【実施例1】
【0020】
本発明は、多くのタイプのクレーンに対して適用可能であるけれども、以下、
図1に作動形態で示されている移動式巻き上げクレーン10と関連付けて説明する。移動式巻き上げクレーン10は、車体12とも称することができる下方機構と、クローラー14及び16の形態の可動の接地部材とを備えている。もちろん、2つの前方クローラー14と2つの後方クローラーが設けられているが、これらのクローラーの各々の一方のみが
図1及び2の側面図において見ることができる。クレーン10においては、接地部材は、ちょうど一組みのクローラーを各側部に一つずつとすることができる。もちろん、図示されているもの以外の付加的なクローラーを使用することができると共に、他のタイプの接地部材例えばタイヤを使用することができる。
【0021】
回転床20は旋回リングによって車体12に取り付けられていて、回転床20は、軸線を中心として接地部材14,16に対して旋回することができる。回転床は、回転床の前方部分上に枢動可能に取り付けられているブーム22と、回転床の第一の端部に取り付けられているマスト28であって第二の端部に隣接した位置で該マストに結合されている下方スライド平衡装置47を備えているマスト28と、マストと回転床の後方部分との間に結合されている後方連結器30と、可動のカウンタウエイトユニット34とを支持している。カウンタウエイトユニットは、支持部材上の個々のカウンタウエイト部材44の多層形態とされている。
【0022】
マスト28の頂部とブーム22との間のブーム巻き上げ索具(以下に更に詳細に説明されている)は、ブーム角度を制御し且つ荷重を伝達してカウンタウエイトがクレーンによって吊り上げられる荷のバランスをとるために使用することができるようになされている。荷巻き上げワイヤーロープ24は、フック26を支持しているブーム22のプーリー(通常は、滑車の組内の多数の滑車)に這わされている。荷巻き上げワイヤーロープの他端は第一の主要な荷巻き上げドラム70に巻き付けられている。第一の主要な荷巻き上げドラム70は以下に更に詳細に説明される回転床に結合されている。回転床20は、他の部材であって移動式巻き上げクレーンにおいて一般的に見られる、例えば運転室、ブーム巻き上げ索具のための巻き上げドラム50、第二の主要な巻き上げドラム80及び補巻きロープのための補助荷巻上げドラム90を備えており、これらもまた以下に更に詳細に説明する。所望ならば、
図1に示されているように、ブーム22はラフィングジブ23を備えていても良く、ラフィングジブ23は、主要ブーム又はその他のブームの構造の頂部に枢動可能に取り付けられている。ラフィングジブ23が備えられている場合には、クレーンは、ジブストップ45の形態の圧縮性のストップ部材のみならず、第一及び第二のジブ支柱及びこれに関連するラフィイングジブ索具及びラフティジブ巻き上げドラム100を備えている。ラフィングジブ巻き上げワイヤーロープ19は、ドラム100からワイヤーロープガイド18を介して支柱キャップ31の滑車間の索具まで延びており、ジブ支柱27と主要な支柱29との間の角度を制御するために使用されている。ジブのバックステーストラップ33は、主要な支柱29とブーム22の底部との間まで延びていて、ブーム22と主要な支柱29との間に固定角度を形成している。同様に、ジブ支持ストラップ37は、ラフィングジブ23の端部とジブ支柱27とを結合させていて、これら2つの部材間に固定角度を形成している。従って、主要な支柱29とジブ支柱27との間の角度はまた、ラフィングジブ23が主ブーム22との間に形成する角度をも規定している。支柱ストップ35が、主要支柱29とブーム22との間に結合されていてジブ23上に荷が無い場合に主要な支柱29に対する支持を提供し、主要な支柱を引っ張り上げる力は、前記の主要な支柱を引っ張り上げる力よりも小さい。支柱、ジブ巻き上げ索具及びジブのバックステーストラップ33を組み立てる方法の詳細は、米国特許出願第12/730,421号に更に詳細に開示されている。ブーム頂部とジブ23との間へのジブ支柱45の結合は
図11〜13に示されており、以下において更に詳細に説明されている。ここでは更に説明しないけれども、支柱ストップ35は圧縮性のストップ部材のような構造とすることができ、このストップ部材は、以下に詳細に説明するブームストップ15とジブストップ45とのために使用されている。
【0023】
後方連結器30は、マスト28の頂部に隣接しているが、該マストに結合されている他の部品と干渉しないようにマストの十分下方に結合されている。後方連結器30は、
