特許第5735645号(P5735645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735645
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】抗菌活性を有するペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 1/18 20060101AFI20150528BHJP
   A23K 1/16 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   A23K1/18 A
   A23K1/16 301F
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-523304(P2013-523304)
(86)(22)【出願日】2011年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-534139(P2013-534139A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】US2011046422
(87)【国際公開番号】WO2012018913
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年1月30日
(31)【優先権主張番号】61/370,328
(32)【優先日】2010年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ジェイ・モンテロンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・ケイ・ポープ
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ビー・マルティネス
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/078324(WO,A1)
【文献】 特開平09−094055(JP,A)
【文献】 特開平06−133741(JP,A)
【文献】 特表2009−543545(JP,A)
【文献】 特開平11−318344(JP,A)
【文献】 特開昭56−042550(JP,A)
【文献】 特表2012−513767(JP,A)
【文献】 特表2006−526594(JP,A)
【文献】 特表2002−524062(JP,A)
【文献】 特表2003−517824(JP,A)
【文献】 特表2001−500364(JP,A)
【文献】 特開平08−040792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 1/00 − 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物に抗菌効果を付与するための有効量の原料を含むペットフード組成物であって、
原料が腐敗微生物に対して活性を有し、組成物中に0.1重量%から3重量%の量であり、かつ組成物は乾燥キャットフードまたは乾燥ドッグフードであり、かつ原料が乳酸であり、
ここで、該組成物は5.5未満のpHを有する、ペットフード組成物。
【請求項2】
組成物が0.13%から3%の乳酸を含み、組成物のpHが4から5である、請求項に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
以下の工程:
a.キブル生地を形成する、湿潤または乾燥原料を上昇温度にて混合することによるプレコンディショニング;
b.キブル生地の高温高圧での押出し;
c.押出しキブルの乾燥;および
d.局所用液および/または乾燥原料での乾燥したブルのエンロービング;
を含むペットフード組成物の製造方法であって、抗菌効果を組成物に付与する原料がキブルに段階aおよび/またはbで、組成物の0.1重量%から3重量%の量で適用され、原料が腐敗微生物に対して活性を有し、組成物は乾燥キャットフードまたは乾燥ドッグフードであり、かつ原料が乳酸であり、
ここで、該組成物は5.5未満のpHを有する、ペットフード組成物の製造方法。
【請求項4】
組成物が0.13%から3%の乳酸を含み、組成物のpHが4から5である、請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
組成物に抗菌効果を付与するための有効量の原料を添加することを含む、ペットフード組成物の微生物増殖を阻害する方法であって、原料が組成物中に0.1重量%から3重量%の量であり、組成物は乾燥キャットフードまたは乾燥ドッグフードであり、かつ原料が乳酸であり、
ここで、該組成物は5.5未満のpHを有する、方法。
【請求項6】
組成物が0.13%から3%の乳酸を含み、4から5のpHを有する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は2010年8月3日に出願された米国仮出願番号61/370328の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、微生物汚染に耐性のある新規な飼料組成物、特にペットフード組成物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
飼料組成物、特にペットフード組成物は、サルモネラ菌(Salmonella)、リステリア菌(Listeria)、大腸菌(E.Coli)およびクロストリジウム菌(Clostridium)などの病原菌による、微生物、特に細菌汚染にさらされる。この目的のための有効な抗菌剤の発見は、有効であると同時に、剤が安全で、食味が良好で、費用効果があり、安定である必要があるように、非常に困難なことがわかっている。特に乾燥ペットフード組成物は、加工後の段階で微生物汚染の影響を受けやすい。
【0004】
