特許第5734972号(P5734972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5734972
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】被覆容器デバイス、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/14 20060101AFI20150528BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   B65D25/14 A
   B32B15/085 A
【請求項の数】15
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2012-521837(P2012-521837)
(86)(22)【出願日】2010年7月23日
(65)【公表番号】特表2013-500210(P2013-500210A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】US2010043081
(87)【国際公開番号】WO2011011705
(87)【国際公開日】20110127
【審査請求日】2013年6月11日
(31)【優先権主張番号】61/228,383
(32)【優先日】2009年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】カインズ,ベルンハード
(72)【発明者】
【氏名】メッカ,ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】ルンドガード,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】マロトキー,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ディール,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ドラムライト,レイ
【審査官】 八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−120642(JP,A)
【文献】 特開昭58−037061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D23/00−25/06
B32B15/085
B05D 1/00− 7/26
C09D 1/00−10/00、101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板と、
前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層と
を含む被覆容器デバイスであって、
前記1つまたは複数のコーティング層は、1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られ、
前記1つまたは複数の水性分散体は、
1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーであって、前記1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーの少なくとも1つが、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含み、前記熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)からなる群から選択される、熱可塑性基材ポリマーと、
極性ポリオレフィンを含む1つまたは複数の安定剤(ただし、基材ポリマーは、安定剤よりも小さいASTMD−974に従って測定された酸価を有する)と、
水と
を含む被覆容器デバイス。
【請求項2】
被覆容器デバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーであって、前記1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーの少なくとも1つが、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含み、前記熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)からなる群から選択される、熱可塑性基材ポリマーと、
極性ポリオレフィンを含む1つまたは複数の安定剤(ただし、基材ポリマーは、安定剤よりも小さいASTMD−974に従って測定された酸価を有する)と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
前記被覆金属基板を被覆容器デバイスに形成する工程と
を含む方法。
【請求項3】
被覆容器デバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
前記金属を容器デバイスに形成する工程と、
1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーであって、前記1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーの少なくとも1つが、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含み、前記熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)からなる群から選択される、熱可塑性基材ポリマーと、
極性ポリオレフィンを含む1つまたは複数の安定剤(ただし、基材ポリマーは、安定剤よりも小さいASTMD−974に従って測定された酸価を有する)と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記容器デバイスの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記容器デバイスに付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
それによって前記被覆容器デバイスを形成する工程と
を含む方法。
【請求項4】
前記金属基板が、予め被覆された金属基板である、請求項1に記載の被覆容器デバイス。
【請求項5】
前記金属基板が、予め被覆された金属基板である、請求項2または3に記載の方法
【請求項6】
金属基板と、
前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層と
を含む被覆クロージャデバイスであって、
前記1つまたは複数のコーティング層が、1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られ、
前記1つまたは複数の水性分散体は、
1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーであって、前記1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーの少なくとも1つが、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含み、前記熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)からなる群から選択される、熱可塑性基材ポリマーと、
極性ポリオレフィンを含む1つまたは複数の安定剤(ただし、基材ポリマーは、安定剤よりも小さいASTMD−974に従って測定された酸価を有する)と、
水と
を含む被覆クロージャデバイス。
【請求項7】
被覆クロージャデバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーであって、前記1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーの少なくとも1つが、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含み、前記熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)からなる群から選択される、熱可塑性基材ポリマーと、
極性ポリオレフィンを含む1つまたは複数の安定剤(ただし、基材ポリマーは、安定剤よりも小さいASTMD−974に従って測定された酸価を有する)と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
前記被覆金属基板を被覆クロージャデバイスに形成する工程と
を含む方法。
【請求項8】
被覆クロージャデバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
前記金属をクロージャデバイスに形成する工程と、
1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーであって、前記1つまたは複数の熱可塑性基材ポリマーの少なくとも1つが、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含み、前記熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)からなる群から選択される、熱可塑性基材ポリマーと、
極性ポリオレフィンを含む1つまたは複数の安定剤(ただし、基材ポリマーは、安定剤よりも小さいASTMD−974に従って測定された酸価を有する)と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記クロージャデバイスの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記クロージャデバイスに付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
それによって前記被覆クロージャデバイスを形成する工程と
を含む方法。
【請求項9】
前記金属基板が、予め被覆された金属基板である、請求項6に記載の被覆クロージャデバイス。
【請求項10】
前記基材ポリマーが、1つまたは複数の非極性ポリオレフィンを含む、請求項6または9に記載の被覆クロージャデバイス。
【請求項11】
前記金属基板が、予め被覆された金属基板である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項12】
前記水性分散体が、1つまたは複数の溶媒をさらに含む、請求項1または4に記載の被覆容器デバイス
【請求項13】
前記水性分散体が、1つまたは複数の溶媒をさらに含む、請求項2、3または5に記載の方法。
【請求項14】
前記水性分散体が、1つまたは複数の溶媒をさらに含む、請求項6、9または10に記載の被覆クロージャデバイス。
【請求項15】
前記水性分散体が、1つまたは複数の溶媒をさらに含む、請求項7、8または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その教示が以下に全面的に再現されているが如く参照により本明細書に組み込まれている「被覆容器デバイス、その製造方法(A COATED CONTAINER DEVICE, METHOD OF MAKING THE SAME)」という名称の2009年7月24日に出願された米国仮特許出願第61/228,383号の優先権を主張する非仮出願である。
【0002】
本発明は、被覆容器デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
腐食を阻止または抑制するための金属に対する様々な処理溶液および前処理溶液の塗布は、定着している。これは、金属の食品および飲料缶ならびに非食品金属容器の分野に特に当てはまる。塗料を当該容器の内側に塗布して、内容物が容器の金属に接触することを防止する。金属と食品または飲料ならびに非食品物質との接触は、金属容器の腐食をもたらし、次いでそれが当該金属容器の食品もしくは飲料または非食品内容物を汚染し得る。腐食は、食品および飲料製品が強酸性であり、かつ/またはダイオウ系製品または等張性ドリンクのように高塩含有量を有している場合に特に厄介である。また、染髪料などの非食品物質の強アルカリ性内容物は、アルミニウムなどの金属と反応し得る。例えば食品および飲料缶の内側に塗布された塗料は、食品の充填ラインと缶蓋との間の部分である缶のヘッドスペースにおける腐食の防止にも役立つ。塗料を金属容器の外側に塗布して、外部環境に対する保護を提供するか、あるいは充填剤および/または顔料を含む装飾層を提供することができる。腐食保護に加えて、食品および飲料缶のための塗料は、無毒性かつ不活性でなければならず、内面に塗布された場合に、缶内の食品もしくは飲料の味もしくは外観、例えば色に悪影響を与えるか、または缶の内容物の汚染に寄与すべきでない。「発泡」、「被り」および/または「膨れ」に対する抵抗性も所望される。特定の塗料が、缶の端部を作製する元になるコイル状金属素材などのコイル状金属素材、「缶端素材」および弁帽、例えばエアロゾル缶の上端への塗布に特に適用可能である。缶端素材上での使用のために設計された塗料は、端部が切断され、コイル状金属素材から打ち抜かれる前に塗布されるため、典型的には柔軟性および/または伸縮性でもある。例えば、缶端素材は、典型的には両面に塗布される。その後、被覆金属素材に打抜き、ビーディングまたは曲げ加工を施すことができる。それに「引き上げ式」開口のために切れ目を入れることもでき、次いで、引き上げ式リングに、個別に作製されたピンを取り付ける。次いで、端部をエッジ圧延法によって缶本体に取り付ける。したがって、缶端素材に塗布された塗料は、典型的には、上記の他の望ましい特徴のいくつかまたは全てに加えて、長時間の加工処理に耐えることができるようにある程度の靱性および柔軟性を有する。エポキシ系およびポリ塩化ビニル系、例えば有機ゾル型などの様々な塗料が、これまで、腐食を防止するための金属缶の内側の被覆に使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、腐食性媒体中での分解に対する抵抗性ならびに適切な程度の柔軟性を有するなどの向上した特性を提供する食品および飲料缶ライナーならびに非食品容器ライナーの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被覆容器デバイスおよびその製造方法を提供する。
【0006】
一実施形態において、本発明は、(1)金属基板と、(2)金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層とを含む被覆容器デバイスであって、1つまたは複数のコーティング層が、1つまたは複数の水性分散体を金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られ、1つまたは複数の水性分散体が、(a)1つまたは複数の基材ポリマーと、(b)1つまたは複数の安定剤と、(c)場合により1つまたは複数の中和剤と、(d)水とを含む被覆容器デバイスを提供する。
