(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735504
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】エレベータの調速機
(51)【国際特許分類】
B66B 5/04 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
B66B5/04 D
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-521603(P2012-521603)
(86)(22)【出願日】2009年7月20日
(65)【公表番号】特表2012-533495(P2012-533495A)
(43)【公表日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】US2009051147
(87)【国際公開番号】WO2011010990
(87)【国際公開日】20110127
【審査請求日】2012年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,イスグ
【審査官】
葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−113940(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/125133(WO,A1)
【文献】
特公昭42−5766(JP,B1)
【文献】
英国特許出願公開第461186(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトに回転可能に取り付けられ、かつエレベータかごに動作可能に接続されたシーブと、
前記シャフトに伸縮自在に取り付けられたフライウェイトと、
前記シャフトに向かう径方向内向きの力を前記フライウェイトに加える付勢要素と、
前記フライウェイトの近傍に取り付けられたセンサと、
前記フライウェイトに連結されたフライウェイトプレートと、を有し、
前記センサは、前記フライウェイトプレートが径方向外向きかつ横方向内向きに移動したときに該フライウェイトプレートと接触するように取り付けられていることを特徴とするエレベータの調速機。
【請求項2】
少なくとも2つのフライウェイトを有し、これらのフライウェイトにそれぞれ連結された前記フライウェイトプレートは半円形であることを特徴とする請求項1記載のエレベータの調速機。
【請求項3】
前記の2つの半円形のフライウェイトプレートは、端部が重なる円を成すことを特徴とする請求項2記載のエレベータの調速機。
【請求項4】
各々の半円形のフライウェイトプレートは、粗面を有することを特徴とする請求項2記載のエレベータの調速機。
【請求項5】
前記シャフトは、水平に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のエレベータの調速機。
【請求項6】
前記フライウェイトの近傍に取り付けられた第2のセンサをさらに有することを特徴とする請求項1記載のエレベータの調速機。
【請求項7】
前記シャフトに取り付けられた基部とスライダとをさらに有することを特徴とする請求項1記載のエレベータの調速機。
【請求項8】
前記付勢要素は、前記基部と前記スライダとを互いから離れるように付勢することを特徴とする請求項7記載のエレベータの調速機。
【請求項9】
エレベータかごの近傍に回転可能に取り付けられ、かつ該エレベータかごに動作可能に接続されたシーブと、
前記シーブから延在するシャフトと、
前記シャフトに取り付けられた基部と、
前記シャフトに取り付けられたスライダと、
リンク機構によって前記スライダと前記基部に連結されたフライウェイトと、
前記シャフトに向かう径方向内向きの力を前記フライウェイトに加えるように前記シャフトに取り付けられたばねと、
前記フライウェイトに連結されたフライウェイトプレートと、
前記フライウェイトプレートの近傍に取り付けられたセンサと、を有し、
前記センサは、前記フライウェイトプレートが径方向外向きかつ横方向内向きに移動したときに該フライウェイトプレートと接触するように取り付けられていることを特徴とするエレベータの調速機。
【請求項10】
少なくとも2つのフライウェイトを有することを特徴とする請求項9記載のエレベータの調速機。
【請求項11】
前記フライウェイトプレートは、半円形であることを特徴とする請求項10記載のエレベータの調速機。
【請求項12】
半円形の第1および第2のフライウェイトプレートを有することを特徴とする請求項11記載のエレベータの調速機。
【請求項13】
第1および第2のフライウェイトプレートは、完全な円を成すように重なる端部を有することを特徴とする請求項12記載のエレベータの調速機。
【請求項14】
前記フライウェイトプレートの近傍に取り付けられた第1および第2のセンサを有することを特徴とする請求項9記載のエレベータの調速機。
【請求項15】
前記ばねは、前記基部と前記スライダとの間に取り付けられていることを特徴とする請求項9記載のエレベータの調速機。
【請求項16】
前記ばねは、前記スライダと前記シーブとの間に取り付けられていることを特徴とする請求項9記載のエレベータの調速機。
【請求項17】
