特許第5734851号(P5734851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734851
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】特に焼却炉用の耐火壁
(51)【国際特許分類】
   F23M 5/00 20060101AFI20150528BHJP
   F23G 5/48 20060101ALI20150528BHJP
   F22B 37/10 20060101ALI20150528BHJP
   F23M 5/08 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   F23M5/00 C
   F23M5/00 H
   F23G5/48
   F22B37/10 602B
   F23M5/08 A
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-524155(P2011-524155)
(86)(22)【出願日】2009年8月21日
(65)【公表番号】特表2012-500956(P2012-500956A)
(43)【公表日】2012年1月12日
(86)【国際出願番号】CH2009000276
(87)【国際公開番号】WO2010022522
(87)【国際公開日】20100304
【審査請求日】2012年7月25日
(31)【優先権主張番号】1361/08
(32)【優先日】2008年8月26日
(33)【優先権主張国】CH
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500223671
【氏名又は名称】モケジュス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ケルン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ペチャウアー
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03479993(US,A)
【文献】 特表平10−503006(JP,A)
【文献】 特開昭53−143038(JP,A)
【文献】 特開2001−124321(JP,A)
【文献】 実開平05−034430(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第19816059(DE,A1)
【文献】 特開2000−203952(JP,A)
【文献】 特表2001−523807(JP,A)
【文献】 特開平11−108343(JP,A)
【文献】 特開平10−169940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/00−37/78
F23C 6/04,9/08,13/00,13/08,99/00
F23D 1/00−1/06,17/00−99/00
F23G 5/02,5/033−5/12,5/44−5/48
F23J 7/00
F23K 1/00−3/22
F23L 7/00
F23M 3/00−20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ壁(1,1a)と、
該ボイラ壁の前方に空間を空けて配置され、且つ、相互に横および上下に並んで配置されるとともにそれぞれ少なくとも1つのプレート取付け部材(22)により前記ボイラ壁に固定された複数の耐火性プレート(21)を有する、耐火性および防火性の保護ライニング(2)と、を備え、
前記ボイラ壁(1)と前記保護ライニング(2)との間に中間スペース(3)が設けられた、焼却炉用の耐火壁であって、
前記中間スペース(3)の少なくとも一部に、1〜10mmの粒径を有する粒状充填剤(P)が配置され、
前記粒状充填剤(P)は、所定の活性化温度を超えると前記粒状充填剤(P)を凝集させるように活性化するセラミック又は無機物の結合剤(Pb)で覆われていることを特徴とする耐火壁。
【請求項2】
前記中間スペース(3)は、前記耐火壁の領域に沿った区域(Z1,Z2)に分割され、
少なくとも1つの該区域(Z1)に前記粒状充填剤(P)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の耐火壁。
【請求項3】
異なる粒状充填剤を備えた少なくとも2つの区域(Z1,Z2)が存在することを特徴とする請求項2に記載の耐火壁。
【請求項4】
前記粒状充填剤(P)は、3〜7mmの粒径を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項5】
前記粒状充填剤(P)は、15〜70%の空隙率を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項6】
前記粒状充填剤(P)は、セラミック又は金属の材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項7】
前記中間スペース(3)の隙間幅は5〜20mmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項8】
前記耐火性プレート(21)間に、嵌め込まれた耐火性セラミックシーリングストリップ(23a)と、追加の接着コンパウンド(23b)とによってシールされるプレート結合部(23)が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項9】