図1に示されているように格子部材からなり、該格子部材は、圧縮荷重と引っ張り荷重との両方を坦持する設計とされている。クレーン10においては、マストは、クレーンの作業例えば掴み取り、移動及び設置作業中に回転床に対して特定の角度に保持される。
【0024】
カウンタウエイトユニット34は、回転床20の残りの部分に対して動かすことができる。マストの頂部に隣接して結合されている引っ張り部材32は、カウンタウエイトユニットを吊り下げモードで支持している。カウンタウエイト移動構造が、回転床とカウンタウエイトユニットとの間に結合されていて、カウンタウエイトがマスト頂部前方の第一の位置へと動かされ且つこの位置に保持され、マスト頂部後方の第二の位置へと動かされ且つ保持されるようになされており、このことは、米国出願特許第12/023,902号に更に詳細に説明されている。
【0025】
少なくとも1つの直線作動装置36例えば液体シリンダ又は代替え的にはラック及びピニオンアセンブリと、第一の端部が回転床に枢動可能に結合されており且つ第二の端部が直線作動装置36に枢動可能に結合されている少なくとも1つのアームとが、クレーン10のカウンタウエイト移動構造に使用されていて、カウンタウエイトの位置を変更することができるようになされている。アームと直線作動装置36とは、回転床とカウンタウエイトユニットとの間に結合されていて、直線作動装置36の伸長及び収縮によってカウンタウエイトの回転床に対する位置が変更される。
図1は最も前方位置にあるカウンタウエイトユニットを示しているけれども、直線作動装置36は、部分的に又は完全に伸長させることができ、カウンタウエイトを中間位置及び後方位置又は荷がフック26から吊り下げられているときのようなあらゆる中間の位置へと移動させることができる。
【0026】
カウンタウエイト移動構造の好ましい実施例においては、枢動フレーム40は、
図2に示されている固相溶接板構造とすることができ且つ回転床20と直線作動装置36の第二の端部との間に結合されている。後方アーム38は、枢動フレーム40とカウンタウエイトユニットとの間に結合されている。後方アーム38もまた溶接板構造であり且つ枢動フレーム40に結合されている端部に角度が付けられた部分39を有している。これによって、アーム38は枢動フレーム40と直接に一直線に結合される。後方連結器30は、広がっていて隔置されている脚部を備えたA字形状の構造を有しており、これによって、カウンタウエイトが必要なときにこの脚部間を通過することができる。
【0027】
クレーン10には、カウンタウエイト支持装置46が設けられており、このカウンタウエイト支持装置は、幾つかの国においてはクレーン規格に適合することが要求される。カウンタウエイト移動構造とカウンタウエイト支持構造とは、米国出願第12/023,902号に詳しく開示されている。
【0028】
ブーム巻き上げ索具はブーム巻き上げワイヤーロープを備えており、該ブーム巻き上げワイヤーロープは、ブーム巻き上げドラム50上に巻き付けられたワイヤーロープ25の形態であり且つ下方スライド平衡装置47及び上方スライド平衡装置48上の滑車に通されている。ブーム巻き上げドラムはフレーム60(
図2)に取り付けられており、フレームは回転床に結合されている。索具はまた固定長さのペンダント21をも備えており、ペンダント21はブーム頂部と上方スライド平衡装置48との間に結合されている。下方スライド平衡装置47はマスト28を介して回転床20に結合されている。この構造は、ブーム巻き上げドラム50を回転させて下方スライド平衡装置47と上方スライド平衡装置48との間に位置しているブーム巻き上げワイヤーロープ25の量を変えることができ、それによって、回転床20とブーム22との角度を変えることができる。
【0029】
ブーム巻き上げドラムのフレーム60、下方スライド平衡装置47及び上方スライド平衡装置48は、各々が、協働する取り付け構造を備えており、これによって、下方スライド平衡装置と上方スライド平衡装置とはブーム巻き上げドラムのフレームに取り外し可能に結合され、その結果、ブーム巻き上げドラム、下方スライド平衡装置、上方スライド平衡装置及びブーム巻き上げワイヤーロープは、結合したアセンブリとして搬送することができる。作業現場間で搬送されるような構造とされた結合されたブーム巻き上げドラム50、フレーム60、下方スライド平衡装置47及び上方スライド平衡装置48は、米国出願第12/561,007号に記載されている。
【0030】