【0007】
代替的な実施形態において、本発明は、被覆容器デバイスを製造するための方法であって、(1)金属基板を選択する工程と、(2)(a)1つまたは複数の基材ポリマーと、(b)1つまたは複数の安定剤と、(c)場合により1つまたは複数の中和剤と、(d)水とを含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、(3)1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布する工程と、(4)1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、(5)それによって金属基板の少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、(6)被覆金属基板を被覆容器デバイスに形成する工程とを含む方法をさらに提供する。
【0008】
別の代替的な実施形態において、本発明は、被覆容器デバイスを製造するための方法であって、(1)金属基板を選択する工程と、(2)金属を容器デバイスに形成する工程と、(3)(a)1つまたは複数の基材ポリマーと、(b)1つまたは複数の安定剤と、(c)場合により1つまたは複数の中和剤と、(d)水とを含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、(4)1つまたは複数の水性分散体を容器デバイスの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、(5)1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、(6)それによって容器デバイスの少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、(7)それによって被覆容器デバイスを形成する工程とを含む方法をさらに提供する。
【0009】
代替的な実施形態において、本発明は、金属基板が予め被覆された金属基板であることを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0010】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0011】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーからなる群から選択される1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0012】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが、60℃を超える結晶融点を有する1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0013】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが、90℃を超える結晶融点を有する1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0014】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが、100℃を超える結晶融点を有する1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0015】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが、120℃を超える結晶融点を有する1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【0016】
代替的な実施形態において、本発明は、1つまたは複数の基材ポリマーが、130℃を超える結晶融点を有する1つまたは複数のポリオレフィンを含むことを除いて、先述の実施形態のいずれかによる被覆容器デバイス、被覆容器デバイスの製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、被覆容器デバイスおよびその製造方法を提供する。
【0018】
本発明による被覆容器デバイスは、(1)金属基板と、(2)金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層とを含み、1つまたは複数のコーティング層は、1つまたは複数の水性分散体を金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られ、1つまたは複数の水性分散体は、(a)1つまたは複数の基材ポリマーと、(b)1つまたは複数の安定剤と、(c)場合により1つまたは複数の中和剤と、(d)水とを含む。
【0019】
金属基板は、アルミニウムおよびアルミニウム合金、電解質ブリキ低温圧延低炭素軟鋼(「ETP」)、電解質クロム/酸化クロム被覆低温圧延低炭素軟鋼(ECCS)ならびに任意の他の前処理鋼を含むが、それらに限定されない1つまたは複数の金属を含む。前処理は、リン酸、リン酸ジルコニウムおよびリン酸クロム、ならびに一次的腐食保護および接着力の向上などの理由によるシランによる処理を含むことができるが、それらに限定されない。金属基板は、シート、ストリップまたはコイルを含むことができる。金属基板は、1つまたは複数の層を含むことができ、各層は、0.01μmから2mm、例えば0.01μmから1.5mm、または代替的に0.01μmから1mm、または代替的に0.01μmから0.5mm、または代替的に0.01μmから0.2mm、または代替的に0.01μmから0.1mm、または代替的に0.01μmから100μm、または代替的に0.01μmから50μm、または代替的に1μmから50μm、または代替的に1μmから15μmの範囲の厚さを有することができる。基板を1つまたは複数のプレコーティング組成物で予め被覆することができる。当該プレコーティング組成物としては、場合によりさらに1つまたは複数の樹脂結合剤、1つまたは複数の樹脂架橋剤、1つまたは複数の溶媒、1つまたは複数の添加剤および1つまたは複数の顔料を挙げることができるが、それらに限定されない。例示的な樹脂結合剤としては、エポキシ、ポリエステル、有機ゾル/ビニルを含むポリ塩化ビニル、フェノール、アルキド、オレオ樹脂およびアクリル樹脂等が挙げられるが、それらに限定されない。例示的な架橋剤としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドを含むが、それらに限定されないアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、およびエポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリエステルを含むが、それらに限定されないエポキシ基含有樹脂、アクリル樹脂またはビニル樹脂が挙げられるが、それらに限定されない。例示的な溶媒および希釈剤としては、グリコールエーテル、アルコール、芳香族化合物、例えば芳香族炭化水素、ホワイトスピリット、分枝状ケトンおよびエステルが挙げられるが、それらに限定されない。例示的な添加剤としては、触媒、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染を遮蔽する添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤が挙げられるが、それらに限定されない。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、亜鉛およびアルミニウムが挙げられるが、それらに限定されない。基板を1つまたは複数のプレコーティング積層体組成物で予め被覆することもできる。当該組成物は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステル組成物を含むことができ、フィルム積層法または溶融押出コーティング法によりフィルムとして金属表面に塗布され得る。
【0020】
1つまたは複数のコーティング層は、1つまたは複数の水性分散体を金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られる。1つまたは複数の水性分散体は、制御圧力および温度条件下での水および場合により1つまたは複数の中和剤の存在下での1つまたは複数の基材ポリマーの溶融ブレンド生成物を含む。
【0021】
基材ポリマー
水性分散体は、水性分散体の固形分の全重量に基づいて1から99重量パーセントの1つまたは複数の基材ポリマーを含む。1から99重量パーセントの全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、重量パーセントは、下限の1、5、8、10、15、20、25重量パーセントから上限の40、50、60、70、80、90、95または99重量パーセントであり得る。例えば、水性分散体は、水性分散体の固形分の全重量に基づいて15から99、または15から90、または15から80、または15から75、または30から70、35から65重量パーセントの1つまたは複数の基材ポリマーを含むことができる。水性分散体は、少なくとも1つまたは複数の基材ポリマーを含む。
【0022】
基材ポリマーを、例えば、熱可塑性材料および熱硬化性材料からなる群から選択することもできる。1つまたは複数の基材ポリマーは、1つまたは複数のオレフィン系ポリマー、1つまたは複数のアクリル系ポリマー、1つまたは複数のポリエステル系ポリマー、1つまたは複数のエポキシ系ポリマー、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンポリマー、1つまたは複数のスチレン系ポリマー、1つまたは複数のビニル系コポリマー、1つまたは複数のポリアミドまたはそれらの組合せを含むことができる。
【0023】
一実施形態において、1つまたは複数の基材ポリマーは、1つまたは複数のポリオレフィンを含む。1つまたは複数のポリオレフィンを含む1つまたは複数の基材ポリマーは、1つまたは複数の非ポリオレフィン熱可塑性材料および/または1つまたは複数の熱硬化性材料をさらに含むことができる。当該さらなる非ポリオレフィン系ポリマーとしては、1つまたは複数のアクリル系ポリマー、1つまたは複数のポリエステル系ポリマー、1つまたは複数のエポキシ系ポリマー、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンポリマー、1つまたは複数のスチレン系ポリマー、1つまたは複数のビニル系ポリマー、1つまたは複数のポリアミドまたはそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
ポリオレフィンの例としては、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマーおよびプロピレン−1−ブテンコポリマーによって代表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどの1つまたは複数のアルファ−オレフィンの(エラストマーを含む)ホモポリマーおよびコポリマー;典型的には、エチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって代表されるアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとの(エラストマーを含む)コポリマー;典型的には、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマーおよびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって代表される2つ以上のアルファ−オレフィンと共役または非共役ジエンとのコポリマーなどの(エラストマーを含む)ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマーなどのエチレン−ビニル化合物コポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマーおよびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0025】
一部の実施形態において、ポリオレフィン系ポリマーの1種または複数種は、ポリマーがヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、カルボン酸、エステルまたは無水基で変性されたポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーなどの官能化ポリオレフィンであってもよい。ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーなどのこれらの官能化ポリオレフィンは、例えば、Baker Hughes,Inc.の子会社であるBaker Petroliteから入手可能である。
【0026】
例示的なポリオレフィンとしては、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマーおよびプロピレン−1−ブテンコポリマーによって代表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンなどの1つまたは複数のアルファ−オレフィンの1つまたは複数の熱可塑性ポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。当該例示的なポリオレフィンは、800グラム/モルを超える分子量、例えば5000グラム/モルを超える分子量、または代替的に50000グラム/モルを超える分子量を有することができる。
【0027】
一実施形態において、1つまたは複数のポリオレフィンは、60℃を超える結晶融点、例えば95℃を超える結晶融点、または代替的に100℃を超える結晶融点、または代替的に120℃を超える結晶融点、または代替的に130℃を超える結晶融点を有する。
【0028】
