特許第5735701号(P5735701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735701
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/66 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   H03M1/66 E
【請求項の数】29
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-501202(P2014-501202)
(86)(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公表番号】特表2014-520412(P2014-520412A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012029920
(87)【国際公開番号】WO2012129289
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2013年10月16日
(31)【優先権主張番号】13/069,966
(32)【優先日】2011年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503062253
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・カプスタ
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−044533(JP,A)
【文献】 特開平08−273388(JP,A)
【文献】 特開平11−248755(JP,A)
【文献】 特表2010−525751(JP,A)
【文献】 特開昭56−164626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M1/00−1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器(DAC)であって、
第1のプレートおよび第2のプレートを有するオンチップ蓄積コンデンサと、
第1のプレートおよび第2のプレートをそれぞれ有する一連のDACコンデンサと、
それぞれのDACコンデンサの第2のプレートを前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1または第2のプレートに接続するためにDAC入力ワードによって制御される一連のスイッチと、
前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1のプレートを第1の外部基準電圧のための外部端子に接続する第1のスイッチと、
前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第2のプレートを第2の外部基準電圧のための外部端子に接続する第2のスイッチと、を備える、電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器。
【請求項2】
電荷の再分配は、前記DAC入力ワードが適用されるとき、前記オンチップ蓄積コンデンサと前記DACコンデンサとの間で行われる、請求項1に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項3】
前記オンチップ蓄積コンデンサは、複数のオンチップ蓄積コンデンサのうちの1つである、請求項2に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項4】
前記オンチップ蓄積コンデンサの数は前記DAC入力ワードのビットの数に等しい、請求項3に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項5】
動作の第1段階の間、前記オンチップ蓄積コンデンサは、前記基準電圧のための前記外部端子とアースとに接続される、請求項1に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項6】
動作の第2段階の間、前記オンチップ蓄積コンデンサは、前記基準電圧のための前記外部端子および前記アースの接続から断たれ、前記DAC入力ワードは、それぞれのDACコンデンサが前記第1のプレートまたは前記第2のプレートに接続されるかどうかを決定する、請求項5に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項7】
前記一連のDACコンデンサはバイナリ重み付けコンデンサであり、前記DACコンデンサの総数は前記DAC入力ワードのビットの総数に等しく、
前記動作の第2段階の間、前記DAC入力ワードの各ビットは、前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1または第2のプレートに接続される対応DACコンデンサを決定する、請求項5に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項8】
前記DAC入力ワードを復号し、前記一連のスイッチ用の制御信号を生成するデコーダを更に備え、
前記DACコンデンサのそれぞれは同等のキャパシタンスを有し、前記DACコンデンサの総数は、前記DAC入力ワードのビットの総数を表す1よりも大きな整数であるNを用いて2N−1に等しく、