クレーン10は、4つのドラムを備えており、これらのドラムの各々はフレームに取り付けられており且つ回転床に積層形態で結合されている。(回転床は、主フレームと前方及び後方のローラー坦持部材とを備えている。)更に、ジブ巻き上げドラム100は、フレームに取り付けられており、このフレームは前方のローラー坦持部材の前面に取り付けられている。4つの積層されたドラムのうちの2つのためのフレームは回転床に直に結合されており、一方、他の2つのドラムのためのフレームは回転床に直に取り付けられている前記2つのドラムのうち少なくとも一方に直に取り付けることによって回転床に間接的に結合されている。この場合には、前記4つの積層されたドラムは、荷巻上げワイヤーロープ24が巻き付けられている第一の主要な荷巻き上げドラム70と、荷巻上げワイヤーロープ17が巻き付けられている第二の主要な荷巻き上げドラム80と、補巻きロープ13が巻き付けられている補助の荷巻き上げドラム90と、ブーム巻き上げワイヤーロープ25が巻き付けられているブーム巻き上げドラム50とであるのが好ましい。補助の荷巻上げドラム90のフレーム91と第二の主要な荷巻き上げドラム80のフレーム81とは回転床に直に結合され(フレーム91がその前方において前方のローラー坦持部材上にピンで留められている)、第一の主要な荷巻き上げドラム70のフレーム71はフレーム81及び91の両方に結合されているのが好ましく、一方、ブーム巻き上げドラム50のためのフレーム60はフレーム81に結合されているのが好ましい。この点に関して、ブーム巻き上げドラムのためのフレーム60は、第二の主要な荷巻き上げドラムのフレーム81の頂部上に積層され且つピンで留められており、第一の主要な荷巻き上げドラムのフレーム71は、補助の荷巻き上げドラムのフレーム91の頂部上に積層され且つピンで留められている。これらのドラムフレームは、回転床に対して且つ取り外し可能なピンによって相互に結合されていて、フレームが分離され且つ回転床とは別個に搬送されるのを可能にしている。
【0031】
6番目のドラムとしては索具巻き上げドラム110があり、索具巻き上げドラム110には索具巻き上げワイヤーロープ111が巻き付けられている。索具巻き上げドラム110は、回転床20の下方部分に取り付けられており且つ他のドラムよりも軽量である。索具巻き上げワイヤーロープ111は、一つの実施例においては19mmのウィンチワイヤーロープとすることができ、このワイヤーロープはクレーン10を組み立てる補助とするために使用され、例えば、支柱キャップ31の滑車に通す速度及び主要支柱29の組み立て速度を速める補助とするために使用され、このことは米国特許出願第12/730,421号に説明されている。
【0032】
荷巻き上げドラム及びブーム巻き上げドラムは、
図2に示されているように、回転床に結合されているフレームに取り外し可能なピンによって取り付けられていて各々が回転床からドラムとフレームとの結合されたユニットとして取り外すことができるようになされているが、このことに加えて、ドラムフレームの積層体は、マスト28及びブームストップ15の形態の圧縮性のストップ部材が回転床に対して間接的に結合できるようにしてマスト28及びブームストップ15の作用線に沿って導かれる力が回転床に少なくとも1つのドラムのフレームを介して伝達されるようになされている。マスト28は圧縮荷重を支えている。このようにして、マストにかかる力の作用線はマストの軸線に沿って下方へ導かれる。マストのドラムフレーム装置への結合点は、これらの力を、ドラムフレーム装置を介して回転床20へと導く。
図2に示されている実施例においては、マストの圧縮荷重がドラムフレーム71及び91の前方の対角状の脚部72及び92によって支持される方法が容易にわかる。脚部72及び92はマストの軸線と直に一直線に並んでいる。
【0033】
ブームストップ15は作用線を有しており、この作用線はブームストップの長手軸線を通っている。従って、ブームストップ内の力は、ブームストップから、ブームストップの長手軸線と一直線である脚部73の頂部に設けられているピンへと伝達される。ピンにかかっている力は、次いでドラムの71、81及び91の部材の幾何学的構造によって回転床に伝えられる。ブーム22がその設計上最大のほぼ垂直位置を越えて後方へ反動する場合に、圧縮荷重はブームストップ15を介して脚部73の頂部に設けられているピンへと伝えられ、フレーム71の構造へと伝えられる。この荷重は、圧縮力によってフレーム71の脚部73及びフレーム81の脚部82へと下方へ分散され、引っ張り荷重は、フレーム71の脚部72及びフレーム91の脚部92を介して分散される。従って、ブームストップ15においては、ブームストップの作用線に沿って導かれる力は、ドラムフレームのうちの3つを介して回転床20に伝えられる。
