特許第5735229号(P5735229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユー・ディー・シー アイルランド リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5735229-有機電界発光素子 図000077
  • 特許5735229-有機電界発光素子 図000078
  • 特許5735229-有機電界発光素子 図000079
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735229
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20150528BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150528BHJP
   C07D 403/10 20060101ALI20150528BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20150528BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20150528BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20150528BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150528BHJP
   F21Y 105/00 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/10
   C07D403/10
   C07D403/14
   C07D401/14
   C07D209/86
   C09K11/06 660
   C09K11/06 690
   F21Y105:00 100
【請求項の数】17
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2010-171086(P2010-171086)
(22)【出願日】2010年7月29日
(65)【公開番号】特開2011-91366(P2011-91366A)
(43)【公開日】2011年5月6日
【審査請求日】2013年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2009-180223(P2009-180223)
(32)【優先日】2009年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-201155(P2009-201155)
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-221663(P2009-221663)
(32)【優先日】2009年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512253626
【氏名又は名称】ユー・ディー・シー アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 俊大
(72)【発明者】
【氏名】北村 哲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 徹
(72)【発明者】
【氏名】武田 玲
(72)【発明者】
【氏名】外崎 桂樹
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/123178(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/112519(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0241495(US,A1)
【文献】 特開2009−152572(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/109824(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/143201(WO,A1)
【文献】 特開2007−221097(JP,A)
【文献】 特開2009−094124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(3)で表される化合物と、一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する有機電界発光素子。
【化1】
(一般式(3)中、Xは水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表し、Xは窒素原子を表す。L’は置換若しくは無置換のフェニレン基を表し、その1位で一般式(3)のカルバゾール環に結合し、その3または4位でピリミジン環に結合しているフェニレン基に結合する。一般式(3)のピリミジン環に結合しているフェニレン基は、その1位でピリミジン環に結合し、その3位でL’に結合する。〜Rはそれぞれ独立に置換基を表し、n1,n2,n4及びn5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、n3は0〜4のいずれかの整数を表し、p’及びq’はそれぞれ独立に1〜4のいずれかの整数を表す。)
【化2】
(式中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基同士は可能であれば互いに結合して環を形成しても良い。X−Yは二座のモノアニオン性配位子を表す。nは1〜3の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(PQ−1)において、n=3である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記一般式(PQ−1)において、n=2である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記一般式(PQ−1)において、R〜Rが水素原子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記一般式(PQ−1)において、Rがアリール基を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記(X−Y)がアセチルアセトネート(acac)、ピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体のいずれかである請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
発光層に下記一般式(C−1)で表される化合物を更に含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【化5】
(一般式(C−1)中、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。L、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。)
【請求項8】
前記一般式(C−1)で表される化合物が下記一般式(C−2)で表される化合物である、請求項7に記載の有機電界発光素子。
【化6】
(一般式(C−2)中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21及びA22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z21及びZ22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23及びZ24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
【請求項9】
前記発光層と陰極の間に前記一般式(3)で表される化合物を含有する層を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(3)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する組成物。
【請求項11】
請求項7または8に記載の一般式(C−1)で表される化合物を更に含む請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(3)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する発光層。
【請求項13】
請求項7または8に記載の一般式(C−1)で表される化合物を更に含む請求項12に記載の発光層。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(3)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜する成膜方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)に関し、高効率で耐久性が高く、かつ、高温駆動時の色度変化の抑制に優れた有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから、近年活発な研究開発が行われている。一般に有機電界発光素子は、発光層を含む有機層及び該層を挟んだ一対の電極から構成されており、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が発光層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。燐光発光材料としてはイリジウム錯体や白金錯体などが知られている(例えば、特許文献1参照)。またその中で、赤色燐光材料としては、Ir(btp)(acac)が知られている。
また、発光材料をホスト材料中にドープした発光層を用いるドープ型素子が広く採用されている。ホスト材料の開発も盛んに行われており、赤色燐光素子用のホスト材料としてはCBP(4,4’−bis(N−carbazolyl)biphenyl)、Balq(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate)を用いる例が良く知られている(例えば、特許文献2参照)。
例えば、特許文献2には高効率及び長寿命の素子の作製を目的として、芳香族多環縮環系材料を赤色燐光材料のホスト材料に用いる発明が開示されているが、素子の発光効率、高温駆動時の耐久性は十分ではない。更に、ディスプレイや照明用途を考えた場合、駆動に伴い色度が変化する問題があり、改善が求められている。
従来、素子の耐久性評価において、駆動電圧の上昇や効率の低下と共に駆動に伴う色度の変化が評価項目として挙げられてきた。また、環境温度も室温から(おもに加速試験の意味で)高温での評価もなされてきた。しかしながら、高温駆動時に低温よりも色度の変化量が大きくなることは注目されておらず、80℃以上の高温にもなりうる車載パネル用途などを考えた場合、高温駆動時の色度の変化は重要な問題になることが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第05/085387号
【特許文献2】特開2009−99783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載があるように、酸化に弱いカルバゾール基の導入は、素子の耐久性にとって好ましくないことが知られており、本発明の態様はその常識に照らした場合、耐久性の向上に効果があることは期待できなかった。また、イリジウム錯体系の燐光材料においても、錯体材料の宿命である配位子の離脱を契機とする分解、消光材の生成が素子性能を悪化させることが推定され、実用に供するには困難が伴うことが知られている。
しかしながら、本発明者らは、カルバゾール基を含む本発明のホスト材料を、特定のイリジウム錯体材料と組み合わせた場合に、耐久性向上効果が発現することを見出した。
すなわち、本発明の目的は、優れた発光特性を備え、高温駆動時の色度変化を抑制し、耐久性に優れた有機電界発光素子の提供にある。
また、本発明の別の目的は有機電界発光素子に有用な組成物及び発光層を提供することである。更に、本発明の別の目的は有機電界発光素子に有用な、化合物の成膜方法を提供することである。そして、本発明の別の目的は有機電界発光素子を含む発光装置、表示装置及び照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は下記の手段により達成された。
〔1〕
基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する有機電界発光素子。
【0007】
【化1】
【0008】
一般式(1)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリルアリール基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。Aは置換若しくは無置換の窒素含有芳香族へテロ6員環であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数である。
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基同士は可能であれば互いに結合して環を形成しても良い。X−Yは二座のモノアニオン性配位子を表す。nは1〜3の整数を表す。)
〔2〕
前記一般式(PQ−1)において、n=3である、〔1〕に記載の有機電界発光素子。
〔3〕
前記一般式(PQ−1)において、n=2である、〔1〕に記載の有機電界発光素子。
〔4〕
前記一般式(PQ−1)において、R〜Rが水素原子である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔5〕
前記一般式(PQ−1)において、Rがアリール基を表す、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔6〕
前記一般式(1)で表される化合物が、以下の一般式(2)で表される化合物である〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【0011】
【化3】
【0012】
(一般式(2)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリルアリール基を表す。Lは、単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環を表し、Ar、Ar、X、X又はXの炭素原子と連結する。Ar及びArはそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環基を表し、X、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。)
