対する安全性確保のため、内容積1デシリットル以上の中型容器や、大型容器と同等に充填比1.34の係数を適用し、充填を実施している。
例えば、このような小型気体容器20には、公称95cc(0.95dl)容器として流通しているものがあるが、水を用いた内容積の実測値では、96cc〜99ccとなるようにしている。
【0028】
このような公称95cc容器の空容器重量は、予め、1g単位で計測され、例えば、256〜259gの4水準に分類されている。
一方、95cc容器では、炭酸ガスの充填量は、例えば、以下のようになる。
95cc(容器内容積)/1.34(充填比)=70.89≒71g
しかしながら、充填機の充填性能及び安全性の点から、±3g程度のバラツキの発生可能性を考慮して、充填量の上限値及び下限値を、例えば68±3gに規定している。なお、公称95cc容器の内容積の実測値を96cc〜99ccとし、充填量の上限値を71gとするのは、安全性を保証するためである。
【0029】
このような容器に充填機に付随する定量シリンダを介し一定量の炭酸ガスが充填されることから、空容器重量の上限値及び下限値の容器を同様に充填すると、最大で4gの差が発生するため、充填量の上限値(71g)を越える可能性がある。このため、定量シリンダには、調整機構が備わっており、充填量を制御することが可能となっている。
このように、容器への炭酸ガスの過充填や、充填不足を回避するために、容器の空重量を予め測定する必要があるし、容器を空重量毎に分類する必要がある。
以上が、容器への炭酸ガスの充填において、安全性を確保しつつ一定量の充填を実施するには、空容器毎の重量測定及び空容器の重量毎の分類が必要不可欠な工程であることの理由である。
【0030】
次に、ステップS124において、重量毎に分類された未使用容器に対して、
図3に示すように、
図2に示す小型気体容器20の金属製の容器本体22に螺着された金属製の充填アダプタ24の外側表面に、マトリックス型2次元コード26、製造番号(又はロット番号)28、及び空重量30をレーザ刻印する。ここで、2次元コード26としては、いわゆるQRコード(登録商標)を用いることができる。2次元コード26は、小型気体容器20の製造番号(又はロット番号)、空重量、製造年月日、原材料、耐圧、仕様、その他、小型気体容器20の使用及び再使用に必要となる様々な情報が記録され、1次元コードであるバーコードに比べて、極めて多くの情報を記録することができる。また、図示例では、製造番号28及び空重量30は、それぞれ11A03102及びW256と刻印され、ロット番号及び256gを表す。
本発明においては、小型気体容器20に関する情報や、その識別に用いる情報等を読み取るための2次元コード26、製造番号28、及び空重量30を、金属製の小型気体容器20の外表面、具体的には金属製の充填アダプタ24の外表面にレーザで刻印しているので、印刷等により記録されたバーコードに比べて、汚損や破損に対して高い耐性があり、小型気体容器20の使用や再使用においても、確実に読み取ることができる。
【0031】
次に、ステップS126において、2次元コード26、製造番号28、及び空重量30がレーザ刻印された未使用容器に炭酸ガス等の気体を所定量充填する。
例えば、内容積0.30〜0.95デシリットル等の1デシリットル以下の炭酸ガスカートリッジにおいては、17〜60g程度の炭酸ガスを、充填圧力、数MPa、例えば6MPa程度で充填している。
次に、ステップS128において、充填済容器に付いて、リーク検査を行う、例えば、温水中で24時間のリーク量を測定する。このリーク検査において、目視検査後、24時間のリーク量を測定するようにしても良い。
【0032】
次に、ステップS130において、リーク検査の結果、24時間のリーク量が所定閾値未満の合格品の充填済容器が複数本箱詰めされ、外観検査が行われ、検査に不合格の充填済容器は不良品として排除され、検査に合格した充填済容器に対して、気体容器管理装置12によって2次元コード26、製造番号28、空重量30などが読み取られ、2次元コード26に記録された上記の種々の情報が読み出され、箱詰めされ、検査に合格した良品である充填済容器のみが梱包される。
なお、ステップS130においては、気体容器管理装置12によって読み出された2次元コード26の情報や、製造番号28、空重量30等を気体容器管理装置12内に記録すると共に、充填回数を1回に設定し、外観検査の結果等の再使用に必要な情報を気体容器管理装置12に入力する。
この後、ステップS132において、梱包された充填済容器は、顧客先14に配送さ
れ、供給される。
【0033】
一方、