前記フライウェイトプレートは、前記センサと接触するように設けられた粗面を有することを特徴とする請求項9記載のエレベータの調速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にエレベータに関し、特にエレベータの速度を調整あるいは制限する安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、高いビルで乗客や貨物を昇降する不可欠な装置である。エレベータを安全に運転するために、いくつかの安全装置が使用されており、長年にわたって改良されてきた。このような装置の一つは、調速機と呼ばれるものである。調速機は、エレベータかごが所定の安全速度を超過した場合に、かごを減速させて最終的に停止させるように動作する。これは、以下で詳細に説明するように、ウェッジ式または他の種類の機械式ブレーキとの連動によって達成される。
【0003】
周知の種類の調速機には、振子式調速機と呼ばれるものがある。振子式調速機では、エレベータが運転される昇降路の頂部に設けられた水平シャフトにシーブが取り付けられる。ケーブル、ロープまたはベルトなどが、シーブからエレベータかご自体に動作可能に接続される。シーブに加えて、シャフトはギアボックスに連結され、ギアボックスは垂直方向のシャフトにも連結される。第1および第2の振子が、リンク機構によって垂直シャフトに連結される。エレベータかごの速度が増加すると、両方のシャフトの回転速度も増加する。振子は非伸張位置にばね付勢されるが、エレベータかごが所定の速度を超過すると、振子がばねの付勢力に打ち勝って外側に回転して調速機を動作させる。これは、まずシーブとロープを固定して動かないようにすることにより達成される。ロープが停止し、エレベータかごが動き続けると、ロープが安全装置を引き上げ、これにより、ウェッジ式の摩擦ローラや固いプレートなどがエレベータかごの走行ガイドに非常に強く押し付けられる。振子式調速機は、有効であるが、垂直シャフトおよびギアボックスを要するために必要な空間が大きい。
【0004】
他の種類の調速機は、フライウェイト式調速機と呼ばれるものである。フライウェイト式調速機では、複数のフライウェイトがシーブのシャフトを中心に偏心的に取り付けられ、かつばね付勢のリンク機構によって連結される。シーブとフライウェイトの回転に従って、遠心力によってフライウェイトが径方向外向きに回転する。ばねの寸法は、シーブが所定の安全速度を超過して回転したときにばねの付勢力よりも大きな遠心力が発生してばねの付勢力に打ち勝つように設けられている。このような状態になると、調速機は振子式調速機と同様の方法でエレベータかごを減速させて最終的に停止させるように動作する。フライウェイト式調速機は、振子式調速機よりも小型であるが、フライウェイト式調速機では、誤作動およびこれに伴うエレベータの不必要な停止が発生しやすい。より詳細には、フライウェイトの重心がシーブの重心と一致していないため、フライウェイト式調速機は、かごの最高速度が所定の安全速度を超過していない場合でもかごの高い加減速度による誤作動の影響を非常に受けやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、振子式調速機に比べて必要な空間が小さく、かつフライウェイト式調速機に比べて誤作動が少ないエレベータの調速機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態では、エレベータの調速機が開示されている。エレベータの調速機は、シャフトに回転可能に取り付けられ、かつエレベータかごに動作可能に接続されたシーブと、シャフトに伸縮自在に取り付けられたフライウェイトと、を有しており、シーブとフライウェイトは共に重心を有し、シーブの重心はフライウェイトの重心と常に一致し、付勢要素が径方向内向きの力をフライウェイトに加えており、少なくとも1つのセンサがフライウェイトの近傍に取り付けられている。
【0007】
本発明の他の形態では、他のエレベータの調速機が開示されており、このエレベータの調速機は、エレベータかごに近接して回転可能に取り付けられ、かつエレベータかごに動作可能に接続されたシーブと、シーブから延在するシャフトと、シャフトに取り付けられた基部と、シャフトに取り付けられたスライダと、シャフトに取り付けられたばねと、リンク機構によってスライダと基部に連結されたフライウェイトと、各々のフライウェイトに連結されたフライウェイトプレートと、フライウェイトプレートの近傍に取り付けられた少なくとも1つのセンサと、を有する。
【0008】
本発明の上述および他の形態や特徴部は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによってさらに明らかになる。
【0009】
本発明は種々の改良や代替的な構成が可能であるが、特定の例示的な実施例を図面に示すとともに以下に詳細に説明した。しかし、開示した特定の形態に限定することを意図したものではなく、本発明の趣旨および範囲に含まれる全ての改良、代替的な構成および同等物を含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の教示に従って構成されたエレベータ装置の概略説明図である。
【
図2】本発明に従って構成された調速機の非作動位置における概略側面図である。
【
図4】
図2の調速機の作動位置における概略説明図である。
【
図6】本発明の教示に従って構成された代替的なフライウェイトプレートの拡大断面図である。
【
図7】本発明の教示に従って構成された調速機の第2の実施例の概略説明図である。
