【実施例】
【0020】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本明細書中、軸筒軸方向とは、軸筒の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記部の先端方向を意味する。また、「後」とは、軸筒軸方向の前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。
【0021】
この複数出没式筆記具は、
図1に示すように、軸筒10と、該軸筒10内に具備された複数種類のスライド筆記芯21,22と、スライド筆記芯21(又は22)の後端側のスライド駒21a(又は22a)に係合するスライドガイド体30と、複数のスライド筆記芯21,22の軸筒周方向の間隔を保持するデバイダー40と、複数のスライド筆記芯21,22を後方へ付勢する単数の圧縮コイルバネ50と、該圧縮コイルバネ50の後端を環状に受ける受け部材60と、スライド駒21a(又は22a)の係止状態を解除する解除部材70と、解除部材70を後方へ付勢する付勢部材80と、初期位置にあるスライド駒21a,22aに対し離脱可能に嵌合する嵌脱部材90(緩嵌合手段)とを具備している。
【0022】
なお、図示例では、本発明の基本構造を明確に示すために、スライド筆記芯21とスライド筆記芯22をそれぞれ一本のみ図示しているが、本実施の形態の特に好ましい実施例では、スライド筆記芯21(ボールペン用)を5本、スライド筆記芯22(シャープペンシル用)を一本としている。
【0023】
軸筒10は、図示例によれば、前側軸筒11に、後側軸筒12を螺合してなる。
この軸筒10の他例としては、一本の筒体からなる態様や、筒体の先端側に先細り状の先口を接続した態様、3本以上の筒体からなる態様等とすることが可能である。
【0024】
前側軸筒11は、前端側を先細り状に形成した長尺筒状の部材であり、その前端には、スライド筆記芯21,22の筆記部を出没させるための開口部11aを有する。
この開口部11aは、ボールペン用筆記芯21b前端の筆記部(ボールペンチップ)を挿通可能であって、且つ、シャープペンシル用筆記芯22b前端の段付き状の筆記部を突出状態で係止するように、その内径が適宜に設定されている。
【0025】
後側軸筒12は、その前端側を前側軸筒11の後端側に螺合接続している。この後側軸筒12の後端側には、その周壁を径方向へ貫通する複数の窓部12a,12bと、後端部を後方へ貫通する後端開口部12cとが設けられる。
複数の窓部12a,12bは、軸筒周方向に所定間隔を置いて配置される。これらのうち、一方(
図1によれば下側)の窓部12aは、スライド駒21a(ボールペン用)を露出させるためのものであり、周方向に間隔を置いて複数(例えば5つ)設けられる。各窓部12aは、スライド駒21a後端側から軸筒径外方向へ突出する操作部21a1を進退可能にするように、軸筒軸方向へ長尺状に形成される。
また、もう一方(
図1によれば上側)の窓部12bは、スライド駒22a(シャープペンシル用)を露出させるためのものであり、例えば、単数設けられる。この窓部12bは、スライド駒22a後端側から軸筒径外方向へ突出するクリップ支持部22a1を進退可能にするように、軸筒軸方向へ長尺状に形成される。
また、後端開口部12cは、スライドガイド体30の後端部を後方へ突出するように設けられる。
【0026】
スライド筆記芯21は、スライド駒21aの前端側にボールペン用筆記芯21bを着脱可能に接続してなる。このスライド筆記芯21は、図示例によれば複数(例えば5本)設けられ、それぞれ色違いのボールペン用筆記芯21bを接続している。
【0027】
また、スライド筆記芯22は、スライド駒22aの前端側にシャープペンシル用筆記芯22bを着脱可能に接続してなる。このスライド筆記芯22は、図示例によれば単数設けられる。なお、
図1中、符号22cは、スライド駒22aとシャープペンシル用筆記芯22bを接続するためのスペーサであり、シャープペンシル用筆記芯22b又はスライド駒22a前端側を図示よりも長くすることで省くことも可能である。
【0028】
スライド駒21a(ボールペン用)は、その後端側に、軸筒径外方向へ突出する操作部21a1を有する。また、このスライド駒21aにおける軸筒径内方向側(
図2によれば上側)の部分には、軸筒中心側へ突出する係合突起21a2と、該係合突起21a2よりも後側に位置する傾斜面21a3とを有する。
また、このスライド駒21aの前端側には、後述する受け部材60に当接可能なように軸筒径外方向へ突出する当接突起21a4が設けられる。
