(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自動車のドアに固定されるようになっている固定部(10)に配置されているスピンドル(30)のまわりに回転することができ、前記自動車の施錠装置に接続されているグリップ素子(21)と、
慣性質量体(43)を有する振り子(40)であって、スピンドル(41)のまわりに回動することができるように前記固定部(10)にヒンジ止めされている振り子(40)の一部分を形成している当接部(44a、47)とを備えている、自動車のドアハンドルであって、
前記振り子(40)が激しく回動したときに、前記当接部(44a、47)は、前記ドアハンドルの可動部分の軌道上に移動して、前記ドアハンドルに接続されている施錠装置の作動を阻止するようになっているドアハンドルにおいて、
前記グリップ素子は、グリップレバープレート(21)であり、
前記慣性質量体(43)は、これが前記グリップレバープレート(21)に対して少なくとも部分的に並列するように、前記自動車の基準方向に関して、前記グリップレバープレート(21)の長手方向の全長の前部2/3内に対向する位置であって、前記ドアハンドルの長手方向及び横方向において定められた位置に配置されており、もって前記慣性質量体(43)は、前記グリップ素子と同じ慣性力を受けるようになっており、
前記振り子(40)と前記グリップレバープレート(21)とは、実質的に互いに直交し合う回転スピンドルを備えており、
前記振り子(40)は、その回転スピンドル(41)に関して互いに反対側に位置している2つのアーム(42、44)を備えており、これら2つのアームのうちの一方のアームは、前記慣性質量体(43)を保持しており、他方のアームは、前記当接部(44a)を形成していることを特徴とするドアハンドル。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態によるドアハンドルは、従来技術におけるように、車両に固定されるフレームである固定部10、およびこの固定部10に、回転スピンドル30のまわりに回動可能に取り付けられているレバープレート20を備えている。
【0009】
可動部分すなわちレバープレート20は、プラスチックのブランクから成り、実質的に平坦であり、ユーザが手で触れることができるように露出しているグリップレバープレート21を有している。レバープレート20は、回転スピンドル30に巻き付けられた螺旋タイプのば
ねによって、非作動位置に戻されている。
【0010】
図2は、ドアハンドルのレバープレート20から、レバープレートと一体に作られているか、または自動車のドアの内側を向くように嵌め込まれて合体している延長アーム22が延びていることを示している。したがって、延長アーム22は、レバープレートに着いた状態で、回転スピンドル3のまわりを回動し、ドアの内部で下向きに変位する軌道を描く。
【0011】
延長アーム22の端部には、施錠装置(図示せず)を作動させるように動作するケーブルの端部が固定されている。
【0012】
実施形態によるドアハンドルは、さらに、固定部上で、垂直な回転スピンドル41の外周に取り付けられており、主として、回転スピンドル41に関して互いに反対側に位置して向かい合っている2つのアーム42および44からなっている慣性振り子40を備えている。アーム42は、アーム44より質量が大であり、したがって、ドアハンドルに衝撃が与えられると、アーム42の慣性によって、慣性振り子40は、回転スピンドル41のまわりに振れる。
【0013】
アーム42は、ドアハンドルの主面に平行な面内であって、グリップレバープレート21の重心と、レバープレートの長手方向に関して実質的に
並列する位置に存在している。
【0014】
具体的には、アーム42は、レバープレートの延在しているゾーンのうちの中央部の1/3のゾーン内に位置するように、ドアハンドルに沿って、ある長さだけ
延在して、慣性質量体43を形成している突起を備えている。
【0015】
このような構成によって、慣性質量体は、衝撃を受けた際に、レバープレートの作動特性と同じ作動特性を、先行して実行することが見出された。車両への横衝撃によって、震動性であって、かつ空間の3軸に沿う方向を有する加速度が与えられ、この加速度は、振動中に方向を変え得るという事実を考慮すると、慣性質量体は、衝撃を受けた際に、レバープレートに先んじて、レバープレートの変位運動を正確に先行実行することが、ドアハンドルの信頼性にとって必要であることが分かった。
【0016】
車両の前後方向に関して、レバープレートの長手方向の前部2/3のゾーン内に位置するように、さらに、少なくとも部分的に、レバープレートのグリップ部分と均等に
並列するように慣性質量体を位置決めすることによって、衝撃に対する慣性質量体の信頼性という観点から、特に実効的な結果を生む、長手方向と横方向とを組み合わせた位置決めが得られることが見出された。
【0017】
長手方向および横方向の位置決めの特別に有利なこの範囲内において、慣性質量体の位置を、前方にわずかにずらすことによって、ドアハンドルにさらなる加速度を生じさせる、ドアの金属板(通常ドアハンドルの前方にある)の変形に対する慣性質量体の感度が上昇し、さらなる信頼性が生み出されるから、衝撃に対する慣性質量体の信頼性が、さらに向上する。
【0018】