多数の化学的および天然の抗菌剤が、飼料の細菌、カビおよび酵母を制御するために使用できる。飼料工業で一般に用いられる化学的抗菌剤はリン酸、プロピオン酸およびプロピオン酸塩、亜硫酸塩、安息香酸および安息香酸エステル類、亜硝酸塩、硝酸塩およびパラベン類である。ペットフード工業で用いられる風味改良剤(paratant)も、その酸性pH(〜2−3)により、自然と抗菌作用を有し得る。
【0005】
プロピオン酸はサルモネラ菌の増殖を阻害することが報告されている。リン酸も抗菌活性を有することが特定されている。pHを基にすると、プロピオン酸が最も高い抗菌活性を有し、次いで乳酸、酢酸、クエン酸、リン酸および塩酸の順である。
【0006】
乳酸は高いレベルの抗菌特性を有することが知られているが、その高い酸性によるものではなく、通常は塩形態、例えば乳酸ナトリウム、カリウムまたはカルシウム、で提供される。コンパニオンアニマルのペットフード組成物における乳酸のレベルは一般的にごくわずか、例えば1%未満、である。乳酸菌は、健康効果、例えば乳糖不耐症の減少、大腸がんのリスク減少、コレステロール低下、免疫機能の改善、および抗生剤による下痢の発生の減少、を与えると考えられている乳酸を産生し、耐性のある、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)およびビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)などのいくつかの細菌の増殖の利益となる乳酸を提供する点で、時としてプロバイオティックであるとみなされる。
US2004/0156884は、クロルヘキシジンを含む界面活性剤/ポリジメチルシロキサン乳化物が全体に含浸された治療的生皮ペットチューイ(chew)を記載する。
US4,049,835は、二酸化炭素包装雰囲気の使用が、予想外に多価アルコール、特に抗菌目的のために用いられる安定剤のプロピレングリコールおよびブチレングリコールの有効性を増加することが見出されるところでの、タンパク質含有フードを調製するための方法を開示する。
US4,212,894は、保存安定性のある中間水分飼料を調製するための方法を開示する。
US4,191,783は、pHを4.0から6.8の間に下げる酸、およびプロピレングリコール、1,3−ブタンジオールまたはそれらの混合物を含む組成物の添加により保存安定とされた高水分含有飼料を開示する。
US4,444,796は、ソルビン酸の微粉末をペットフード原料に混合することを含む、20重量%から45重量%の水分含量および6.0未満のpHを有する、良好な保管安定性のあるペットフードを製造するための方法を記載する。
EP1483975は、動物栄養における使用のための、乳酸またはその誘導体、および無機酸を含む抗菌組成物を開示する。
WO2006/004481は、核および被覆を含む抗菌酸性化給餌製品を開示する。
WO2004/019683は、定義された構造をもつ化合物を含む抗菌組成物を記載する。


【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の適用のさらなる領域は、これ以降に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の実施例、さらに示される本発明の好ましい実施形態は例示の目的のみを意図し、発明の範囲を限定する意図ではないことが理解されるべきである。
【0008】
広範囲に及ぶ選別および最適化の後に、無機酸、有機酸、天然の抗菌剤、香料、風味改良剤、フェノール類、発酵製品、オレガノ、アミノ酸、脂肪酸およびそれらの混合物を有するペットフード組成物が、ペットフード組成物におけるグラム陰性またはグラム陽性菌またはサルモネラ属細菌などの病原性細菌ならびに、酵母およびカビを含む腐敗微生物の増殖を遅らせることを示した。
【0009】
本発明は、抗菌効果を付与するために有効な量の原料を含む飼料組成物、特にペットフード組成物を包含する。
【0010】
一の実施形態において、原料は、病原性細菌ならびに、酵母およびカビを含む腐敗微生物に対する抗菌活性を有する。病原菌はグラム陰性またはグラム陽性細菌、またはサルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)、リステリア菌、大腸菌およびクロストリジウム菌、またはそれらの混合であり得る。
【0011】
他の実施形態において、原料は無機酸、有機酸、天然の抗菌剤、香料、風味改良剤、フェノール類、発酵製品、オレガノ、アミノ酸、脂肪酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
他の実施形態において、有機酸は乳酸である。
【0013】
本発明は、抗菌活性を有する飼料組成物の製造方法も包含する。
【0014】
本発明はさらに、飼料に対して、組成物に抗菌効果を付与する原料を組成物の約0.1重量%から約3重量%の量で加えることを含む、例えば、乾燥キブル(kibble)製品に原料を適用することによって、ペットフード組成物における微生物増殖を阻害する方法も提供する。
【0015】
本発明は詳細な説明および添付される図面により、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1、プレコンディショナーにて添加され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用(canine)乾燥飼料。
【0017】
図2図2、局所添加され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料。
【0018】
図3図3、プレコンディショナーにて添加され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料。
【0019】
図4図4、局所添加され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料。
【0020】