また、
図2中、符号21a5は、スライドガイド体30に係合してスライド駒21aの軸筒径外方向への移動を規制する突起である。
【0029】
もう一方のスライド駒22a(シャープペンシル用)は、その後端側に、軸筒径外方向へ突出するクリップ支持部22a1を有し、このクリップ支持部22a1には、付勢部材(例えば、コイルスプリングや板バネ等)を介して開閉操作機能付きクリップ24が装着されている(
図1参照)。
また、このスライド駒22aにおける軸筒径内方向側(
図2によれば下側)の部分には、軸筒中心側へ突出する係合突起22a2と、該係合突起22a2よりも後側に位置する傾斜面22a3とを有する。
また、このスライド駒22aの前端側には、後述する受け部材60に当接可能なように軸筒径外方向へ突出する当接突起22a4が設けられる。
また、
図2中、符号22a5は、スライドガイド体30に係合してスライド駒22aの軸筒径外方向への移動を規制する突起である。
【0030】
係合突起21a2,22a2の各々は、前後に傾斜面を有する山形状の突起であり、後述する解除部材70に対し後方から当接して、該解除部材70を押動したり後方へ乗り越えさせたりする。
【0031】
傾斜面21a3,傾斜面22a3の各々は、スライド駒21a(又は22a)の軸筒径内方向側の面に形成された凹部の前端面である。この傾斜面21a3(又は22a3)は、後述する解除部材70の被係合突起72によって後方から摺接されるように、前方斜め軸筒径内方向へ傾斜している。
【0032】
また、ボールペン用筆記芯21bは、インク収容管の前端にボールペンチップを接続してなり、インク収容管内のインクをボールペンチップ前端から吐出する周知構造のものである。
シャープペンシル用筆記芯22bは、芯タンクの前端側にチャック、クラッチリング、付勢部材等の鉛芯繰出し機構を接続してなり、その前端側の段部を軸筒10前端の開口部11aに係止した状態で後端側が進退されることで、芯タンク内の鉛芯を繰出す周知構造のものである。
【0033】
また、スライドガイド体30は、軸筒10内の後端側に進退可能に収納されるとともに、スライド駒21a,22aをそれぞれ前進位置(詳細には筆記部を突出させた位置)で係脱可能に係止する略筒状の部材であり、例えば、特開2012−200899に開示される押子ガイド体(50)の基本構造を用いればよい。
このスライドガイド体30は、複数のスライド駒21a,22aの各々の進退を案内するガイド部を周方向に間隔を置いて複数有し、各ガイド部の前端側に、前進位置になったスライド駒21a(又は22a)を軸筒径内方向へ沈み込ませて係止する段状の被係止部31(係脱手段)を有する。
そして、スライドガイド体30の軸筒10後端から突出する部分には、消しゴムやキャップ等が着脱可能に装着される。
【0034】
また、デバイダー40は、複数のスライド筆記芯21,22を周方向に所定間隔に保持する筆記芯保持部41と、該筆記芯保持部41の軸筒中心側で解除部材70を進退可能に保持する解除部材保持部42とを一体に有する。
【0035】
筆記芯保持部41は、略円筒状を呈し、ボールペン用筆記芯21b及びシャープペンシル用筆記芯22bをそれぞれ挿通可能な軸方向の孔又は溝を、周壁又は内周面に周方向へ所定間隔置いて配設している。
この筆記芯保持部41の後端面は、後述する圧縮コイルバネ50の前端を受ける受部として機能する。
【0036】
解除部材保持部42は、軸筒中心側に位置するように固定された略筒状の部材であり、後述する解除部材70を、遊びを有する状態で後方側から挿入している。
この解除部材保持部42の内周面には、解除部材70の進退量を規制する規制係合部42aが設けられる。この規制係合部42aは、図示例によれば、解除部材70に対し凹凸状に嵌り合う突起であるが、他例としては、その凹凸関係を逆にすることも可能である。
【0037】
圧縮コイルバネ50は、軸筒10内で前方へ収縮するように該軸筒10の内周面に沿って単数設けられ、後述する付勢部材80よりも大径のコイルバネである。
この圧縮コイルバネ50の前端座部は、軸筒10内の進退不能部位(図示例によればデバイダー40の後端部)に受けられている。また、圧縮コイルバネ50の後端座部には、その後方側から、受け部材60を介して複数のスライド筆記芯21,22の一部分(詳細には、スライド駒21a,22a)が当接している。
すなわち、複数のスライド筆記芯21,22は、一つの圧縮コイルバネ50の内周に沿って、周方向へ所定間隔を置いて配設され、一つの圧縮コイルバネ50の後端座部に対し、受け部材60を介して後方側から間接的に当接している。
