【実施例】
【0083】
原料(表1)はサルモネラ菌(S.aarhus、S,muenster E1およびS.worthington)に対する抗菌活性について選別された。
【表1】
【0084】
実施例1 ディスク拡散試験(disk diffusion test)
本試験は、典型的に細菌の抗生物質感受性について使用され、潜在的な抗菌(AMI)活性をもつ原料によるサルモネラ菌増殖の抑制を測定するために適応された。直径が約5mmである濾紙のディスクは、0.1%、0.2%、および0.4%の溶液で浸されたオレガノを除いて、1%、2%、および3%でAMIに浸され、サルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)の標準化された懸濁液が塗布された、テトラフェニルテトラゾリウム(TTC)含有標準寒天培地のペトリ皿に置かれた。サルモネラ菌培養物が飽和した濾紙に関してどれくらい密接に増殖したかを測定することによって、AMIの効力が確定された。
【0085】
原料は、ディスク拡散試験を用いて、抗菌活性について選別された。0.1%、0.2%、および0.4%で調製されたオレガノを除いて、これらの各々の原料について1%、2%、および3%の溶液が調製された。上記のように、ディスクを浸し、それらをサルモネラ菌を塗布したTTC含有標準寒天培地プレート上に置き、一晩の培養が実施された。これらの原料の効力は、ディスク周辺の透明域(clear zone)(mm)を測定することによって、決定された(表2)。
【表2】
【0086】
サルモネラ菌に対する抗菌活性は以下の減少順で観察された:リン酸>フェノール類、pH4.25〜4.85>オレガノ オレオレジン>92%乳酸ナトリウムおよび6%二酢酸ナトリウム>フェノール類、pH4.8〜6.0。
【0087】
実施例2 キブル拡散試験(kibble diffusion test)
【0088】
キブル拡散試験は、ディスク拡散試験と同様の原理を有する。異なるレベルのAMI(オレガノの0.1%、0.2%、および0.4%を除く、1%、2%、および3%)で被覆されたキブル全体(最終製品)がディスクの代わりに用いられた。サルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster、E1およびS.worthington)の標準化された懸濁液が塗布された、TTC含有標準寒天培地のペトリ皿にキブルが置かれた。サルモネラ菌培養物が飽和したキブルに関してどれくらい密接に増殖したかを測定することによって、AMIの効力が確定された。
【0089】
市販のキブル形態の成犬用および成猫用ペットフード組成物が潜在的なAMIで被覆された。すでにサルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)を塗布したTTC含有標準寒天培地プレート上にキブルが置かれた。30℃一晩の培養の後、キブル周辺の透明域の存在が分析された。
【0090】
プロピオン酸、リン酸、乳酸、フェノール類およびプロピオン酸Caがキブル周辺の透明域を示し、サルモネラ菌を阻害した(表3)。
【表3】
【0091】
実施例3 MIC(最小抑制濃度)
抗菌性原料の最小抑制濃度(MIC)は、サルモネラ菌の増殖を依然として阻害するであろう製品の最大希釈度として定義される。連続した希釈物(0〜3%、オレガノの0〜0.3%を除く)が細菌増殖培地のAMIで作成され、試験管に注がれた。試験生物(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)はその後AMI原料の希釈物に最終濃度10
6または10
3cfu/gで添加され、30℃で一晩培養され、濁りまたは生菌数で増殖が採点された。
【0092】
最小抑制濃度は、10
6または10
3cfu/gのサルモネラ菌で実施された。結果は、負の符号が阻害を意味し、一方で正の符号が増殖を示すものとして報告された。オレガノはサルモネラ菌を阻害するために0.15%のMICを必要とし、他方で、フェノール−pH4.25〜4.85、フェノール−pH2〜2.5、フェノール−pH2〜2.5、リン酸、乳酸、プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム/プロピオン酸亜鉛、および重硫酸ナトリウムは少なくとも0.9%、およびアルギン酸ラウリルは0.15%を必要とした(表4および5)。