前記動作の第2段階の間、前記DACコンデンサの数は、前記第1のプレートに接続される前記デコーダと、前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第2のプレートに接続される残りのDACコンデンサとによって制御され、前記数は前記DAC入力ワードの値に等しい、請求項5に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項9】
前記動作の第1段階の間、前記DACコンデンサは、前記オンチップ蓄積コンデンサの接続から断たれる、請求項5に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項10】
前記電荷再分配型DACはアナログ‐デジタル変換器(ADC)内にある、請求項1に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項11】
前記ADCは逐次近似ADCであり、前記オンチップ蓄積コンデンサは、前記ADCが入力電圧をサンプリングするのと同時に前記基準電圧をサンプリングする、請求項10に記載の電荷再分配型DAC。
【請求項12】
電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器(DAC)のためのデジタル‐アナログ出力を生成する方法であって、
前記DACのオンチップ蓄積コンデンサに対して外部基準電圧をサンプリングすることと、
前記DACの前記オンチップ蓄積コンデンサを前記外部基準電圧の接続から断つことと、
DAC入力ワードに従って、複数のDACコンデンサを前記オンチップ蓄積コンデンサに接続することと、を含む、方法。
【請求項13】
電荷の再分配は、前記DAC入力ワードが適用されるとき前記オンチップ蓄積コンデンサと前記DACコンデンサとの間で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オンチップ蓄積コンデンサは、2つのスイッチによって前記外部基準電圧およびアースに接続され、サンプリングは、前記2つのスイッチを閉じることによって実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記DACは逐次近似アナログ‐デジタル変換器(ADC)内にあり、前記オンチップ蓄積コンデンサは、前記ADCが入力電圧をサンプリングするのと同時に前記基準電圧をサンプリングする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記DACの前記オンチップ蓄積コンデンサが前記外部基準電圧の接続から断たれると、前記DAC入力ワードは、複数のDAC出力を生成するために前記オンチップ蓄積コンデンサと前記DACコンデンサとの間の再分配を変更するように複数の値の間で変化する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のDACコンデンサはバイナリ重み付けコンデンサであり、前記DACコンデンサの総数は前記DAC入力ワードのビットの総数に等しく、
前記複数のDACコンデンサを前記オンチップ蓄積コンデンサに接続するとき、前記DAC入力ワードの各ビットは、前記オンチップ蓄積コンデンサの第1または第2のプレートに接続される対応DACコンデンサを決定する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記DACは、前記DAC入力ワードを復号し、前記2つのスイッチ用の制御信号を生成するためのデコーダを更に備え、
前記DACコンデンサのそれぞれは同等のキャパシタンスを有し、前記DACコンデンサの総数は、前記DAC入力ワードのビットの総数を表す1よりも大きな整数であるNを用いて2N‐1に等しく、
前記複数のDACコンデンサを前記オンチップ蓄積コンデンサに接続するとき、前記DACコンデンサの数は、第1のプレートに接続される前記デコーダと、前記オンチップ蓄積コンデンサの第2のプレートに接続される残りのDACコンデンサとによって制御され、前記数は前記DAC入力ワードの値に等しい、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のDACコンデンサは、前記DACの前記オンチップ蓄積コンデンサに対して前記外部基準電圧をサンプリングする間、前記オンチップ蓄積コンデンサの接続から断たれたままである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
電荷再分配型アナログ‐デジタル変換器(ADC)(DAC)であって、
第1のプレートおよび第2のプレートを有するオンチップ蓄積コンデンサと、
第1のプレートおよび第2のプレートをそれぞれ有する一連のDACコンデンサと、
それぞれのDACコンデンサの第2のプレートを前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1または第2のプレートに接続するためにDAC入力ワードによってそれぞれ制御される一連のスイッチと、
前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1のプレートを第1の外部基準電圧のための第1の外部端子に接続する第1のスイッチと、
前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第2のプレートを第2の外部基準電圧のための第2の外部端子に接続する第2のスイッチと、を備える電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器を備える、アナログ‐デジタル変換器(ADC)。
【請求項21】
電荷の再分配は、前記DAC入力ワードが適用されるときに前記オンチップ蓄積コンデンサと前記DACコンデンサとの間で行われる、請求項20に記載のADC。
【請求項22】
