(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735022
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】アクチュエータレバー、コレットおよびコレット取り出し部材
(51)【国際特許分類】
F16D 1/09 20060101AFI20150528BHJP
F16K 1/16 20060101ALN20150528BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20150528BHJP
F16B 2/04 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
F16D1/06 T
!F16K1/16
!F16K31/04
!F16B2/04 A
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-37175(P2013-37175)
(22)【出願日】2013年2月27日
(62)【分割の表示】特願2009-523754(P2009-523754)の分割
【原出願日】2007年6月22日
(65)【公開番号】特開2013-137103(P2013-137103A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2013年3月25日
(31)【優先権主張番号】11/501,315
(32)【優先日】2006年8月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルバーディング, ジェイソン ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ボイド, ダグラス ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】デイ, ポール アンドリュー
【審査官】
莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/124211(WO,A1)
【文献】
実開昭53−014057(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/09
F16B 2/04
F16K 1/16
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス制御デバイスに用いられる装置であって、
アクチュエータレバーと、
前記アクチュエータレバーに結合されるコレットと、
前記アクチュエータレバーまたは前記コレットのうちの少なくとも一つに着脱可能に結合され、前記アクチュエータレバーから前記コレットを取り出すためのコレットツールとを備えており、
前記コレットツールが、前記アクチュエータレバーから前記コレットを切り離すために、前記アクチュエータレバー、及び、前記コレットのうちの少なくとも一つに対して力を加えるように構成されてなり、
前記アクチュエータレバーのうちの少なくとも一部が雄ネジ山を有しており、前記コレットツールがU字形の断面を有しており、前記コレットツールのうちの一部が雌ネジ山を有してなる、装置。
【請求項2】
前記コレットツールの前記雌ネジ山が、前記アクチュエータレバーの前記雄ネジ山と係合し、このことにより、前記コレットツールが前記コレットと接触し、前記コレットと前記アクチュエータレバーとを切り離すように構成されており、前記雄ねじ山は前記レバーの後端にまで延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータレバーに螺合された前記コレットツールの回転により、前記コレットツールが前記アクチュエータレバーに引き込まれ、前記アクチュエータレバーからコレットを切り離すように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記コレットツールは、第1脚部、第2脚部、及び背部を有する、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載の装置。
【請求項5】
前記コレットツールが回転することで、前記コレットツールの背部が前記コレットに接触する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記雌ねじ山は、前記第1脚部及び前記第2脚部の端部に位置している、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1脚部及び前記第2脚部は、前記コレットツールを一方の端部において開放された中空状のシリンダ形状の構造体とするように一体に形成されている、請求項4乃至6のうちいずれか一の項に記載の装置。
【請求項8】
