【課題を解決するための手段】
【0004】
現在、驚くべきことに、オーキシンの作用機構を有する特定の6−(多置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート化合物の植物毒性作用は、小麦及び大麦に対し、特定の薬害軽減剤の使用によって改善され得ることが見出された。本発明は、式(I)
【0005】
【化1】
(式中、halは、F、Cl又はBrを表し、Rは、メチル又はエチルを表す)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤並びにその農学的に許容される塩、エステル及びアミド誘導体の有害作用から禾穀類を保護する方法に関し、この方法は、AD67(MON 4660)、ベノキサコール、2−CBSU、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン(BAS 145 138H)、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルキソフェニム、フリラゾール(MON 13900)、グリフォセート、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル−ジエチル、ナフタル酸無水物、オキサベトリニル及びこれらの混合物からなる群から選択される薬害軽減剤、又は薬害を軽減し得る相溶性の除草剤を、小麦及び大麦と接触させるステップ、又は栽培中の範囲に施用するステップを含む。
【0006】
本発明は、式(I)
【0007】
【化2】
(式中、halは、F、Cl又はBrを表し、Rは、メチル又はエチルを表す)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤並びにその農学的に許容される塩、エステル及びアミド誘導体の有害作用から小麦及び大麦を保護するための組成物にも関し、この組成物は、6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤に加えて、AD67(MON 4660)、ベノキサコール、2−CBSU、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン(BAS 145 138H)、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルキソフェニム、フリラゾール(MON 13900)、グリフォセート、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル−ジエチル、ナフタル酸無水物、オキサベトリニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される薬害軽減剤又は薬害を軽減し得る相溶性の除草剤を含む。好ましい組成物において、6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤は、4−アミノ−3−クロロ−6−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−2−ピリジンカルボン酸誘導体又は4−アミノ−3−クロロ−6−(2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニル)−2−ピリジンカルボン酸誘導体である。
【0008】
式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤を含む組成物におけるAD67(MON 4660)などのスピロオキサゾリジン薬害軽減剤の使用は、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL(Galium aparine L);GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL(Lamium purpureum L);LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL(Papaver rhoeas L);PAPRH)などの雑草に対する除草作用を失うことなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL(Triticum aestivum L);TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL(Hordeum vulgare L);HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する保護作用を示すことが驚くべきことに見出されている。
【0009】
ベノキサコール、ジクロルミド、ジシクロノン(BAS 145 138H)、フリラゾール(MON 13900)などのジクロロアセトアミド薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の組合せは、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL;GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)、ハコベ(ステッラリア・メジアL(Stellaria media L);STEME)、クワガタソウ(ウェロニカ・ペルシカL(Veronica persica L);VERPE)などの雑草に対する除草作用を低下させることなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する予期しない薬害軽減作用をもたらした。
【0010】
2−CBSUなどのベンゼンスルホンアミド薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の混合物は、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL;GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェラ・ロエアスL;PAPRH)などの雑草に対する除草作用を失うことなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する薬害軽減作用を示すことも驚くべきことに見出されている。
【0011】
フェンクロラゾール−エチル、メフェンピル−ジエチルなどのフェニルピラゾール薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の混合物は、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL;GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)、クワガタソウ(ウェロニカ・ペルシカL;VERPE)、ロシアアザミ(サルソラ・イベリカL(Salsola iberica L);SASKR)、野生のサンシキスミレ(ウィオラ・トリコロルL(Viola tricolor L);VIOTR)などの雑草に対する除草作用を低下させることなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する薬害軽減作用を示すことも予想外に見出されている。
【0012】
フェンクロリムなどのフェニルピリミジン薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の組合せは、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL;GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)、ソバカズラ(ポリュゴヌム・コンウォルウルスL(Polygonum convolvulus L);POLCO)などの雑草に対する除草作用を失うことなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する薬害軽減作用を示す。
【0013】
フルキソフェニム、オキサベトリニルなどのオキシムクラスの薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の組合せは、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL;GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)、カミツレ(マトリカリア・カモミラL(Matricaria chamomila L);MATCH)、ロシアアザミ(サルソラ・イベリカL;SASKR)などの雑草に対する除草作用を低下させることなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する予期しない薬害軽減作用をもたらした。
【0014】
