特許第5735568号(P5735568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735568
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ペットの腎不全治療用の組み合わせ薬剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20150528BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20150528BHJP
   A61K 33/14 20060101ALI20150528BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20150528BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   A61K31/7004
   A61P13/12
   A61K33/14
   A61K31/19
   A61K9/08
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-60448(P2013-60448)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-199479(P2013-199479A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2013年3月26日
(31)【優先権主張番号】101109979
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513070026
【氏名又は名称】林 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100175237
【弁理士】
【氏名又は名称】加納 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】林 正義
【審査官】 磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−051850(JP,A)
【文献】 特表平07−504351(JP,A)
【文献】 ハル糖−V注射液 500mL 日本全薬工業株式会社,URL: http://www.zenoaq.jp/product/pd16051.html (検索日2014年4月17日)
【文献】 ハルゼン−V注射液 1L 日本全薬工業株式会社,URL: http://www.zenoaq.jp/product/pd16004.html (検索日2014年4月17日)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7004
A61K 9/08
A61K 31/19
A61K 33/14
A61P 13/12
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分と含有量をそれぞれ有する溶液Aと溶液Bとであって、溶液Aにはカリウムイオンが含まれず、溶液Bにはグルコース及びマグネシウムイオンが含まれない、溶液Aと溶液Bとを含有し、当該溶液Aの当該溶液Bに対する相対的な割合が1:1であり、皮下注射によって投与するためのペットの腎不全治療用の組み合わせ薬剤

溶液A
成分 含有量
グルコース 7〜42.5 g/L
ナトリウムイオン 70〜132 mEq/L
塩化物イオン 45〜96 mEq/L
カルシウムイオン 1.5〜3.5 mEq/L
マグネシウムイオン 0.2〜0.5 mEq/L
乳酸イオン 20〜40 mEq/L


溶液B
成分 含有量
ナトリウムイオン 60〜130 mEq/L
塩化物イオン 50〜109 mEq/L
カルシウムイオン 1.5〜3.0 mEq/L
乳酸イオン 15〜28 mEq/L
カリウムイオン 2.2〜4 mEq/L

【請求項2】
溶液Aのグルコースの含有量が、7〜15 g/Lである、請求項1に記載の組み合わせ薬剤
【請求項3】
様々な疾患により引き起こされる腎不全治療に使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組み合わせ薬剤
【請求項4】
腎不全の緊急救助に使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組み合わせ薬剤
【請求項5】
継続ケア治療に使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組み合わせ薬剤
【請求項6】
溶液Aと溶液Bとは、各々、1日当り1〜3回、0.1〜10mL/体重kgの量で投与されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組み合わせ薬剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの様々な疾患により引き起こされる腎不全治療用の組み合わせ薬剤(以下、薬剤組合せ、ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