〔7〕
前記一般式(2)で表される化合物が、以下の一般式(3)で表される化合物である〔6〕に記載の有機電界発光素子。
【0013】
【化4】
【0014】
(一般式(3)中、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表し、X及びXのいずいれか一方は窒素であり、他方は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。L’は、単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環を表す。R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表し、n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、p’及びq’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
〔8〕
前記(X−Y)がアセチルアセトネート(acac)、ピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体のいずれかである〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔9〕
前記発光層に下記一般式(C−1)で表される化合物を更に含有する、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【0015】
【化5】
【0016】
一般式(C−1)中、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。L、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。
〔10〕
前記一般式(C−1)で表される化合物が下記一般式(C−2)で表される化合物である、〔9〕に記載の有機電界発光素子。
【0017】
【化6】
【0018】
一般式(C−2)中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21及びA22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z21及びZ22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23及びZ24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。
〔11〕
前記発光層と陰極の間に前記一般式(1)で表される化合物を含有する層を有する、〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
〔12〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する組成物。
〔13〕
前記一般式(C−1)で表される化合物を更に含む〔12〕に記載の組成物。
〔14〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する発光層。
〔15〕
前記一般式(C−1)で表される化合物を更に含む〔14〕に記載の発光層。
〔16〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(PQ−1)で表される化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜する成膜方法。
〔17〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
〔18〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
〔19〕
〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有機電界発光素子は、高い外部量子効率を有し、かつ耐久性に優れる。また、高温駆動時の色度変化が小さく、車載用途など高温環境での駆動耐久性が求められる用途においても、安定した性能を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る有機EL素子の層構成の一例(第1実施形態)を示す概略図である。
図2】本発明に係る発光装置の一例(第2実施形態)を示す概略図である。
図3】本発明に係る照明装置の一例(第3実施形態)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明書において置換基群A及びBとは以下のように定義される。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0022】
(置換基群B)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Bから選択される基を挙げることができる。
【0023】
下記、一般式(1)〜(3)、一般式(PQ−1)〜(PQ−2)、一般式(C−1)〜(C−6)及び一般式(IV)の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、上記アルキル基等の置換基の「炭素数」とは、アルキル基等の置換基が他の置換基によって置換されてもよい場合も含み、当該他の置換基の炭素数も包含する意味で用いる。
また、「ヘテロアルキル」基とは少なくとも1つの炭素がO、NR、又はSに置き換わったアルキル基をいう。
【0024】
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式
(PQ−1)で表される化合物とを含有する。
一般式(1)で表される化合物と、一般式(PQ−1)で表される化合物とを発光層に用いることで、高い外部量子効率を有し、かつ耐久性に優れる有機電界発光素子を得ることができる。また、高温駆動時の色度変化が小さい有機電界発光素子を得ることができる。
【0025】
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
〔一般式(1)で表される化合物〕
【0026】
【化7】
【0027】
一般式(1)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリルアリール基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。Aは置換若しくは無置換の窒素含有芳香族へテロ6員環であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数である。
【0028】
一般式(1)について説明する。
Czは、置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリルアリール基である。
アリールカルバゾリル基及びカルバゾリルアリール基におけるアリール基は、炭素数6〜30が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基がより好ましい。
アリールカルバゾリル基及びカルバゾリルアリール基におけるカルバゾール環(カルバゾリル基)上でのアリール基の置換位置は、特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、アリール基がカルバゾール環の2位、3位、6位、7位又は9位に置換していることが好ましく、カルバゾール環の3位、6位又は9位に置換していることがより好ましく、カルバゾール環の9位(N位)に置換していることが最も好ましい。
Czがアリールカルバゾリル基の場合、特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、アリールカルバゾリル基のカルバゾール環の2位、3位、6位、7位又は9位(N位)でLと連結することが好ましく、カルバゾール環の3位、6位又は9位(N位)でLと連結することがより好ましく、カルバゾール環の9位(N位)でLと連結することが最も好ましい。
また、Czとしてはアルキル基、シリル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基又はカルバゾリル基で置換されていてもよいカルバゾリルアリール基であることが好ましく、エチル基、t−ブチル基、トリフェニルシリル基、フェニル基、フッ素原子、シアノ基又はカルバゾリル基で置換されていてもよいカルバゾリルアリール基であることがより好ましい。
【0029】
Aは、置換若しくは無置換の窒素含有芳香族ヘテロ6員環であり、好ましくは炭素数2〜40の窒素含有芳香族ヘテロ6員環である。Aは複数の置換基を有してもよく、置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
窒素含有芳香族ヘテロ6員環又は窒素含有芳香族ヘテロ6員環を含む窒素含有芳香族ヘテロ環としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、アザインドリジン、インドリジン、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、イミダゾピリジン等が挙げられ、これらのうち、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンがより好ましく、ピリジン、ピリミジンが更に好ましく、ピリミジンが最も好ましい。
【0030】
Lは、単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環である。
なお、一般式(1)においてp+qが3以上を表す場合、Lは、前記アリーレン基からp+q−2個の任意の水素原子を除したp+q価の基、シクロアルキレン基からp+q−2個の任意の水素原子を除したp+q価の基、又はp+q価の芳香族ヘテロ環基を表す。
Lが有する置換基としては、前記置換基群Aとしてあげたものが適用でき、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ピリジル基、ピリミジル基、チエニル基、フッ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフェニルシリル基、トリメチルシリル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、フッ素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基であり、更に好ましくはメチル基、フェニル基、フッ素原子である。
アリーレン基としては、炭素数6〜30のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ビレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基、パーフルオロアリーレン基等が挙げられ、これらのうちフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、パーフルオロアリーレン基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基がより好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基が更に好ましい。
シクロアルキレン基としては、炭素数5〜30のシクロアルキレン基が好ましく、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基などが挙げられ、これらのうちシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が好ましく、シクロへキシレン基がより好ましい。
芳香族ヘテロ環としては、炭素数2〜30の芳香族ヘテロ環が好ましく、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられ、これらのうち、ピリジニル基、キノリル基、インドリル基、カルバゾリル基が好ましく、ピリジニル基、カルバゾリル基がより好ましい。
Lとしては、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、ピリジニル基、カルバゾリル基が好ましく、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基がより好ましく、単結合、フェニレン基が更に好ましい。
【0031】
また、上記一般式(1)におけるCz、A及びLの置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、カルバゾリル基、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、トリフルオロメチル基、カルボニル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリールアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族基、置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、フッ素原子、メチル基、パーフルオロフェニレン基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、アダマンチル基、ベンジル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基及びこれらのみの組み合わせからなる基が好ましく、フッ素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、シアノ基、シリル基、カルバゾリル基、及びこれらのみの組み合わせからなる基がより好ましく、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、及びこれらのみの組み合わせからなる基が更に好ましく、フェニル基が最も好ましい。また、置換基を複数有する場合、該置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0032】
p及びqは、それぞれ独立に1〜6の整数であり、それぞれ1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましい。
【0033】
一般式(1)で表される化合物は、以下の一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0034】
【化8】
【0035】
一般式(2)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリルアリール基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表し、Ar、Ar、X、X又はXの炭素原子と連結する。Ar及びArはそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環基を表し、X、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。