前記コレットツールの前記雌ネジ山が前記アクチュエータレバーの前記雄ねじ山と係合することにより、前記コレットツールが前記コレットの端面全体に接触し、前記アクチュエータレバーから前記コレットが切り離される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にプロセス制御デバイスに関するものであり、より詳細にはプロセス制御デバイスに用いられるアクチュエータレバー、コレットおよびコレット取り出し部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体プロセスシステムでは、流体制御プロセスに関連する例えば、温度、圧力および他のパラメータを制御するために回転弁のような弁が一般的に用いられている。通常、回転弁は、アクチュエータに機械的に接続される弁棒(弁シャフト)を備えている。動作において、アクチュエータが弁シャフトを回転することにより、制御要素(例えば、ディスク)は、流体による弁の通過を可能とする開弁位置と流体による弁の通過を実質的に阻止する閉弁位置との間を移動することができる。通常、回転弁は配管と一列に並んで搭載されるため、制御要素(例えば、ディスク)が移動(すなわち、開弁/閉弁)することにより、弁、すなわち配管を流れる流体の流量を(例えば、スロットル制御操作またはオン/オフ操作により)変えることができる。
【0003】
公知となっているように、アクチュエータは、通常、弁シャフトに接続されて、弁を開弁位置と閉弁位置との間で移動するように構成されている。また、アクチュエータは、電気式のデバイス、空圧式のデバイス、または液圧式のデバイスを用いて実現してもよい。入手することができるプロセス制御弁のほとんどのが、周知の標準規格に準拠したシャフトを備えており、プロセス制御弁のさまざまなアクチュエータとの互換を可能にしている。例えば、国際標準化機構(ISO)では、正方形状のシャフトに対する基準が作成されており、この基準により、シャフトサイズ、シャフト寸法およびシャフト延長部材の仕様が定められている。ISO標準に準拠することにより、複数の製造会社によって製造されたアクチュエータと弁とが、これらのアクチュエータまたは弁を修正することなく、相互に交換可能に接続できることが保証されている。具体的にいえば、弁シャフトの仕様またはISO標準規格は、既製品のアクチュエータを購入する場合に非常に有効である。
【0004】
既製品のアクチュエータのほとんどが、ISO標準規格に準拠する正方形状の孔を有した受け部を備えている。通常、正方形状の孔は、ブローチング技術を用いて製造されている。このブローチング技術では、複数の歯を有する厚いのこぎりのような切断工具を中実のシャフトまたは受け部に貫通させる。このようにして材料を正確に取り除き、正方形状の弁シャフトを受ける寸法の孔が形成される。しかしながら、ブローチングは、適切な寸法の孔(すなわち、あまり大き過ぎないまたは小さすぎない孔)を形成する上で必要となる精度または許容誤差を得るには不適当な技術である。ほとんどの場合、シャフト受け部の寸法がISO標準規格に準拠するように、シャフト受け部の内部寸法が弁シャフトの外部寸法に比べて相当大きく形成されている。
【0005】
ほとんどのオン/オフ用途においては、機能を犠牲にすることなく、シャフト受け部の内部寸法を弁シャフトの外部寸法に比べて相当大きくすることができる。しかしながら、制御要素(例えば、ディスク)の位置が完全に閉弁した位置と完全に開弁した位置との間で移動する(例えば、制御点の周辺で調節される)スロットル用途においては、過剰なサイズに形成されたシャフト受け部は適切ではない。通常、シャフト受け部が大きすぎるサイズに形成されると、機械的な接続が緩くなるので、シャフト受け部とプロセス制御デバイスのシャフトとの間の運動が失われる(ロストモーションする)こととなる。
【0006】
ロストモーションは、一般的にシャフト受け部とシャフトとの間の回転角度の差として定義されており、通常シャフト受け部とシャフトとの間の緩い接続が原因となっている。例えば、シャフト受け部とほぼ正方形状のシャフトとの間での接続が緩い場合、シャフト受け部の回転角度は、シャフトの回転による変位量と異なることとなる。
【0007】
一般的に、ロストモーションによって、ディスクの位置決めが不正確になり、弁を流れる流体の制御が劣悪となる。ロストモーションついては、弁アセンブリのアクチュエータのレバー内にコレットを設置することにより削減することが可能である。コレットは、弁シャフトをレバーに結合するものであって、レバーはアクチュエータにより回転されて、弁を開閉する。コレットは、くさび、シャフトキーまたはそれと同等のものを用いることなく、レバーと弁シャフトとの間に十分堅固な結合を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