図5図5、プレコンディショナーにて添加され、30℃にて培養された、pH2〜2.5を有するフェノールを含む犬用乾燥飼料。
【0021】
図6図6、局所添加され、30℃にて培養された、pH2〜2.5を有するフェノールを含む犬用乾燥飼料。
【0022】
図7図7、プレコンディショナーにて添加され、30℃にて培養された、アルギン酸ラウリルを含む犬用乾燥飼料。
【0023】
図8図8、局所添加され、30℃にて培養された、アルギン酸ラウリルを含む犬用乾燥飼料。
【0024】
図9図9、局所添加され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:最終製品)。
【0025】
図10図10、プレコンディショナーにて添加され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:最終製品)。
【0026】
図11図11、局所/プレコンディショナー添加され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:最終製品)。
【0027】
図12図12、局所添加され、被覆され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エンロービング前のキブル)。
【0028】
図13図13、プレコンディショナーにて添加され、被覆され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エンロービング前のキブル)。
【0029】
図14図14、局所/プレコンディショナー添加され、被覆され、30℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エンロービング前のキブル)。
【0030】
図15図15、プレコンディショナーにて添加され、70℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エアリフト)。
【0031】
図16図16、プレコンディショナーにて添加され、50℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:乾燥機入り口)。
【0032】
図17図17、プレコンディショナーにて添加され、70℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(温度上昇開始)。
【0033】
図18図18、プレコンディショナーにて添加され、50℃にて培養された、プロピオン酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:蒸発冷却)。
【0034】
図19図19、局所添加され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:最終製品)。
【0035】
図20図20、プレコンディショナーにて添加され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:最終製品)。
【0036】
図21図21、局所/プレコンディショナー添加され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:最終製品)。
【0037】
図22図22、局所添加され、被覆され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エンロービング前のキブル)。
【0038】
図23図23、プレコンディショナーにて添加され、被覆され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エンロービング前のキブル)。
【0039】
図24図24、局所/プレコンディショナー添加され、被覆され、30℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エンロービング前のキブル)。
【0040】
図25図25、プレコンディショナーにて添加され、70℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:エアリフト)。
【0041】
図26図26、プレコンディショナーにて添加され、50℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:乾燥機入り口)。
【0042】
図27図27、プレコンディショナーにて添加され、70℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(温度上昇開始)。
【0043】
図28図28、プレコンディショナーにて添加され、50℃にて培養された、乳酸を含む犬用乾燥飼料(汚染点:蒸発冷却)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
好ましい実施形態の以下の記載は単に事実上の典型例であり、本発明、その応用、または用途を限定する意図では決してない。
【0045】
本発明は、組成物に抗菌効果を付与するために有効な量の原料を含む飼料組成物、特にペットフード組成物を包含する。
【0046】
一の実施形態において、原料は、病原性細菌ならびに、酵母およびカビを含む腐敗微生物に対する抗菌活性を有する。病原菌はグラム陰性またはグラム陽性細菌、またはサルモネラ菌、リステリア菌、大腸菌およびクロストリジウム菌、またはそれらの混合であり得る。
【0047】
他の実施形態において、原料は無機酸、有機酸、天然の抗菌剤、香料、風味改良剤、フェノール類、発酵製品、オレガノ、アミノ酸、脂肪酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
本発明の無機酸はリン酸を含む。
【0049】