【0036】
一般式(2)について説明する。
一般式(2)中、Cz、L、p及びqの定義は、一般式(1)におけるCz、L、p及びqと同様であり、好ましいものも同様である。
Ar及びArはそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環基である。
アリール基は置換又は無置換の炭素数6〜30のものが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、パーフルオロアリール基等が挙げられ、これらのうちフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、パーフルオロアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基がより好ましく、フェニル基、ビフェニル基が更に好ましい。
アリーレン基としては置換又は無置換の炭素数6〜30のものが好ましく、具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるLの説明で挙げたものと同様である。
芳香族へテロ環基としては、置換又は無置換の炭素数2〜30のものが好ましく、具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるLの説明で挙げたものと同様である。これらに置換基が結合する場合、置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、A及びLの置換基として挙げたものと同様である。
Ar及びArは、好ましくはそれぞれ独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基又は無置換のターフェニル基であり、フッ素原子で置換されていてもよいフェニル基であることがより好ましい。
、X及びXは、それぞれ独立に、窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。X、X及びXのうち、0〜2個が窒素原子である場合が好ましく、0又は1個が窒素原子である場合がより好ましく、1個が窒素原子である場合が最も好ましい。X、X及びXのいずれかに窒素原子が含まれる場合、X及びXのいずれか一方が窒素原子であることが好ましい。一般式(2)におけるX〜Xを含む環がピリジン又はピリミジンを表すことが好ましく、ピリミジンを表すことがより好ましい。炭素原子に結合する置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、A及びLの置換基として挙げたものと同様である。また、一般式(2)においてLの連結位置は特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、Arの炭素原子と連結することが好ましい。
【0037】
一般式(2)で表される化合物は、以下の一般式(3)で表される化合物であることがより好ましい。
【0038】
【化9】
【0039】
一般式(3)中、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表し、X及びXのいずれか一方は窒素原子であり、他方は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子である。L’は単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表す。n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。p’及びq’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。
【0040】
一般式(3)について説明する。
及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子を表す。X及びXのいずれか一方は窒素原子であり、他方は水素原子若しくは置換基が結合した炭素原子であることが好ましい。一般式(3)におけるX及びXを含む環がピリジン又はピリミジンを表すことが好ましく、ピリミジンを表すことがより好ましい。炭素原子に結合する置換基の具定例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、A及びLの置換基として挙げたものと同様である。
L’の定義は、前述の一般式(1)におけるLと同様であり、好ましい基もLと同様である。L’は、一般式(3)中の含窒素芳香族ヘテロ構造においてベンゼン環と連結している。
〜Rはそれぞれ独立に置換基を表す。置換基の具体例は前述の一般式(1)におけるCz及びAの置換基として挙げたものと同様である。R〜Rとして好ましくは、フッ素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、アダマンチル基、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基であり、より好ましくは、フッ素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、ピリジル基、シアノ基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基であり、更に好ましくはフッ素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、シリル基、トリフェニルシリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基であり、更に好ましくはフッ素原子、t−ブチル基、フェニル基、シアノ基、トリフェニルシリル基、カルバゾリル基である。R〜Rが複数のとき、複数のR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。それぞれ0〜2であることが好ましく、0〜1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
p’及びq’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。それぞれ1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0041】
好ましくは、一般式(3)中、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は水素原子が結合した炭素原子であり、X及びXを含む環はピリジン又はピリミジンであり、L’は、単結合又はフェニレン基を表し、R〜Rはそれぞれ独立にフッ素原子、メチル基、フェニル基、シアノ基、ピリジル基、ピリミジル基、シリル基、カルバゾリル基、又はtert−ブチル基を表し、n1〜n5はそれぞれ独立に0又は1を表し、p’及びq’はそれぞれ独立に1又は2を表す。
なお、一般式(3)においてp’+q’が3以上を表す場合、L’は、前記フェニレン基からp’+q’−2個の任意の水素原子を除したp’+q’価の基を表す。
【0042】
一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、水素原子及び窒素原子のみからなる場合が最も好ましい。
【0043】
一般式(1)で表される化合物の分子量は400以上1000以下であることが好ましく、450以上800以下であることがより好ましく、500以上700以下であることが更に好ましい。
【0044】
一般式(1)で表される化合物の膜状態での最低励起三重項(T)エネルギーは2.61eV(62kcal/mol)以上3.51eV(80kcal/mol)以下であることが好ましく、2.69eV(63.5kcal/mol)以上3.51eV(80kcal/mol)以下であることがより好ましく、2.76eV(65kcal/mol)以上3.51eV(80kcal/mol)であることが更に好ましい。
【0045】
一般式(1)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上400℃以下であることがより好ましく、120℃以上400℃以下であることが更に好ましい。
【0046】
一般式(1)が水素原子を有する場合、同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が同位体に置き換わっていてもよく、また一部が同位体を含む化合物である混合物でもよい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例中のPhはフェニル基を表す。
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
上記一般式(1)で表される化合物として例示した化合物は、国際公開第03/080760号パンフレットに記載の方法や、国際公開第03/078541号パンフレットに記載の方法、国際公開第05/085387号パンフレットに記載の方法等、種々の方法で合成できる。
例えば、上記No.4の化合物は、m−ブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第05/085387号パンフレット段落[0074]−[0075](45頁、11行〜46頁、18行)に記載の方法で合成することができる。上記No.45の化合物は、3,5−ジブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第03/080760号パンフレットの46頁、9行〜46頁、12行に記載の方法で合成することができる。また、上記No.77の化合物は、N−フェニルカルバゾールを出発原料に用い、国際公開第05/022962号パンフレットの137頁、10行〜139頁、9行に記載の方法で合成することができる。
【0058】
本発明において、一般式(1)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、発光層に加え、発光層以外の有機層内のいずれの層に含有されてもよい。一般式(1)で表される化合物の導入層としては、発光層に加え、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、及び電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが好ましい。
本発明では、高温駆動時の色度変化をより抑えるために、一般式(1)で表される化合物を発光層及び発光層に隣接する層の両層に含有させてもよい。
一般式(1)で表される化合物を発光層中含有させる場合、本発明の一般式(1)で表される化合物は発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含ませることが好ましく、1〜95質量%含ませることがより好ましく、10〜95質量%含ませることがより好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物を発光層以外の層に含有させる場合は、発光層以外の層の全質量に対して10〜100質量%含ませることが好ましく、30〜100質量%含ませることがより好ましく、50〜100質量%含まれせることがより好ましい。
【0059】
本発明において、一般式(1)で表される化合物及び一般式(PQ−1)で表される化合物とともにホスト材料を併用することができる。併用するホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料であっても、電子輸送性ホスト材料であってもよい。
本発明において、前記発光層が、一般式(1)で表される化合物と、一般式(PQ−1)で表される化合物と、ホスト材料とを含むことが好ましい。前記ホスト材料は下記一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物であることが好ましい。
本発明においては、発光層に前記一般式(1)で表される化合物及び一般式(PQ−1)で表される化合物と、更に一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物の少なくとも1つ以上を含むことがより好ましい。
【0060】
本発明において、一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物が発光層に含有される場合、一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物は発光層中に1〜90質量%含まれることが好ましく、1〜70質量%含まれることがより好ましく、1〜40質量%含まれることが特に好ましい。また、一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物を複数の有機層に用いる場合、一般式(1)で表される化合物と共に含まれる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましく、一般式(1)で表される化合物が含まれない場合は、それぞれの層において30〜95質量%含まれることが好ましく、40〜95質量%含まれることがより好ましく、60〜95質量%含まれることが特に好ましい。
【0061】
一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(4−1)又は(4−2)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
【0062】
【化20】
【0063】
(一般式(4−1)及び(4−2)中、d、eはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、少なくとも一方は1以上である。fは1〜4の整数を表す。R’は置換基を表し、d、e、fが2以上である場合R’は互いに異なっていても同じでも良い。また、R’の少なくとも1つは下記一般式(5)で表されるカルバゾール基を表す。)
【0064】
【化21】
【0065】
(一般式(5)中、R’はそれぞれ独立に置換基を表す。gは0〜8の整数を表す。)
【0066】
R’はそれぞれ独立に置換基を表し、具体的にはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、又は一般式(5)で表される置換基である。R’が一般式(5)を表さない場合、好ましくは炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下の置換又は無置換のアリール基であり、更に好ましくは炭素数6以下のアルキル基である。
【0067】
