特許第5735410号(P5735410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735410
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/78 20060101AFI20150528BHJP
   F23D 14/02 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   F23D14/78 B
   F23D14/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-285075(P2011-285075)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-134010(P2013-134010A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】島田 茂輝
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−292342(JP,A)
【文献】 特開昭51−134932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/78
F23D 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと一次空気との混合気を全一次燃焼させる燃焼装置であって、
前記燃料ガスが供給される燃料ガス供給孔と、前記一次空気が供給される一次空気供給孔と、供給された該燃料ガスおよび該一次空気が混合する混合室とが設けられた混合部と、
前記混合部に取り付けられて、前記混合室で形成された前記混合気を炎口から噴出させて全一次燃焼させる燃焼プレートが収容された燃焼部と、
前記燃料ガス供給孔に供給される前記燃料ガスの供給通路が内部に形成され、前記混合部に取り付けられた燃料ガスマニホールドと、
を備え、
前記燃料ガスマニホールドの側面側には、前記混合部に取り付けられるフランジが形成され、該フランジの前記混合部に向いた側に対して反対側の面には、複数の冷却フィンが立設されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置であって、
前記冷却フィンは、鉛直方向に伸びる板状部材が、前記フランジから立設されて形成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃焼装置であって、
前記燃料ガスマニホールドは、前記供給通路が内部に形成された部分である通路部を備え、
前記フランジは、前記通路部から、長手方向に対して垂直方向の両側に向けて延設されており、
前記フランジの面積は、前記通路部の前記混合部に対する投影面積よりも大きく形成されていることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと燃焼用空気(一次空気)との混合気を全一次燃焼方式で燃焼させる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと一次空気とを混合させて二次空気を用いることなく燃焼させる全一次燃焼方式は、燃焼排気中のNOx濃度を低減可能な燃焼方式として知られており、給湯器を初めとして様々な用途の燃焼装置に採用されている。例えば特許文献1には、全一次燃焼方式の燃焼装置が熱交換器と共にハウジング内に搭載された給湯器が開示されている。全一次燃焼方式の燃焼装置の内部には混合室が設けられており、燃料ガスのノズルから噴射された燃料ガスと、送風ファンから供給された一次空気とが混合室内で混合されて混合気が形成される。そして、得られた混合気を燃焼プレートの炎口から噴出させて全一次燃焼させる。こうして発生させた燃焼排気が熱交換器に導かれて、熱交換器内を通過する水と熱交換することによって温水が生成される。
【0003】
ここで、全一次燃焼方式は、ブンゼン式などのような二次空気を用いる燃焼方式に比べて燃焼温度が高くなるため、燃焼装置に対する熱負荷が高くなる。このため、燃料ガスを供給するための電磁弁などに熱が伝わってダメージを受けることがないように、燃焼プレートの周りをセラミックス製の断熱部材で囲ったり、燃焼プレートの周りにエアカーテンと呼ばれる空気の流れを形成したりすることによって熱対策が行われている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−274667号公報
【特許文献2】特開2007−292342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、燃焼プレートの周りに断熱部材を設けたり、エアカーテンを設けたりしたのでは、燃焼装置が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、全一次燃焼方式の燃焼プレートの周りに断熱部材やエアカーテンを設ける必要がなく、小型化することが可能な燃焼装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の燃焼装置は次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスと一次空気との混合気を全一次燃焼させる燃焼装置であって、