一実施形態において、1つまたは複数の基材ポリマーの少なくとも1つは、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する熱可塑性極性ポリオレフィンポリマーを含む。例示的な極性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸グラフトポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、エチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマー、例えば、The Dow Chemical Companyから市販されている商品名PRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されている商品名NUCREL(商標)およびExxonMobil Chemical Companyから市販されている商品名ESCOR(商標)で入手可能なもの、ならびにそれぞれが当該極性ポリオレフィンを記載する範囲で参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号および同第5,938,437号に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されない。他の例示的な極性ポリオレフィンとしては、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
一実施形態において、極性ポリオレフィンポリマーは、分散処理において1つまたは複数の中和剤、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニアまたは有機アミンなどの塩基で中和することができるエチレン−アクリル酸(EAA)またはエチレン−メタクリル酸コポリマーである。
【0030】
熱可塑性材料は、非ポリオレフィン熱可塑性材料を含むことができる。当該非ポリオレフィン熱可塑性材料としては、ポリスチレン、(エラストマーを含む)スチレンコポリマー、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、メタクリル酸スチレン、スチレンアクリル酸ブチル、スチレンメタクリル酸ブチルおよびスチレンブタジエンなどのアクリル酸スチレンならびに架橋スチレンポリマーなどのポリマー;ならびにスチレン−ブタジエンコポリマーおよびその水和物ならびにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーなどの(エラストマーを含む)スチレンブロックコポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニルと酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシアルキルおよびメタクリル酸グリシジル等とのコポリマー、ポリアクリル酸メチルならびにポリメタクリル酸メチルなどのポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン6,6およびナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル;ポリヒドロキシエーテル、ポリヒドロキシアミノエーテルおよびポリヒドロキシエステル等のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルとビスフェノール−Aとの反応生成物等のポリヒドロキシエーテル、例えばビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルとエタノールアミンとの反応生成物としてのポリヒドロキシアミノエーテル、およびビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルとイソフタル酸またはテレフタル酸との反応生成物等のポリヒドロキシエステル;ポリカーボネートおよびポリフェニレンオキシド等;ポリ−ジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(コポリマー、ターポリマー)を含むガラス質炭化水素系樹脂;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサティック酸ビニルおよび酪酸ビニル等の飽和酸とモノオレフィンアルコールとのエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸ブチル等を含む不飽和モノカルボン酸のエステルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合によって生成される樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独または2つ以上の組合せで使用することができる。
【0031】
基材ポリマーとしての例示的な(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチルおよびアクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソプロピルならびにアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジルおよびアクリルアミドが挙げられるが、それらに限定されない。好適な(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリルアミドが挙げられるが、それらに限定されない。モノマーから重合することができる他の好適な(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸およびメタクリル酸エステルモノマー:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリルジシクロペンテニル、メタクリル酸フェニルを含む低級アクリル酸およびメタクリル酸アルキルが挙げられる。
【0032】
選択された実施形態において、基材ポリマーは、例えば、エチレン−アルファオレフィンコポリマー、プロピレン−アルファオレフィンコポリマーおよびオレフィンブロックコポリマーからなる群から選択される1つまたは複数のポリオレフィンを含むことができる。特に、いくつかの実施形態において、基材ポリマーは、1つまたは複数の非極性ポリオレフィンを含むことができる。
【0033】
一部の具体的な実施形態において、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマーおよびそれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどのポリオレフィンを使用することができる。いくつかの実施形態において、例示的なオレフィンポリマーとしては、例えば米国特許第3,645,992号に記載されている均一ポリマー;例えば米国特許第4,076,698号に記載されている高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分岐直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一分岐直鎖状超低密度ポリエチレン(ULDPE);均一分岐直鎖状エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー;例えば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,272,236号および同第5,278,272号に開示されている方法によって製造することができる均一に分岐した実質的に直鎖状のエチレン/アルファ−オレフィンポリマー;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)などの高圧遊離ラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0034】
他の特定の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリマーであってもよい。他の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル(EMA)系ポリマーであってもよい。他の特定の実施形態において、エチレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセンまたはエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってもよい。他の特定の実施形態において、プロピレン−アルファオレフィンコポリマーは、例えば、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーまたはインターポリマーであってもよい。
【0035】
1つの特定の実施形態において、基材ポリマーは、実質的にアイソタクチックプロピレン配列を有することを特徴とするプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーであってもよい。「実質的にアイソタクチックプロピレン配列」は、配列が、13C NMRで測定された約0.85を超えるアイソタクチックトリアド(mm)、代替的に約0.90を超えるアイソタクチックトリアド(mm)、別の代替において約0.92を超えるアイソタクチックトリアド(mm)、別の代替において約0.93を超えるアイソタクチックトリアド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトリアドは、当該技術分野で周知であり、例えば、13C NMRスペクトルによって測定されるコポリマー分子鎖におけるトリアド単位に関してアイソタクチック配列に言及する米国特許第5,504,172号および国際公開第00/01745号に記載されている。
【0036】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶度を有することができる。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までの全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、結晶度は、下限の1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)から上限の30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)までであり得る。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶度を有することができ、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶度を有することができ、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶度を有することができ、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶度を有することができる。結晶度は、示差走査熱分析(DSC)法により測定される。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、プロピレンから誘導される単位および1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導されるポリマー単位を含む。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを製造するために利用される例示的なコモノマーとしては、CおよびCからC10アルファ−オレフィン、例えばC、C、CおよびCアルファ−オレフィンである。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された1から40重量パーセントの単位を含む。1から40重量パーセントの全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導される単位の重量パーセントは、下限の1、3、4、5、7または9重量パーセントから上限の40、35、30、27、20、15、12または9重量パーセントまでであり得る。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された1から35重量パーセントの単位を含み、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された1から30重量パーセントの単位を含み、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された3から27重量パーセントの単位を含み、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された3から20重量パーセントの単位を含み、または代替的に、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1つまたは複数のアルファ−オレフィンコモノマーから誘導された3から15重量パーセントの単位を含む。
【0037】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、重量平均分子量÷数平均分子量(M/M)で定義される分子量分布(MWD)が3.5以下、代替的に3.0以下、または別の代替において1.8から3.0である。当該プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,960,635号および同第6,525,157号に詳細に記載されている。当該プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、商品名VERSIFY(商標)でThe Dow Chemical Companyから市販されており、または商品名VISTAMAXX(商標)でExxonMobil Chemical Companyから市販されている。
【0038】
一実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、(A)プロピレンから誘導された60から100未満、好ましくは80から99以上、好ましくは85から99重量パーセントの単位と、(B)エチレンおよび/またはC4〜10α−オレフィンの少なくとも一方から誘導された0超から40、好ましくは1から20、より好ましくは4から16、さらにより好ましくは4から15重量パーセントの単位とを含むことを特徴とし、1000個の全炭素当たり平均で少なくとも0.001、好ましくは平均で少なくとも0.005、より好ましくは平均で少なくとも0.01の長鎖分枝を含み、長鎖分枝という用語は、本明細書に使用されているように、短鎖分枝より長い少なくとも1つの炭素の鎖長を指し、短鎖分枝は、本明細書に使用されているように、コモノマーにおける炭素の数より2つ炭素小さい鎖長を指す。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、少なくとも7炭素長の長鎖分枝を有する主鎖を有するが、これらの主鎖は、わずかに6炭素長の短鎖分枝をも有する。長鎖分枝の最大数は、典型的に1000個の全炭素当たり3つの長鎖分枝を超えない。当該プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、さらに、それぞれが参照により本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号に詳細に記載されている。
