(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被係合部材の固定位置決め部、及び、前記係合部材の固定位置決め部が、それぞれ固定位置決め用突起部、及び、固定用面を有することを特徴とする請求項3に記載のかご台車。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック輸送などにおいて、かご台車が広く用いられており、近年では、保管する際の省スペース化を図るために、折畳み式のかご台車が普及している。
この折畳み式のかご台車は、通常、底板、後枠、一対の側枠、及び、四つのキャスターなどを有しており、底板及び一方の側枠が折り畳まれる構成としてある。折り畳まれたかご台車は、上方から見るとほぼL字形状となり、容易に倒れない安定性を有している。さらに、折畳み式のかご台車は、たとえば、第一のかご台車の他方の側枠と第二のかご台車の他方の側枠とがほぼ接触する状態、かつ、第一のかご台車の折り畳まれた一方の側枠と第二のかご台車の後枠とがほぼ接触する状態で保管を行うことができ、折り畳むことができないかご台車と比べると、大幅な省スペース化を図ることができる。
【0003】
また、本発明に関連する様々な技術が提案されており、たとえば、特許文献1には、保管する際などにおいて、底板及び可動側枠を、後部枠と重なるように順に折り畳む運搬用かご台車の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、前端壁、後端壁、開閉側壁、施錠装置、折曲可能壁、底壁及び車輪を備え、折り畳む際に、前端壁と後端壁が平行な状態で接近し折りたたまれる折りたたみ可能な荷物運搬用有輪パレットの技術が開示されている。
さらに、この特許文献には、折りたたんだ状態を維持するための引掛具が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、左右の側板部、内側に折り曲げ可能な背板部および扉部と、付け外し又は折り畳み可能な床板と、前記床板の左右両端部を載置して位置決めされる左右一対の台車と、前記床板を取り外し又は折り畳んで、前記背板部を内側に折り曲げ、前記左右一対の台車を中央部に引き寄せて全体を折り畳む際に、前記扉部を270°開いて前記側板部外側に係止する係止具とを有するロールボックスパレットの技術が開示されている。
さらに、この特許文献には、左右の扉部はそれぞれ施錠部材を有し、これらの施錠部材は、前記左右の扉部を閉じて相互に重ね合わせると嵌合し合うそれぞれの嵌合部と、前記施錠部材の前記重なりが外れないように前記施錠部材間をロックするロック部材とを有するロールボックスパレットの技術も開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スーパーなどに食料品を納入する各業者は、通常、自前で用意したかご台車を使用しており、自社のかご台車の数量などを管理している。また、鶏卵の輸送に用いるかご台車については、定期的に消毒が必要であることから、消毒日などをも管理している。
たとえば、納入先によっては、かご台車に食料品を積んだ状態で納品し、後日新たに納品する際、食料品が降ろされ折り畳まれたかご台車を回収する場合がある。このようにすると、スーパーの納入先の作業者は、受入れ場所から売り場までかご台車を移動させ、食料品を降ろした後、空になったかご台車をかご台車置き場に移動させ、さらに、かご台車を折り畳み、上述したように、複数のかご台車を重ねるようにして保管することができる。
すなわち、このシステムは、納品する業者にとっては、かご台車からの荷降ろし作業を回避でき、納入先においては、省スペース化などを図ることができ、両者にとって有益なシステムである。
【0008】
しかしながら、かご台車置き場のスペースに余裕がない納入先によっては、各業者のかご台車を使い回しする場合がある。すなわち、A社の空のかご台車(識別用のマークなどが付されたかご台車)が、かご台車置き場の奥側にあり、かつ、かご台車置き場のスペースに余裕がない場合には、A社の作業員は、手前のB社のかご台車を回収することができる。
ただし、B社のかご台車が、鶏卵の輸送に用いるかご台車の場合、A社の作業員が、先にB社のかご台車(鶏卵の輸送に用いる消毒済みのかご台車)を回収すると、後から回収に来たB社の作業員は、A社やC社などの消毒していないかご台車を回収しても使用できないので、回収しないでもどり、予備の消毒済みのかご台車を用いて、次回納品することとなる。