R’はそれぞれ独立に置換基を表し、具体的にはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、好ましくは炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下の置換又は無置換のアリール基であり、更に好ましくは炭素数6以下のアルキル基である。
gは0〜8の整数を表し、電荷輸送を担うカルバゾール骨格を遮蔽しすぎない観点から0〜4が好ましい。また、合成容易さの観点から、カルバゾールが置換基を有する場合、窒素原子に対し、対称になるように置換基を持つものが好ましい。
【0068】
一般式(4−1)において、電荷輸送能を保持する観点で、dとeの和は2以上であることが好ましい。また、他方のベンゼン環に対しR’がメタで置換することが好ましい。その理由としてはオルト置換では隣り合う置換基の立体障害が大きいため結合が開裂しやすく、耐久性が低くなると考えられる。また、パラ置換では分子形状が剛直な棒状へと近づき、結晶化しやすくなるため高温条件での素子劣化が起こりやすくなる。具体的には以下の構造で表される化合物であることが好ましい。なお以下の化合物中のR’及びgは、前記一般式(5)におけるR’及びgと同義である。
【0069】
【化22】
【0070】
一般式(4−2)において、電荷輸送能を保持する観点で、fは2以上であることが好ましい。fが2又は3の場合、同様の観点からR’が互いにメタで置換することが好ましい。具体的には以下の構造で表される化合物であることが好ましい。なお以下の化合物中のR’及びgは、前記一般式(5)におけるR’及びgと同義である。
【0071】
【化23】
【0072】
一般式(4−1)及び(4−2)が水素原子を有する場合、水素の同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が水素同位体に置き換わっていてもよく、また一部が水素同位体を含む化合物である混合物でもよい。好ましくは一般式(5)におけるR’が重水素によって置換されたものであり、特に好ましくは以下の構造が挙げられる。
【0073】
【化24】
【0074】
更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
【0075】
一般式(4−1)及び(4−2)で表される化合物は、種々の公知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。最も一般的には、カルバゾール化合物に関してはアリールヒドラジンとシクロヘキサン誘導体との縮合体のアザーコープ転位反応の後、脱水素芳香族化による合成(L.F.Tieze,Th.Eicher著、高野、小笠原訳、精密有機合成、339頁(南江堂刊))が挙げられる。また、得られたカルバゾール化合物とハロゲン化アリール化合物のパラジウム触媒を用いるカップリング反応に関してはテトラヘドロン・レターズ39巻617頁(1998年)、同39巻2367頁(1998年)及び同40巻6393頁(1999年)等に記載の方法が挙げられる。反応温度、反応時間については特に限定されることはなく、前記文献に記載の条件が適用できる。また、mCPなどのいくつかの化合物は市販されているものを好適に用いることができる。
【0076】
本発明において、一般式(4−1)及び(4−2)で表される化合物は、真空蒸着プロセスで薄層を形成することが好ましいが、溶液塗布などのウェットプロセスも好適に用いることが出来る。化合物の分子量は、蒸着適性や溶解性の観点から2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、800以下であることが特に好ましい。また蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、300以上が特に好ましい。
【0077】
一般式(4−1)及び(4−2)は、以下に示す構造若しくはその水素原子が1つ以上重水素原子で置換された化合物であることが好ましい。なお以下の化合物中のR’及びR’は、前記一般式(4−1)及び(4−2)並びに前記一般式(5)におけるR’及びR’と同義である。
【0078】
【化25】
【0079】
以下に、本発明における一般式(4−1)及び(4−2)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
【化26】
【0081】
【化27】
【0082】
【化28】
【0083】
【化29】
【0084】
【化30】
【0085】
【化31】
【0086】
〔一般式(PQ−1)で表される化合物〕
一般式(PQ−1)で表される化合物について説明する。
【0087】
【化32】
【0088】
(一般式(PQ−1)中、R〜R10はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基同士は可能であれば互いに結合して環を形成しても良い。X−Yは二座のモノアニオン性配位子を表す。nは1〜3の整数を表す。)
【0089】
〜R10で表される置換基としては前記置換基群Aを挙げることができる。R〜R10として好ましくは、水素原子、アルキル基(アルキル基はフッ素原子を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数5〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜10)、アミノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜10)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数3〜10)、シアノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数3〜10)、シリル基、シリルオキシ基、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ヘテロ環基、シリル基、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、イソブチル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、トリル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基である。
置換基同士は可能であれば互いに結合して環を形成しても良い。環を形成する場合、R〜R10の内の隣接する2つが互いに結合して環を形成することが好ましく、RとR、RとR、又はRとR10、とが互いに結合して環を形成することがより好ましい。RとR、RとR、又はRとR10、とが互いに結合して環を形成する場合に、R〜R10が置換するベンゼン環とともに形成される環としては、アルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよいアリール環等が挙げられる。
形成されるアリール環は、好ましくは炭素数6〜30のアリール環であり、より好ましくは炭素数6〜15のアリール環である。形成されるアリール環としては、例えばナフタレン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられ、ナフタレン環又はフルオレン環が好ましく、ナフタレン環がより好ましい。これら環はアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよく、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよいナフタレン環又はフルオレン環であることが好ましい。
【0090】
一般式(PQ−1)中、R〜Rの内の0〜3つがそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シアノ基又はフッ素原子を表すと共に、その他のR〜Rが全て水素原子であることも好ましく、R〜Rの内の0又は1つがアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シアノ基又はフッ素原子を表すと共に、その他のR〜Rが全て水素原子であることがより好ましく、R〜Rが全て水素原子であることが、耐久性向上のため更に好ましい。
一般式(PQ−1)中、R〜R10の内の0〜2つがそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、シアノ基、ヘテロ環基又はフッ素原子を表すと共に、その他のR〜R10が全て水素原子であることも好ましく、R〜R10の内の0〜2つがそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、シアノ基又はフッ素原子を表すと共に、その他のR〜R10が全て水素原子であることがより好ましく、Rがアリール基を表すと共に、R、R及びR10が全て水素原子であることが更に好ましい。なお、RとR、RとR、又はRとR10、は互いに結合して前述の環を形成していてもよく、環を形成する場合、前述のアリール環を形成することがより好ましく、ベンゼン環を形成することが更に好ましい。
【0091】
nは2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0092】
(X−Y)は、二座のモノアニオン性配位子を示す。これらの配位子は、発光特性に直接寄与するのではなく、分子の発光特性を制御することができると考えられている。発光材料において使用される二座のモノアニオン性配位子を、当業界で公知であるものから選択することができる。二座のモノアニオン性配位子は、例えばLamanskyらのPCT出願WO02/15645号パンフレットの89〜90頁に記載されている配位子が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。好ましい二座のモノアニオン性配位子には、アセチルアセトネート(acac)及びピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体が含まれる。本発明においては錯体の安定性、高い発光量子収率の観点から二座のモノアニオン性配位子はアセチルアセトネートであることが好ましい。下記一般式中、Mは金属原子を表す。
〜Rは水素原子であることが好ましい。また、Rがアリール基であることが好ましい。
【0093】
【化33】
【0094】
前記一般式(PQ−1)で表される化合物は、下記一般式(PQ−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0095】
【化34】
【0096】
(一般式(PQ−2)中、R〜R10は水素原子又は置換基を表す。置換基同士は可能であれば互いに結合して環を形成しても良い。X−Yは二座のモノアニオン性配位子を表す。)
【0097】
〜R10及びX−Yは、一般式(PQ−1)におけるR〜R10及びX−Yと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0098】
一般式(PQ−1)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0099】
【化35】
【0100】
【化36】
【0101】
上記一般式(PQ−1)で表される化合物として例示した化合物は、例えば特許第3929632号公報に記載の方法などの種々の方法で合成できる。例えば、FR−2は、2−フェニルキノリンを出発原料として、特許第3929632号公報の18頁、2〜13行に記載の方法で合成することができる。また、FR−3は、2−(2−ナフチル)キノリンを出発原料として、特許第3929632号公報の18頁、14行〜19頁、8行に記載の方法で合成することができる。
【0102】
本発明において、発光層に一般式(PQ−1)で表される化合物を含有させる場合、その含有量は発光層中0.1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。
【0103】
本発明において、一般式(PQ−1)で表される化合物は、発光層に含有されるが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
本発明では、高温駆動時の色度変化をより抑えるために、一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とが発光層に含有される。
本発明の有機電界発光素子は、発光層に下記一般式(C−1)で表される化合物を更に含有することが好ましい。下記一般式(C−1)で表される化合物を更に含有することで、キャリアバランスを良化し、効率、耐久性を向上することができる。
正孔輸送性のIr錯体と電子輸送性のPt錯体が共存するためと推測される。
【0104】
【化37】
【0105】
(一般式(C−1)中、Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。L、L及びLはそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。)
【0106】
一般式(C−1)について説明する。Q、Q、Q及びQはそれぞれ独立にPtに配位する配位子を表す。この時、Q、Q、Q及びQとPtの結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであっても良い。Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、Q、Q、Q及びQ中のPtに結合する原子の内、少なくとも一つが炭素原子であることが好ましく、二つが炭素原子であることがより好ましく、二つが炭素原子で、二つが窒素原子であることが特に好ましい。
炭素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、アニオン性の配位子でも中性の配位子でもよく、アニオン性の配位子としてはビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントレン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子及び、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。中性の配位子としてはカルベン配位子が挙げられる。
窒素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としては含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子、オキサゾール配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))、アミン配位子、ニトリル配位子、イミン配位子が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アミノ配位子、イミノ配位子、含窒素芳香族ヘテロ環配位子(ピロール配位子、イミダゾール配位子、トリアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(例えはインドール配位子、ベンゾイミダゾール配位子など))が挙げられる。 酸素原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはエーテル配位子、ケトン配位子、エステル配位子、アミド配位子、含酸素ヘテロ環配位子(フラン配位子、オキサゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾオキサゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子などが挙げられる。