図4(B)に示すように、2回目以降の検査/再充填プロセスP114においては、充填容器供給元10では、まず、ステップS140において、顧客先14から回収され、配送された使用済容器に対して、気体容器管理装置12によって2次元コード26、製造番号28、空重量30等が読み取られ、ステップS142において、受入外観検査が行われ、再使用の可否判定が行われ、検査に不合格で再使用不可と判定された使用済容器は不良品として排除される。次に、受入外観検査に合格し、再使用可と判定された使用済容器に対しては、ステップS144において、読み取られた2次元コードや製造番号に基づいて、気体容器管理装置12から、その内部に記録されている空重量、及び気体の充填回数を読み取り、読み取られた充填回数に応じて再使用の可否を検査し、所定充填回数に達した使用済気体容器を排除して、所定充填回数未満の使用済気体容器に対しては、再使用可能であることを気体容器管理装置12に入力する。
【0034】
次に、ステップS146において、再使用可能な使用済容器を充填可能な気体容器とするために、この使用済容器から残留気体が抜き取られ、いわゆるガス抜きが行われる。
次に、ステップS148において、残留気体が抜き取られた再使用可能な使用済容器について読み取られた空重量に基づいて、再使用可能な使用済容器が重量毎に分類される。
【0035】
次に、ステップS150において、残留気体が抜き取られ、空重量毎に分類された使用済容器に、ステップS126と同様に、所定量の炭酸ガス等の気体を充填する。
次に、ステップS152において、ステップS128と同様に、充填済容器に付いて、リーク検査を行う。
次に、ステップS154において、ステップS130と同様に、リーク検査の結果、合格品の充填済容器が複数本箱詰めされ、外観検査が行われ、検査に不合格の充填済容器は不良品として排除され、検査に合格した良品である充填済容器に対して、気体容器管理装置12によって2次元コード26等やその情報が読み取られ、箱詰めされ、検査に合格した充填済容器のみが梱包される。
なお、ステップS154においては、気体容器管理装置12によって読み出された2次元コード26や製造番号等に基づいて、当該充填済容器の充填回数を1回増加させるように更新し、受入外観検査や外観検査等の結果を含む再使用に必要な情報を気体容器管理装置12に入力する。
この後、ステップS156において、ステップS132と同様に、梱包された充填済容器は、顧客先14に配送され、供給される。
【0036】
本発明の小型気体容器の再使用方法においては、充填容器供給元10で、初回の充填/検査プロセスP100において、2次元コード26、製造番号28、空重量30を小型気体容器20にレーザ刻印し、その後の初回の充填/検査プロセスP100においても、2回目以降の検査/再充填プロセスP114においても、レーザ刻印された2次元コード26や、製造番号28を読み取るので、確実かつ正確に読み取ることができ、また、読み取った2次元コード26や、製造番号28に基づいて気体容器管理装置12によって管理データを用いて管理しながら、充填ステップS126及びS150、リーク検査ステップS128及びS152、梱包(外観検査を含む)及び入力ステップS130及びS154、並びに、受入外観検査ステップS142を行うので、回収された使用済容器の再使用の可否の判断、決定を正確かつ適切に行うことができ、また、回収された使用済容器を適切に再利用することができる。したがって、再使用可能な使用済容器を廃棄したり、再使用できない使用済容器を再使用する危険性を除去することができる。
【0037】
次に、本発明に用いられる小型気体容器の構造に付いて詳細に説明する。
図2に示すように、小型気体容器20は、金属製の容器本体22と、そのねじ部32に螺着された金属製の充填アダプタ24とを有する。
容器本体22は、所定量の気体が充填される筒状の容器であり、上部外周側にねじ部32と、上部に開口34とを有する。
充填アダプタ24は、小型気体容器20の容器本体22に炭酸ガス等の気体を充填する際の、充填装置のノズル(図示せず)に装着される、開閉可能な充填口として機能すると共に、充填後は容器本体22の内部に充填された気体の蓋として機能するもので、アダプタ本体36と、逆止ボディ38a、38bと、逆止弁40と、逆止弁ばね42と、Oリング44と、パッキン46a及び46bと、安全弁47と、六角穴付き止めねじ48と、充填口保護キャップ49とを有する。
【0038】
逆止弁40及び逆止弁ばね42は、アダプタ本体36とこれに螺着される第1逆止ボディ38aとの間の中心側の空間に介挿され、逆止弁ばね42は、逆止弁40を第1逆止ボディ38aの内側中央に組み込まれる第2逆止ボディ38b側に付勢している。アダプタ本体36と第2逆止ボディ38bとの間にはパッキン46aが介挿されており、両者間の気密が保持されている。