すなわち、B社にとっては、消毒済みのかご台車と消毒を必要としない通常のかご台車とを区別しないで使い回しされると、不足、あるいは、紛失した分のかご台車を補充しなければならず、経済的に大きな負担となることから、効果的な対策を講じる必要があった。
【0009】
また、上述した場合とは異なるが、たとえば、回収できるかご台車の台数が2台なのに、3台以上のかご台車を回収しようとする不心得な業者に対しては、かご台車の盗難防止対策を施すことも要望されていた。
さらに、上記の使い回しや盗難の防止対策として、市販のチェーン錠やワイヤー錠などを用いることも考えられるが、納入先の作業者が、空になったかご台車を折り畳む場合においては、市販のチェーン錠やワイヤー錠などをかけるといった面倒な作業を伴うことなく、かご台車の盗難防止対策を施すことが要望されていた。
また、盗難防止対策として、専用の施錠手段を用いる場合、容易に施錠手段をかご台車に取り付けることができ、また、かご台車が乱暴に扱われても、施錠手段がダメージを受けないことが要望されていた。
なお、上述した特許文献1〜3の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記課題を解決することはできなかった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み提案されたものであり、特殊なかご台車に対して使い回しを効果的に防止し、あるいは、かご台車の盗難を防止することによって、経済的な負担を回避できるかご台車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のかご台車は、後枠、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠、及び、前記側枠の折り畳み状態を維持する施錠手段を備えたかご台車であって、前記施錠手段は、被係合部材と係合部材を備え、前記被係合部材は、前記後枠及び前記折り畳み可能な側枠の一方に固定され、被係合部
、及び、固定位置決め部の成形された被係合部材用基部を有し、前記係合部材は、前記後枠及び前記折り畳み可能な側枠の他方に固定され、前記側枠が折り畳まれると、前記被係合部と係合する係合部
を有するフック、このフックを開閉するレバー、前記レバーと連結されて前記係合部の係合状態を解除する錠
、及び、固定位置決め部の成形された係合部材用基部を有する構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のかご台車によれば、錠と対応する鍵がなければ、側枠の折り畳み状態を解除できないので、他社の作業者が勝手にかご台車を利用するといった不具合を回避することができ、消毒を必要とする特殊なかご台車に対して使い回しを効果的に防止し、また、かご台車の盗難をも防止することができる。
また、回動可能な側枠が折り畳まれると、自動的に施錠されるので、従来と同様に折り畳むことができ、折り畳む際、余分な作業が発生するといった不具合を回避することができる。
さらに、施錠手段を容易にかご台車に取り付けることができ、また、かご台車が乱暴に扱われても、施錠手段がダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
図1において、本実施形態のかご台車1は、折り畳み可能な底板11、後枠12、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠(すなわち、本実施形態では、固定側枠13と可動側枠14)、四つのキャスター15、及び、可動側枠14の折り畳み状態を維持する施錠手段2などを備えた構成としてある。
また、後枠12、固定側枠13及び可動側枠14は、ほぼコ字形状の筒状部材、並びに、格子状に配設された棒状部材及び細長い板状部材を有している。
【0015】
かご台車1は、
図1に示す状態で使用され、使用されないときは、
図2に示すように、底板11及び可動側枠14が折り畳まれる。
すなわち、かご台車1は、底板11が、後枠12の側の端部付近を回動中心として、後枠12と重なるように折り畳まれ、次に、可動側枠14が、ヒンジ141を回動中心として、底板11と重なるように折り畳まれる。これにより、折り畳まれたかご台車1は、上方から見るとほぼL字形状となり、容易に倒れない安定性を有するとともに、上述したように、省スペース化を図ることができる。