硫黄原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはチオエーテル配位子、チオケトン配位子、チオエステル配位子、チオアミド配位子、含硫黄ヘテロ環配位子(チオフェン配位子、チアゾール配位子及びそれらを含む縮環体(ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。アニオン性の配位子としては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子などが挙げられる。
リン原子でPtに結合するQ、Q、Q及びQとしては、中性の配位子でもアニオン性の配位子でもよく、中性の配位子としてはホスフィン配位子、リン酸エステル配位子、亜リン酸エステル配位子、含リンヘテロ環配位子(ホスフィニン配位子など)が挙げられ、アニオン性の配位子としては、ホスフィノ配位子、ホスフィニル配位子、ホスホリル配位子などが挙げられる。
、Q、Q及びQで表される基は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い(QとQが連結した場合、環状四座配位子のPt錯体になる)。
【0107】
、Q、Q及びQで表される基として好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、より好ましくは、炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アリールオキシ配位子であり、更に好ましくは炭素原子でPtに結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子でPtに結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子でPtに結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子である。
【0108】
、L及びLは、単結合又は二価の連結基を表す。L、L及びLで表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiR’−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。ここで、R及びR’はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。これらの連結基は、更に置換基を有していてもよい。
錯体の安定性及び発光量子収率の観点から、L、L及びLとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、更に好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、更に好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、更に好ましくは単結合、ジ置換のメチレン基であり、更に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基である。
は特に好ましくは、ジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基であり、最も好ましくはジメチルメチレン基である。
及びLとして最も好ましくは単結合である。
【0109】
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましくは下記一般式(C−2)で表される白金錯体である。
【0110】
【化38】
【0111】
(式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21及びA22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z21及びZ22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23及びZ24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
【0112】
一般式(C−2)について説明する。L21は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0113】
21及びA22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A21及びA22の内、少なくとも一方は炭素原子であることが好ましく、A21及びA22が共に炭素原子であることが、錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点から好ましい。
【0114】
21及びZ22は、それぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z21及びZ22で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、Z21及びZ22で表される環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、更に好ましくはピリジン環、ピラゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0115】
前記Z21及びZ22で表される含窒素芳香族ヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素原子上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子である。置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、短波長化させる場合には電子供与性基、フッ素原子、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、フッ素原子、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また長波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばシアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。窒素原子上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
【0116】
23及びZ24は、それぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からZ23、Z24で表される環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
【0117】
前記Z23、Z24で表されるベンゼン環、含窒素芳香族ヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子である。置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、長波長化させる場合には電子供与性基、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、芳香族ヘテロ環基などが選択される。また短波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばフッ素基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。窒素原子上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
【0118】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−3)で表される白金錯体である。
【0119】
【化39】
【0120】
(式中、A301〜A313は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L31は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0121】
一般式(C−3)について説明する。L31は一般式(C−2)におけるL21と同義であり、また好ましい範囲も同様である。A301〜A306はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
301〜A306として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。A301〜A306がC−Rである場合に、A302、A305のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましくは水素原子、フッ素基である。A301、A303、A304、A306のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基であり、特に好ましく水素原子である。A307、A308、A309及びA310は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。A307、A308、A309及びA310がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して縮環構造を形成してもよい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、A308が窒素原子であることが好ましい。
【0122】
上記の如くA307〜A310を選択した場合、2つの炭素原子とA307、A308、A309及びA310から形成される6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環であり、特に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。前記6員環が、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環(特に好ましくはピリジン環)であることにより、ベンゼン環と比較して、金属−炭素結合を形成する位置に存在する水素原子の酸性度が向上する為、より金属錯体を形成しやすくなる点有利である。
【0123】
311、A312及びA313は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。A311、A312及びA313がC−Rである場合に、Rとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、フッ素原子、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して、縮環構造を形成してもよい。A311、A312及びA313のうち少なくとも一つは窒素原子であることが好ましく、特にA311が窒素原子であることが好ましい。
【0124】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−4)で表される白金錯体である。
【0125】
【化40】
【0126】
(一般式(C−4)中、A401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L41は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0127】
一般式(C−4)について説明する。
401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。A401〜A406及びL41は、前記一般式(C−3)におけるA301〜A306及びL31と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0128】
407〜A414としては、A407〜A410とA411〜A414のそれぞれにおいて、窒素原子の数は、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、A408、A412が窒素原子であることが好ましく、A408とA412が共に窒素原子であることが更に好ましい。
407〜A414がC−Rを表す場合に、A408、A412のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ペルフルオロアルキル基、アルキル基、アリール基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましくは、水素原子、フェニル基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基である。A407、A409、A411、A413のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素基、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、ペルフルオロアルキル基、フッ素基、シアノ基であり、特に好ましく水素原子、フェニル基、フッ素基である。A410、A414のRとして好ましくは水素原子、フッ素基であり、より好ましくは水素原子である。A407〜A409、A411〜A413のいずれかがC−Rを表す場合に、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。
【0129】
一般式(C−2)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−5)で表される白金錯体である。
【0130】
【化41】
【0131】
(一般式(C−5)中、A501〜A512は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L51は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0132】
一般式(C−5)について説明する。A501〜A506及びL51は、前記一般式(C−3)におけるA301〜A306及びL31と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0133】
