特許第5734954号(P5734954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734954
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】硬化可能な接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20150528BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20150528BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20150528BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C09J4/02
   C09J175/14
   C09J163/00
   C09J11/06
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-504918(P2012-504918)
(86)(22)【出願日】2010年4月12日
(65)【公表番号】特表2012-523485(P2012-523485A)
(43)【公表日】2012年10月4日
(86)【国際出願番号】US2010030742
(87)【国際公開番号】WO2010118421
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2013年3月19日
(31)【優先権主張番号】61/168,401
(32)【優先日】2009年4月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/229,031
(32)【優先日】2009年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/234,536
(32)【優先日】2009年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤシン・ターシャニ
(72)【発明者】
【氏名】オマー・モハメド・ブアッザ
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−067970(JP,A)
【文献】 特開2003−034776(JP,A)
【文献】 特表2003−535921(JP,A)
【文献】 特開2004−210617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化前に25℃で少なくとも1.56の屈折率を有し、硬化前に25℃で少なくとも15000cPの粘度を有する、少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分、および
光開始剤
を含み、硬化後に1.50より大きい屈折率を有し、
前記高屈折率-高粘度成分が、
芳香族ウレタンアクリレート;
トリブロモフェニルアクリレート; および
9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレン
を含む、硬化可能な接着剤組成物。
【請求項2】
前記芳香族ウレタンアクリレートが臭素化芳香族ウレタンアクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのビニル樹脂をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの硫黄成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記硫黄成分が、
1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン;
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート);
2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド;
ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート);
2,2’-チオジエタンチオール;
トリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3プロパンチオールスルフィド;
2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン;
4,5-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチオレーン;
4,6-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン;
1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン;
2,3-エピスルフィドプロパニルジスルフィド; および
2,3-エピスルフィドプロパニルスルフィド
からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのアクリル成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記アクリル成分が、
ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート;
ウレタンアクリレート;
脂肪族ウレタンアクリレート;
アクリルオリゴマー;
2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート;
2-フェノキシエチルアクリレート;
エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート;
エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート;
イソボルニルアクリレート;
グリシジルメタクリレート;
1,6-ヘキサンジオールジアクリレート;
アルコキシ化フェノールアクリレート;
アルコキシ化フェノールジアクリレート;
2-ヒドロキシエチルアクリレート;
フェニルチオエチルアクリレート;
アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート;
エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート;
テトラヒドロフルフリルアクリレート;
テトラヒドロフルフリルメタクリレート; および
ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート
からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ウレタンアクリレートを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ビスフェノールAをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのナフタレン成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのエポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記光開始剤が、
ラジカル光開始剤、
カチオン性光開始剤、および
アニオン性光開始剤
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記光開始剤が、共触媒、ホスフィン、およびアミンからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
紫外放射線で硬化可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
硬化後に1.60から1.74の屈折率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
硬化後に1.55から1.60の屈折率を有する、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第61/168401号(2009年4月10日出願)、第61/229031号(2009年7月28日出願)、および第61/234536号(2009年8月17日出願)の優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、硬化可能な積層用接着剤に関する。より詳しくは、本発明は、1つ以上の基材の屈折率に適合する屈折率を有するUV硬化可能な接着剤組成物を対象とする。
