特許第5734828号(P5734828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5734828タッチパネル用構造材料及びタッチパネル構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734828
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】タッチパネル用構造材料及びタッチパネル構造体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/044 20060101AFI20150528BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G06F3/044 122
   G06F3/044 128
   G06F3/041 422
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-282250(P2011-282250)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-120590(P2013-120590A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2013年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】504203354
【氏名又は名称】株式会社タッチパネル研究所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 健司
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−344163(JP,A)
【文献】 特開2007−065826(JP,A)
【文献】 特開2010−039537(JP,A)
【文献】 特開2010−061502(JP,A)
【文献】 特開2010−191504(JP,A)
【文献】 特開2011−028699(JP,A)
【文献】 特開2013−054708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/044
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)透明フィルム(A)の片面に、(a‐1)多数の導電性金属線が1.0
〜3mmの間隔で波形にかつ平行して形成され、(a‐2)各導電性金属線は、
幅が2〜8μmであり、(a‐3)各導電性金属線は、隣接する2〜6本が一
組の導電ラインとなって、多数の導電ラインを形成し、(a‐4)各組の導電ラ
インは、各組において導電性金属線が互いに電気的に接続するように導電性金属
線により網状化し、その網状化線は、導電性金属線の長さ方向10mmに対して
1組当たり、少なくとも1本であるパターンを形成している電極基板[A]及び透
明フィルム(B)の片面に、(b‐1)多数の導電性金属線が1.0〜3mmの間
隔で波形にかつ平行して形成され、(b‐2)各導電性金属線は幅が2〜8μm
であり、(b‐3)各導電性金属線は隣接する2〜6本が一組の導電ラインとなっ
て、多数の導電ラインを形成し、(b‐4)各組の導電ラインは各組において導電
性金属線が互いに電気的に接続するように導電性金属線により網状化し、その網状
化線は、導電性金属線の長さ方向10mmに対して1組当たり、少なくとも1本で
あるパターンを形成している電極基板[B]より構成され、
(2)前記電極基板[A]及び電極基板[B]とは、それぞれの導電性金属線が形成
されている面が向い合い且つそれぞれの導電性金属線の波形にかつ平行する方向が
直交するように、絶縁性の透明接着剤を介して貼り合され、
(3)貼り合された構造材料は、85%以上の開口率を有し、かつ
)前記電極基板[A]及び電極基板[B]における各組における導電ラインは、
それぞれの組の端末から電気的に端子に接続されている、
ことを特徴とするタッチパネル用構造材料。
【請求項2】
前記導電ラインにおける導電性金属線は、等間隔で波形にかつ平行に形成
されている前記請求項1記載の構造材料。
【請求項3】
前記導電性金属線は、厚みが0.1〜5μmである前記請求項1記載の構造
材料。
【請求項4】
前記導電性金属線は、隣接する3〜5本が一組の導電ラインを形成している
前記請求項1記載の構造材料。
【請求項5】
前記導電性金属線は、Cu、Ni、AL(アルミ)、Ag、Cr、これら金属の
2種以上よりなる合金またはこれら2種以上の金属の複層で積層された構造で形
成されている前記請求項1記載の構造材料。
【請求項6】
前記絶縁性の透明接着剤層は、50〜300μmの厚みを有する前記請求項1
記載の構造材料。
【請求項7】
前記透明フィルムは、50〜300μmの厚みを有すポリエチレンテレフタ
レートフィルムである前記請求項1記載の構造材料。
【請求項8】
前記網状化した導電性金属線(網状化線)は波形にかつ平行した導電性金属
線の方向に対して直角方向に形成されかつ導電性金属線の長さ方向に対し1組
当り少なくとも2本である前記請求項1記載の構造材料。
【請求項9】
87〜98%以上の開口率を有する前記請求項1記載の構造材料。
【請求項10】
前記請求項1記載の構造材料により構成された静電容量式タッチパネル構造体。
