(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電磁波シールド特性を有し、一側縁に屈曲部(43)を有するファスナーテープ(42)と、当該屈曲部(43)に沿って取着されたファスナーエレメント(41)とを有する一対のファスナーストリンガーと、
前記一対のファスナーストリンガーに摺動自在に取り付けられ、各ファスナーエレメント(41)を係脱するための一対のスライダー(10、50、60、70)とを備えた隠しスライドファスナーであり、
当該一対のスライダー(10、50、60、70)はそれぞれ電磁波シールド特性を有しており、
下翼板(13)と、
該下翼板(13)の左右方向の側縁に沿って立設された左右の側壁(14a、14b)と、
該左右の側壁(14a、14b)の上端から互いに接近する方向に延設された左右の第1フランジ(15a、15b)と、
前記下翼板(13)の前記左右の第1フランジ(15a、15b)間に配置された案内柱(21)と、
該案内柱(21)に設けられ少なくとも後口に向けて張り出した第2フランジ(22a)と、
該下翼板(13)と、左右の該側壁(14a)と該第1フランジ(15a、15b)に囲まれたファスナーエレメト(41)を案内するエレメント案内通路(17)と、
前記第1フランジ(15a、15b)及び前記第2フランジ(22a)間に、ファスナーテープ(42)の一部が該エレメント案内通路(17)から外側に延出可能な隙間Sと、
を備え、
前記一対のスライダーは肩口側同士が対向するようにファスナーストリンガーに取り付けられ、
一方のスライダーの下翼板(13)の前端面(13c)は、前記左右の第1フランジ間(15a、15b)において他方のスライダーの下翼板の前端面に密接可能な形状に形成されており、更に、一方のスライダーの前記左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)は、他方のスライダーの対応する側壁のそれぞれの前端部と密接可能な形状に形成されている隠しスライドファスナー。
一方のスライダーの下翼板(13)の前端面(13c)は、他方のスライダーの下翼板の前端面と密接したときに上下方向に重なりが生じるように、凹凸形状を有する請求項1又は2に記載の隠しスライドファスナー。
各スライダーの下翼板(13)の前端面(13c)は、左半分及び右半分の何れか一方に亘って前方に凸設された係止板(31、61a、61b、71)と、左半分及び右半分の他方に亘って後方に凹設され、前記係止板(31、61a、61b、71)の形状に合致した受容部(32、62a、62b、72)とを少なくとも一対有する請求項1〜3の何れか一項に記載の隠しスライドファスナー。
各スライダーの前記係止板(31、61a、61b、71)は下翼板(13)よりも薄く、前記係止板(31、61a、61b、71)の上面は下翼板(13)の上面よりも低い位置にあり、前記係止板(31、61a、61b、71)の下面は下翼板(13)の下面よりも高い位置にあり、前記受容部(32、62a、62b、72)は前記係止板(31、61a、61b、71)の形状に合致した溝状となっている請求項4に記載の隠しスライドファスナー。
各スライダーの前記下翼板(13)の前端面(13c)は、左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)と同一面上にある基面(13d)を備えており、前記基面(13d)から前記係止板(31、61a、61b、71)及び前記受容部(32、62a、62b、72)が形成されている請求項4に記載の隠しスライドファスナー。
各スライダーの下翼板(13)の前端面(13c)は、前記係止板(31、61a、61b、71)及び受容部(32、62a、62b、72)の境界を規定する基面(13d)を有しており、当該基面(13d)は、側壁の前端部(14c、14d)、第1フランジ(15a、15b)の前端面及び第2フランジ(22a)の前端面の内で最も前方に突出している箇所と同位置かそれよりも前方側に突出している請求項4に記載の隠しスライドファスナー。
スライダー(10、50、60、70)は前記下翼板(13)、前記左右の側壁(14a、14b)、及び前記左右の第1フランジ(15a、15b)を有するスライダー胴部(11)と、前記第2フランジ(22a)を有し、当該スライダー胴部(11)に係合されるスライダー上板部(12)との少なくとも2部品で構成されており、前記案内柱(21)は前記スライダー胴部(11)及び前記スライダー上板部(12)の何れかに設けられる請求項1〜7の何れか一項に記載の隠しスライドファスナー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は電磁波シールド製品用の隠しスライドファスナーに関し、ファスナー閉鎖後のエレメト噛合間における電磁波シールド遮断性について記載されているが、スライダーの肩口側にできるファスナーテープとスライダーとの隙間に対する電磁波対策については一切記載されていない。
【0006】