【
図8】本発明の教示に従って構成された調速機の第3の実施例の概略説明図である。
【
図9】本発明の教示に従って構成された調速機の第4の実施例の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照すると、
図1にはエレベータ装置全体が参照符号20として示されている。
図1に示されているように、エレベータ装置20は、ビル26の昇降路24内でエレベータかご22を昇降させるように設けられている。このような昇降のために、エレベータかごは、レール28上で案内され、典型的に昇降路24の頂部に配置されたモータ32にケーブル36を介して接続される。エレベータかご22の滑らかで安全な移動を提供するために、かご22はさらにケーブル36によって釣合いおもり34に連結される。エレベータかご22を駆動する原動力は、駆動シャフト40を介して駆動綱車38に連結されたモータ32によって提供される。電子制御装置42をモータに接続して、ビル24の各階床に設けられたオペレータインターフェース(OI)モジュール44、かご22に設けられたオペレータインターフェイス(OI)46およびここで説明する種々のセンサからの入力に基づいてエレベータ装置20の運転を制御することができる。
図1の構成要素は単に例示的で、本明細書の背景を説明するためのものであり、エレベータ装置20の運転にはあらゆる異なる構成を使用することができる。
【0012】
エレベータかご22が特定の速度を確実に超過しないようにする安全機構を提供するために、調速機48を設けることができる。調速機48は、従来は昇降路24の頂部に取り付けられるが、以下に詳細に説明するように、本発明の独自の教示および比較的小さい寸法によって、本発明の調速機48は他の位置にも取付可能である。
【0013】
調速機48は、水平シャフト52に取り付けられたプーリまたはシーブ50を含みうる。シーブ50はさらに、底部プーリ55に架け渡されたケーブル、ベルトまたはロープ54によってエレベータかご22に連結される。従って、かご22が移動するに従って、ケーブル54も移動し、シャフト52およびシーブ50も移動すなわち回転する。シーブ50が所定の速度を超えて回転すると、調速機48はシーブ50の回転を止めるように動作する。これにより、ウェッジ式の摩擦シューまたはプレートなどの安全装置56が動作し、かご22をレール28に摺動可能に取り付けるエレベータ走行ガイド58に非常に強く押し付けられる。
【0014】
図2を参照すると、本発明の教示に従って構成された調速機48の第1の実施例がさらに詳細に示されている。
図2,
図3では、調速機48は非作動位置、すなわち運転位置で示されている。図示のように、調速機48は上述のシーブ50を含み、水平シャフト52がシーブ50から延在している。シャフト52には、以下に詳細に説明するように、基部60、ばね62およびスライダ64を取り付けることができる。基部60は、シャフト52とともに回転し、かつシャフト52上で横方向に移動しないようにシャフト52に固定される。反対に、スライダ64は、シャフト52上で回転し、かつリンク機構66によってシャフト52に沿って横方向に自由に摺動可能となっている。ストッパ68などの固定物をシャフト52の末端部70に設けて、スライダ64の移動範囲を定めることもできる。
【0015】
基部60およびスライダ64からは、複数のリンク機構66がちょうつがい式に延在する。リンク機構66はさらに、1つまたはそれ以上のフライウェイト72に連結されている。これらのフライウェイト72は、シーブ50の回転によってシャフト52と基部60とがフライウェイト72を遠心力によって径方向外向きに移動させるように有効な質量を有する。フライウェイト72とスライダ64との間にリンク機構が設けられていることで、フライウェイト72の径方向外向きの移動は、スライダ64を基部60に向かって移動させてばね62を圧縮する。ばね62は、シーブ50が所定の速度で回転するまでこのような移動を阻止するのに充分な付勢力を有するように製造される。
【0016】
調速機48の動作および信頼性を高めるために、少なくとも1つのフライウェイトプレート74が各々のフライウェイト72に固定される。
図3に最もよく示されているように、フライウェイトプレート74は、それぞれ半円形のバンドの形態を有しうる。
図2,
図3の実施例では、第1および第2のフライウェイト72が設けられており、第1および第2のフライウェイトプレート74が設けられている。非作動位置では、フライウェイトプレート74は、実質的に完全な円すなわち360°の円周を構成するように配置される。
図4,
図5の作動位置でも、フライウェイトプレートは径方向に小さい距離Δだけ離れるように移動し、調速機48のセンサと接触しない回転窓が実質的に生じるのを防止する。
図6に示す別の実施例では、各々のフライウェイトプレート74は、径方向に離れるように移動した場合でも、組み合わさって完全な円を構成し続けるように段付端部75を備えており、調速機の作動が遅れる箇所となる窓が円弧に沿って生じないようになっている。
【0017】
再び
図4,
図5を参照すると、フライウェイト72にかかる遠心力がばね62の付勢力に打ち勝つように調速機48の速度が増すに従って、スライダ64は基部60に向かって横方向内向きに移動してばね62を圧縮する。これによって、フライウェイト72は径方向外向きに移動し、フライウェイト72に固定されているためフライウェイトプレート74も径方向外向きに移動する。しかし、基部60が固定されており、スライダ64が基部60に向かって径方向内向きに移動するため、フライウェイト72とフライウェイトプレート74は、径方向外向きに移動するだけでなく、基部60に向かって横方向内向きにも移動する。