【0034】
1つのブームストップ15について上記したけれども、クレーム10は2つのブームストップ15を備えているのが好ましい。しかしながら、ブームストップ15は、ほぼ同一であり且つ回転床20上に配置されていて、これらのうちの一つだけが
図1及び2の側面図に見ることができる。上記したように且つ
図3において最も詳しく見ることができるように、ブームストップ15は、一つの端部に、巻き上げドラムのフレーム
71の脚部73の頂部にピンによって留められることによって支持されている。巻き上げドラムのフレームに取り付けられている緩衝装置75は、ブームと係合していないときにブームストップ15を支持する。ブーム22は、ブームストップ係合部材41を備えており、ブームストップ15はU字形状部材79を備えており、U字形状部材79はブームストップ係合部材41と係合する形状及び大きさとされている。各ブームストップ15のためのブーム係合部材は、ブーム22に溶接されているプレート間に捕捉されているピン42を備えている。
【0035】
図4〜10に最も良く見られるように、ブームストップ15は、幾つかの部材すなわちハウジング52と自由ピストン62とロッド支持部分64を備えているロッド76とによって作られている。ハウジング52は、内側円筒形面53と、第一のシールされた端部54と、第二の端部56とを備えている。自由ピストン62は、ハウジング52内にハウジングの内側円筒形面53とシール係合状態で摺動可能に収容されている。圧縮チャンバ58が、ハウジング内の自由ピストンと第一のシールされた端部54との間に配置されている。(圧縮チャンバ58の大きさは、以下に説明するように種々の大きさの力がロッドにかけられると変化する。)機能的には、内側円筒形面53は、3つの円筒形面、すなわち、前記自由ピストンと摺動係合する第一の面と、第二の面であってロッド76の円筒形部分の周囲に液体チャンバを規定している第二の面(同じく以下に更に説明する)と、第三の面であってロッド支持部分64と摺動係合するための第三の面とを提供している。この実施例においては、これら3つの面の全てが同じ直径であり且つハウジング52内の単一の円筒形の穴の一部分として形成されているので、全体として内側面53が特定されている。持ち上げ用突起51がハウジング52の外側に安定化耳状部61に沿って設けられており、突起51は、搬送中にブームストップ15にピンを通して留めるために使用する貫通穴を備えている。
【0036】
ロッド支持部分64もまた、ハウジング52内に、ハウジングの内側円筒形面53と摺動係合状態で摺動可能に収容されていている。ロッド支持部分64は、自由ピストン62とハウジング52の第二の端部56との間の容積を、第一の液体チャンバ57と第二の液体チャンバ59とに分割しており、第一の液体チャンバ57は、ハウジングの内側の自由ピストン62とロッド支持部分64との間に容積を有している。ロッド支持部分64は、少なくとも1つ好ましくは2つの流路65を備えている。これらの流路は、妨害を受けず、ロッドの支持部分64がハウジング52内を摺動するときのごくわずかの圧力低下によって液体が第一の液体チャンバ57と第二の液体チャンバ59との間を流れることができるようにされている。
【0037】
ロッド76は、第一の端部77がロッド支持部分64に固定されており、ハウジングの第二の端部56から該第二の端部と摺動係合している状態でハウジング外部に延びており、ロッドの第二の端部78において終端している。ロッド76の直径はハウジング52の内径より小さい。従って、第二の液体チャンバ59は、ロッド76とハウジング52の内側円筒形面53との間で且つロッド支持部分64とハウジング52の第二の端部56とによって境界付けられている環状の空間からなる。
【0038】
図示されている好ましい実施例においては、ブームストップ15は、一端がブームストップを巻き上げドラムのフレーム
71に(従って、回転床20に)取り付け、他端がブーム22と係合している構造を有している。図示された実施例においては、ハウジング52のシールされている端部54はクレーンの回転床に枢支される構造とされており、ロッド76の第二の端部78は
柱状部材係合面(この場合には、ブーム係合面)を有している。もちろん、ブームストップ15は逆の形態で取り付けて、ロッド76がフレーム
