特許第5735757号(P5735757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5735757クレーンにおいて使用するための圧縮性のストップ部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735757
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】クレーンにおいて使用するための圧縮性のストップ部材
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/92 20060101AFI20150528BHJP
   F16F 9/19 20060101ALI20150528BHJP
   F16F 9/43 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   B66C23/92
   F16F9/19
   F16F9/43
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2010-115857(P2010-115857)
(22)【出願日】2010年5月20日
(65)【公開番号】特開2010-285282(P2010-285282A)
(43)【公開日】2010年12月24日
【審査請求日】2013年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/179,935
(32)【優先日】2009年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ アール. ウェルネッケ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェイ. アルビンジャー
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−178398(JP,A)
【文献】 特開昭53−079166(JP,A)
【文献】 実公昭50−032696(JP,Y1)
【文献】 実開昭59−177842(JP,U)
【文献】 特表2000−501163(JP,A)
【文献】 特開2008−223849(JP,A)
【文献】 特開2004−359180(JP,A)
【文献】 特開2008−001443(JP,A)
【文献】 特開平10−157982(JP,A)
【文献】 実開昭60−193392(JP,U)
【文献】 実開昭59−101048(JP,U)
【文献】 実開昭60−122793(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00−23/94
F16F 9/00−9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン上で使用するための圧縮性のストップ部材であり、
a)第一のシールされた端部と、第二の端部と、内側面とを備えており、該内側面が第一の直径の第一の円筒形の面と第二の直径の第二の円筒形の面とを有しているハウジングと、
b)ハウジング内に、該ハウジングの前記第一の円筒形の面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、
c)ハウジング内の前記自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、
d)第一の端部と第二の端部とを有しており且つ前記ハウジングの第二の直径よりも小さい直径の円筒形部分とロッド支持部分とを備えているロッドであって、該ハウジングの第二の端部において摺動シール係合状態とされてハウジングの前記第二の端部から外側に延び、当該ロッドの前記第二の端部はハウジングの外側に位置しているロッドと、
を備えており、
e)前記ロッド支持部分は、ハウジング内に該ハウジングの内側面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており、前記ロッド支持部分は、前記自由ピストンと前記ハウジングの第二の端部との間の前記ロッドが占めていない容積を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバは、ハウジング内部の前記自由ピストンと前記ロッド支持部分との間の容積からなり、前記第二の液体チャンバは、前記ロッド支持部分と前記ハウジングの第二の端部との間の容積からなり、
f)前記ロッド支持部分は少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、ロッド支持部分がハウジング内を摺動するときに液体が前記第一の液体チャンバと前記第二の液体チャンバとの間で妨害を受けることなく流れるようにされており
g)堅牢なストップ構造を更に備えており、該ストップ構造は、i)ハウジングの前記第二の端部と係合する肩部を備えているロッドの第二の端部、又はii)ハウジングの内側に配置されていて前記ロッド支持部分が内方に向かって通り越すことができないようにされた内側ストッパ、からなる、圧縮性のストップ部材。
【請求項2】
ハウジングの前記シールされている端部が過圧防止装置を含んでいる、請求項1に記載の圧縮性のストップ 部材。
【請求項3】
ハウジングの前記シールされている端部が、開けることによってガスを前記圧縮ガスチャンバ内へ導入することができるポートを備えている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項4】
ハウジングの前記シールされている端部が、圧力ゲージと流体連通しているポートを備えている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項5】
ハウジングの前記シールされている端部とロッドの前記第二の端部とのうちの一方が柱状部材係合面を備えており、他方がクレーンに枢動可能に取り付けることができる構造とされている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項6】
圧縮性のストップ部材がブームストップであり、ハウジングのシールされた端部に、貫通穴を備えている少なくとも1つの伸長部が連結され、ハウジングをクレーンの回転床に枢動可能に結合させるようになされている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項7】
前記ロッド支持部分が液体ピストンを備えており、該ロッド支持部分を貫通している少なくとも1つの流路が、前記液体ピストンを貫通している少なくとも2つの妨害を受けない流路からなる、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項8】
前記第一の直径と第二の直径とが同じであり、前記ロッド支持部分が前記第二の円筒形面と摺動可能に係合されている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項9】
ハウジング内の液体の量、ロッドの形状及びハウジングの形状が、ロッドがハウジング内を第一の位置まで押し込まれた後に、ロッドと自由ピストンとが相互に物理的に直に接触してロッドがハウジング内を前記第一の位置を通り過ぎて更にある距離だけ動くことにより、自由ピストンが直に押されて同じ距離だけ移動するようになされている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項10】
巻き上げクレーンであって、
a)車体と、
b)車体を地面から持ち上げる接地部材と、
c)車体に回転可能に結合されている回転床と、
d)回転床上に枢動可能に取り付けられているブームと、
e)少なくとも1つの圧縮性のストップ部材と、
を備えており、該圧縮性のストップ部材は、
i)第一のシールされた端部と、第二の端部と、内面であって第一の直径の第一の円筒形面と第二の直径の第二の円筒形面とを有している内面とを備えたハウジングと、
ii)ハウジング内に該ハウジングの前記第一の円筒形面とシール係合状態で収容されている自由ピストンと、
iii)ハウジング内の自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、
iv)第一の端部と第二の端部を有し且つハウジングの第二の直径よりも直径が小さい円筒形部分とロッド支持部分とを備えたロッドであって、ハウジングの第二の端部に対して摺動シール係合状態とされ該ハウジングの第二の端部から延び、第二の端部が前記ハウジングの外部に位置しているロッドと、を備えており、