前記ADCは逐次近似ADCであり、前記オンチップ蓄積コンデンサは、前記ADCが入力電圧をサンプリングするのと同時に前記基準電圧をサンプリングする、請求項20に記載のADC。
【請求項23】
前記DACコンデンサは分割アレイに構成される、請求項20に記載のADC。
【請求項24】
前記一連のDACコンデンサはバイナリ重み付けコンデンサであり、前記DACコンデンサの総数は、前記DAC入力ワードのビットの総数に等しく、
動作の間、前記DAC入力ワードの各ビットは、前記オンチップ蓄積コンデンサの第1または第2の側面に接続される対応DACコンデンサを制御する、請求項20に記載のADC。
【請求項25】
前記DACは、前記DAC入力ワードを復号し、前記一連のスイッチ用の制御信号を生成するためのデコーダを更に備え、
前記DACコンデンサのそれぞれは同等のキャパシタンスを有し、前記DACコンデンサの総数は、前記DAC入力ワードのビットの総数を表す1よりも大きな整数であるNを用いて2N−1に等しく、
動作の間、前記DACコンデンサは、それらのうちのいくつかを前記オンチップ蓄積コンデンサの第1の側面に接続させ、残りを前記オンチップ蓄積コンデンサの第2の側面に接続させる前記デコーダによって制御され、前記数は前記DAC入力ワードの値に等しい、請求項20に記載のADC。
【請求項26】
集積回路(IC)チップであって、
第1のプレートおよび第2のプレートを有するオンチップ蓄積コンデンサと、
第1のプレートおよび第2のプレートをそれぞれ有する一連のDACコンデンサと、
それぞれのDACコンデンサの第2のプレートを前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1または第2のプレートに接続するためにDAC入力ワードによって制御される一連のスイッチと、
前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第1のプレートを第1の外部基準電圧のための第1の外部端子に接続する第1のスイッチと、
前記オンチップ蓄積コンデンサの前記第2のプレートを第2の外部基準電圧のための第2の外部端子に接続する第2のスイッチと、を備える電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器を備える、集積回路(IC)チップ。
【請求項27】
電荷の再分配は、前記DAC入力ワードが適用されるとき前記オンチップ蓄積コンデンサと前記DACコンデンサとの間で行われる、請求項26に記載のICチップ。
【請求項28】
前記ADCは逐次近似ADCであり、前記オンチップ蓄積コンデンサは、前記ADCが入力電圧をサンプリングするのと同時に前記基準電圧をサンプリングする、請求項26に記載のICチップ。
【請求項29】
前記DACコンデンサは分割アレイに構成される、請求項26に記載のICチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シグナルプロセッサに関するものであり、より詳細には、完全にICチップ上で電荷の再分配を行うことができる電荷再分配型デジタル‐アナログ変換器(DAC)に関する。
【背景技術】
【0002】
電荷再分配型DACは、現代の集積回路において、特に、スイッチドコンデンサCMOS設計において一般的である。それらは、例えばパイプラインおよび逐次近似(SAR)ADCなどのアナログ‐デジタル(ADC)アーキテクチャを含む多くの使用用途がある。用途に応じて、主要性能メトリクス(key performance metrics)は、DACの直線性およびそれの整定速度であり得る。
【0003】
例示的な3ビット電荷再分配型DAC100が図1に示される。そのDACは、それぞれ1C、1C、2Cおよび4Cのキャパシタンスを有する終端コンデンサ102と一連のバイナリ重み付けコンデンサ104.1、104.2および104.3とからなる。DAC入力は、各ビットが、コンデンサに接続されるスイッチ106.1、106.2および106.3のそれぞれのスイッチを制御する3ビットバイナリデジタルワードである。スイッチ106.1、106.2および106.3の反対側は、DAC入力ワードの対応ビットに応じて基準電圧VREFまたはアースGNDに接続される。典型的に、デジタルの「1」は、基準電圧VREFに接続するための対応スイッチを制御し、デジタルの「0」は、GNDに接続するための対応スイッチを制御する。DAC出力は、Vout=VREF*Cselected/Ctotalという方程式によって決定され、その式において、CselectedはDACワードによって選択されたキャパシタンスの量であり、CtotalはDAC100における全キャパシタンスの合計である。例えば、DACコードが101である場合、コンデンサ104.1および104.3は、スイッチ106.1および106.3を基準電圧VREFに接続することによって選択され、スイッチ106.2はコンデンサ104.2をアースGNDに接続する。出力は、Vout=VREF*(4C+1C)/(4C+2C+1C+1C)=5/8*VREFとなる。
【0004】
基準電圧VREFおよびアースGNDは、LPAR1およびLPAR2によって表わされる寄生物(parasitic)と関連している。DACコンデンサのいずれか1つがVREFからGNDに(またはその逆に)スイッチングすると、DAC出力における電圧は、DAC100の寄生物およびキャパシタンスの特徴に応じて、いくらかの期間にわたってリンギング(ring)することになる。典型的な集積回路において、リンギング現象はDACが駆動され得る周波数を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