腎不全は、ヒト又は動物における一般的な疾患の一つである。腎不全と診断されるということは、通常、生理的機能を失い、腎臓の75%以上が、代謝毒素の残留、体液、電解質及びPHの障害、及び死を引き起こす深刻な全身合併症にさえつながることを意味する。リンは、急性腎不全(ARF)により引き起こされる腎障害は可逆的であるが、異なる治療法(例えば、従来の輸液療法、腹膜透析療法、及び血液透析療法)によるARFの死亡率は、未だ30〜83%の間であることを報告している(非特許文献1)。(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。また、リンは、2000年1月から2006年12月の間、1339匹のイヌ及び241匹のネコが、腎不全のため、国立中興大学獣医学研究所で医学的治療を受け、腎不全による年間の羅病率と死亡率が、それぞれ、イヌが4〜10%と49〜59%、ネコが2〜10%と33〜62%であったことを報告している。急性腎不全であると判断された動物(イヌ501匹と、ネコ69匹を含む)について、年全体の死亡率は、イヌが81.2%、ネコが65.2%である。
【0003】
小動物においてARFの死亡率が高いので、早期の予後指標として使用するため、及び適切な治療の選択のため、ARFに関連する予後指標が集中的に調査されている。ARFの予後は、その原因、腎不全の重症度、及び伴う疾患に依存するが、この背景についての文献データは未だ限られており、報告された結果は必ずしも一貫していない。
【0004】
小動物における現在の腎不全治療には、従来の療法、腎補充療法、及び食事療法がある。従来の療法、及び腎補充療法について、更に説明する。
【0005】
1.従来の療法
小動物における従来の腎不全療法には、体液、電解質及びPHの是正、進行した腎障害の軽減のため、必要に応じて、薬と組み合わされた支持療法及び輸液療法(すなわち、血管輸液)が主に含まれる。従来の腎不全療法は、腎臓が一時的に傷付くか又は腎臓の指標が他の要因によって一時的に増加し、そして治療の後に再開し得る可逆的腎不全の治療に、主に焦点が当てられている。不可逆的腎不全は、腎臓疾患又は死につながることさえある、より厳しい状態に通常進行する。もし、BUN(血中尿素窒素)値及びCRE(クレアチニン)値のような腎臓の指標が悪化すれば、獣医師は、安楽死を通知するか、又は腹膜透析或いは血液透析療法をアドバイスする。しかし、時には、腹膜透析又は血液透析療法の後、ペットはまだ回復することができず死ぬことさえある。
【0006】
2.腎補充療法
腎補充療法は、腹膜透析、血液透析、及び腎臓移植等を含めて、正常な腎臓機能を回復させるために、腎機能の一時的代替的な治療である。ARFは、イヌやネコの腹膜透析又は血液透析の指標の一つである。伝統的に、支持療法(すなわち、血管輸液)の3〜4週間の反応は、ペットが腎不全から回復できるか否かを判断する基準となる。具体的には、支持療法及び/又は輸液療法の後、ペットの健康が腎不全から回復し得ない場合、そのペットには、透析療法が求められる。腎不全のペットは、透析療法を行うことによって追加的に数ヶ月生き残るかも知れない。動物が、重度の乏尿又は無尿になった場合であって、従来の療法(支持療法及び/又は輸液療法)が高窒素血症を改善すること、及び体液、電解質並びにPHを是正することに効果がない場合は、透析療法(腹膜透析又は血液透析)を直ちに行わなければならない(非特許文献5、非特許文献6)。輸液透析は、重度の尿毒症の治療において技術的に可能である。しかし、利用可能性と経済性を考慮すると、極めて一般的ではない(継続治療における不確かな結果と共に、週当り約160,000NT)。腹膜透析と血液透析は、それぞれ以下に説明する。
【0007】
A. 腹膜透析(PD)
原理と方法
腹膜透析は、およそ生理的濃度の電解質とグルコースを含んだ透析液を、腹腔へ直接注入するために、永久的な透析カテーテルを体内に埋め込む方法であって、小さい分子(尿毒症廃棄物等)やプラズマ中のイオンは、拡散、コンベンション(convention)又は精密濾過によって、透析膜として働く腹膜を通り、透析液と交換され、乱れた電解質や体液を是正する。
【0008】
禁忌と適応症
腹膜透析は、主に物質交換の透析膜としての腹膜に依存しているので、透析液の交換を阻害するいかなる条件も、腹膜透析の可能性を遅らせることになる。例えば、腹壁の損傷又は腹膜感染は、腹膜交換面積の50%以上の損失につながる。動物における腹膜透析の禁忌は、重度の低アルブミン血症、又は腹膜透析カテーテルを埋め込むことを妨げる可能性のある、重度の腹水、受けて間もない腹膜手術、腹部腫瘤又は腸の膨張等の条件を含んでいてもよい。加えて、長期の透析後、腹部は繊維化し、結果的にその劣化及び腹部透析の非効率につながる可能性がある。
【0009】
問題と合併症
腹膜透析は、技術的に単純であるが、合併症を引き起こす可能性が高いため、一般的な使用は制限されている。腹膜透析の通常の合併症は、低アルブミン血症や、透析液の残留、透析カテーテルの閉塞及び腹膜炎といった他の問題を含み、年間の生存率はわずか22%である(非特許文献7)。加えて、Beckelらは、レプトスピラ症の6匹のイヌにおける腹膜透析によって、被験体の約60%が、低カリウム血症を含む合併症を引き起こしたことを報告している(非特許文献8)。
【0010】
B. 血液透析(HD)
原理と方法