【0039】
他の選択された実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えばエチレンマルチブロックコポリマー、例えば、当該オレフィンブロックコポリマーを記載する範囲で参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2005/090427号および米国特許出願公開第US2006/0199930号に記載されているものを基材ポリマーとして使用することができる。当該オレフィンブロックコポリマーは、
(a)約1.7から約3.5のM/M、摂氏度の単位の少なくとも1つの融点Tおよびグラム/立方センチメートルの単位の密度dを有し、Tおよびdの数値が
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
の関係に対応し;あるいは
(b)約1.7から約3.5のM/Mを有し、J/gの単位の融解熱ΔHおよび最大DSCピークと最大CRYSTAFピークとの温度差で定義される摂氏度の単位のデルタ量ΔTによって特徴づけられ、ΔTおよびΔHの数値が、
0より大きく130J/gまでのΔHについてはΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gを超えるΔHについてはΔT≧48℃
の関係を有し、CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5%を使用して決定され、ポリマーの5%よりも少ないものが同定可能なCRYSTAFピークを有する場合は、CRYSTAF温度が30℃であり;あるいは
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される300パーセント歪みおよび1サイクルにおけるパーセントの単位の弾性回復率Reによって特徴づけられ、グラム/立方センチメートルの単位の密度dを有し、Reおよびdの数値が、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有さない場合に、
Re>1481−1629(d)
の関係を満たし;あるいは
(d)同じ温度間で溶出する同等のランダムエチレンインターポリマーフラクションより少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することを特徴とする、TREFを使用して分別された場合に40℃と130℃の間で溶出する分子フラクションを有し、前記同等のランダムエチレンインターポリマーが、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーに対して10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーに基づく)モルコモノマー含有量を有し;あるいは
(e)25℃の貯蔵弾性率G’(25℃)および100℃の貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、G’(25℃)とG’(100℃)との比が約1:1から約9:1であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーであってもよい。
【0040】
当該オレフィンブロックコポリマー、例えばエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、
(a)少なくとも0.5および約1までのブロックインデックスならびに約1.3を超える分子量分布M/Mを有することを特徴とする、TREFを使用して分別された場合に40℃と130℃の間で溶出する分子フラクションを有し、あるいは
(b)0より大きく約1.0までの平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mを有することもできる。
【0041】
一部の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する極性ポリマーを含むことができる。例示的な実施形態において、基材ポリマーは、例えば、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する1つまたは複数の極性ポリオレフィンを含むことができる。例示的な極性ポリオレフィンとしては、The Dow Chemical Companyから市販されている商品名PRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されている商品名NUCREL(商標)およびExxonMobil Chemical Companyから市販されている商品名ESCOR(商標)で入手可能なもの、ならびにそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号および同第5,938,437号に記載されているものなどのエチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。他の例示的な基材ポリマーとしては、エチレン酢酸エチル(EEA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
他のエチレン−カルボン酸コポリマーを使用することもできる。1つまたは複数の基材ポリマーを1つまたは複数の極性ポリマーにおける官能性酸基の化学的変性によって誘導して、ヒドロキシルエステル基またはアミド等を形成することも可能である。多くの他の有用なポリマーも使用できることを当業者なら認識するであろう。別の基材ポリマーは、エチレンビニルアルコールおよびエチレン酢酸ビニル等のコポリマーを含み得る。
【0043】
一実施形態において、基材ポリマーは、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマーおよびそれらの組合せからなる群から選択される極性ポリオレフィンを含むことができ、安定剤は、例えば、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマーおよびそれらの組合せからなる群から選択される極性ポリオレフィンを含むことができる。ただし、基材ポリマーは、例えば、ASTMD−974に従って測定された酸価が安定剤より小さくてもよい。
【0044】
一部の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、ポリエステル樹脂を含むことができる。ポリエステル樹脂は、少なくとも1つのエステル結合を含むポリマーを含むことができる熱可塑性または熱硬化性樹脂を指す。それらは、ヒドロキシル官能性またはカルボキシル官能性であり得る。例えば、ポリカルボン酸またはその無水物に対してモル過剰の脂肪族ジオールまたはグリコールを使用して従来のエステル化プロセスによりポリエステルを製造することができる。トリオールまたはポリオールを使用して分枝状ポリエステルを提供することができる。ポリエステルを製造するために採用することができるグリコール、トリオールおよびポリオールの実例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびより高次のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびより高次のポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよび他のブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび他のペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオールおよびドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジメタノール、約500以下のmwを有するポリエチレンまたはポリプロピレングリコール、イソプロピリデンビス(p−フェニレン−オキシプロパノール−2)およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、脂肪族グリコールは、2から約8個の炭素原子を含むことができる。
【0045】
ポリエステルを製造するために使用することができるポリカルボン酸または無水物の実例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチル1,6−ヘキサン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、フタル酸、無水フタル酸、5−tertブチルイソフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水テトラクロロフタル酸、クロレンド酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン−ジカルボン酸およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、アルカン二酸は、4から12個の炭素原子を含むことができる。ジメチルエステルまたはポリカルボン酸の無水物などのポリカルボン酸のエステル化可能誘導体を使用して、ポリエステルを製造できることも理解される。
【0046】
本発明の他の実施形態は、The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から入手可能なUNOXOL(商標)(シスおよびトランス1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノールの混合物)などの脂肪族ジオールを含有するポリエステル樹脂を使用する。
【0047】
一部の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、エポキシ樹脂を含む熱硬化性材料を含む。エポキシ樹脂は、分子毎に1つまたは複数の近接エポキシ基、すなわち分子毎に少なくとも1つの1,2−エポキシ基を有する組成物を指す。概して、当該化合物は、少なくとも1つの1,2−エポキシ基を有する飽和または不飽和脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式化合物である。望まれる場合は、当該化合物をハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基および低級アルキル等の1つまたは複数の非干渉性置換基で置換することができる。所望のエポキシ樹脂を製造する際に、1つまたは複数のエポキシ含有物質を併用することができる。
【0048】
例示的なエポキシは、1967年にMcGraw−Hill(ニューヨーク州)によって出版されたH.E.LeeおよびK.Nevilleによるエポキシ樹脂のハンドブック(Handbook of Epoxy Resins)および参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,066,628号に記載されている。
【0049】
本発明を実施する際に使用することができる特に有用な化合物は、以下の式を有するエポキシ樹脂である。
【0050】
【化1】
[式中、
nは0以上の平均値を有する]。
【0051】
本発明に有用なエポキシ樹脂としては、例えば、多価フェノールおよび多価アルコールのグリシジルポリエーテルを挙げることができる。本発明の実例として、本発明に使用することができる既知のエポキシ樹脂の例は、例えば、レソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、テトラメチル−テトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、テトラクロロビスフェノールAおよびそれらの任意の組合せのジグリシジルエーテルを含む。
【0052】
本発明に特に有用なジエポキシドの例としては、(一般にビスフェノールAと称する)2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのジグリシジルエーテルおよび(一般にテトラブロモビスフェノールAと称する)2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのジグリシジルエーテルが挙げられる。本発明を実施する際に任意の2つ以上のポリエポキシドの混合物を使用することもできる。
【0053】
他の例示的なジエポキシドとしては、いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,246,751号、同第5,115,075号、同第5,089,588号、同第4,480,082号および同第4,438,254号に記載されているものなどの二価フェノールのジグリシジルエーテルまたは米国特許第5,171,820号に記載されているものなどのジカルボン酸のジグリシジルエステルが挙げられる。他の例示的なジエポキシドとしては、例えば(The Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)の製品のD.E.R.(登録商標)300および600シリーズエポキシ樹脂として商業的に既知である)αω−ジグリシジルオキシイソプロピリデン−ビスフェノール系エポキシ樹脂が挙げられる。
【0054】
本発明を実施する際に採用することができるエポキシ樹脂としては、また、二価フェノールのジグリシジルエーテルと二価フェノールとの反応または二価フェノールとエピクロロヒドリンとの反応によって製造されるエポキシ樹脂(「タフィー(taffy)樹脂」としても既知である)が挙げられる。
【0055】
例示的なエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル;4,4’−スルホニルジフェノール;4,4−オキシジフェノール;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;レソルシノール;ヒドロキノン;カテコール;9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;4,4’−ジヒドロキシビフェニルまたは4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベンおよびジカルボン酸のジグリシジルエステルが挙げられる。
【0056】
他の有用なエポキシ化合物としては、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルまたはグリセロールトリグリシジルエーテル等などの脂肪族エポキシドが挙げられる。
【0057】
他の有用なエポキシド化合物としては、脂環式エポキシドが挙げられる。脂環式エポキシドは、例えば以下の一般式で例示されるように炭素環における2つの近接原子に結合したエポキシ酸素を有する飽和炭素環からなる。
【0058】
【化2】
[式中、