【背景技術】
【0003】
接着剤は、長年様々な産業において広く使用されており、数多くの接着剤が商業的に利用可能である。しかし、特定の要求に適合する好適な商業的に利用可能な接着剤を見つけることが、常に可能であるわけではない。いくつかの場合において、好適な接着剤は、特定の仕様に合わせて設計され得、ポリマー加工技術において新しく進化した、新規なモノマー、添加剤、硬化剤の利用可能性を活用することができる。
【0004】
硬化可能な接着剤はよく知られている。これらには、一般的に放射線で硬化可能な接着剤、同様に特に紫外光または可視光で硬化可能なものが含まれる。残念なことに、知られている硬化可能な接着剤は、数多くの欠点に悩まされ得る。例えば、多くの接着剤は、不十分な接着性、および/または意図した基材の屈折率に適合しない不適切な屈折率に悩まされる。多くの接着剤は1.60未満の屈折率(RI)を有しており、これは1.67以上のRIを有するプラスチック材料から製造されるレンズ(例えば電気活性レンズまたは複合レンズ)には適さない。高RIを有するいくつかの接着剤組成物が存在するが、これらは弱い接着性、適さない粘度、または短いバッチ寿命(batch life)に悩まされる。いくつかの接着剤は、硬化中に蒸発されなければならない溶媒の使用を必要とし、したがって1つ以上の電子活性組立て加工に適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/168401号
【特許文献2】米国仮特許出願第61/229031号
【特許文献3】米国仮特許出願第61/234536号
【特許文献4】米国特許出願第2009/0256977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、高RIを示し、好ましくは改善された接着性および粘度を示す、硬化可能な接着剤、特にUV硬化可能な接着剤への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、高屈折率、許容可能な粘度、および/または許容可能な接着性を示す硬化可能な接着剤組成物を提供する。別の実施形態において、2つの基材の間に配置された接着剤組成物を含む素子を提供する。
【0008】
一実施形態において、硬化可能な接着剤組成物は、硬化前に25℃で少なくとも1.56の屈折率を有し、硬化前に25℃で少なくとも15000cPの粘度を有する、少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分と、光開始剤とを含む。接着剤組成物は、硬化後に1.50より大きい屈折率を有する。一態様において、接着剤組成物は、紫外放射線で硬化可能である。
【0009】
高屈折率-高粘度成分は、芳香族ウレタンアクリレート(例えば臭素化芳香族ウレタンアクリレート)、トリブロモフェニルアクリレート、または9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレンであってもよい。
【0010】
光開始剤は、ラジカル光開始剤、カチオン性光開始剤、またはアニオン性光開始剤を含んでもよい。
【0011】
ラジカル光開始剤は、これに限定されないが、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、トキサントン(thoxanthone)、キサンテン、ベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、および2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(-モルホリノフェニル)-1-ブタノンの群から選択されてもよい。好ましくは、ラジカル光開始剤は、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、または2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンのうちの少なくとも1つである。
【0012】
カチオン性光開始剤は、これに限定されないが、トリアリールスルホニウム塩ヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-ジフェニルスルホニオ)-フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、ジ(アルキルフェニル)ヨードニウム塩、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、および鉄-アレーン錯体の群から選択されてもよい。
【0013】
アニオン性光開始剤は、これに限定されないが、O-ニトロベンジル誘導体、金属アミン錯体、(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体、および(シクロペンタジエニル)オスミウム錯体の群から選択されてもよい。
【0014】
別の実施形態において、光開始剤は、少なくとも1つの添加剤、例えば共触媒、ホスフィン、および/またはアミンを含む。添加剤は、ホスホニウム塩、テラアルキルホスホニウムブロミド、テラアルキルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスフィン、トリメトキシフェニルホスフィン、トリクロロフェニルホスフィン、第一級アルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミンであり得る。
【0015】
一実施形態において、組成物は、少なくとも1つのビニル樹脂(例えばNTT #6205)を含む。
【0016】
別の実施形態において、組成物は、これに限定されないが、2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、2,2’-チオジエタンチオール、トリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、4,5-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチオレーン、4,6-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,3-エピスルフィドプロパニルジスルフィド、および2,3-エピスルフィドプロパニルスルフィドを含む少なくとも1つの硫黄成分を含む。
【0017】
別の実施形態において、組成物は、これに限定されないが、ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、アルコキシ化フェノールジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびポリエチレングリコール(200)ジアクリレートを含む少なくとも1つのアクリル成分を含む。一実施形態において、組成物は、ウレタンアクリレートを含む。
【0018】
別の実施形態において、組成物は、これに限定されないが、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレート、ジアリルエーテルビスフェノールA、およびオルトジアリルビスフェノールAを含むビスフェノールAを含む。
【0019】
別の実施形態において、組成物は、これに限定されないが、1-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、および1-ナフトアルデヒドを含む少なくとも1つのナフタレン成分を含む。
【0020】
別の実施形態において、組成物は、これに限定されないが、ポリ[(フェニルジグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]オリゴマーのエポキシドおよびエポキシアクリレートを含む少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む。
【0021】
一実施形態において、接着剤組成物は、硬化後に約1.60から約1.74の屈折率を有する。これらの組成物は、約0.01質量%から約5質量%の少なくとも1つの光開始剤と、約1質量%から約70質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、および9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレンからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分とを含むことができる。光開始剤は、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、トリアリールスルホニウム塩ヘキサフルオロアンチモネート、およびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートのうちの1つ以上を含んでもよい。接着剤組成物は、約10質量%から約95質量%の少なくとも1つのビニル樹脂を含んでもよい。