そこで、本発明は、電磁波を遮断する特性を有する隠しスライドファスナーであって、スライダーの肩口側にできるファスナーテープとスライダーとの隙間に対する電磁波対策が施された隠しスライドファスナーを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ファスナーチェンに二つスライダーを肩口側が対向するように取り付けたスライドファスナー、いわゆる頭合わせ型スライドファスナーでは、二つのスライダーの肩口側端部同士が当接しているときにファスナーが閉じた状態となる。従来の頭合わせ型スライダーでは電磁波シールド製品への適用を考慮したものではなく、二つのスライダーの同士が当接しているときに、肩口側端部間に隙間が生じており、電磁波が漏洩するという問題があることを見出した。そして、電磁波は直線状の隙間を通り抜けやすいために、僅かな隙間であっても電磁波シールド製品の性能を低下させる原因になること、及び、この隙間を無くすことが電磁波シールド製品の信頼性向上に寄与することを見出した。更に、同一形状のスライダーを頭合わせすることによって、部品点数を減らすことができ、在庫管理が容易となる。本発明は以上の知見を基礎として完成したものであり、以下によって特定される。
【0008】
本発明は一側面において、電磁波シールド特性を有し、一側縁に屈曲部を有するファスナーテープと、当該屈曲部に沿って取着されたファスナーエレメントとを有する一対のファスナーストリンガーと、前記一対のファスナーストリンガーに摺動自在に取り付けられ、各ファスナーエレメントを係脱するための一対のスライダーとを備えた隠しスライドファスナーであり、当該一対のスライダーはそれぞれ電磁波シールド特性を有しており、下翼板と、該下翼板の左右方向の側縁に沿って立設された左右の側壁と、該左右の側壁の上端から互いに接近する方向に延設された左右の第1フランジと、前記下翼板の前記左右の第1フランジ間に配置された案内柱と、該案内柱に設けられ少なくとも後口に向けて張り出した第2フランジと、該下翼板と、左右の該側壁と該第1フランジに囲まれたファスナーエレメトを案内するエレメント案内通路と、前記第1フランジ及び前記第2フランジ間に、ファスナーテープの一部が該エレメント案内通路から外側に延出可能な隙間Sと、を備え、前記一対のスライダーは肩口側同士が対向するようにファスナーストリンガーに取り付けられ、一方のスライダーの下翼板の前端面は、他方のスライダーの下翼板の前端面に密接可能な形状に形成されている隠しスライドファスナーである。
【0009】
本発明に係る隠しスライドファスナーの一実施形態においては、一方のスライダーの下翼板の前端面は、前記左右の第1フランジ間において他方のスライダーの下翼板の前端面と密接可能である。
【0010】
本発明に係る隠しスライドファスナーの別の一実施形態においては、一方のスライダーの下翼板の前端面は、他方のスライダーの下翼板の前端面と同一形状を有しており、左右の形状が相殺関係にある。
【0011】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、一方のスライダーの下翼板の前端面は、他方のスライダーの下翼板の前端面と密接したときに上下方向に重なりが生じるように、凹凸形状を有する。
【0012】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、各スライダーの下翼板の前端面は、左半分及び右半分の何れか一方に亘って前方に凸設された係止板と、左半分及び右半分の他方に亘って後方に凹設され、前記係止板の形状に合致した受容部とを少なくとも一対有する。
【0013】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、各スライダーの前記係止板は下翼板よりも薄く、前記係止板の上面は下翼板の上面よりも低い位置にあり、前記係止板の下面は下翼板の下面よりも高い位置にあり、前記受容部は前記係止板の形状に合致した溝状となっている。
【0014】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、各スライダーの前記下翼板の前端面は、左右の側壁の前端部と同一面上にある基面を備えており、前記基面から前記係止板及び前記受容部が形成されている。
【0015】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、一方のスライダーの前記左右の側壁の前端部は、他方のスライダーの対応する側壁のそれぞれの前端部と密接可能な形状に形成されている。
【0016】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、各スライダーの下翼板の前端面は、前記係止板及び受容部の境界を規定する基面を有しており、当該基面は、側壁の前端部、第1フランジの前端面及び第2フランジの前端面の内で最も前方に突出している箇所と同位置かそれよりも前方側に突出している。
【0017】