Rは、(限定することなくCl、BrおよびSなどの)1つまたは複数のヘテロ原子または(限定することなくSi、PおよびBなどの)炭素と安定した結合を形成する原子または原子群を場合により含み、nは1以上である炭化水素基である]。
【0059】
脂環式エポキシドは、モノエポキシド、ジエポキシド、ポリエポキシドまたはそれらの混合物であってもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,686,359号に記載されている脂環式エポキシドのいずれかを本発明に使用することができる。実例として、本明細書に使用することができる脂環式エポキシドは、例えば、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル)−3,4−エポキシ−シクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノオキシドおよびそれらの混合物を含む。
【0060】
一部の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、前記エポキシ樹脂の1つと、アジピン酸、2−メチル−1,6−ヘキサン酸、ピメル酸、スベリン酸、ドデカン二酸、フタル酸、5−tertブチルイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンージカルボン酸およびそれらの混合物などの(ただし、それらに限定されない)二酸とを共反応させることによって生成された変性エポキシ樹脂を含む熱硬化性材料を含むことができる。
【0061】
一部の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、変性エポキシ樹脂を含む熱硬化性材料を含むことができる。変性を、エポキシ樹脂の末端エポキシ基と、カルボン酸基、フェノールヒドロキシル、アルキルもしくはグリコールヒドロキシル、チオールまたはアミン基等の求核性基含有物質との反応によって開始することができる。それは、前記エポキシ基とリン酸、塩化水素または臭化水素等の酸との反応生成物であってもよい。それは、前記エポキシ基と水またはビスフェノール−Aなどのフェノール化合物との反応生成物であってもよい。それは、前記エポキシ基と酸官能性ポリエステル樹脂との反応生成物であってもよい。
【0062】
一部の実施形態において、基材ポリマーは、例えば、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタンポリマーを含むことができる。当該ポリウレタンポリマーは、広く知られており、さらに、それが熱可塑性ポリウレタンポリマーを記載する範囲で参照により本明細書に組み込まれている例えば国際公開第2008/057878号に記載されている。
【0063】
上記リストは、例示的な基材ポリマーの非包含的なリストであることを当業者なら認識するであろう。本発明の範囲は、請求項によってのみ限定されることが理解されるであろう。
【0064】
一部の実施形態において、基材ポリマーは熱可塑性ポリアミドで構成される。当該ポリアミドポリマーは、広く知られており、例えば、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン610およびナイロン11およびナイロン12等である。
【0065】
安定剤
水性分散体は、安定な分散体の形成を促進するための少なくとも1つまたは複数の安定剤をさらに含むことができる。安定剤は、好ましくは、外部安定剤であってもよい。本発明の分散体は、分散体の固形分の全重量に基づいて1から50重量パーセントの1つまたは複数の安定剤を含む。1から45重量パーセントの全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、重量パーセントは、下限の1、3、5、10重量パーセントから上限の15、25、35、45または50重量パーセントまでであり得る。例えば、分散体は、分散体の固形分の全重量に基づいて、1から25、または代替的に1から35、または代替的に1から40、または代替的に1から45重量パーセントの1つまたは複数の安定剤を含むことができる。選択された実施形態において、安定剤は、界面活性剤、ポリマーまたはそれらの混合物であってもよい。一部の実施形態において、安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する極性ポリマーであり得る。例示的な実施形態において、安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーとして極性基を有する1つまたは複数の極性ポリオレフィンを含む。例示的なポリマー安定剤としては、The Dow Chemical Companyから市販されている商品名PRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されている商品名NUCREL(商標)およびExxonMobil Chemical Companyから市販されている商品名ESCOR(商標)で入手可能なもの、ならびにそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号および同第5,938,437号に記載されているものなどのエチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。他の例示的なポリマー安定剤としては、エチレンアクリル酸エチル(EAA)コポリマー、エチレンメタクリル酸メチル(EMMA)およびエチレンアクリル酸ブチル(EBA)が挙げられるが、それらに限定されない。他のエチレン−カルボン酸コポリマーも使用できる。多くの他の有用なポリマーも使用できることを当業者なら認識するであろう。
【0066】
一部の実施形態において、安定剤は、ポリマーがヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、カルボン酸、エステルまたは無水物基で変性されたポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーなどの官能化ポリオレフィンであってもよい。ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーおよびコポリマーなどの官能化ポリオレフィンは、例えば、Clariant Corporationから商品名LICOCENE4351およびLICOSENE6452で入手可能であり、Baker Hughes,Inc.の子会社であるBaker Petroliteから入手可能である。
【0067】
使用できる他の安定剤としては、12から60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、脂肪酸塩または脂肪酸アルキルエステルが挙げられるが、それらに限定されない。他の実施形態において、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は、12から40個の炭素原子を有することができる。
【0068】
本発明を実施する際に有用であり得るさらなる安定剤としては、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤が挙げられるが、それらに限定されない。陰イオン界面活性剤の例としては、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。陽イオン界面活性剤の例としては、四級アミンが挙げられるが、それらに限定されない。非イオン界面活性剤の例としては、エチレンオキシドおよびシリコーン界面活性剤を含むブロックコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。本発明を実施する際に有用な安定剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤であり得る。外部界面活性剤は、分散体製造時に基材ポリマーに化学的に反応しない界面活性剤である。本明細書に有用な外部界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。内部界面活性剤は、分散体製造時に基材ポリマーに化学的に反応する界面活性剤である。本明細書に有用な内部界面活性剤の例は、2,2−ジメチロールプロピオン酸およびその塩を含む。本発明を実施する際に有用であり得るさらなる界面活性剤としては、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤またはそれらの組合せが挙げられる。それぞれRTD Hallstarから入手可能なOP−100(ステアリン酸ナトリウム)、OPK−1000(ステアリン酸カリウム)およびOPK−181(オレイン酸カリウム);Baker Petroliteから入手可能なUNICID350;それぞれCognisから入手可能なDISPONIL FES77−ISおよびDISPONIL TA−430;それぞれRhodiaから入手可能なRHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33および796/P、RHODACAL BX−78およびLDS−22、RHODAFAC RE−610およびRM−710およびSUPRAGIL MNS/90;ならびにそれぞれThe Dow Chemical Company(ミシガン州Midland)から入手可能なTRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10およびTRITON CG−110を含む様々な市販の界面活性剤を本明細書に開示されている実施形態に使用することができる。
【0069】
使用することが可能であるさらなる安定剤は、アクリル酸および/またはメタクリル酸ならびにそれらの(C〜C30)エステルまたはアミド;アクリルアミド/メタクリルアミドおよびそれらのN置換誘導体;アクリロニトリル;スチレンおよび置換スチレン誘導体などのエチレン不飽和モノマーからなる溶液または懸濁ポリマーである。
【0070】
例示的なポリマー安定剤としては、(i)5から95重量%の1つまたは複数の親水性モノマーと(ii)5から95重量%の1つまたは複数の共重合性エチレン不飽和疎水性モノマーとの反応生成物を含むコポリマーである両親媒性コポリマー組成物が挙げられるが、それらに限定されない。これらの材料は、特に中和されると水溶性または乳化性であり、コロイド安定剤として作用することができる。例示的な安定剤としては、例えば、ブチルアクリル酸塩およびラウリルメタクリル酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。
【0071】
両親媒性コポリマー組成物の製造に好適な代表的な非イオン水溶性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、t−ブチルアクリルアミド、Nメチロールアクリルアミド、メチル(メタ)アクリル酸塩、アクリル酸ブチルおよびエチルアクリル酸塩などのアルキル(メタ)アクリル酸塩、エチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジ−イソブチルエチレン、酢酸ビニルおよびN−ビニルピロリドンなどのビニルモノマーおよび(メタ)アクリル酸アリルなどのアリルモノマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0072】
両親媒性コポリマー組成物の製造に好適な代表的な陽イオン水溶性モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、t−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチル(メタ)アクリル酸トリブチルアンモニウムTBAEMA、DMAEMA、DMAPMAM、塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化メチルアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム(MAPTAC)、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム(APTAC)、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ポリクオタニウム−11およびポリクオタニウム−4などのアミン官能性モノマーの四級アンモニウム塩が挙げられるが、それらに限定されない。
【0073】
両親媒性コポリマー組成物の製造に好適な「陰イオン」または「酸含有モノマー」としては、カルボン酸基、リン酸基、ホスフィン酸基、スルフィン酸基およびスルホン酸基を含むエチレン不飽和モノマーが挙げられるが、それらに限定されない。好適な例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、ビニルリン酸およびビニルスルホン酸が挙げられる。
【0074】
代替的な実施形態において、1つまたは複数の安定剤は、アクリル樹脂またはアクリルモノマーと反応してポリエステルアクリレート、ポリアミドアクリレートエポキシ樹脂アクリレートを形成することができるポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂に基づいていてもよい。
【0075】
安定剤を製造するための好適なポリエステル樹脂を、多塩基酸分子毎に少なくとも2つのカルボキシル基を含む多塩基酸(例えば、少なくとも二塩基のポリカルボン酸)と、多価アルコール中に少なくとも2つのヒドロキシル基を含む多価アルコール(例えば少なくとも二価アルコール)とを、溶媒を存在させるか、または存在させずに高温にて従来のエステル化触媒の存在下で反応させることによる当業者に周知の従来の手順に従って得ることができる。代替的に、ポリカルボン酸のアルキルエステルを高温の従来のエステル化触媒の存在下で反応させることができる。1つまたは複数の重合性二重結合を、重合性二重結合を含む多塩基酸および/または重合性二重結合を含む多価アルコールを採用することによってポリエステルに含めることができる。
【0076】
安定化剤としてのポリエステルアクリレートを、ポリエステルの存在下での共重合性エチレン不飽和モノマーの現場重合により形成することができる。例としては、エチレン不飽和単または多官能性酸、エチレン不飽和単または多官能性酸エステル、アミド、ニトリル、ならびにビニルモノマー、およびポリエステルを含むか、または反応流体が存在しないビニルエステルが挙げられる。溶媒中のポリエステルアクリレートを当業者に既知の好適な方法により乾燥させることができる。
【0077】