【表4】
【表5】
【0093】
実施例4 負荷実験(challenge study)および食味試験(paratability test)
AMI(0〜3%)で被覆された最終製品は、負荷実験で試験された。各々のキブルの100gキブルがサルモネラ菌(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)を最終濃度10
6で接種され、30℃で培養された。サルモネラ菌数計測はあらかじめ定められた時間間隔で実施された。食味実験(2ボウル、2日間)はAMIのない対照に対するAMI含有成犬用および成猫用ペットフード組成物で実施された。
【0094】
乳酸、フェノール類−pH4.25〜4.85、フェノール類−pH2〜2.5、プロピオン酸、アルギン酸ラウリル、リン酸およびオレガノは、微生物負荷および食味実験のために選択された。成犬用および成猫用ペットフード組成物は、異なるレベルのこれらの抗菌剤で作成され、食味試験が実施された(表6〜9)。
【0095】
異なるレベルのAMIの成犬用および成猫用ペットフード組成物は微生物負荷実験に供された。100グラム部のキブルがサルモネラ属を最終濃度10
6cfu/gで接種され、30℃で培養された。サルモネラ菌数計測はあらかじめ定められた時間間隔で実施された。プレコンディショナー中の1%乳酸および2〜3%の局所添加(DT10L
登録商標と混合)はサルモネラ菌を対照よりも2ログサイクル減少した(
図1および
図2)。
【0096】
局所でまたはプレコンディショナーにおいて添加された抗菌剤を含有する成犬用ペットフード組成物の食味が、対照に対して少なくとも同程度であった(表6および7)。局所でまたはプレコンディショナーにおいて添加された抗菌剤を含有する成猫用ペットフード組成物の食味が、対照に対して少なくとも同程度であった(表8および9)。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0097】
実施例5 プロピオン酸で被覆されたキブルの製造
試料調製および培養
【0098】
プロピオン酸含有の成犬用ペットフード組成物を調製した。行程の異なる段階をシミュレートするために試料を取った。1)キブルは、コンベヤベルト上に落とされ、冷却器を通り、次に包装された。これは、押出機を出て、乾燥機へのエアリフトを通る製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約20%であった。2)乾燥機温度を減少し、ベルト速度を増加した。これは、工場設備の乾燥機における、部分的に乾燥した−場合によっては第一のベルトを出て、第二のベルトに落ちた状態の−製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約15%であった。3)乾燥されたキブルは乾燥機の後に、被覆されていないベースおよび最終製品の両方について回収された。水分目標は約8%であった。
【0099】
中間水分のキブル(15%および20%)は、袋における凝集を防ぎ、カビの増殖を促進しないように冷却された。
【0100】
押出し機、乾燥機、非被覆ベースおよび最終製品試料(各々10kg)は10
6cfu/gのサルモネラ菌を接種された。バッファー溶液中の濃縮されたサルモネラ属の溶液は、塗料噴霧器(paint sprayer)で霧化され、製品が回転撹拌機で標的のcfu/gになるように均一に適用された。
【0101】
被覆されていないベース試料は接種後局所剤(風味改良剤および脂肪)で被覆された(表10)。
【表10】
【0102】
試料は分けられ、30℃、50℃または70℃の培養器で培養された。これらの温度は、まだ周囲温度まで冷却されていない製品(30℃)、乾燥機の途中であり、乾燥機からの熱を吸収しはじめた製品(70℃)、およびエアリフトに移され、急速蒸発冷却に供されてその水分の一部が飛ばされた製品(50℃)を代表するために選ばれた。
【0103】
70℃の試料は0、15、30および60分後にプレート培養(plate)した。
【0104】
50℃の試料は0、30、60および240分後にプレート培養した。
【0105】
