特許第5734866号(P5734866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5734866レール取り付けのための円錐状の頭部を有するねじアンカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734866
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】レール取り付けのための円錐状の頭部を有するねじアンカー
(51)【国際特許分類】
   E01B 9/02 20060101AFI20150528BHJP
   E01B 3/28 20060101ALI20150528BHJP
   E01B 1/00 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   E01B9/02
   E01B3/28
   E01B1/00
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-540103(P2011-540103)
(86)(22)【出願日】2009年12月10日
(65)【公表番号】特表2012-511646(P2012-511646A)
(43)【公表日】2012年5月24日
(86)【国際出願番号】EP2009066825
(87)【国際公開番号】WO2010066837
(87)【国際公開日】20100617
【審査請求日】2012年10月3日
(31)【優先権主張番号】08021460.4
(32)【優先日】2008年12月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508219173
【氏名又は名称】フォスロー−ベルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンフリート ボスターリング
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ フーノルト
(72)【発明者】
【氏名】オイゲン ガルト
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第00865120(GB,A)
【文献】 実公昭49−011779(JP,Y1)
【文献】 実開昭59−051803(JP,U)
【文献】 特開2002−195232(JP,A)
【文献】 特開平09−195203(JP,A)
【文献】 特開平05−240226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 9/02
E01B 1/00
E01B 3/28
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道枕木又は堅固なトラックへのコンクリート取付けのための、及び、締結要素(30)への圧力嵌め連結のためのねじアンカーであって、
前記ねじアンカー(10)の外側に配置された雄ねじ(17)と、
前記ねじアンカー(10)の内側に配置された雌ねじ(18)とを備えるねじアンカーにおいて、
前記ねじアンカー(10)が、長手方向にて互いに隣接した2つの部分(12,14)を含み、
第1の部分(12)が、ほぼ円筒状の外形を有し、
第2の部分(14)が、ほぼ円錐状の外形を有し、
前記第2の部分(14)が、前記第1の部分(12)と、前記締結要素(30)のための入口開口部(26)との間に配置され、且つ、
前記雌ねじ(18)が前記雄ねじよりも小さいピッチを有する台形ねじであることを特徴とするねじアンカー。
【請求項2】
前記雄ねじ(17)が丸ねじであることを特徴とする請求項1に記載のねじアンカー。
【請求項3】
前記第2の部分(14)の円錐状の雄ねじが、所定の領域において、前記ねじアンカー(10)の長手方向に延在する少なくとも1つのリブ(20)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のねじアンカー。
【請求項4】
前記第1の部分(12)の円筒状の外形が、所定の領域において、前記ねじアンカー(10)の長手方向に延在する少なくとも1つのリブ(46)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のねじアンカー。
【請求項5】
ねじ込み締結要素(30)を有するねじアンカーであって、
前記ねじアンカーは請求項1〜4の何れかに記載のねじアンカーの構成を有し、
円錐状の外形を有する前記ねじアンカー(10)の前記第2の部分(14)が、真直な側面(28)を有する円錐状の内形を有し、且つ、前記円錐状の内形が前記締結要素(30)の外側円錐状部(38)にぴったりと接触するような寸法を有することを特徴とするねじアンカー。
【請求項6】
前記締結要素(30)が、前記ねじアンカー(10)の前記雌ねじ(18)にねじ込まれるねじ込みねじ(34)を有し、且つ、前記ねじアンカー(10)の前記雌ねじ(18)が前記第1の部分(12)の少なくとも一部にわたって延在することを特徴とする請求項5に記載のねじアンカー。
【請求項7】
前記締結要素(30)が、前記外側円錐状部(38)が隣接する円筒状領域(32)を有し、且つ、前記締結要素(30)の前記ねじ込みねじ(34)が、円筒状の第1の領域(32)の全体及び前記外側円錐状部(38)の一部にわたって延在することを特徴とする請求項6に記載のねじアンカー。
【請求項8】
前記締結要素(30)がねじであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のねじアンカー。
【請求項9】
前記締結要素(30)がアンカーボルトであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のねじアンカー。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の少なくとも1つのねじアンカーを有する鉄道枕木。