安定剤を製造するための好適なエポキシ樹脂を、ポリエポキシドと好適な多求核試薬とを反応させることによる当業者に周知の従来の手順に従って得ることができる。好適なエポキシドとしては、グリシジルエーテルおよび他のエポキシ基含有分子が挙げられるが、それらに限定されない。好適な多求核試薬としては、多価フェノールおよびポリフェノール、ポリチオール、脂肪族ポリアルコールまたは多塩基酸もしくはポリアミンが挙げられるが、それらに限定されない。例示的な好適なエポキシドとしては、例えば、溶媒を存在させるか、または存在させずに高温にて従来の触媒の存在下で、多価ポリフェノール中少なくとも2つのヒドロキシル基を含む多価フェノール(例えば、少なくとも二価フェノールまたはジフェノール)を有する、ポリグリシジルエーテル分子毎に少なくとも2つのグリシジルエーテル基を含むグリシジルエーテル(例えば少なくともジグリシジルエーテル)が挙げられるが、それに限定されない。例えば、溶媒を存在させるか、または存在させずに高温にて従来の触媒の存在下で、ポリグリシジルエーテル分子毎に少なくとも2つのグリシジルエーテル基を含むポリグリシジルエーテル(例えば少なくともジグリシジルエーテル)と、多塩基酸分子毎に少なくとも2つのカルボキシル基を含む多塩基酸(例えば少なくとも二塩基ポリカルボン酸)とを反応させることによる当業者に周知の従来の手順に従って別の種類のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0078】
安定剤を製造するためのエポキシアクリレートを、エポキシ樹脂の存在下での共重合性エチレン不飽和モノマーの現場重合により形成することができる。例としては、エチレン不飽和単または多官能性酸、エチレン不飽和単または多官能性酸エステル、アミド、ニトリル、ならびにビニルモノマー、およびエポキシ樹脂を含むか、または反応流体が存在しないビニルエステルが挙げられるが、それらに限定されない。代替的に、ポリマー酸官能性アクリル樹脂を好適な触媒の存在下でエポキシ樹脂と反応させてエポキシアクリレートを形成することができる。溶媒中のエポキシアクリレートを当業者に既知の好適な方法に従って乾燥させることができる。
【0079】
中和剤
安定剤を中和剤で部分的または完全に中和することができる。一部の実施形態において、長鎖脂肪酸またはEAAなどの安定剤の中和は、モルベースで25から200パーセントであってもよい。または代替的に、それは、モルベースで50から150パーセントであってもよい。または代替的に、それは、モルベースで50から120パーセントであってもよい。または代替的に、それは、モルベースで50から110パーセントであってもよい。例えば、EAAでは、中和剤は、例えば水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基であってもよい。他の中和剤としては、例えば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムを挙げることができる。別の代替において、中和剤は、例えば炭酸塩であってもよい。別の代替において、中和剤は、例えば、モノエタノールアミンなどのアミンまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)であってもよい。本明細書に開示されている実施形態において有用なアミンとしては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびTRIS AMINO(商標)(それぞれAngusから入手可能)、NEUTROL(商標)TE(BASFから入手可能)ならびにトリイソプロパノールアミン、ならびにジイソプロパノールアミンおよびN,N−ジメチルエタノールアミン(それぞれThe Dow Chemival Company(ミシガン州Midland)から入手可能)を挙げることができる。他の有用なアミンとしては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、1,2−ジアミノプロパン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、3−メトキシプロピルアミンおよびイミノビス−プロピルアミン等を挙げることができる。いくつかの実施形態において、アミンの混合物またはアミンと界面活性剤との混合物を使用することができる。一実施形態において、中和剤はポリマーアミン、例えばジエチレントリアミンであってもよい。適切な中和剤の選択は、処方される具体的な組成に左右されること、および当該選択は、当業者の知識内にあることを当業者なら理解するであろう。一実施形態において、沸点が250℃未満のアミンを中和剤として使用することができる。
【0080】
流動媒体
水性分散体は、流動媒体をさらに含む。流動媒体は任意の媒体であってもよい。例えば、流動媒体は水であってもよい。または代替的に、流動媒体は、水と1つまたは複数の有機溶媒、例えば、1つまたは複数の水混和性溶媒または1つまたは複数の水非混和性溶媒、あるいはそれらの組合せとの混合物であってもよい。本発明の分散体は、分散体の全容積に基づいて15から99容積パーセントの水を含む。特定の実施形態において、水分含量は、分散体の全容積に基づいて30から75、または代替的には35から65、または代替的には40から60容積パーセントの範囲であってもよい。好ましくは、固形分(1つまたは複数の基材ポリマー+安定剤)が約1容積パーセントから約99容積パーセントになるように分散体の水分含量を制御することができる。特定の実施形態において、固形分は、約15パーセントから約25パーセントの範囲であってよい。他の特定の実施形態において、固形分は、約25容積パーセントから約70容積パーセントの範囲であってもよい。他の特定の実施形態において、固形分は、約35容積パーセントから約65容積パーセントの範囲である。一部の他の実施形態において、固形分は、約40容積パーセントから約60容積パーセントである。
【0081】
追加的な構成成分
本発明の水性分散体を、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、酢酸ビニルエチレンラテックスおよびそれらの組合せなどの1つまたは複数の結合剤組成物;場合により1つまたは複数の充填剤;場合により触媒、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染を遮蔽する添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤などの1つまたは複数の添加剤;場合により脂肪酸エステル蝋、シリコン系蝋、フッ素系蝋、ポリエチレンもしくは任意の他の類似のポリオレフィン蝋、カルナウバ蝋またはラノリン蝋等の1つまたは複数の潤滑剤;場合によりアルミニウムおよび亜鉛などの1つまたは複数の腐食防止剤;場合により1つまたは複数の顔料、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、ミルドガラス、三水和アルミニウム、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよびクレー等;場合により1つまたは複数の共溶剤、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、アルコール、ミネラルスピリット、芳香族溶媒および安息香酸エステル等;場合により1つまたは複数の分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボキシレート;場合により1つまたは複数の界面活性剤;場合により1つまたは複数の防腐剤、例えば、殺生剤、殺黴剤、殺真菌剤、殺藻剤およびそれらの組合せ;場合により1つまたは複数の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、疎水性変性アルカリ可溶性エマルジョン(UCAR POLYPHOBE TR−116などのHASE増粘剤)および疎水性変性エトキシル化ウレタン増粘剤(HEUR);あるいは場合により1つまたは複数のさらなる中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニアおよび炭酸塩;場合により1つまたは複数の溶媒または融合助剤と場合によりブレンドすることができる。
【0082】
加えて、水性分散体を1つまたは複数の分散体、エマルジョン、懸濁液およびコロイド懸濁液等とブレンドすることができる。
【0083】
分散体の形成
水性分散体を当業者によって認識される任意の数の方法によって形成することができる。分散装置をバッチ、半バッチまたは連続方式で動作させることができる。分散に使用するミキサーの例としては、回転子−固定子、ミクロ流動化装置、高圧ホモジナイザ、超音波、衝突噴流、Cowlesブレード、遊星形ミキサーおよび押出機などの溶融混練装置が挙げられる。
【0084】
一実施形態において、1つまたは複数の基材ポリマー、1つまたは複数の安定剤を水、および場合によりアンモニア、水酸化カリウム、アミンまたは2つ以上の組合せなどの1つまたは複数の中和剤とともに押出機で溶融混練して分散体を形成する。別の実施形態において、1つまたは複数の基材ポリマーと1つまたは複数の安定剤とを混合し、次いで水、および場合により1つまたは複数の中和剤の存在下で押出機にて溶融混練することによって、分散体を形成する。いくつかの実施形態において、分散体を、最初に約1から約20重量%、例えば1から5重量%または1から3重量%の水を含むように希釈し、次いで約25重量%を超える水を含むようにさらに希釈する。一実施形態において、さらなる希釈を溶媒により達成することができる。
【0085】
当該技術分野で既知の任意の溶融混練手段を使用することができる。いくつかの実施形態において、混練機、BANBURY(登録商標)ミキサー、単軸押出機または多軸押出機、例えば二軸押出機を使用する。本発明に従って分散体を製造する方法は特に限定されない。例えば、一部の実施形態において、押出機、例えば二軸押出機は、背圧調整弁、溶融ポンプまたはギヤポンプに連結される。例示的な実施形態は、それぞれポンプを含む塩基貯蔵部および初期水貯蔵部をも設ける。所望の量の塩基および初期水をそれぞれ塩基貯蔵部および初期水貯蔵部から供給する。任意の好適なポンプを使用することができるが、いくつかの実施形態において、例えば、240バールの圧力で約150cc/分の流量を提供するポンプを使用して、塩基および初期水を押出機に供給する。他の実施形態において、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分の流量を提供する。いくつかの実施形態において、塩基および初期水を予熱器で予熱する。
【0086】
ペレット、粉末またはフレークの形の1つまたは複数の基材ポリマーを供給機から押出機の入口に供給し、そこで樹脂を溶融または混合する。1つまたは複数の追加的構成成分を、供給機を介して、場合により1つまたは複数の基材ポリマーと同時に押出機に供給することができる。または代替的に、1つまたは複数の追加的構成成分を1つまたは複数の基材ポリマーに混入し、次いで供給機を介して押出機に供給することができる。代替的に、さらなる1つまたは複数の追加的構成成分を、さらに、乳化域前に入口を介して、1つまたは複数の基材ポリマーを含む溶融化合物に場合により計量導入することができる。いくつかの実施形態において、分散剤を、樹脂を通じて、樹脂とともに1つまたは複数の基材ポリマーに添加し、他の実施形態において、分散剤を二軸押出機に個別に供給する。次いで、溶融樹脂を混合および輸送域から、水および塩基貯蔵部からの初期量の水および塩基が入口を通じて添加される押出機の乳化域に送達する。いくつかの実施形態において、分散剤を追加的または排他的に水流に添加することができる。いくつかの実施形態において、押出機の希釈および冷却域における水貯蔵部から水入口を介してさらなる希釈水を添加することができる。典型的には、冷却域において、分散体を少なくとも30重量パーセントの水に希釈する。加えて、希釈混合物を、所望の希釈レベルが達成されるまで任意の回数だけ希釈することができる。いくつかの実施形態において、好適な熱交換器の使用によって押出機を出た後に分散体をさらに冷却する。他の実施形態において、水を二軸押出機内に加えるのでなく、溶融物が押出機から出た後に樹脂溶融物を含む流れに添加する。このように、押出機における蒸気圧力の上昇をなくし、回転子−固定子ミキサーなどの二次混合装置にて分散体を形成する。
【0087】
別の実施形態において、溶融混練押出機を使用せずに、水性分散体を連続高剪断ミキサーで形成することができる。この実施形態において、1つまたは複数の液体あるいは溶融基材ポリマーを含む第1の流れを、好適な液体ポンプ、例えば、シリンジポンプ、ギヤポンプまたは一軸ねじポンプから連続高剪断ミキサーに供給する。第1の流れを、第1の導管を通じて流し、第2の導管を流される、連続水相を含む第2の流れと連続的に合流させる。任意の中和剤を伴う安定剤の存在下で、第1の流れと第2の流れを合流させて分散機に導入する。それらの薬剤を第1もしくは第2の流れに添加するか、または個別の流れとして添加することができる。水を含む第3の流れを分散機の下流に加えることができる。流れの流速を調整して、所望の量のポリマー相および固体含有率を有する分散体を得る。分散機は、いくつかの連続式インラインミキサー、例えば、IKA高剪断ミキサー、Oakes回転子−固定子ミキサー、Rossミキサー、Silversonミキサーまたは遠心ポンプのいずれか1つであり得る。分散体における分散疎水相の粒径を制御するのに役立つように分散機のrpm設定を使用することができる。システムを加熱して、ポンプ輸送に好適な粘度のポリマーおよび中和剤構成成分を提供することができる。背圧調節装置、ギヤポンプ、計量ポンプまたは他の好適な装置をプロセスの出口付近で使用することにより圧力を制御することによって蒸気形成を抑制する。いくつかの実施形態において、好適な熱交換器の使用によって、分散機を出た後に分散体をさらに冷却する。
【0088】
別の実施形態において、ミキサーを例えば加圧タンク内に配置して、例えば蒸気形成を抑制することができる高剪断ミキサーを使用して水性分散体をバッチまたは半バッチ法で形成することができる。分散体の全てまたは少なくとも一部を処理時にタンクから除去し、場合により好適な熱交換器の使用によって冷却する。
【0089】