弁アセンブリを分解するとき、例えば機能停止時または定期的な保守時には、弁シャフトをアクチュエータから取り除かれなければならない。コレットをレバーから分離することにより、弁シャフトをアクチュエータから取り除くことが可能である。通常、例えばコレットがレバーから外れるまたは緩まるまでアクチュエータをハンマーで打つようにして鈍力を用いてコレットを取り除くことができる。このことは、多くの労力を必要とするとともに(特に、シャフトのサイズが大きい場合)、コレットまたは弁シャフトの端部をハンマーで打つことにより弁アセンブリに内部損傷をもたらしてしまう可能性があり、望ましいことではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
プロセス制御デバイスに、本明細書に記載のアクチュエータレバー、コレットおよびコレットツールを備えた装置を用いることが可能である。一つの例示の装置では、アクチュエータレバーがコレットに結合される。また、この装置は、アクチュエータレバーまたはコレットのうちの少なくとも一つに着脱可能に結合されるコレットツールを備えている。さらに、コレットツールは、アクチュエータレバー、コレット、弁シャフト、または、レバー内に設けられうる中間構造体のうちの少なくとも一つに対して力を加えるようになっている。コレットツールにより加えられる力により、コレットがアクチュエータレバーから切り離されることになる。
【0010】
他の実施例では、アクチュエータレバー内にコレットを設置するまたはアクチュエータレバーからコレットを取り出すためのツールが、アクチュエータレバーまたはコレットのうちの少なくとも一つにツールを結合するための複数の雌ネジ山、複数の雄ネジ山、または板部材を有している。このツールは、コレットをアクチュエータレバー内に設置するまたはコレットをアクチュエータレバーから取り出すために、アクチュエータレバー、コレット、弁シャフトまたは中間構造体のうちの少なくとも一つに力を加えるように構成されている。
【0011】
さらに他の実施例では、プロセス制御デバイス内のレバーにコレットを設置するまたはレバーからコレットを取り出すための手段が、コレットツールをレバーまたはコレットのうちの少なくとも一つに着脱可能に結合するための手段を含んでいる。レバーにコレットを設置するまたはレバーからコレットを取り出すための手段が、コレットをレバー内に設置するまたはレバーから取り出すために、レバー、コレット、弁シャフまたは中間構造体のうちの少なくとも一つにコレットツールを介して力を加えるための手段を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】
図1のアクチュエータを示す斜視図である。
【
図2B】
図1のアクチュエータを示す斜視図である。
【
図4】コレットおよびコレットツールを備えたアクチュエータレバーを示す断面図である。
【
図5】他のアクチュエータレバー、コレットおよびコレットツールを示す断面図である。
【
図6】他のアクチュエータレバー、コレット、弁シャフト取り出し部材を示す断面図である。
【
図7】調節可能なカップリングを備えた他のアクチュエータレバーおよびコレットを示す部分断面図である。
【
図8】他の調節可能なカップリングを備えた他のアクチュエータレバーおよびコレットを示す部分断面図である。
【
図9】コレットツールが組み立てのための位置ある状態におかれている、
図8のアクチュエータレバーおよびコレットが示されている。
【
図10】
図9のコレットツールを示す断面図である。
【
図11】コレットツールが180度回転されて組み立て位置にある状態におかれている、
図9のアクチュエータレバー、コレットおよびコレットツールが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には弁アセンブリ100が示されている。弁アセンブリ100は、例えば温度、圧力または流量を制御するために、プロセス制御システムにおいて用いられる。弁アセンブリ100は、流路を開くため、流路を閉じるため、および/または、流路の開口部(すなわち、スロットル)のサイズを変えたえるために用いられる。例えば、流体が弁アセンブリ100を含む流路を流れているときに弁アセンブリ100の開口部のサイズを変えると、弁アセンブリが開弁または閉弁の程度に基づいて、流路中の流体の流量が減少または増大することになる。
【0014】
図1に示されているように、弁アセンブリ100は、弁102と、アクチュエータ104と、レバー106とを備えている。レバー106は、
図2B〜