v)前記ロッド支持部分はハウジング内に該ハウジングの内面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており、該ロッド支持部分は、自由ピストンとハウジングの前記第二の端部との間における前記ロッドによって占められていない容積を、第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバはハウジング内における自由ピストンとロッド支持部分との間の容積を有し、前記第二の液体チャンバはロッド支持部分とハウジングの前記第二の端部との間に容積を有しており、
vi)ロッド支持部分は、少なくとも1つの流路であってロッド支持部分がハウジング内を摺動すると液体が前記第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間を妨害を受けることなく流れるようにさせる少なくとも1つの流路を備えており
vii)堅牢なストップ構造を更に備えており、該ストップ構造は、a)ハウジングの前記第二の端部と係合する肩部を備えているロッドの第二の端部、又はb)ハウジングの内側に配置されていて前記ロッド支持部分が内方に向かって通り越すことができないようにされた内側ストッパ、からなる、巻き上げクレーン。
【請求項11】
前記接地部材が少なくとも2つの可動の接地部材を備えている、請求項10に記載の巻き上げクレーン。
【請求項12】
少なくとも1つの巻き上げドラムを更に備えており、該巻き上げドラムは前記回転床に取り付けられているフレームに取り付けられており、前記圧縮性のストップ部材がブームストップとされて前記巻き上げドラムのフレームに枢動可能に取り付けられている、請求項10に記載の巻き上げクレーン。
【請求項13】
緩衝装置を更に備えており、該緩衝装置は前記巻き上げドラムのフレームに取り付けられており、前記ブームストップは前記ブームと係合していないときに前記緩衝装置上に載置されている、請求項12に記載の巻き上げクレーン。
【請求項14】
ラフィングジブを更に備えており、前記少なくとも1つの圧縮性のストップ部材がジブストップを含む、請求項10に記載の巻き上げクレーン。
【請求項15】
巻き上げクレーン上に枢動可能に取り付けられている柱状部材を後方へ転倒しないように停止させる方法であって、
a)
i)第一のシールされた端部と、第二の端部と、第一の直径の第一の円筒形面と第二の直径の第二の円筒形面とからなる内面とを有しているハウジングと、
ii)ハウジング内に該ハウジングの第一の円筒形面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、
iii)ハウジング内の自由ピストンと前記第一のシールされている端部との間に設けられている圧縮チャンバと、
iv)第一の端部と第二の端部とを有しており且つ直径がハウジングの前記第二の直径よりも小さい円筒形部分とロッド支持部分とを備えているロッドであって該ハウジングの第二の端部において摺動シール係合状態でハウジングの第二の端部から延び、該ロッドの第二の端部が前記ハウジングの外部に位置しているロッドと、
v)ハウジング内に該ハウジングの内面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており且つハウジング内における自由ピストンとハウジングの第二の端部との間のロッドによって占められていない容積を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しているロッド支持部分であって、前記第一の液体チャンバがハウジング内の自由ピストンとロッド支持部分との間の容積からなり、前記第二の液体チャンバがロッド支持部分とハウジングの第二の端部との間の容積からなるようになされている前記ロッド支持部分と、
を備えており、
vi)前記ロッド支持部分は、少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、前記ロッド支持部分が前記ハウジング内を摺動すると液体が前記第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間を妨害を受けることなく流れるようにさせ
vii)堅牢なストップ構造を更に備えており、該ストップ構造は、a)ハウジングの前記第二の端部と係合する肩部を備えているロッドの第二の端部、又はb)ハウジングの内側に配置されていて前記ロッド支持部分が内方に向かって通り越すことができないようにされた内側ストッパ、からなる、少なくとも1つの圧縮性のストップ部材を提供するステップと
b)前記少なくとも1つの圧縮性のストップ部材を枢動可能な結合部によってクレーンに取り付け、前記柱状部材が第一の角度に達したときに前記圧縮性のストップ部材が前記柱状部材と係合するように配置するステップと、
を含んでおり、
c)前記柱状部材が前記第一の角度から第二の角度へと移動することによって、ロッドがハウジング内へ押し込まれ、それによりロッド支持部分が自由ピストンに向かって押され、液体が第一の液体チャンバから第二の液体チャンバへと流れて前記第二の液体チャンバの容積が大きくなり、第一の液体チャンバの容積が小さくされ、且つ、前記ガスチャンバ内及び前記ロッド支持部分上の釣り合った圧力の増大が生じ、それによって、前記柱状部材が第二の更に急勾配な角度へと向かって動くのを妨げるようにする、
方法。
【請求項16】
前記柱状部材が前記第二の角度よりも大きい第三の角度に達すると、前記堅牢なストップ構造が前記柱状部材の角度の如何なる増加をも阻止することができるようになされている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記柱状部材が前記第一の角度と第二の角度との間を移動し、該柱状部材は、前記ロッドをハウジング内へ押し込んでロッドが自由ピストンに隣接するまで、ロッドにかかる力をロッド上の円筒形部分の直径に比例して増大させ、更に、前記柱状部材が更に動くことによって、ロッドが液体及び自由ピストンの両方をハウジングのシールされた端部に向かって押して、ロッドにかかる力の増加をハウジングの第一の直径に比例させるようにする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記柱状部材がブームからなり、前記第一の角度が約75°〜約80°であり、前記第三の角度が約88°〜約90°である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第三の角度が前記第二の角度と同じであり、前記堅牢なストップ構造がロッドの肩部を備えており、該肩部はハウジングの前記第二の端部と係合し、該ロッドの肩部は、ロッドが自由ピストンに隣接するときと同じロッド位置においてハウジングと接触状態となるようにされる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
柱状部材を有するクレーン上に装着された圧縮性のストップ部材であり、
a)第一のシールされた端部と、第二の端部と、内側面とを備えており、該内側面が第一の直径の第一の円筒形の面と第二の直径の第二の円筒形の面とを有しているハウジングと、
b)ハウジング内に、該ハウジングの前記第一の円筒形の面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、
c)ハウジング内の前記自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、
d)第一の端部と第二の端部とを有しており且つ前記ハウジングの第二の直径よりも小さい直径の円筒形部分とロッド支持部分とを備えているロッドであって、該ハウジングの第二の端部において摺動シール係合状態とされてハウジングの前記第二の端部から外側に延び、当該ロッドの前記第二の端部はハウジングの外側に位置しているロッドと、
を備えており、
e)前記ロッド支持部分は、ハウジング内に該ハウジングの内側面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており、前記ロッド支持部分は、前記自由ピストンと前記ハウジングの第二の端部との間の前記ロッドが占めていない容積を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバは、ハウジング内部の前記自由ピストンと前記ロッド支持部分との間の容積からなり、前記第二の液体チャンバは、前記ロッド支持部分と前記ハウジングの第二の端部との間の容積からなり、
f)前記ロッド支持部分は少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、ロッド支持部分がハウジング内を摺動するときに液体が前記第一の液体チャンバと前記第二の液体チャンバとの間で妨害を受けることなく流れるようにされており、