水性分散体の製造時に、場合により1つまたは複数の充填剤;場合により触媒、湿潤剤、消泡剤、流動剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄汚染を遮蔽する添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤などの1つまたは複数の添加剤;場合により脂肪酸エステル蝋、シリコン系蝋、フッ素系蝋、ポリエチレンもしくは任意の他の類似のポリオレフィン蝋、カルナウバ蝋またはラノリン蝋等の1つまたは複数の潤滑剤;場合によりアルミニウムおよび亜鉛などの1つまたは複数の腐食防止剤;場合により1つまたは複数の顔料、例えば、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、ミルドガラス、三水和アルミニウム、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよびクレー等;場合により1つまたは複数の染料;場合により1つまたは複数の共溶剤、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、アルコール、ミネラルスピリットおよび安息香酸エステル等;場合により1つまたは複数の分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボキシレート;場合により1つまたは複数の界面活性剤;場合により1つまたは複数の消泡剤;場合により1つまたは複数の防腐剤、例えば、殺生剤、殺黴剤、殺真菌剤、殺藻剤およびそれらの組合せ;場合により1つまたは複数の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、疎水性変性アルカリ可溶性エマルジョン(UCAR POLYPHOBE TR−116などのHASE増粘剤)および疎水性変性エトキシル化ウレタン増粘剤(HEUR);あるいは場合により1つまたは複数のさらなる中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニアおよび炭酸塩を水性分散体配合物に添加することができ、あるいは代替的に分散体配合処理後の分散体に添加することができる。
【0090】
水性分散体の製造時に、1つまたは複数の安定剤を水性分散体配合物に添加することもでき、あるいは代替的に分散体配合処理後の分散体に添加することができる。
【0091】
場合により1つまたは複数の基材ポリマーの分散時に、別のポリマー分散体またはエマルジョンを分散体の水相の一部として使用することができる。例としては、アクリル、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィンおよびポリアミド等を含む分散体、エマルジョン、懸濁液、コロイド懸濁液が挙げられるが、それらに限定されない。
【0092】
コーティング塗布および被覆容器またはクロージャデバイスの形成
水性分散体を、例えば、容器、例えば缶、コーティング塗布またはクロージャデバイスコーティング塗布に使用することができる。当該被覆容器デバイスとしては、飲料缶、食品缶などの缶;非食品、例えばヘアスプレー、染髪料またはカラースプレーラッカーのための容器などのエアロゾル容器;ドラム;樽;バケツ;装飾錫;オープントレー;チューブ、ボトルおよびモノブロック等が挙げられるが、それらに限定されない。被覆クロージャデバイスとしては、キャップ、ヨーグルトおよびバター容器のための薄アルミニウム箔系蓋などの蓋または王冠コルク;ロールオンクロージャなどのガラス瓶およびボトルのためのクロージャ、真空クロージャ、改竄防止クロージャ、缶クロージャのためのイージーピール蓋および缶のためのイージーオープン端部または従来の端部が挙げられるが、それらに限定されない。缶は、ツーピース缶またはスリーピース缶であり得る。飲料缶としては、ビール缶、炭酸ソフトドリンク缶、活力ドリンク缶、等張ドリンク缶、ウォーター缶、ジュース缶、ティー缶、コーヒー缶およびミルク缶等が挙げられるが、それらに限定されない。食品缶としては、野菜缶、果物缶、食肉缶、スープ缶、即席食料缶、魚缶、食用油缶およびソース缶等が挙げられるが、それらに限定されない。当該缶は任意の形状を有することができる。例えば、当該缶は、円筒形、立方体形、球形、半球形、瓶形、長形立方体形、浅形もしくは高形、丸形もしくは長方形または任意の他の好適な形状を有することができる。本発明による被覆容器デバイスを任意の従来の方法により形成することができる。例えば、被覆容器デバイスを打抜き加工、絞り加工、再絞り加工、壁しごき加工、曲げ加工、ビーディング加工、エンボス加工、デボス加工、フランジ取付け加工、ネッキング加工、延伸、ブロー延伸および任意の他の好適な従来の方法により形成することができる。当該方法は、当業者に広く知られている。水性分散体を、例えば、金属基板、例えば金属シートまたは金属箔に塗布し、次いで被覆基板を被覆容器デバイスまたは被覆クロージャデバイスに形成することができる。代替的に、金属基板を容器デバイスまたはクロージャデバイスに形成することができ、次いで容器デバイスまたはクロージャデバイスを1つまたは複数の水性分散体で被覆して、被覆容器デバイスまたは被覆クロージャデバイスを形成する。コーティングを任意の方法、例えば、ローラ塗装、スプレー塗装、粉末塗装、浸漬塗装、電着塗装、印刷、洗浄塗装、流し塗装、カーテン塗装により塗布することができる。
【0093】
金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体を任意の従来の乾燥方法により乾燥させることができる。当該従来の乾燥方法としては、風乾、従来のオーブン乾燥、熱風乾燥および/または赤外線オーブン乾燥が挙げられるが、それらに限定されない。金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体を任意の温度で乾燥させることができる。例えば、それを基材ポリマーの融点以上の範囲内の温度で乾燥させることができる。または代替的に、それを基材ポリマーの融点未満の範囲内の温度で乾燥させることができる。金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体を約60°F(15.5℃)から約700°F(371℃)の範囲内の温度で約40分間未満、例えば20分間未満、または10分間未満、または5分間未満、または2分間未満、または1分間未満、または20秒間未満の時間にわたって乾燥させることができる。約60°F(15.5℃)から約700°F(371℃)までの全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体を約60°F(15.5℃)から約500°F(260℃)の範囲内の温度で約40分間未満、例えば20分間未満、または10分間未満、または5分間未満、または2分間未満、または1分間未満の時間にわたって乾燥させることができ、あるいは代替的に、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体を約60°F(15.5℃)から約450°F(232.2℃)の範囲内の温度で約40分間未満、例えば20分間未満、または10分間未満、または5分間未満、または2分間未満、または1分間未満の時間にわたって乾燥させることができる。金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約40分間未満の時間にわたって基材ポリマーの溶融以上の範囲内の温度まで上昇させることができる。約40分間未満の全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含められ、本明細書に開示される。例えば、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約20分間未満の時間にわたって基材ポリマーの溶融以上の範囲内の温度まで上昇させることができ、あるいは代替的に、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約5分間未満の時間にわたって基材ポリマーの溶融以上の範囲内の温度まで上昇させることができ、あるいは代替的に、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約0.5から300秒間の範囲内の時間にわたって基材ポリマーの溶融以上の範囲内の温度まで上昇させることができる。別の代替において、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を40分間未満の時間にわたって基材ポリマーの融点未満の範囲内の温度まで上昇させることができる。約40分間未満の全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含められ、本明細書に開示される。例えば、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約20分間未満の時間にわたって基材ポリマーの融点未満の範囲内の温度まで上昇させることができる。あるいは代替的に、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約5分間未満の時間にわたって基材ポリマーの溶融未満の範囲内の温度まで上昇させることができ、あるいは代替的に、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体の温度を、約0.5から300秒間の範囲内の時間にわたって基材ポリマーの溶融未満の範囲内の温度まで上昇させることができる。
【0094】
被覆金属基板を1つまたは複数の従来のコーティング組成物でさらに被覆することができ、あるいはそれを1つまたは複数の他の層にさらに貼り合わせることができる。当該従来のコーティング組成物は、当業者に広く知られており、それらは、エポキシ樹脂コーティング組成物、アクリレート系コーティング組成物およびポリエステル系コーティング組成物を含むことができるが、それらに限定されない。貼合せ方法は、広く知られており、例示的な貼合せ層としては、ポリエステル積層材、ポリプロピレン積層材などのポリオレフィン系積層材を挙げることができる。
【0095】
1つまたは複数のコーティング層として金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体は、ASTM−D3359−08に従って測定された少なくとも3B、例えば5Bの碁盤目評価値を有することができる。1つまたは複数のコーティング層として金属基板、例えば予め被覆された金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体は、少なくとも10、例えば少なくとも20のメチルエチルケトン(MEK)二重擦り評価値を有することができる。1つまたは複数のコーティング層として金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体は、Gardner「COVERALL」曲げ試験機IG1125によって測定された少なくとも90パーセントのクサビ曲げパス評価値を有することができる。
【実施例】
【0096】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明の実施例は、金属基板の少なくとも1つの表面に塗布される1つまたは複数の水性分散体が、コーティング層の柔軟性ならびに金属基板に対するコーティング層の接着性の向上をもたらすことを実証する。
【0097】
発明の水性分散体Aの製造
水性分散体Aを、表Iに記載される配合物構成成分に基づいて、以下の手順に従って製造した。約9から10重量パーセントの範囲内のアクリル酸含有量および約1.3から1.6g/10分(ASTM D1238、190℃/2.16Kg)の範囲内のメルトインデックスを有し、The Dow Chemical Companyから入手可能な基材ポリマーとしてのエチレンアクリル酸コポリマーであるPRIMACOR(商標)1410(CAS No.9010−77−9)ならびに約19.5から21.5重量パーセントの範囲内のアクリル酸含有量および約300g/10分(ASTM D1238、190℃/2.16Kg)の範囲内のメルトインデックスを有し、The Dow Chemical Companyから入手可能な安定剤としてのエチレンアクリル酸コポリマーであるPRIMACOR(商標)5980i(CAS No.9010−77−9)を、それらを送達および溶融する律速供給機によって25mm径の二軸押出機に供給した。押出機温度プロフィールを初期水および中和剤としてのアミノ−2−メチル−1−プロパノール(95%)であるAMP−95(CAS No.124−68−5)の添加前に約160℃まで徐々に上昇させ、続いて希釈水を加えた後でそれを押出機の端部によって100℃未満の温度まで冷却した。押出機速度は約450rpmであった。アミン塩基と水を混ぜ合わせ、初期水導入点において押出機に供給した。第2のポンプを介して希釈水を供給し、それを押出機の希釈域に導入した。初期水流および希釈水流を場合により押出機温度まで予熱した。押出機出口において、背圧調節装置を使用して、押出機胴体の内部の好適な圧力に合わせて調整して、動作温度における蒸気形成を抑制した。得られた分散体を冷却し、200ミクロンフィルタで濾過した。
【0098】
発明の水性分散体B−Fの製造
表Iに記載される配合物構成成分を用いたことを除いては分散体Aと同様にして分散体BからFを製造した。
【0099】
補足的な発明の水性分散体S1〜26の製造
表Iに記載される配合物構成成分を用いたことを除いては分散体Aと同様にして分散体S1〜26を製造した。
【0100】
溶媒を含有する発明の水性分散体の製造
溶媒を希釈水供給原料に添加したことを除いては分散体Aと同様にして分散体G、HおよびIを製造した。分散体Gについては、水混和性溶媒のプロピレングリコールを希釈水供給原料とともに押出機に加えた。分散体Hについては、プロピレングリコール溶媒を、初期水流の導入前に押出機胴体のポリマー溶融域に加えた。分散体Iについては、水非混和性溶媒の鉱油を、初期水流の導入前に押出機胴体のポリマー溶融域に加えた。配合物構成成分を表IIに記載する。
【0101】
未塗布パネルのコーティング塗布
コーティング実施例1
ブリキパネルに対するコーティング塗布
Rasselsteinによって提供され、TS−245グレードの標準仕上げが施され、約10cmから20cmのサイズを有するブリキパネルをアセトンで洗浄し、次いで乾燥させた。約3グラムの発明の分散体Aを、30ミクロンの懸垂螺旋棒を介してブリキパネルに塗布することによってブリキパネルの1つの表面を被覆した。続いて、パネルを熱対流炉に入れて硬化させた。硬化条件を表IIIに報告する。
【0102】
以下に記載される手順に従って、被覆ブリキパネルをコーティング厚さ、クサビ曲げ、滅菌前のMEK DR(メチルエチルケトン二重擦り)碁盤目、ならびに水中滅菌後の碁盤目および被りについて試験した。それらの結果を表IIIに報告する。
【0103】
コーティング実施例2
アルミニウムパネルのコーティング塗布
約10cmから20cmのサイズを有する、例えばAll Foils Inc.から入手できる缶素材浄化アルミニウム製のアルミニウムパネルをメチルエチルケトンで洗浄し、次いで乾燥させた。表IVに記載される発明の分散体の約3グラムを、#10ロッド螺旋棒を介して板パネルに塗布することによってアルミニウムパネルの1つの表面を被覆した。続いて、パネルを熱対流炉に入れて、表IVに示される条件で硬化させた。
【0104】
以下に記載される手順に従って、被覆アルミニウムパネルをコーティング厚さ、滅菌前の碁盤目、ならびに乳酸中滅菌後の碁盤目および被りについて試験した。それらの結果を表IVに報告する。
【0105】
コーティング実施例3
予め被覆されたパネルに対するコーティング塗布
ポリエステル樹脂配合物で被覆されたブリキパネルの製造
