特許第5735736号(P5735736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5735736統合された印刷システム及び統合された印刷システムの媒体の印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735736
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】統合された印刷システム及び統合された印刷システムの媒体の印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20150528BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150528BHJP
   B41J 3/60 20060101ALI20150528BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G06F3/12 P
   B41J3/60
   B41J11/00 B
   B41J11/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-215699(P2009-215699)
(22)【出願日】2009年9月17日
(65)【公開番号】特開2010-69879(P2010-69879A)
(43)【公開日】2010年4月2日
【審査請求日】2012年8月29日
(31)【優先権主張番号】12/211,852
(32)【優先日】2008年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー ティー.ボバー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジェイ.スペンス
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−183501(JP,A)
【文献】 特開2005−205668(JP,A)
【文献】 特開2004−093988(JP,A)
【文献】 特開2005−239363(JP,A)
【文献】 特開平04−335692(JP,A)
【文献】 特開昭59−010958(JP,A)
【文献】 特開2008−126609(JP,A)
【文献】 特開2003−207954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 3/60
B41J 11/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷済シートの出力部を有し、シンプレックス、内部デュプレックス、単一パスデュプレックスの印刷機能を備えた、少なくとも第1及び第2の電子プリンタを含む統合された印刷システムであって、
前記第1及び第2の電子プリンタは隣接しており、
前記第1の電子プリンタは、内部デュプレックスループ経路を有し、
前記第1及び第2の電子プリンタが印刷ジョブの協調的な分担のために統合された出力部を有し、
前記第1及び第2の電子プリンタの間にはインバータモジュールが配置され、
前記インバータモジュールがトリプルモードインバータを含み、
前記トリプルモードインバータが、
前記第1の電子プリンタで片面印刷されたシートが送り込まれた場合に、単一パスデュプレックス印刷のために、前記第2の電子プリンタで前記シートの印刷された面と反対の面に画像が印刷されるように前記第2の電子プリンタに送り出す、または、前記第2の電子プリンタで印刷を行わないように前記第2の電子プリンタに送り出す、第1のモード、
前記第1の電子プリンタで片面印刷されたシートが送り込まれた場合に、前記第1の電子プリンタで前記シートの印刷された面と反対の面に画像が印刷されるように前記第1の電子プリンタに戻す、前記第1の電子プリンタによる内部デュプレックス印刷のための第2のモード、及び、
前記第1の電子プリンタから未印刷シートが送り込まれた場合に、前記第2の電子プリンタで印刷を行うように前記未印刷シートを前記第2の電子プリンタに送り出す、前記第2の電子プリンタによるシンプレックス印刷のための第3のモード、