逆止弁40に図中上側から押す押圧力がなくフリーである場合には、逆止弁40は、逆止弁ばね42の付勢力によってパッキン46aに当接し、逆止弁40と第2逆止ボディ38bとの間は、パッキン46aによって気密に保持される。一方、逆止弁40に図中上側から押す押圧力が加わると、逆止弁40は、逆止弁ばね42の付勢力に抗して第2逆止ボディ38bの内面から離れ、容器本体22の内部の充填気体の通路を形成する。
【0039】
また、Oリング44は、第1逆止ボディ38aと第2逆止ボディ38bとの間に介挿され、後述する気体噴射器具52のノズル58の外面と第2逆止ボディ38bの中心孔内面との間の気密を保持するのに用いられる。
また、パッキン46bは、容器本体22の外周ねじ部32が充填アダプタ24のアダプタ本体36の中央孔37の内周面のねじ部37aに螺合される際に、容器本体22の開口34側面とアダプタ本体36の中央孔37の内面との間の気密を保持するのに用いられる。
また、安全弁47は、充填アダプタ24にかかった所定圧以上の過大な圧力を逃がすためのものである。
また、六角穴付き止めねじ48は、螺着されたアダプタ本体36と容器本体22との緩み防止のために用いられる。
さらに、充填口保護キャップ49は、アダプタ本体36の雄ねじ部36aに螺着され、小型気体容器20や充填アダプタ24の不使用時に充填口を保護するためのものである。
本発明に用いられる小型気体容器は、基本的に以上のように構成される。
【0040】
次に、本発明に用いられる小型気体容器が使用される携帯型ガス噴射清掃器具の構造について説明する
図5は、
図2に示す小型気体容器が装着された携帯型ガス噴射清掃器具の全体構成を示す断面図である。
携帯型ガス噴射清掃器具50は、小型気体容器(例えば、小型炭酸ガスカートリッジ)20と、小型気体容器20が装着(セット)される気体(ガス)噴射器具(減圧バルブ)52と、気体噴射器具52に取り付けて、気体噴射器具52に装着された小型気体容器20を保護する保護カバー54とを有する。小型気体容器20の充填アダプタ24のアダプタ本体36の雄ねじ部36aに気体噴射器具52のねじ受け部60の雌ねじ部60aに螺合させて小型気体容器20に気体噴射器具52を装着し、ノズル58を介して気体噴射器具(減圧バルブ)本体56内に炭酸ガス等の気体を流入させ、操作ボタン62を押圧することによって減圧されたガスを開口部66に導くようになっている。開口部66には、オリフィス64と、ガス噴射チューブ保持具70を介してガス噴射チューブ68とが取付けられており、これによって、オリフィス64から噴出した炭酸ガスは、ガス噴射チューブ68を通して、その先端部の噴射ノズル68aから所定のパージ箇所に吹付けられるようになっている。
【0041】
本実施形態においては、ガス噴射チューブ68は、ガス噴射チューブ保持具70内に挿入され、その基端部が、ガス噴射チューブ保持具70に取り付けられて保持される。
ガス噴射チューブ保持具70は、そのねじ部70aを、気体噴射器具本体56の開口部66の内周面形成された雌ねじ部66aに螺合させることにより、確実かつ堅固に装着(セット)されるようになっている。
その結果、ガスパージ作業中にガス噴射チューブ68の先端部の噴射ノズル68aが、清掃対象である、例えば自動改札機の各種部材などに当たっても、ガス噴射チューブ68が開口部66から容易に外れることがない。
【0042】
なお、
図5に示す携帯型ガス噴射清掃器具50においては、気体噴射器具本体56の開口部66に、オリフィス64を備え、ガス噴射チューブ68が挿入支持されたガス噴射チューブ保持具70を螺着することにより、ガス噴射チューブ68をセットするものであるが、本発明においては、これに限定されない。
例えば、気体噴射器具本体56の開口部66に、
図6及び
図7に示すガス噴射チューブ保持具71をセットし、このガス噴射チューブ保持具71内にガス噴射チューブ68を挿入・支持するようにしても良い。
【0043】
本実施形態において、ガス噴射チューブ保持具71は、
図7に示すように、外郭が全体としてやや先細りのほぼ円筒形の保持具本体72に支持突起78を設けたものとして構成されており、この保持具本体72の内部がガス噴射チューブ68の挿入部となっている。一方、支持突起78は、保持具本体72の長さ方向の中間部、好ましくは、ほぼ中央部に設けられおり、これによってガス噴射チューブ保持具71を気体噴射器具本体56の開口部66に保持するようになっている。
【0044】