さらに、レバープレートの全長のうちの中央部の1/3の前部半分に位置するように、慣性質量体を配置することによって、信頼性が特に高くなる。
【0019】
この位置決めの範囲内においても、慣性質量体を、グリップレバープレートの重心の近傍に位置決めすることによって、慣性質量体に対する信頼性がより向上する。したがって、慣性質量体を、レバープレートの長手方向の中央に近接させておくことが有利である。
【0020】
レバープレートに対して横方向である方向の、慣性質量体の位置決めの範囲に関しては、グリップレバープレートを、中心軸に沿って二分したうちの半分、すなわち、レバープレートの回転スピンドル30から遠い側の半分に対向するように、慣性質量体の位置を決めることが有利であることが見出された。慣性質量体は、レバープレートの自由縁と
並列している、すなわち、回転スピンドル30から隔たっており、ユーザの手のひら内に入るように作られている、レバープレートの縁23と
並列していることが好ましい。
【0021】
慣性質量体が、レバープレートの振れを、最もよくロックすることができるのは、この縁23と
並列している場合である。
【0022】
一方、アーム44は、レバープレート20の延長アーム22の側面と
並列するまで、3つの連続する区画にしたがって延在している。具体的には、この形状によって、アーム44は、レバープレートの実質的に中央のゾーンから、横方向にずれたゾーン、すなわちレバープレートの延長アーム22の近傍まで、慣性振り子40の長手方向の主軸から横方向に遠ざかることができる。
【0023】
したがって、アーム44は、ドアハンドルの可動部分、すなわち、この例においては、延長アーム22の軌道内に挿入される当接部
44aを形成している。アーム44の端部は、延長アーム22の一部分の軌道内、より具体的には、延長アーム22の側面突起25の軌道内に挿入されている。
【0024】
したがって、
図2に示すように、アーム44の端部
44aの、一方は、ドアの内部に
面しておらず、同じく他方は、
面しているという2つの位置をとることが可能である。後者の位置は、アーム44の端部
44aが、側面突起25の下向きの軌道上で、側面突起25の真下に位置決めされている状態に対応している。
【0025】
慣性振り子40は、圧縮ばねまたは収縮ばね45によって、ドアの内部に向かって
配置されていない基準位置に戻される。
【0026】
したがって、ロッキング用の慣性振り子40は、レバープレート20の回転スピンドルに実質的に直角である回転スピンドル41を中心として振れる。これは、衝撃に対する信頼性という点で特に効果的であり、レバープレートの長手方向に関して、グリップレバープレートのうちの中央部の1/3と実質的に
並列している慣性質量体、およびレバープレート20の延長アームを効果的にロックすることができる側面ゾーンに到達する、ロック用のアーム
44を有する慣性振り子40の使用を可能にする。
【0027】
より具体的には、アーム42は、レバープレートの延在しているゾーンのうちの中央部の1/3のゾーン内に位置するように、ドアハンドルに沿って、ある長さだけ
延在している、慣性質量体43を形成している突起を備えている。
【0028】
このような配置によって、慣性質量体は、衝撃を受けた際に、レバープレートの動特性と同じ動特性を先行実行することが見出された。車両への横衝撃によって、震動性であって、かつ空間の3軸に沿う方向を有する加速度がもたらされ、この加速度は、振動中に方向を変え得るという事実を考慮すると、慣性質量体は、衝撃を受けた際に、レバープレートに先んじて、レバープレートの変位運動を正確に先行実行することが、ドアハンドルの信頼性にとって必要であることが見出された。
【0029】
車両の前後方向に関して、レバープレートの長手方向の前方2/3のゾーン内に位置するように、さらに、少なくとも部分的に、レバープレートのグリップ部分と均等に
並列するように慣性質量体を位置決めすることによって、衝撃に対する慣性質量体の信頼性という観点から、特に実効的な結果を生む、長手方向と横方向とを組み合わせた位置決めが得られることが見出された。
【0030】
長手方向および横方向の位置決めの特別に有利なこの範囲内において、慣性質量体の位置を、前方にわずかにずらすことによって、ドアハンドルにさらなる加速度を生じさせる、ドアの金属板(通常ドアハンドルの前方にある)の変形に対する慣性質量体の感度が上昇し、さらなる信頼性が生み出されるから、衝撃に対する慣性質量体の信頼性が、さらに向上する。
【0031】
さらに、レバープレートの全長のうちの中央部の1/3の前部半分に位置するように、慣性質量体を配置することによって、信頼性が特に高くなる。
【0032】
この位置決めの範囲内においても、慣性質量体を、グリップレバープレートの重心の近傍に位置決めすることによって、慣性質量体に対する信頼性が向上する。したがって、慣性質量体を、レバープレートの長手方向の中央に近接させておくことが有利である。
【0033】
レバープレートに対して横方向である方向の、慣性質量体の位置決めの範囲に関しては、グリップレバープレートを、中心軸に沿って二分したうちの半分、すなわち、レバープレートの回転スピンドル30から遠い方の半分に対向するように、慣性質量体の位置を決めることが有利であることが見出された。慣性質量体は、レバープレートの自由縁と