g)前記ハウジングの前記シールされた端部と前記ロッドの前記第二の端部とのうちの一方が前記柱状部材と係合するための柱状部材係合面を有しており、前記ハウジングの前記シールされた端部と前記ロッドの前記第二の端部とのうちの他方が前記クレーンに枢動可能に取付けられている、圧縮性のストップ部材。
【請求項21】
前記ロッド支持部分の前記少なくとも一つの流路が、前記ロッドが内方及び外方に向かって移動するときに流体が前記第一の流体チャンバと前記第二の流体チャンバとの間で妨害を受けることなく流れるようにされている、請求項1に記載の圧縮性のストップ部材。
【請求項22】
前記柱状部材係合面が、前記柱状部材に向かって開口したU字形状である、請求項21に記載の圧縮性のストップ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンにおいて使用するための圧縮性のストップ部材、例えば移動式巻き上げクレーンにおいて使用されるブームストップに関し、更に特定すると、アキュムレータを備えている圧縮性のストップ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き上げクレーンは、典型的には、車体と、車体を地面から持ち上げる接地部材と、車体に回転可能に係合された回転床であって前記接地部材に対して旋回することができるようになされた回転床と、該回転床上に枢動可能に取り付けられ且つ荷巻き上げワイヤーロープが伸長しているブームとを備えている。移動式巻きあげクレーンの場合には、接地部材は可動の接地部材である。種々のタイプの可動の接地部材があり、最も顕著なものとしてはトラック搭載クレーンのためのタイヤ及びクローラがある。典型的には、移動式巻き上げクレーンは、クレーンが荷を巻き上げるときにクレーンのバランスをとる補助となるカウンタウエイトを備えている。
【0003】
枢動可能なブームを備えているクレーンは、典型的には、圧縮性のストップ部材を備えており、該ストップ部材はブームストップと称されることが多く且つ特にブームが急勾配角度にある際に荷が突然解放された場合にブームが後方へ転倒するのを防止するために使用される。公知のブームストップは、典型的にはばねを備えていて、ブームが急勾配のブーム角度へと動かされつつあるが後方へ転倒する位置に達する前にブームと係合し始めることができるようになされている。このばねは、ブームストップが圧縮されればされるほど益々大きな力をかける。この圧縮によって、ブームがこのように急勾配で持ち上げられる理由が無くなったときに、ブームを通常の動作角度へと押し戻す戻り力が付与される。従来のブームストップは、管の内側にばねが設けられた状態で内部に設けられた管によって作ることができる。ブームがブームストップと接触状態となり且つ依然として後方へ転倒しそうな位置に向かって移動し続けた場合に、このばねは、堅実な高さに達するまで圧縮され、このようにして、ブームストップの停止機能が著しく増大される。
【0004】
このようなブームストップはそれ自体適切なものであるけれども、これらのブームストップばね及び管の構造は、ブームストップのために使用できるスペースに対する物理的制限により、大きさを容易に拡大することができないという不利な点を有している。例えば比較的高い能力を有している比較的大きなクレーンは、必ずしも全ての寸法が比例して大きいわけではない。比較的大きなクレーンは、より大きなエネルギを吸収することができる必要があるが、ブームストップを配備するスペースは、比較的大きなばね及び管の構造をブームストップのため単に使用することができるほど十分に大きくないかも知れない。従ってより大きな停止力をよりコンパクトなスペースで発生することができるブームストップの必要性が依然として存在している。
【0005】
幾つかのクレーンはラフィングジブをも備えている。ラフィングジブは通常はジブストップを備えており、該ジブストップは、ジブが高いジブ角度で後方へ転倒するのを防止するためにも使用される。ブームストップに関して上記したものと同じ問題点はジブストップに対しても当てはまることが多い。幾つかのクレーンはまた、マスト及びジブの支柱のような支柱をも備えている。本発明はこれらの他のクレーンの柱状部に対して使用される圧縮性のストップ部材にも有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧縮性のストップ部材であって、大きな停止力を発生させることができ且つ高能力のクレーン上のブームストップ又はジブストップに必要とされる大きなエネルギ量を吸収することができる圧縮性のストップ部材を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の特徴においては、本発明は、クレーン上で使用するための圧縮性のストップ部材であり、該ストップ部材は、a)第一のシールされた端部と、第二の端部と、内側面とを備えているハウジングであって、前記内側面が第一の直径の第一の円筒形の面と第二の直径の第二の円筒形の面とを有しているハウジングと、b)ハウジング内に、該ハウジングの前記第一の円筒形の面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、c)ハウジング内の前記自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、d)ロッドであって、第一の端部と第二の端部とを有し且つハウジングの第二の直径よりも短い直径の円筒形部分とロッド支持部分とを備えており、前記ハウジングの前記第二の端部から、該ハウジングの第二の端部において摺動シール係合状態で延びており、前記ロッドの第二の端部は前記ハウジングの外側に位置している前記ロッドと、を備えている。前記ロッド支持部分は、ハウジング内にハウジングの内側面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており、前記ロッド支持部分は、前記ロッドが占有していない前記自由ピストンと前記ハウジングの第二の端部との間の容積を、第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバは、前記ハウジング内部の前記自由ピストンと前記ロッド支持部分との間の容積からなり、前記第二の液体チャンバは、前記ロッド支持部分と前記ハウジングの第二の端部との間の空間からなる。前記ロッド支持部分はまた、少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、前記ロッド支持部分が前記のハウジング内を摺動するときに液体が前記第一の液体チャンバと前記第二の液体チャンバとの間で妨害を受けることなく流れるようにしている。
【0008】
第一の特徴による特別な実施例においては、ブームストップは、i)直径を有している内側円筒形の面と第一のシールされた端部と第二の端部とを有しているハウジングと、ii)ハウジング内に摺動可能状態で収容されており且つハウジングの内側円筒形面とシール係合状態である自由ピストンと、iii)ハウジング内の自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、iv)前記ハウジングの第二の端部から該第二の端部において摺動シール係合状態で延び且つ前記第二の端部で終端しており、直径が前記ハウジングの内径より小さいロッドと、v)ハウジング内に摺動可能状態で収容されており且つハウジングの内側円筒形面と摺動係合状態であるロッド支持部分と、を備えている。このロッド支持部分は、自由ピストンとハウジングの第二の端部との間の容積を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、該第一の液体チャンバは、ハウジング内の自由ピストンとロッド支持部分との間に容積を有しており、前記第二の液体チャンバは、ロッドとハウジングの内側円筒形面との間に環状の空間を備えている。前記ロッド支持部分は少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、ロッド支持部分がハウジング内を摺動するときに液体が前記第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間で妨害を受けることなく流れるようにさせている。
【0009】