【0038】
受け部材60は、圧縮コイルバネ50の後端座部を受ける環状の部材であり、詳細に説明すれば、圧縮コイルバネ50の後端側に挿入される挿入部61と、圧縮コイルバネ50の後端座部に当接する受け部62とから一体に形成される。
挿入部61は、前方へ突出する柱状部材を、周方向に間隔を置いて複数配設してなり、周方向に隣り合う前記柱状部材の間に、ボールペン用筆記芯21b又はシャープペンシル用筆記芯22bを挿通させ、複数の前記柱状部材の外周部を、圧縮コイルバネ50の内周部に近接させている。
受け部62は、図示例によれば、略筒状に形成され、その内周面は、各筆記芯21b(又は22b)の外周面を覆うように、例えば複数の溝状に形成される。
【0039】
解除部材70は、軸筒10内で所定量進退可能且つ径方向へ微動可能な長尺軸状の部材である。
この解除部材70の前端側には、解除部材保持部42の規制係合部42aに係合する被係合部71が設けられる。この被係合部71は、図示例によれば、凸状の規制係合部42aに嵌り合って該規制係合部42aを所定進退させる環状凹部である。前述したように、この被係合部71を凸部とし、前記規制係合部42aを凹部とすることも可能である。
【0040】
また、解除部材70の後端側には、スライド駒21a,22aの係合突起21a2,22a2及び傾斜面21a3,22a3に係合可能な被係合突起72が設けられる。この被係合突起72は、図示例によれば、前方へ向かって縮径する環状傾斜面を有する環状の突起である。
また、解除部材70の前後方向において、被係合部71と被係合突起72の間には、後述する付勢部材80を装着する円柱状の付勢部材装着部74と、付勢部材80の後端を受けるように環状に突出するばね受部73とが設けられる。
【0041】
そして、前記構成の解除部材70は、付勢部材80を装着した状態で、該付勢部材80よりも前側の部分が、デバイダー40の解除部材保持部42内へ遊挿される。
【0042】
付勢部材80は、圧縮コイルバネ50よりも小径の圧縮コイルバネであり、解除部材70の付勢部材装着部74に環状に装着され、解除部材保持部42後端と解除部材70のばね受部73との間に挟まれるようにして、解除部材70を後方へ弾発している。
【0043】
また、嵌脱部材90は、初期位置にあるスライド駒21a,22aに対し離脱可能に嵌合する緩嵌合手段を構成している。
詳細に説明すれば、この嵌脱部材90は、軸筒径方向へ弾性変形可能な合成樹脂材料から筒状に形成され、スライドガイド体30内の後端側に同芯状に固定されている。そして、この嵌脱部材90の外周面は、スライド駒21a,22aに対し軸筒中心側から押し付けられている。
より詳細に説明すれば、嵌脱部材90は、エラストマー樹脂やゴム等の弾性材料から略筒状に形成され、その外周面に、断面山形状の環状突起91を有し、この環状突起91をスライド駒21a,22aに対し軸筒中心側から押し付けるようにして、スライドガイド体30の後端側に嵌合固定されている。
【0044】
上記構成の嵌脱部材90によれば、スライド駒21a,22aは、それぞれ、突起21a5,22a5をスライドガイド体30に当接させて軸筒径外方向への移動を規制された状態で、軸筒中心側から嵌脱部材90によって緩く押圧される。
このため、一つのスライド駒21a(又は22a)が圧縮コイルバネ50を収縮させて前方へ移動するとともに、他のスライド駒22a(又は21a)が圧縮コイルバネ50から後方へ離れている状態において、前記他のスライド駒22a(又は21a)は、嵌脱部材90との緩嵌合によって容易に前方へ移動することはないが、指等によって前方へ押された際には、嵌脱部材90との緩嵌合状態から脱して、前方へ移動する。
【0045】
次に、上記構成の複数出没式筆記具について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。なお、
図3〜6中では、スライド駒21aとスライド駒22aと解除部材70との3部材のうち、前の状態から動いた部材を、わかり易いようにハッチングしている。
先ず、
図3(I)に示す初期状態では、全てのスライド駒21a,22aが、スライドガイド体30内の最後端側に位置し、これらスライド駒21a,22aの係合突起21a2,22a2に対し、前方側から、付勢部材80により付勢された解除部材70の被係合突起72が当接している。また、スライド駒21a,22aの各々は、その後端部側が軸筒径内方向側から嵌脱部材90によって押圧されている。したがって、この初期状態では、複数のスライド駒21a,22aが、振動や衝撃等で容易に移動することのないように保持される。