血液透析は、腹膜透析と原理が類似している。しかし、透析カテーテル(血液透析器)は、腹膜の代わりに溶質交換の役目を果たす。その方法論は、体外循環によって、血液を透析液で直接交換することからなり、血液透析中の溶質のバランスが崩れることを防ぐため、血液と透析液を継続的にリフレッシュすることで濃度勾配を維持し、最大拡散に到達する。
【0011】
タイミングと適応症
イヌとネコにおける血液透析の適応症は、主にARFとその合併症、急性中毒、過度の体液等である。加えて、血液透析は、危機的な状況が除外されるまで、腎移植後の急性拒否反応に有用である。
【0012】
合併症
血液透析は、技術的に複雑なプロセスであり、生理学的及び代謝的に障害のある患者に適応することができる。通常の合併症として、カテーテルの誤作動又はカテーテル関連の感染症、低血圧症、神経学的合併症、呼吸器合併症、汎白血球減少症、血小板減少症、貧血及びアミノ酸損失症が含まれる。加えて、透析プロセスそれ自体の複雑性や腎不全の合併症のため、血液透析の合併症が、腎臓システムの外部の様々なものに悪影響を与えるので、副作用が透析療法それ自体又は尿毒症により引き起こされているかどうかを判断することは容易ではない。しかし、それらの副作用の頻度と強さは、動物を透析にかけるとき、又は尿素症クリアランスが制御下にある場合に、通常低下する(非特許文献9)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Lin Kai-Wei,“小動物における急性腎不全の結果、及びイヌにおける中心静脈カテーテルを用いることによる関連感染の評価に影響を与える予後指標”、国立中興大学獣医学研究所、修士論文、2007年。
【非特許文献2】Behrend EN, Grauer GF, Mani I, Groman RP, Salman MD, Greco DS,“イヌにおける院内急性腎不全:29例”(1983〜1992年)、J Am Vet Med Assoc 208: 537〜541頁、1996年。
【非特許文献3】Crisp MS, Chew DJ, DiBartola SP, Birchard SJ,“イヌやネコの腹膜透析:27例”(1976〜1987年)、J Am Vet Med Assoc 195:1262〜1266頁、1989年。
【非特許文献4】Forrester SD, McMillan NS, Ward DL,“イヌにおける急性腎不全の回顧的評価”、J Vet Intern Med 16:354頁、2002年。
【非特許文献5】Cowgill LD, Elliott DA. Hemodialysis. In: DiBartola SP, ed. ”小動物プラクティスにおける輸液療法”2th ed. W.B. Saunder Co., Philadelphia, USA, 1615〜1633頁、2000年。
【非特許文献6】Whittemore JC, Webb CB.“輸液療法を超えて:急性腎不全の治療”, CompCont Ed Pract Vet, 27:288〜297頁、2005年。
【非特許文献7】Crisp MS, Chew DJ, DiBartola SP, Birchard SJ. “イヌとネコにおける腹膜透析: 27例”(1976〜1987年)、J. Am. Vet. Med. Assoc., 195: 1262〜1266頁, 1989年。
【非特許文献8】Beckel NF, Toole TE, Rozanski EA, Labato MA.“レプトスピラ症の5匹イヌの急性腎不全のマネジメントにおける腹膜透析” J. Vet. Emerg. Crit. Care, 15: 201〜205頁、2005年。
【非特許文献9】Cowgill LD, Langston CE. “腎不全のイヌとネコのマネジメントにおける血液透析の役割” Vet. Clin North. Am. Small Anim. Pract., 26: 1347〜1378頁、1996年。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ペットの腎不全のための従来の療法による死亡率は、依然として高く、腹膜透析及び/又は血液透析療法の効率化とコストは、依然として改善の余地がある。そこで、ペットの腎不全の新たな治療が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した、ペットの腎不全の治療のために最近使用されている方法の難点を克服するために、本発明は、その一つの実施態様として、ペットの腎不全治療用の新規な薬剤組合せを提供する。
【0016】
本発明は、別の実施態様として、皮下注射によるペットの腎不全治療用の新規な薬剤組合せを提供する。
【0017】
本発明は、更に別の実施態様において、(1)溶液Aと溶液Bとであって、溶液Aにはカリウムイオンが含まれず、溶液Bにはグルコース及びマグネシウムイオンが含まれない、溶液Aと溶液Bとを含有する、皮下注射によるペットの腎不全治療用の新規な組み合わせ薬剤であって、上記溶液Aと上記溶液Bとがそれぞれ以下の成分と含有量を含む新規な組み合わせ薬剤を提供する。

溶液A
成分 含有量
グルコース 7〜42.5 g/L
ナトリウムイオン 70〜132 mEq/L
塩化物イオン 45〜96 mEq/L
カルシウムイオン 1.5〜3.5 mEq/L
マグネシウムイオン 0.2〜0.5 mEq/L
乳酸イオン 20〜40 mEq/L


溶液B
成分 含有量
ナトリウムイオン 60〜130 mEq/L