507、A508及びA509とA510、A511及びA512は、それぞれ独立に、一般式(C−3)におけるA311、A312及びA313と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0134】
一般式(C−1)で表される白金錯体のうち、より好ましい別の態様は下記一般式(C−6)で表される白金錯体である。
【0135】
【化42】
【0136】
(式中、L61は単結合又は二価の連結基を表す。A61はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z61及びZ62はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z63はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0137】
一般式(C−6)について説明する。L61は、前記一般式(C−1)中のLと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0138】
61は炭素原子又は窒素原子を表す。錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点からA61は炭素原子であることが好ましい。
【0139】
61及びZ62は、それぞれ前記一般式(C−2)におけるZ21及びZ22と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Z63は、前記一般式(C−2)におけるZ23と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0140】
YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。非環状配位子とはPtに結合する原子が配位子の状態で環を形成していないものである。Y中のPtに結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子がより好ましく、酸素原子が最も好ましい。炭素原子でPtに結合するYとしてはビニル配位子が挙げられる。窒素原子でPtに結合するYとしてはアミノ配位子、イミノ配位子が挙げられる。酸素原子でPtに結合するYとしては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子、カルボキシル配位子、リン酸配位子、スルホン酸配位子などが挙げられる。硫黄原子でPtに結合するYとしては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子、チオカルボン酸配位子などが挙げられる。
Yで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い。
【0141】
Yで表される配位子として好ましくは酸素原子でPtに結合する配位子であり、より好ましくはアシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、更に好ましくはアシルオキシ配位子である。
【0142】
一般式(C−6)で表される白金錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−7)で表される白金錯体である。
【0143】
【化43】
【0144】
(式中、A701〜A710は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L71は単結合又は二価の連結基を表す。YはPtに結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0145】
一般式(C−7)について説明する。L71は、前記一般式(C−6)中のL61と同義であり、また好ましい範囲も同様である。A701〜A710は一般式(C−3)におけるA301〜A310と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Yは一般式(C−6)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0146】
一般式(C−1)で表される白金錯体として具体的には、特開2005−310733の[0143]〜[0152]、[0157]〜[0158]、[0162]〜[0168]に記載の化合物、特開2006−256999の[0065]〜[0083]に記載の化合物、特開2006−93542の[0065]〜[0090]に記載の化合物、特開2007−73891の[0063]〜[0071]に記載の化合物、特開2007−324309の[0079]〜[0083]に記載の化合物、特開2007−96255の[0055]〜[0071]に記載の化合物、特開2006−313796の[0043]〜[0046]が挙げられ、その他以下に例示する白金錯体が挙げられる。
【0147】
【化44】
【0148】
【化45】
【0149】
【化46】
【0150】
一般式(C−1)で表される白金錯体化合物は、例えば、Journal of Organic Chemistry 53,786,(1988)、G.R.Newkome et al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法及びその組み合わせ、Chemische Berichte 113,2749(1980)、H.Lexyほか)の、2752頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、又はその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、若しくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、若しくは、塩基非存在下、室温以下、若しくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
【0151】
本発明において、一般式(C−1)で表される化合物を発光層に含有させる場合、その含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましい。
【0152】
〔一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する発光層〕
本発明は一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを含む発光層にも関する。本発明の発光層は有機電界発光素子に用いることができる。
本発明の発光層は、前記一般式(C−1)で表される化合物を更に含むことが好ましい。
前記一般式(C−1)で表される化合物を、前記一般式(1)で表される化合物及び前記一般式(PQ−1)で表される化合物と併用することで、より外部量子効率及び駆動耐久性に優れた有機電界発光素子を得ることができる。本発明の発光層における一般式(C−1)で表される化合物の含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
【0153】
〔一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する組成物〕
本発明は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(PQ−1)で表される化合物とを含有する組成物にも関する。
本発明の組成物における一般式(1)で表される化合物の含有量は50〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物における一般式(PQ−1)で表される化合物の含有量は1〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物における他に含有しても良い成分としては、有機物でも無機物でもよく、有機物としては、後述するホスト材料、蛍光発光材料、燐光発光材料、炭化水素材料として挙げた材料が適用でき、好ましくはホスト材料、炭化水素材料であり、より好ましくは一般式(VI)で表される化合物である。
本発明の組成物は蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等により有機電界発光素子の有機層を形成することができる。
【0154】
本発明の組成物は、前記一般式(C−1)で表される化合物を更に含むことが好ましい。
本発明の組成物における一般式(C−1)で表される化合物の含有量は組成物中、1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
【0155】
〔有機電界発光素子〕
本発明の素子について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式
(PQ−1)で表される化合物とを含有する。発光層と陰極の間に一般式(1)で表される化合物を含有する層を更に有することが好ましい。
【0156】
本発明の有機電界発光素子において、発光層及び一般式(1)で表される化合物を含有する層は有機層であり、更に複数の有機層を有していてもよい。
発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
図1は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示している。図1に示される本発明に係る有機電界発光素子10は、基板2上において、陽極3と陰極9との間に発光層6が挟まれている。具体的には、陽極3と陰極9との間に正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7、及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
【0157】
<有機層の構成>
前記有機層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0158】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/第二電子輸送層(正孔ブロック層)/第一電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/第二電子輸送層(正孔ブロック層)/第一電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層(電子ブロック層)/発光層/第二電子輸送層(正孔ブロック層)/第一電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/第一正孔輸送層/第二正孔輸送層(電子ブロック層)/発光層/第二電子輸送層(正孔ブロック層)/第一電子輸送層/電子注入層/陰極。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0159】
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0160】
基板、陽極、陰極については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0070〕〜〔0089〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0161】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
【0162】
−有機層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0163】
(発光層)
<発光材料>
本発明における発光材料は、前記一般式(PQ−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0164】
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0165】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0166】
本発明の素子における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。本発明の素子における発光層としては、ホスト材料として一般式(1)で表される化合物と発光材料として一般式(PQ−1)で表される化合物とを用いたものが好ましい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよい。発光層が複数の場合、一般式(1)で表される化合物及び(PQ−1)で表される化合物を二層以上の発光層に含んでもよい。また、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0167】
<ホスト材料>
本発明に用いるホスト材料は、前記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、正孔と電子の両電荷輸送性であり、一般式(PQ−1)で表される化合物と組み合わせることで、正孔と電子のキャリアバランスを良化することができる。これにより、カルバゾール基を有する化合物であるにもかかわらず駆動耐久性を向上させることができる。更に、高温駆動時の色変化を抑制することができる。
【0168】
本発明に用いられるホスト材料として、以下の化合物を更に含有していても良い。例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、CBP(4,4’−ジ(9−カルバゾイル)ビフェニル)、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
【0169】
本発明における発光層において、前記ホスト材料(一般式(1)で表される化合物も含む)の三重項最低励起エネルギー(Tエネルギー)が、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
【0170】
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
【0171】
一般式(1)で表される化合物を発光層以外の層(例えば電荷輸送層等)に導入する場合には、該層中において10質量%〜100質量%含まれることが好ましく、30質量%〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0172】
(蛍光発光材料)
本発明に使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の錯体やピロメテン誘導体の錯体に代表される各種錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
【0173】
(燐光発光材料)
本発明に使用できる燐光発光材料としては、一般式(1)で表される化合物の他、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光性材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が特に好ましい。
