(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734912
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】パイプ式パンチ
(51)【国際特許分類】
B26F 1/32 20060101AFI20150528BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
B26F1/32 V
B26D7/18 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-105181(P2012-105181)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-230540(P2013-230540A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005854
【氏名又は名称】株式会社ニューコン工業
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昭義
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小泉 圭太郎
【審査官】
馬場 進吾
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−081097(JP,U)
【文献】
特開2000−117697(JP,A)
【文献】
実開昭57−081098(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/32
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状穿孔刃を下降させて、基台に嵌めた刃受けマット上で紙に孔を開けると共に、その抜きカスを機器本体に設けた抜きカス容器内に集めるようにしたパイプ式パンチであって、基台における刃受けマットの周囲に、穿孔時に基台上に落下するカスを集めるための落下カス集積部を設けており、その落下カス集積部は、基台から取り外し可能で、かつ、刃受けマットを中心に収容する環状の落下カス集積皿であることを特徴とするパイプ式パンチ。
【請求項2】
請求項1記載のパイプ式パンチにおいて、
基台上面には、刃受けマットおよび落下カス集積皿が装着されるように落下カス集積皿の外形に沿った装着スペース用開口部以外に、さらに、その装着スペース用開口部の外側に落下カス集積皿を着脱する際に指等が入り落下カス集積皿の着脱を補助するための着脱補助用開口部が設けられていることを特徴とするパイプ式パンチ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のパイプ式パンチにおいて、
基台上面には、穿孔すべき紙の先端が当接する紙止め部が起立して設けられており、その紙止め部には、当該紙止め部から突出する落下カス集積皿の先端部を露出させるための起立開口部が設けられていることを特徴とするパイプ式パンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ状穿孔刃を下降させて、基台に嵌めた刃受けマット上で紙に孔を開けると共に、その抜きカスを機器本体に設けた抜きカス容器内に集めるようにしたパイプ式パンチに関する。
【背景技術】
【0002】
パイプ状穿孔刃を下降させて紙に孔を開けるパイプ式パンチでは、パイプ状穿孔刃の中を抜きカスが通って上昇するため、穿孔刃を昇降させる機器本体側に抜きカス回収箱を設けている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−190794号公報
【特許文献2】特開2000−117697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機器本体側にパイプ状穿孔刃の中を通った抜きカスを回収する抜きカス回収箱を設けたとしても、基台側に丸い抜きカスが落下する場合もあり、パイプ式パンチやそのパイプ式パンチを置いているテーブルや台の周りに飛散する場合があり、美観を損ねるという問題があった。
【0005】
特に、穿孔する紙の枚数が少ない場合には、抜きカスがパイプ状穿孔刃の中を上昇しきれずに、基台の上に落下して飛散し、美観を損ねることが多々あった。
【0006】
また、紙の穿孔時には、丸い抜きカス以外にも、糸状や粉状等の切りカス等も発生しており、このような切りカスも基台の上に落下して飛散し、美観を損ねていた。