本発明に係る隠しスライドファスナーの更に別の一実施形態においては、スライダーは前記下翼板、前記左右の側壁、及び前記左右の第1フランジを有するスライダー胴部と、前記第2フランジを有し、当該スライダー胴部に係合されるスライダー上板部との少なくとも2部品で構成されており、前記案内柱は前記スライダー胴部及び前記スライダー上板部の何れかに設けられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るスライダーを頭合わせ型ファスナーに使用することで、ファスナーを閉鎖したときに二つのスライダーの下翼板の前端面同士が密接するため、電磁波の通路を遮断することができる。そのため、スライダー同士の隙間から電磁波が漏洩することを抑制することができるようになる。
【0019】
下翼板の前端面は左右の形状が相殺関係にある実態形態によれば、同一のスライダーを使用して頭合わせ型スライドファスナーを製造することができるようになるので、部品点数を減らすことができ、在庫管理も容易となる。
【0020】
特に、前記下翼板の前端面が、相手方スライダーの下翼板の前端面と密接したときに、上下方向に重なりが生じる凹凸形状を有する実施形態によれば、ファスナーを閉鎖したときに二つのスライダーの前端面がぴったり当接せずに両者に隙間が生じても、当該重なり部分が隙間を埋めて電磁波の通路を遮断することができるという効果が得られる。
【0021】
更に、前記下翼板の前端面は一対の係止板及び受容部を有し、前記係止板は下翼板よりも薄く、前記係止板の上面は下翼板の上面よりも低い位置にあり、前記係止板の下面は下翼板の下面よりも高い位置にあり、前記受容部は前記係止板の形状に合致した溝状となっている実施形態によれば、二つのスライダーの下翼板の前端面同士が密接しているときに前後方向や左右方向を軸とした捻りに対する抵抗力が高くなるので、電磁波シールド製品に捻りなどの作用が加わったときでもスライダー間に隙間が生じにくく、電磁波遮蔽効果が維持できるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
本発明に係る隠しスライドファスナーでは、電磁波シールド特性を有するファスナーテープが使用される。電磁波を遮断する特性を有する材料は公知であり特に制限はないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル、亜鉛、鉄又はこれらの一種以上を含有する合金などの金属を代表とする導電性材料が挙げられる。導電性材料は、線状にして織/編込むことでシート状にしたり、薄箔状にしてファスナーテープに貼り合わせたりして使用される。ポリエステル繊維等にめっき処理あるいは導電性素材の線を撒きつけることによって得られる繊維を織/編込むことで使用される。導電性材料として金属を使用する場合には、例えば金属箔の形態で提供することができ、金属繊維や金属線を織成又は編成してシート状にして提供することもできる。これらに樹脂などの他の材料を貼り合わせた積層体として提供することもできる。また、金属繊維や金属線の代わりにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アラミド、アクリルなどの樹脂製やガラス製の繊維を上記のような金属でめっきしたり、導電性素材の線を巻き付けることによって得られる導電性繊維を使用することもできる。
【0025】
本発明に係る電磁波シールドファスナーは種々の電磁波シールド製品の連結部や開閉部に取り付けることができる。電磁波シールド製品としては、電磁波による影響を受けやすい物品を電磁波から遮断するために使用したり、あるいは、電子機器から発生する電磁波を外部へ漏洩しないようにするために使用され、限定的ではないが、電磁波シールドシート、電磁波シールドルーム、電磁波シールドチューブなどが挙げられる。
【0026】
本発明は隠しスライドファスナーに関する。隠しスライドファスナー自体は公知であり、WO2009/093678号(特許文献1)に記載のように、ファスナーテープの一側縁が略U字状に屈曲されて屈曲部を形成し、該屈曲部に沿ってファスナーエレメントが取着された一対のファスナーストリンガーの各ファスナーエレメントがスライダーの摺動によって係脱されることによって、ファスナーの開閉が達成される。後述する本実施形態では、ファスナーテープに取り付けられるファスナーエレメントは、ファスナーテープの側縁に沿って合成樹脂を射出して複数のファスナーエレメントを成形したスライドファスナーチェンについて記載されているが、当該実施形態に特に限定されない。ファスナーテープへのファスナーエレメントの取り付けは、例えばコイル状あるいはジグザク状に形成された線状エレメントを、エレメント取り付け縁部に沿って縫製して取着されているファスナーチェンであっても良い。
【0027】
本発明で適用可能なファスナーストリンガーの構成は特に限定するわけではないが、国際出願PCT/JP2009/059586号に開示されている隠しスライドファスナー用ファスナーストリンガーを好適に利用することができる。具体的には、当該ファスナーストリンガーは、テープ主体部及び同テープ主体部の一側縁に配されたエレメント取付部を有する左右一対のファスナーテープを有し、当該ファスナーテープを構成する主要な構成糸条には導電糸が使用され、同ファスナーテープが電磁波シールド可能な導電性を有する。そして、一対のファスナーテープは、前記エレメント列が噛合したときに、相手側のファスナーテープと互いに密着する導電性のテープ密着部を有し、噛合状態にあるエレメント列は、テープ密着部の密着時に、少なくとも一方の前記ファスナーテープに配されたテープ密着部により覆われてなる。