を有する、統合された印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して画像形成装置に関し、より詳細にはパススルー(通り抜け)インバータを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、シートインバータは印刷技術において「インバータ」と呼ばれており、その機能はシートを直ちに反転させる(即ち、一方の面をもう一方の面に替える)ことに必ずしも限定されていない。シートの移動方向の向きを効果的に逆にすることもインバータの機能である。即ち、シートの先端(リードエッジ)及び後端(トレイルエッジ)の向きを逆にすることである。一般に、インバータデバイスでは、シートはフィードローラや他の好適なシート駆動機構によってシート反転シュートに送り込まれる。そして、シュート内でシートの動きを反転させ、シートを元の位置に戻すようにシュートから送り出すことにより、シート経路におけるシートの先端及び後端の所望の反転が成し遂げられる。湾曲した入口バッフル及び出口バッフルやシートガイドの位置及び形状により、もう一方の面への反転機能が成し遂げられる。
【0003】
密接に統合されたシリアル又はパラレルの印刷(即ち、水平方向又は垂直方向に積み重ねて配置することのできる複数のマーキングエンジンに印刷ジョブの複数の部分を分配することのできる印刷システム)では、例えば特許文献1の図1に開示されるように、長い高速の媒体経路搬送部が上流の印刷エンジンと下流の印刷エンジンとの間に用いられ、上流印刷エンジンと下流印刷エンジンとの間に配置されたインバータを下流印刷エンジンの媒体経路搬送部に接続している。ここで、シートを上方向に、そして第2の画像出力ターミナル14の上に方向づけるために、中間媒体搬送モジュール24を含む余分な媒体経路、即ちハイウェイ媒体経路搬送部が用いられている。シリアル又はパラレルのマーキングエンジン媒体経路は、それら自体のプリント(印刷物)のデュプレックス(両面複写)(内部デュプレックス)を行ったり、シリアルデュプレックス(単一のデュプレックス)を行ったり、シンプレックス(片面複写)のみのシートを作成してフィニッシャに出したり、未使用の媒体を第2のエンジンに送り込んだりすることができなければならない。これは、プリンタの長さにわたって延びる、選択ゲート、インバータ、ニップロールなどを備えた複数の媒体経路又は搬送部を伴うことが多い。このシリアル又はパラレルの媒体経路搬送部構造の問題点は、媒体経路が増えると、特にユニット製造コスト(UMC)、ジャム(詰まり)除去の操作性、ジョブ回復の複雑さ、電源条件、ノイズなど、一般に機械的な複雑さとコストが増すことである。
【0004】
よって、密接に統合されたシリアル又はパラレルの印刷では、プリンタのコスト及び機械的な複雑さを取り除くために媒体経路搬送部を簡素化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,024,152号明細書
【特許文献2】米国特許第5,568,246号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明により、密接に統合されたシリアル又はパラレルの印刷システムにおいて使用する改良された構造が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様が、印刷済シートの出力部を有し、シンプレックス及びデュプレックス双方の印刷機能を備えた少なくとも第1及び第2の隣接する電子プリンタを含む統合された印刷システムであって、前記デュプレックス印刷機能のために内部デュプレックスループ経路を有する前記電子プリンタのうち少なくとも1つを含み、前記第1及び第2の電子プリンタが印刷ジョブの協調的な共有印刷のために統合された出力部を有し、前記統合された印刷システムが、各々が少なくとも前記第1及び第2の電子プリンタの後に配置された少なくとも2つのインバータモジュールを含み、前記少なくとも2つのインバータモジュールの各々がトリプルモードインバータを含み、前記トリプルモードインバータが、第1のモードでは、片面複写されたシートが第1の方向で前記トリプルモードインバータに送り込まれて前記トリプルモードインバータから送り出され、第2のモードでは、両面複写される予定の片面複写済シートが反対側の面に画像を受け取るように第2の方向に送られ、第3のモードでは、前記第2の隣接するプリンタによって画像が前記未印刷シート上に配置されるように未印刷シートが前記第1の方向で送られる、ように構成されている、統合された印刷システムにより提供される。この構造は、まっすぐなパススルー媒体経路と、通常のバイパス経路及び反転経路を備えた少なくとも1つのインバータモジュールを含む。インバータのこの補助的な「パススルー」媒体経路により、シートは、シートの反転や画像の反転を行って下流エンジンの媒体経路に入ることなしに、デュプレックス出口経路を通って、インバータに「後方から(backwards)」入り、まっすぐに進み続けてインバータを出ることができる。