この初期状態では、全てのスライド筆記芯21,22の筆記部が、軸筒10内に没入している。
【0046】
次に、
図3(II)に示すように、開閉操作機能付きクリップ24に指等が掛けられ、開閉操作機能付きクリップ24と一体のスライド駒22aが前方へ押動されると、該スライド駒22aは、受け部材60と共に圧縮コイルバネ50の付勢力に抗して前進し、該スライド駒22aの係合突起22a2が解除部材70後端側の被係合突起72に当接し、解除部材70を前進させる。
この前進の際、他方のスライド駒21aは、嵌脱部材90によって径外方向へ押圧された状態のまま、受け部材60の後端から相対的に後方へ離れるため、前進することはない。
【0047】
そして、スライド駒22aがさらに前進すると、該スライド駒22aと共に前進する解除部材70が規制係合部42aに係止されて前進不能になり、スライド駒22aの係合突起22a2は、
図4(III)に示すように、解除部材70の被係合突起72を前方へ乗り越える。そして、スライド駒22aは、軸筒10内へ沈み込むようにして、スライドガイド体30の被係止部31(
図1参照)に係止され、スライド筆記芯22が筆記部を突出させた筆記可能状態に保持される。
一方、他方のスライド駒22aは、付勢部材80の付勢力により後退した解除部材70に当接されて、後退位置に保持される。
【0048】
また、先に前進したスライド駒22aが被係止部31に係止された前記状態で、
図4(IV)に示すように、他方のスライド駒21aが指等によって押動され前進した場合には、このスライド駒21aの前進に伴って該スライド駒21aに当接している解除部材70も前進する。
【0049】
そして、前進する解除部材70は、その被係合突起72を、先に前進したスライド駒22aの傾斜面22a3に摺接させることで、先に前進したスライド駒22aを、沈み込み方向に対する逆方向(図示の上方向)へ押し上げて被係止部31から外す。
図5(V)は、スライド駒22aが被係止部31から外れた直後の状態である。
【0050】
前記のようにして係止状態から解除されたスライド駒22aは、圧縮コイルバネ50の付勢力によって後方へ移動し、先ず、
図5(VI)に示すように、係合突起22a2を、解除部材70の被係合突起72に当接させる。したがって、解除部材70は、その後端側が軸筒径方向において一方のスライド駒22aと逆側へ揺動するとともに、他方のスライド駒21aの係合突起21a2との摺接により若干だけ前進する(
図6(VII)参照)。なお、スライド駒22aの前記後方への移動により、スライド筆記芯22の筆記部は没入する。
【0051】
次に、
図6(VII)(VIII)に示すように、一方のスライド駒22aは、前記のようにして撓んだ解除部材70の被係合突起72を乗り越えて更に後退する。
図6(VII)は、一方のスライド駒22aの係合突起22a2が被係合突起72を乗り越える直前の状態を示し、
図6(VIII)は、同係合突起22a2が被係合突起72を乗り越えた直後の状態を示す。
図6(VIII)では、解除部材70の後端側の被係合突起72が係合突起22a2によって軸筒径方向へ押されることで、解除部材70の後端側がスライド駒21a側(図示の下方)へ若干撓んでいる。
この後、スライド駒22aから指等が離れると、全てのスライド駒21a,22aは、圧縮コイルバネ50により後方へ付勢されて、
図3(I)に示す初期位置に戻る。
【0052】
上記した動作は、複数のスライド筆記芯21,22のうち、何れが選択された場合も、略同様にして行われることになる。
【0053】
よって、上記構成の複数出没式筆記具によれば、複数のスライド筆記芯21,22のうち、何れのスライド筆記芯21(又は22)が前進した場合でも、このスライド筆記芯21(又は22)を、一つの圧縮コイルバネ50により、後方へ付勢するようにしているため、スライド筆記芯をそれぞれ複数のコイルバネにより付勢するようにした従来技術に比べ、コイルバネの設置スペースや干渉防止スペース等を節減でき、ひいては、軸筒径を縮小することが可能になる。
【0054】
そして、前記効果はスライド筆記芯の本数が増えるのにしたがって顕著になり、例えば、本願発明者らは、軸筒10内に計6本のスライド筆記芯21,22を具備した6機能出没式筆記具を制作し、軸筒10の外径を約14mmにすることができた。
【0055】
なお、上記実施例において、スライド筆記芯22(シャープペンシル用)を突出させて、その前端から鉛芯を繰出す操作は、従来技術と同様に、開閉操作機能付きクリップ24又はスライドガイド体30の後端露出部(図示例によればキャップ部分)に対するノック操作により可能である。