塩化物イオン 50〜109 mEq/L
カルシウムイオン 1.5〜3.0 mEq/L
乳酸イオン 15〜28 mEq/L
カリウムイオン 2.2〜4 mEq/L
【0018】
本発明は、好ましい実施態様として、(2)上記溶液Aのグルコース含有量が、7〜15 g/Lである、上記(1)に記載の組み合わせ薬剤を提供する。
【0019】
溶液Aは公知であるが、毒素レベルを低減するために、腹腔内の腹膜透析を通じて、腎不全を治療するために主に使用される。溶液Aが、ペットの腹膜透析に使用された場合、効率は全く満足されるものではなく、ペットは容易に腹膜炎に感染する。発明者は、溶液Aが皮下注射によりペットに投与された場合、毒素が腹膜の代わりに皮下組織を介して交換されるために、毒素の交換割合は劇的に促進されるので、ペットの生存率の著しい改善に転じることを発見した。
【0020】
溶液Bは公知であるが、やけどや下痢のため失われた体液を補う目的で、電解質の補給やアシドーシスの是正と共に、血管輸液によって、主にヒトや動物に適用される。溶液Bは、ペットの腎不全の治療に使用されることがあるが、効率はとても満足に値するものではなく、高い用量が必要になることが報告されている。例えば、1日当り、40〜60mL/体重kg、例えば、20kgのイヌは、1日当り溶液B800〜1200mLの輸液が必要であり、5kgのネコは、1日当り溶液B100〜200mLの輸液が2回必要となる。そのような高い用量の輸液は、恐らくペットの体に深刻な負担を生じさえることになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明者は、鋭意検討し、多くの臨床治療を行った結果、溶液Aと溶液Bとの組合せ(以下、“溶液A+B”ということがある。)は、動物における腎不全の治療において、相乗効果を驚くほど示すことを見出した。具体的には、溶液Aと溶液Bとを含有する本発明の薬剤組合せは、皮下注射により投与された場合、尿毒の体からの排出が著しく促進される(BUN値やCRE値として測定)と共に、動物における腎不全の治療において相乗効果を驚くほど示す。このような相乗効果は、先行技術において、決して示唆又は教示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施例1と表1の結果を示す。
図2図2は、実施例2と表2の結果を示す。
図3図3は、実施例3と表3の結果を示す。
図4図4は、実施例4と表4の結果を示す。
図5図5は、実施例5と表5の結果を示す。
図6図6は、実施例6と表6の結果を示す。
図7図7は、実施例7と表7の結果を示す。
図8図8は、実施例8と表8の結果を示す。
図9図9は、実施例9と表9の結果を示す。
図10図10は、実施例10と表10の結果を示す。
図11図11は、実施例11と表11の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において、“溶液Aと溶液Bとの組合せ”及び“溶液A+B”という文言は、代替的に用いられ、溶液Aと溶液Bとの使用においてその方法と順序が限定されるものではない。換言すれば、“溶液Aと溶液Bとの組合せ”又は“溶液A+B”という場合、下記態様のいずれかが意味されることになる。動物における溶液Bの皮下注射前の溶液Aの皮下注射、動物における溶液Aの皮下注射前の溶液Bの皮下注射、溶液Aと溶液Bとの混合溶液の直接皮下注射。
【0024】
本発明の一つの実施態様において、溶液Aと溶液Bとの比は、好ましくは約1:1である。しかし、溶液Aと溶液Bとの相対的な割合は、臨床獣医師により、その臨床経験と判断に基づいて、動物の健康状態に応じて、本発明の範囲に包含されるように調製することができる。
【0025】
また、本発明者は、先行技術と比較して、極めて低い用量の本発明の溶液A+Bが、ペットの体に深刻な負担を生じさせることなく、尿を介して毒素を迅速に体外へ排泄し、治療効率が達成されることを見出した。具体的には、本発明によると、推奨される用量は、溶液Aでは1日当り、0.1〜10mL/体重kg、溶液Bでは1日当り0.1〜10mL/体重kg、各々1日1〜3回である。しかし、実際の治療用量は、獣医師の経験と判断に基づいて、動物の健康状態や体重に応じて調製することができる。
【0026】
一つの実施態様において、溶液Aと溶液Bとの用量は、各々一般的に低レベルで始まり、ペットの健康状態に応じて、獣医師の経験と判断に基づいて徐々に増加させる。例えば、溶液Aと溶液Bとの用量は、最初は、各々約1〜3日の間、1日当り1〜3回、0.1〜5mL/体重kgである。動物に薬剤を投与した後、注射の用量は、ペットが50〜90%又はそれ以上の回復率に到達するまで(回復率は、個々の動物の年齢や健康状態に応じて変化する)、一定の期間ゆっくり増加させる(例えば、1日当り1〜3回、5〜10mL/体重kg)。もし、継続的なケアの治療が求められるのであれは、用量は、その健康状態に応じて、1日当り1〜3回、0.1〜5mL/体重kgまで更に減少させることができる。大型イヌにおけるいくつかのケースでは、継続ケア治療の溶液A+Bの用量は、例えば、1日当り75mL/32体重kg(約2.3mL/体重kg)にまで減少させることができる。
【0027】