なお本説明をもって本発明にPCT/JP2009/059586号の内容は参照によって組み込まれる。
【0028】
本発明に係るスライドファスナーに使用するスライダーは電磁波をシールド可能な導電性を有する。
そのようなスライダーは導電性を有する金属や合成樹脂を使用してダイキャスト成形や射出成形することによって製造することができる。導電性を有する金属としては、ファスナーテープと同様に金、銀、同、アルミニウム、タングステン、ニッケル、亜鉛、鉄又はこれらの一種以上を含有する金属が挙げられ、導電性を有する合成樹脂としては、トリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン又はポリアニン等のようなものが挙げられる。また樹脂などの他の材料を使用してスライダーを成形した後に、上記金属でめっきすることも可能である。後述するように、複雑な形状のスライダーは複数の部品から組み立ててもよい。
【0029】
ファスナーエレメントについても、同様に電磁波シールド特性を有する素材を使用しても良い。しかしながら、隠しスライドファスナーではファスナーテープの一側縁が屈曲されており、ファスナーが閉鎖しているときは、一対のファスナーテープの当該屈曲部同士がファスナーエレメントを介さずに直接圧接されるため、ファスナーテープが電磁波シールド特性を有している限り、ファスナーエレメントが電磁波シールド特性を有していなくてもほとんど支障はない。
【0030】
本明細書のスライダーにおいては、スライダーの摺動方向を前後方向とし、スライダーがエレメント列を噛合させるように摺動する向きを前方とし、エレメント列を分離させるように摺動する向きを後方とする。スライダーの前方端部がスライダーの頭部である。また、上下翼板に直交する方向を上下方向とし、下翼板から上翼板(第1フランジ)に向かう方向を上方、上翼板から下翼板に向かう方向を下方とする。また、上下翼板に平行で、スライダー摺動方向に直交する方向を左右方向とし、スライダーを上方から見て前方に摺動させたときにスライダーの進行方向右側を右方向とし、進行方向左側を左方向として定義する。また、スライダーにおいて、ファスナーエレメントが分離して出てくる前方の開口を肩口といい、その反対側であってファスナーエレメントが噛合して出てくる後方の開口を後口という。
【0031】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドファスナー用スライダー(10)について説明する。
図1は、本実施形態に係るスライダー(10)の斜視図である。
図1を参照すると、本実施形態に係るスライダー(10)は基本構造として、下翼板(13)と、該下翼板(13)の左右方向の側縁に沿って立設された左右の側壁(14a、14b)と、該左右の側壁(14a、14b)の上端から互いに接近する方向に延設された左右の第1フランジ(15a、15b)と、前記下翼板(13)の肩口寄り左右中央部から後口に向けて前記左右の第1フランジ(15a、15b)間に配置された案内柱(21)と、該案内柱(21)の上面に設けられ、少なくとも前記左右の第1フランジ(15a、15b)及び前記後口に向けて張り出した第2フランジ(22a)と、引手(25)を支持するための片持ち状の引手取付部(23)とを備える。なお、本発明においては第1フランジを上翼板とも表現している。
【0032】
下翼板(13)と、左右の側壁(14a、14b)と、案内柱(21)と、第1フランジ(15a、15b)と、第2フランジ(22a)とにより形成される平面視で略Y字状の空間が、ファスナーストリンガーに取り付けられたファスナーエレメントを通すエレメント案内通路(17)となる。
【0033】
ファスナーエレメントの噛合頭部(45)を向かい合わせた状態の一対のファスナーストリンガーを、スライダー(10)の肩口から挿入し、スライダー(10)を前方に移動させることにより、左右のファスナーエレメントが噛合した状態(閉鎖状態)でスライダー(10)の後口から引き出される。ファスナーテープの折返し部分は第1フランジ(15a、15b)及び第2フランジ(22a)間の隙間Sから外側に延出する。
【0034】
下翼板(13)は略台形板状であり、左右方向の幅は、肩口側の前端縁(13a)から全長の略3/4の位置まで漸次縮幅された後、後口側の後端縁(13b)まで略同一となっている。また、下翼板(13)の上面は、第1フランジ(15a、15b)の下面と平行に形成されている。これにより、肩口からスライダー(10)のエレメント案内通路(17)に挿入された相対するファスナーエレメント同士は、スライダー(10)の摺動に伴ってスムーズに噛合されるようになる。
【0035】