本発明の有機酸は、乳酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸、アルギン酸ラウリル、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸亜鉛、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、およびそれらの混合物を含む。
【0050】
本発明の天然の抗菌剤は、乳(lacto)抗菌剤(ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトグロブリン、およびラクト脂質)、卵(ovo)抗菌剤(リゾチーム、オボトランスフェリン、オボグロブリンIgYおよびアビジン)、植物(phyto)抗菌剤(植物フェノール、サポニン、フラボノイド類、チオスルフィン酸、カテキン、グルコシノレート、および寒天)、細菌(bacto)抗菌剤(プロバイオティック、ナイシン、ペディオシン、およびロイテリン)およびそれらの混合物を含む。
【0051】
フェノール類は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約4.8、約5、約5.5、約6のpHを有するものを含む。
【0052】
本発明の発酵製品は発酵デキストロース(cultured dextrose)を含む。
【0053】
抗菌効果を付与する原料は、組成物中に、重量%にて、約0.1%、約0.13%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約0.1%から約3%の量で存在する。
【0054】
一の実施形態において、組成物のpHは5.5未満である。
【0055】
本発明は、抗菌活性を有する飼料組成物の製造方法も包含する。ペットフード組成物を製造する方法は以下の段階:
a.キブル生地を形成する、湿潤または乾燥原料を上昇温度にて混合することによるプレコンディショニング;
b.キブル生地の高温高圧での押出し;
c.押出しキブルの乾燥;および
d.局所用液(topical liquid)および/または乾燥原料での乾燥した押出しキブルのエンロービング;
を含み、抗菌効果を組成物に付与する原料がキブルに段階aおよび/またはbで、キブルの約0.1重量%から約3重量%の量で適用される。
【0056】
一の実施形態において、原料は、病原性細菌ならびに、酵母およびカビを含む腐敗微生物に対する抗菌活性を有する。病原菌はグラム陰性またはグラム陽性細菌、またはサルモネラ菌、リステリア菌、大腸菌およびクロストリジウム菌、またはそれらの混合であり得る。
【0057】
他の実施形態において、原料は無機酸、有機酸、天然の抗菌剤、香料、風味改良剤、フェノール類、発酵製品、オレガノ、アミノ酸、脂肪酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
本発明の無機酸はリン酸を含む。
【0059】
本発明の有機酸は、乳酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸、アルギン酸ラウリル、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸亜鉛、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、およびそれらの混合物を含む。
【0060】
本発明の天然の抗菌剤は、乳抗菌剤(ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトグロブリン、およびラクト脂質)、卵抗菌剤(リゾチーム、オボトランスフェリン、オボグロブリンIgYおよびアビジン)、植物抗菌剤(植物フェノール、サポニン、フラボノイド類、チオスルフィン酸、カテキン、グルコシノレート、および寒天)、細菌抗菌剤(プロバイオティック、ナイシン、ペディオシン、およびロイテリン)およびそれらの混合物を含む。
【0061】
フェノール類は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約4.8、約5、約5.5、約6のpHを有するものを含む。
【0062】
本発明の発酵製品は発酵デキストロースを含む。
【0063】
一の実施形態において、原料は乳酸である。
【0064】
他の実施形態において、組成物は約0.13%から約3%の乳酸を含み、約4から約5のpHを有する。
【0065】
本発明は、組成物に有効量の抗菌効果を付与する原料を加えることを含む、ペットフード組成物における微生物増殖を阻害する方法も包含する。
【0066】
一の実施形態において、原料は組成物中に、組成物の約0.1重量%から約3重量%の量で存在する。
【0067】
他の実施形態において、有機酸は乳酸である。
【0068】
他の実施形態において、組成物は約0.13%から約3%の乳酸を含み、約4から約5のpHを有する
【0069】
他の実施形態において、抗菌効果を付与する原料は、組成物中に、重量%にて、組成物の約0.01%、約0.1%、約0.13%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約0.1%から約3%の量で存在する。
【0070】
本発明はさらに、飼料に、原料を重量%にて、組成物の約0.1%、約0.13%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約0.1%から約3%の量で加えることを含む、例えば、乾燥キブル製品に原料を適用することによって、微生物増殖を阻害する方法も提供する。
【0071】
組成物は、抗菌効果を付与する原料に加えて、脂質、炭水化物、タンパク質、繊維、ビタミン、ミネラルおよび微量元素などの栄養調整剤(nutritional balancing agent)、およびそれらの混合を含むが、それらに限定されないコンパニオンアニマルによる消費に好適な少なくとも一つの成分を含む。当業者は動物の食餌の規定量の要求、例えば動物の種、齢、大きさ、体重、健康状態、および役割、を基にした典型的な飼料のための飼料原料の量および型を選択できる。
【0072】