加えて、本発明の薬剤組合せの用量は、治療される動物の体重に応じて修正する必要があるかもしれない。体重の重い動物(5kg以上の重さ)の用量は、異なる方法で計算される。具体的には、5kg以上の重さの動物には、上記のように計算された本来の用量の約50〜70%の用量で投与することが好ましい。例えば、20kgの動物の場合、本来の用量は、20kg×10mL/kg=200mLであるから、注入する好ましい用量は、100mL(=200mL×50%)から140mL(=200mL×70%)の範囲である。換言すると、重さが20kgの動物に対して、溶液Aと溶液Bとは、各々約1〜10日間で、およそ100〜140mLの用量で皮下注射により投与し、動物がその健康を回復した後、用量を更に減少させることができる。従って、本発明の薬剤組合せの用量は、上述のように、溶液Bの従来の用量よりずっと少ない。例えば、溶液Bの従来の用量は、1日当り40〜60mL/体重kg、すなわち、20kgの重さのペットに対し、800〜1200mLであるが、そのような多量の注入用量は、身体への深刻な負荷を与え、皮下障害を引き起こす。
【0028】
本発明の薬剤組合せは、腎不全を改善し又は治療するために、ペットに対する皮下注射によって投与されるので、投与する経路と治療メカニズムの点において、従来の輸液療法、腹膜透析及び血液透析とは異なる。
【0029】
本明細書における“腎不全”という用語は、例えば、急性腎不全及び慢性腎不全、又は腎前性腎不全及び固有腎不全を含めて、当該分野における当業者に既知の基準により定義され、かつ決定される腎不全を意味する。(例えば、“イヌと腎不全における短期的予後因子の研究”、国立台湾大学、修士論文、2005年; Tsai, Han-Ju,“腎不全のイヌに対する血液透析の評価”、Taiwan Vet J.、29: 353〜358頁、2003年; Lin Kai-Wei,“小動物における急性腎不全の結果、及びイヌにおける中心静脈カテーテルを用いることによる関連感染の評価に影響を与える予後指標”、国立中興大学獣医学研究所、修士論文、2007年)。本発明の薬剤組合せは、一つの実施態様において、急性腎不全や慢性腎不全の治療に好適に有用である。
【0030】
本発明の薬剤組合せは、別の実施態様として、急性腎不全の緊急救助、急性中毒の治療、及びイヌやネコにおける慢性腎不全の生命維持継続ケア治療において有用である。
【0031】
なお、“緊急救助”という用語は、腹膜透析或いは血液透析が求められ、又は、ペットがいかなる形態の治療も効果なく、或いはいかなる治療も受けないで、獣医師により安楽死を勧められさえした、腎不全のペットになされる緊急治療行為を意味する。緊急救助の目的は、ペットの生命を維持すること、腎不全の進行を妨げること、及び治療を促進すること等である。
【0032】
ペットの腎不全を判断する基準は、通常、血液ガスレベル、血液生物学的指標や血液電解質レベル(ナトリウム、カリウム、塩化物等)に基づいている。典型的には、急性腎不全や慢性腎不全は、BUN値とCRE値によって決定される。健康なイヌとネコは、通常のBUN値がそれぞれ、6〜33mg/dL、12〜41mg/dL、そして、通常のCRE値がそれぞれ、0.6〜1.6mg/dL、0.7〜2.5mg/dLである。国際腎不全利益協会(IRIS)によって確立された、イヌやネコにおける腎不全の分類のためのCRE値に基づいた基準を参考にすると、CRE値が5mg/dL又はそれ以上である場合、ペットは、末期又は急性腎不全であると診断される。そこで、治療指数又は腎不全の指数は、本発明においてBUN値及びCRE値により定義されている。本発明の一つの実施態様では、腎不全の改善及び/又は治療は、治療指数又は腎不全指数が、本発明の薬剤組合せで治療された後、通常の範囲に近づくように又はその範囲内に減少することを意味する。
【0033】
いくつかのケースにおいて、腎不全のペットのBUN値及び/又はCRE値は、急激に増加しないが、その身体的な状態は明らかに悪くなる。それゆえ、腎不全のペットの状態は、その外観や活動の観察によって追加的に評価される。急性腎不全の診断を要する症状は、発作、失神、運動失調等を含む一般的でない症状と共に、例えば、疲労、眠気、抑うつ、脱力感、食欲不振、脱水、嘔吐及び下痢を通常含む。従って、本発明の別の実施態様において、腎不全の改善及び/又は治療は、本発明の薬剤組合せにより治療された後、上述の症状が軽減及び/又は排除されることを意味する。
【0034】
本発明の一つの実施態様において、腎不全指数は著しく減少し、本発明の薬剤組合せで治療された後、好ましく通常の範囲に減少する。具体的には、BUN値及び/又はCRE値は、通常の範囲に近づくように又はその範囲内に著しく減少する。別の実施態様において、腎不全指数は、1〜10日間で著しく減少し、好ましくは、通常の範囲に近づくように又はその範囲内に減少し得る。別の実施態様において、腎不全のイヌとネコの死亡率は、例えば、若いイヌやネコにおいては、約15〜25%まで著しく減少し得る。別の実施態様において、腎不全のペットは、当初の非活動的、嘔吐、眠気及びけいれん状態から、1〜10日間で回復し、他の違和感のある変化もなく、活動的で、嘔吐しない、運動性が改善された状態になり、徐々に通常の身体状態に戻る。別の実施態様において、本発明のペットの腎不全治療用の薬剤組合せは、50〜90%又はそれ以上の回復率、好ましくは、60〜90%又はそれ以上の回復率をもたらし、動物が若ければ若いほど、回復率は高くなる。そえゆえ、本発明の薬剤組合せは、腎不全の治療において、イヌとネコの年間の死亡率がそれぞれ81.2%、65.2%(すなわち、生存率がそれぞれ18.8%、34.8%)である従来の治療(輸液透析、腹膜透析又は血液透析)と比べて、著しく向上した効果をもたらす。