また、後枠12と固定側枠13とは、ほぼ直角となる状態で、連結金具131によって連結されている。
【0016】
図1、3において、施錠手段2は、可動側枠14に固定された被係合部材21、及び、後枠12に固定された係合部材22を有している。被係合部材21は、被係合部211を有しており、係合部材22は、可動側枠14が折り畳まれると被係合部211と係合する係合部251(係合部251は、フック25に成形されている。(
図7参照))と、係合部251の係合状態を解除する錠23を有している。
本実施形態の被係合部材21は、被係合部211が成形された被係合部材用基部210及びカバー体200を有している。
次に、被係合部材用基部210について、図面を参照して説明する。
【0017】
図4において、被係合部材用基部210は、樹脂製のほぼ直方体形状としてあり、プレス成形によって製造される。この被係合部材用基部210は、被係合部211、カバー用係止部212、並びに、固定位置決め部としての固定位置決め用突起部213及び固定用面214が成形されている。
被係合部211は、ほぼ矩形厚板形状としてあり、被係合部材用基部210の正面(
図3においては、係合部材22側の面)に突設されている。この被係合部211は、後述するフック25の係合部251とスムースに係合するように、正面側の角部が円弧形状に面取りされ、かつ、係合部251と確実に係合するように、背面側に斜面が成形されている。また、被係合部211の周囲には、係合部251が進入できるように、凹部215が成形されている。
【0018】
カバー用係止部212は、ほぼ矩形板形状としてあり、被係合部材用基部210の上面側及び下面側の板状部216にそれぞれ突設されている。このカバー用係止部212は、後述するカバー体200のカバー用被係止部201をスムースに係止するように、背面側に斜面が成形されている。また、板状部216は、カバー用被係止部201を係止する際、内側に弾性変形し、板ばねとして機能する。
【0019】
固定位置決め用突起部213は、先端が尖ったほぼ円柱形状としてあり、被係合部材用基部210の背面に突設されている。この固定位置決め用突起部213は、可動側枠14に穿設された固定位置決め用孔142に嵌入され、被係合部材21が係合部材22と対応する位置に固定されるように、可動側枠14に対して位置決めする。
【0020】
固定用面214は、可動側枠14の筒状部材と対応する曲率半径を有する湾曲面であり、被係合部材用基部210の背面に成形されている。この固定用面214は、可動側枠14の筒状部材と面接触し、被係合部材用基部210を可動側枠14に取り付ける際の強度を向上させることができる。
なお、被係合部材用基部210などは、材料を低減するために、適宜、凹部が成形されている。
また、本実施形態では、固定位置決め部として、固定位置決め用突起部213及び固定用面214を成形しているが、固定位置決め部の構造は、これらに限定されるものではない。
次に、カバー体200について、図面を参照して説明する。
【0021】
図5において、カバー体200は、可動側枠14の筒状部材を覆う形状としてあり、本実施形態では、正面方向から見るとほぼU字形状であり、対向する一対の平板部202、及び、これら平板部202をつなぐ湾曲部203を有している。このカバー体200は、樹脂製であり、プレス成形によって製造される。
各平板部202の先端付近には、被係合部材用基部210のカバー用係止部212に係止されるカバー用被係止部201が突設されている。このカバー用被係止部201は、スムースに係止されるように、先端側に斜面が成形されている。
また、湾曲部203は、可動側枠14の筒状部材と対応する曲率半径を有する湾曲面を有しており、可動側枠14の筒状部材と面接触し、カバー体200を可動側枠14に取り付ける際の強度を向上させることができる。
【0022】
上記係合部材22は、
図3に示すように、係合部材用基部220及びカバー体200を有している。この係合部材用基部220は、後述するように、錠23、レバー24、フック25及び付勢手段26などが取り付けられる。なお、係合部材22のカバー体200は、被係合部材21のカバー体200とほぼ同様な構成としてある(すなわち、
図3のB−B断面図については、
図5(a)参照)。
次に、係合部材用基部220について、図面を参照して説明する。
【0023】
図6において、係合部材用基部220は、樹脂製のほぼ直方体形状としてあり、プレス成形によって製造される。この係合部材用基部220は、係合部251を有するフック25、このフック25を開閉するレバー24、及び、レバー24と連結される錠23などが取り付けられ(