第1フランジ(15a、15b)は、その上面内側の稜部がR面取りされている。また、第1フランジ(15a、15b)は、肩口側先端の内側角部がR面取りされて湾曲部(15d)が形成されている。これにより、ファスナーエレメントをエレメント案内通路(17)へスムーズに引き込むことが可能となっている。これは、スライダー(10)の摺動抵抗低減にも寄与する。また、第1フランジ(15a、15b)の肩口側の上面には、肉盛りされた肉厚部(15e)が形成されている。その結果、肉厚部(15e)に接触したときのファスナーテープに作用する接触圧は、肉厚部(15e)の厚さが大きい(即ち、接触面積が大きい)ことによって接触圧が低くなり、スライダー(10)の摺動抵抗が低減すると共に、ファスナーテープの裂断などが防止される。
【0036】
案内柱(21)は、肩口側が底辺となる略二等辺三角柱の形状に形成されている。案内柱(21)の上には、左右の第1フランジ(15a、15b)及び後口に向けて張り出した、肩口側が底辺となる略二等辺三角形の形状の第2フランジ(22a)が設けられている。第2フランジ(22a)の左右の側面と第1フランジ(15a、15b)の内側面とは略平行であり、両者間には略一定間隔の隙間Sが形成されており、ファスナーテープはこの隙間Sから延出する。
【0037】
第2フランジ(22a)の肩口側の上面には、先述した第1フランジ(15a、15b)の肩口側の上面に形成された肉厚部(15e)よりも更に厚みのある、肉厚部(22b)が形成されている。肉厚部(22b)の厚みは第2フランジ(22a)の肩口側先端まで維持されており、第2フランジ(22a)の肩口側の端面(27)は、案内柱(21)から上方に行くに従って前方に張り出した高い傾斜壁を形成している。これによって、肩口から挿入されるファスナーエレメントが強い横引き力によって当初は立ち上がった状態にある場合でも、傾斜壁によってスムーズに傾倒しながら、エレメント案内通路(17)に進入することができ、最終的に下翼板(13)に対して略平行な状態でエレメント案内通路(17)を移動することができるようになる。
【0038】
案内柱(21)の上面には、一端が片持ち状に固定されて摺動方向に延在する門型の引手取付部(23)が設けられている。
図1中には示していないが、一端に環状部を有する引手(25)を用意し、この環状部を介して引手を引手取付部(23)に回動自在に取り付けることができる。
図3には、点線で表した引手(25)が引手取付部(23)に取り付けられた様子が示されている。引手取付部(23)の先端部を
図3の矢印の方向に加締めることで、引手(25)が引手取付部(23)から容易に抜けなくなるようにすることができる。
【0039】
本実施形態に係るスライダー(10)は引手(25)を除いて2部品で構成されており、それぞれの部品は金型を使用してダイキャスト成形又は射出成形によって製造可能である。2部品とすることによって、一体成形される従来のスライダーでは金型構造から受ける制約によって作製できない複雑な構造であっても作製可能となる。例えば、2部品としたことで第2フランジ(22a)の形状の自由度が高まり、左右への張り出しの大きな第2フランジ(22a)とすることができる。具体的には、スライダー(10)の左右の中心線から第2フランジ(22a)の左右の最外端までの距離は、スライダー(10)の左右の中心線から側壁(14a、14b)の後口側の内側面までの距離に対して0.8倍以上、好ましくは1.0倍以上とすることができる。このため、ファスナーエレメントを第2フランジ(22a)で案内して一定の比較的弱い力で引き込むことができ、スライドファスナーの閉鎖時に強力な横引き力が加わっても、スライダー(10)を円滑に摺動操作することができる。
【0040】
図2は本実施形態に係るスライダー(10)の分解斜視図である。本実施形態に係るスライダー(10)は、下翼板(13)、左右の側壁(14a、14b)、及び左右の第1フランジ(15a、15b)を有するスライダー胴部(11)と、第2フランジ(22a)を有し、当該スライダー胴部(11)に係合されるスライダー上板部(12)との2部品で構成されている。本実施形態では、前記案内柱(21)及び前記引手取付部(23)は前記スライダー上板部(12)に設けられているが、これらは前記スライダー胴部(11)及び前記スライダー上板部(12)の何れに設けられていてもよい。
【0041】
図2を参照すると、下翼板(13)の肩口寄り左右中央部には、張り出し部(16)が立設されており、一方、上板部(12)には、案内柱(21)の肩口側の端面及び第2フランジ(22a)の肩口側の端面(27)の左右中心部に広がる矩形状の開口部を有し、張り出し部(16)の形状に合致した形状の溝部(24)が設けられている。更に、上板部(12)には、溝部(24)の開口部の左右にある案内柱(21)の左右の側壁の前端部から前方に向かって一対の脚部(26)が突設されている。張り出し部(16)と溝部(24)を係合させた状態で固定することによって、スライダー胴部(11)と上板部(12)が合体する。両部品を係合する方法については、両部品が容易に分離しない限り特に問わないが、本実施形態においては、スライダー胴部(11)と上板部(12)は以下の方法で係合され、合体する。
【0042】