【0035】
(治療指数が更に減少し得ない)末期腎不全のペットには、獣医師は、通常、腹膜透析或いは血液透析をアドバイスし、又は安楽死を勧めることさえする。不可逆的で深刻な腎不全のペットが、緊急救助のための腹膜透析が求められる場合、ペットは、1日当り8〜12時間の腹膜透析が必要になるかもしれない。しかし、その身体の状態は、依然として悪化し、死に至るかもしれない。通常、ペットは、1日約2〜5回の腹膜透析が行われることがある。もし、ペットが、より多くの回数の腹膜透析を必要とするのであれば、このことは、治療されるペットの腹膜の交換速度がもはや十分ではなく、回復できないので、安楽死を勧められる可能性があることを暗に示している。別の実施態様において、本発明の薬剤組合せによって、腎不全のペットを緊急救助する場合、(1〜10日間の緊急救助の)回復率は、若いイヌやネコ(0〜6歳)において60〜90%又はこれ以上、歳を取ったイヌやネコ(7歳又はそれ以上)において約50〜60%であるので、全体の回復率は、イヌやネコにおいて50〜90%又はそれ以上である。
【0036】
更に、別の実施態様において、本発明の薬剤組合せは、腎不全のペットの継続ケア治療において、著しく増加した回復率を提供する。これまでのところ、腎不全に関する可逆的及び不可逆的の両形態について、継続ケア治療に使用できる具体的な方法はない。可逆的な腎不全のペットは、腹膜透析又は血液透析療法を排除した後、安定したままになることがある。しかし、不可逆的な腎不全の場合、ペットが既に安定していても、腎不全指数は、腹膜透析又は血液透析のカテーテルを除去した後、再び徐々に上昇するので、継続ケア治療は、深刻な問題になる。従って、別の実施態様において、本発明の薬剤組合せは、ペットの腎不全の治療に加えて、継続ケア治療において有用である。本発明の薬剤組合せによる治療を通して順調に回復した後、死を引き起こす他の劣化要因がない限り、腎不全のペットには、継続ケア治療のため、本発明の薬剤組合せを継続的に投与することができる。従って、本発明の薬剤組合せは、腎不全のペットの継続ケア治療に有用であって、はるかに向上した結果をもたらすことができる。
【0037】
それゆえ、ペットの皮下注射による本発明の腎不全治療用の薬剤組合せは、以下の利点がある。
(1)投与の経路と治療のメカニズムの点において、本発明の腎不全治療用の薬剤組合せは、腎不全の治療の当該分野において現在使用されている方法とは異なり、また(BUN値及びCRE値として測定された)毒素の除去において著しく向上した効率を有する。このため、ペットの体内の毒素レベルは、ペットが早急に回復し健康を維持できるように、より迅速に減少させることができる。
(2)末期腎不全のペットに対する従来の療法及び腹膜透析又は血液透析の後であっても、治療指数が継続的に上昇する場合、このことは、ペットの寿命を維持することが困難であることを意味するので、獣医師は、通常、緩和ケア(又は安楽死)を勧める。本発明は、他の治療では効果が無い又は安楽死を求められるペットの生命維持ケアにおいて、効果的である薬剤組合せを提供する。
(3)本発明の腎不全治療用の薬剤組合せは、ペットについて、院内診断された急性腎不全又は慢性腎不全の治療に有用である。
(4)本発明の薬剤組合せは、腎不全の回復率を60〜90%又はそれ以上向上させ(7歳又はそれ以上の動物は約50〜60%)、継続ケア治療を実行するために継続的に使用することができる。
(5)本発明により提供される腎不全の治療において、単純で便利な薬剤組合せは、ペットが病院から退院した後、ペットのオーナーが家で継続ケア治療を行うために使用することができるので、回復率は更に向上する。
(6)本発明の薬剤組合せは、皮下注射により投与されるが、手術、入院又は、静脈内注入を必要としない。また、感染症を軽減することができ、自由な移動が可能である。このため、腎不全のペットは、人間と同様も取り扱われ、尊厳の下、長寿命で生きることができる。
(7)皮下注射(0.1〜10mL/体重kg)のための本発明の薬剤組合せの用量は、腎不全治療のために当該分野で従来から使用されている用量よりずっと少ない(例えば、溶液Bとして40〜60mL/体重kg)。
(8)本発明の薬剤組合せは、副作用がずっと少ない。輸液又は透析が使用されないので、カテーテル関連の感染症のような多くの感染症は回避することができる。このため、合併症や感染症はずっと少なくなり、安全性が比較的大幅に向上する。
【0038】
本発明によると、“回復率”という用語は、獣医師に要求された輸液、腹膜透析或いは血液透析による治療なしで、又はその治療の後、健康が回復しないので、1〜10日間、本発明の薬剤組合せで治療され、通常の健康状態が50〜90%或いはそれ以上回復し、及び/又はBUN値及び/又はCRE値が著しく減少し、通常の範囲に近づく或いはその範囲内となり、及び/又はペットの活動が、嘔吐や他の特別で深不快な変化がなく回復する腎不全のペットの数の、同じ条件であるが、本発明の薬剤組合せで治療されていない腎不全のペットの数に対する割合を意味する。
【0039】
本発明によると、“ペット”及び“動物”は、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、その他小動物を意味し、好ましくは、イヌ又はネコを意味する。