第二の特徴においては、本発明は、巻き上げクレーンであって、車体と、車体を地面から持ち上げる接地部材と、車体に回転可能に結合されている回転床と、回転床上に枢動可能に取り付けられているブームと、少なくとも1つの圧縮性のストップ部材とを備えており、該圧縮性のストップ部材は、i)第一のシールされた端部と、第二の端部と、第一の直径の第一の円筒形面と第二の直径の第二の円筒形面とを有している内面とを備えたハウジングと、ii)ハウジング内に該ハウジングの前記第一の円筒形面とシール係合状態で収容されている自由ピストンと、iii)ハウジング内の自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、iv)第一の端部と第二の端部を有し且つハウジングの第二の直径よりも直径が小さい円筒形部分とロッド支持部分とを備えたロッドであって、ハウジングの第二の端部において摺動シール係合状態でハウジングの第二の端部から延びており、該ロッドの第二の端部は前記ハウジングの外部に位置しているロッドと、を備えている。前記ロッド支持部分は、ハウジング内に該ハウジングの内面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており、該ロッド支持部分は、自由ピストンとハウジングの前記第二の端部との間の前記ロッドによって占有されていない容積を、第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバは、ハウジング内に自由ピストンとロッド支持部分との間に容積を有し、前記第二の液体チャンバは、ロッド支持部分とハウジングの前記第二の端部との間に空間を有している。ロッド支持部分は、少なくとも1つの流路であってロッド支持部分がハウジング内を摺動すると液体が前記第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間を流れるようにさせる少なくとも1つの流路を備えている。
【0010】
この第二の特徴による特別な実施例においては、巻き上げクレーンは、少なくとも1つのブームストップであって、i)ある直径の内側円筒形面と第一のシールされた端部と第二の端部とを有しているハウジングと、ii)ハウジング内に該ハウジングの内側円筒形面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、iii)ハウジング内の自由ピストンと前記第一のシールされている端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、iv)ロッドであって、ハウジングの第二の端部から該第二の端部において摺動シール係合状態で延びており且つロッドの第二の端部で終端しており、直径がハウジングの内径よりも小さいロッドと、v)ハウジング内に該ハウジングの前記内側円筒面と摺動係合状態で摺動可能に収容されているロッド支持部分と、を備えている。該ロッド支持部分は、自由ロッドとハウジングの第二の端部との間の容積を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、第一の液体チャンバは、ハウジング内に自由ピストンとロッド支持部分との間に容積を有し、前記第二の液体チャンバは、ロッドとハウジングの内側円筒形面との間に環状の空間を有している。ロッド支持部分は、少なくとも1つの流路であって、ロッド支持部分が前記ハウジング内を摺動するときに流体を前記第一の液体チャンバと前記第二の液体チャンバとの間を流れさせる少なくとも1つの流路を備えている。
【0011】
第三の特徴においては、本発明は、柱状部材であって巻き上げクレーン上に枢動可能に取り付けられている柱状部材を後方へ転倒しないように停止させる方法であって、a)少なくとも1つの圧縮性のストップ部材を設けるステップであって、前記圧縮性のストップ部材は、i)第一のシールされた端部と、第二の端部と、内面であって第一の直径の第一の円筒形面と第二の直径の第二の円筒形面とからなる内面とを有しているハウジングと、ii)前記ハウジング内に該ハウジングの第一の円筒形面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、iii)前記ハウジング内の自由ピストンと第一のシールされている端部との間に設けられている圧縮チャンバと、iv)ロッドであって、第一の端部と第二の端部とを有しており且つ直径がハウジングの前記第二の直径よりも小さい円筒形部分とロッド支持部分とを備えており、ハウジングの前記第二の端部から該ハウジングの第二の端部において摺動シール係合状態で延びており且つ該ロッドの第二の端部が前記ハウジングの外部に位置しているロッドと、v)ロッド支持部分であって、ハウジング内に該ハウジングの内面と摺動係合状態で摺動可能に収容されており且つハウジング内における自由ピストンとハウジングの第二の端部との間のロッドによって占められていない容積を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバがハウジング内の自由ピストンとロッド支持部分との間の容積を有しており、前記第二の液体チャンバがロッド支持部分とハウジングの第二の端部との間に空間を有するようになされている前記ロッド支持部分と、を備えており、vi)前記ロッド支持部分は、少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、前記ロッド支持部分が前記ハウジング内を摺動するときに液体が前記第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間を流れるようにしており、b)少なくとも1つの圧縮性のストップ部材を枢動可能な結合部によってクレーンに取り付け且つ前記柱状部材が第一の角度に達したときに前記圧縮性のストップ部材が前記柱状部材と係合するように配置するステップと、を含んでおり、c)前記柱状部材が前記第一の角度から第二の角度へと移動することによって、ロッドがハウジング内へ押し込まれ、それによって、ロッド支持部分が自由ピストンに向かって付勢され、このとき、ロッドが移動すると液体が第一の液体チャンバから第二の液体チャンバへと流れて前記第二の液体チャンバ内に大きな容積が形成されるけれども第一の液体チャンバ内には小さい容積が形成され且つ前記ガスチャンバ内及び前記ロッド支持部分上の釣り合った圧力の増大が生じ、それによって、前記柱状部材の第二の更に急勾配な角度へと向かう動きを妨げるようにしている。
【0012】
この第三の特徴による特別な実施例において、この方法は、巻き上げクレーンの回転床上に枢動可能に取り付けられているブームが後方へ転倒するのをブームストップを使用して停止させるステップを含んでおり、このブームストップは、i)直径を有している内側円筒形面と第一のシールされた端部と第二のシールされた端部とを有しているハウジングと、ii)ハウジング内に該ハウジングの前記内側円筒形面とシール係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストンと、iii)ハウジング内の自由ピストンと前記第一のシールされた端部との間に設けられた圧縮ガスチャンバと、iv)ロッドであって、ハウジングの前記第二の端部から該第二の端部において摺動シール係合状態で延び且つロッドの第二の端部で終端しており且つ直径がハウジングの内径よりも小さいロッドと、v)ハウジング内に該ハウジングの内側円筒形面と摺動係合状態で収容されているロッド支持部分と、を備えている。ロッド支持部分は、自由ピストンとハウジングの第二の端部との間の容積を、第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分割しており、前記第一の液体チャンバは、ハウジング内の自由ピストンとロッド支持部分との間に容積を有し、前記第二の液体チャンバは、ロッドとハウジングの内側円筒形面との間に環状空間を有している。ロッド支持部分は、少なくとも1つの流路を備えており、該流路は、ロッド支持部分がハウジング内を摺動すると液体が前記第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間を流れるようにしている。前記少なくとも1つのブームストップは、回転床に枢動係合部によって取り付けられ且つブームが回転床の回転面に対して第一の角度に達したときにブームストップがブームと係合するように位置決めされており、ロッド支持部分は、ブームストップのハウジングの第二の端部と接触しており、ブームが前記第一の角度から第二のより急勾配の角度まで動くと、ロッドがハウジング内へと押し込まれ、これによって、ロッド支持部分が自由ピストンに向けて付勢され、そのとき、液体は、ロッドの移動によって第一の液体チャンバから第二の液体チャンバへ流れて第二の液体チャンバ内の容積を増大させるが第一の液体チャンバ内の容積を減少させ、ガスチャンバ内及びロッド支持部分上の圧力の釣り合った圧力の増大を生じさせ、それによって、ブームが第二のより急勾配の角度に向かう動きを阻止する。
【0013】