【0007】
そこで、本発明は、穿孔時に、丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスが発生して基台の上に落下しても、飛散しないようにしたパイプ式パンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明のパイプ式パンチは、パイプ状穿孔刃を下降させて、基台に嵌めた刃受けマット上で紙に孔を開けると共に、その抜きカスを機器本体に設けた抜きカス容器内に集めるようにしたパイプ式パンチであって、基台における刃受けマットの周囲に、穿孔時に基台上に落下するカスを集めるための落下カス集積部を設け
ており、その落下カス集積部は、基台から取り外し可能で、かつ、刃受けマットを中心に収容する環状の落下カス集積皿であることを特徴とする。
ここ
で、基台上面には、刃受けマットおよび落下カス集積皿が装着されるように落下カス集積皿の外形に沿った装着スペース用開口部以外に、さらに、その装着スペース用開口部の外側に落下カス集積皿を着脱する際に指等が入り落下カス集積皿の着脱を補助するための着脱補助用開口部が設けられているようにすると良い。
また、基台上面には、穿孔すべき紙の先端が当接する紙止め部が起立して設けられてお
り、その紙止め部には、当該紙止め部から突出する落下カス集積皿の先端部を露出させる
ための起立開口部が設けられているとさらに良
い。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパイプ式パンチでは、基台における刃受けマットの周囲に穿孔時に発生する切りカスを集める落下カス集積部を設けたため、穿孔時に、丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスが発生して基台の上に落下しても、飛散せずに集めることができる。
また、その落下カス集積部は、基台から取り外し可能で、かつ、刃受けマットを中心に収容する環状の落下カス集積皿であるため、落下カス集積部に丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスが溜まった場合には、基台から取外して溜まったカスを捨てることが可能となる。その結果、重量のあるパイプ式パンチを持ち運ばずにカスを捨てることが可能となり、力の弱い女性や高齢者にとって使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態のパイプ式パンチの一部切欠正面図である。
【
図2】実施形態のパイプ式パンチの一部切欠側面図である。
【
図3】実施形態のパイプ式パンチの一部切欠平面図である。
【
図4】実施形態のパイプ式パンチの一部切欠側面要部拡大図である。
【
図5】(a),(b)それぞれ、落下カス集積皿を装着する前後の基台の構成を示す斜視図である。
【
図6】(a),(b)それぞれ、テーブル部の平面図、側面図である。
【
図8】(a),(b)それぞれ、刃受け台と刃受けマット等との関係を示す平面図、側面図である。
【
図9】一方の落下カス集積皿を取外した状態を示す一部切欠平面図である。
【
図10】(a)〜(d)それぞれ、落下カス集積溝を設けたテーブル部の一例を示す平面図、一部切欠正面図、一部切欠左側面図、一部切欠右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るパイプ式パンチ1の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態のパイプ式パンチ1は、
図1〜
図4に示すように、機器本体11と、穿孔する紙2を受ける基台12とから構成されている。
【0013】
機器本体11は、機器本体11に着脱可能に取り付けられた抜きカス容器11bと、モータ(図示せず。)等の回転力によりパイプ状穿孔刃11aを昇降させる昇降ユニット11cと、本体側ベース11dとを有している。なお、基台12は、機器本体11の本体側ベース11dに取り付けられている。
【0014】
パイプ状穿孔刃11aは、中空であり、紙2を穿孔した際の丸い抜きカスをパイプ状穿孔刃11aの中を通して、抜きカス容器11bに落下させて紙2を穿孔した際の抜きカスを集積するように構成されている。ここで、抜きカス容器11bは、パイプ状穿孔刃11aと共に昇降する昇降ユニット11cに着脱可能に取り付けられて、パイプ状穿孔刃11aや昇降ユニット11cと共に昇降するように構成しても良いし、昇降ユニット11c以外の機器本体11に着脱可能に取り付けられ、昇降しないように構成しても良い。