30℃の試料は0、1、2、3、8および15日後にプレート培養した。
【0106】
プレート培養時間(plating time)および持続は製品が典型的に乾燥機中でさらされるであろう条件を試行および示すために選択された。あらゆる中間状態の持続は通常の製造の間20分間を超えないであろうが、培養器中での延長された時間は工程の変数の分離を許容し、検査技師に試料を引き出し、それらで作業する時間を与え、さらに処理の効果を測定するための別々の時間間隔を提供した。
【0107】
被覆され、サルモネラ菌を接種された(エンローバーの後に汚染された最終製品を示す)製品は、プレコンディショナーにおける3%のプロピオン酸の含有からいくつかの直接的な効果を示した(
図3)。肯定的な効果は2%および3%プロピオン酸の局所/プレコンディショナー添加でも示された(
図4)。1%、2%、および3%プロピオン酸の局所適用も肯定的な効果(
図5)を示した。被覆され、接種された(エンロービング前に汚染されたキブルを示す)製品は、3%プロピオン酸で同様の結果を示した(
図6〜8)。
【0108】
濃度1%、2%および3%のプロピオン酸も工程の全ての点でサルモネラ菌に対して有効であった。エアリフトへの入り口(
図7)、蒸発冷却の間の(
図8)、表面冷却後の乾燥機における(
図9)および蒸発冷却中(
図10)をシミュレートした製品について対照よりも2ログサイクルの減少が観察された。
【0109】
プロピオン酸での拡大試験は、プレコンディショナーにおける3%プロピオン酸、2および3%局所/プレコンディショナーおよび1、2および3%局所適用で、未処理の対照よりも2ログサイクル減少したことが示された。
【0110】
実施例6 乳酸で被覆されたキブルの製造
サルモネラ属での乾燥ドッグフードの最終製品汚染は4箇所に分割し得る−1)エアリフトまたは乾燥機入り口、2)乾燥機中、3)非被覆キブル(Ro−Tap
登録商標を経てエンローバーまで)および4)被覆キブル(エンローバーから包装系を経て)。キブルは押出機で高温高圧で処理される。これらの条件(122℃および15psi)は、レトルト内部でみられ、商業的無菌でキブルを製造すると信じられているものと同様である。湿ったキブルは押出し機に残され、100℃に戻される(flash back)。圧力の急激な低下がキブルを膨化させ、その円形および目標の密度を形成することをもたらす。キブルの表面は、押出し機から乾燥機へのエアリフトにおいて輸送する高容量の空気で急速に冷却される。蒸発冷却は表面温度を約50℃に落とし、その後キブルは乾燥機から熱を吸収する。乾燥機の出口で、キブルは再度約70℃に加温され、製造設備の大気条件に依存する冷たい湿潤な空気にさらされ得るRo−Tap
登録商標でふるい分けされる。キブルは次いでエンロービング(局所液および乾燥原料で被覆)される。エンローバーに続いて、キブルは大気条件まで冷却され、包装が行われ、最小の水分損失がある。
【0111】
これらの4か所の位置の試験は3種の含水量(8%、15%、および22%)、3種の温度(30℃、50℃、および70℃)、4個のレベルの乳酸(0.5%、1%、2%、3パーセントの乳酸、および陰性対照)、および乳酸の包含のための3か所の位置(すべての乳酸がプレコンディショナーにおいて添加された、すべての乳酸がエンローバーにおいて添加された、および半分の乳酸がプレコンディショナーにおいて添加され、半分がエンローバーにおいて添加された50/50の混合)の完全なバランスのとれているブロック計画を使用してモデル化される(表12)。
【0112】
サルモネラ種の混合(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)に対する乳酸の効果は工程の異なる段階で試験される。
【0113】
試料調製および培養:
【表11】
【0114】
乳酸含有の犬用ペットフード組成物を製造した。行程の異なる段階をシミュレートするために試料が製造された。1)キブルは、コンベヤベルト上に落とされ、冷却器を通り、次に包装された。これは、押出機を出て、乾燥機へのエアリフトを通る製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約20%であった。2)乾燥機温度を減少し、ベルト速度を増加した。これは、工場設備の乾燥機における、部分的に乾燥した−場合によっては第一のベルトを出て、第二のベルトに落ちた状態の−製品をシミュレートするためのものであった。水分目標は約15%であった。3)乾燥されたキブルは乾燥機の後に、被覆されていないベースおよび最終製品の両方について回収された。水分目標は約8%であった。これは典型的な製造を示すものである。