71と回転床20とに取り付けられ、ハウジングのシールされた端部がブーム22と係合する構造とすることもできる。
【0039】
ハウジングのシールされている端部は少なくとも1つ好ましくは2つの伸長部93を備えており、これらの伸長部の各々は貫通しているピン穴94(
図8)を備えている。上記したように、ピンは、ハウジング52をクレーンの回転床に穴94及びフレーム
71の頂部に設けられた複数の穴にピンを通して留めることによって枢動可能に結合させる。ピンに取り付けられたねじ付きの部材には、ハンドル95が設けられているのが好ましい。(
図3)。ハンドル95を回すことによって、ピンが押し込まれたり引っ張り出されたりして、ブームストップ15をフレーム
71従って回転床20に係合させ又はフレームから解放させることができる。
【0040】
ロッド76の第二の端部78はU字形状の部材79を備えている。このU字形状部材には、頂部に底部よりも長い部材が形成されていて、ブームが低いブーム角度から
図2に示されている位置まで上方へ枢動するとブーム22がブームストップ15と係合するという事実を生じさせる。ロッド76の第二の端部78は、ハウジング52の内径よりも大きな肩部74を備えている。肩部74は、ブームストップ15が十分に圧縮されたときにU字形状部材79及びロッドの第二の端部78からの力をハウジング52に直に伝えるために使用されている。
【0041】
ハウジング52のシールされている端部54は、過圧防止装置97例えば装置内の最大予想圧力よりも高いがハウジング52の破壊圧力よりも低い圧力に設定されている安全逃がし弁装置と、圧力ゲージ96と流体連通しているポートとを備えているのが好ましい。過圧防止装置97はポートを備えており、このポートを開くことにより、ガスをチャンバ内へ導いて最初にチャンバを充填し且つチャンバが再充填される必要があるときには常にガスを追加することができる。充填及び抽気ポート99がハウジング52内の該ハウジングの第二の端部56の近くに設けられていて液体をチャンバ57及び59に追加できるようになされている。
【0042】
図9から最もわかるように、自由ピストン62は、自由ピストン62の外周に、シール例えばO−リング83と2つのガイド84とを備えているのが好ましい。ロッド支持部分64もまた、その外周にガイド86を備えているのが好ましい。ロッド支持部分は、ロッドの残りの部分の第一の端部77に2つのねじ87によって取り付けられている。
図10から最も良く分かるように、ハウジングの第二の端部56は別個のヘッド部材43によって作られているのが好ましく、ヘッド部材43は、ハウジングの残りの部分に、その外周に設けられたO−リング87及び支持部材88並びにその内面に設けられたロッドワイパー66、ロッドシール67、緩衝シール68及びピストンガイド69を介して嵌合せしめられている。ポート89が使用されて液体が装置の流体端部から漏れているか否かが検知される。透明な容器(図示せず)がポート89に結合されていて、シール67及び68を通過して漏れている流体が集められる。このようにして、クレーンのユーザーは透明な容器を監視することができる。流体が検知される場合には、適切な修理作業がなされなければならない。これは、伸長したロッドを見ることよりも良好な漏れ検知方法である。
【0043】
ブームストップ15がクレーンに設置される前に、ブームストップに液圧流体及びガスが充填され、次いでシールされる。ガスチャンバ58にはガス(好ましくは窒素)が充填される。第一及び第二の液体チャンバ57及び59には液圧流体が充填される。ガスの圧力によって自由ピストン62は
図6に見られるように右方向へ付勢される。自由ピストン62に作用するガスの圧力は、第一の液体チャンバ57の液体を加圧し、ロッド76を
図6に見られるように右方向へ付勢する。この装置内の液圧流体の量は、自由ピストン62の最も右側の位置を規定する。その理由は、ガス圧力が自由ピストンを押圧すると、自由ピストンは次いで液体内に圧力を発生させ、この圧力がロッド支持部分64の左側の面及びロッド76の第一の端部77に作用するからである。ロッド76の第二の端部78に圧力がかかっていない場合には、ロッドは右方向へ動く。なぜならば、ロッド支持部分64と第一の端部77とに左側から作用する圧力が、ロッド支持部分64の右側の面上の液体と接触している比較的小さな領域に作用する圧力よりも大きいからである。第二のチャンバ59内の流体は、ロッド支持部分64がハウジング52のヘッド部材43と係合してロッド76がハウジングから完全に押し出されないように停止されるまで流路65内を通って第一の液体チャンバ57内へと流れる。ロッド支持部分64が可能な限り遠くまで右側へ移動すると、自由ピストン62は安定する。