前記中間スペース(3)にガスを供給し、前記中間スペース(3)からガスを排出する手段(31,32)を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項10】
ガスを供給する前記手段は、
前記ボイラ壁(1,1a)を貫通し、前記粒状充填剤(P)が流入しないように先端が下方へ傾けられた注入ノズル(31)を備えたことを特徴とする請求項に記載の耐火壁。
【請求項11】
前記注入ノズル(31)は、前記耐火壁の低い部分に配置されるか、又は、前記耐火壁の表面全体に亘って分配されていることを特徴とする請求項10に記載の耐火壁。
【請求項12】
ガスを排出する前記手段は、
前記保護ライニング(2)を貫通し、前記耐火壁の最上部に配置された排気口(32)を備えたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の耐火壁。
【請求項13】
前記ボイラ壁は、ウェブ(12)により連結された管(11)を備えた管壁(1)であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の耐火壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ壁と、該ボイラ壁の前方に空間を空けて配置された耐火性および防火性(fire-tight)の保護ライニングとを備えた、請求項1の前段部に係る耐火壁に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような耐火壁は例えば焼却プラントの火室で使用される。ボイラ壁は、典型的にはウェブを介して連結された管からなる金属の管壁としてしばしば設計される。煙ガス(smoke gas)による腐食から該管壁を保護するために、該管壁の前方に空間を空けて吊り下げられる耐火性および防火性の保護ライニングが設計される。耐火壁は、例えば流動床炉でも使用され、該流動床炉において、ボイラ壁は、程度の差はあるが厚い金属壁で構成される。この場合も、ボイラ壁すなわち金属壁は腐食から保護されるべきである。
【0003】
現在の焼却炉において、ボイラ壁及び保護ライニングは、1000度を超える温度にしばしばさらされ、適切な材料をもってしても、種々の運転条件間の著しい温度差による膨張および収縮を経験する。該温度差は、通常、ボイラ壁に比べて保護ライニングの方が遙かに大きく、このことは、材料を選択し且つ/又は保護ライニングを設計するときに考慮されるべきであり、これにより、保護ライニングは、ボイラ壁に見られる場合よりも大きな膨張および収縮により破壊されることがない。したがって、保護ライニング、すなわち該保護ライニングのプレートは、一般的には、ボイラ壁に強固に固定されず、ボイラ壁に対して平行なある程度の補償的な移動を許容するための遊びが与えられる。
【0004】
保護ライニングに適切な材料を選択することで、あらゆる運転状態で保護ライニングがボイラ壁に適合することが可能になる。スチール製のボイラ壁にとっては、セラミック材料、特に炭化ケイ素(SiC)の保護ライニングが適切であることが分かっているが、SiCの含有量は大きく異なり得る。実際、SiCの含有量が30〜90%であるSiC混合物あるいはSiCタイルが使用される。
【0005】
保護ライニングのプレートは、通常、煙ガスの通路を妨げるために、種々の対策を講じて相互にシールされる。しかしながら、実際には、これによって、腐食性の煙ガスが保護ライニングを越えてボイラ壁を浸食することを完全に防止することはできない。
【0006】
欧州特許第1032790号明細書には、一般的な耐火壁が開示されており、該耐火壁では、保護ライニングのプレートが実矧ぎ構造を有するか、又は、相補的にずらして配置された端部を有し、これにより、温度条件によって前記プレートが相互に対して移動しても、ある程度の水準の緊張が維持され、煙ガスの少なくとも直接的な流れが妨げられる。また、管壁と保護ライニングとの間の空間に流動性のSiCコンクリートが充填され、これにより、前記プレートと管壁との間に更なるシール効果が形成される。他方、この空間に流動性コンクリートを充填することは、保護ライニングのプレートを管壁に直接連結することとなり、熱伝導要件に関する壁システムの柔軟性を悪化させる。さらに、始動または停止が早すぎるなど、焼却炉が誤って使用されると、保護ライニングが、管壁すなわち概してボイラ壁から解放されることになる。
【0007】
独国特許第19816059号明細書により、管壁と、間隔を空けて前方に設置された複数の防火性プレートからなる保護ライニングとを備えた耐火壁が公知となっており、該耐火壁では、管壁と保護ライニングとの間の(満たされていない)中間スペースが、少なくとも1つの閉じた圧力チャンバとして設計され、該圧力チャンバに、加圧された保護ガスが満たされる。該保護ガスの加圧が非常に高くなると、焼却炉からの一切の煙ガスが保護ライニングを通って入り込めなくなる。これにより、比較的効果的な腐食の保護が達成される。しかしながら、保護ガスの分離効果は、保護ライニングと管壁との間の熱伝導を妨げ、これにより、使用法によっては、除去される熱が不十分となり得る。
【0008】
以上の公知の耐火壁システムの欠点に鑑みて、本発明の目的は、保護ライニングとボイラ壁との間に十分な熱伝導を確保するように耐火壁全体を改善しつつ、該熱伝導が目的の方法で量的に且つ局所的に制御され得るようにすることである。
【0009】