図3参照)、かつ、カバー用係止部222、並びに、固定位置決め部としての固定位置決め用突起部223及び固定用面224などが成形されている。
係合部材用基部220は、左側面に錠用孔221が成形され、錠用孔221の右側に順にフック収納スペース225及び付勢手段収納スペース226が成形されている。この錠用孔221に錠23が取り付けられ、フック収納スペース225にレバー24及びフック25などが取り付けられ、付勢手段収納スペース226に付勢手段26が取り付けられる。
【0024】
また、係合部材用基部220は、カバー用係止部222、固定位置決め用突起部223、及び、固定用面224などが成形されている。これらは、被係合部材用基部210のカバー用係止部212、固定位置決め用突起部213、及び、固定用面214とほぼ同様な構造としてあるので、詳細な説明を省略する。
次に、フック25について、図面を参照して説明する。
【0025】
図7において、フック25は、平面方向から見るとほぼU字形状であり、対向する一対の平板部252、及び、これら平板部252を連結する連結部253を有している。このフック25は、樹脂製であり、プレス成形によって製造される。
各平板部252の先端付近には、被係合部材21の被係合部211と係合する係合部251が突設されている。この係合部251は、被係合部211とスムースに係合するように、先端側に斜面が成形され、かつ、被係合部211と確実に係合するように、後端側に斜面が成形されている。また、連結部253は、後枠12の筒状部材と対応する凹部254が成形されている。
【0026】
このフック25は、係合部材用基部220の背面側からフック収納スペース225に挿入され、カバー体200によって係合部材用基部220が後枠12に固定されると、連結部253が後枠12と当接し、係合部材用基部220に固定される。
次に、レバー24について、図面を参照して説明する。
【0027】
図8において、レバー24は、平面方向から見ると長円形状のほぼ有底筒形状であり、底部に錠23と連結するためのほぼ矩形状の孔241が成形されている。このレバー24は、樹脂製であり、プレス成形によって製造される。
また、孔241には、錠23の先端が嵌入され、レバー24は、ねじ234によって、錠23に固定される(
図3参照)。なお、レバー24が取り付けられた錠23は、係合部材用基部220の錠用孔221に挿入され、スペーサ232及び六角ナット233によって、係合部材用基部220に取り付けられる。これにより、レバー24は、フック25の一対の平板部252の間に、回動可能に収められている(
図6(d)参照)。
【0028】
ここで、係合部材22は、
図3に示す開方向に被係合部材21を付勢する付勢手段26を有していてもよい。
次に、付勢手段26について、図面を参照して説明する。
図9において、付勢手段26は、樹脂製のプッシュレバー261及び金属製の圧縮ばね262を有している。
プッシュレバー261は、平面方向から見るとほぼE字形状であり、対向する一対の平板部264、これら平板部264を連結する連結部263、及び、連結部263のほぼ中央に突設された棒状部266を有している。このプッシュレバー261は、樹脂製であり、プレス成形によって製造される。各平板部264の先端付近には、係合部材用基部220の孔(
図6(e)参照)と係合する係合部265が突設されている。この係合部265は、係合部材用基部220の孔とスムースに係合するように、先端側に斜面が成形されている。また、圧縮ばね262は、棒状部266に取り付けられる。
【0029】
この付勢手段26は、正面側から係合部材用基部220の付勢手段収納スペース226に挿入され、係合部265が係合部材用基部220の孔に係止されると、プッシュレバー261が往復移動可能に係合部材用基部220に取り付けられる。そして、付勢手段26は、可動側枠14が折り畳まれると、係合した被係合部材21を開方向に付勢する。
このようにすると、鍵231を回し、係合を解除すると、被係合部材21が付勢手段26に押されて、自動的に係合部材22から離れるので、作業性などを向上させることができる。
【0030】
次に、上記施錠手段2の取り付け方法について説明する。
かご台車1は、通常、メーカによって施錠手段2が後枠12及び可動側枠14に固定されるが、ユーザによっては、既に所有しているかご台車に、施錠手段2を取り付ける場合がある。