図3Bに記載されているように、アクチュエータ104に機械的に接続されている。アクチュエータ104は、その軸を中心としてレバー106が駆動(すなわち、回転等)するように構成されており、弁102を開弁/閉弁する。弁102は、弁本体108と、この弁本体108の内側表面またはチャンバ112内に設けられている制御要素110(例えば、ディスク)と、隠れ線によって示されているように制御要素110に機械的に接続されている弁シャフト114と、を備えている。弁シャフト114は、ほぼ正方形状のシャフトである。この弁シャフト114を、正方形状シャフトについてのISOの基準に準拠するように設計することが可能である。ただし、この弁シャフト114は、その他の形状(例えば、任意の多角形状)およびサイズにより実現してもよい。例えば、当業者にとって明らかなように、このシャフトは、ISO基準のアクチュエータに係合するために端部を多角形状またはほぼ正方形状にする以外は、断面視においてほぼ円形状であってもよい。これに加えて、当業者にとって明らかなように、本発明の技術的思想および技術範囲から逸脱することなく、コレット、レバーおよびコレットツールを公知となっているキー溝付のシャフトに用いてもよい。
【0015】
閉弁位置では、制御要素110はシール面116が弁本体108の内側表面112と接触した状態となり、流体が弁本体108を流れないようにする着座位置に配置される。制御要素110を完全な開弁位置に移動させるには、制御要素110が内側表面112により形成されている開口部に対してほぼ垂直の向きになるように弁シャフト114を回転させる。制御要素110をスロットル調節するには、所望のプロセス流体の流量または圧力降下を達成するために、完全に開弁した位置と完全に閉弁した位置との間で制御要素110の位置を調節および制御する。これに加えて、制御要素110のスロットル調節は、プロセス流体の流量および/または圧力を連続的に測定するように構成されているフィードバックシステムと関連させて行ってもよい。このとき、フィードバックシステムは、例えばプロセス流体の流量および/または圧力の変化に応答して、アクチュエータ104でレバー106を少なくとも部分的に駆動する。この場合、レバー106と弁シャフト114との間のロストモーションを最小限に抑えることまたは減少させることが、制御要素110の正確に位置決めするうえで重要である。
【0016】
図1に示されているように、アクチュエータ104は、取り付け用ブラケット118を介して、弁102に機械的に接続されている。アクチュエータ104は、弁シャフト114を回転させることができるいかなる動力を有するまたは動力のない駆動装置を備えるようにしてもよい。公知のように、アクチュエータは、電気式のデバイス、空圧式のデバイスおよび/または液圧式のデバイスを用いて実現されることが一般的である。ただしこれに代えて、アクチュエータ104を、例えば手動式のデバイスなどのような、いかなる動力のない駆動装置を用いて実現してもよい。
【0017】
レバー106は、第1カップリング120と第2カップリング122とを備えている。第1カップリング120が弁シャフト114に機械的に接続されるものとして示されているが、第2カップリング122も、後述するように、弁シャフト114に機械的に接続されるように構成してもよい。レバー106は、第1カップリング120および/または第2カップリング122を介して、弁シャフト114に回転力を伝えることが可能となっている。例えば、レバー106が回転することにより、第1カップリング120が弁シャフト114を回転させ、制御要素110は閉弁位置と閉弁位置との間で移動する。
【0018】
レバー106は、当該レバー106とドローナット(draw nut)126の間で狭持されているワッシャ124に係合している。
図3Aおよび
図3Bに関連して後述するように、ワッシャ124およびドローナット126により、第1カップリング120および/または第2カップリング122が弁シャフト114に係合する(例えば、締め付けられる)ことができる。これに加えて、
図2Aおよび
図2Bに関連して後述するように、カップリング120および122は実質的に同等または同一に構成されており、アクチュエータ104が180度回転しても、弁102をフェイル・セーフに運用することができる。
【0019】
図2Aおよび
図2Bは、
図1のアクチュエータを示す斜視図である。
図2Aおよび
図2Bには、
図1のレバー106がアクチュエータ104に回転可能に接続される状態が概略的に示されている。
図1に関連して上述されているように、アクチュエータ104は、シャフト(例えば、
図1の弁シャフト114)を回転させるために、そのシャフトに機械的に接続されている。本実施形態に係るアクチュエータ104は、スプリングダイヤフラム型のアクチュエータとして示されているが、その他の適切な駆動装置を用いてもよい。また、アクチュエータ104は、当該アクチュエータ104の前部側面として示されている第1面板204と、この第1面板204の反対側にある第2面板(すなわち、アクチュエータ104の後部側面)(図示せず)とを備えている。第1面板204および第2面板は実質的に同等または同一であり、このことにより、後述するように、アクチュエータ104のフェイル・セーフの運用を現場で構成することが可能となる。
【0020】