【0044】
ブーム22が低い角度にあるときには、ロッド76はハウジング52から伸長し、ブームストップ15は緩衝装置75上に載置されてブームストップを正しい位置に保持する。U字形状部材79はブーム角度が急勾配になるにつれてブームストップ係合部材41と係合するようにされる。回転床の回転面に対して第一のブーム角度にあるときには、ブームストップ15はブームと係合する。既に記したように、この第一の角度においては、ロッド支持部分64はブームストップのハウジング52の第二の端部56を形成しているヘッド部材43と接触している。ブーム22が後方へ動き続けると、ブームはU字形状部材79を押圧してロッド76をハウジング52内へ押し込む。この状態が生じると、流体は、チャンバ57から流路65を通ってチャンバ59内へと流れる。しかしながら、チャンバ59の単位長さの容積は、ロッド支持部分64の右側にロッドが存在することによりチャンバ57の単位長さの容積よりも小さいので、液体は、自由ピストン62を左方向へ付勢してハウジング内に入って来るロッド76が占める容積の必要量に適応する。チャンバ58内のガスを圧縮することによってガスの圧力が増大する。この増大した圧力は液体に伝えられ、次いでロッド76の第一の端部77に作用せしめられる。このようにして、ブームストップを圧縮するために使われる力の量は、ロッドがハウジング57内へ押し込まれる深さが深くなるにつれて増大する。この増大速度は、最初はロッドの直径のハウジング52の内面53の直径に対する比の関数である。従って、ブーム22が第一の角度から第二の比較的急勾配の角度まで移動することによって、ロッド76はハウジング52内へ押し込まれ、その結果、ロッド支持部分64は自由ピストン62に近づく方向に付勢され、ロッドが移動するにつれて液体は第一の液体チャンバ57から第二の液体チャンバ59内へと流れて第二の液体チャンバ内に大きな容積が形成されるが第一の液体チャンバ内には小さな容積が形成され、ガスチャンバ58内及びロッド支持部分64上に釣り合った圧力の増大がもたらされ、それによって、ブームは第二の比較的急勾配の角度に向かう動きを阻止される。
【0045】
ブームが第二の角度に達すると、
図7に示されているように、第一のチャンバ57内の全ての流体が第二のチャンバ59内へと移動する。この時点でブームストップを更に圧縮するためには、ロッド支持部分64を自由ピストン62に対して直に押圧させ且つチャンバ58内のガスを圧縮させ、一方、これと同時に、液体チャンバ57及び59内を真空に引くことが必要とされる。このことを行うのに必要とされる付加的な力はハウジング52の内径に直接比例する。ブーム角度が急勾配になると、ブームは第三の角度に達し、この角度でロッド76の第二の端部78上の肩部74はヘッド部材43と接触状態となって
図8に示されているようにハウジング52の第二の端部56を形成し、ブームストップはブーム角度が更に増加するのを防止することができる。この第三のブーム角度においては、ブームストップは更に圧縮することはできない。このようにして、ハウジング52の構造はブーム22が更に後方へ転倒するのを防止する。荷が突然無くなることによってブームがこの位置へと反動して戻りつつある場合には、ブームストップのハウジング52は、“ブームを破壊させる”ほど十分に強くなければならず、このことは、ブーム22が曲がり始めるが後方へ枢動し続けることはできないことを意味している。
【0046】
ブームが第一の角度と第二の角度との間を動くとき、ブームは最初はロッド76をハウジング52内へと付勢してロッド支持部分64が自由ピストン62に隣接するまでロッドの直径に比例したロッドに対する力の増加を生じさせ、次いで、ブーム22が更に動くと、ロッドがロッド支持部分64と自由ピストンと62との両方をハウジングのシールされている端部54に向かって押してハウジングの内径に比例したロッド上の力の増加を生じさせる。十分に伸長した位置からロッド支持部分が自由ピストンに接触する位置までのストロークの第一の部分の間においては、力はロッドの直径の関数である。ストロークの残りの部分の間において、力は、ハウジングの内径と同じである自由ピストンの直径の関数である。これらの異なる2つの直径は、ロッド支持部分と自由ピストンとが接触するストローク内の位置において明確な力の増大を生じさせる。
【0047】