張り出し部(16)は、左右方向及び後口側に向かって延設された平面視略T字状の土台(16a)と、土台(16a)の形状に沿って土台上に立設され、土台(16a)よりも細幅の平面視略T字状の起立部(16b)と、起立部(16b)上に立設され、起立部(16b)よりも太幅の左平面視略T字状のリブ(16c)とからなる。リブ(16c)の肩口側端面は、上板部(12)との係合後に第2フランジ(22a)の肩口側の端面(27)と面―となるように、オーバーハングした傾斜面となっている。
【0043】
一方、溝部(24)は、張り出し部(16)と係合できるように、張り出し部(16)の形状に合致した内部構造を有しており、張り出し部(16)の後方から前方に向かって溝部(24)をスライドさせることで、溝部(24)と張り出し部(16)が係合する。その後、一対の脚部(26)を溝部(24)の開口部が封鎖されるように内側に向かって加締めることによって、張り出し部(16)は、溝部(24)に固定される。
図3には、張り出し部(16)と溝部(24)の係合状態が示されている。
【0044】
図1に戻ると、下翼板(13)の前端面(13c)は左右の形状が相殺関係にある。具体的には、前端面(13c)は左右の側壁の前端部(14c、14d)と略同一面に形成された基面(13d)を有する。基面(13d)は、左右方向に沿って左右側壁同士を直線的に連結した平坦面を有している。前端面(13c)は、左右方向中心を境界とした左側半分に基面(13d)から前方に凸設された係止板(31)と、反対側の右側半分に基面(13d)に凹設され、前記係止板(31)の形状に合致した受容部(32)とを有する。換言すれば、基面(13d)は、前記係止板(31、61a、61b、71)及び受容部(32、62a、62b、72)の境界を規定する。これにより、同一形状の二つのスライダー(10)の頭部同士を当接させてファスナーを完全に閉じた状態の時に、スライダー(10)の下翼板(13)の前端面(13c)同士が密接し、上下方向への電磁波の通路が遮断される。
【0045】
係止板(31)は下翼板(13)よりも薄く、係止板(31)の上面は下翼板(13)の上面よりも低い位置にあり、係止板(31)の下面は下翼板(13)の下面よりも高い位置にある。また、これに対応する受容部(32)の上面は下翼板(13)の上面よりも低く、受容部(32)の下面は下翼板(13)の下面よりも高い位置に形成されており、溝状となっている。その結果、下翼板(13)の前端面(13c)が、相手方スライダーの下翼板の前端面と密接したときに、上下方向に重なりが生じる。そのため、スライドファスナーを閉鎖したときに二つのスライダーの前端面(13c)の基面(13d)同士がぴったり当接せずに両者に多少隙間が生じても、当該重なり部分が隙間を埋めて電磁波の通路を遮断することができる。更には、二つのスライダーの下翼板(13)の前端面(13c)同士が密接しているときに前後方向や左右方向を軸とした捻りに対する抵抗力が高くなるので、電磁波シールド製品に捻りなどの作用が加わったときでもスライダー間に隙間が生じにくくなり、電磁波遮蔽効果も低下しにくくなる。また、係止板(31)及び受容部(32)の上面が下翼板(13)の上面よりも低く形成されているので、係止板(31)及び受容部(32)がエレメント案内路に挿通されるエレンメントに接触しにくくなるので、スライダーの摺動の邪魔をしない。
【0046】
係止板(31)は前方に向かって次第に左右の幅が狭くなる略台形状である。これにより、向かい合うスライダー(10)同士を接近させてファスナーを閉じていくときに、両者の位置が上下左右に微妙にずれていたとしても、係止板(31)と受容部(32)の嵌合が進展し、自然と正しい位置に修正されて密接状態が得られる。スムーズな嵌合動作を実現するために、係止板(31)は面取りされていることが好ましい。
【0047】
図4は、本実施形態に係るスライダー(10)を備えた頭合わせ型の電磁波シールドファスナー(40)において、ファスナーが一部開いている状態を上から見た図である。ファスナーテープ(42)は一側縁に屈曲部(43)を有しており、屈曲部(43)に沿って複数のファスナーエレメント(41)が取着されている。ファスナーテープ(42)にファスナーエレメント(41)の列が取着された状態のものをファスナーストリンガーという。本実施形態で使用されるファスナーテープ(42)は導電性を有する素材がファスナーテープに含まれており、本実施例に使用されているファスナーストリンガーは、PCT/JP2009/059586号の実施例1に説明されているものとすることができる。ファスナーテープ(42)の端縁は下方に隠れて見えていない。図中、二点鎖線で表されている箇所は、下方に隠れて存在していることを示している。また、点線で引手(25)を示している。
【0048】
同一形状をもつスライダー(10)は頭部同士、すなわち肩口同士が向かい合うように一対のファスナーストリンガー間に挿通されている。スライダー(10)同士を互いに接近していく方向に摺動するに従って、互いのファスナーエレメント(41)が噛合されていき、二つのスライダー(10)の頭部同士が当接するとファスナーが完全に閉じた状態となる。
図5は、本実施形態に係るスライダー(10)を備えた電磁波シールド隠しスライドファスナー(40)において、ファスナーが完全に閉じている状態を上から見た図であり、
図6はこの状態を下から見た図である。また、
図7は
図6のA−A’線断面図であり、