レバー106は、コレット202に機械的に接続されているかまたは他の方法で係合し、例えば弁シャフト114(
図1)に力が加わるように構成されている。レバー106とコレット202とは、
図3Aおよび
図3Bに関連して後述するように、第1カップリング120(
図1)および/または第2カップリング122(
図1)を形成しうる。これに加えて、図示するように、レバー106は第1面板204を通って延びている。同様に、レバー106は、第2面板を通って延びている。これは
図2Aおよび
図2Bには示されていない。
【0021】
アクチュエータ104のフェイル・セーフの運用は、現場で構成することができる。フェイル・セーフの運用を構成することにより、動力(例えば、電力、空圧力、油圧力など)が中断されたときに弁102(
図1)が開弁するように構成されているのかまたは閉弁するように構成されているのかが決まる。例えば、第1カップリング120を弁シャフト114に機械的に接続することにより、フェイル・セーフ・オペレーションを開弁用に構成することができる。これとは異なり、物理的にアクチュエータ104を矢印206により示されている方向に沿って回転し、弁シャフト114に第2カップリング122を接続することにより、フェイル・セーフの運用を閉弁用に構成することもできる。
【0022】
図2Aおよび
図2Bに示されているように、第1面板204は複数の取付孔208を有しており、これにより取り付け用ブランケット118(
図1)を介して例えば弁102(
図1)にアクチュエータ104を機械的に接続することができる。
図2Bでは、第1面板204がアクチュエータ104から取外されて、レバー106およびコレット202が見えている。下記に、レバー106とコレット202とのアセンブリをさらに詳細に記載する。レバー106は、駆動要素210に機械的に接続されている。この駆動要素210は、アクチュエータ104によって往復運動またはストローク運動を行い、また、レバー106を回転するように構成されており、弁102を開弁/閉弁する。
【0023】
図3Aおよび
図3Bは、
図2Aおよび
図2Bのレバー106およびコレット202を示すより詳細な斜視図である。具体的にいえば、
図3Aには、レバー106およびコレット202が組み立てられた状態で示されており、
図3Bは、レバー106およびコレット202を示す分解斜視図である。組み立てられた状態では、レバー106とコレット202とは、例えば
図1のカップリング120および/またはカップリング122のようなカップリングを形成している。図示されているように、コレット202は正方形状の孔302を備えている。この正方形状の孔は、
図3Aにおいて係合しているまたは締め付けられている状態で示され、また、
図3Bにおいては開いた状態で示されている。レバー106およびコレット202は、例えば
図1の弁シャフト114のような弁シャフトと係合するまたは回転する(すなわち、駆動する)ために適切ないかなる材料を用いて製造してもよい。これに加えて、レバー106およびコレット202は、例えばダイカスト、鍛造などいかなる適切な製造生産技術を用いて製造されるようにしてもよい。
【0024】
正方形状の孔302は、例えば
図1の弁シャフト114のような長方形状または正方形状のシャフトを受けるおよび係合またはクランプ締めするよう構成されていてもよい。さらに、正方形状の孔302は、正方形状のシャフトに対するISO基準に準拠する正方形状のシャフトと係合するように構成されてもよい。ただし、正方形状の孔302は、いかなる所望の形状およびサイズを用いて実現されてもよいし、また、ほぼ同様の形状およびサイズを有するいかなるシャフトと係合するように構成されてもよい。一般的に、孔302の形状およびサイズは、それに対応するシャフトの形状およびサイズに実質的に相補的であるように構成される。例えば、レバー106およびコレット20が
図1のカップリング120および122を実現するために用いられる場合、孔302の寸法は、弁シャフト114の寸法と実質的に同等または同一であってよい。
【0025】
図3Bに示されているように、レバー106の第1端部は、第1カップリング120を形成し、第1スリーブ304を提供する。第1スリーブ304は、コレット202を受けて係合するように構成されている。同様に、レバー106の第2端部は、第2カップリング122を形成し、コレット202が挿入される第2スリーブ306を提供する。コレット202は、レバー106に挿入されており、これにより第1スリーブまたは第2スリーブがコレット202と係合する。後で詳細に記載されているように、コレット202がスリーブ304および306のうちの一つにより係合されると、孔302の寸法が小さくなり、このことによって、コレット202が、例えば弁シャフト114と係合し、弁シャフト114に対して締め付け力を加えることになる。
【0026】