前記燃料ガスが供給される燃料ガス供給孔と、前記一次空気が供給される一次空気供給孔と、供給された該燃料ガスおよび該一次空気が混合する混合室とが設けられた混合部と、
前記混合部に取り付けられて、前記混合室で形成された前記混合気を炎口から噴出させて全一次燃焼させる燃焼プレートが収容された燃焼部と、
前記燃料ガス供給孔に供給される前記燃料ガスの供給通路が内部に形成され、前記混合部に取り付けられた燃料ガスマニホールドと、
を備え、
前記燃料ガスマニホールドの側面側には、前記混合部に取り付けられるフランジが形成され、該フランジの前記混合部に向いた側に対して反対側の面には、複数の冷却フィンが立設されていることを特徴とする。
【0008】
かかる本発明の燃焼装置においては、燃焼プレートで混合気を燃焼させることによって生じた熱は、燃焼部および混合部を経由して、フランジから燃料ガスマニホールドに伝達される。そして、フランジの混合部に向いた側に対して反対側の面には、複数の冷却フィンが立設されている。このため、混合部からフランジに伝わった熱は、直ちに冷却フィンから放熱されることとなり、燃料ガスマニホールドが高温になることがない。その結果、燃料ガスマニホールドに取り付けられた電磁弁などが高温になることがないので、燃焼プレートの周りに断熱部材を設けたりエアカーテンを設けたりする必要がなく、燃焼装置を小型化することが可能となる。
【0009】
また、上述した本発明の燃焼装置においては、鉛直方向に伸びる板状部材を、フランジから立設させることによって、冷却フィンを形成してもよい。
【0010】
こうすれば、自然対流によって燃焼装置の周囲を上昇する空気の流れを、冷却フィンが妨げることがない。その結果、冷却フィンが効率よく冷却されるので、燃料ガスマニホールドが高温になることを回避することができる。
【0011】
また、上述した本発明の燃焼装置においては、次のようにしても良い。先ず、燃料ガスマニホールドの供給通路が内部に形成された部分である通路部から、通路部の長手方向に対して垂直方向の両側に向けてフランジを延設する。そして、フランジの面積が、通路部の混合部に対する投影面積よりも大きくなるように形成する。
【0012】
こうすれば、フランジから立設する冷却フィンの面積を十分な面積とすることができる。その結果、冷却フィンの冷却能力が十分に確保されるので、燃料ガスマニホールドが高温になることを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例の燃焼装置10を搭載した給湯器1の構成を示す説明図である。
図2】燃焼装置10の構造を示す分解組立図である。
図3】燃料ガスマニホールド120の詳細な構造を示す分解組立図である。
図4】燃焼装置10が燃料ガスと一次空気との混合気を全一次燃焼させる様子を示した断面図である。
図5】運転終了後に燃料ガスマニホールド120の昇温が防止されるメカニズムを概念的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本実施例の燃焼装置10を搭載した給湯器1の構成を示す説明図である。図示されるように給湯器1は、略直方体形状に形成されたハウジング90と、ハウジング90内の中央上部寄りの位置に搭載された燃焼装置10と、燃焼装置10の下側に取り付けられた熱交換器20と、燃焼装置10の上部側面に取り付けられた送風ファン30と、燃焼装置10や熱交換器20の背面側に搭載された排気ダクト40等から構成されている。
【0015】
送風ファン30を回転させると、ハウジング90内の空気が吸気ダクト32から取り込まれて燃焼装置10に供給される。また、燃焼装置10には、燃料ガスを供給するガス管12も接続されている。ガス管12には、ガス管12の開閉を行う図示しない主電磁弁や、燃料ガスの供給量を開弁量によって制御する図示しない比例弁が介設されている。また、燃焼装置10の内部構造については後述するが、燃焼装置10内では、送風ファン30から供給された燃焼用空気(一次空気)とガス管12からの燃料ガスとが混合して混合気が形成されて、全一次燃焼方式で燃焼された後、燃焼排気が熱交換器20に供給される。
【0016】
熱交換器20の内部には、図示しない複数枚の熱交換フィンと、複数枚の熱交換フィンを何度も貫くように蛇行する一本の通水通路26とが設けられており、通水通路26の一端側は給水管22に接続され、通水通路26の他端側は給湯管24に接続されている。従って、燃焼装置10で混合気を燃焼させながら給水管22から水を供給すると、通水通路26の内部を通過する水が、熱交換フィンの間を通過する燃焼排気と熱交換して加熱され、温水となって給湯管24から流出する。こうして得られた温水が、台所や浴室などに給湯される。