【請求項11】
請求項1から9のいずれかに記載の少なくとも1つのねじアンカーを有する堅固なトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の冒頭に記載されている、堅固なトラック(solid track)又は鉄道枕木へのコンクリート取り付けのための、及び、締結要素への圧力嵌め連結のためのねじアンカーに関する。本発明は、さらに、ねじ込み締結要素を有するこのタイプのねじアンカー、及び、本発明による少なくとも1つのねじアンカーを有する堅固なトラック又は鉄道枕木に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道建設において、堅固なトラック又は鉄道枕木へのコンクリート取り付けのためのねじアンカーが、レールと下部構造物(枕木又は堅固なトラックの形態)とを連結するために用いられる。ここで、レールは枕木ねじにより下部構造物に締結される。ねじアンカーは一般的にプラスチックからつくられ、コンクリート枕木又は堅固なトラックと共に、これらが製造されているときに一体的にキャスティング成形されることができる。プラスチックアンカーを設けるためのさらなる理由は、枕木ねじが、枕木又は堅固なトラックから電気的に絶縁されているべきであることである。
【0003】
従来のねじアンカー/枕木ねじ締結具の欠点は、これらが、しばしば、十分に強い横方向の力をレール締結具から枕木に伝達することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基盤を成す目的は、鉄道枕木又は堅固なトラックへのコンクリート取り付けのための、より強い横方向の力をトラック締結具から鉄道枕木又は堅固なトラックに伝達することができるねじアンカーを提供することにある。この目的は、請求項1に記載されている特徴を有するねじアンカーにより達成される。本発明の好ましい実施形態はその他の請求項に従う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、鉄道枕木又は堅固なトラックへのコンクリート取付けのための、及び、締結要素への圧力嵌め連結のためのねじアンカーは、前記ねじアンカーの外側に配置された雄ねじと、前記ねじアンカーの内部に配置された雌ねじとを備える。前記ねじアンカーは、長手方向にて互いに隣接した2つの部分(すなわち、ほぼ円筒状の外形を有する第1の部分、及び、ほぼ円錐状の外形を有する第2の部分)を含むことを特徴とする。ここで、前記第2の部分は、前記第1の部分と、前記締結要素のための入口開口部との間に配置されている。すなわち、前記ねじアンカーは、円錐状の頭部を前記入口開口部に向って有する。この利点は、円錐の拡がりが増大するに従って、前記アンカーと、前記アンカーを取り囲む鉄道枕木又は堅固なトラックとの接触領域が増大し、一方で、横方向の力を伝達するための有用な断面積も増大することである。このようにして、前記締結要素と前記アンカーとの間の表面圧力が低減されることができる。
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記雌ねじは台形ねじである。台形ねじの利点は、台形ねじにより、大きい力が伝達されることができ、また、アンカーのねじ溝が、個々のねじ溝の溝底が周方向に配置された鋭利でない幾何学的形状を有することである。これとは反対に、例えば、雌ねじの側面が互いに対して鋭角に延在するねじを用いると、ねじ溝の溝底から延在するクラックがねじアンカーの材料内に延びる危険性がある。
【0007】
好ましくは、前記雄ねじは丸ねじであり、これにより、前記締結要素からアンカー上に伝達される力が、アンカーの周囲の鉄道枕木又は堅固なトラックの材料に良好に伝達されることができる。
【0008】
好ましい実施形態によれば、前記第2の部分の前記円錐状の外形は、所定の領域において、前記ねじアンカーの長手方向に延在する少なくとも1つのリブを有する。ここで、全てのリブが、ぴったりとした嵌合をもたらす要素として機能し、また、コンクリート枕木又は堅固なトラックに対するねじアンカーの不都合な回転を防止するのを補助する。そしてこれは、前記ねじアンカーの機能の確実性に寄与し、さらに、前記ねじアンカーから前記コンクリート枕木又は堅固なトラック内に伝達されることができる半径方向の力を増大させる。同じ理由により、前記第1の部分の円筒状の外形も、所定の領域にて、前記ねじアンカーの長手方向に延在する少なくとも1つのリブを有することができる。
【0009】
ねじ込み締結要素を有する前記ねじアンカーは、前記円錐状の外形を有する前記第2の部分が、真直な側面を有する円錐状の内形を有し、且つ、前記円錐状の内形が、前記締結要素の外側円錐状部とぴったりと接触するような寸法を有することを特徴とする。前記円錐状面を寸法及び角度に関して互いに合致させることが、前記締結要素の外側の円錐状部と前記アンカーの前記円錐状の内形との可能な限り最大の面積にわたる接触の達成を補助に役立つ。この手段は、前記可能な限り最大の面積にわたる接触により、可能な限り最大の力を前記締結要素から前記アンカーを介して前記鉄道枕木又は堅固なトラック内に伝達することを可能にするためにも用いられる。
【0010】
好ましくは、前記締結要素は、前記ねじアンカーの前記雌ねじにねじ込まれるねじ込みねじを有し、前記ねじアンカーの前記雌ねじは、前記第1の部分の少なくとも一部にわたって延在する。このようにして、前記アンカー内で前記締結要素を締結するためのねじの組合せが、前記第1の部分の少なくとも一部に配置され、一方、ねじアンカーの残りの部分においては雌ねじが存在せずに、前記締結要素と前記アンカーとの可能な限り最大の面積にわたる連結が形成される。前記締結要素と前記ねじアンカーとのねじ連結の面積が小さくなるほど、前記締結要素と前記ねじアンカーとの間の軸方向における達成可能な引き出し力が小さくなる。しかし、一方で、残りの領域においては、可能な限り最大の面積での接触を、強い横方向の力を超えるように生じることができる。