【0022】
これらの接着剤組成物は、約2質量%から約50質量%の、ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、イソボルニルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、およびエトキシ化トリブロモフェニルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分を含んでもよい。
【0023】
これらの接着剤組成物は、これに限定されないが、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、2,2’-チオジエタンチオール、トリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、4,5-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチオレーン、4,6-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,3-エピスルフィドプロパニルジスルフィド、および2,3-エピスルフィドプロパニルスルフィドからなる群から選択される少なくとも1つの硫黄成分を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約1質量%から約30質量%の、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、および2,2’-チオジエタンチオールからなる群から選択される少なくとも1つの硫黄成分を含む。
【0024】
これらの接着剤組成物は、約5質量%から約25質量%の、1-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、および1-ナフトアルデヒドからなる群から選択される少なくとも1つのナフタレン成分を含んでもよい。
【0025】
これらの接着剤組成物は、ジアリルエーテルビスフェノールAおよびオルトジアリルビスフェノールAからなる群から選択されるビスフェノールA成分を含んでもよい。
【0026】
これらの接着剤組成物は、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]オリゴマーのエポキシドおよびエポキシアクリレートからなる群から選択されるエポキシ樹脂を含んでもよい。
【0027】
別の実施形態において、接着剤組成物は、硬化後に約1.55から約1.60の屈折率を有する。これらの組成物は、約0.01質量%から約5質量%の少なくとも1つの光開始剤と、約10質量%から約60質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、および9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオリンからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分と、約1質量%から約60質量%の、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびアルコキシ化ノニルフェノールアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分とを含むことができる。
【0028】
一実施形態において、これらの接着剤組成物は、約0.01質量%から約5質量%の、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンからなる群から選択される少なくとも1つの光開始剤と、約10質量%から約60質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分と、約1質量%から約60質量%の、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、および2-ヒドロキシエチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分とを含むことができる。
【0029】
これらの接着剤組成物は、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、2,2’-チオジエタンチオール、およびトリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3-プロパンチオールスルフィドからなる群から選択される硫黄成分を含んでもよい。
【0030】
これらの接着剤組成物は、エポキシ樹脂(例えばエポキシアクリレート)を含んでもよい。
【0031】
これらの接着剤組成物は、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、およびエトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレートからなる群から選択されるビスフェノールA成分を含んでもよい。
【0032】
これらの接着剤組成物は、トリアリルイソシアヌレートを含んでもよい。
【0033】
さらに別の実施形態において、接着剤組成物は、硬化後に約1.49から約1.55の屈折率を有する。これらの組成物は、約0.01質量%から約5質量%の少なくとも1つの光開始剤と、約5質量%から約80質量%の、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、アルコキシ化フェノールジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびポリエチレングリコール(200)ジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分とを含むことができる。
【0034】
これらの接着剤組成物の一実施形態において、アクリル成分は、これに限定されないが、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、およびエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレートの群から選択される。
【0035】
これらの接着剤組成物は、約10質量%から約50質量%の少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分(例えば臭素化芳香族ウレタンアクリレート)を含んでもよい。
【0036】
これらの接着剤組成物は、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)およびペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)からなる群から選択される硫黄成分を含んでもよい。
【0037】
別の実施形態において、素子が提供される。素子は、第一および第二の基材、例えば眼科用の部品と、第一および第二の眼科用の部品の間に配置された硬化可能な接着剤組成物(いずれかの実施形態において記載されたもの)とを含む。硬化後の接着剤組成物の屈折率は、i) 第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品のうちの少なくとも1つの屈折率とほぼ等しい、ii) 第一のレンズの屈折率と第二のレンズの屈折率との間、またはiii) 第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品の平均屈折率とほぼ等しい。一実施形態において、硬化後の接着剤組成物の屈折率は、第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品のうちの少なくとも1つの屈折率と0.03以内である。別の実施形態において、第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品のうちの少なくとも1つは、約1.67の屈折率を有する。
【0038】
さらなる特徴、利点、および本発明の実施形態は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲に記載されるか、明らかにされる。さらに、前述の本発明の要約および以下の詳細な説明は例示であり、請求される本発明の範囲を限定することなく、さらなる説明をすることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一実施形態において、高屈折率、許容可能な粘度、および/または許容可能な接着性を示す硬化可能な接着剤組成物を提供する。2つの基材の間に配置された接着剤組成物を含む素子も提供する。