本発明の好ましい圧縮性のストップ部材は、アキュムレータと液圧シリンダとを使用しているが、液圧装置全体は全てこの圧縮性のストップ部材内に収容されている。圧縮性のストップ部材内へ又は該ストップ部材からの流れは存在しておらず、従って、圧縮性のストップ部材と別のアキュレータ又は液圧装置の他の部品との間に液圧による係合を設ける必要がない。本発明のこれらの及びその他の利点並びに本発明自体は、添付の図面を参照することによって更に容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明は使用している移動式巻き上げクレーンの側面図である。
図2図2は、図1の移動式巻き上げクレーンの拡大部分側面図である。
図3図3は、図1のクレーンにおいて使用されているブームストップの取り付け状態の斜視図である。
図4図4は、図1のクレーンのブームストップを圧縮状態で示している頂部平面図である。
図5図5は、図4の線5−5に沿った端面図である。
図6図6は、図4の線6−6に沿ってブームストップを非圧縮状態で示した断面図である。
図7図7は、図4の線6−6に沿ってブームストップを部分的に圧縮された状態で示している断面図である。
図8図8は、図4の線6−6に沿ってブームストップを圧縮状態で示している断面図である。
図9図9は、図4の線9−9に沿った拡大断面図である。
図10図10は、図4の線10−10に沿った拡大断面図である。
図11図11は、図1の移動式巻き上げクレーンのブームストップとラフィングジブとの間の係合部の拡大部分側面図であり、ジブが最初にジブストップと接触状態にある状態を示している。
図12図12は、図11と同様の拡大部分側面図であり、係合せしめられて緩衝が始まっている状態のジブストップを示している。
図13図13は、図11と同様の拡大部分側面図であり、ジブストップの堅牢なストップ部分がジブをブームに対して更に持ち上がらないように阻止している状態を示している。
図14図14は、ジブストップがジブから外されてジブを地面へと降ろすために降ろされつつあるブームを示している。
図15図15は、外されたジブストップと、地面又は支持台上に載置されているブーム及びジブとを示している。
図16図16は、本発明の圧縮性のストップ部材の第二の実施例の断面図である。
図17図17は、本発明の圧縮性のストップ部材の第三の実施例の断面図である。
図18図18は、本発明の圧縮性のストップ部材の第四の実施例の断面図である。
図19図19は、本発明の圧縮性のストップ部材の第五の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に説明する。以下の節においては、本発明の種々の特徴が詳細に規定されている。このように規定されている特徴は、明確に否定して指示されていない限り、他のあらゆる特徴と組み合わせることができる。特に、好ましいものとして又は有利なものとして示されている如何なる特徴も、好ましいか又は有利なものとして示されている他のあらゆる特徴と組み合わせることができる。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されている幾つかの用語は、以下に規定する意味を有している。
【0017】
本発明の好ましい実施例においては、液体は、妨害を受けないで圧縮性のストップ部材内を流れる。“妨害を受けないで”という用語は、液体が流路内を流れる時に液体内の圧力低下を生じさせるオリフィスのような制限が流路内に配置されていないことを意味している。如何なる流体も流路内を流れるときに本質的に圧力低下を有するであろうが、“妨害を受けないで”という用語は、圧力低下が液圧装置内での液体の意図されている流れに関しては無視できることを意味している。
【0018】
圧縮性のストップ部材は、ハウジング内にロッドを有している。“ロッド”という用語は、ハウジングの外部からハウジング内へ伸長している圧縮性のストップ部材の一部及びこれと一緒に動く全ての部材を意味している。ロッドはハウジングの端部を貫通して伸長している円筒形の部分を備えている。ロッドはまたロッド支持部分をも備えており、該ロッド支持部分はハウジング内に摺動可能に収容されている。ロッド支持部分は、ロッドの第一の端部を構成している。しかしながら、該ロッドの一部分は前記ロッド支持部分よりも更にハウジング内へと伸長している。ロッドのこれらの部分の全てが一つの一体ユニットとして形成され、又は、ロッドは相互に締結されている幾つかの部分によって作られる。互いに一緒に動く部品全てが“ロッド”の部分であると考えられている。一緒に動く部品の全てが“ロッド”の部分であると考えられる。
【0019】
好ましい圧縮性のストップ部材は、クレーン上のブーム又はジブが急勾配の角度にあるときに後方へ転倒するのを防止するために使用できるように設計されている。ブームとジブとは両方とも概してクレーン上の“柱状部材”である。もちろん、該圧縮可能ストップ部材は、クレーン上の他の柱状部材例えばマスト又は支柱の動きを阻止し又は制限するために使用することができる。
【実施例1】
【0020】
本発明は、多くのタイプのクレーンに対して適用可能であるけれども、以下、図1に作動形態で示されている移動式巻き上げクレーン10と関連付けて説明する。移動式巻き上げクレーン10は、車体12とも称することができる下方機構と、クローラー14及び16の形態の可動の接地部材とを備えている。もちろん、2つの前方クローラー14と2つの後方クローラーが設けられているが、これらのクローラーの各々の一方のみが図1及び2の側面図において見ることができる。クレーン10においては、接地部材は、ちょうど一組みのクローラーを各側部に一つずつとすることができる。もちろん、図示されているもの以外の付加的なクローラーを使用することができると共に、他のタイプの接地部材例えばタイヤを使用することができる。
【0021】
回転床20は旋回リングによって車体12に取り付けられていて、回転床20は、軸線を中心として接地部材14,16に対して旋回することができる。回転床は、回転床の前方部分上に枢動可能に取り付けられているブーム22と、回転床の第一の端部に取り付けられているマスト28であって第二の端部に隣接した位置で該マストに結合されている下方スライド平衡装置47を備えているマスト28と、マストと回転床の後方部分との間に結合されている後方連結器30と、可動のカウンタウエイトユニット34とを支持している。カウンタウエイトユニットは、支持部材上の個々のカウンタウエイト部材44の多層形態とされている。
【0022】
マスト28の頂部とブーム22との間のブーム巻き上げ索具(以下に更に詳細に説明されている)は、ブーム角度を制御し且つ荷重を伝達してカウンタウエイトがクレーンによって吊り上げられる荷のバランスをとるために使用することができるようになされている。荷巻き上げワイヤーロープ24は、フック26を支持しているブーム22のプーリー(通常は、滑車の組内の多数の滑車)に這わされている。荷巻き上げワイヤーロープの他端は第一の主要な荷巻き上げドラム70に巻き付けられている。第一の主要な荷巻き上げドラム70は以下に更に詳細に説明される回転床に結合されている。回転床20は、他の部材であって移動式巻き上げクレーンにおいて一般的に見られる、例えば運転室、ブーム巻き上げ索具のための巻き上げドラム50、第二の主要な巻き上げドラム80及び補巻きロープのための補助荷巻上げドラム90を備えており、これらもまた以下に更に詳細に説明する。所望ならば、図1に示されているように、ブーム22はラフィングジブ23を備えていても良く、ラフィングジブ23は、主要ブーム又はその他のブームの構造の頂部に枢動可能に取り付けられている。ラフィングジブ23が備えられている場合には、クレーンは、ジブストップ45の形態の圧縮性のストップ部材のみならず、第一及び第二のジブ支柱及びこれに関連するラフィイングジブ索具及びラフティジブ巻き上げドラム100を備えている。ラフィングジブ巻き上げワイヤーロープ19は、ドラム100からワイヤーロープガイド18を介して支柱キャップ31の滑車間の索具まで延びており、ジブ支柱27と主要な支柱29との間の角度を制御するために使用されている。ジブのバックステーストラップ33は、主要な支柱29とブーム22の底部との間まで延びていて、ブーム22と主要な支柱29との間に固定角度を形成している。同様に、ジブ支持ストラップ37は、ラフィングジブ23の端部とジブ支柱27とを結合させていて、これら2つの部材間に固定角度を形成している。従って、主要な支柱29とジブ支柱27との間の角度はまた、ラフィングジブ23が主ブーム22との間に形成する角度をも規定している。支柱ストップ35が、主要支柱29とブーム22との間に結合されていてジブ23上に荷が無い場合に主要な支柱29に対する支持を提供し、主要な支柱を引っ張り上げる力は、前記の主要な支柱を引っ張り上げる力よりも小さい。支柱、ジブ巻き上げ索具及びジブのバックステーストラップ33を組み立てる方法の詳細は、米国特許出願第12/730,421号に更に詳細に開示されている。ブーム頂部とジブ23との間へのジブ支柱45の結合は図11〜13に示されており、以下において更に詳細に説明されている。ここでは更に説明しないけれども、支柱ストップ35は圧縮性のストップ部材のような構造とすることができ、このストップ部材は、以下に詳細に説明するブームストップ15とジブストップ45とのために使用されている。