それゆえに、高速では、DACの性能は寄生インダクタンスによって制限されることが多い。従って、特にSAR ADC用途について、電荷再分配型DACが整定する速度を向上する必要性がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】従来の電荷再分配型DACを示す。
図2】本発明の一実施形態に係る電荷再分配型DACを示す。
図3】本発明の実施形態に係る第2段階における図2の電荷再分配型DACを示す。
図4】本発明の別の実施形態に係る別の電荷再分配型DACを示す。
図5】本発明の実施形態に係る電荷再分配型DACを備えるSAR ADCを示す。
図6】本発明の実施形態に係る電荷再分配型DACのプロセスを示す。
図7】本発明の別の実施形態に係る別の電荷再分配型DACを示す。
図8】本発明の別の実施形態に係る別の電荷再分配型DACを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、従来の外部基準電圧に代わってDACに電荷を供給するためのオンチップ蓄積(reservoir)コンデンサを備える電荷再分配型DACを提供し得る。DACは、第1のプレート(plate)および第2のプレートを有するオンチップ蓄積コンデンサと、DAC出力を生成する一連のDACコンデンサと、DACコンデンサを蓄積コンデンサに結合するためにDAC入力ワードによって制御される一連のスイッチと、を含み得る。電荷再分配型DACは、第1のプレートを第1の外部基準電圧のための外部端子に接続する第1のスイッチと、第2のプレートを第2の外部基準電圧のための外部端子に接続する第2のスイッチと、を更に含み得る。一実施形態は、電荷再分配型DACを含むADCを提供し得る。
【0008】
本発明の別の実施形態は、デジタル‐アナログ変換器(DAC)用のデジタル‐アナログ出力を生成するための方法を提供し得る。その方法は、DACのオンチップ蓄積コンデンサに対する2つの外部基準電圧をサンプリングすることを含み得る。更に、その方法は、DACのオンチップ蓄積コンデンサを外部基準電圧の接続から断つことと、DAC入力ワードに従って複数のDACコンデンサをオンチップ蓄積コンデンサに接続することと、を含み得る。
【0009】
図2は、本発明の一実施形態に係る電荷再分配型DAC200を示す。電荷再分配型DAC200は、NビットDAC(例えば、Nは1より大きな整数である)とすることができ、終端コンデンサ202と、一連のバイナリ重み付けコンデンサ204.1〜204.Nと、複数のスイッチ206.1〜206.Nとを備える。電荷再分配型DAC200は、2つのスイッチ208.1および208.2と、蓄積コンデンサCRES210とを更に備えることができる。電荷再分配型DAC200のこれらの構成要素の全てはICチップ220上に(例えば、同じダイ上に)一体化されることができ、蓄積コンデンサCRES210はオンチップ蓄積コンデンサとすることができる。
【0010】
蓄積コンデンサCRES210は、電荷を溜めるための2つの側面(例えば、2つのプレート)を有し得る。スイッチ208.1は、CRES210の第1の側面(例えば、上部プレートまたは上部側面)に結合される一端部と、動作の間に第1の基準電圧VREF1に接続され得るICチップの第1の端子に結合される別の端部とを有し得る。それゆえに、スイッチ208.1は、CRES210の第1の側面と第1の基準電圧VREF1との間の接続を制御する。スイッチ208.2は、CRES210の第2の側面(例えば、底部プレートまたは底部側面)に結合される一端部と、動作の間に第2の基準電圧VREF2に接続され得るICチップの第2の端子に結合される別の端部とを有し得る。それゆえに、スイッチ208.2は、CRES210の第2の側面と第2の基準電圧VREF2との間の接続を制御する。各コンデンサ204.1〜204.Nは、蓄積コンデンサCRES210の接続から断つために、あるいは蓄積コンデンサCRES210の第1の側面または蓄積コンデンサCRES210の第2の側面に接続するために、それぞれのスイッチ206.1〜206.Nによって制御され得る。一実施形態では、第1の基準電圧VREF1は、第2の基準電圧VREF2よりも高い電圧値を有し得る。例えば、第1の基準電圧は正の基準値VREF+(例えば、正の電力供給VDD)とすることができ、第2の基準電圧VREF2は、VREF+よりも低い正の基準値、またはアースGND、あるいは負の基準値pVREF−(例えば、負の電力供給VSS)とすることができる。
【0011】
スイッチ206.1〜206.Nは、各ビットがスイッチをそれぞれ制御するNビットバイナリデジタルワードであり得るDAC入力ワードによって制御され得る。スイッチ206.1は、最下位ビット(LSB)によって制御され得る。それゆえに、コンデンサ204.1はLSBに対応し得るし、そのコンデンサのキャパシタンスは単位キャパシタンス(例えば、1C)であり得る。スイッチ206.Nは、最上位ビット(MSB)によって制御され得る。それゆえに、コンデンサ204.Nは最上位ビット(MSB)に対応し得るし、そのコンデンサのキャパシタンスは、2N−1単位のキャパシタンスであり得る。それゆえに、バイナリ重み付けコンデンサ204.1〜204.Nは2C、2C、・・・および2N−1Cのキャパシタンスをそれぞれ有する。一実施形態では、単位キャパシタンスは、任意適切なキャパシタンス値を有し得る。
【0012】