飼料組成物の飼料原料部分は、約100%までのあらゆる特定の飼料原料を含むことができ、また様々な比率の飼料原料の混合物を含むことができる。ある実施形態において、飼料組成物は飼料原料の組み合わせを、約0重量%から約50重量%の脂肪、約0重量%から約75重量%の炭水化物、約0重量%から約95重量%のタンパク質、約0重量%から約40重量%の食物繊維、および約0重量%から約15重量%の1種類以上の栄養調整剤の量で含む。
【0073】
ある実施形態において、脂肪および炭水化物飼料原料は、動物脂肪、魚油、植物油、食肉、食肉副産物、穀粒、他の動物または植物供給源、およびその混合物などの様々な供給源から得られる。穀粒はコムギ、トウモロコシ、オオムギおよびコメを含む。
【0074】
ある実施形態において、タンパク質飼料原料は、植物、動物またはその両方などの、様々な供給源から得られる。動物タンパク質は、食肉、食肉副産物、乳製品および卵を含む。食肉は、家禽、魚、およびウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどの動物からの肉を含み、食肉副産物は肺、腎臓、脳、肝臓、胃および腸を含む。タンパク質飼料原料は、遊離アミノ酸および/またはペプチドであってもよい。好ましくは、タンパク質飼料原料は食肉、食肉副産物、乳製品または卵を含む。
【0075】
ある実施形態において、繊維飼料原料は、例えばセルロース、てん菜パルプ、ラッカセイ殻および大豆繊維といった植物性繊維供給源などの様々な供給源から得られる。
【0076】
ある実施形態において、栄養調整剤は、当業者に既知の多様な供給源、例えばビタミンおよびミネラルのサプリメントおよび飼料原料から得られる。ビタミンおよびミネラルは、欠乏を避けて健康を維持するために要求される量で含有させることができる。これらの量は当技術分野で容易に利用できる。アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)は、犬および猫についてそのような栄養素の推奨量を提示している。一般に飼料添加物として有用なビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビオチン、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシンおよびパントテン酸を含む。飼料添加物として有用なミネラルおよび微量元素は、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、塩化物、鉄、セレン、ヨウ素および鉄を含む。
【0077】
ある実施形態において、飼料組成物はビタミン、無機質、増量剤、風味増強剤(palatability enhancer)、結合剤、香料、安定剤、乳化剤、甘味料、着色料、緩衝剤、塩類、コーティングなどの当業者に既知の追加の原料を含むことができる。安定剤は、保存料、共力剤(synergist)および金属イオン封鎖剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤および保湿剤などの、組成物の保存期間を延長する傾向を示す物質を含む。乳化剤および/または増粘剤の例は、ゼラチン、セルロースエーテル、でん粉、でん粉エステル、でん粉エーテル、および加工でん粉を含む。組成物の成分、飼料原料および他の原料の各々の具体的な量は、組成物に含まれる特定の成分および原料;動物の種;動物の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;動物の摂取率;処置される疾患または症状の型などの様々な要因に依存するであろう。したがって、成分および原料の量は広範囲に及び、本明細書に記載した好ましい比率から偏移し得る。
【0078】
例示的な一の実施形態において、組成物は例えば抗菌活性を有する原料に加えて、下記の少なくとも1種類も含むことができる:
(a)約0重量%から約95重量%のタンパク質、
(b)約0%から約75%の炭水化物、
(c)約0%から約50%の脂肪、
(d)約0%から約40%の食物繊維、および
(e)約0%から約15%の1種類以上の栄養調整剤。
【0079】
組成物はドッグフードおよびキャットフード中に典型的にみられる原料を含み得る、例えば、乾燥犬用フードは下記の原料:とうもろこし全粒、大豆ミルラン、鶏肉副産物ミール、粉末セルロース、とうもろこしグルテンミール、大豆ミール、鶏肝臓フレーバー、大豆油、亜麻仁、カラメル色素、ヨウ素添加塩、L−リジン、塩化コリン、塩化カリウム、ビタミン(L−アスコルビル2ポリリン酸塩(ビタミンCの供給源)、ビタミンEサプリメント、ナイアシン、チアミン硝酸塩、ビタミンAサプリメント、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンB12サプリメント、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、葉酸、ビタミンD3サプリメント)、ビタミンEサプリメント、ミネラル(例えば、硫酸鉄、酸化亜鉛、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)、タウリン、L−カルニチン、グルコサミン、ミックストコフェロール、ベータ−カロテン、ローズマリー抽出物、のすべてまたはいくつかの混合物を含み得る。
【0080】
様々な実施形態において、ペットフード組成物は湿潤または乾燥飼料組成物を含み、それは含水飼料(moist food)、準含水飼料(semi−moist food)、乾燥飼料、サプリメント、またはおやつ(treat)の形態であり得る。ペットフード組成物はキブル形態であり得る。ペットフード組成物は犬用または猫用に好適であり得る。抗菌活性を有する原料は、噴霧または上面への沈降(precipitation thereon)などにより、あらゆる飼料組成物の表面に組み込まれ得るか、またはスナック、サプリメント、おやつによって、または水または別の流体などの食餌の液体部分において添加され得る。
【0081】