【0023】
後方連結器30は、マスト28の頂部に隣接しているが、該マストに結合されている他の部品と干渉しないようにマストの十分下方に結合されている。後方連結器30は、図1に示されているように格子部材からなり、該格子部材は、圧縮荷重と引っ張り荷重との両方を坦持する設計とされている。クレーン10においては、マストは、クレーンの作業例えば掴み取り、移動及び設置作業中に回転床に対して特定の角度に保持される。
【0024】
カウンタウエイトユニット34は、回転床20の残りの部分に対して動かすことができる。マストの頂部に隣接して結合されている引っ張り部材32は、カウンタウエイトユニットを吊り下げモードで支持している。カウンタウエイト移動構造が、回転床とカウンタウエイトユニットとの間に結合されていて、カウンタウエイトがマスト頂部前方の第一の位置へと動かされ且つこの位置に保持され、マスト頂部後方の第二の位置へと動かされ且つ保持されるようになされており、このことは、米国出願特許第12/023,902号に更に詳細に説明されている。
【0025】
少なくとも1つの直線作動装置36例えば液体シリンダ又は代替え的にはラック及びピニオンアセンブリと、第一の端部が回転床に枢動可能に結合されており且つ第二の端部が直線作動装置36に枢動可能に結合されている少なくとも1つのアームとが、クレーン10のカウンタウエイト移動構造に使用されていて、カウンタウエイトの位置を変更することができるようになされている。アームと直線作動装置36とは、回転床とカウンタウエイトユニットとの間に結合されていて、直線作動装置36の伸長及び収縮によってカウンタウエイトの回転床に対する位置が変更される。図1は最も前方位置にあるカウンタウエイトユニットを示しているけれども、直線作動装置36は、部分的に又は完全に伸長させることができ、カウンタウエイトを中間位置及び後方位置又は荷がフック26から吊り下げられているときのようなあらゆる中間の位置へと移動させることができる。
【0026】
カウンタウエイト移動構造の好ましい実施例においては、枢動フレーム40は、図2に示されている固相溶接板構造とすることができ且つ回転床20と直線作動装置36の第二の端部との間に結合されている。後方アーム38は、枢動フレーム40とカウンタウエイトユニットとの間に結合されている。後方アーム38もまた溶接板構造であり且つ枢動フレーム40に結合されている端部に角度が付けられた部分39を有している。これによって、アーム38は枢動フレーム40と直接に一直線に結合される。後方連結器30は、広がっていて隔置されている脚部を備えたA字形状の構造を有しており、これによって、カウンタウエイトが必要なときにこの脚部間を通過することができる。
【0027】
クレーン10には、カウンタウエイト支持装置46が設けられており、このカウンタウエイト支持装置は、幾つかの国においてはクレーン規格に適合することが要求される。カウンタウエイト移動構造とカウンタウエイト支持構造とは、米国出願第12/023,902号に詳しく開示されている。
【0028】
ブーム巻き上げ索具はブーム巻き上げワイヤーロープを備えており、該ブーム巻き上げワイヤーロープは、ブーム巻き上げドラム50上に巻き付けられたワイヤーロープ25の形態であり且つ下方スライド平衡装置47及び上方スライド平衡装置48上の滑車に通されている。ブーム巻き上げドラムはフレーム60(図2)に取り付けられており、フレームは回転床に結合されている。索具はまた固定長さのペンダント21をも備えており、ペンダント21はブーム頂部と上方スライド平衡装置48との間に結合されている。下方スライド平衡装置47はマスト28を介して回転床20に結合されている。この構造は、ブーム巻き上げドラム50を回転させて下方スライド平衡装置47と上方スライド平衡装置48との間に位置しているブーム巻き上げワイヤーロープ25の量を変えることができ、それによって、回転床20とブーム22との角度を変えることができる。
【0029】
ブーム巻き上げドラムのフレーム60、下方スライド平衡装置47及び上方スライド平衡装置48は、各々が、協働する取り付け構造を備えており、これによって、下方スライド平衡装置と上方スライド平衡装置とはブーム巻き上げドラムのフレームに取り外し可能に結合され、その結果、ブーム巻き上げドラム、下方スライド平衡装置、上方スライド平衡装置及びブーム巻き上げワイヤーロープは、結合したアセンブリとして搬送することができる。作業現場間で搬送されるような構造とされた結合されたブーム巻き上げドラム50、フレーム60、下方スライド平衡装置47及び上方スライド平衡装置48は、米国出願第12/561,007号に記載されている。
【0030】
クレーン10は、4つのドラムを備えており、これらのドラムの各々はフレームに取り付けられており且つ回転床に積層形態で結合されている。(回転床は、主フレームと前方及び後方のローラー坦持部材とを備えている。)更に、ジブ巻き上げドラム100は、フレームに取り付けられており、このフレームは前方のローラー坦持部材の前面に取り付けられている。4つの積層されたドラムのうちの2つのためのフレームは回転床に直に結合されており、一方、他の2つのドラムのためのフレームは回転床に直に取り付けられている前記2つのドラムのうち少なくとも一方に直に取り付けることによって回転床に間接的に結合されている。この場合には、前記4つの積層されたドラムは、荷巻上げワイヤーロープ24が巻き付けられている第一の主要な荷巻き上げドラム70と、荷巻上げワイヤーロープ17が巻き付けられている第二の主要な荷巻き上げドラム80と、補巻きロープ13が巻き付けられている補助の荷巻き上げドラム90と、ブーム巻き上げワイヤーロープ25が巻き付けられているブーム巻き上げドラム50とであるのが好ましい。補助の荷巻上げドラム90のフレーム91と第二の主要な荷巻き上げドラム80のフレーム81とは回転床に直に結合され(フレーム91がその前方において前方のローラー坦持部材上にピンで留められている)、第一の主要な荷巻き上げドラム70のフレーム71はフレーム81及び91の両方に結合されているのが好ましく、一方、ブーム巻き上げドラム50のためのフレーム60はフレーム81に結合されているのが好ましい。この点に関して、ブーム巻き上げドラムのためのフレーム60は、第二の主要な荷巻き上げドラムのフレーム81の頂部上に積層され且つピンで留められており、第一の主要な荷巻き上げドラムのフレーム71は、補助の荷巻き上げドラムのフレーム91の頂部上に積層され且つピンで留められている。これらのドラムフレームは、回転床に対して且つ取り外し可能なピンによって相互に結合されていて、フレームが分離され且つ回転床とは別個に搬送されるのを可能にしている。
【0031】
6番目のドラムとしては索具巻き上げドラム110があり、索具巻き上げドラム110には索具巻き上げワイヤーロープ111が巻き付けられている。索具巻き上げドラム110は、回転床20の下方部分に取り付けられており且つ他のドラムよりも軽量である。索具巻き上げワイヤーロープ111は、一つの実施例においては19mmのウィンチワイヤーロープとすることができ、このワイヤーロープはクレーン10を組み立てる補助とするために使用され、例えば、支柱キャップ31の滑車に通す速度及び主要支柱29の組み立て速度を速める補助とするために使用され、このことは米国特許出願第12/730,421号に説明されている。
【0032】
荷巻き上げドラム及びブーム巻き上げドラムは、図2に示されているように、回転床に結合されているフレームに取り外し可能なピンによって取り付けられていて各々が回転床からドラムとフレームとの結合されたユニットとして取り外すことができるようになされているが、このことに加えて、ドラムフレームの積層体は、マスト28及びブームストップ15の形態の圧縮性のストップ部材が回転床に対して間接的に結合できるようにしてマスト28及びブームストップ15の作用線に沿って導かれる力が回転床に少なくとも1つのドラムのフレームを介して伝達されるようになされている。マスト28は圧縮荷重を支えている。このようにして、マストにかかる力の作用線はマストの軸線に沿って下方へ導かれる。マストのドラムフレーム装置への結合点は、これらの力を、ドラムフレーム装置を介して回転床20へと導く。図2に示されている実施例においては、マストの圧縮荷重がドラムフレーム71及び91の前方の対角状の脚部72及び92によって支持される方法が容易にわかる。脚部72及び92はマストの軸線と直に一直線に並んでいる。