一実施形態では、電荷再分配型DAC200は集積回路(IC)チップ220の一部であり得る。基準電圧VREF1およびVREF2は、チップ220の外側から供給されてもよい。電荷再分配型DAC200は2段階において動作し得る。最初の実行段階の間、蓄積コンデンサCRES210は、外部基準電圧VREF1およびVREF2に接続されることができ、基準電圧VREF1およびVREF2をサンプリングすることができる。すなわち、この最初の段階の間、スイッチ208.1および208.2は、蓄積コンデンサCRES210の第1および第2の側面を外部電圧VREF1およびVREF2にそれぞれ接続することができる。一実施形態では、スイッチ206.1、206.2および206.3は、最初の段階の間にDACコンデンサ204.1〜204.Nが蓄積コンデンサCRES210に接続されるために閉じられたままとすることができる。別の実施形態では、スイッチ206.1、206.2および206.3は、最初の段階の間、DACコンデンサ204.1〜204.Nを蓄積コンデンサCRES210の接続から断つことができる。後の実施形態において、寄生物に起因するいかなるリンギングもDACコンデンサ204.1〜204.Nのいずれにも影響を及ぼし得ない。
【0013】
図3は、本発明の実施形態に係る第2段階における電荷再分配型DAC200を示す。第2段階の間、図3に示されるように、スイッチ208.1および208.2は、蓄積コンデンサCRES210の第1および第2の側面を外部基準電圧の接続から断つ(例えば、外部VREF1およびVREF2の接続から断つ)ことができ、それゆえに、寄生物から電荷再分配型DAC200を分離する。第2段階において、一つまたは複数のDAC入力ワードがスイッチ206.1〜206.Nに適用され得る。各DAC入力ワードにおいて、デジタルの「1」は対応DACコンデンサ204を蓄積コンデンサCRES210の第1の側面に接続することができ、デジタルの「0」は対応DACコンデンサ204を蓄積コンデンサCRES210の第2の側面に接続することができる。例えば、DAC入力ワードのMSBビットはスイッチ206.Nを制御することができ、DAC入力ワードのLSBビットはスイッチ206.1を制御することができる。従って、電荷再分配の全ては、蓄積コンデンサCRES210とDACコンデンサ204.1〜204.Nとの間で、完全にチップ上で行われることになる。この電荷共有はオンチップなので、DAC200の性能は、例えば漂遊インダクタンスなどの外部寄生物により引き起こされる整定応答の遅さによって制限されない。一実施形態では、整定は、現代のICプロセスにおいて非常に高速であり得るスイッチオン抵抗によってのみ制限され得る。
【0014】
図2および図3に示されるように、蓄積コンデンサCRES210は、電荷を供給するために非常に大きいものである必要があり得る。一実施形態では、Nビット直線性を実現するために、蓄積コンデンサCRES210は、
【数1】
であるよう寸法が定められ得る。ここで、CUNITは、LSBコンデンサのサイズ(図2〜3において示されるような1C)である。従って、中位の精度から高い精度のDACのために、本発明の実施形態に係る蓄積コンデンサCRESは非常に大きいものであり得る。
【0015】
動作の間、DACコンデンサ204.1〜204.Nは、蓄積コンデンサCRES210に接続される一方の側面(例えば、第1の側面または第2の側面)をそれぞれ有し得る。DAC出力は、DACコンデンサ204.1〜204.Nの他方の側面に結合されることができ、蓄積コンデンサCRES210に決して直接的に接続されない。
【0016】
図4は、本発明の別の実施形態に係る別の電荷再分配型DAC400を示す。電荷再分配型DAC400は、NビットDACとすることができ、終端コンデンサ402と、一連のバイナリ重み付けコンデンサ404.1〜404.Nと、複数のスイッチ406.1〜406.Nとを備えることができる。電荷再分配型DAC200は、複数の蓄積コンデンサCRES410.1〜410.Nを更に備えることができる。蓄積コンデンサCRES410.1〜410.Nは、スイッチ408.1aおよび408.1bから408.Naおよび408.Nbまでによってそれぞれ基準電圧VREF1およびVREF2のための外部端子に接続される第1の側面(例えば、第1のプレートまたは上部プレート)および第2の側面(例えば、第2のプレートまたは底部プレート)をそれぞれ有し得る。各DACコンデンサ404は、それぞれの蓄積コンデンサCRES410の接続から断つために、あるいはそれぞれの蓄積コンデンサCRES410の第1の側面または第2の側面に接続するために、それぞれのスイッチ406によって制御され得る。電荷再分配型DAC200のこれらの構成要素の全て、例えば、コンデンサ(402、404.1〜404.N)、スイッチ(406.1〜406.N、408.1aおよび408.1bから408.Naおよび408.Nbまで)、蓄積コンデンサCRES(410.1〜410.N)は、ICチップ420上に(例えば、同じダイ上に)一体化されることができ、蓄積コンデンサCRES(410.1〜410.N)はオンチップ蓄積コンデンサとすることができる。
【0017】
電荷再分配型DAC200と同様に、スイッチ406.1〜406.Nは、各ビットがスイッチを制御するバイナリデジタルワードであり得るNビットDAC入力ワードによって制御され得る。スイッチ406.1は最下位ビット(LSB)によって制御されることができ、それゆえに、コンデンサ404.1はLSBに対応し得るし、そのコンデンサのキャパシタンスは単位キャパシタンス(例えば、1C)であり得る。スイッチ406.Nは最上位ビット(MSB)によって制御され得るし、それのキャパシタンスは2N−1単位のキャパシタンスであり得る。それゆえに、バイナリ重み付けコンデンサ404.1〜404.Nは、2C、2C、・・・および2N−1Cのキャパシタンスをそれぞれ有する。
【0018】