【0040】
電子活性レンズを組み上げるための例示的な組立て方法は、米国特許出願第2009/0256977号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。組立て方法の一部は2つの予備成型されたプラスチックレンズを含むことができ、その1つは、実質的に一緒に結合した電子活性材料(つまり液晶)で満たされた回折パターンを含むレンズ表面を有する。回折パターンにより、積層体の表面は薄い空洞(例えば30〜70ミクロンの厚み)を発生し得る。この空洞の厚みは、回折設計に依存し得る。
【0041】
(屈折率)
レンズの基材の間に形成された空洞を、予備成型されたレンズの屈折率(RI)と適合するRIを有するUV硬化可能な接着剤組成物で満たして、封止の特徴を隠すことができる。2つの予備成型されたレンズが異なるRIを有する場合、接着剤組成物のRIの値を予備成型されたレンズの2つのRIの間(例えば平均)として、2つの予備成型されたレンズのRIの差による光学干渉を低減またはなくすことができる。例えば、ポリカーボネートレンズ(RI 1.58)をTrivex(登録商標)レンズ(RI 1.53)と接着する場合、好適な接着剤組成物は、硬化後に約1.55のRIを有することができる。組成物は、電子活性レンズおよび複合レンズを含む様々なレンズ材料を接着するために好適であり得る。いくつかの実施形態において、接着剤は、約1.67以上のRIを有するプラスチック材料との使用に特に好適である。接着剤を使用して1つ以上の以下の基材の材料を積層してもよい: ポリカーボネート(RI 1.58)、Trivex(登録商標)(RI 1.53)、およびMR-10(RI 1.67)。積層された基材は、お互いに同じであっても、異なっていてもよい。
【0042】
他で特定されない限り、接着剤組成物の屈折率は、硬化後に25℃で報告される。(硬化は約0.01〜0.05、より具体的には約0.03、接着剤組成物のRIを増加させる。)対照的に、他で特定されない限り、接着剤の個々の成分のRIは、硬化前に25℃で報告される。
【0043】
本明細書で提供される接着剤組成物は、少なくとも1.49、好ましくは少なくとも1.50、1.53、1.55、1.56、1.57、1.60、1.63、1.65、1.67、または1.70の屈折率を有する。本明細書で記載される接着剤組成物は、高屈折率、中屈折率、および低屈折率接着剤として分類されるが(実施例参照)、このような区別は組成物をお互いに分類するためのみに使用される。「低」および「中」屈折率の実施例を含む、本明細書で記載される全ての組成物は、最も典型的な接着剤よりも高い屈折率を有する。本明細書で記載される低屈折率の接着剤は、約1.49から約1.55の屈折率を有する。中屈折率の接着剤は、約1.55から約1.6の屈折率を有する。高屈折率の接着剤は、約1.6から約1.74の屈折率を有する。
【0044】
(粘度)
接着剤組成物の粘度は、製造に影響を与える重要なパラメータである。粘度は組成物の予測可能な特長ではなく、質量平均から厳密に計算することはできない。例えば、組成物に低粘度の成分を加えることによって組成物の粘度が希釈されるが、粘度の正確な減少は量、例えば質量割合、加えられた個々の成分の粘度に基づいては予測できない。したがって、接着剤組成物の許容可能な粘度を達成することは、用いられる製造方法の理解、同様に本明細書で教示される様々な接着剤成分のつりあいをとる必要がある。
【0045】
したがって、硬化可能な接着剤は、あらかじめ決められたまたは所望の粘度の値を有して、組立てプロセス中の空洞にあふれ出し得る過剰な液晶を洗い流すことができる。例として、約100cP以下の粘度を有する組成物は、充填プロセスの間の回折封止(diffractive seal)を破壊し、これにより回折パターン内の電子活性材料を汚染し得る。しかし、低粘度の接着剤組成物は、回折パターンを含まない2つの予備成型されたレンズを積層するために好適であり得る。好ましくは、硬化前の接着剤組成物の粘度は、約200から約5000cP、約1000から約3000cP、または約1000から約2000cPである。
【0046】
本明細書で提供される接着剤組成物は、表面のキャスティングにおいて使用されることができ、これは接着剤組成物を1つの予備成型されたレンズに適用し、その後元の予備成型されたレンズの上に別のレンズをキャスティングすることを含む。
【0047】
(接着性)
接着性能も優先度が高い。強く耐久性がある結合のために、接着剤組成物は、接着収縮によって引き起こされる凍結応力および空隙を避けるために設計され得る。一般的に、収縮速度が遅いと接着性は優れる。収縮速度を遅くするために、接着剤は少ない数の反応性官能基を有するモノマーを含むことができ、または、高分子量のオリゴマーもしくはプレポリマーを含むことができる。接着剤組成物が、基材表面上を濡らすことができ、広がることができることが望ましい。この分子レベルの接触により、接着力を高め、界面から取り込まれた空気を取り除き、結合が進行する領域を最大化することができる。汚れておらず滑らかな表面に対して、湿潤および広がりは、2つの材料の表面張力に支配される。接着剤の表面張力が低くなるほど、濡れは良好になる。表面張力は別として、特にプラスチック基材の表面の調製は、接着性能を改善するための重要な工程である。化学的エッチングおよびプラズマなどの方法を使用して、接着剤組成物の接着性能を改善することができる。接着剤組成物の接着性能を改善するための別の効果的な方法は、官能基化されたアルコキシシラン、例えばアクリルオキシトリメトキシシランで表面を処理することである。
【0048】
本明細書で記載される接着剤組成物は、反応性モノマー、オリゴマーまたはプレポリマー、光開始剤、および任意のシランカップリング剤のブレンドとして形成され得る。特に、接着剤組成物は、高屈折率-高粘度成分および光開始剤を含むことができる。
【0049】
(反応性モノマー、オリゴマー、およびプレポリマー)
一実施形態において、硬化可能な接着剤組成物は、硬化前に25℃において少なくとも1.56の屈折率を有し、硬化前に25℃において少なくとも15000cPの粘度を有する、少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分を含む。一実施形態において、高屈折率-高粘度成分は、少なくとも約1.58、1.60、または1.62の屈折率を有する。一実施形態において、高屈折率-高粘度成分は、25℃で少なくとも約20000、40000、60000、70000、80000、または90000cPの粘度を有する。例示的な高屈折率-高粘度成分には、これに限定されないが、芳香族ウレタンアクリレート(例えば臭素化芳香族ウレタンアクリレート)、トリブロモフェニルアクリレート、または9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレンが含まれる。高屈折率-高粘度成分(または1つより多い高屈折率-高粘度成分の組合せ)は、約1から約70%、約10から約60%、約10から約50%、約10から約30%、または約10から約20%の量で存在することができる。
【0050】
樹脂の選択は、優れた接着性に加えて、硬化された組成物と基材との間の屈折率を主に適合させるためにされ得る。1つが回折パターンを含む2つの予備成型されたレンズを積層する場合において、RI適合性は、同じまたは非常に近く、例えば0.02以内にして、回折封止の特長を隠すべきである。例えば、回折パターンを有する1.67のRIでできている2つのプラスチックレンズを積層する場合、接着剤組成物のRIは、約1.64から約1.70であり得る。いくつかの商業的に利用可能な接着剤は高RIを示し得るが、これらはたいてい弱い接着性を示す。例えば、100%の組成物#8323、または100%の組成物#6205から製造された処方(NTT Advanced Technology Corp.により供給)は、接着性能が非常に弱く、さらに、接着剤が回折封止を壊し、回折領域内の液晶を汚染する。
【0051】
予備成型された高屈折率レンズ、例えばMR-10(RI=1.67)から製造されたレンズの積層における使用のために好適な樹脂のブレンドを調製した。一実施形態において、2つのMR-10レンズを結合するための接着剤は、
5〜60%のビニル樹脂(NTT #6205)
10〜50%の9,9-ビス[-4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン (Kowa American Corp.により供給されるNKE A-BPEF)