コレット202は、引き込み技術を用いて、レバー106内に引き込むようにしてもよい。例えば、レバー106は、貫通して延びる流路(図示せず)を備えてもよく、また、コレット202は、流路内に挿入される細長い部材308を備えてもよい。細長い部材308は、レバー106およびワッシャ124を通り抜けて延び、ドローナット126と螺合するネジ部310を有するようにしてもよい。ドローナット126を締めると、カップリング120の中にコレット202が引き込まれ、これによって、正方形状の孔302の寸法が小さくなる。このようにして、コレット202が直接例えば弁シャフト114と係合することにより、正方形状の孔302の面と弁シャフト114の面との間のギャップを縮小および/または除去することができる。後述する実施例のような他の構成では、細長い部材308は、雌ネジ山と、この雌ネジ山に係合してコレット202をレバー106の中に引き入れられるドローボルトとを(ドローナット126に代えて)有している。後述のように、ドローボルトが単一の構造でコレットツールと組み合わされるようにしてもよい。ここでいう「コレットツール」とは、ドローボルトまたはコレットインストーラ(これはコレットをレバーに接続する)及びコレット取り出し部材(これはレバーからコレットを切り離す)の両方を意味する。
【0027】
レバー106と弁シャフト114との間の空回転運動(すなわち、ロストモーション)は、コレット202を介して正方形状の孔302の面と弁シャフト114の面との間のギャップを除去することによって、著しく縮小できまたは除去することができる。さらに、本明細書に記載のコレット(例えば、コレット202)は、例えば、設置プロセス、修理プロセスなどの目的のためにアクチュエータ(例えば、アクチュエータ104)およびシャフト(例えば、弁シャフト114)の接続および切り離しを容易に行うことができる。
【0028】
図4は、コレット202がレバー106の中に挿入され、それにコレットツール402が取り付けられている状態を示す断面図である。
図4に示されているように、弁アセンブリ100のコレット202、レバー106またはその他の部品を損傷させることなくレバー106からコレット202を取り出すためにコレットツール402を用いることが可能である。コレットツール402は、コレット202の後部または端部405に抗して移動する板部材404を有している。板部材404は、第1ボアホール406および第2ボアホール408を有しており、それらは第1スタッド410および第2スタッド412がそれぞれ対応して通り抜けるように構成されている。第1スタッド410は、レバー106内に設けられた第3ボアホール414の中に挿入されており、第2スタッド412は、レバー106内に設けられた第4ボアホール416の中に挿入されている。第1スタッド410および第2スタッド412の反対側の端部は、それぞれ第1ドローナット418および第2ドローナット420に結合されている。ドローナット418および420は回転し、コレット202の端部405に抗してコレットツール402を移動すするように構成されている。すなわち、ドローナット418および420は、回転してドロー板部材404と接触し、このドロー板部材404はレバー106に接近する。板部材404がレバー106に接近するにつれて板部材404は、コレット202の端部405を押し続け、コレット202とレバー106との間の摩擦に打ち勝ち、レバー106からのコレット202を切り離し、弁アセンブリ100の構成部品をいずれも損傷させることなくレバー106の他方の端部から外へコレット202を押し出す。このコレットツール402は、分解(すなわち、コレット202の取り出し)時に取り付けられ、コレット取り出し部材として機能する。
【0029】
図5には、他のコレットツール502が示されている。コレットツール502は、第1脚部504と、第2脚部506と、背部508とを有しているほぼU字形の構成部材である。ただし、これに代えて、第1脚部504および第2脚部506は、コレットツール502を一方の端部において開放された中空状のシリンダ形状の構造体とするように一体になっていてもよい。コレットツール502のうちの少なくとも一部は雌ネジ山510を有している。図示されている実施例では、雌ネジ山510は、第1脚部504および第2脚部506の端部の位置に設けられている。さらに、レバー106は、当該レバー106のうちの少なくとも一部に雄ネジ山512を有している。雄ネジ山512は、コレットツール502の雌ネジ山510と形状が合うようにまたは螺合するように構成されている。レバー106からコレット202を取り出すにあたって、コレットツール502は、コレットツール502の雌ネジ山510がレバー106の雄ネジ山512に係合するようにレバー106の後部に配置される。次いで、コレットツール502を回転し、ネジ山510および512をさらに係合させ、コレットツール502をレバー106の後部の方向に向けて引き込む。コレットツール502が回転するにつれて、コレットツール502の後部508が、コレット202と接触し、コレット202とレバー106との間の摩擦に打ち勝ち、レバー106からのコレット202を切り離し、弁アセンブリ100の構成部材をいずれも損傷させることなくレバー106の他方の端部からコレット202を押し出す。分解(すなわち、コレット202の取り出し)時には、このコレットツール502を取り付けまたは用いることが可能である。