並列している、回転スピンドルから隔たっており、ユーザの手のひら内に入るように作られている、レバープレートの縁23と
並列していることが好ましい。
【0034】
慣性質量体が、レバープレートの振れを最も忠実に実行することができるのは、この縁23と
並列している場合である。
【0035】
レバープレートのロッキングをさらに強固にするために、横衝撃を受けたときに、アーム44の端部を、延長アーム22との間に挟むための堅固なストッパ素子46が、アーム44の端部の下方に設けられている。したがって、アーム44は、回転スピンドル41を中心軸とするヒンジ式の回転中に、その回転動作を損なうおそれのある、いかなる垂直応力も受けない。堅固なストッパ素子46は、ドアハンドルの固定部10に固定されていることが好ましい。
【0036】
図3に示す一実施形態においては、慣性振り子40を、そのロッキング位置にとどめるための、金属片50の形態の部材が用いられている。この金属片50の1つの面は、慣性振り子40の
分岐48を、摩擦係合して受け止める。この面には、慣性振り子40が振れた後に、この
分岐48を受容する開口51が形成されている。
【0037】
この金属片50の形態の部材は、行程の最後における慣性振り子40の回帰を阻止する。この回帰が生じると、衝撃を受けている間に、慣性振り子40は、その最初の位置に戻り、したがって、この回帰の直後に、レバープレートの延長アームが接近してきたときに、慣性振り子40が延長アームとの係合位置に存在しないという事態が生じる。
【0038】
図4に示すように、金属片50を、斜面61および出っ張り62を有する連結部材60と替えることができる。慣性振り子40の分岐
48の端部
47が、斜面61上を滑って、出っ張り62の背後に配置され、それによって、レバープレート20の動きを妨害する位置にとどまる。
【0039】
このような連結部材は、この端部に対して引込まれて、もはやアーム44を保持していない位置まで、アーム44の延在している主方向に対して横断する方向に滑らせることができるので有利である。
【0040】
したがって、連結部材60を手動で操作することによって、対向している各部材に損傷を与えることなく、またそれらの各部材が損傷を受けていないか特別の検査を要することなく、アーム44を解放することができる。
【0041】
ドアハンドルの固定部10を、ドアの内部または外部に、すなわち外側から隠されるように、または見えるように配置することができる。
【0042】
固定部
10をドアの内側に設けた場合であって、利用可能なスペースが限定されている場合には、軽量なグリップレバープレートには、その動特性のために、上述のいずれの回帰防止装置も必要ではないから、このような回帰防止装置を用いない方が好ましい。
【0043】
このようなドアハンドルが、
図5に示されている。このドアハンドルは、かなり長いグリップレバープレートを備えており、慣性振り子40の慣性質量体43は、この場合にも、グリップレバープレート21のうちの中央部の1/3と実質的に
並列している。より具体的には、アーム42は、レバープレートの延在しているゾーンのうちの中央部の1/3のゾーン内に位置するように、ドアハンドルに沿って、ある長さだけ
延在している、慣性質量体43を形成している突起を備えている。
【0044】
このような構成によって、慣性質量体は、衝撃を受けた際に、レバープレートの動特性と同じ動特性を先行実行することが見出された。車両への横衝撃によって、振動性であって、かつ空間の3軸に沿う方向を有する加速度がもたらされ、この加速度は、振動中に方向を変え得るという事実を考慮すると、慣性質量体は、衝撃を受けた際に、レバープレートに先んじて、レバープレートの変位運動を正確に先行実行することが、ドアハンドルの信頼性にとって必要であることが見出された。
【0045】
車両の前後方向に関して、レバープレートの長手方向の前方2/3のゾーン内に位置するように、さらに、少なくとも部分的に、レバープレートのグリップ部分と均等に
並列するように慣性質量体を位置決めすることによって、衝撃に対する慣性質量体の信頼性という観点から、特に実効的な結果を生む、長手方向と横方向とを組み合わせた位置決めが得られることが見出された。
【0046】
長手方向および横方向の位置決めの特別に有利なこの範囲内において、慣性質量体の位置を、前方にわずかにずらすことによって、ドアハンドルにさらなる加速度を生じさせる、ドアの金属板(通常ドアハンドルの前方にある)の変形に対する慣性質量体の感度が上昇し、さらなる信頼性が生み出されるから、衝撃に対する慣性質量体の信頼性が、さらに向上する。
【0047】
さらに、レバープレートの全長のうちの中央部の1/3の前部半分に位置するように、慣性質量体を配置と、信頼性が特に高くなる。
【0048】
しかしながら、慣性質量体を、グリップレバープレートの重心の近傍に位置決めすることによって、慣性質量体に対する信頼性が向上し、有利なことに、慣性質量体のレバープレートの長手方向の中央への近接状態が保持される。
【0049】
レバープレートに対して横方向である方向の、慣性質量体の位置決めの範囲に関しては、この例においては、慣性質量体は、レバープレートの幅の中央部分に、すなわち、レバープレートの回転スピンドル30と、ユーザの手のひらに入るように作られている縁23、すなわちレバープレートの回転スピンドル30から隔たっている側の縁との間に配置されている。