【0011】
前記締結要素は、好ましくは、前記外側円錐状部が隣接する円筒状部分を有する。前記締結要素の前記ねじ込みねじが、前記円筒状部分の全体及び前記外側円錐状部の一部にわたって延在するため、前記締結要素と前記ねじアンカーとの間の非常に強い引き出し力が実現される。
【0012】
好ましくは、前記締結要素はねじ又はアンカーボルトであり、これらのねじ又はアンカーボルトは、前記トラックの上部構造のさらなる部品と、鉄道レールのための締結ポイントを鉄道枕木又は堅固なトラック上に構築するように直接に相互作用する。
【0013】
以下に、本発明を、添付図面を用いて単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるねじアンカーの外面概略図である。
図2図1に示したアンカーの断面図である。
図3】対応する締結要素の例示的な実施形態である。
図4図1及び図2によるねじアンカーの断面図である。図3に従い、ねじ込み締結要素が若干変更されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に記載する複数の図において、同一の要素はそれぞれ同一の参照番号により特定される。図1及び図2に示したねじアンカー10は、プラスチック材料、好ましくはポリアミドからつくられ、複数の部分、すなわち、第1の円筒状部分12と第2の円錐状部分14とに分けることができる。本文中、用語「円筒状部分」は、アンカーの外周が真直な円筒状体により包囲されることができるという意味に理解されるべきである。従って、第2の円錐状部分14は、ほぼ真直な側面を有する円錐台状部により実質的に包囲されることができる。
【0016】
第1の部分12及び第2の部分14の領域の両方に、丸ねじ山として構成された多数のねじ山16が存在する。さらに、図2に見られるように、ねじアンカー10の内部に雌ねじが18が設けられている。雌ねじ18のねじ形状及びねじピッチは、雄ねじ(外側のねじ)のねじ形状及びねじピッチとは異なる。図1及び図2に示されている実施形態において、雌ねじは台形ねじの形態であり、用語「台形ねじ」は、原則として慣用の台形ねじの形態を示すが、正確な形状寸法を基準に従って特定するためのものではない。雌ねじ18のピッチが雄ねじのねじ山16と比較してより小さいことは明らかであり、従って、ねじアンカーと、対応する締結要素30との接触領域がより大きくなり、これにより、締結要素とねじアンカーとの間に、強い軸方向の引き出し力が生じる。
【0017】
第2の部分14の外周上に、ねじアンカー10の長手方向に延在する多数のリブ20が設けられており、これらのリブは、アンカー10の上端面22に隣接しているフランジ領域24に直接隣接している。図2の断面図から分かるように、本発明の例示的な実施形態において、リブ20は、ほぼ矩形の棒形状であり、また、フランジ領域24と同様に、ねじアンカー10の材料と一体的に形成される。
【0018】
図2に見られるように、ねじアンカーの入口開口部26に隣接した第2の部分14は、雌ねじ18の開始部までの真直な側面28を有する。この側面の全体が、対応して形成された締結要素の外側円錐状部と接触することができる。
【0019】
図3は、本発明によるアンカーと共に用いられる締結要素30の例示的な実施形態を示す。この実施形態において、締結要素はねじであり、このねじは、アンカーの雌ねじに対応するねじ山34が設けられた第1の領域32と、第1の領域32に直接隣接した第2の領域36とを有する。第2の領域36にも、第1の領域32に続く所定の領域にねじ山34が設けられている。第2の領域36は、第1の領域32からの距離が増大するに従って円錐状に広がり、且つ、アンカーの内部円錐状部及び側面28に適合された平らな側方領域38及び円錐角を有する。締結領域40が第1の領域32及び第2の領域36に隣接しており、締結領域40は、トラックの上部構造にて用いられ、且つ、トラックの上部構造の特定の要求条件に適合されている。また、締結領域40には、図3に示されている実施形態において、さらに雄ねじ42が設けられている。
【0020】
ねじアンカー10及び締結要素40を含む構造ユニットが図4に示されている。図4に見られるように、締結要素40の円錐状領域の平らな側方領域38の全面が、アンカーの第2の部分の側面28に支持されている。この例示的な実施形態において、締結要素30の第1の領域は、底部にて閉じるように設計されたねじアンカーの下端に延在していない。さらに、このねじアンカーの外部の形状寸法は、図1及び図2に示した実施形態の形状寸法と異なる。この違いは、図1及び図2の実施形態による円錐状の先端と比較したとき、ねじアンカーの下方突出部44に見られる。
【0021】
さらに、図4に示された実施形態によるねじアンカーは、ねじアンカーの第1の部分の領域に追加のリブ46を有する。このリブも、ねじアンカーが、アンカーの周囲の鉄道枕木又は堅固なトラックのコンクリート材料に対して回転することを防止する機能を有する。
【0022】
以上に示した実施形態の全てにおいて、ねじアンカー10に円錐状の頭部を設けることが共通であり、従って、対応する形状の締結要素との相互作用において、ベアリング応力の増大を達成することができ、また、このようにして増大された横方向の力を、レール締結部からアンカーを介して鉄道枕木又は堅固なトラックに伝達することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 ねじアンカー
12 円筒状部分
14 円錐状部分
16 ねじ山
17 雄ねじ
18 雌ねじ
20 リブ
22 アンカーの上端面
24 フランジ領域
26 入口開口部
28 側面
30 締結要素
32 第1の領域
34 ねじ込みねじ
36 第2の領域
38 外側円錐状部
40 締結領域
42 雄ねじ
44 ねじアンカーの下方突出部
46 追加のリブ
図1
図2
図3
図4