【0033】
ブームストップ15は作用線を有しており、この作用線はブームストップの長手軸線を通っている。従って、ブームストップ内の力は、ブームストップから、ブームストップの長手軸線と一直線である脚部73の頂部に設けられているピンへと伝達される。ピンにかかっている力は、次いでドラムの71、81及び91の部材の幾何学的構造によって回転床に伝えられる。ブーム22がその設計上最大のほぼ垂直位置を越えて後方へ反動する場合に、圧縮荷重はブームストップ15を介して脚部73の頂部に設けられているピンへと伝えられ、フレーム71の構造へと伝えられる。この荷重は、圧縮力によってフレーム71の脚部73及びフレーム81の脚部82へと下方へ分散され、引っ張り荷重は、フレーム71の脚部72及びフレーム91の脚部92を介して分散される。従って、ブームストップ15においては、ブームストップの作用線に沿って導かれる力は、ドラムフレームのうちの3つを介して回転床20に伝えられる。
【0034】
1つのブームストップ15について上記したけれども、クレーム10は2つのブームストップ15を備えているのが好ましい。しかしながら、ブームストップ15は、ほぼ同一であり且つ回転床20上に配置されていて、これらのうちの一つだけが図1及び2の側面図に見ることができる。上記したように且つ図3において最も詳しく見ることができるように、ブームストップ15は、一つの端部に、巻き上げドラムのフレーム71の脚部73の頂部にピンによって留められることによって支持されている。巻き上げドラムのフレームに取り付けられている緩衝装置75は、ブームと係合していないときにブームストップ15を支持する。ブーム22は、ブームストップ係合部材41を備えており、ブームストップ15はU字形状部材79を備えており、U字形状部材79はブームストップ係合部材41と係合する形状及び大きさとされている。各ブームストップ15のためのブーム係合部材は、ブーム22に溶接されているプレート間に捕捉されているピン42を備えている。
【0035】
図4〜10に最も良く見られるように、ブームストップ15は、幾つかの部材すなわちハウジング52と自由ピストン62とロッド支持部分64を備えているロッド76とによって作られている。ハウジング52は、内側円筒形面53と、第一のシールされた端部54と、第二の端部56とを備えている。自由ピストン62は、ハウジング52内にハウジングの内側円筒形面53とシール係合状態で摺動可能に収容されている。圧縮チャンバ58が、ハウジング内の自由ピストンと第一のシールされた端部54との間に配置されている。(圧縮チャンバ58の大きさは、以下に説明するように種々の大きさの力がロッドにかけられると変化する。)機能的には、内側円筒形面53は、3つの円筒形面、すなわち、前記自由ピストンと摺動係合する第一の面と、第二の面であってロッド76の円筒形部分の周囲に液体チャンバを規定している第二の面(同じく以下に更に説明する)と、第三の面であってロッド支持部分64と摺動係合するための第三の面とを提供している。この実施例においては、これら3つの面の全てが同じ直径であり且つハウジング52内の単一の円筒形の穴の一部分として形成されているので、全体として内側面53が特定されている。持ち上げ用突起51がハウジング52の外側に安定化耳状部61に沿って設けられており、突起51は、搬送中にブームストップ15にピンを通して留めるために使用する貫通穴を備えている。
【0036】
ロッド支持部分64もまた、ハウジング52内に、ハウジングの内側円筒形面53と摺動係合状態で摺動可能に収容されていている。ロッド支持部分64は、自由ピストン62とハウジング52の第二の端部56との間の容積を、第一の液体チャンバ57と第二の液体チャンバ59とに分割しており、第一の液体チャンバ57は、ハウジングの内側の自由ピストン62とロッド支持部分64との間に容積を有している。ロッド支持部分64は、少なくとも1つ好ましくは2つの流路65を備えている。これらの流路は、妨害を受けず、ロッドの支持部分64がハウジング52内を摺動するときのごくわずかの圧力低下によって液体が第一の液体チャンバ57と第二の液体チャンバ59との間を流れることができるようにされている。
【0037】
ロッド76は、第一の端部77がロッド支持部分64に固定されており、ハウジングの第二の端部56から該第二の端部と摺動係合している状態でハウジング外部に延びており、ロッドの第二の端部78において終端している。ロッド76の直径はハウジング52の内径より小さい。従って、第二の液体チャンバ59は、ロッド76とハウジング52の内側円筒形面53との間で且つロッド支持部分64とハウジング52の第二の端部56とによって境界付けられている環状の空間からなる。
【0038】
図示されている好ましい実施例においては、ブームストップ15は、一端がブームストップを巻き上げドラムのフレーム71に(従って、回転床20に)取り付け、他端がブーム22と係合している構造を有している。図示された実施例においては、ハウジング52のシールされている端部54はクレーンの回転床に枢支される構造とされており、ロッド76の第二の端部78は柱状部材係合面(この場合には、ブーム係合面)を有している。もちろん、ブームストップ15は逆の形態で取り付けて、ロッド76がフレーム71と回転床20とに取り付けられ、ハウジングのシールされた端部がブーム22と係合する構造とすることもできる。
【0039】
ハウジングのシールされている端部は少なくとも1つ好ましくは2つの伸長部93を備えており、これらの伸長部の各々は貫通しているピン穴94(図8)を備えている。上記したように、ピンは、ハウジング52をクレーンの回転床に穴94及びフレーム71の頂部に設けられた複数の穴にピンを通して留めることによって枢動可能に結合させる。ピンに取り付けられたねじ付きの部材には、ハンドル95が設けられているのが好ましい。(図3)。ハンドル95を回すことによって、ピンが押し込まれたり引っ張り出されたりして、ブームストップ15をフレーム71従って回転床20に係合させ又はフレームから解放させることができる。
【0040】
ロッド76の第二の端部78はU字形状の部材79を備えている。このU字形状部材には、頂部に底部よりも長い部材が形成されていて、ブームが低いブーム角度から図2に示されている位置まで上方へ枢動するとブーム22がブームストップ15と係合するという事実を生じさせる。ロッド76の第二の端部78は、ハウジング52の内径よりも大きな肩部74を備えている。肩部74は、ブームストップ15が十分に圧縮されたときにU字形状部材79及びロッドの第二の端部78からの力をハウジング52に直に伝えるために使用されている。
【0041】
ハウジング52のシールされている端部54は、過圧防止装置97例えば装置内の最大予想圧力よりも高いがハウジング52の破壊圧力よりも低い圧力に設定されている安全逃がし弁装置と、圧力ゲージ96と流体連通しているポートとを備えているのが好ましい。過圧防止装置97はポートを備えており、このポートを開くことにより、ガスをチャンバ内へ導いて最初にチャンバを充填し且つチャンバが再充填される必要があるときには常にガスを追加することができる。充填及び抽気ポート99がハウジング52内の該ハウジングの第二の端部56の近くに設けられていて液体をチャンバ57及び59に追加できるようになされている。
【0042】
図9から最もわかるように、自由ピストン62は、自由ピストン62の外周に、シール例えばO−リング83と2つのガイド84とを備えているのが好ましい。ロッド支持部分64もまた、その外周にガイド86を備えているのが好ましい。ロッド支持部分は、ロッドの残りの部分の第一の端部77に2つのねじ87によって取り付けられている。図10から最も良く分かるように、ハウジングの第二の端部56は別個のヘッド部材43によって作られているのが好ましく、ヘッド部材43は、ハウジングの残りの部分に、その外周に設けられたO−リング87及び支持部材88並びにその内面に設けられたロッドワイパー66、ロッドシール67、緩衝シール68及びピストンガイド69を介して嵌合せしめられている。ポート89が使用されて液体が装置の流体端部から漏れているか否かが検知される。透明な容器(図示せず)がポート89に結合されていて、シール67及び68を通過して漏れている流体が集められる。このようにして、クレーンのユーザーは透明な容器を監視することができる。流体が検知される場合には、適切な修理作業がなされなければならない。これは、伸長したロッドを見ることよりも良好な漏れ検知方法である。
【0043】