【0174】
燐光発光材料の含有量は、発光層中に、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上50質量%以下の範囲がより好ましく、0.3質量%以上40質量%以下の範囲が更に好ましく、20質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。
【0175】
本発明に用いることのできる燐光発光材料(一般式(PQ−1)で表される化合物及び/又は併用する燐光発光材料)の含有量は、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、5質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。特に5質量%以上30質量%以下の範囲では、その有機電界発光素子の発光の色度は、燐光発光材料の添加濃度依存性が小さい。
本発明の有機電界発光素子は、上記化合物(PQ−1)(一般式(PQ−1)で表される化合物)の少なくとも一種を該発光層の総質量に対して5〜30質量%含有することが最も好ましい。
【0176】
有機電界発光素子は、更に、炭化水素化合物を含むことが好ましく、発光層に炭化水素化合物を含むことがより好ましい。
また、炭化水素化合物は下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物を発光材料とともに適切に用いることにより、材料分子間の相互作用を適切に制御し、隣接分子間のエネルギーギャップ相互作用を均一にすることで駆動電圧を更に低下させることが可能となる。
また、有機電界発光素子において用いられる、一般式(VI)で表される化合物は、化学的な安定性に優れ、素子駆動中における材料の分解等の変質が少なく、当該材料の分解物による、有機電界発光素子の効率低下や素子寿命の低下を防ぐことが出来る。
一般式(VI)で表される化合物について説明する。
【0177】
【化47】
【0178】
一般式(VI)中、R、R、R、R10、X〜X15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
【0179】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアルキル基は、アダマンタン構造、アリール構造で置換されていてもよく、炭素数1〜70が好ましく、炭素数1〜50がより好ましく、炭素数1〜30が更に好ましく、炭素数1〜10がより更に好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数2〜6の直鎖のアルキル基が最も好ましい。
【0180】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアルキル基としては、例えば、n−C50101基、n−C3061基、3−(3,5,7−トリフェニルアダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数31)、トリチル基(炭素数19)、3−(アダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数13)、9−デカリル基(炭素数10)、ベンジル基(炭素数7)、シクロヘキシル基(炭素数6)、n−ヘキシル基(炭素数6)、n−ペンチル基(炭素数5)、n−ブチル基(炭素数4)、n−プロピル基(炭素数3)、シクロプロピル基(炭素数3)、エチル基(炭素数2)、メチル基(炭素数1)などが挙げられる。
【0181】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアリール基は、アダマンタン構造、アルキル構造で置換されていてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20がより好ましく、炭素数6〜15が更に好ましく、炭素数6〜10が特に好ましく、炭素数6が最も好ましい。
【0182】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアリール基としては、例えば、1−ピレニル基(炭素数16)、9−アントラセニル基(炭素数14)、1−ナフチル基(炭素数10)、2−ナフチル基(炭素数10)、p−t−ブチルフェニル基(炭素数10)、2−m−キシリル基(炭素数8)、5−m−キシリル基(炭素数8)、o−トリル基(炭素数7)、m−トリル基(炭素数7)、p−トリル基(炭素数7)、フェニル基(炭素数6)などが挙げられる。
【0183】
一般式(VI)のR、R、R、R10は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、前述の高いガラス転移温度が好ましい観点から、少なくともひとつはアリール基であることが好ましく、少なくともふたつはアリール基であることがより好ましく、3ないし4つがアリール基であることが特に好ましい。
【0184】
一般式(VI)の、X〜X15は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、水素原子、又はアリール基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0185】
本発明における一般式(VI)で表される化合物の分子量は、有機電界発光素子を真空蒸着プロセスや溶液塗布プロセスを用いて作成するので、蒸着適性や溶解性の観点から、2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることが特に好ましい。また、蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上が特に好ましい。
【0186】
一般式(VI)で表される化合物は、室温(25℃)において固体であることが好ましく、室温(25℃)から40℃の範囲において固体であることがより好ましく、室温(25℃)から60℃の範囲において固体であることが特に好ましい。
室温(25℃)において固体を形成しない一般式(VI)で表される化合物を用いる場合は、他の材料と組み合わせることにより、常温で固相を形成させることができる。
【0187】
一般式(VI)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。本発明における一般式(VI)で表される化合物の導入層としては、後述の発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれか、若しくは複数に含有されるのがより好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが特に好ましく、発光層に含むことが最も好ましい。
【0188】
一般式(VI)で表される化合物を、有機層中で用いる場合は、一般式(VI)で表される化合物の含量は、電荷輸送性を抑制しない程度の量に制限して用いる必要があり、一般式(VI)で表される化合物は0.1〜70質量%含まれることが好ましく、0.1〜30質量%含まれることがより好ましく、0.1〜25質量%含まれることが特に好ましい。
また、一般式(VI)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
【0189】
一般式(VI)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(VI)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
【0190】
一般式(VI)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0191】
【化48】
【0192】
【化49】
【0193】
【化50】
【0194】
【化51】
【0195】
一般式(VI)で表される化合物は、アダマンタン、若しくは、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキル若しくは、アルキルマグネシウムハライド(グリニヤー試薬)を適当に組み合わせることによって合成できる。例えば、インジウムを用いて、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキルをカップリングすることができる(文献1)。またハロゲン化アルキルをアルキル銅試薬に変換し、芳香族化合物のグリニヤー試薬とカップリングすることもできる(文献2)。またハロゲン化アルキルを、適当なアリールホウ酸とパラジウム触媒を用いてカップリングすることもできる(文献3)。
文献1:Tetrahedron Lett. 39, 1998, 9557−9558.
文献2:Tetrahedron Lett. 39, 1998, 2095−2096.
文献3:J. Am. Chem. Soc. 124, 2002, 13662−13663.
【0196】
アリール基を有するアダマンタン骨格は、アダマンタン、若しくは、ハロゲン化アダマンタンと、対応するアレーンやアリールハライドを適当に組み合わせることにより合成できる。
【0197】
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、又は該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective
Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John
Wiley&Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
【0198】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0199】
本発明の有機電界発光素子は前記電極が陽極を含み、前記発光層と該陽極の間に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層がカルバゾール化合物を含むことが好ましい。
(電荷輸送層)
電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層である。塗布法により形成される電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。また、電荷輸送層として、より好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層又は電子ブロック層である。
【0200】
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
これらの層に用いる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、ピロール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、イリジウム錯体等の各種金属錯体等を含有する層であることが好ましい。
【0201】
正孔注入層、正孔輸送層がカルバゾール化合物を含有することが好ましい。
本発明において、カルバゾール化合物は下記一般式(a)で表されるカルバゾール化合物であることが好ましい。一般式(a)
【0202】
【化52】
【0203】
(一般式(a)中、Rは該骨格の水素原子に置換し得る置換基を表し、Rは複数存在する場合はそれぞれ同じでも異なってもよい。nは0〜8の整数を表す。)
【0204】
一般式(a)で表される化合物を、電荷輸送層中で用いる場合は、一般式(a)で表される化合物は50〜100質量%含まれることが好ましく、80〜100質量%含まれることが好ましく、95〜100質量%含まれることが特に好ましい。
また、一般式(a)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
【0205】
一般式(a)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(a)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
【0206】
本発明において、一般式(a)で表される化合物を正孔輸送層に含ませる場合、一般式
(a)で表される化合物を含む正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、該正孔輸送層は発光層に接して設けられていることが好ましい。
該正孔輸送層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0207】
が表す置換基としては具体的にはハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基が挙げられ、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下の置換又は無置換のアリール基が好ましく、炭素数6以下のアルキル基であることがより好ましい。tは0〜4が好ましく、0〜2がより好ましい。
【0208】
本発明において、一般式(a)を構成する水素原子は、水素の同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が水素同位体に置き換わっていてもよく、また一部が水素同位体を含む化合物である混合物でもよい。
【0209】
一般式(a)で表される化合物は、種々の公知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。最も一般的には、カルバゾール化合物に関してはアリールヒドラジンとシクロヘキサン誘導体との縮合体のアザーコープ転位反応の後、脱水素芳香族化による合成(L.F.Tieze,Th.Eicher著、高野、小笠原訳、精密有機合成、339頁(南江堂刊))が挙げられる。また、得られたカルバゾール化合物とハロゲン化アリール化合物のパラジウム触媒を用いるカップリング反応に関してはテトラヘドロン・レターズ39巻617頁(1998年)、同39巻2367頁(1998年)及び同40巻6393頁(1999年)等に記載の方法が挙げられる。反応温度、反応時間については特に限定されることはなく、前記文献に記載の条件が適用できる。
【0210】
本発明において、一般式(a)で表される化合物は、真空蒸着プロセスで薄層を形成することが好ましいが、溶液塗布などのウェットプロセスも好適に用いることが出来る。化合物の分子量は、蒸着適性や溶解性の観点から2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、800以下であることが特に好ましい。また蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、300以上が特に好ましい。
【0211】
以下に、本発明における一般式(a)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0212】
【化53】