全体を通して使用されているように、範囲は、範囲内にある各々のおよび全ての値について記載するための簡潔な表現として使用される。範囲内のいかなる値も、範囲の終点として選定されることができる。加えて、本明細書に引用されたすべての文献が、出典明治によりそれらの全体について本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用された文献のもので不一致がある場合、本開示により調整される。
【0082】
特に明示のない限り、本明細書および本明細書の他の箇所で示される全ての百分率および量は重量百分率をいうことが理解されるべきである。与えられる量は、材料の活性重量(active weight)を基にする。
【実施例】
【0083】
原料(表1)はサルモネラ菌(S.aarhus、S,muenster E1およびS.worthington)に対する抗菌活性について選別された。
【表1】
【0084】
実施例1 ディスク拡散試験(disk diffusion test)
本試験は、典型的に細菌の抗生物質感受性について使用され、潜在的な抗菌(AMI)活性をもつ原料によるサルモネラ菌増殖の抑制を測定するために適応された。直径が約5mmである濾紙のディスクは、0.1%、0.2%、および0.4%の溶液で浸されたオレガノを除いて、1%、2%、および3%でAMIに浸され、サルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)の標準化された懸濁液が塗布された、テトラフェニルテトラゾリウム(TTC)含有標準寒天培地のペトリ皿に置かれた。サルモネラ菌培養物が飽和した濾紙に関してどれくらい密接に増殖したかを測定することによって、AMIの効力が確定された。
【0085】
原料は、ディスク拡散試験を用いて、抗菌活性について選別された。0.1%、0.2%、および0.4%で調製されたオレガノを除いて、これらの各々の原料について1%、2%、および3%の溶液が調製された。上記のように、ディスクを浸し、それらをサルモネラ菌を塗布したTTC含有標準寒天培地プレート上に置き、一晩の培養が実施された。これらの原料の効力は、ディスク周辺の透明域(clear zone)(mm)を測定することによって、決定された(表2)。
【表2】
【0086】
サルモネラ菌に対する抗菌活性は以下の減少順で観察された:リン酸>フェノール類、pH4.25〜4.85>オレガノ オレオレジン>92%乳酸ナトリウムおよび6%二酢酸ナトリウム>フェノール類、pH4.8〜6.0。
【0087】
実施例2 キブル拡散試験(kibble diffusion test)
【0088】
キブル拡散試験は、ディスク拡散試験と同様の原理を有する。異なるレベルのAMI(オレガノの0.1%、0.2%、および0.4%を除く、1%、2%、および3%)で被覆されたキブル全体(最終製品)がディスクの代わりに用いられた。サルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster、E1およびS.worthington)の標準化された懸濁液が塗布された、TTC含有標準寒天培地のペトリ皿にキブルが置かれた。サルモネラ菌培養物が飽和したキブルに関してどれくらい密接に増殖したかを測定することによって、AMIの効力が確定された。
【0089】
市販のキブル形態の成犬用および成猫用ペットフード組成物が潜在的なAMIで被覆された。すでにサルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)を塗布したTTC含有標準寒天培地プレート上にキブルが置かれた。30℃一晩の培養の後、キブル周辺の透明域の存在が分析された。
【0090】
プロピオン酸、リン酸、乳酸、フェノール類およびプロピオン酸Caがキブル周辺の透明域を示し、サルモネラ菌を阻害した(表3)。
【表3】
【0091】
実施例3 MIC(最小抑制濃度)
抗菌性原料の最小抑制濃度(MIC)は、サルモネラ菌の増殖を依然として阻害するであろう製品の最大希釈度として定義される。連続した希釈物(0〜3%、オレガノの0〜0.3%を除く)が細菌増殖培地のAMIで作成され、試験管に注がれた。試験生物(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)はその後AMI原料の希釈物に最終濃度10または10cfu/gで添加され、30℃で一晩培養され、濁りまたは生菌数で増殖が採点された。
【0092】
最小抑制濃度は、10または10cfu/gのサルモネラ菌で実施された。結果は、負の符号が阻害を意味し、一方で正の符号が増殖を示すものとして報告された。オレガノはサルモネラ菌を阻害するために0.15%のMICを必要とし、他方で、フェノール−pH4.25〜4.85、フェノール−pH2〜2.5、フェノール−pH2〜2.5、リン酸、乳酸、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム/プロピオン酸亜鉛、および重硫酸ナトリウムは少なくとも0.9%、およびアルギン酸ラウリルは0.15%を必要とした(表4および5)。
【表4】
【表5】
【0093】
実施例4 負荷実験(challenge study)および食味試験(paratability test)
AMI(0〜3%)で被覆された最終製品は、負荷実験で試験された。各々のキブルの100gキブルがサルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)を最終濃度10で接種され、30℃で培養された。サルモネラ菌数計測はあらかじめ定められた時間間隔で実施された。食味実験(2ボウル、2日間)はAMIのない対照に対するAMI含有成犬用および成猫用ペットフード組成物で実施された。
【0094】
乳酸、フェノール類−pH4.25〜4.85、フェノール類−pH2〜2.5、プロピオン酸、アルギン酸ラウリル、リン酸およびオレガノは、微生物負荷および食味実験のために選択された。成犬用および成猫用ペットフード組成物は、異なるレベルのこれらの抗菌剤で作成され、食味試験が実施された(表6〜9)。