図8は
図6のB−B’線断面図である。
【0049】
図5及び
図6を参照すると、ファスナーが完全に閉じた状態の時はファスナーエレメント(41)の列が下方に隠れるため、上方からは見えないことが分かる。この時ファスナーテープの折曲部はエレメントの噛合脚部(44)から突出する図示しない膨出部によって一方の折曲部と他方の折曲部との間に隙間ができないようになるのでエレメント噛合部分からの電磁波の漏洩を遮断している。
図7及び
図8を参照すると、二つのスライダー(10)の頭部同士が当接しているとき、下翼板(13)の前端面(13c)同士は密接していることが分かる。また、
図8を参照すると、下翼板(13)の前端面(13c)同士は、上下方向に重なりが生じていることが分かる。更に、
図7から分かるように、左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)は前後方向に対して垂直であり、二つのスライダー(10)の前端面(13c)の基面(13d)同士が当接しているとき、左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)同士も当接する。更に、
図7から分かるように、第2フランジ(22a)の肩口側の端面(27)の最前端同士も密接する。このように、下翼板(13)のみならず、スライダーの頭部の他の部分においても密接可能にすることで、電磁波遮蔽効果の更なる向上が期待できる。
【0050】
ここで、本実施形態に係るスライダーの基面(13d)は、側壁の前端部(14c、14d)、第1フランジ(15a、15b)の前端面及び第2フランジ(22a)の前端面の内で最も前方に突出している箇所と同位置かそれよりも前方側に突出していることが好ましい。そのような構成とすることで、側壁の前端部(14c、14d)、第1フランジ及び第2フランジの前端面の形状にかかわらず、好適に下翼板(13)の前端面(13c)同士を密接させることができる。本実施形態においては、スライダーの基面(13d)は側壁の前端部(14c、14d)、第1フランジ及び第2フランジの前端面は全て同位置に来るように形成されている。
【0051】
左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)、第1フランジ(15a、15b)の前端面、及び第2フランジ(22a)の前端面は、下翼板(13)の前端面(13c)と同様に、左右に相殺関係のある凹凸形状によって密接状態を達成してもよい。
【0052】
また、向かい合う二つのスライダーが頭合わせで当接したときに、下翼板(13)の前端面(13c)同士の密接を阻害しないように、側壁の前端部(14c、14d)、第1フランジ(15a、15b)の前端面及び第2フランジ(22a)の前端面の内の少なくとも一つがスライダー同士で嵌合する任意の形状にすることもできる。この場合は基面(13d)は必ずしも、側壁の前端部(14c、14d)、第1フランジ(15a、15b)の前端面及び第2フランジ(22a)の前端面の内で最も前方に突出している箇所と同位置かそれよりも前方側に突出している必要はない。
【0053】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドファスナー用スライダー(50)について説明する。
図9は、本実施形態に係るスライダー(50)の斜視図である。第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号が付されており、その構造や機能は記述しているので、説明は省略する。以降の実施形態についても同様である。
【0054】
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、下翼板(13)の前端面(13c)の形状である。本実施形態では、下翼板(13)の前端面(13c)が前後方向に対して垂直な平坦面となっている。本実施形態においては、前端面(13c)に凹凸は存在しない、すなわち基面(13d)のみからなるものの、下翼板(13)の前端面(13c)は左右の形状が相殺関係にあり、同一形状の二つのスライダー(50)の頭部同士を当接させてファスナーを完全に閉じた状態の時に、スライダー(50)の下翼板(13)の前端面(13c)同士が密接することができる。
【0055】
左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)は、下翼板(13)の前端面(13c)と同一平面上にあり、二つのスライダー(50)の頭部同士が当接しているとき、左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)同士は密接することができる。
【0056】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電磁波シールドファスナー用スライダー(60)について説明する。