また、電荷再分配型DAC400はICチップ420の一部であってもよく、基準電圧VREF1およびVREF2はICチップ420の外側から供給されてもよい。電荷再分配型DAC400は2つの段階において動作し得る。第1段階の間、蓄積コンデンサCRES410.1〜410.Nのそれぞれは、基準電圧VREF1およびVREF2をサンプリングするために外部基準電圧VREF1およびVREF2に接続され得る。この段階の間、スイッチ408.1a〜408.Naは蓄積コンデンサCRES410.1〜410.Nの第1の側面を外部VREF1に接続することができ、スイッチ408.1b〜408.Nbは蓄積コンデンサCRES410.1410.Nの第2の側面をVREF2に接続することができる。電荷再分配型DAC200と同様に、一実施形態では、スイッチ406.1〜406.Nは、第1段階の間にDACコンデンサ404.1〜404.Nが蓄積コンデンサCRES410に接続されるために閉じられたままとすることができる。別の実施形態において、スイッチ406.1〜406.Nは、第1段階の間にDACコンデンサ404.1〜404.Nを蓄積コンデンサCRES410.1〜410.Nの接続から断つことができる。後の実施形態において、寄生物に起因するいかなるリンギングもDACコンデンサ404.1〜404.Nのいずれにも影響を及ぼし得ない。
【0019】
第2段階の間、スイッチ408.1a〜408.Naおよび408.1b〜408.Nbのそれぞれは接続を断たれ得る。それゆえに、蓄積コンデンサCRES410.1〜410.Nの第1および第2のプレートは、チップ420の外側から接続を断たれ得る(例えば、外部VREF1およびVREF2から接続を断たれる)し、それゆえに、寄生物から電荷再分配型DAC400を分離する。第2段階において、一つまたは複数のDAC入力ワードがスイッチ406.1〜406.Nに適用され得る。各DAC入力ワードにおいて、デジタルの「1」は、対応DACコンデンサ404を対応蓄積コンデンサCRES410の第1の側面に接続することができ、デジタルの「0」は対応DACコンデンサ404を対応蓄積コンデンサCRES410の第2の側面に接続することができる。従って、電荷再分配の全ては、蓄積コンデンサCRES410.1〜410.NとDACコンデンサ404.1〜404.Nとの間で、完全にチップ上で行われることになる。
【0020】
一実施形態では、蓄積コンデンサ410.1〜410.Nのそれぞれは、寸法が異なるように定められ得る。1CのDACコンデンサ404.1に接続されるLSB蓄積コンデンサ410.1は、最小の電荷共有に支配される(1Cは最小のDACコンデンサである)ので、最小であり得るし、DAC出力におけるそれの有意性もまた最小である。2N−1CのDACコンデンサ404.Nに接続されるMSB蓄積コンデンサ410.Nは、最大の電荷共有に支配される(2N−1Cは最大のDACコンデンサである)ので、最大であり得るし、DAC出力におけるそれの有意性もまた最大である。最大の蓄積コンデンサ410.Nでさえも、単一の蓄積コンデンサ210よりもかなり小さなキャパシタンスを有し得る。更に、410.1〜410.Nの全体的なキャパシタンスは単一の蓄積コンデンサ210のキャパシタンスよりも小さいものであり得る。
【0021】
別の実施形態では、蓄積コンデンサ410の数はDACコンデンサ404の数よりも少なくてもよい。すなわち、本発明に係る実施形態は、各ビットについて別個の蓄積コンデンサを有する必要はなく、少なくとも1つの蓄積コンデンサが2つ以上のDACコンデンサによって共有されてもよい。電荷再分配型DAC200は、1つの蓄積コンデンサがN個のDACコンデンサによって共有され得る例であり得る。
【0022】
図示されない一実施形態では、電荷再分配型DAC400のDACコンデンサは、コンデンサ分割アレイに構成され得る。
【0023】
図5は、本発明の実施形態に係る電荷再分配型DACを備えるSAR ADC500を示す。SAR ADC500は、サンプルおよびホールド回路(S/H)502と、電圧比較器504と、内部NビットDAC508と、デジタル制御論理ブロック506とを備える。動作の間、S/H回路502は入力電圧Vinを取得することができ、アナログ電圧比較器504は入力電圧Vinを内部NビットDAC508の出力と比較することができる。比較の結果は、デジタル制御論理ブロック506に出力されることができ、そのデジタル制御論理ブロックはVinの近似的なデジタルコードをNビットDAC508に供給することができる。Vinの近似的なデジタルコードはNビット制御ワード(例えば、本発明の実施形態に係るDAC入力ワード)であり得る。
【0024】
デジタル制御論理ブロック506は逐次近似レジスタを含んでもよい。SAR ADC500は下記のように動作し得る。逐次近似レジスタは、最上位ビット(MSB)がデジタルの1に等しいものであり得るように初期化され得る。このコードはDAC508に送られ、次いで、そのDACは、サンプリングされた入力電圧Vinとの比較のためにこのデジタルコードのアナログ同等値(例えば、
【数2】
)を比較器回路に供給することができる。このアナログ電圧がVinを超える場合、比較器504はSARにこのビットをリセットさせ得る。そうではない場合、ビットは1のままにされ得る。それから、次のビットは1に設定することができ、同じ検査が実行され得る。このバイナリ検索は、SAR内の全てのビットが検査されるまで続けられ得る。その結果として生じるコードはサンプリングされた入力電圧Vinのデジタル近似値とすることができ、変換の最後(EOC)においてSAR ADC500によって最終的に出力され得る。
【0025】
SAR ADC500の内部NビットDAC508は、発明の実施形態に係るNビット電荷再分配型DACとすることができる。SARは、それのビット決定を時間内に順次行うので、DAC整定時間の改善は、最大SARスループットに大きな影響を与えることができる。
【0026】