【0017】
熱交換器20で熱交換して冷やされた燃焼排気は、熱交換器20の背面下部に設けられた図示しない連通口から排気ダクト40に流入する。そして、排気ダクト40内を上昇して、上部に設けられた排気通路42からハウジング90の外部に排出される。また、燃焼排気が熱交換器20で冷やされると、燃焼排気中に含まれていた水蒸気が結露して熱交換器20内を流れ落ちる。そこで、熱交換器20の下部にはドレンチューブ52が取り付けられており、結露した水蒸気がドレンとなってドレンチューブ52から流出してドレントラップ50内に溜められる。また、ハウジング90の下部には、給湯器1の動作を制御するための電装ユニット60も搭載されている。
【0018】
図2は、燃焼装置10の構造を示す分解組立図である。燃焼装置10は、大まかに言うと、燃料ガスと一次空気とを混合させて混合気を生成する混合部100と、混合部100の下側に取り付けられて混合気を全一次燃焼させる燃焼部130と、混合部100の上方に取り付けられて送風ファン30からの一次空気を混合部100に導く送風ダクト140と、混合部100の前面側に取り付けられてガス管12からの燃料ガスを混合部100に導く燃料ガスマニホールド120などから構成されている。
【0019】
混合部100はアルミダイカスト製で、内部が隔壁102で3つに仕切られることによって、それぞれ混合室104a〜104cが形成されている。また、混合部100の前面側には、混合室104a〜104cに対応する位置に凹形状の燃料ガス供給室106a〜106cが形成されており、燃料ガス供給室106a〜106cと混合室104a〜104cとを隔てる壁面には、複数の燃料ガス供給孔108が貫通している。本実施例の燃焼装置10では、燃料ガス供給室106aおよび106bには、それぞれ3つずつの燃料ガス供給孔108が設けられており、燃料ガス供給室106cには8つの燃料ガス供給孔108が設けられている。尚、これら3つの混合室104a〜104cを特に区別する必要がない時は、単に混合室104と表記する。同様に、3つの燃料ガス供給室106a〜106cを特に区別する必要がない時は、単に燃料ガス供給室106と表記する。
【0020】
混合部100の前面側には、燃料ガス供給室106a〜106cを塞ぐようにして燃料ガスマニホールド120が取り付けられる。燃料ガスマニホールド120の詳細な構造については後述するが、燃料ガスマニホールド120内には供給通路が形成されており、ガス管12からの燃料ガスが供給通路を経由して燃料ガス供給室106に供給される。また、燃料ガスマニホールド120には電磁弁122a〜122cが取り付けられており、それぞれの電磁弁122a〜122cをONにした時にだけ、対応する燃料ガス供給室106に燃料ガスが供給されるようになっている。電磁弁122a〜122cについても、これらを区別する必要がない時には、単に電磁弁122と表記する。
【0021】
混合部100の上面側には、遮蔽板110が取り付けられ、その上に送風ダクト140が取り付けられる。遮蔽板110には、混合部100の混合室104a〜104cに対応する位置に、一次空気供給孔112a〜112cが形成されている。尚、一次空気供給孔112a〜112cについても、これらを特定する必要がない時は単に一次空気供給孔112と表記する。また、送風ダクト140には、送風ファン30(図1参照)が取り付けられる送風口142が形成されている。送風ファン30を回転させると、送風ダクト140内を通って、遮蔽板110の一次空気供給孔112から、混合部100の混合室104に一次空気が供給される。また、電磁弁122a〜122cの何れかをONにすると、燃料ガスマニホールド120からの燃料ガスが、対応する燃料ガス供給室106に供給されて燃料ガス供給孔108から混合室104に流入する。その結果、一次空気供給孔112からの一次空気と、燃料ガス供給孔108からの燃料ガスとが混合室104で混合して混合気が形成される。こうして形成された混合気は、一次空気供給孔112から供給される一次空気に押し出されるようにして、混合部100の下面側に取り付けられた燃焼部130に流入する。尚、混合室104a〜104cは隔壁102によって仕切られており、燃料ガス供給室106a〜106cは、混合室104a〜104c毎に設けられている。このため、ONにされた電磁弁122に対応する混合室104にだけ燃料ガスが供給されて混合気が形成され、他の混合室104には一次空気のみが供給されて混合気が形成されることはない。
【0022】
燃焼部130も混合部100と同様にアルミダイカストによって形成されている。燃焼部130の上面側には、分布板132a〜132cが取り付けられており、分布板132a〜132cの下方には、図示しない燃焼プレートが搭載されている。分布板132a〜132cについても、これらを区別する必要がない時には、単に分布板132と表記する。分布板132には複数の小孔134が開口しており、混合室104から供給された混合気は、分布板132の小孔134を通って燃焼プレートに供給される。燃焼プレートについては後述する。また、燃焼部130の前面側からは、燃焼プレートの下方に向けて、混合気に点火するための点火プラグ136と、混合気の燃焼による火炎を検知するためのフレームロッド138とが挿入されている。