10〜50%のトリブロモフェニルアクリレート (Kowaにより供給されるBR-30)
0〜20%の芳香族モノアクリレートオリゴマー (Sartomerにより供給されるCN-131B)
0〜30%の硫黄成分、および
0.01〜5%のフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド (Cibaにより供給されるIrgacure 819)
を含む。
【0052】
他で特定されない限り、明細書を通して、成分の量は全組成物の質量割合として提供される。
【0053】
この処方において、NTT #6205の量が5%未満である場合、接着剤組成物の最終的なRIは低すぎ、MR-10の予備成型されたレンズとの不十分なRI適合性が存在し得る。一方、NTT #6205の量が60%より高い場合、RIは高すぎ、接着性能が劣るようになる。
【0054】
硫黄成分、例えば多官能性チオール樹脂は、高RIに加えて、接着性を改善する所望の機械的特性を有するフィルムを提供する。MR-10レンズを積層するために好適な例示的な樹脂のブレンドには、硫黄成分として、
2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンスルフィド (Mitsuiにより供給);
1,2-ビス(2-メルカプトエチル)-3-メルカプトプロパン (Mitsuiにより供給);
2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン (Sigma-Aldrichにより供給);
2,2’-チオジエタンチオール (Sigma-Aldrichにより供給);
トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネートおよび/または2,メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド; または
2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン; ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート; および/または 2,3-メルカプトプロパン
を含んでもよい。
【0055】
別の例示的な組成物は、20〜60%の組成物#8323(NTTにより供給)、10〜50%のCN-2600、10〜20%のNKE-10、および0.01〜5%のIrgacure 819を含む。
【0056】
他の例示的な組成物は、30〜60%のビニル樹脂(NTT #6205)および0.01〜5%のIrgacure 819、ならびに: 20〜40%のCN-2600、および10〜50%のNK-A-BPEF(Kowaから供給); または30〜65%のビニルナフタレン、0〜70%のCN-2600、0〜50%の1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、および0〜70%のNK-A-BPEFを含む。
【0057】
さらに他の例示的な組成物は、0〜40%のビニル樹脂(NTT #6205)および0.01〜5%のIrgacure 819、ならびに:
10〜50%の1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン(Mitsui Chemicalにより供給)、5〜40%のクロロナフタレンおよび/またはナフトアルデヒド、0〜20%のCN-2600、および0〜70のNK-A-BPEF;
30〜70%の2,3-エピスルフィドプロパンスルフィド(MGCにより供給)、30〜70%のCN-2600、0〜20%のNK-A-BPEF、および0〜10%のNKE-10;あるいは
10〜40%の1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン(Mitsui Chemicalにより供給)、5〜40%のCN-2600、および20〜50%のNK-A-BPEF-10
を含む。
【0058】
予備成型されたMR-10レンズに対するTrivex(登録商標)の表面のキャスティングにおける使用のために好適な樹脂ブレンドは、30〜70%のCN-2600および30〜70%のNK-10を含むことができる。
【0059】
予備成型されたポリカーボネートレンズに対するTrivex(登録商標)の表面のキャスティングにおける使用のために好適な樹脂ブレンドは、5〜50%のCN-2600、5〜15%のエトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR 499)、20〜50%のエトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート(SR 601)、5〜15%の2-ヒドロキシエチルアクリレート、および5〜10%のアルコキシ化フェノールアクリレート(D9088)を含むことができる。
【0060】
硬化可能な接着剤組成物を調製するために有用であり得る商業的に利用可能な成分には、これに限定されないが、
高屈折率樹脂#6205、#8322および#8323(NTT Advanced Technology Corp.)
ポリエチレングリコールO-フェニルフェニルエーテルアクリレート(NKE-10); 9,9-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニルフルオレン(NK A-BPEF); およびトリブロモフェニルアクリレート(Kowa American Corp.)
臭素化芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー(CN-2600)(Sartomer)
1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-クロロナフタレン、およびN-ビニルカルバゾール(Sigma-Aldrich)
ジビニルベンゼン、2,6-ジフェニル-1,4-フェニレンオキシド、ジフェニルメタンビス(4-フェニル)カルバメート、アルファ-ナフチルメタクリレート、アルファ-ナフチル, カルボニルメタクリレート、ベータ-ナフチルメタクリレート、およびスチレンスルフィド(Scientific Polymer Products, Inc.)
2,3-エピスルフィドプロパンスルフィド(MGCにより供給)
2,3-エピスルフィドプロパンジスルフィド、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、および2-メルカプトエチルスルフィド(Mitsui Chemicals)
アクリルオリゴマー(CN131B)、エポキシアクリレートオリゴマー(CN110)、エポキシメタクリレート(CN151)、エトキシ化(3)-ビスフェノールAジアクリレート(SR349)、エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート(SR348)、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート(SR601)、2-フェノキシエチルアクリレート(SR339)、アルコキシ化フェノールアクリレート(D9088)、エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート SR101、エトキシ化(6)ビスフェノールAジメタクリレート(SR504)、アルコキシ化フェノールアクリレート(SR614)、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499)、アルコキシ化脂肪族ジアクリレート(SR9209)、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(SR344)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(SR239)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(SR285)、イソボルニルアクリレート(SR506A)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(SR203)、およびエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(SR602)(Sartomer)
が含まれる。
【0061】
(光開始剤)
光開始剤は、光を吸収し、フリーラジカル重合系におけるフリーラジカルの生成、またはカチオン性光開始系におけるカチオンの生成に関与する。商業的に利用可能な多くの光開始剤が存在し、好適な光開始剤は以下の要因を考慮して選択され得る:
1) 用いられるベース樹脂の種類: フリーラジカル重合樹脂か、カチオン性重合樹脂か。
2) 放射線源: 光開始剤の吸収帯は、一般的に、光源の発光スペクトルと実質的に重なるべきである
3) レンズ積層体の吸収帯: 接着剤は2つの基材、例えば予備成型された透明プラスチックレンズを結合するために使用され得る。1つまたは両方の基材はUVブロック光をブロックしてもよい(日光からの眼の保護のために一般的に実施)。この場合において、光開始剤の吸収帯は、基材の吸収帯を除き得る。
【0062】
光開始剤の濃度は、約0.01から約10%、好ましくは約0.01から約5%、約0.1から約3%、または約0.1から約1.5%であり得る。
【0063】
光開始剤系の好ましい成分には、以下:
フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure 819)、
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニル-ケトン(Irgacure 184)、
2-ヒドロキシ2-メチル1-フェニル1-プロパン(Daracure 1173)、
トリアリールスルホニウム塩ヘキサフルオロアンチモネートおよびトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(Cyracure(登録商標) UVI-6976)
のうちの1つ以上が含まれる。
【0064】
光開始剤は、ラジカル光開始剤、カチオン性光開始剤、またはアニオン性光開始剤を含んでもよい。
【0065】
ラジカル光開始剤には、これに限定されないが、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、トキサントン、キサンテン、ベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、および2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(-モルホリノフェニル)-1-ブタノンが含まれる。好ましい例示的なラジカル光開始剤には、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンが含まれる。
【0066】
カチオン性光開始剤には、これに限定されないが、トリアリールスルホニウム塩ヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4-ジフェニルスルホニオ)-フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、ジ(アルキルフェニル)ヨードニウム塩、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、および鉄-アレーン錯体が含まれる。
【0067】
アニオン性光開始剤には、これに限定されないが、O-ニトロベンジル誘導体、金属アミン錯体、(シクロペンタジエニル)ルテニウム錯体、および(シクロペンタジエニル)オスミウム錯体が含まれる。
【0068】
一実施形態において、光開始剤系は、少なくとも1つの添加剤、例えば共触媒、ホスフィン、および/またはアミンを含む。例示的な添加剤には、これに限定されないが、ホスホニウム塩、テラアルキルホスホニウムブロミド、テラアルキルホスホニウムクロリド、トリフェニルホスフィン、トリメトキシフェニルホスフィン、トリクロロフェニルホスフィン、第一級アルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミンが含まれる。
【0069】
(さらなる接着剤成分)
接着剤組成物は、接着促進剤/カップリング剤として、最大約10%の部分的または完全に加水分解されたシランカップリング剤をさらに含んでもよい。例示的なシランには、これに限定されないが、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノ-プロピルトリメトキシシラン、および3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが含まれる。
【0070】
組成物は、少なくとも1つのビニル樹脂を含んでもよい。理論に制限されないが、ビニル樹脂は、有利には、低い粘度を示して、高屈折率-高粘度成分を希釈し、同時に接着性を改善すると考えられる。好ましいビニル樹脂はNTT #6205である。ビニル樹脂は、例えば約10から約95%、約20から約60%、または約30から約40%の量で存在することができる。
【0071】
組成物は、少なくとも1つの硫黄成分を含んでもよい。理論に制限されないが、硫黄成分は接着性を改善すると考えられる。例示的な硫黄成分には、これに限定されないが、2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、2,2’-チオジエタンチオール、トリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、4,5-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチオレーン、4,6-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,3-エピスルフィドプロパニルジスルフィド、および2,3-エピスルフィドプロパニルスルフィドが含まれる。硫黄成分は、例えば約1から約30%、約5から約20%、約5から約10%の量で存在することができる。
【0072】
組成物は、少なくとも1つのアクリル成分を含んでもよい。理論に制限されないが、アクリル成分は接着性を改善すると考えられる。さらに、いくつかのアクリル成分は、有利には、最終組成物の高屈折率に寄与し得る。例えば、芳香族アクリレート、特にハロゲン化芳香族アクリレートは高RIを示す。例示的なアクリル成分には、これに限定されないが、ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、アルコキシ化フェノールジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびポリエチレングリコール(200)ジアクリレートが含まれる。一実施形態において、アクリル成分は、ウレタンアクリレートを含む。アクリル成分は、例えば約5から約80%、約1から約60%、または約2から約50%、約5から約30%の量で存在することができる。
【0073】
組成物は、ビスフェノールAを含んでもよい。理論に制限されないが、ビスフェノールAは、例えばフィルム破壊を防ぐことによって、接着剤組成物の機械的特性を改善すると考えられる。例示的なビスフェノールA成分には、これに限定されないが、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレート、ジアリルエーテルビスフェノールA、およびオルトジアリルビスフェノールAが含まれる。ビスフェノール成分は、例えば約1から約70%、約5から約25%、または約30から約60%の量で存在することができる。
【0074】
組成物は、少なくとも1つのナフタレン成分を含んでもよい。理論に制限されないが、ナフタレン成分は比較的高屈折率を示し(典型的には高屈折率-高粘度成分ほど高くない)、一方、高屈折率-高粘度成分とつり合いをとる低粘度を示す。例示的なナフタレン成分には、これに限定されないが、1-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、および1-ナフトアルデヒドが含まれる。ナフタレン成分は、例えば約5から約25%、または約10%から約20%の量で存在することができる。
【0075】
組成物は、少なくとも1つのエポキシ樹脂を含んでもよい。例示的なエポキシ樹脂には、これに限定されないが、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]オリゴマーのエポキシドおよびエポキシアクリレートが含まれる。
【0076】
いくつかの場合において、所望の屈折率の結果に依存して、特定の成分が好ましくてもよい。そのため、低、中、および高屈折率の接着剤が提供される。数多くの低、中、および高屈折率の接着剤組成物が、実施例において提供される。
【0077】
本明細書において提供される低屈折率の接着剤(約1.49から約1.55のRI)は、一般的に、光開始剤および高屈折率-高粘度成分に加えて、少なくとも1つのアクリル成分を含む。好ましい成分は、
約0.01質量%から約5質量%の少なくとも1つの光開始剤;および