【0015】
基台12は、穿孔する紙2を受ける台で、
図5等に示すように、刃受けマット12aが着脱可能かつ回転可能に取り付けられると共に、落下カス集積皿12dが載置される刃受け台12bと、その刃受け台12bの上に設けられるテーブル部12cとから構成される。
【0016】
ここで、刃受けマット12aは、穿孔時に下降する昇降ユニット11cの先端が当接するもので、合成樹脂製などで構成される。また、パイプ状穿孔刃11aが何度も当接すると、パイプ状穿孔刃11aの先端により深い切り溝が形成されるので、平らな部分が当るように使用者が刃受けマット12aを適宜回転させて使用する。そのため、この刃受けマット12aは、基台12の上面とほぼ面一の上面を有する円形の当接部12a1と、着脱可能に中空の回転軸12a2とを有しており、パイプ状穿孔刃11aが円形の当接部12a1の回転中心からズレた位置に当接するように刃受け台12bに取り付けられる。
【0017】
また、落下カス集積皿12dは、
図7に示すように、基台12から取り外し可能で、かつ、刃受けマット12aを中心に収容する環状に構成されており、刃受けマット12aの外周とほぼ同一かわずかに大きい内周を有する円形の内周壁12d1と、円環状の底壁12d2と、外周壁12d3とを有している。そのため、落下カス集積皿12dは、
図1〜
図5や
図9等に示すように、刃受けマット12aの外側にほぼ隙間なく、しかも着脱可能な状態で刃受け台12bの上に設置される。
【0018】
テーブル部12cは、
図5や
図6等に示すように、鋼板を曲げて構成されており、本体側ベース11dへの装着側に紙2の先端が当接する紙止め部12c3が起立されて構成されており、その紙止め部12c3に近接して刃受けマット12aおよび落下カス集積皿12dの上面がほぼ面一に露出するように、落下カス集積皿12dの外周に合わせたマット・皿装着用開口部12c1が設けられている。
【0019】
ここで、
図3〜
図5や
図9等に示すように、刃受けマット12aは、紙止め部12c3にまで達しないものの、刃受けマット12aの外側に設けられる落下カス集積皿12dは、紙止め部12c3に達する大きさとしている。
【0020】
そのため、マット・皿装着用開口部12c1は、
図6に示すように、紙止め部12c3側が直線になるもののそれ以外は落下カス集積皿12dの外周に応じたほぼ円形の装着スペース用開口部12c11と、装着スペース用開口部12c11の外側に刃受けマット12aや落下カス集積皿12dの半径よりも小さい半径で設けられ、落下カス集積皿12dを着脱する際に指等が入り落下カス集積皿12dの着脱を補助するための着脱補助用開口部12c12と、紙止め部12c3から本体側ベース11d側に突出する落下カス集積皿12dの先端部を露出させるための起立開口部12c13とから構成される。なお、テーブル部12cには、穿孔すべき紙2の中心が基台12の中心に来るように中心を合わせるため連動してスライドするゲージ12e,12eを露出させるためのゲージ用開口部12c2も設けられている。
【0021】
従って、本実施形態のパイプ式パンチ1によれば、機器本体11に着脱可能に取り付けられた抜きカス容器11b以外に、基台12における刃受けマット12aの周囲に落下する丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスを集める落下カス集積皿12dを設けたため、穿孔時に、丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスが発生して基台12の上に落下しても、飛散せずに集めることができる。その結果、パイプ式パンチ1の基台12の上や、パイプ式パンチ1が置かれたテーブルの上の美観が向上する。
【0022】
特に、本実施形態のパイプ式パンチ1では、落下カス集積皿12dは、基台12から着脱可能に構成したため、落下カス集積皿12dに丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスが溜まった場合には、
図9に示すように、落下カス集積皿12dを基台12から取外して溜まったカスを捨てることが可能となる。その結果、重量のあるパイプ式パンチ1を持ち運ばずにカスを捨てることが可能となり、力の弱い女性や高齢者にとって使い勝手が向上する。
【0023】
また、本実施形態のパイプ式パンチ1では、基台12から落下カス集積皿12dを取外した場合、
図5(a)や