支持突起78は、その直径方向に弾性的に変形することによってガス噴射チューブ保持具71の保持具本体72を支持できるようになっている。したがって、上記のように構成されたガス噴射チューブ保持具71を開口部にセットすると保持具本体72内に挿入されたガス噴射チューブ68をその側面から弾性的変形により僅かに押圧しながら保持することができるようになる。さらに、本実施形態では、支持突起78がガス噴射チューブ保持具71の保持具本体72の長さ方向の中間部に置かれているので、ガス噴射チューブ68に与えられる弾性的変形による保持力は、支持突起78の配置位置で強く現れることになる。特に、その配置位置を長さ方向のほぼ中央部に置いたときは、ガス噴射チューブ68をその側面からバランスよく支持することができるようになる。その結果、ガスパージ作業中にガス噴射チューブ68の先端が、清掃対象である、例えば自動改札機の各種部材などに当たっても、ガス噴射チューブ68が容易に外れることがなくなる。
【0045】
上記構成に加えて、本実施形態のガス噴射チューブ保持具71は、
図7に示されているように、保持具本体72が支持突起78と共に円周方向に分割されている。具体的には、分割された保持具本体72の各セグメントの中央部近傍に支持突起78が配置され、これらを全体として円筒形に組上げて、オリフィス64と一体化させている。なお、この一体化は、
図7に示されているように、保持具本体72の後端部とオリフィス64の先端部を一体化させることによって行われている。
【0046】
上記構成を取ることにより、ガス噴射チューブ68に飛出し力が加わることが防止できる。すなわち、上記のように、保持具本体72が円周方向に分割した場合においては、
図6に示されるように、ガス噴射チューブ68がオリフィス64と離間してセットされていても、オリフィス64から噴出するガスは、矢印で示されるように、一部がガス噴射チューブ68内を流れるとともに、一部が分割面80によって作られるスリット82を通して流れることになり、ガス噴射チューブ68を背面から押す力は極めて小さくなることになる。
【0047】
本実施形態のガス噴射チューブ保持具71を気体噴射器具本体56の開口部66にセットするには、ガス噴射チューブ保持具71とオリフィス64とを一体化させ、オリフィス64の脚部を気体噴射器具本体56の開口部66の最奥部66c(ガス流出路)に嵌合するようにするのが、製造工程の効率化の点から好ましい。なお、オリフィス64とガス噴射チューブ保持具71は、これらを一体の部品として射出成形することにより行うのがよい。
【0048】
図7は、このようなオリフィス64と一体化されたガス噴射チューブ保持具71を気体噴射器具本体56の開口部66にセットする手順を示している。ガス噴射チューブ68及びガス噴射チューブ保持具71は、本例では、ともにポリプロピレン製であり、気体噴射器具本体56の開口部66の最奥部66cにオリフィス部が嵌合され、開口部前面側66bにガス噴射チューブ保持具71の支持突起78が当たるようにセットされる。この状態で、ガス噴射チューブ68を挿入すると、先に示したように、支持突起78により保持具本体72に与えられる半径方法の弾性的変形により、ガス噴射チューブ68が確実に把持されることになる。
【0049】
なお、本実施形態の効果は、上記のとおり、支持突起78を保持具本体72の長さ方向の中間部に設けることによって得られるものであるが、本実施形態をより実施しやすくするためには、例えば、保持具本体72の先端部を凸リング状の挿入口リング74に構成するとともに、その内部をすり鉢状の挿入口76とし、ガス噴射チューブ68が挿通しやすくするのがよい。また、上記挿入口リング74の外周側において気体噴射器具本体56の開口部66の内面側に係止できるようにすれば、ガス噴射チューブ保持具71の全体の安定を図ることができる。
【0050】
本実施形態により、携帯型ガス噴射清掃器具の使用に当たり、ガス噴射チューブは、極めて安定して保持され、従来問題となっていたガス噴射チューブの飛出し事故が防止できる。また、本実施形態で用いるガス噴射チューブ保持具が弾性的変形によりガス噴射チューブを支持・固定するものであるので、ガス噴射チューブの直径公差を大きくとってもガス噴射チューブ保持具内への安定的挿入・支持が可能になる。
【0051】
なお、上記実施形態の説明においては、パージガスとして炭酸ガスを利用する場合を取り上げたが、ガス種はこれに限られるものではなく、例えば、窒素ガス等も利用できる。また、本実施形態のガス噴射チューブ保持具は、携帯型ガス噴射器具に広く利用することができ、例えば、エアゾールを含む気液混合物の噴射部にも適用可能である。