【0095】
異なるレベルのAMIの成犬用および成猫用ペットフード組成物は微生物負荷実験に供された。100グラム部のキブルがサルモネラ属を最終濃度10cfu/gで接種され、30℃で培養された。サルモネラ菌数計測はあらかじめ定められた時間間隔で実施された。プレコンディショナー中の1%乳酸および2〜3%の局所添加(DT10L登録商標と混合)はサルモネラ菌を対照よりも2ログサイクル減少した(図1および図2)。
【0096】
局所でまたはプレコンディショナーにおいて添加された抗菌剤を含有する成犬用ペットフード組成物の食味が、対照に対して少なくとも同程度であった(表6および7)。局所でまたはプレコンディショナーにおいて添加された抗菌剤を含有する成猫用ペットフード組成物の食味が、対照に対して少なくとも同程度であった(表8および9)。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0097】
実施例5 プロピオン酸で被覆されたキブルの製造
試料調製および培養
【0098】
プロピオン酸含有の成犬用ペットフード組成物を調製した。行程の異なる段階をシミュレートするために試料を取った。1)キブルは、コンベヤベルト上に落とされ、冷却器を通り、次に包装された。これは、押出機を出て、乾燥機へのエアリフトを通る製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約20%であった。2)乾燥機温度を減少し、ベルト速度を増加した。これは、工場設備の乾燥機における、部分的に乾燥した−場合によっては第一のベルトを出て、第二のベルトに落ちた状態の−製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約15%であった。3)乾燥されたキブルは乾燥機の後に、被覆されていないベースおよび最終製品の両方について回収された。水分目標は約8%であった。
【0099】
中間水分のキブル(15%および20%)は、袋における凝集を防ぎ、カビの増殖を促進しないように冷却された。
【0100】
押出し機、乾燥機、非被覆ベースおよび最終製品試料(各々10kg)は10cfu/gのサルモネラ菌を接種された。バッファー溶液中の濃縮されたサルモネラ属の溶液は、塗料噴霧器(paint sprayer)で霧化され、製品が回転撹拌機で標的のcfu/gになるように均一に適用された。
【0101】
被覆されていないベース試料は接種後局所剤(風味改良剤および脂肪)で被覆された(表10)。
【表10】
【0102】
試料は分けられ、30℃、50℃または70℃の培養器で培養された。これらの温度は、まだ周囲温度まで冷却されていない製品(30℃)、乾燥機の途中であり、乾燥機からの熱を吸収しはじめた製品(70℃)、およびエアリフトに移され、急速蒸発冷却に供されてその水分の一部が飛ばされた製品(50℃)を代表するために選ばれた。
【0103】
70℃の試料は0、15、30および60分後にプレート培養(plate)した。
【0104】
50℃の試料は0、30、60および240分後にプレート培養した。
【0105】
30℃の試料は0、1、2、3、8および15日後にプレート培養した。
【0106】
プレート培養時間(plating time)および持続は製品が典型的に乾燥機中でさらされるであろう条件を試行および示すために選択された。あらゆる中間状態の持続は通常の製造の間20分間を超えないであろうが、培養器中での延長された時間は工程の変数の分離を許容し、検査技師に試料を引き出し、それらで作業する時間を与え、さらに処理の効果を測定するための別々の時間間隔を提供した。
【0107】
被覆され、サルモネラ菌を接種された(エンローバーの後に汚染された最終製品を示す)製品は、プレコンディショナーにおける3%のプロピオン酸の含有からいくつかの直接的な効果を示した(図3)。肯定的な効果は2%および3%プロピオン酸の局所/プレコンディショナー添加でも示された(図4)。1%、2%、および3%プロピオン酸の局所適用も肯定的な効果(図5)を示した。被覆され、接種された(エンロービング前に汚染されたキブルを示す)製品は、3%プロピオン酸で同様の結果を示した(図6〜8)。
【0108】
濃度1%、2%および3%のプロピオン酸も工程の全ての点でサルモネラ菌に対して有効であった。エアリフトへの入り口(図7)、蒸発冷却の間の(図8)、表面冷却後の乾燥機における(図9)および蒸発冷却中(図10)をシミュレートした製品について対照よりも2ログサイクルの減少が観察された。
【0109】
プロピオン酸での拡大試験は、プレコンディショナーにおける3%プロピオン酸、2および3%局所/プレコンディショナーおよび1、2および3%局所適用で、未処理の対照よりも2ログサイクル減少したことが示された。
【0110】
実施例6 乳酸で被覆されたキブルの製造
サルモネラ属での乾燥ドッグフードの最終製品汚染は4箇所に分割し得る−1)エアリフトまたは乾燥機入り口、2)乾燥機中、3)非被覆キブル(Ro−Tap登録商標を経てエンローバーまで)および4)被覆キブル(エンローバーから包装系を経て)。キブルは押出機で高温高圧で処理される。これらの条件(122℃および15psi)は、レトルト内部でみられ、商業的無菌でキブルを製造すると信じられているものと同様である。湿ったキブルは押出し機に残され、100℃に戻される(flash back)。圧力の急激な低下がキブルを膨化させ、その円形および目標の密度を形成することをもたらす。キブルの表面は、押出し機から乾燥機へのエアリフトにおいて輸送する高容量の空気で急速に冷却される。蒸発冷却は表面温度を約50℃に落とし、その後キブルは乾燥機から熱を吸収する。乾燥機の出口で、キブルは再度約70℃に加温され、製造設備の大気条件に依存する冷たい湿潤な空気にさらされ得るRo−Tap登録商標でふるい分けされる。キブルは次いでエンロービング(局所液および乾燥原料で被覆)される。エンローバーに続いて、キブルは大気条件まで冷却され、包装が行われ、最小の水分損失がある。