もちろん、自由ピストン62とロッド支持部分64との間の接触点は、肩部74がハウジング52と接触状態となる点に極めて近いか又は同じ点となるように設計される幾つかの実施例も可能である。このことにより、液体チャンバ57と59との内部を真空に引くことに耐えることができるシールを有する必要性が排除される。しかしながら、このことは、肩部74がハウジングの第二の端部56と接するまでの間は、ただ一つの力と圧縮との関係が提供されることを意味している。
【0048】
一つの実施例においては、第一の角度すなわちブーム22が最初にブームストップ15と係合する角度は約75°〜約80°好ましくは78°であり、第三の角度すなわちロッド76の肩部74がハウジング52の第二の端部と接触する角度は約88°〜約90°好ましくは約88°である。
【0049】
圧縮性のストップ部材の例示的な実施例においては、ロッド76は直径が8.25インチ(20.96センチメートル)であり、シリンダボアの直径は9.00インチ(22.86センチメートル)であり、ロッド支持部分は4つの流路を備えており、各々が0.781インチ(1.98センチメートル)の直径の穴によって作られていて流体がロッド支持部分64内を流れることができるようになされている。比較のために、ロッドの大きさ及びシリンダボアの直径に関して、直径が0.125インチ(3.18ミリメートル)の単一の通路は依然としてロッドの3インチ(7.62センチメートル)/秒の移動速度を提供する。このように、例示的な実施例における穴の数及び大きさは、流体チャンバ57と59との間の妨害されない流れを提供することは明らかである。チャンバ58内のガスの圧力は、ブーム及びジブの重量に応じて1340psi(20.68kpa)まで圧力が封入される。ガイド84及び86はテフロン(登録商標)によって作られている。
【0050】
本発明の好ましい実施例においては、圧縮性のストップ部材の液圧シリンダ部分とアキュムレータとが、結合されて単一の圧縮性のストップ部材のハウジング内に設けられる。このことにより、2つのユニット間のパイプによる結合が排除されてコストが低減される。更に、結合されているアキュムレータ/液体シリンダ内には弁構造が存在しない。唯一の液体の流れは妨害されない流路を介するものである。このことにより、圧縮性のストップ部材が比較的簡単になり且つ製作費用が安くなる。更に、ロッドの形状及びハウジングの形状は、ロッドがハウジング内の第一の位置まで押し込まれた後に、ロッドと自由ピストンとが相互に直に物理的に接触してロッドが前記第一の位置を越えてある距離だけハウジング内へ移動することによって、自由ピストンが同じ距離だけ直接移動せしめられるようになされている。
【0051】
更に、好ましい実施例が使用されて二段の力の作用又は単一段の作用が提供される。結局のところ、同じ機械的構造が、二段作用による圧縮性ストップ部材と単一段作用による圧縮性ストップ部材との両方に対して使用される。流体チャンバ57及び59に付加される液体の量を調整して、自由ピストン62とロッド支持部分64とが例えば
図7に示されているのと同じ中間位置で相互に接触するか又は肩部74がハウジングの第二の端部56に接触するまで接触状態とならないか否かを判定できるようにすることができる。この特徴により、製造者は、クレーンを設計し且つ組み立て、次いでその後に、圧縮性のストップ部材が単一段の力−圧縮曲線を提供しているか2つの機能曲線に依存して二段の圧縮が単にガスチャンバ内のガスの圧縮によってより大きな力を発生するかを判定することができる。
【0052】
チャンバ58へのガスの付加がチャンバ58を完全に真空にすることなく行われる場合には、チャンバ58内に残留湿度が存在している。この場合には、ハウジング52の内面をクロムメッキすることが好ましい。
【0053】
図1は、ジブストップ45が設けられているクレーン10を示している。ジブストップ45は、ブームストップ15と同じ内部構造を有している。もちろん、圧縮性ストップ部材の種々の部分の大きさは、圧縮性ストップ部材が受けるかも知しれない意図されている荷重に対して設計されている。これらの意図されている荷重は、ブームストップ15及びジブストップ45に対して異なっているので種々の部品の大きさも異なっている。更に、種々のモデルのクレーン及び同じクレーンに対する種々のブーム構造も、ブームストップ及びジブストップにかかる種々の意図された荷重を有するであろう。しかしながら、同じ基本的な設計を有することができ、ある程度は、正確に同じハウジング、自由ピストン及びロッドは、圧縮性ストップ部材内に配置されている圧縮ガス及び液圧オイルを異なる量で使用することができる。