図6は、本発明の実施形態に係る電荷再分配型DACについてのプロセス600を示す。プロセス600はブロック602で開始することができる。ブロック602において、電荷再分配型DACのオンチップ蓄積コンデンサは、2つの外部基準電圧(例えば、VREF1およびVREF2)に接続され得る。例えば、図2図4および図7図8に関して記載されるように、動作の第1段階の間、本発明に係る電荷再分配型DACのオンチップ蓄積コンデンサは第1および第2の外部基準電圧に接続され得る。更に、動作のこの段階の間、電荷再分配型DACのDACコンデンサは、オンチップ蓄積コンデンサおよび外部基準電圧に接続されたままであり得るし、またあるいは、オンチップ蓄積コンデンサおよび外部基準電圧の接続から断たれたままであり得る。
【0027】
一実施形態では、電荷再分配型DACはADCの内部DACであってもよい。この実施形態では、ブロック602は、ADCのサンプルおよびホールド回路(S/H)が入力電圧Vinをサンプリングし得る間に実行され得る。それゆえに、本発明に係るADC例は、ADCのS/Hが入力電圧Vinをサンプリングする間に、それのDACに内部蓄積コンデンサに対する外部基準電圧をサンプリングさせ得る。
【0028】
ブロック602の完了において、プロセス604はブロック604に進むことができる。ブロック604では、電荷再分配型DACのオンチップ蓄積コンデンサは外部基準電圧の接続から断たれることができ、電荷再分配型DACのDACコンデンサは蓄積コンデンサに接続され得る。例えば、図3図4および図7図8に関して上記したように、動作の第2段階の間、本発明に係る電荷再分配型DACのオンチップ蓄積コンデンサは外部基準電圧およびアースの接続から断たれ得るし、電荷再分配型DACのDACコンデンサはDAC入力ワードに従って蓄積コンデンサに接続され得る。
【0029】
一実施形態では、電荷再分配型DACはADCの内部DACであってもよい。この実施形態では、ブロック604は、ADCが入力電圧Vinのそれのサンプリングを完了した後に実行され得る。更に、動作のこの段階において、本発明に係るADC例は、必要に応じて何度もDACコードを変更してもよい。それゆえに、ADCは、複数の値の間でDAC入力ワードを変更することによって複数のDACコードに対してサンプリングされた入力電圧の一連の比較を実行し得る。電荷はオンチップ蓄積コンデンサとDACコンデンサとの間で再分配されるので、本発明に係るADCはそれの性能を向上することができる。ブロック602および604は単数形でオンチップ蓄積コンデンサを表しているが、その記載は複数のオンチップ蓄積コンデンサが使用され得る図4および図8に係る実施形態にも適用可能であることを留意するべきである。
【0030】
図7は、本発明の別の実施形態に係る別の電荷再分配型DAC700を示す。電荷再分配型DAC700は、NビットDACとすることができ、終端コンデンサ702と、一連のコンデンサ704.1〜704.Mと、デコーダ712と、複数のスイッチ706.1〜706.Mとを備えることができる。一実施形態では、コンデンサ704.1〜704.Mのそれぞれは、単位キャパシタンスを有することができ、数Mは2−1に等しいものであり得る。電荷再分配型DAC700は、2つのスイッチ708.1および708.2と、蓄積コンデンサCRES710とを更に備えることができる。電荷再分配型DAC700のこれらの構成要素の全ては、ICチップ720上に(例えば、同じダイ上に)一体化されることができ、蓄積コンデンサCRES710はオンチップ蓄積コンデンサとすることができる。
【0031】
電荷再分配型DAC700は、単位キャパシタンスをそれぞれ有するM(2−1)個のコンデンサ704.1〜704.Mを有し、各々はNビットDAC入力ワードを復号するデコーダ712によって制御されるM個のスイッチ706.1〜706.Mを有する点で、電荷再分配型DAC200とは異なり得る。
【0032】
電荷再分配型DAC700は、電荷再分配型DAC200と同様に、2つの段階において動作し得る。2つのスイッチ708.1、708.2、および蓄積コンデンサCRES710は、スイッチ208.1、208.2および蓄積コンデンサCRES210と同様であり得るし、同様に動作し得る。最初の実行段階の間、スイッチ706.1〜706.Mは、第1段階についてのスイッチ206.1〜206.Nともやはり同様に、蓄積コンデンサCRES710に接続することができるし、あるいは、蓄積コンデンサCRES710の接続から断たれることができる。
【0033】
第2段階の間、スイッチ708.1および708.2は、蓄積コンデンサCRES710の第1および第2の側面を外部基準電圧の接続から断つことができ(例えば、外部VREF1およびVREF2の接続から断ち)、それゆえに、寄生物から電荷再分配型DAC700を分離する。デコーダ712は、スイッチ706.1〜706.Mのいくつかを蓄積コンデンサCRES710の第1の側面に接続し、その他を蓄積コンデンサCRES710の他方の側面に接続するためにDAC入力ワードに基づいてスイッチ706.1〜706.M用の制御信号を生成し得る。DAC入力ワードは、0〜2−1の値の範囲(例えば、N=3の場合、その値の範囲は0〜7であり得る)を有するNビットバイナリワードであり得る。DAC入力ワードが特定値Fを有するとき、デコーダ712は、蓄積コンデンサCRES710の第1の側面に接続されるM個のスイッチのうちのF個を選択し、残りの(M引くF個の)スイッチを蓄積コンデンサCRES710の第2の側面に接続させ得る。例えば、(例えば、バイナリDAC入力ワード「101」に対応する)N=3およびF=5の場合、7個のスイッチ(M=2−1=7)のうちの、5個は、蓄積コンデンサCRES710の第1の側面に接続されるために選択され得るし、残りの2個のスイッチは蓄積コンデンサCRES710の第2の側面に接続され得る。別の例において、Fがゼロである場合、スイッチ706.1〜706.Mのいずれも蓄積コンデンサCRES710の第1の側面に接続されないために選択されず、代わりに、それらの全てが蓄積コンデンサCRES710の第2の側面に接続され得る。