【0030】
図6には、他のコレットツール600が示されている。この実施例では、コレット202は、雄ネジ山602と、雌ネジ山604とを有している。コレット202の雌ネジ山604は、弁シャフト取り出し部材608の雄ネジ山606とぴったりと形状が合うように構成されている。弁シャフト(図示せず)を取り出すために、弁シャフト取り出し部材608を、弁シャフト取り出し部材608の雄ネジ山606がコレット202の雌ネジ山604と係合するように、コレット202の中に挿入する。次いで、弁シャフト取り出し部材608を回転し、弁シャフト取り出し部材608をコレット202の中にさらに移動させる。弁シャフト取り出し部材608が十分に回転すると、弁シャフト取り出し部材608の端部610が弁シャフトと接触する。弁シャフト取り出し部材608をさらに回転させ、コレット202の中に移動させるにつれて、弁シャフトがコレット202から外へ押し出される。
【0031】
コレット202から弁シャフトを取り除くことにより、弁シャフトがコレット202を介してレバー106に対して及ぼすくさび力を排除または逃がすことができる。くさび力が存在しない場合、コレット202は、コレット202の手動操作、コレット202の雄ネジ山602とツール(例えば、レンチまたはペンチ)との相互作用、重力などにより、レバー106から取り除かれるようにしてもよい。このように、弁シャフト取り出し部材608は、コレットツールまたはコレット取り出し部材として機能する。上述の他のコレットツール402および502では力をレバーに伝えることによりコレット202を切り離すようになっているが、弁シャフト取り出し部材608は、力を弁シャフトに伝えることによりコレット202の切り離しを可能としている。
【0032】
図示されている実施例では、ボルトである弁シャフト取り出し部材608を示している。ただし、これに代えて、例えばネジのようないかなるタイプの締結部材が用いられてもよい。加えて、図示された実施例では、弁シャフト取り出し部材608は、完全に取り出し可能となっており(例えば、分解時)、必要に応じて、取り付けてもよく、または用いてもよい。
【0033】
図7には、さらに他のコレットツール700が示されている。
図7に示されている装置は、中間構造体または調節可能なカップラー(例えば調節可能なネジ山付きカップリングまたはカップラー702)を備えている。カップラー702は、レバー106の内部に永続的に設けられてもよく、また、レバー106に対して自由に回転できるようにしてもよい。調節可能なカップリング702は、レバー106内に保持され、例えばスナップリング(図示せず)または同様のデバイスのような締結部材により、中心軸に沿ってまたはレバー106の長手方向の軸に沿って平行移動しないように維持されている。調節可能なカップリング702は、二つのチャンバ、すなわち第1ボアホール704と第2ボアホール706とを有している。 第1ボアホール704は、コレット202の細長い部分308の雄ネジ山710にぴったり形状が合う雌ネジ山708を有している。また、第2ボアホール706も雌ネジ山712を有している。調節可能なカップリング702は、横孔716を有している中央部714をさらに備えている。図示されている実施例では、横孔716は正方形状の断面を有している。しかしながらこれに代えて、いかなる他の多角形状が用いられてもよい。
【0034】
ロッド、シャフトまたは他の形態のコレットツール(図示せず)をコレット202とは反対側のレバー106の端部の中に挿入し、これによりコレット202を内側に引き込み、コレット202をレバー106に結合させてもよい。コレットツールは、横孔716の中に挿入されて係合される正方形状の端部を有するようにしてもよい。このコレットツールは、時計の回転方向に回転し、これにより調節可能なカップリング702は時計の回転方向に回転する。調節可能なカップリング702を時計の回転方向に回転させると、コレット202の雄ネジ山710が調節可能なカップラー702の第1孔704の雌ネジ山708と係合し、このことによりコレット202をレバー106の中にさらに引き込み、コレット202とレバー106とを結合する。これに代えて、コレットツールのうちの一部が、第2ボアホール706の雌ネジ山712と係合する雄ネジ山を有するようにしてもよい。この場合、コレットツールの雄ネジ山と調節可能なカップリング702の雌ネジ山712が係合されると、コレットツールの連続的な時計の回転方向の回転が、調節可能カップリング702を時計の回転方向に回転させ、上述のようにコレット202とレバー106とを結合させる。