【0018】
調速機48が所定の速度に達すると、発生する遠心力が充分に高くなり、フライウェイト72とフライウェイトプレート74が過速度センサまたはスイッチ76と接触するのに充分な程度に横方向内向きに移動する。過速度センサ76が作動すると、制御装置42が安全な方法でエレベータかご22を減速させるように動作する。安全の第2の段階として、機械式作動スイッチ78をシーブ50の近傍に設けることもできる。
図2,
図4に最もよく示されているように、過速度センサ76をシーブ50の上方に取り付け、機械式スイッチ78をシーブ50の下方に取り付けることができる。しかし、他の実施例では、異なる方法でセンサを取り付けてもよい。さらに、
図2〜
図5では、過速度センサスイッチ76は、最初に作動するように、機械式スイッチ78よりもフライウェイトプレート74に横方向により近接するように取り付けられている。他の実施例では、センサを異なる方法で取り付けることができ、または所望の順序で作動するようにセンサ自体が異なる寸法の作動アームを有する。さらに、フライウェイトプレート74の一部に粗面79を設け、調速機20の感度を高めて調速機20の作動を確実にすることができる。
図6に示すこのような粗面79は、過速度センサ76および機械式作動スイッチ78に隣接する面80に機械加工された溝、リッジ、歯などの形態で設けることができる。
【0019】
シャフト52に基部60、ばね62およびスライダ64を取り付けるとともに、フライウェイト72およびフライウェイトプレート74を基部60とスライダ64に連結することで、垂直シャフトとこれら2つを連結するギアボックスの必要性がなくなる。また、この構成により、従来の振子式調速機に比べて本発明で必要な空間が格段に減少する。フライウェイト72およびフライウェイトプレート74を対称のリンク機構66によってシャフト52の周囲に一様に取り付けられることに加えて、シーブ52の重心とフライウェイト72の重心が常に正確に一致する。これにより、従来のフライウェイト式調速機に比べてエレベータの加減速による誤作動の回数が格段に減少する。
【0020】
次に、
図7を参照すると、本発明の第2の実施例が示されている。第2の実施例の多くの特徴部は、
図2〜
図5の第1の実施例と完全に同じである。しかし、第2の実施例では、基部60、ばね62およびスライダ64の配置が変更されている。より詳細には、ばね62がシーブ50に直接近接するように設けられ、スライダ64がばね62の近傍に位置し、基部60がシャフト52の末端部70に隣接して取り付けられている。さらに、この実施例のばね62は、シーブ50とスライダ64の両方に固定された引張ばねとすることができる。換言すると、ばね62の付勢力が、スライダ64をシーブ50に向かって引っ張る。充分に高い遠心力が発生してフライウェイト72が径方向外向きに移動する場合にのみ、スライダ64が引張ばね62の付勢力に打ち勝ってシーブ50から径方向に離れるように移動する。さらに、第2の実施例では、それぞれの部品の配置が変更されるので、過速度センサ76および/または機械式スイッチ78の位置も変更される。
【0021】
続いて、
図8を参照すると、本発明の第3の実施例が示されている。ここでは、基部60、ばね62およびスライダ64の配置が第1の実施例と完全に同じであるが、より多くの数のフライウェイト72が設けられている。調速機48の周囲により多くのフライウェイト72を配置することにより、装置の回転時により大きな遠心力が発生し、調速機自体の感度が高まる。
図8では、4つのフライウェイト72が示されているが、本発明の全ての実施例において、1〜無限大の範囲のあらゆる数のフライウェイト72が含まれうる。
【0022】
続いて、
図9を参照すると、本発明の第4の実施例が示されている。ここで示すように、シャフト52上の基部60、ばね62およびスライダ64の配置は、リンク機構66およびフライウェイト72の配置とともに第1の実施例と同一である。しかし、フライウェイトプレート74をフライウェイト72に対して横方向に取り付ける代わりに、フライウェイトプレート74をフライウェイト72の径方向外側に取り付けている。
図10に最もよく示されているように、これは追加のブラケット82などによって実現可能である。従って、より少ない数のフライウェイトプレート74を使用することができる。
図9,
図10は、このような実施例では、第4の実施例におけるフライウェイトプレート74の僅かに異なる移動範囲に対応するように、過速度センサ76および機械式スイッチ78をフライウェイトプレート74の径方向外側に直接取り付けることができることも示している。加えて、上述の実施例と同様に、フライウェイトプレート74に粗面80を設けることができる。しかし、第4の実施例では、粗面はフライウェイトプレート74の径方向外側端部に設けられる。
【0023】
上述の記載によれば、本発明は、従来の振子式調速機に比べて必要な寸法が減少し、かつフライウェイト式調速機に関連する不可避で予測不能な加減速度による誤動作を減少させるエレベータの調速機を開示していることが分かる。これは、1つには、重心が調速機のシーブの重心と常に一致するように本発明のフライウェイトを取り付けることによって得られる。