図10は、本実施形態に係るスライダー(60)の斜視図である。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、下翼板(13)の前端面(13c)は左右の形状が相殺関係にあり、同一形状の二つのスライダー(60)の頭部同士を当接させてファスナーを完全に閉じた状態の時に、スライダー(60)の下翼板(13)の前端面(13c)同士が密接することができる。但し、その具体的な形状が第1実施形態と異なるので以下に説明する。
【0057】
本実施形態では、下翼板(13)の前端面(13c)は、係止板(61a、61b)及び受容部(62a、62b)を段違いに2段有している。その結果、下翼板(13)の前端面(13c)は、係止板及び受容部を2対有していることになる。具体的には、前端面(13c)の上側半分には、その左側半分に亘って前方に凸設された係止板(61a)と、その右側半分に亘って後方に凹設され、前記係止板(61a)の形状に合致した受容部(62a)が形成されている。また、前端面(13c)の下側半分には、その右側半分に亘って前方に凸設された係止板(61b)と、その左側半分に亘って後方に凹設され、前記係止板(61b)の形状に合致した受容部(62b)が形成されている。上段の係止板(61a)の上面は下翼板(13)の上面と同一平面上にあり、下段の係止板(61b)の下面は下翼板(13)の下面と同一平面上にある。
【0058】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、下翼板(13)の前端面(13c)が、相手方スライダーの下翼板(13)の前端面(13c)と密接したときに、上下方向に重なりが生じるため、ファスナーを閉鎖したときに二つのスライダー(60)の前端面(13c)同士がぴったり当接せずに両者に多少隙間が生じても、当該重なり部分が隙間を埋めて電磁波の通路を遮断することができる。
【0059】
係止板(61a、61b)は前方に向かって次第に左右の幅が狭くなる略台形状であるが、その利点は第1実施形態の説明したとおりである。左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)、及び、第2フランジ(22a)の肩口側の端面(27)の最前端は第1実施形態と同様に密接可能であり、その説明も第1実施形態で述べているので省略する。
【0060】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る電磁波シールドファスナー用スライダー(70)について説明する。
図11は、本実施形態に係るスライダー(70)の斜視図である。第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、下翼板(13)の前端面(13c)は左右の形状は相殺関係にあり、同一形状の二つのスライダー(70)の頭部同士を当接させてファスナーを完全に閉じた状態の時に、スライダー(70)の下翼板(13)の前端面(13c)同士が密接することができる。但し、その具体的な形状が第1実施形態と異なるので以下に説明する。
【0061】
本実施形態では、下翼板(13)の前端面(13c)は、係止板(71)及び受容部(72)を一対有している点で、第1実施形態と同様であるが、本実施形態では左側半分に亘って前方に凸設された係止板(71)の上面は下翼板(13)の上面と同一平面上にあり、係止板(71)の下面は下翼板(13)の下面と同一平面上にある。右側半分には係止板(71)の形状に合致した受容部(72)が後方に凹設されている。
図12は、本実施形態に係るスライダー(70)について、向かい合う二つのスライダー(70)が頭合わせで密接する様子を下方から見た図である。左側が密接前、右側が密接後を表している。
【0062】
係止板(71)は前方に向かって次第に左右の幅が狭くなる略台形状であるが、その利点は第1実施形態で説明したとおりである。左右の側壁(14a、14b)の前端部(14c、14d)、及び、第2フランジ(22a)の肩口側の端面(27)の最前端は第1実施形態と同様に密接可能であり、その説明も第1実施形態で述べているので省略する。
【0063】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。上記実施例においてはいずれも下翼板(13)の前端面(13c)は左右の形状が相殺関係にあるスライダーに関するものであったが、それに限定されず、例えば第2実施形態において、一方のスライダーには基面(13d)から突出する係止板を設けると共に、他方のスライダーには前記係止板(31)の形状に合致した受容部(32)を設け、それらが密接することで電磁波をシールドする構成としても良い。
また、本発明は隠しスライドファスナーであるが、スライダーを外部から見えないようにして使用することを主たる目的としていくのではなく、対となるファスナーテープ同士を付き合わせることで電磁波を遮断させることを主たる目的として使用している。よって、必ずしも本発明のスライダーを外部から見えないように配置する必要はなく例えば、エレメントが露呈する面(ファスナーテープ裏面)を外側として使用することもできる。その際は、下翼板(13)の下面に引手取付部を設けて引手を取り付けることが好ましい。なお、引手取付部についてはこれらに限定されるものではなく、任意の実用的な箇所に取り付けることができる。