【0054】
図11〜15は、ブーム22の頂部においてブームトップ49に取り付けられ且つラフィングジブ23に取り付けられているジブストップ45を示している。(ブームストップ15と同様に、実際には一対のジブストップ45が設けられているが、これらのうちの一方のみが
図11の側面図に見ることができる。)ジブ23は突出部121を備えたジブバットを備えており、突出部121にはビーム材125が取り付けられている。ビーム材125は、ジブストップがブームトップ上に配置される場所に応じてジブバッドよりも幅を広くするか又は狭くすることができる。ビーム材125は、ブームストップ係合部材41と類似しているジブストップ係合部材を備えている。(別の方法として、突出部121とビーム材125とは、ジブストップ係合部材がジブと一体であるように全て一つの溶接物として形成することができる。)ジブストップ45内のロッドは、ビーム材125のジブストップ係合部材と係合する形状及び大きさとされているU字形状部材129によって終端している。位置決めシリンダ131とリンク133とが、ジブ23がジブストップ45に係合するまでジブストップを正しい位置に保持するために使用されている。
【0055】
図11は、ジブストップ45との最初の接触位置にあるラフィングジブ23を示している。この位置では、位置決めシリンダ131は完全に後退している。位置決めシリンダ131は調整可能なロッド端部を有しており、このロッド端部は所望の組み立て隙間寸法を得るために使用することができ、この隙間寸法においては、位置決めシリンダ131は完全に後退せしめられ、U字形状部材129の一方の側部は、ビーム材125上のジブストップ係合部材を形成しているブラケット間に広がっているピンと接触しているが、該ピンはまだU字形状部材129の底部内に着座していない。
【0056】
図12にはラフィングジブ23と係合しているジブストップ45が緩衝作用の開始状態で示されている。図示されている実施形態においては、この緩衝作用は、ラフィングジブがブームの軸線に対して約20°の角度にあるとき始まる。位置決めシリンダ131は依然として一杯まで後退せしめられている。
図13は、ブームの軸線に対して約7°の角度へと動かされているジブ23を示している。この位置では、ジブストップ45は固定のストップに到達しており、これはちょうど肩部74がブームストップ15内のハウジング端部56に当たるときである。このようにして、ジブストップ45は、約13°の範囲に亘る緩衝ストッパを提供している。位置決めシリンダ131は依然として一杯まで後退せしめられている。一対のばね荷重がかけられた支柱135(このうちの一つだけが
図11〜15の側面図において見ることができる)にジブストップ45の外周に設けられたカラーが取り付けられており且つ位置決めシリンダ131に結合されていてジブストップ45の望ましくない枢動を防止してジブストップ係合部材125とジブストップ45との間の接触を確保している。支柱135は、リンク133を位置決めシリンダ131に取り付けられた状態に保つために使用されている。このことにより、ジブ23がジブストップ45と係合していないときの正しい位置が保証される。支柱135内のばねは、ジブ23がジブストップ45と係合しているときにジブストップ45がリンク133及び位置決めシリンダ131から離れる方向に回転するのを許容している。これらのばねは、予荷重がかけられて所望量の機械動力学による停止位置を維持している。
【0057】
図14及び15は、ブーム22及びジブ23が分解のために地面へと降ろされたときにジブストップ45の係合を解除する方法を示している。ジブ23がブームの軸線に対して約30°のような十分大きな角度にあるとき(
図14に示されている)は、位置決めシリンダ131が一杯まで後退せしめられているときでさえ、ジブストップ45はビーム材125上のジブストップ係合部材と係合していない。しかしながら、ブーム22及びジブ23を更に降ろすためには、ジブはブームの軸線に対して負の角度まで動く。位置決めシリンダ131は、
図15に示されているように伸長せしめられて、ジブストップ45を邪魔にならないように持ち上げることによって隙間を提供している。ジブの角度が、
図14に示されているブームの軸線に対して30°の位置から
図15に示されている約−7°まで移行すると、位置決めシリンダ131はジブストップ45を邪魔にならないように保持することができる。