【発明の効果】
【0008】
パススルーインバータモジュール構造は、既存の印刷エンジン媒体搬送部を利用することにより、これまでに使用されてきた長い高速の媒体搬送部の必要性を取り除き、密接に統合されたシリアル又はパラレルの印刷構造を可能にするために必要な新しい媒体経路の構成要素の数を大幅に減少させる。このことにより、特定の構造によっては、ニップの数及びバッフルの長さを約30%減少させることができ、駆動、用紙経路センサ、電力、そして最終的にはUMCにおいて同様の減少を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一連の「パススルー」インバータモジュールを用いた、密接に統合されたシリアルプリンタ装置の正面図である。
図2図1のプリンタに用いられる「パススルー」インバータモジュールのうちの1つの拡大部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
種々の前述の特徴及び利点、ならびに更なる特徴及び利点のうちのいくつかが、以下の例に述べる特定の装置、その動作又は方法、そして請求の範囲から、当業者には明らかであろう。よって、これらの特徴及び利点は、(ほぼ原寸に比例する)図面を含むこれらの特定の実施の形態の説明からよりよく理解されるであろう。
【0011】
図面を参照すると、実施の形態が限定のためではなく例示のために示されている。例えば、2つのカラーエンジンを含む密接に統合されたパラレル印刷システムを後述するが、2つの白黒エンジンを用いるか又はカラーエンジンと白黒エンジンを1つずつ用いる密接に統合されたパラレル印刷システムが「パススルー」インバータの使用において同様に有用である。図1は印刷システム10の概略図を示しており、印刷システム10は、シートフィードモジュール11と、カラー画像マーキングエンジン(IME)13及び15をそれぞれ含む第1の電子プリンタ12及び第2の電子プリンタ14と、これら3つの要素を接続し、ドキュメントの密接に統合されたパラレル印刷のためにシステムと関連する改良されたインバータモジュール20及び30とを含む。カラー画像マーキングエンジン(IME)13及び15は、シアン、イエロー、マゼンタ及びブラックの現像剤ハウジングを含む。印刷システムからの最終的な出力がフィニッシャF(図示せず)に送られる。双方の印刷エンジンからのシンプレックスコピーに関しては、フィーダモジュール11は、シートを下方に送って垂直搬送路16に入れる複数の従来のシートフィーダ(給紙装置)を含み、垂直搬送路16はIME13からの画像をシートに転写させるためにシートを転写ステーション17に搬送する。次に、シートはフューザ18を通過してインバータモジュール20の図2のシンプレックス経路バイパス経路Aに搬送され、カール防止装置40及びカラーセンサ42を通過する。その後、シートは垂直搬送路44を通ってハイウェイ媒体搬送路19に搬送され、(図2に詳しく示すインバータモジュール20と部品及び機能性が同一である)インバータモジュール30のデュプレックス出口及びパススルー入口経路Eに入り、先端が水平部分27を通って移動してゲート26を通過し、必要に応じて、シートの後端がゲート24を通過するまで上方に移動してインバータ脚部28に入る。次いで、シートは反転され、ゲート24により方向転換されて上方のインバータ搬送部Hに送られ、ゲートBにより方向転換されてシンプレックス出口経路Gに入り、カール防止装置54及びカラーセンサ56を通過し、フィニッシャモジュールFに画像形成面を下にして送り込まれる。第2の印刷エンジンに向けた未印刷のシートがシートフィーダモジュール11から下方向に送り出され、垂直搬送部16を通過し、ハイウェイ媒体搬送路19を渡ってパススルー入口Eからパススルーインバータモジュール20に入り、パススルー出口Jから出て矢印46の方向に進み、見当合わせ搬送部Nに沿って転写ステーション50に達し、IME15から画像を受け取る。次にシートはフィニッシャFに向かう途中でフューザ52、カール防止装置54及びカラーセンサ56を通過するように搬送される。パラレルシンプレックス印刷と、直列に配列されたマーキングエンジンを介する内部パス又は単一パス(シリアル)のデュプレックス印刷の実施に関する詳細は公知であり、特許文献2を参照して理解することができる。