【0111】
これらの4か所の位置の試験は3種の含水量(8%、15%、および22%)、3種の温度(30℃、50℃、および70℃)、4個のレベルの乳酸(0.5%、1%、2%、3パーセントの乳酸、および陰性対照)、および乳酸の包含のための3か所の位置(すべての乳酸がプレコンディショナーにおいて添加された、すべての乳酸がエンローバーにおいて添加された、および半分の乳酸がプレコンディショナーにおいて添加され、半分がエンローバーにおいて添加された50/50の混合)の完全なバランスのとれているブロック計画を使用してモデル化される(表12)。
【0112】
サルモネラ種の混合(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)に対する乳酸の効果は工程の異なる段階で試験される。
【0113】
試料調製および培養:
【表11】
【0114】
乳酸含有の犬用ペットフード組成物を製造した。行程の異なる段階をシミュレートするために試料が製造された。1)キブルは、コンベヤベルト上に落とされ、冷却器を通り、次に包装された。これは、押出機を出て、乾燥機へのエアリフトを通る製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約20%であった。2)乾燥機温度を減少し、ベルト速度を増加した。これは、工場設備の乾燥機における、部分的に乾燥した−場合によっては第一のベルトを出て、第二のベルトに落ちた状態の−製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約15%であった。3)乾燥されたキブルは乾燥機の後に、被覆されていないベースおよび最終製品の両方について回収された。水分目標は約8%であった。これは典型的な製造を示すものである。
【0115】
中間水分のキブル(15%および20%)は、袋における凝集を防ぎ、カビの増殖を抑制するように大気温度まで冷却された。
【0116】
押出し機、乾燥機、非被覆ベースおよび最終製品試料(各々22ポンド)は10cfu/gのサルモネラ種を接種された。バッファー溶液中の濃縮されたサルモネラ種混合の溶液は、塗料噴霧器で霧化され、製品が回転撹拌機で標的のcfu/gになるように均一に適用された。
【0117】
被覆されていないベース試料は接種後局所剤で被覆された(表12)。
【表12】
【0118】
試料は30℃、50℃または70℃の培養器で培養された。これらの温度は、まだ周囲温度まで冷却されていない製品(30℃)、乾燥機の途中であり、乾燥機からの熱を吸収しはじめた製品(70℃)、およびエアリフトに移され、急速蒸発冷却に供されてその水分の一部が飛ばされた製品(50℃)を代表するために選ばれた。
【0119】
70℃の試料は0、15、30および60分後にプレート培養した。
【0120】
50℃の試料は0、30、60および240分後にプレート培養した。
【0121】
30℃の試料は0、1、2、3、8および15日後にプレート培養した。
【0122】
プレート培養時間および持続は製品が典型的に乾燥機中でさらされるであろう条件を試行および示すために選択された。あらゆる中間状態の持続は通常の製造の間20分間を超えないであろうが、培養器中での延長された時間は工程の変数の分離を許容し、検査技師に試料を引き出し、それらで作業する時間を与え、さらに処理の効果を測定するための別々の時間間隔を提供した。
【0123】
この拡大実験はサルモネラ種混合(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)に対する乳酸の効果を試験する。製品は水分に関して分析される。分析は二重で実施され、結果はパイロットプラントにおける水分標的を満たすことを示す。
【0124】
乳酸での試験は、プレコンディショナー、局所/プレコンディショナー、および局所適用での1%、2%および3%の乳酸の添加が未処理の対照よりも2ログサイクルでサルモネラ菌を減少することを示す。
【0125】
プレコンディショナー段階またはエンロービング段階のいずれにおいても、乳酸の適用が有効であることを示す。乳酸の濃度は非常に重要(critical)である。濃度が増加するにつれて、阻害効果の増加が示される。
【0126】
被覆され、サルモネラ菌を接種された(エンローバーの後に汚染された最終製品を示す)製品は、高濃度の乳酸処理からいくつかの直接的な効果を示した(図11〜13)。被覆され、接種された(エンロービング前に汚染されたキブルを示す)製品は、最高濃度の乳酸で同様の結果を示した(図14〜16)。
【0127】
乳酸(1%、2%および3%)も工程の全ての点でサルモネラ菌に対して有効である。エアリフトへの入り口(図17)、蒸発冷却の間の(図18)、乾燥機において表面温度の上昇が始まった後の(図19)、蒸発冷却中(図20)および最終製品(図11〜16)をシミュレートした製品について対照よりも2ログの減少が観察された。
【0128】
したがって、乳酸は製剤においてサルモネラ菌に対して有効である。それはサルモネラ種混合の生死に直接的な効果を有する。約1%の最低濃度閾値が有効性を示される。
【0129】
実施例7 製剤の食味
局所被覆およびプレコンディショニング段階において添加された乳酸含有の製剤の様々なレベルでの犬用キブル製剤の食味が、対照に対して、犬で、摂取比0.5は犬が対照飼料と試験で同じ摂取を有したことを示すところの、0.5〜0.77の間の摂取比で試験された。結果は表13に示される。
【表13】
【0130】
さらなる試験が異なる市販の犬用および猫用キブル製剤で実施され、乳酸で被覆されたキブルが良好な食味であり、犬および猫に受け入れられることが確認された。感受性動物の胃の刺激の危険を避けるため、それは4.5以上のpHを維持して測定された。
図1
図2
図3
図4
図5
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