この目的は、独立の請求項1に規定されるような本発明に係る耐火壁により解決される。本発明の特に有利な更なる発展および構成は、従属項から得られる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の本質は、特に焼却炉用の、次のような耐火壁である。該耐火壁は、ボイラ壁と、耐火性および防火性の保護ライニングとを備え、該保護ライニングは、前記ボイラ壁の前方に空間を空けて配置され、且つ、相互に横および上下に並んで配置されるとともにそれぞれ少なくとも1つのプレート取付け部材により前記ボイラ壁に固定された複数の耐火性プレートを有する。前記ボイラ壁と前記保護ライニングとの間には中間スペースが設けられる。該中間スペースの少なくとも一部には粒状充填剤が配置される。
【0011】
ボイラ壁と保護ライニングとの間の粒状充填剤は、前記保護ライニングから前記ボイラ壁への熱伝導を大きく改善する。
【0012】
好ましい実施形態によれば、前記粒状充填剤は、前記耐火壁すなわち前記中間スペースの区域に配置される。この場合、個々の区域は、異なる粒状充填剤を有してもよいし、完全に充填されなくてもよい。この粒状充填剤の区域の分配および配置は、材料の適切な選択と同様、前記耐火壁内の熱伝導を目的の方法で制御できるようにしてあり、これにより、運転要件が最適に満足され得る。
【0013】
好ましくは、15〜70%の空隙率を有する粒状充填剤が使用される。このように、本発明に係る耐火壁は、さらに、裏換気型換気システム(a back-ventilated system)として設計されてもよい。
【0014】
以下において、本発明に係る耐火壁は、添付図面を参照する2つの例示的な実施形態により更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1の例示的な実施形態の耐火壁を保護ライニングの方から見た図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3図2を拡大表示した断面図である。
図4図2を拡大表示した断面図である。
図5】耐火壁への空気供給を説明するための図4と同様の詳細図である。
図6】耐火壁からの空気の排出を説明するための概略図である。
図7】空気供給ノズルの配置を示す概略図である。
図8】本発明に係る第2の例示的な実施形態の耐火壁を示す図2と同様の断面図である。
図9】粒状充填剤の粒子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図7に示される本発明に係る第1の例示的な実施形態の耐火壁は、ボイラ壁としての管壁1(図2図5)と、該管壁の前方に空間を空けて配置された保護ライニング2とを備え、管壁1と保護ライニング2との間に中間スペース3が設けられている。管壁1は、実用的用途において多数の垂直管11を備え、これらの垂直管は、ウェブ12により相互に間隔を空けた状態に保持されている。管11及びウェブ12は、通常はスチール製である。保護ライニング2は複数の耐火性プレート21を備え、該耐火性プレートは、相互に横および上下に並んで配置され、例えば端部の相補的な成形により相互に係合し、この態様において、ある程度相互にシールされる。プレート21間の分離結合部は符号23で示されている。前記プレートは、例えば、セラミックSiCプレート、好ましくは、約90%のSiC含有量で生産されたSiC90プレートであり、1000度以上の耐火性を有する。各プレート21は、例えば4つのプレート取付け部材22により管壁1に固定されている。該プレート取付け部材は、例えば、AISI標準によるスチールNo.310またはDIN17440による材料No.1.4845などの耐熱スチールからなる。プレート取付け部材22は、本質的に、ウェブ12に溶接されたスタッドボルト22aと、該スタッドボルトにねじ込まれた2つのナット22b,22cとをそれぞれ備えている(図3図5)。プレート取付け部材22は、プレート21内に垂直に内側へ延びるスロット21aに係合し、管壁からプレート21までの間隔を決定する。保護ライニング2の縦方向において、プレート21は、熱に関係する膨張または収縮の動きを許容するようにある程度移動可能である。管壁に対向するプレート21の側面は、管11に一致するように設計された円筒状の溝を有し、これにより、管壁1と保護ライニング2との間の中間スペース3の間隔(間隙幅)が壁全体に亘っておおよそ一定となっている。実際的な間隙幅は5〜20mmであり、好ましくは5〜10mmである。この点で、前記耐火壁は、本質的に、例えば欧州特許第1032790号明細書に概説されたような最先端技術に一致し、それ故、更に詳細に説明する必要はない。
【0017】
前記最先端技術との第1の大きな違いは、前記ボイラ壁すなわち本実施形態における管壁1と、保護ライニング2との間の中間スペース3に、粒状の充填剤(粒状物)Pが部分的または完全に充填されることにある。該粒状の充填剤Pは、SiCのようなセラミック又は金属の材料からなり、約1〜10mm、好ましくは3〜7mmの粒径と、約15〜70%の空隙率とを有する。粒状充填剤Pを中間スペース3に充填することにより、熱伝導による保護ライニング2からボイラ壁すなわち本実施形態における管壁1への熱伝達が増大する。この増大は、選択される材料と、選択された材料の熱伝導特性とに依存し、広範囲に調整され得る。また、前記の粒状充填剤Pの開放多孔性は、後に更に詳細に説明される裏換気型壁システム(a back-ventilated wall system)を実行することを可能にする。
【0018】