【0115】
中間水分のキブル(15%および20%)は、袋における凝集を防ぎ、カビの増殖を抑制するように大気温度まで冷却された。
【0116】
押出し機、乾燥機、非被覆ベースおよび最終製品試料(各々22ポンド)は10
6cfu/gのサルモネラ種を接種された。バッファー溶液中の濃縮されたサルモネラ種混合の溶液は、塗料噴霧器で霧化され、製品が回転撹拌機で標的のcfu/gになるように均一に適用された。
【0117】
被覆されていないベース試料は接種後局所剤で被覆された(表12)。
【表12】
【0118】
試料は30℃、50℃または70℃の培養器で培養された。これらの温度は、まだ周囲温度まで冷却されていない製品(30℃)、乾燥機の途中であり、乾燥機からの熱を吸収しはじめた製品(70℃)、およびエアリフトに移され、急速蒸発冷却に供されてその水分の一部が飛ばされた製品(50℃)を代表するために選ばれた。
【0119】
70℃の試料は0、15、30および60分後にプレート培養した。
【0120】
50℃の試料は0、30、60および240分後にプレート培養した。
【0121】
30℃の試料は0、1、2、3、8および15日後にプレート培養した。
【0122】
プレート培養時間および持続は製品が典型的に乾燥機中でさらされるであろう条件を試行および示すために選択された。あらゆる中間状態の持続は通常の製造の間20分間を超えないであろうが、培養器中での延長された時間は工程の変数の分離を許容し、検査技師に試料を引き出し、それらで作業する時間を与え、さらに処理の効果を測定するための別々の時間間隔を提供した。
【0123】
この拡大実験はサルモネラ種混合(S.aarhus、S.muenster E1およびS.worthington)に対する乳酸の効果を試験する。製品は水分に関して分析される。分析は二重で実施され、結果はパイロットプラントにおける水分標的を満たすことを示す。
【0124】
乳酸での試験は、プレコンディショナー、局所/プレコンディショナー、および局所適用での1%、2%および3%の乳酸の添加が未処理の対照よりも2ログサイクルでサルモネラ菌を減少することを示す。
【0125】
プレコンディショナー段階またはエンロービング段階のいずれにおいても、乳酸の適用が有効であることを示す。乳酸の濃度は非常に重要(critical)である。濃度が増加するにつれて、阻害効果の増加が示される。
【0126】
被覆され、サルモネラ菌を接種された(エンローバーの後に汚染された最終製品を示す)製品は、高濃度の乳酸処理からいくつかの直接的な効果を示した(
図11〜13)。被覆され、接種された(エンロービング前に汚染されたキブルを示す)製品は、最高濃度の乳酸で同様の結果を示した(
図14〜16)。
【0127】
乳酸(1%、2%および3%)も工程の全ての点でサルモネラ菌に対して有効である。エアリフトへの入り口(
図17)、蒸発冷却の間の(
図18)、乾燥機において表面温度の上昇が始まった後の(
図19)、蒸発冷却中(
図20)および最終製品(
図11〜16)をシミュレートした製品について対照よりも2ログの減少が観察された。
【0128】
したがって、乳酸は製剤においてサルモネラ菌に対して有効である。それはサルモネラ種混合の生死に直接的な効果を有する。約1%の最低濃度閾値が有効性を示される。
【0129】
実施例7 製剤の食味
局所被覆およびプレコンディショニング段階において添加された乳酸含有の製剤の様々なレベルでの犬用キブル製剤の食味が、対照に対して、犬で、摂取比0.5は犬が対照飼料と試験で同じ摂取を有したことを示すところの、0.5〜0.77の間の摂取比で試験された。結果は表13に示される。
【表13】
【0130】
さらなる試験が異なる市販の犬用および猫用キブル製剤で実施され、乳酸で被覆されたキブルが良好な食味であり、犬および猫に受け入れられることが確認された。感受性動物の胃の刺激の危険を避けるため、それは4.5以上のpHを維持して測定された。