【請求項11】
前記請求項1記載の構造材料により構成されたタッチパネル構造体を厚みが
0.5〜4mmのガラス板 あるいは厚みが0.5〜2mmの透明樹脂シートで
表面保護した構造を有する静電容量式タッチパネル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル用構造材料に関する。さらに詳しくは、静電容量式タッチパネルに有利に使用できる構造材料に関する。また本発明は静電容量式タッチパネル構造体にも関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは構造が比較的簡単であり且つ安価であり、指入力が可能であって、その利便性の良さから市場が拡大しつつある。そのタッチパネルは抵抗膜式、静電容量式及び光学式など種々の方式が提案されているが、これらのうち抵抗膜式及び静電容量式が主流を占めている。
特に静電容量式は、マルチ入力が比較的容易であることから携帯電話を中心にその市場が急速に増大している。しかし現在市販されている静電容量式タッチパネルはその表示面のサイズが小型であり、大きい画面のものは未だ普及してはいない。その理由の1つは、静電容量式に適した構造材料の電気特性が大きい画面に対応できる程充分でないことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、透明性及び導電性が優れ、且つ大型画面化に適したタッチパネル構造材料、殊に静電容量式に適したタッチパネル構造材料を提供することを目的として研究した結果、本発明に到達したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、導電性金属の微細線を透明フィルムの表面に多数配列して形成させた電極基板を得ることが最近比較的可能になったことに鑑み、その電極基板における導電性金属の微細線の形や細さ、さらに多数の微細線の配置の形態を種々検討し研究を進めた結果、或る一定の微細線を一定間隔で多数波形かつ平行に配置しかつ隣接する2〜6本を一組として多数の導電ラインとして配置したものは、静電容量式タッチパネル用の構造材料として、特に大型画面用のものの構造材料として有利に利用できることが判明した。
本発明はかかる究明事実に基いて到達されたものであって、本発明によれば下記[I]〜[XII]のタッチパネル用構造材料および静電容量式タッチパネル構造体が提供される。
【0005】
[I](1)透明フィルム(A)の片面に、(a‐1)多数の導電性金属線が
1.0〜3mmの間隔で波形にかつ平行して形成され、(a‐2)各導電性金属線は
幅が2〜8μmであり、(a‐3)各導電性金属線は、隣接する2〜6本が一組の
導電ラインとなって、多数の導電ラインを形成し、(a‐4)各組の導電ラインは、
各組において導電性金属線が互いに電気的に接続するように導電性金属線により
網状化し、その網状化線は、導電性金属線の長さ方向10mmに対して1組当た
り、少なくとも1本であるパターンを形成している電極基板[A]及び透明フィル
ム(B)の片面に、(b‐1)多数の導電性金属線が1.0〜3mmの間隔で
波形にかつ平行して形成され、(b‐2)各導電性金属線は幅が2〜8μmであり、
(b‐3)各導電性金属線は隣接する2〜6本が一組の導電ラインとなって、
多数の導電ラインを形成し、(b‐4)各組の導電ラインは各組において導電性金属
線が互いに電気的に接続するように導電性金属線により網状化し、その網状化線は、
導電性金属線の長さ方向10mmに対し1組当たり、少なくとも1本であるパター
ンを形成している電極基板[B]より構成され、
(2)前記電極基板[A]及び電極基板[B]とは、それぞれの導電性金属線が形成
されている面が向い合い且つそれぞれの導電性金属線の波形にかつ平行する方向が
直交するように、絶縁性の透明接着剤を介して貼り合され、
(3)貼り合された構造材料は、85%以上の開口率を有し、かつ
)前記電極基板[A]及び電極基板[B]における各組における導電ラインは、
それぞれの組の端末から電気的に端子に接続されている、
ことを特徴とするタッチパネル用構造材料。
【0006】
[II]前記導電ラインにおける導電性金属線は、等間隔で波形にかつ平行に形成され
ている前記[I]記載の構造材料。
[III]前記導電性金属線は、厚みが0.1〜5μmである前記[I]記載の構造材料。
[IV]前記導電性金属線は、隣接する3〜5本が一組の導電ラインを形成している前
記[I]記載の構造材料。
【0007】
[V]前記導電性金属線はCu、Ni、AL(アルミ)、Ag、Cr、これら2種以上
よりなる合金またはこれら2種以上の金属の複層で積層された構造で形成されてい
る前記[I]記載の構造材料。
[VI]前記絶縁性の透明接着剤層は、50〜300μmの厚みを有する前記[I]記載
の構造材料。
[VII]前記透明フィルムは、50〜300μmの厚みを有すポリエチレンテレフタレ
―トフィルムである前記[I]記載の構造材料。
[VIII]前記網状化した導電性金属線(網状化線)は、波形でかつ平行した導電性金属
線の方向に対して直角方向に形成されている前記[I]記載の構造材料。
[IX]87〜98%の開口率を有する前記[I]記載の構造材料。
[X]前記[I]記載の構造材料により構成された静電容量式タッチパネル構造体。
[XI]前記[I]記載の構造材料により構成されたタッチパネル構造体を、厚みが
0.5〜4mmのガラス板或いは厚みが0.5〜2mmの透明樹脂シート