【0213】
【化54】
【0214】
【化55】
【0215】
【化56】
【0216】
本発明の有機電界発光素子の正孔注入層あるいは正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。正孔注入層、あるいは正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
【0217】
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、及び三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。
【0218】
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153、特開平11−111463、特開平11−251067、特開2000−196140、特開2000−286054、特開2000−315580、特開2001−102175、特開2001−160493、特開2002−252085、特開2002−56985、特開2003−157981、特開2003−217862、特開2003−229278、特開2004−342614、特開2005−72012、特開2005−166637、特開2005−209643等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
【0219】
このうちヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、又はフラーレンC60が好ましく、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、又は2,3,5,6−テトラシアノピリジンがより好ましく、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンが特に好ましい。
【0220】
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
【0221】
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜100nmであるのがより好ましく、1nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0222】
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0223】
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(Balqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0224】
−電子ブロック層−
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0225】
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0226】
<封止容器>
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0227】
〔成膜方法〕
更に、本発明は一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜する成膜方法にも関する。
成膜に際し、一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物とが混合されていることが好ましく、本発明の組成物を用いてもよい。一般式(1)で表される化合物と一般式(PQ−1)で表される化合物の含有割合は一般式(1)で表される化合物に対して一般式(PQ−1)で表される化合物が1%〜45%であることが好ましく、1%〜25%であることがより好ましい。
加熱の温度は200℃〜400℃であることが好ましく、250℃〜320℃であることがより好ましい。
加熱の時間は0.1時間〜350時間であることが好ましく、0.1時間〜150時間であることがより好ましい。
本発明の成膜方法によれば高効率、高耐久性、かつ高温駆動時の色変化の少ない発光層膜を容易に作成できるという利点がある。
【0228】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0229】
本発明の発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0230】
本発明の発光素子の外部量子効率としては、外部量子効率が20%以上30%以下であることが好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの100〜300cd/m付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0231】
本発明の発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆるトップエミッション方式であっても良い。
【0232】
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号明細書に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号明細書に記載されている。
【0233】
(本発明の発光素子の用途)
本発明の発光素子は、発光装置、ピクセル、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0234】
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、透明基板(基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
【0235】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0236】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0237】
次に、図3を参照して本発明の実施形態に係る照明装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置の一例を概略的に示した断面図である。
本発明の実施形態に係る照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【実施例】
【0238】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。なお、以下の実施例5,7,8〜10,52〜55は、それぞれ参考例5,7,8〜10,52〜55と読み替えるものとする。
【0239】
実施例で使用した一般式(1)で表される化合物は、国際公開第03/080760号パンフレット、国際公開第03/078541号パンフレット、国際公開第05/085387号パンフレット、国際公開第05/022962号パンフレット等を参考に合成した。例えば、例示化合物4は、m−ブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第05/085387号パンフレット[0074]−[0075](45頁、11行〜46頁、18行)に記載の方法で合成することができる。また、例示化合物77は、N−フェニルカルバゾールを出発原料に用い、国際公開第05/022962号パンフレットの137頁、10行〜139頁、9行に記載の方法で合成することができる。FR−1〜FR−3は、例えば特許公報第3929632号に記載の方法などの種々の方法で合成できる。例えば、FR−2は、2−フェニルキノリンを出発原料として、特許公報第3929632号の18頁、2〜13行に記載の方法で合成することができる。また、FR−3は、2−(2−ナフチル)キノリンを出発原料として、特許公報第3929632号の18頁、14行〜19頁、8行に記載の方法で合成することができる。
【0240】
実施例で用いた一般式(C−1)で表される化合物は特開2005−310733号公報、特開2006−93542号公報、特開2007−19462号公報、Journal of Organic Chemistry 53,786(1988)等に記載の方法で合成した。例えば、化合物8−4は、Journal of Organic
Chemistry 53,786(1988),G.R.Nekome et al.の、789頁左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁左段18行〜38行に記載の方法、790頁右段19行〜30行に記載の方法及び その組み合わせにより得ることができる下記の化合物BBPyを出発原料として、特開2007−19462号公報の52頁、34行〜53頁、23行に記載の方法にて合成することができる。
【0241】
【化57】
【0242】
なお、本明細書中の実施例に用いた有機材料は全て昇華精製したものを用いた。
【0243】
〔比較例1〕
0.5mm厚み、2.5cm角の酸化インジウム錫(ITO)膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層を順次蒸着した。
第1層:CuPc(銅フタロシアニン):膜厚10nm
第2層:NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン):膜厚30nm
第3層:ドーパント(Ir(btp)(acac)、5質量%)、ホスト材料(CBP、95質量%):膜厚30nm
第4層:Balq:膜厚10nm
第5層:Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体):膜厚40nm
この上に、フッ化リチウム0.2nm及び金属アルミニウム70nmをこの順に蒸着し陰極とした。上記第3層のように、二種以上の材料を含有する膜は、該材料を同時に加熱することにより昇華させて成膜した。
得られた積層体を、大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、比較例1の素子を得た。
【0244】
〔実施例1〜59及び比較例2〜13〕
第3層の構成材料(ホスト材料、ドーパント)、第4層の構成材料を、下記表1〜6に示すように変更する以外は比較例1と同様にして各種素子を作製した。
例えば、実施例40の第3層はホスト材料として例示化合物4を85質量%、FR−1を5質量%、白金錯体2−3を10質量%を用いたことを示す。
【0245】
【表1】
【0246】
【表2】
【0247】
【表3】
【0248】
【表4】
【0249】
【表5】

【0250】
【表6】

【0251】
〔実施例60〕
0.5mm厚み、2.5cm角の酸化インジウム錫(ITO)膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層を順次蒸着した。
第1層:CuPc(銅フタロシアニン):膜厚10nm
第2層:NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン):膜厚30nm
第3層:隣接層材料(V−1):膜厚3nm
第4層:ドーパント(FR−1、5質量%)、ホスト材料(例示化合物4、95質量%):膜厚30nm
第5層:Balq:膜厚10nm
第6層:Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体):膜厚40nm
この上に、フッ化リチウム0.2nm及び金属アルミニウム70nmをこの順に蒸着し陰極とした。
得られた積層体を、大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、実施例60の素子を得た。
【0252】
〔実施例60〜65〕
第3層の構成材料、第4層の構成材料(ホスト材料、ドーパント)を、下記表7に示すように変更する以外は実施例60と同様にして各種素子を作製した。
【0253】
【表7】

【0254】
(有機電界発光素子の性能評価)
得られた各種素子の性能を評価した。
(a) 外部量子効率
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。
【0255】
(b) 駆動耐久性
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が500cd/mになるまでに要した時間を駆動耐久性の指標とし、比較例1の値を100として相対値で示した。
【0256】
(c) 高温駆動時の色度変化
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させた時の色度と、80℃の恒温槽中で輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が500cd/mになった時の色度のx値、y値の差(Δx,Δy)を高温駆動時の色度変化の指標とした。
【0257】
表1〜表7の結果から、一般式(1)で表される、カルバゾール基を有する化合物を含むホスト材料と一般式(PQ−1)で表される特定のイリジウム錯体とを発光層に用いた本発明の素子は、比較例の素子と比べて、外部量子効率及び駆動耐久性が極めて優れており、高温駆動後の色度変化が少ないことが分かる。
【0258】
発光装置、表示装置、照明装置の場合、各画素部で高い電流密度を通じて瞬間的に高輝度発光させる必要があり、本発明の発光素子はそのような場合に発光効率が高くなるように設計されているため、有利に利用することができる。
また、本発明の素子は車載用途などの高温環境で使用する際においても発光効率や耐久性にも優れ、発光装置、表示装置、照明装置に好適である。
【0259】
上記実施例及び比較例で使用した化合物の構造を以下に示す。
【0260】
【化58】
【0261】
【化59】
【0262】
【化60】
【0263】
【化61】
【0264】
【化62】


【0265】
【化63】
【0266】
【化64】
【産業上の利用可能性】
【0267】
本発明の有機電界発光素子は、高い外部量子効率を有し、かつ耐久性に優れる。また、高温駆動時の色度変化が小さいため、車載用途など高温環境での駆動耐久性が求められる用途にも適用できる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2009年7月31日出願の日本特許出願(特願2009−180223)、2009年8月31日出願の日本特許出願(特願2009−201155)及び2009年9月25日出願の日本特許出願(特願2009−221663)に基づくものであり、それらの内容はここに参照して組み込まれる
【符号の説明】
【0268】
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子(有機EL素子)
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
31・・・透明基板
32・・・微粒子
40・・・照明装置
図1
図2
図3