【0056】
また、上記実施例によれば、圧縮コイルバネ50の内周側に複数のスライド筆記芯21,22を配設したが、他例としては、圧縮コイルバネ50の外周側に複数のスライド筆記芯21,22を配設した構造とすることも可能である。
【0057】
また、上記実施例によれば、スライド筆記芯の具体的態様として、ボールペン用筆記芯21bを用いたスライド筆記芯21と、シャープペンシル用筆記芯22bを用いたスライド筆記芯22とを例示したが、このスライド筆記芯の他例としては、電子入力ペンを用いたものも可能である。さらに、軸筒10の軸径を適宜に太くすれば、サインペンやマーキングペン、修正ペンの筆記芯を用いて前記スライド筆記芯を構成することも可能である。
【0058】
また、上記実施例によれば、筆記部を突出させた際のスライド筆記芯21,22を係止する係脱手段(被係止部31等)を、軸筒10内で進退可能なスライドガイド体30に具備したが、他例としては、スライドガイド体30を省くとともに前記係脱手段(被係止部31等)を、軸筒10の周壁に設けたり、図示例以外の係脱構造を用いたりすることも可能である。なお、この他例の場合、嵌脱部材90は、軸筒10内の後端側に固定する。
【0059】
また、上記実施例によれば、筆記部を突出させた際のスライド筆記芯21,22を係止する係脱手段(被係止部31等)を備えたが、他例としては、筆記部を突出させた際のスライド筆記芯21,22を指の押圧力により保持し、指を離した際にはスライド筆記芯21,22が後退して筆記部を没入する構造とすることも可能である。
【0060】
また、上記実施例によれば、筆記芯保持部41と解除部材保持部42とをデバイダー40として一体に構成したが、他例としては、筆記芯保持部41と解除部材保持部42を、それぞれ、軸筒内の進退不能部位に固定された別体の部材とすることも可能である。
【0061】
また、上記実施例によれば、軸筒10とは別体の筆記芯保持部41及び解除部材保持部42を軸筒10内周面に嵌合固定しているが、他例としては、これら筆記芯保持部41と解除部材保持部42のうちの一方又は両方を、軸筒10に一体加工することも可能である。
【0062】
また、上記実施例によれば、圧縮コイルバネ50の後方向きの弾発力を、受け部材60を介してスライド筆記芯21,22に伝達するようにしたが、他例としては、受け部材60を省いて、圧縮コイルバネ50の後方向きの弾発力をスライド筆記芯21,22に直接伝達するようにしてもよい。すなわち、この他例では、圧縮コイルバネ50に対しその後方側からスライド筆記芯21,22を直接当接させればよい。
【0063】
また、上記実施例によれば、圧縮コイルバネ50の後端側をスライド駒21a,22aに当接させたが、他例としては、圧縮コイルバネ50の後端側をボールペン用筆記芯21b及びシャープペンシル用筆記芯22bに当接させることも可能である。この場合、具体的には、ボールペン用筆記芯21b及びシャープペンシル用筆記芯22bの外周面に突起を設け、該突起に対し、圧縮コイルバネ50の後端を直接的又は間接的に当接させればよい。
【0064】
また、上記実施例によれば、上記付勢部材80に圧縮コイルバネを用いたが、この付勢部材80の他例としては、解除部材70を後方側から引っ張るバネとしてもよい。さらに、付勢部材80の他例としては、ゴムや板バネ等、コイルバネ以外の弾性体を用いることも可能である。
【0065】
また、上記実施例の嵌脱部材90(緩嵌合手段)は、弾性変形し易い好ましい態様として、弾性材料から筒状に形成したが、他例としては、軸状にした態様や、弾性変形可能な硬質材料から形成した態様等としてもよい。
【0066】
さらに、前記緩嵌合手段の他例としては、嵌脱部材90を硬質材料から形成するとともに、スライド駒21a,22aに、嵌脱部材90の外周面に対し弾性的に接触する弾性部分(例えば、エラストマー樹脂やゴム等)を一体成型した態様とすることも可能である。
【0067】
さらに、前記緩嵌合手段の他例としては、各スライド駒21a(又は22a)の少なくとも一部分を弾性変形可能に構成し、この弾性変形可能な部分を、スライドガイド体30又は軸筒10に対し嵌脱可能に嵌り合うようにした態様とすることも可能である。この態様では、上記構成の嵌脱部材90を省くことができる。なお、前記弾性変形可能な部分は、各スライド駒21a(又は22a)自体を弾性変形可能に形成してもよいし、各スライド駒21a(又は22a)の一部に弾性部分(例えば、エラストマー樹脂やゴム等)を一体成型してもよい。