で表面保護した構造を有する静電容量式タッチパネル構造体。
【発明の効果】
【0008】
本発明による構造材料は、微細な多数の導電性金属線が一定間隔で波形にかつ平行に透明フィルムの片面の表面に形成され、且つその金属線の数本が一組となって1つの導電ラインを形成している。そのため全体として透明性に優れ、また導電性金属線の一部に破損や断線が発生したとしても、その金属線の複数本によって一つの導電ラインが形成されしかもその複数本が互いに金属線によって網状化されたパターンを有しているので、導電ラインが断線し電気的接続が切断することはない。しかも、導電性金属線が波形でかつ平行に形成されているのでモアレ現象を防止する効果を有している。また透明フィルムの面上に形成された微細な導電性金属線は導電性に優れて、微量の静電容量も感度よく捕捉できるので、静電容量式タッチパネル用の構造材料に適している。特に大型の画面を有する静電容量式タッチパネル用の構造材料に適している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明のタッチパネル用構造材料を構成する電極基板の平面図を模式的に示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のタッチパネル用構造材料を図面により説明する。
図1は、本発明のタッチパネル用構造材料を構成する電極基板の平面図を模式的に示したものである。図1において[A]は電極基板[A]を、[B]は電極基板[B]を示す、後述するように、電極基板[A]と[B]はそれぞれ透明フィルムの片面にほぼ同じパターンの導電性金属線が配置されたものであるが、両基板は全く同じ形態のパターンである必要はない。
【0011】
本発明における電極基板[A]および[B]は、いずれも透明フィルムの片面に多数の導電性金属線が波形にかつ平行に形成されたものである。この透明フィルムとしては、樹脂フィルムであって透明性に優れたものであれば良く、例えば、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリオレフィンフィルムまたはポリシクロオレフィンフィルムなどが例示できるが好ましくはポリエステルフィルムである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたはポリエチレン−2.6−ナフタレート(PEN)フィルムが好ましく、特に好ましいのはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。これら透明フィルムは2軸延伸されたものが好ましく使用され、その厚みは、50〜300μmが適当であり、特に好ましくは80〜250μmである。
【0012】
先ず初めに、電極基板[A]について説明すると、透明フィルム(A)の片面の表面には、多数の導電性金属線が波形にかつ平行に形成されている。すなわち図1において、多数の波形の導電性金属線が図面上横方向に平行して形成されている。多数の導電性金属線は、隣接する2〜6本、好ましくは3〜5本が一緒になって1つの組となり、1つの導電ラインを形成している。図1では3本の導電性金属線が一緒になって1つの導電ラインとなっている。導電ラインである組は、X−1、X−2、X−3、X−4・・・X−nで示されている。
【0013】
多数の導電性金属線は波形にかつ平行に形成されているが、この波形の形状について説明すると、一本の金属線において波形における山と山との間(つまり隣接する2つの頂点と頂点との直線の長さ)は1〜12mm好ましくは2〜10mmが適当である。また波形における山と谷との間(つまり隣接する2つの頂点を結んだ線と、その隣接する2つの底点を結んだ線とから形成される平行線の幅)は、1〜6mm、好ましくは1.5〜5mmが適当である。多数の導電性金属線は波形にかつ平行に形成されているが、波形の中心線はほぼ直線状に形成されていることが望ましい。また“波形にかつ平行に”形成されているとは、各組の導電ラインにおいて、導電性金属線のそれぞれの波形の形状が一致していることを意味する。
【0014】
各組の導電ラインは、それぞれの組において導電性金属線が互いに電気的に接続するように導電性金属線により網状化したパターンを形成している。すなわち、図1では網状化している導電性金属線は、説明上点線で示されている。以下この点線で示されている導電性金属線を“網状化線”と略称することがある。図1の[A]では点線の網状化線は、説明上左右の端部にしか図示されていないが、中間部にも存在している。この網状化線は、図1では平行な多数の金属線の方向に対して、梯子状となるように形成されている。しかしこの網状化線は、平行した波形の金属線の配列方向に対して直角方向であることは好ましいことではあるが、必ずしもその必要はない。或る程度の角度をもって網状化されていてもよい、必要なことは、網状化線は、各々の組(導電性ライン)の中で、その組を形成している金属線が互いに電気的に接続して、1つの導電性ラインとなっていればよく、1つの組と他の組とが電気的に接続していないことが肝要である。つまり、組と組との間には網状化線は存在しない。
【0015】
各組内の網状化線は、導電性金属線が、部分的にまたは局所的に傷付いたり或い
は破断した場合に、各組の導電ラインが電気的な接続を維持するために機能してい
る。網状化線は、導電性金属線の長さ方向10mmに対して1組当たり、1本〜5