このような場合、可動側枠14が折り畳まれた際、取り付けられる被係合部材21及び係合部材22が対向するように、まず、後枠12に固定位置決め用孔121が穿設され、また、可動側枠14に固定位置決め用孔142が穿設される。
【0031】
次に、固定位置決め用孔121に係合部材用基部220の固定位置決め用突起部223が嵌入され、この係合部材用基部220及び後枠12を覆うように、カバー体200が取り付けられる。この際、係合部材用基部220のカバー用係止部222がカバー体200のカバー用被係止部201を係止することによって、係合部材22は、後枠12に固定される。
また、固定位置決め用孔142に被係合部材用基部210の固定位置決め用突起部213が嵌入され、この被係合部材用基部210及び可動側枠14を覆うように、カバー体200が取り付けられる。この際、被係合部材用基部210のカバー用係止部212がカバー体200のカバー用被係止部201を係止することによって、被係合部材21は、可動側枠14に固定される。
このように、ユーザは、施錠手段2を後枠12及び可動側枠14に容易に取り付けることができる。したがって、施錠手段2は、かご台車用の施錠手段の発明としても有益である。
【0032】
ここで、好ましくは、被係合部材21は、可動側枠14の中央又は回動中心と反対側の領域に固定されるとよい。なお、中央又は回動中心と反対側の領域とは、
図1に示すように、可動側枠14の幅をWとしたとき、正面側から3W/5までの領域をいう。
このようにすると、折り畳んだ可動側枠14を無理やり開けようとしても、てこの原理を利用した外力が、施錠手段2に作用するといった不具合を回避することができ、耐久性などを向上させることができる。
【0033】
次に、上記施錠手段2の動作について、図面を参照して説明する。
可動側枠14が折り畳まれていない状態にあるかご台車1は、
図10(a)に示すように、レバー24の短手方向の側面が、フック25の平板部252とほぼ接触している。
そして、可動側枠14を折り畳むために回動させると、被係合部材21が係合部材22に接近し(
図10(a)参照)、さらに、回動させると、
図10(b)に示すように、被係合部211が係合部251と接触し、一対の平板部252が弾性変形により広がり、被係合部211がさらに進入すると、一対の平板部252が広がった状態から元に戻り、係合部251が被係合部211と係合する。この係合により、施錠手段2は、可動側枠14が開方向に回動しないようにロックする。
すなわち、可動側枠14が折り畳まれ、係合部251が被係合部211と係合すると、後述するように、鍵231を用いてこの係合状態を解除しないかぎり、折り畳まれた可動側枠14を開く方向に回動させることはできない。
【0034】
次に、上記の係合状態を解除する際、作業者が、錠23に鍵231を挿入し、鍵231を約90°回すと、
図10(c)に示すように、レバー24は、約90°回動する。これにより、レバー24は、長手方向の側面が、フック25の平板部252と当接し、一対の平板部252は、弾性変形により広がり、係合部251と被係合部211との係合状態が解除される。
【0035】
ここで、施錠手段2は、付勢手段26を有しているので、係合状態が解除されると、被係合部材21を開方向に押し出し、被係合部211が係合部251から離れる。
すなわち、作業者は、可動側枠14の折り畳まれた状態を解除する際、錠23に鍵231を挿入し、約90°回すと、
図10(c)に示すように、レバー24は、約90°回動する。そして、一対の平板部252が広がり、付勢手段26が被係合部材21を押すことにより、被係合部211は、自動的に開方向に移動し、被係合部211が係合部251から抜け出る。この状態で、作業者は、自由に可動側枠14を開くことができる。続いて、作業者は、錠23に鍵を挿入し回した動作を戻ることによって、錠23から鍵を抜き取る。
【0036】
次に、上記構成のかご台車1の使用方法について説明する。
B社の作業者は、
図1に示す使用可能な状態のかご台車1に、たとえば、鶏卵を積み込み、スーパーなどの納入先に搬送する。このとき、鶏卵はかご台車1に積み込まれた状態にあり、納入先では、このかご台車1を店内に移動し、客は、かご台車1に積まれた鶏卵をかごに入れる。なお、B社は、かご台車1に対して定期的に消毒処理を施している。
【0037】
鶏卵が売り切れそうになると、納入先では、次の鶏卵が積み込まれたかご台車1を店内に移動し、空になったかご台車1をかご台車置き場に移動させる。