【実施例】
【0040】
以下の実施例には、更に本発明の代表的な実施態様が記載されている。しかし、これら実施例は、実例のみが意図されており、本発明の内容及び範囲を全く限定するものではない。当該分野の当業者であれば、上記示唆を考慮して、同一の又は同等の結果を得るために、クレームの範囲から外れることなく、たくさんの修正形やバリエーションが作られることを理解できる。
【0041】
調製:
溶液Aと溶液Bとは、以下の成分と含有量を有するように製剤される。
溶液Aの組成: グルコース15 g/L、ナトリウムイオン132mEq/L、塩化物イオン96mEq/L、カルシウムイオン3.5mEq/L、マグネシウムイオン0.5mEq/L、及び乳酸イオン40mEq/L。
溶液Bの組成: ナトリウムイオン130mEq/L、塩化物イオン109mEq/L、乳酸イオン28mEq/L、カリウムイオン4mEq/L、及びカルシウムイオン3.0mEq/L。
【0042】
試験及び評価の方法
ペットの腎不全の治療についての本発明の薬剤組合せの効果は、BUN値並びにCRE値を測定すること及びペットの外観や活動を観察することにより評価される。BUN値及びCRE値は、生物化学分析装置(アークレー社製SPOTCHEM、モデル4430)により測定される。異なる健康状態にあるイヌ及びネコについてのBUN値及びCRE値の範囲は、以下の表の通りである。

【0043】
加えて、腎不全のペットの健康状態は、その外観及び活動を観察することにより評価される。具体的には、腎不全の治療の効果は、ペットの、疲労、抑うつ、脱力感、食欲不振、脱水、嘔吐、下痢その他を含む症状の軽減及び/又は脱離を観察することにより評価される。
【0044】
治療の手順
投与の前に、治療される個々のペットの健康状態は、ペットの外観及び活動を観察すると共に、BUN値並びにCRE値及び血液ガス値を測定することにより評価される。治療開始期間において、溶液A(0.1〜5mL/体重kg)を、ペットの体の背中の片側に皮下的に注射し、溶液B(0.1〜5mL/体重kg)の皮下注射をペットの体の背中の他方の側に行う。いくつかのケースでは、溶液Aと溶液Bとの混合溶液は、ペットの健康状態が許せば、皮下注射により直接的に投与してもよい。
(1〜3日目)同量の溶液Aと溶液Bとは、BUN値及びCRE値を定期的に測定し、ペットの外観と活動を観察することで、8〜12時間毎(すなわち、1日2〜3回)の皮下注射によって反復して投与される。(4〜10日目)ペットに、治療開始期間の薬剤が受け入れられた時、溶液Aと溶液Bとの量は、5〜10mL/体重kgへ徐々に増加させる(1日当り1〜3回)。もし、ペットが治療開始期間中(すなわち、救助のプライムタイムと呼ばれる1〜10日目)に解毒され、ペットの健康が50〜90%又はそれ以上回復すれば(個々の動物の回復率は、年齢や健康状態により異なる)、注射の量を10mL/体重kg以下に減らすことができる。もし、7〜10日後にペットがうまく回復し、活動や動きが良いと思われたら、溶液Aと溶液Bとの混合溶液を、直接的に皮下的に注射してもよい。注射を行う日数を延長すること又は用量を減らすことは、ペットの健康状態に応じて個々的に調整してもよい。
【0045】
[実施例1](イヌ)
基本情報: 血統の種類:マルタ、性別:メス、年齢:14歳、体重:4kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、不適切なステロイド治療のため急性腎不全であると診断され、その健康が急速に悪化した。
医療と方法: 溶液Aと溶液Bとを、動物の背中の各側への皮下注射により投与し、それから(3日目に始める)溶液A+B(溶液Aと溶液Bとの混合溶液)を、その用量を徐々に減らしながら皮下的に直接注射した。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表1と図1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
[実施例2](イヌ)
基本情報: 血統の種類:雑種、性別:メス、年齢:6歳、体重:18kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、不適切なステロイド治療のため急性腎不全であると診断され、その健康が急速に悪化した。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表2と図2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
[実施例3](イヌ)
基本情報: 血統の種類:ハスキー、性別:オス、年齢:5歳、体重:19.6kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、前もって他の病院で治療されたが、急性腎不全への進行で効果がなかったので、獣医師に腹膜透析、血液透析又は安楽死を求められた。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表3と図3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
[実施例4](イヌ)