【0035】
コレット202を取り出すために、正方形状の端部を有するコレットツールを、横孔716の中に挿入し、時計の回転方向とは反対の方向に回転させることが可能である。コレットツールが時計の回転方向とは反対の方向に回転すると、調節可能なカップリング702が時計の回転方向とは反対の方向に回転し、このことにより、調節可能なカップリング702の雌ネジ山708とコレット202のシャフト308の雄ネジ山710とが離脱し、コレット202とレバー106とが切り離される。
図8〜
図11には、レバー、コレットおよびコレットツールの組み合わせの他の実施例が示されている。レバー106は中間構造体802を有している。この実施例では、中間構造体802とは、レバー106の内部チャンバを第1ボアホール804と第2ボアホール806とに分割するウェブまたは板部802のことである。この実施例では、中間構造体、板部またはウェブ802は、レバー106と一体となっている。ウェブ802は、コレット202のシャンクまたはシャフト308が通り抜ける第2ボアホールまたは中央ボアホール808を有している(
図8)。
【0036】
コレットツール902は第1端部904と第2端部906とを有している。第1端部904はボアホール910に向けて開口している開口部908を有しており、このボアホールのうちの少なくとも一部は雌ネジ山912を有している。コレット202とレバー106とを結合するため、コレット202が第1ボアホール804の中に挿入されている。第1ボアホール804は、コレットツール902のうちの一部に形成された雄ネジ山914と係合しうる雌ネジ山810を有している。また、コレット202のシャフト308も雄ネジ山812を有している。シャフト308が、第1ボアホール804および中心孔808を介して挿入されると、シャフト308のうちの一部が第2ボアホール806に入る。コレットツール902は反対側の端部から第2ボアホール806の中に挿入される。コレットツール902は、コレット202のシャフト308と係合する。シャフト308は開口部908に入り、また、シャフト308の雄ネジ山812は、コレットツール902の雌ネジ山912と係合する。コレットツール902が回転するにつれて、コレットツール902は中心のウェブ802に力を伝え、この力は、コレット202に伝えられ、ネジ山812および912をさらに係合させる。次いで、コレット202は、さらに引き込まれ、レバー106と堅固な結合を形成する。コレットツール902は、弁アセンブリ100の動作中、レバー106の第2ボアホール806内に置かれていてもよい。
【0037】
コレット202を取り出すために、コレットツール902は、レバーの第2ボアホール806から取り出され、約180度回転させられる。次いで、
図11に示されているように、コレットツール902は、第2端部906を先頭にして第2ボアホール806の中に再び挿入される。コレットツール902の外側表面のうちの少なくとも一部が雄ネジ山914を有している。雄ネジ山914は、レバー106の第2ボアホール806の表面のうちの少なくとも一部に形成された雌ネジ山814と係合する。コレットツール902が回転するにつれて、ネジ山914および814がさらに係合し、コレットツール902がレバー106の内部に向かって移動する。コレットツール902の第2端部906は、ほぼ平坦かつしっかりした表面916を有している。コレットツール902がレバー106の中に向かってさらに移動すると、コレットツール902は、コレット202のシャフト308の端部に接近していく。コレットツール902に及ぼされるさらなる回転力は、コレット202に作用し第2ボアホール806からコレット202を押し出す線形の力に変換される。コレット取り出し部材902が第2孔806の中でウェブまたは板部808に到達することができる程度に十分な奥行きまで挿入される頃には、コレット202はレバー106から切り離されているかまたは離脱されている。この時点において、コレット202はレバー106の外側に十分に露出しているため、弁アセンブリ100の構成部材のいずれにも損傷を与えることなく、弁シャフト(図示せず)を手動で操作し、コレット202から取り出すことが可能となる。このコレットツール902は、将来使用するまで、第2孔806内に格納するようにしてもよい。レバー内にコレットツール902を格納することにより、コレット取り出し器具902の置き違えまたは紛失の可能性が削減され、組み合わせ品の組み立てから分解までの迅速な変換が容易となる。
【0038】
本明細書に、製造の方法、装置および製品が記載されているが、本発明の範疇が、これらによって制限されることはない。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲に文字通りにまたは均等論に従って正当に該当する製造の方法、装置および製品をすべて網羅する。