制御ステーション60により、オペレータは所望のジョブの詳細を選択的に制御することができる。必要に応じて、カバー、写真、タブシート又は他の特殊なシートのような挿入シート又は割り込みシートを、補助シートフィーダソース(図示せず)からシート入力部70を介して第1のプリンタエンジンに挿入することができる。図2では、インバータモジュール30と同一であり、本発明に従って第1の電子プリンタから第2の電子プリンタへの未印刷シートの通り抜けを簡易にする、第1の電子プリンタ12と第2の電子プリンタ14との間に配置された改良されたインバータモジュール20の拡大側面図が示されている。インバータモジュールは、複数位置に配置可能な(複数の位置を取ることができる)シンプレックス反転ゲート22を備えたインバータ21を含み、インバータ21は、第1の位置において、フューザ18から受け取った片面複写済の未反転シート(一方の面のみに画像形成されている)をバイパス部Aに方向づけ、これを通過させてカール防止装置40に送り、その後で第2の電子プリンタ14に送り込む。ゲート22が内部デュプレックスのために第2の位置にある場合、シートは入口経路Dに向けられて入り、U字状媒体経路部材25の第1の脚部23を下方向に移動してデュプレックスゲート24を通過する。デュプレックスゲート24は、引込位置、即ち第1の位置において、U字状部材25の水平部分27を通ってパススルーゲート26を通過するようにシートを送り、パススルーゲート26は、第1の位置では、後端がゲート24を通過するまでU字状部材の第2の脚部28へ上方向にシートを送る。次に、デュプレックスゲート24は、プリンタのデュプレックス経路へ出るために第2の位置に作動される。反対側の面に画像を形成するために、個々のシートは反転され、インバータのデュプレックス出口部Eから出てハイウェイ媒体経路19及び見当合わせ搬送部Lに戻り、これらを通ってIME13に達し、反対側の面に画像が形成される。
【0012】
シリアルパス、即ち単一パスでデュプレックスを行うために、IME13において片面複写されたシートがインバータ20のシンプレックス入口経路Aに入り、前述のように反転され、シンプレックス出口経路Gを出て、画像が両側の面に配置されるようIME15に送られる。この後、シートは必要に応じてインバータ30に送られ、フィニッシャFにおいて適切な向きになるように反転される。
【0013】
よって、バイパス、シンプレックス反転経路及びデュプレックス反転経路、ならびにまっすぐなパススルー経路を含むインバータモジュールが開示された。このインバータモジュールは、従来から上流のプリンタを下流のプリンタの媒体経路に接続する長い高速の搬送部に取って代わるためにプリンタ間に挿入される。このインバータモジュールはプリンタの既存の搬送部を利用し、密接に統合されたパラレル及びシリアル印刷構造を可能にするのに必要な媒体経路の構成要素の数を大幅に減少させる。
【0014】
他の代わりの実施の形態は、第2の印刷エンジンの右側に位置する第3の印刷エンジンを含む。この実施の形態では、第3のインバータモジュールは、フィニッシャFに入るシートを必要なときに適切に方向づけるため、そして第3の印刷エンジン及びデュプレックスハイウェイ経路のインバータとして作用するために、第3の印刷エンジンの右側に配置される。この実施の形態では、3つの印刷エンジンは全て、ドキュメントシートを協働してフィニッシャFに供給することができる。また、第2の印刷エンジンは単一パスのデュプレックス印刷をするためにドキュメントを第3の印刷エンジンに供給することができる。
【0015】
本願においては、出願時、又は、補正がある場合は補正時の請求の範囲は、本明細書に開示された実施の形態及び教示内容の変形物、代替物、変更物、改良物、同等物及び実質的な同等物を包含し、これらは、現在では予測できないもの又は認められていないもの、また例えば出願人/特許権者及び他者から生じうるものを含む。請求項に具体的に記載のない限り、特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、カラー又は材料に関して、請求項のステップ又は構成要素を本明細書又は他の請求項から示唆したり取り込んだりしてはならない。
【符号の説明】
【0016】
10 印刷システム
11 シートフィードモジュール
12、14 電子プリンタ
13、15 カラー画像マーキングエンジン
19 ハイウェイ媒体搬送路
20、30 インバータモジュール
21 インバータ
27 水平部分
F フィニッシャ
図1
図2