【0023】
図3は、燃料ガスマニホールド120の詳細な構造を示す分解組立図である。燃料ガスマニホールド120は、大まかには、耐熱材料を用いて矩形形状に形成されたインシュレーター124と、アルミダイカスト製のマニホールド本体126とが重ね合わされて、その間に燃料ガスの供給通路126cが形成された構造となっている。インシュレーター124には、混合部100の燃料ガス供給室106a〜106cに対応する位置に連通孔125a〜125cが貫通している。これら連通孔125a〜125cについても、これらを区別する必要がない時には、単に連通孔125と表記する。また、マニホールド本体126には、コの字型断面形状に形成されてインシュレーター124との間で燃料ガスの供給通路126cを形成する通路部126gと、通路部126gの周囲から外側に向けて延設されたフランジ126fと、フランジ126fから複数箇所に立設された板状の冷却フィン126hなどが設けられている。電磁弁122は、軸端が通路部126gに形成された取付穴126pに挿入されて、耐熱ゴム製のシールリング126sを介して通路部126gに取り付けられる。
【0024】
図4は、何れかの電磁弁122の位置で燃焼装置10の断面を取ることによって、燃料ガスと一次空気との混合気を燃焼装置10が全一次燃焼させる様子を示した説明図である。前述したように送風ファン30(図1参照)を回転させると、送風ダクト140から一次空気供給孔112を通って一次空気が混合室104に供給される。図中に示した白抜きの矢印は一次空気の流れを表している。また、電磁弁122をONにすると、供給通路126c内の燃料ガスが連通孔125から燃料ガス供給室106に流入した後、燃料ガス供給室106に設けられた複数の燃料ガス供給孔108から混合室104に供給される。図中に太い実線で示した矢印は燃料ガスの流れを表している。燃料ガス供給孔108は、一次空気が流入する一次空気供給孔112の直ぐ近くに設けられており、このため燃料ガス供給孔108から供給された燃料ガスは、一次空気供給孔112からの一次空気の流れに乗って混合室104内を進行し、その途中で燃料ガスと一次空気とが混合して均一な混合気が形成される。
【0025】
こうして混合室104で形成された混合気は、混合室104の下方に形成された分布室109に流入する。分布室109の下方には燃焼部130が接続されているが、分布室109と燃焼部130との間には分布板132が設けられている(図2参照)。このため分布室109に流入した混合気は、分布板132に沿って分布室109内を流れていく。図中に示した斜線を付した矢印は、混合室104および分布室109内での混合気の流れを表している。また、前述したように分布板132には複数の小孔134が形成されており、分布室109内の混合気は小孔134を通って下方の燃焼プレート139に供給される。燃焼プレート139は、セラミックス製の板状部材であり、小径の貫通孔139hが複数形成されている。このため、燃焼プレート139に供給された混合気は、貫通孔139hを通って燃焼プレート139の下面側に噴出する。燃焼プレート139の下面側には、図示しない点火プラグ136が挿入されており(図2参照)、点火プラグ136を用いて混合気に点火する。すると、燃焼プレート139の下面側で貫通孔139hが開口する部分が炎口139fとなって、混合気の燃焼が開始される。
【0026】
以上に説明した全一次燃焼方式の燃焼装置10は、混合室104および分布室109によって均一な混合気を生成することができるので、燃料ガスを効率よく燃焼させながら、燃焼排気中のNOx濃度を低減することができる。また、燃焼効率が高いことから熱負荷が高くなるため、燃焼プレート139は板金製ではなくセラミックスによって形成されている。ここで、従来の全一次燃焼方式の燃焼装置では、高温になった燃焼プレート139から燃焼部130に熱が伝わることを抑制するために、燃焼プレート139の周囲をセラミックスなどの断熱部材で囲ったり、あるいは燃焼プレート139と燃焼部130との間にエアカーテンを形成したりしていた。これに対して本実施例の燃焼装置10では、図4に示すように、燃焼プレート139と燃焼部130との間に断熱部材やエアカーテンは設けられていない。このような構成では、燃焼プレート139の熱が、燃焼部130および混合部100を経由して燃料ガスマニホールド120に流入する。特に、燃焼装置10の運転終了後は、燃焼プレート139が高温であるにも拘わらず、一次空気や混合気の流れが止まって混合部100や燃焼プレート139が冷却されなくなるので、燃焼プレート139からの熱が燃料ガスマニホールド120に伝わり易くなる。そして、図3に示したように燃料ガスマニホールド120には、電磁弁122やシールリング126sなどのように熱によるダメージを受け易い部品が取り付けられている。しかし、本実施例の燃焼装置10では、以下に示す理由から、運転終了後の熱的に厳しい条件においても、電磁弁122やシールリング126sなどがダメージを受けることがない。