23.28gのDynapol(商標)952ポリエステルおよび3.98gのSI GroupのSFC112/65と、52重量部のSolvesso(商標)100芳香族溶媒と48重量部のDowanol(商標)PMAグリコールエーテルとの混合物の43.23gとを、室温で72時間にわたって一列の回転棒上で回転した密閉ガラスボトル中で混合した。次いで、0.181gのリン酸(Dowanol(商標)グリコールエーテル中25%)を添加し、ガラスをさらなる24時間にわたって回転させた。Dynapolは、Evonikの商標である。SolvessoはExxonMobilの商標であり、DowanolはThe Dow Chemical Companyの商標である。
【0106】
Rasselsteinによって提供され、TS−245グレードの標準仕上げが施され、約10cmから20cmのサイズを有するブリキパネルをアセトンで洗浄し、次いで乾燥させた。約3グラムのコーティング配合物を、30ミクロンの懸垂螺旋棒を介してブリキパネルに塗布することによってブリキパネルの1つの表面を被覆した。続いて、パネルを熱対流炉に入れて、200℃で10分間にわたって硬化させた。コーティングは、5.1ミクロンの厚さおよび15のMEK DRを有していた。
【0107】
発明の分散体で予め被覆されたパネルのコーティング
上記のポリエステル系配合物で被覆されたブリキパネルをさらに洗浄せずに使用した。約3グラムの発明のコーティング配合物Fを、30ミクロンの懸垂螺旋棒を介してブリキパネルのポリエステルコーティングの上に塗布した。続いて、パネルを熱対流炉に入れて、200℃で3分間にわたって硬化させた。以下に記載される手順に従って、被覆ブリキパネルをコーティング厚さ、クサビ曲げ、滅菌前のMEK DR(メチルエチルケトン二重擦り)碁盤目、ならびに水中滅菌後の碁盤目および被りについて試験した。それらの結果を表Vに示す。
【0108】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
碁盤目
碁盤目は、Erichsen碁盤目試験装置EPT675Rを使用して、ASTM−D3359−08、テープ試験による接着性の測定、方法B.に従って測定される。この方法は、膜内に作られた切れ目に対して、テープ(グレード:透明TESA4124)を塗布および除去することによって金属基板に対するコーティング膜の接着性を評価するための手順を提供する。一枚のテープの中心をグリッドの上に置き、グリッドの部分において指でならす。膜との良好な接触を確保するために、テープをしっかりと擦る。塗布してから90±30秒以内に、自由端を掴み、(急速でなく)迅速にそれを可能な限り180度に近い角度で引きはがす。照明拡大鏡を使用して、基板または既存コーティングからのコーティングの除去についてグリッド部分を検査する。以下のスケールに従って接着性を評価する。
【0109】
【表1】
【0110】
水中滅菌
被覆パネルを加圧金属容器内で水に浸漬させ、滅菌器Automat Vに入れ、そこで129℃にて30分間レトルト処理した。続いて、加圧容器を冷水とともに収納容器に入れ、加圧容器の温度を50℃未満の範囲内の温度まで下げてから開放した。パネルを除去し、乾燥させた。次いで、被り外観を評価した。被りは、コーティングの白色外観と呼ばれる。コーティングが被りを示さなければ、評価は、被りがゼロである。そうでなければ、非常にわずかな被り、わずかな被り、被りまたは強い被りと評されることになる。
【0111】
乳酸中滅菌
被覆パネルをガラスビーカー内の2%乳酸水溶液に浸漬させ、3850E Tuttnauer Brinkman圧力釜に入れ、そこでそれを121℃にて30分間処理した。パネルを圧力釜内で60℃未満に冷却してから、それを取り出し、濯ぎ、乾燥させた。次いで、被り外観を評価した。被りは、コーティングの白色外観と呼ばれる。コーティングが被りを示さなければ、評価は、被りがゼロである。そうでなければ、非常にわずかな被り、わずかな被り、被りまたは強い被りと評されることになる。
【0112】
MEK二重擦り
1230±10gの重量を有する半球形ハンマーの平端部を使用した。通常のティッシュ「VILEDA3168」をハンマー端部のまわりに縛りつけた。それをメチルエチルケトン(MEK)で濡らした。ハンマーをコーティングと接触させ、コーティング全体にわたって往復移動させた(コーティング全体にわたる1回の往復移動を1回の二重擦りと見なす)。ハンマー上にさらなる圧力は加えなかった。10回の二重擦りの後にティッシュを再度濡らした。コーティングが擦り取られるまで、すなわち金属基板の少なくとも一部が露出するまで二重擦り工程を繰り返した。二重擦り工程が100回の二重擦りに達すると、試験を終了させ、100回の二重擦りを最終結果として報告した。
【0113】
クサビ曲げ
クサビ曲げをGardner「COVERALL」曲げ試験装置IG1125により測定した。この試験に使用した装置は、それを曲げ機械に変換するための2つの部分からなる。鋼ロッド(心棒)を基部の前方に取り付ける。100mm幅の被覆試験パネルを3mmロッド心棒で屈曲させた。したがって、コーティングが曲げ部の外側に現れる。屈曲パネルをクサビ心棒に挿入した。衝撃子、すなわち金属錘を7インチの高さまで持ち上げ、次いで落下させた。衝撃子をその最初の反発で回復させ、固定する。パネル内の円筒形の囲いを絞って円錐形にした。被覆パネルの縁を硫酸銅の溶液(10グラムの硫酸銅と90グラムの水と3グラムの硫酸との混合物)で擦った。どこかでコーティングに亀裂が入っていた場合;ダークスポットが発生した場合は、不良を示す。100mmであるクサビ曲げの長さに沿う無傷部分の長さをミリメートル単位で測定し、パス率で表した。
【0114】
コーティング厚さ
PERMASCOPE D−211Dコーティング厚さ計を使用して、ASTM−D1186−01、鉄基板に塗布された非磁気コーティングの乾燥膜厚さの非破壊的測定に従ってコーティング厚さを測定した。コーティングを有さない標準パネルを較正のために使用した。被覆パネルのコーティングの厚さは、10回の測定の平均値であり、被覆パネルのコーティングの各測定値を、標準パネルのコーティングの厚さ、すなわち0と比較して、鉄材料に対するプローブを使用して測定した。測定した厚さをミクロンで報告した。
【0115】
中和度
中和率は、塩基によって中和される樹脂溶融物中のアクリル酸基の計算量であった。
【0116】
粒径測定
粒径をCoulter LS−230粒径分析装置(Beckman Coulter Corporation)によって測定した。
【0117】
固体含有率の測定
マイクロ波固体分析装置を使用して固体含有率を測定した。
【0118】
本発明を、その主旨および基本的属性から逸脱することなく他の形態で具体化することができるため、本発明の範囲を示すときは、先述の明細書でなく添付の特許請求の範囲を参照すべきである。なお、本発明の実施形態の一例を下記に示す。
[1]金属基板と、
前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層と
を含む被覆容器デバイスであって、
前記1つまたは複数のコーティング層は、1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られ、
前記1つまたは複数の水性分散体は、
1つまたは複数の基材ポリマーと、
1つまたは複数の安定剤と、
水と
を含む被覆容器デバイス。
[2]被覆容器デバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
1つまたは複数の基材ポリマーと、
1つまたは複数の安定剤と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
前記被覆金属基板を被覆容器デバイスに形成する工程と
を含む方法。
[3]被覆容器デバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
前記金属を容器デバイスに形成する工程と、
1つまたは複数の基材ポリマーと、
1つまたは複数の安定剤と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記容器デバイスの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記容器デバイスの少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
それによって前記被覆容器デバイスを形成する工程と
を含む方法。
[4]前記基材ポリマーが、1つまたは複数のポリオレフィンを含む、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆容器デバイスまたは方法。
[5]前記金属基板が、予め被覆された金属基板である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の被覆容器デバイスまたは方法。
[6]金属基板と、
前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層と
を含む被覆クロージャデバイスであって、
前記1つまたは複数のコーティング層が、1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布することにより得られ、
前記1つまたは複数の水性分散体は、
1つまたは複数の基材ポリマーと、
1つまたは複数の安定剤と、
水と
を含む被覆クロージャデバイス。
[7]被覆クロージャデバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
1つまたは複数の基材ポリマーと、
1つまたは複数の安定剤と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記金属基板の少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記金属基板に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
前記被覆金属基板を被覆クロージャデバイスに形成する工程と
を含む方法。
[8]被覆クロージャデバイスを製造するための方法であって、
金属基板を選択する工程と、
前記金属をクロージャデバイスに形成する工程と、
1つまたは複数の基材ポリマーと、
1つまたは複数の安定剤と、
水と
を含む1つまたは複数の水性分散体を選択する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体を前記クロージャデバイスの少なくとも1つの表面に塗布する工程と、
前記1つまたは複数の水性分散体から水の少なくとも一部を除去する工程と、
それによって前記クロージャデバイスの少なくとも1つの表面に付随する1つまたは複数のコーティング層を形成する工程と、
それによって前記被覆クロージャデバイスを形成する工程と
を含む方法。
[9]前記金属基板が、予め被覆された金属基板である、[6]から[8]のいずれか1項に記載の被覆クロージャデバイスまたは方法。
[10]前記基材ポリマーが、1つまたは複数のポリオレフィンを含む、[6]から[8]のいずれか1項に記載の被覆クロージャデバイスまたは方法。
[11]前記水性分散体が、1つまたは複数の溶媒をさらに含む、[1]から[10]のいずれか1項に記載のデバイスまたは方法。
【0119】
【表2】
6D43ポリプロピレンは、メルトインデックスが35であるDow Chemicalから入手可能なプロピレン-エチレンコポリマーである。
D118.01ポリプロピレンは、メルトインデックスが8であるDow Chemicalから入手可能なポリプロピレンホモポリマーである。
109MFR Exp.ポリプロピレンは、メルトインデックス109であるDow Chemicalから入手可能なポリプロピレンホモポリマーである。
Nucrel2806は、アクリル酸が17%であり、メルトインデックスが60であるDuPontから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor1321は、アクリル酸が6.5%であり、メルトフローレートが2.6dg/分であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor1410は、アクリル酸が9.7%であり、メルトフローレートが1.5dg/分であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor1430は、アクリル酸が9.7%であり、メルトフローレートが5dg/分であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor3150は、アクリル酸が3%であり、メルトフローレートが11dg/分であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor3340は、アクリル酸が6.5%であり、メルトフローレートが9dg/分であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor3460は、アクリル酸が9.7%であり、メルトフローレートが20dg/分であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor5980iは、アクリル酸が20.5%であり、メルトフローレートが300であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
Primacor5990は、アクリル酸が20.5%であり、メルトフローレートが1300であるDow Chemicalから入手可能なエチレンアクリル酸コポリマーである。
HDPE30460Mは、メルトフローレートが30であるDow Chemicalの高密度ポリエチレンである。
HDPE DMDA-8965は、メルトフローレートが66であるDow Chemicalの高密度ポリエチレンである。
Licocene6452は、酸価が41mgKOH/gの酸価であり、170℃の溶融粘度が1100mPa*secであるClariantから入手可能な無水マレイン酸官能性ポリプロピレンである。
Epolene E-25は、酸価が25mgKOH/gの酸価であり、190℃の溶融粘度が300mPa*secであるWestlake Chemical Corporationから入手可能な無水マレイン酸官能性ポリプロピレンである。
Exxelor PO1020は、無水マレイン酸が0.5〜1.0%であり、メルトフローレートが125であるExxon-Mobilから入手可能な無水マレイン酸官能性ポリプロピレンである。
DMEAはジメチルエタノールアミンである。
AMP-95は、95%の水中2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである。
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
【表5】
【0123】
【表6】