【0034】
一実施形態では、DACコンデンサ704.1〜704.Mの全てが単位キャパシタンスを有し得るので、コンデンサ704.1〜704.Mは、蓄積コンデンサCRES710の第1の側面または第2の側面に接続するために動作の間に無秩序に選択され得る。
【0035】
図8は、本発明の別の実施形態に係る別の電荷再分配型DAC800を示す。電荷再分配型DAC800は、NビットDACとすることができ、終端コンデンサ802と、一連のコンデンサ804.1〜804.Mと、デコーダ712と、複数のスイッチ806.1〜806.Mとを備えることができる。電荷再分配型DAC800は、複数の蓄積コンデンサCRES810.1〜810.Mを更に備えることができる。蓄積コンデンサCRES810.1〜810.Mは、スイッチ808.1aおよび808.1bから808.Maおよび808.Mbによってそれぞれ基準電圧VREF1およびVREF2のための外部端子に接続される第1の側面(例えば、第1のプレートまたは上部プレート)および第2の側面(例えば、第2のプレートまたは底部プレート)をそれぞれ有し得る。各DACコンデンサ804は、それぞれの蓄積コンデンサCRES810の第1の側面または第2の側面に接続されるそれぞれのスイッチ806によって制御され得る。電荷再分配型DAC800のこれらの構成要素の全て、例えば、コンデンサ(802、804.1〜804.M)、スイッチ(806.1〜806.M、808.1aおよび808.1bから808.Maおよび808.Mbまで)、蓄積コンデンサCRES(810.1〜810.M)は、ICチップ820上に(例えば、同じダイ上に)一体化されることができ、蓄積コンデンサCRES(810.1〜810.M)はオンチップ蓄積コンデンサとすることができる。一実施形態では、各コンデンサ804は単位キャパシタンスを有し、その数Mは2−1に等しいものであり得る。
【0036】
電荷再分配型DAC800は、単位キャパシタンスをそれぞれ有するM(2−1)個のコンデンサ804.1〜804.Mを有し、NビットDAC入力ワードを復号することによって制御信号を生成するデコーダ812によって制御されるM個のスイッチ806.1〜806.Mを有し、M個の蓄積コンデンサならびにM組のスイッチ808.1aおよび808.1bから808.Maおよび808.Mbまでを有する点で、電荷再分配型DAC400とは異なり得る。一実施形態では、M個の蓄積コンデンサは十分に大きく、均等に寸法を定められ得る。
【0037】
電荷再分配型DAC800は、電荷再分配型DAC400と同様に、2つの段階において動作し得る。最初の実行段階の間、M組のスイッチ808.1aおよび808.1bから808.Maおよび808.Mbまでは、M個の蓄積コンデンサ810.1〜810.Mに外部基準電圧VREF1およびVREF2をサンプリングさせるために閉じられ得る。この段階の間、スイッチ806.1〜806.Mは、蓄積コンデンサCRES810.1〜810.Mに接続され得るし、あるいは、蓄積コンデンサCRES810.1〜810.Mの接続から断たれ得る。
【0038】
第2段階の間、M組のスイッチ808.1aおよび808.1bから808.Maおよび808.Mbまでは、M個の蓄積コンデンサ810.1〜810.Mを外部基準電圧VREF1およびVREF2の接続からを断つために開かれ得る。それゆえに、寄生物から電荷再分配型DAC800を分離する。デコーダ812は、図7に関して上記されたデコーダ712のように、DAC入力ワードに基づいてスイッチ806.1〜806.M用の選択信号を生成し得る。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書中に詳細に例示され、記載された。しかしながら、本発明の改変および変形は、発明の趣旨および意図された範囲から逸脱することなく、上記教示によって、また、添付の特許請求の範囲内に包含されることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0040】
200 電荷再分配型DAC
202 終端コンデンサ
204.1〜204.N バイナリ重み付けコンデンサ
206.1〜206.N スイッチ
208.1、208.2 スイッチ
210 蓄積コンデンサCRES
220 ICチップ
400 電荷再分配型DAC
402 終端コンデンサ
404.1〜204.N バイナリ重み付けコンデンサ
406.1〜206.N スイッチ
408.1a〜408.Na スイッチ
408.1b〜408.Nb スイッチ
410.1〜410.N 蓄積コンデンサCRES
420 ICチップ
500 SAR ADC
502 サンプルおよびホールド回路
504 電圧比較器
506 デジタル制御論理ブロック
508 DAC
700 電荷再分配型DAC
702 終端コンデンサ
704.1〜704.M コンデンサ
706.1〜206.M スイッチ
708.1、708.2 スイッチ
710 蓄積コンデンサCRES
712 デコーダ
720 ICチップ
800 電荷再分配型DAC
802 終端コンデンサ
804.1〜804.M コンデンサ
806.1〜806.M スイッチ
808.1a〜808.Ma スイッチ
808.1b〜808.Mb スイッチ
810.1〜810.N 蓄積コンデンサCRES
812 デコーダ
820 ICチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8