図9に示すように、マット・皿装着用開口部12c1の内周縁と、刃受けマット12aとの間には、落下カス集積皿12dの幅だけ、隙間が空くため、刃受けマット12aの回転や交換等を行い易くなる。そのため、刃受けマット12aのメンテナンス性が向上する。
【0024】
また、本実施形態のパイプ式パンチ1では、
図3や
図5、
図6、
図9に示すように、テーブル部12cには、落下カス集積皿12dの外周に応じたほぼ円形の装着スペース用開口部12c11の外側に着脱補助用開口部12c12が設けられているので、基台12に刃受けマット12aおよび落下カス集積皿12dを装着しても、落下カス集積皿12dを着脱し易くなり、この点でも使用勝手が向上する。特に、その着脱補助用開口部12c12は、刃受けマット12aおよび落下カス集積皿12dの半径よりも小さい半径であるため、着脱補助用開口部12c12に誤って刃受けマット12aや落下カス集積皿12dを装着するということも確実に防止できる。ただし、本発明では、着脱補助用開口部12c12を設けることは任意であり、省略することもできるが、設けた方が望ましい。
【0025】
また、マット・皿装着用開口部12c1には、装着スペース用開口部12c11と、着脱補助用開口部12c12以外に、さらに、
図4〜
図6等に示すように、紙止め部12c3から本体側ベース11d側に突出する落下カス集積皿12dの先端部を露出させるための起立開口部12c13が設けられているため、紙止め部12c3近辺に落下した抜きカスや切りカス等も基台12上に飛散させずに効率良く落下カス集積皿12dで回収することができる。その結果、パイプ式パンチ1が置かれたテーブル周りの美観性がさらに向上する。ただし、本発明では、紙止め部12c3に起立開口部12c13を設けることは任意であり、省略することもできるが、省略した場合には、落下カス集積皿12dの形状を変更したり、さらには落下カス集積皿12dの先端を避けるように紙止め部12c3を部分的に凹ませる等、紙止め部12c3の形状を変更する必要がある。
【0026】
なお、本実施形態のパイプ式パンチ1では、機器本体11に着脱可能に取り付けられた抜きカス容器11b以外に、基台12から着脱可能な落下カス集積皿12dを設けて説明したが、本発明では、刃受けマット12aの周囲に落下した丸い抜きカスや糸状または粉状の切りカス等のカスを集積できれば十分であるので、着脱可能な落下カス集積皿12dを設けずに、例えば、
図10(a)〜(d)に示すように、基台12のテーブル部12cに刃受けマット12aを収容してその当接部12a1を露出させるマット装着用開口部12c1’を設けると共に、そのマット装着用開口部12c1’の周囲に、例えば、テーブル部12c自体をU字状などに窪ませた(凹ませた)落下カス集積溝12d’を設けることもできる。また、この場合、可能であればテーブル部12cまたは基台12は、機器本体11に対し着脱可能に取り付けられていると良い。このようにすると、落下カス集積溝12d’に溜まったカスを捨てる際に、機器本体11から基台12またはテーブル部12cのみを取外してゴミ箱等に運べば済むので、パイプ式パンチ1全体をゴミ箱等に運ぶ必要がなくなり、便利である。
【0027】
また、本実施形態のパイプ式パンチ1では、落下カス集積皿12dの着脱時の利便性を考慮して、マット・皿装着用開口部12c1に、装着スペース用開口部12c11以外に着脱補助用開口部12c12を設けて説明したが、落下カス集積皿12dの外周壁12d3の上端部の外側に、着脱補助用開口部12c12側に突出し、かつ、テーブル部12cの上面と面一となるツマミ部(図示せず。)を設けるようにしても良い。このようにすると、さらに、落下カス集積皿12dを着脱し易くなる。
【0028】
また、上記実施形態のパイプ式パンチ1では、モータ(図示せず。)等の回転力によりパイプ状穿孔刃11aを昇降させる電動式のパイプ式パンチ1を一例に説明したが、本発明では、これに限らず、パイプ状穿孔刃11aによって紙2を穿孔する限りは、ユーザがハンドルを手で押す手動式のパイプ式パンチ等に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 パイプ式パンチ
11 機器本体
11a パイプ状穿孔刃
11b 抜きカス容器
11c 昇降ユニット
11d 本体側ベース
12 基台
12a 刃受けマット
12b 刃受け台
12c テーブル部
12c1 マット・皿装着用開口部
12c1’ マット装着用開口部
12c11 装着スペース用開口部
12c12 着脱補助用開口部
12c13 起立開口部
12c2 ゲージ用開口部
12d 落下カス集積皿(落下カス集積部)
12d’ 落下カス集積溝(落下カス集積部)
12e ゲージ
2 紙