焼却炉の実際の運転において、熱伝導の要件は、燃焼室の温度プロファイル、関連するプロセス工学(the process engineering involved)などの要因により極めて局所的に変わり得る。これらのことは、本発明の更に重要な特徴に従って、耐火壁と、保護ライニング2とボイラ壁すなわち本実施形態における管壁1との間の中間スペース3とが、異なる区域に仕切られ、すなわち分割され、個々の区域には、異なる態様で又は異なる粒状充填剤Pが充填され、あるいは、完全に充填されないという事実により適応され得る。このように、前記保護ライニングから前記管壁への熱伝導は、種々の区域を通して、量的にも局所的にも焼却炉の運転要求に最適に適応し得る。図1図4において、2つの上記のような区域Z1,Z2が例示されている。該区域への分割は、運転要求に従ってなされ、また、言うまでもなく、縦方向にもなされ得る。中間スペース3は、例えば、図3及び図4において概略的に示されるような仕切プレート3aにより空間的に各区域に分割され得る。
【0019】
本発明の特に有益な発展によれば、粒状充填剤Pは、図9に詳細に示されるように、無機物またはセラミックの結合剤の薄い層で囲まれるようにしてもよい。実際の充填剤はコア部Pkを形成し、例えば約100μmの薄い結合剤のコーティングすなわち層が符号Pbで示されている。前記結合剤は、好ましくは、例えば100度以上の高温になって初めて活性化、すなわち、結合し始める材料である。粒状充填剤Pが低温にさらされているのみであれば、前記結合剤は不活性であり、前記粒状充填剤の流動性が維持される。しかしながら、例えば前記プレート21の1つに破損が生じることにより、局所的に活性化温度を超えると、前記結合剤は固着、結合し始め、局所的に前記粒状充填剤を凝集させ、これにより、前記保護ライニングの割れ目から漏れ出すことを防止できる。
【0020】
本発明の更に有益な設計によれば、前記耐火壁は、さらに裏換気型壁システムとして設計される。これが意味するところは、運転中において、保護ライニング2と、ボイラ壁すなわち本実施形態における管壁1との間の中間スペース3を通ってガス、通常は空気が流れることである。前記ガスは、前記粒状充填剤Pの開放多孔性により該充填剤をも通過することができる。前記中間スペースにおける前記ガスすなわち空気は、運転中において約2〜50mbarまで加圧され、約2〜10mbarの炉の燃焼室の圧力を上回る。これにより、腐食性の煙ガスが前記燃焼室から抜け出て前記保護ライニングの非密封領域を通って中間スペース3に入り込んで管壁1を浸食することを防止できる。
【0021】
前記壁の中間スペース3へのガスの供給、及び該中間スペース3からのガスの排出のために、前記壁には注入ノズル31と排気口32とが設けられている。注入ノズル31は、1又は複数の空気供給チャンネル33に接続され、該チャンネルにより供給される(図5)。前記ガスすなわち空気は、前記ボイラ壁の側面から供給され、該側面において、注入ノズル31が、ボイラ壁すなわち本実施形態における管壁1を、該管壁のウェブ12の領域において貫通している(図5)。排気口32は保護ライニング2を貫通し、中間スペース3を通って流れるガスを前記炉のチャンバへ排出する。
【0022】
注入ノズル31は、保護されて設計すなわち配設されている。これが意味するところは、粒状充填剤Pが前記注入ノズル内へ流れ込むことができず、妨害されている状態を形成することである。このことは、例えば前記注入ノズルを下方へ傾けることによりなし得る。排気口32は、同様に、保護されて設計されることが好ましく、これにより、粒状充填剤Pは前記排気口を通って吹き出されることができない。
【0023】
排気口32は、好ましくは、図1及び図6に概略的に示されるように、耐火壁の上縁近傍に配置される。注入ノズル31は、図1及び図7に示されるように、前記壁の足元部分すなわち下縁近傍に配置され得る。しかしながら、注入ノズル31は、前記壁の表面全体に沿って、又は、同じく前記壁の個々の領域に沿って分配されることが好ましい。
【0024】
本発明の更に有益な発展によれば、保護ライニング2のプレート21は二重にシールされる。特に図3及び図4から明らかなように、保護ライニング2のZ字形のプレート結合部23は、嵌め込まれた耐火性セラミックシーリングストリップ(sealing strips)23aと、追加の接着コンパウンド(an additional luting compound)23bとによってシールされる。フェルト状のストリップ23aはある程度の柔軟性を提供するが、完全なシールを提供しない。このシールは、前記追加の接着シーリング剤(the additional luting sealant)23bにより成し遂げられる。
【0025】
冒頭で述べたように、本発明に係る耐火壁のボイラ壁は、管壁に限られるものでなく、通常の金属壁であってもよい。図8は、ボイラ壁が前記のような平らな金属壁1aとして設計された第2の例示的な実施形態を概略的に示している。必要であれば、この例示的な実施形態は、区域において、上述の利点をもたらすために前記粒状物質Pが充填されてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1:管壁(ボイラ壁)、1a:金属壁(ボイラ壁)、2:保護ライニング、3:中間スペース、11:管、12:ウェブ、21:耐火性プレート、22:プレート取付け部材、31:注入ノズル、32:排気口、P:粒状充填剤、Z1,Z2:区域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9