基本情報: 血統の種類:ラブラドール、性別:メス、年齢:6歳、体重:31.85kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、他の病院で輸液そして皮下注射により前もって治療されたが、急性腎不全への進行で効果がなかったので、獣医師に腹膜透析、血液透析又は安楽死を求められた。
医療と方法: 溶液A+Bを最初に皮下注射し、その60日目以降からは、溶液Aのみを注射し、用量を1日当り75mLまで減らした。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表4と図4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
[実施例5](ネコ)
基本情報: 血統の種類:雑種、性別:オス、年齢:4歳、体重:4.8kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、他の病院で、輸液そして、溶液Bの皮下的注射により前もって治療されたが、慢性腎不全から急性腎不全への進行で効果がなかったので、獣医師に腹膜透析、血液透析又は安楽死を求められた。
医療と方法: 溶液Aを最初に皮下注射し、その364日目以降からは、溶液A+Bを、用量を徐々に減らしながら皮下的に注射した。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表5と図5に示す。
【0054】
【表5】
*データなし: 未測定
【0055】
[実施例6](ネコ)
基本情報: 血統の種類:ペルシャ、性別:オス、年齢:10歳、体重:6.1kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、他の病院で、輸液そして、溶液Bの皮下的注射により前もって治療されたが、慢性腎不全から急性腎不全への進行で効果がなかったので、獣医師に腹膜透析、血液透析又は安楽死を求められた。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表6と図6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
[実施例7](ネコ)
基本情報: 血統の種類:ペルシャ、性別:メス、年齢:13歳、体重:2.55kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、他の病院で前もって治療されたが、急性腎不全への進行で効果がなかったので、獣医師に腹膜透析、血液透析又は安楽死を求められた。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表7と図7に示す。
【0058】
【表7】
【0059】
[実施例8](ネコ)
基本情報: 血統の種類:雑種、性別:メス、年齢:3歳、体重:2.9kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 腎不全の動物は、前もって他の病院で治療されたが効果がなかったので、獣医師に緊急腹膜透析を求められた。
医療と方法: 用量を徐々に減らしながら、溶液A+Bの直接皮下注射。
【0060】
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表8と図8に示す。
【表8】
【0061】
[実施例9](ネコ)
基本情報: 血統の種類:雑種、性別:メス、年齢:3歳、体重:2.6kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 腎不全の動物は、前もって他の病院で腹膜透析によって治療されたが効果がなかったので、獣医師に腹膜透析、血液透析又は安楽死を求められた。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表9と図9に示す。
【0062】
【表9】
【0063】
[実施例10](ネコ)
基本情報: 血統の種類:アメリカンショートヘアー、性別:オス、年齢:4歳、体重:3.35kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: 動物は、前もって他の病院で、腹膜透析によって治療されたが、慢性腎不全から急性腎不全への進行により効果がなかった。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射の後、同じ溶液で用量を徐々に減らして皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表10と図10に示す。
【0064】
【表10】
【0065】
[実施例11](ネコ)
基本情報: 血統の種類:ヒマラヤ、性別:オス、年齢:16歳、体重:2.35kg
注射前(0日目)の動物の健康状態: この動物は、いかなる治療もされず、急性腎不全と診断され、極めて不快のようだった。
医療と方法: 溶液A+Bの直接皮下注射。
本発明の薬剤組合せによる治療の結果を、表11と図11に示す。
【0066】
【表11】
*データなし: 未測定
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の薬剤組合せは、動物の腎不全治療などに使用できる。
なお、2012年3月23日に出願された台湾特許出願101109979号の明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11