約5質量%から約80質量%の、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、アルコキシ化フェノールジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびポリエチレングリコール(200)ジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分; より詳しくは、脂肪族ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アルコキシ化ノニルフェノールアクリレート、およびエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分
を含む。
【0078】
低屈折率の接着剤のためのさらなる好ましい成分は、
約10質量%から約50質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分; および/または
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)およびペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)からなる群から選択される硫黄成分
を含む。
【0079】
本明細書において提供される中屈折率の接着剤(約1.55から約1.6のRI)は、一般的に、光開始剤および高屈折率-高粘度成分に加えて、少なくとも1つのアクリル成分を含む。好ましい成分は、
約0.01質量%から約5質量%の少なくとも1つの光開始剤; より詳しくは、約0.01質量%から約5質量%の、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンからなる群から選択される少なくとも1つのラジカル光開始剤;
約10質量%から約60質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、および9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオリンからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分; より詳しくは、約10質量%から約60質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分;
約1質量%から約60質量%の、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、およびアルコキシ化ノニルフェノールアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分; より詳しくは、約1質量%から約60質量%の、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化(4)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、および2-ヒドロキシエチルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分
を含む。
【0080】
中屈折率の接着剤のためのさらなる好ましい成分は、
2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、2,2’-チオジエタンチオール、およびトリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3-プロパンチオールスルフィドからなる群から選択される硫黄成分;
エポキシアクリレートからなる群から選択されるエポキシ樹脂;
エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、およびエトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレートからなる群から選択されるビスフェノールA成分; ならびに/または
トリアリルイソシアヌレート
を含む。
【0081】
本明細書において提供される高屈折率の接着剤(約1.6から約1.74のRI)は、一般的に、光開始剤および高屈折率-高粘度成分を含む。好ましい成分は、
約0.01質量%から約5質量%の少なくとも1つの光開始剤(例えば、ビス(2,3,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、トリアリールスルホニウム塩ヘキサフルオロアンチモネート、および/またはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート); ならびに
約1質量%から約70質量%の、臭素化芳香族ウレタンアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、および9,9-ビス{4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオリンからなる群から選択される少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分
を含む。
【0082】
一実施形態において、高屈折率の接着剤は、少なくとも1つのビニル樹脂(例えばNTT #6205)を含む。ビニル樹脂は、例えば約10質量%から約95質量%の量で存在してもよい。
【0083】
高屈折率の接着剤のためのさらなる好ましい成分は、
約2質量%から約50質量%の、ポリエチレングリコールo-フェニルフェニルエーテルアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルオリゴマー、イソボルニルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、およびエトキシ化トリブロモフェニルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つのアクリル成分;
1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、2,2’-チオジエタンチオール、トリメチロールトリス(3-メルカプトプロピオネート)エチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、4,5-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチオレーン、4,6-(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、1,1,3,3-テトラ(メルカプトメチルチオ)プロパン、2,3-エピスルフィドプロパニルジスルフィド、および2,3-エピスルフィドプロパニルスルフィドからなる群から選択される少なくとも1つの硫黄成分; より詳しくは、約1質量%から約30質量%の、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-メルカプトエチルチオ-3-プロパンチオールスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、および2,2’-チオジエタンチオールからなる群から選択される少なくとも1つの硫黄成分;
約5質量%から約25質量%の、1-クロロナフタレン、1-ブロモナフタレン、および1-ナフトアルデヒドからなる群から選択される少なくとも1つのナフタレン成分;
ジアリルエーテルビスフェノールA、およびオルトジアリルビスフェノールAからなる群から選択されるビスフェノールA成分; ならびに/または
ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]オリゴマーのエポキシド、およびエポキシアクリレートからなる群から選択されるエポキシ樹脂
を含む。
【0084】
(光源)
接着剤組成物は、放射線(光源)、好ましくは紫外線または紫外線-可視光に露光することによって硬化可能である。硬化は、積層化プロセスの後に行われることができ、これは光がレンズ組立品を通過して接着剤に届くことを意味する。レンズ組立品がUVブロック剤を含む場合、光源は、化学光源またはLED光源などの400nmより長い波長の発光帯を提供することができる。
【0085】
接着剤組成物を硬化するために必要な露光時間は変化し得、光源、光開始剤の濃度、および基材からの光源の距離に依存し得る。したがって、当業者は、露光時間を適合させる方法をすぐに理解するだろう。
【0086】
例示的な光源には、これに限定されないが、以下が含まれる:
中圧蒸気ランプ光源: 1インチあたり約200ワットの出力レベルで動作する6インチのランプ。硬化チャンバーは、ランプの下にサンプルを移動させるコンベヤーを含むことができる。コンベヤーの面はランプからおよそ3インチに位置することができる。光エネルギーは、1回の通過において、250から400nmの範囲にわたって、International Light, Inc.からのModel ILT 390 Light Bugで測定されるおよそ1000mJ/cm2に設定することができる;
化学光源: 2セットの4つの蛍光ランプを上部および下部に位置して、硬化ステージの面にわたって実質的に均一な放射線を提供することができる。XRL 140A 検出器を有するInternational光測定モデルIL 1400Aで、上部のランプからサンプルの面で測定しておよそ4.9mW/cm2、下部のランプからおよそ4.1mW/cm2。これらのランプは、約380nmより大きい範囲で活性化光を発光し、モデルTLD-15W/03としてPhilips Electronicsから商業的に利用可能である;
LED光源、例えば411±4nmの主波長を有するカスタムLEDアレイ;
365nm、410nm、および430nmで約3000+mW/cm2のUV主出力を有するDYMAX BlueWave(登録商標) 50 UV Spot Light。
【0087】
(素子)
前に述べたとおり、本明細書において提供される接着剤組成物は、基材、例えば眼科用の部品を結合するために使用されることができる。接着剤は、これに限定されないが、スピン、浸漬、ブラシ、スプレーおよび充填を含む当業者にすぐに明らかな方法で適用されることができる。
【0088】
積層される基材は、お互い同じ、または異なり得る。一実施形態において、接着剤は、2つの基材の間に配置され、それぞれは異なるRIを有する。例えば、接着剤組成物は、予備成型されたポリカーボネートレンズ(RI=1.58)に対するTrivex(登録商標)(RI=1.53)樹脂の表面のキャスティング、または予備成型されたMR-10レンズ(RI=1.67)に対するTrivex(登録商標)の表面のキャスティングを接着することが分かった。基材が異なるRIを有する場合、硬化した接着剤組成物のRIは、2つのレンズの平均RIに近いRI値を有することができる。例えば、予備成型されたTrivex(登録商標)レンズまたはTrivex(登録商標)の表面のキャスティングを予備成型されたポリカーボネートレンズ(RI=1.58)に積層する場合、硬化した接着剤組成物のRIは、約1.54から約1.57、好ましくは約1.55から約1.56の範囲であるべきである。両方のレンズのRIに近い接着剤のRIを有する利点は、2つのレンズのRIの違いからもたらされる光干渉を低減または除去することである。
【0089】
したがって、別の実施形態において、素子が提供される。素子は、a) 第一の基材、例えば眼科用の部品、b) 第二の基材、例えば眼科用の部品、ならびにc) 第一および第二の眼科用の部品の間に配置された硬化可能な接着剤組成物を含む。接着剤は、本明細書において記載される接着剤のいずれか、例えば硬化前に25℃で少なくとも1.56の屈折率、および硬化前に25℃で少なくとも15000cPの粘度を有する少なくとも1つの高屈折率-高粘度成分と、光開始剤とを含むものであり得る。硬化後の接着剤組成物の屈折率は、i) 第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品のうちの少なくとも1つの屈折率とほぼ等しい、ii) 第一のレンズの屈折率と第二のレンズの屈折率との間、またはiii) 第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品の平均屈折率とほぼ等しい。一実施形態において、硬化後の接着剤組成物の屈折率は、第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品のうちの少なくとも1つの屈折率の0.03以内、好ましくは0.02以内である。別の実施形態において、第一の眼科用の部品および第二の眼科用の部品のうちの少なくとも1つは、約1.67の屈折率を有する。
【実施例】
【0090】
(成分の混合)
使用される固体の光開始剤の量は、3〜6質量%の範囲であらかじめ溶解された濃縮形態から導かれる。高粘度および/または注ぐことができない成分を、予備加熱し、他のものと混合することができる。固体のモノマーまたはオリゴマーも、所定量の開始剤を加える前に、予備加熱し、低粘度成分と混合することができる。最終組成物を、通常の室温条件で、茶色のポリプロピレンボトル内でそれを保存する前に、光から離して少なくとも10から15分間混合することができる。
【0091】
(サンプルの調製)
光硬化可能な接着剤を形成する成分を、受け取ったまま使用した。例示的な成分を以下の表に列記する。
【0092】
組立ておよび硬化: 約0.5gの接着剤を第一の基材、例えば約44mmの直径および約1.2mmの厚みを有するコートされていないMR-10(PixelOptics, Inc.により供給)のあらかじめ洗浄した丸い平らな部品の上に置く。第二の基材、例えば第一のものと同じものを、基材の端に接着剤が広がるまで第一の部品の上で接着剤と穏やかに接触させて置く。その後、組立品を硬化工程まで進める(例えば化学光源の硬化ステージに置く)。硬化ステージは、約5mmの厚みの丸い透明なクラウンガラスであり、直径が約80mmである。組立品を上および下から1.5分間光に露光させる。硬化した組立品を調べ、接着性試験の前に室温で少なくとも10分間放置する。
【0093】
屈折率測定: Fisher ScientificからのAbbe-3L屈折計を使用して、液体状態(硬化前)または固体の硬化した状態における接着剤の屈折率を測定した。この屈折計は、ナトリウムD線(589.3nm)に対して1.30から1.71の範囲の値を有する。Fisher Scientificからの1-ブロモナフタレンを、1.64nD未満の値を有する固体試験片のための接触液体として使用し、CargillからのSeries M 1.75nDを、1.64nDより大きい値を有する固体試験片のための接触液体として使用した。
【0094】
接着強度: 接着強度を、2つの接着した部品を離すためにどの程度の力を必要とするかに基づいて評価した。Optical DynamicsからのハンドルのためのTTAR 05-020および離型ブレードのためのTTAR 05-021の部品コードで商業的に利用可能なハンドヘルドの型のスクレーパーの道具を使用して、2つの接着した部品を離し、以下のとおりに悪い、良い、または優れる接着性を評価した:
悪い: スクレーパーの道具を使用することなく手で両方の試験片から容易に剥離する。
良い: 2つの試験片はかみそりの刃を使用して剥離するのが困難であった。
優れる: 2つの試験片は、さらなる力を加えない限り、スクレーパーの道具を使用して剥離しない。この場合、分離は破壊された部分を伴い、試験片の分離した部品にランダムに硬化した接着剤が残留した。
【0095】
最初のスクリーニング試験において良好なRI適合性および良好な接着性を示した接着剤組成物に対して、接着性能および複合レンズを形成するための実際のレンズ積層体におけるRI適合性をさらに試験した。接着性能を、剥離のあらゆる証拠を探す最終的なレンズ積層体の表面および端で試験した。全ての好ましい接着組成物は、良好なRI適合性および良好または優れた接着性を示す。
【0096】
本発明を、以下の表における以下の接着剤組成物を参照してさらに例示することができる。(RI=屈折率、visc.=粘度、comp.=組成物)
【0097】
【表1】
【表2】
【0098】
例示的な成分に対して、*で示したもの(利用可能な最も近い温度で測定した)を除いてRIおよび粘度を25℃で測定した。硬化前および硬化後の屈折率を23℃で測定した。
【0099】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0100】
上の表に列挙した組成物は、回折パターン領域の目に見えない封止の固定によって示される、良好なRI適合性を提供する接着剤を達成する。ほとんどは良好な接着性を示し、いくつかは(太字で表示)優れた接着強度を示す。
【0101】
【表7】
【0102】
上の表に列挙した組成物は、良好な接着性および良好なRI適合性を達成する。これらの組成物は、MR-10のRI(1.67)とTrivex(登録商標)のRI(1.53)との間のRIを有するため、予備成型されたMR-10レンズに対するTrivex(登録商標)の表面のキャストに有用であり得る。
【0103】
【表8】
【0104】
上の表に列挙した組成物は、良好な接着性および良好なRI適合性を達成する。これらの組成物は、ポリカーボネートのRI(1.58)とTrivex(登録商標)のRI(1.53)との間のRIを有するため、ポリカーボネートとTrivex(登録商標)の基材を接着するために有用であり得る。