イソキサジフェン−エチルなどのオキシムエーテル薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の混合物は、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)などの雑草に対する除草作用を低下させることなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)、デュラム小麦(トリチクム・ジュルムL(Triticum durum L);TRZDU)、及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する薬害軽減作用を示すことも驚くべきことに見出されている。
【0015】
ナフタル酸無水物などのナフトピラノン薬害軽減剤及び式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の混合物は、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL;GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)、ホウキグサ(コキア・スコパリアL(Kochia scoparia L);KCHSC)、野生のサンシキスミレ(ウィオラ・トリコロルL;VIOTR)などの雑草に対する除草作用を低下させることなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する予期しない薬害軽減作用を示す。
【0016】
式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤及びダイムロンなどのフェニル尿素除草剤の混合物は、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL;LAMPU)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL;PAPRH)などの雑草に対する除草作用を低下させることなく、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAW)、デュラム小麦(トリチクム・ジュルムL;TRZDU)、及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する驚くべき薬害軽減作用を示すことも予想外に見出されている。
【0017】
式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤及びグリフォセートなどのEPSP(5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェート)合成酵素阻害除草剤の混合物は、小麦(トリチクム・アエスチウムL;TRZAS)及び大麦(ホルデウム・ウルガレL;HORVS)に対する植物毒性に対する予期しない薬害軽減作用を示すことも驚くべきことに見出されている。
【0018】
式Iのピリジンカルボキシレートは、除草活性を有する化合物の1つの新しいクラスである。4−アミノ−3−クロロ−6−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリジン−2−カルボン酸(化合物1)及び4−アミノ−3−クロロ−6−(2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニル)−ピリジン−2−カルボン酸(化合物2)を含めて、いくつかのピリジンカルボキシレート化合物が米国特許第7,314,849号に記載されている。式(I)のピリジンカルボキシレートは、小麦及び大麦における一年生雑草及び広葉雑草を防除するが、商業的な除草剤用量において小麦及び大麦に対しても植物毒性である。
【0019】
AD67(MON 4660)は、4−(ジクロロアセチル)−1−オキサ−4−アザスピロ[4,5]デカンの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル(The Pesticide Manual)、第13版、2003年に記載されている。AD67(MON 4660)は、トウモロコシにおける薬害軽減剤として使用されている。
【0020】
ベノキサコールは、(±)−4−(ジクロロアセチル)−3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−1,4−ベンゾオキサジンの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。ベノキサコールは、トウモロコシにおける薬害軽減剤として使用されている。
【0021】
2−CBSUは、N−(アミノカルボニル)−2−クロロベンゼンスルホンアミドの慣用名である。その薬害軽減活性は、Modern Crop Protection Compounds、2007年に記載されている。2−CBSUは、トウモロコシにおける除草剤による損傷を薬害軽減することが示されている。
【0022】
ダイムロンは、N−(4−メチルフェニル)−N'−(1−メチル−1−フェニルエチル)尿素の慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。ダイムロンは、水稲におけるカヤツリグサ科雑草及び一年生雑草の選択的除草剤として使用されている。
【0023】
ジクロルミドは、N,N−ジアリル−2,2−ジクロロアセトアミドの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。ジクロルミドは、トウモロコシ及びモロコシ類の薬害軽減剤として使用されている。
【0024】
ジシクロノン(BAS 145 138H)は、(RS)−1−ジクロロアセチル−3,3,8a−トリメチルペルヒドロピロロ[1,2]ピリミジン−6−オンの慣用名である。その薬害軽減活性は、Pesticide Biochemistry and Physiology 1992、42巻、128−139頁に記載されている。ジシクロノン(BAS 145 138H)は、トウモロコシの薬害軽減剤として使用されている。
【0025】
フェンクロラゾールは、1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(トリクロロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸の慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。フェンクロラゾールは、小麦、ライ麦及びライ小麦における薬害軽減剤として使用されている。
【0026】
フェンクロリムは、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジンの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。フェンクロリムは、直播の米における薬害軽減剤として使用されている。
【0027】
フルキソフェニムは、1−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン O−(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)オキシムの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。フルキソフェニムは、モロコシ類の薬害軽減剤として使用されている。
【0028】
フリラゾール(MON 13900)は、3−(ジクロロアセチル)−5−(2−フラニル)−2,2−ジメチルオキサゾリジンの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。フリラゾール(MON 13900)は、トウモロコシの薬害軽減剤として使用されている。
【0029】
イソキサジフェン−エチルは、エチル 4,5−ジヒドロ−5,5−ジフェニル−3−イソオキサゾールカルボキシレートの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。イソキサジフェンは、トウモロコシの薬害軽減剤として使用されている。
【0030】
グリフォセートは、N−(ホスホノメチル)グリシンの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。グリフォセートは、広範囲の一年生雑草及び多年生雑草、広葉雑草及びイネ科雑草を防除する。
【0031】
メフェンピルは、1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−メチル−1H−ピラゾール−3,5−ジカルボン酸の慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。メフェンピルは、小麦、ライ麦、ライ小麦及び大麦における薬害軽減剤として使用されている。
【0032】
ナフタル酸無水物は、1H,3H−ナフト[1,8−cd]ピラン−1,3−ジオンの慣用名である。その薬害軽減作用は、農薬マニュアル、第8版、1987年に記載されている。ナフタル酸無水物は、トウモロコシ及びモロコシ類における薬害軽減剤として使用されている。
【0033】
オキサベトリニルは、α−[(1,3−ジオキソラン−2−イル)メトキシイミノ]ベンゼン−アセトニトリルの慣用名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。オキサベトリニルは、モロコシ類における薬害軽減剤として使用されている。