本、好ましくは2〜5本であるのが望ましい。
導電性金属線は、幅が2〜8μmであり、その厚みは0.1〜5μm、好ましくは
0.1〜4μmであるのが有利である。
また網状化線の幅および厚みは、前記した導電性金属線と同じ範囲から選択される。
導電性金属線および網状化線は、導電性金属材料が使用され、具体的にはCu、
Ni、AL(アルミ)、Ag、Cr、これら金属の2種以上よりなる合金または
これら金属の複層で積層された構造で形成されたものが挙げられる。これらのうち
好ましくはCu、Agであり、特にCuが加工性及び価格の点で有利である。
【0016】
電気基板[A]は、2〜6本の導電性金属線が1組となって、1つの導電ライン(X−1、X−2、X−3、X−4、・・・X−n)を形成している。各組の導電性金属線の数は同じ本数であることが望ましい。図1では3本の導電性金属線が1組となっている。各組内における導電性金属線の間隔(波形の中心線と中心線の距離)は、1.0〜3mm好ましくは、1.5〜2.5mmであって波形にかつ平行に配置されている。この導電性金属線の間隔は、前記範囲内において等間隔であるのが好ましい。
各組における導電性金属線の数は、同じ本数であることが望ましく、また各組における導電性金属線の間隔も、同じ値であることが望ましい。しかし、組と組との間隔は1.5〜10mm、好ましくは2〜8mmであることが望ましく、組と組との間隔は等間隔であるのが有利である。
【0017】
導電性金属線および網状化線は、透明フィルムの片面にフォトレジスト加工、フォトエッジング加工により形成させることができる。透明フィルムの表面に形成されている導電性金属線は、組内における金属線の間隔および組と組との間隔は、同じ値であること(等間隔であること)が加工の点および利用しコントロールする点において有利である。
以上電極基板[A]について図1により説明したが、電極基板[B]も、図1の[B]に示されているように、導電性金属線の材料、波形の形状、線の幅と厚み、一組における導電性金属線の数と間隔、網状化線の形態と数は電極基板[A]で説明した内容の範囲から選択される。
【0018】
図1では電極基板[B]は、多数の導電性金属線が縦方向に波形にかつ平行に形成され、各組の導電ラインが3本の導電性金属線よりなり、各組がY−1、Y−2、Y−3、Y−4およびY−nとして示されているが、これは後述するように電極基板[A]及び電極基板[B]を貼り合せた場合の状態の理解のためである。
電極基板[B]は、電極基板[A]と同様に独立して導電性金属線および網状化線を透明フィルム面上に配置し形成せしめればよい。
本発明のタッチパネル用構造材料は、前記した電極基板[A]および電極基板[B]がそれぞれの導電性金属線が形成されている面が互いに向か合い且つそれぞれの導電性金属線の平行する方向が直交するように(波形の中心線が直行するように)貼り合わされたものであって、両基板は両方の導電性金属線が直接電気的に接触しないように絶縁性の透明接着剤層を介して貼り合わされている。
【0019】
図1により説明すると、電極基板[A]と電極基板[B]とはZ−Z’で示す一点鎖線を中心に内側に折り曲げて重ねたような状態で貼り合せると、両基板の導電性金属線の平行配列がほぼ直交するようになる。
本発明のタッチパネル用構造材料は、前記したように電極基板[A]および[B]が接着剤層を介して貼り合わされた3層構造を有している。そして両基板における各組における導電ラインの端末から電気的に端子に接続されるが図1には各々の端末から端子への接続ラインは図示されてはいない。各組からそれぞれ電気的に端子を介してコントローラへ接続される。
【0020】
透明接着剤としては、絶縁性であって、透明フィルムを接着しうる接着剤を使用することができる。例えば酢酸ビニル樹脂接着剤、エチレン・酢酸ビニル樹脂接着剤、アクリル樹脂接着剤、合成ゴム接着剤、シリコーン樹脂接着剤などが挙げられる。これらのうちアクリル樹脂接着剤が好ましく、一般にOCA(Optical Clear Adhesive)と称されている接着剤が有利に使用される。
本発明の前記構造材料は、開口率が85%以上、好ましくは87〜98%、特に好ましくは88〜96%であることが有利である。開口率が85%未満になると光線透過率が低くなり望ましくない。ここで開口率とは構造材料の表面の平面図における導電性金属線が形成された領域の実質面積を100とした時、導電性金属線(網状化線も含めて)が占める合計の面積を除く面積の割合を云う。
【0021】
前記したように、本発明の構造体は電極基板[A]/透明接着剤層/電極基板[B]の順序で積層した構造を有しているが、実際に利用するに当っては、この構造体の面をさらにガラス板或いは透明樹脂シートで表面保護した構造体であることが好ましい。
このガラス板としては厚みが0.5〜4mmのものが望ましく、透明樹脂シートとしては厚みが0.5〜2mmのものが適当である。かかる透明樹脂としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィンまたはポリシクロオレフィンが挙げられるが、ポリカーボネートが優れている。
本発明のタッチパネル用構造材料は、静電容量式タッチパネルの部材として適している。特に電極基板[A]と[B]に形成されている導電性金属線は導電性に優れ、微細であっても一部が破損または断線しても網状化されているため一組の導電ラインとして機能が維持されているので大型画像のタッチパネル材料として有利である。
図1