次に、納入先の作業者は、かご台車1の底板11を後枠12と重なるように折り畳み、続いて、可動側枠14を底板11と重なるように折り畳み(
図2参照)、他社のかご台車とともに保管する。
【0038】
ここで、かご台車1は、可動側枠14が折り畳まれる際、上述したように、被係合部材21が閉方向に移動し、続いて、被係合部211が係合部251と接触し、一対の平板部252が広がり、被係合部211がさらに移動すると、一対の平板部252が広がった状態から元に戻り、係合部251が被係合部211と係合する(
図10(b)参照)。これにより、かご台車1は、可動側枠14が折り畳まれた状態が維持され、いわゆる鍵をかけた状態となる。また、納入先の作業者は、他社のかご台車と全く同じ動作で、底板11と可動側枠14を折り畳むことができるので、かご台車1を採用することによって、納入先の作業者に余計な作業が発生するといった不具合を回避することができる。
なお、折り畳まれた他社のかご台車及びかご台車1は、上方から見るとほぼL字形状となり、重ねた状態でかご台車置き場に保管される。
【0039】
次に、A社の作業者は、かご台車を回収する際、仮に、B社のかご台車1がかご台車置き場の先頭にあったとしても、かご台車1に施錠手段2が設けられていることを知っているので、かご台車1をわきに寄せて、次のかご台車を回収する。すなわち、B社にとっては、消毒処理を必要とするかご台車1を、通常のかご台車の使い回しのシステムから効果的に保護することができ、不足、あるいは、紛失した分のかご台車を補充しなくてもすむので、経済的に大きな負担を回避することができる。
【0040】
次に、B社の作業者は、かご台車1を回収する際、かご台車1がかご台車置き場の先頭にある場合、かご台車1を容易に回収でき、仮に、かご台車1がかご台車置き場の先頭にない場合には、他社のかご台車をわきに寄せて、かご台車1を回収する。
そして、B社の作業者は、回収してきたかご台車1に鶏卵を積み込む際、上述したように、施錠手段2の錠23に鍵231を差し込み、約90°回転させる。これにより、レバー24が約90°回動し、一対の平板部252が広がり、付勢手段26が被係合部材21を押すことにより、被係合部211は、開方向に移動し、被係合部211が係合部251から抜け出る(
図10(c)参照)。すなわち、ロックが解除された状態となり、作業者は、可動側枠14及び底板11を開いて、かご台車1を使用可能な状態とすることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のかご台車1によれば、錠23と対応する鍵231がなければ、可動側枠14の折り畳み状態を解除できないので、他社の作業者が勝手にかご台車1を利用するといった不具合を回避することができる。すなわち、消毒を必要とする特殊なかご台車1に対して使い回しを効果的に防止し、また、かご台車1の盗難をも防止することができる。
また、かご台車1は、回動可能な可動側枠14が折り畳まれると、自動的に施錠されるので、従来と同様に折り畳むことができ、折り畳む際、余分な作業が発生するといった不具合を回避することができる。
さらに、施錠手段2を容易に後枠12及び可動側枠14に取り付けることができ、また、かご台車1が乱暴に扱われても、てこの原理を利用した外力が、施錠手段2に作用するといった不具合を回避することができ、施錠手段2がダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
【0042】
以上、本発明のかご台車について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るかご台車は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、折り畳み可能な底板11を使用しているが、これに限定されるものではなく、取り外し可能な底板を使用してもよい。
また、少なくとも一方が折り畳み可能な一対の側枠として、固定側枠13と可動側枠14を使用しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、固定側枠13の代わりに、折り畳み可能な側枠を使用してもよい。
【0043】
さらに、上述したかご台車1は、鶏卵の輸送に用いられるために消毒を必要とする特殊なかご台車としてあるが、通常のかご台車の使い回しのシステムから効果的に保護するための要件は、消毒に限定されるものではなく、様々な要件であってもよい。