【0027】
図5は、燃焼装置10の運転終了後に燃焼プレート139の熱が燃料ガスマニホールド120に伝わる様子を概念的に示した説明図である。図中に太線で示した矢印は、熱の移動経路を表している。図示されるように、燃焼プレート139の熱は、燃焼部130および混合部100を経由して、フランジ126fから燃料ガスマニホールド120に流入する。そして、フランジ126fから通路部126gに伝わって、最終的には電磁弁122やシールリング126sに達する。
【0028】
ここで、本実施例の燃焼装置10では、燃料ガスマニホールド120のフランジ126fに複数の冷却フィン126hが設けられている。このため、燃焼プレート139からの熱がフランジ126fに流入しても、フランジ126fの裏側に設けられた複数の冷却フィン126hから直ちに放熱されるのでフランジ126fの昇温が抑制される。加えて、冷却フィン126hによる放熱効果は、フランジ126fの温度が高くなるほど大きくなる。このため、燃料ガスマニホールド120の通路部126gが高温となって電磁弁122やシールリング126sが熱によるダメージを受けることを回避することができる。
【0029】
また、図1に示したように、燃焼装置10はハウジング90内に搭載されており、燃焼装置10の運転終了後は、ハウジング90内に自然対流による空気の流れが発生する。そして、フランジ126fに立設された冷却フィン126hは、自然対流によって下から上に上昇する空気の流れに沿った方向(鉛直方向)に設けられている。このため、ハウジング90内の空気の流れも冷却に利用することができる。加えて、冷却フィン126hは鉛直方向(すなわち、空気の流れに沿った方向)に設けられているのに対して、通路部126gは略水平方向に設けられている。このため、図中に太い破線で示したように、ハウジング90内を上昇する空気の流れの向きが冷却フィン126hによって整えられて、真っ直ぐに通路部126gに衝突する。その結果、フランジ126fに流入した熱が電磁弁122やシールリング126sに伝わる経路を効果的に冷却することが可能となって、電磁弁122やシールリング126sが熱でダメージを受けることを回避することができる。
【0030】
更に、本実施例の燃焼装置10では、フランジ126fの面積が、通路部126gの面積よりも大きくなっている(図3を参照のこと)。尚、通路部126gの面積とは、燃料ガスマニホールド120が取り付けられる混合部100の取り付け面に向かって通路部126gを投影した面積である。このため、フランジ126fに十分な大きさの冷却フィン126hを立設することができるので、冷却フィン126h自体の輻射による放熱効果や、冷却フィン126hの周囲を流れる空気に対する熱伝達による放熱効果や、空気の流れの向きを整える効果などが十分に確保される。その結果、燃料ガスマニホールド120が加熱されて高温になることがない。
【0031】
更に加えて、本実施例の燃焼装置10では、通路部126gの下側の冷却フィン126hと上側の冷却フィン126hとは、ハウジング90内を上昇する空気の流れに対して、水平方向に位置をずらして設けられている。このため、下側の冷却フィン126hによって暖められた空気は上側の冷却フィン126hの間を通過し、また、上側の冷却フィン126hには、下側の冷却フィン126hの間を通って暖められていない冷たい空気が供給される。このため、下側の冷却フィン126hおよび上側の冷却フィン126hによってフランジ126fを効率よく冷却することができるので、通路部126gが高温になることがない。その結果、電磁弁122やシールリング126sが熱によってダメージを受けることを回避することが可能となる。
【0032】
以上、本実施例の燃焼装置10について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…給湯器、 10…燃焼装置、 12…ガス管、
20…熱交換器、 22…給水管、 24…給湯管、
26…通水通路、 30…送風ファン、 32…吸気ダクト、
40…排気ダクト、 42…排気通路、 50…ドレントラップ、
52…ドレンチューブ、 60…電装ユニット、 90…ハウジング、
100…混合部、 102…隔壁、 104…混合室、
106…燃料ガス供給室、 108…燃料ガス供給孔、 109…分布室、
110…遮蔽板、 112…一次空気供給孔、 120…燃料ガスマニホールド、
122…電磁弁、 124…インシュレーター、 125…連通孔、
126…マニホールド本体、 126c…供給通路、 126f…フランジ、
126g…通路部、 126h…冷却フィン、 126p…取付穴、
126s…シールリング、 130…燃焼部、 132…分布板、
134…小孔、 136…点火プラグ、 138…フレームロッド、
139…燃焼プレート、 139f…炎口、 139h…貫通孔、
140…送風ダクト、 142…送風口
図1
図2
図3
図4
図5