ブームストップ15がクレーンに設置される前に、ブームストップに液圧流体及びガスが充填され、次いでシールされる。ガスチャンバ58にはガス(好ましくは窒素)が充填される。第一及び第二の液体チャンバ57及び59には液圧流体が充填される。ガスの圧力によって自由ピストン62は図6に見られるように右方向へ付勢される。自由ピストン62に作用するガスの圧力は、第一の液体チャンバ57の液体を加圧し、ロッド76を図6に見られるように右方向へ付勢する。この装置内の液圧流体の量は、自由ピストン62の最も右側の位置を規定する。その理由は、ガス圧力が自由ピストンを押圧すると、自由ピストンは次いで液体内に圧力を発生させ、この圧力がロッド支持部分64の左側の面及びロッド76の第一の端部77に作用するからである。ロッド76の第二の端部78に圧力がかかっていない場合には、ロッドは右方向へ動く。なぜならば、ロッド支持部分64と第一の端部77とに左側から作用する圧力が、ロッド支持部分64の右側の面上の液体と接触している比較的小さな領域に作用する圧力よりも大きいからである。第二のチャンバ59内の流体は、ロッド支持部分64がハウジング52のヘッド部材43と係合してロッド76がハウジングから完全に押し出されないように停止されるまで流路65内を通って第一の液体チャンバ57内へと流れる。ロッド支持部分64が可能な限り遠くまで右側へ移動すると、自由ピストン62は安定する。
【0044】
ブーム22が低い角度にあるときには、ロッド76はハウジング52から伸長し、ブームストップ15は緩衝装置75上に載置されてブームストップを正しい位置に保持する。U字形状部材79はブーム角度が急勾配になるにつれてブームストップ係合部材41と係合するようにされる。回転床の回転面に対して第一のブーム角度にあるときには、ブームストップ15はブームと係合する。既に記したように、この第一の角度においては、ロッド支持部分64はブームストップのハウジング52の第二の端部56を形成しているヘッド部材43と接触している。ブーム22が後方へ動き続けると、ブームはU字形状部材79を押圧してロッド76をハウジング52内へ押し込む。この状態が生じると、流体は、チャンバ57から流路65を通ってチャンバ59内へと流れる。しかしながら、チャンバ59の単位長さの容積は、ロッド支持部分64の右側にロッドが存在することによりチャンバ57の単位長さの容積よりも小さいので、液体は、自由ピストン62を左方向へ付勢してハウジング内に入って来るロッド76が占める容積の必要量に適応する。チャンバ58内のガスを圧縮することによってガスの圧力が増大する。この増大した圧力は液体に伝えられ、次いでロッド76の第一の端部77に作用せしめられる。このようにして、ブームストップを圧縮するために使われる力の量は、ロッドがハウジング57内へ押し込まれる深さが深くなるにつれて増大する。この増大速度は、最初はロッドの直径のハウジング52の内面53の直径に対する比の関数である。従って、ブーム22が第一の角度から第二の比較的急勾配の角度まで移動することによって、ロッド76はハウジング52内へ押し込まれ、その結果、ロッド支持部分64は自由ピストン62に近づく方向に付勢され、ロッドが移動するにつれて液体は第一の液体チャンバ57から第二の液体チャンバ59内へと流れて第二の液体チャンバ内に大きな容積が形成されるが第一の液体チャンバ内には小さな容積が形成され、ガスチャンバ58内及びロッド支持部分64上に釣り合った圧力の増大がもたらされ、それによって、ブームは第二の比較的急勾配の角度に向かう動きを阻止される。
【0045】
ブームが第二の角度に達すると、図7に示されているように、第一のチャンバ57内の全ての流体が第二のチャンバ59内へと移動する。この時点でブームストップを更に圧縮するためには、ロッド支持部分64を自由ピストン62に対して直に押圧させ且つチャンバ58内のガスを圧縮させ、一方、これと同時に、液体チャンバ57及び59内を真空に引くことが必要とされる。このことを行うのに必要とされる付加的な力はハウジング52の内径に直接比例する。ブーム角度が急勾配になると、ブームは第三の角度に達し、この角度でロッド76の第二の端部78上の肩部74はヘッド部材43と接触状態となって図8に示されているようにハウジング52の第二の端部56を形成し、ブームストップはブーム角度が更に増加するのを防止することができる。この第三のブーム角度においては、ブームストップは更に圧縮することはできない。このようにして、ハウジング52の構造はブーム22が更に後方へ転倒するのを防止する。荷が突然無くなることによってブームがこの位置へと反動して戻りつつある場合には、ブームストップのハウジング52は、“ブームを破壊させる”ほど十分に強くなければならず、このことは、ブーム22が曲がり始めるが後方へ枢動し続けることはできないことを意味している。
【0046】
ブームが第一の角度と第二の角度との間を動くとき、ブームは最初はロッド76をハウジング52内へと付勢してロッド支持部分64が自由ピストン62に隣接するまでロッドの直径に比例したロッドに対する力の増加を生じさせ、次いで、ブーム22が更に動くと、ロッドがロッド支持部分64と自由ピストンと62との両方をハウジングのシールされている端部54に向かって押してハウジングの内径に比例したロッド上の力の増加を生じさせる。十分に伸長した位置からロッド支持部分が自由ピストンに接触する位置までのストロークの第一の部分の間においては、力はロッドの直径の関数である。ストロークの残りの部分の間において、力は、ハウジングの内径と同じである自由ピストンの直径の関数である。これらの異なる2つの直径は、ロッド支持部分と自由ピストンとが接触するストローク内の位置において明確な力の増大を生じさせる。
【0047】
もちろん、自由ピストン62とロッド支持部分64との間の接触点は、肩部74がハウジング52と接触状態となる点に極めて近いか又は同じ点となるように設計される幾つかの実施例も可能である。このことにより、液体チャンバ57と59との内部を真空に引くことに耐えることができるシールを有する必要性が排除される。しかしながら、このことは、肩部74がハウジングの第二の端部56と接するまでの間は、ただ一つの力と圧縮との関係が提供されることを意味している。
【0048】
一つの実施例においては、第一の角度すなわちブーム22が最初にブームストップ15と係合する角度は約75°〜約80°好ましくは78°であり、第三の角度すなわちロッド76の肩部74がハウジング52の第二の端部と接触する角度は約88°〜約90°好ましくは約88°である。
【0049】
圧縮性のストップ部材の例示的な実施例においては、ロッド76は直径が8.25インチ(20.96センチメートル)であり、シリンダボアの直径は9.00インチ(22.86センチメートル)であり、ロッド支持部分は4つの流路を備えており、各々が0.781インチ(1.98センチメートル)の直径の穴によって作られていて流体がロッド支持部分64内を流れることができるようになされている。比較のために、ロッドの大きさ及びシリンダボアの直径に関して、直径が0.125インチ(3.18ミリメートル)の単一の通路は依然としてロッドの3インチ(7.62センチメートル)/秒の移動速度を提供する。このように、例示的な実施例における穴の数及び大きさは、流体チャンバ57と59との間の妨害されない流れを提供することは明らかである。チャンバ58内のガスの圧力は、ブーム及びジブの重量に応じて1340psi(20.68kpa)まで圧力が封入される。ガイド84及び86はテフロン(登録商標)によって作られている。
【0050】
本発明の好ましい実施例においては、圧縮性のストップ部材の液圧シリンダ部分とアキュムレータとが、結合されて単一の圧縮性のストップ部材のハウジング内に設けられる。このことにより、2つのユニット間のパイプによる結合が排除されてコストが低減される。更に、結合されているアキュムレータ/液体シリンダ内には弁構造が存在しない。唯一の液体の流れは妨害されない流路を介するものである。このことにより、圧縮性のストップ部材が比較的簡単になり且つ製作費用が安くなる。更に、ロッドの形状及びハウジングの形状は、ロッドがハウジング内の第一の位置まで押し込まれた後に、ロッドと自由ピストンとが相互に直に物理的に接触してロッドが前記第一の位置を越えてある距離だけハウジング内へ移動することによって、自由ピストンが同じ距離だけ直接移動せしめられるようになされている。
【0051】
更に、好ましい実施例が使用されて二段の力の作用又は単一段の作用が提供される。結局のところ、同じ機械的構造が、二段作用による圧縮性ストップ部材と単一段作用による圧縮性ストップ部材との両方に対して使用される。流体チャンバ57及び59に付加される液体の量を調整して、自由ピストン62とロッド支持部分64とが例えば図7に示されているのと同じ中間位置で相互に接触するか又は肩部74がハウジングの第二の端部56に接触するまで接触状態とならないか否かを判定できるようにすることができる。この特徴により、製造者は、クレーンを設計し且つ組み立て、次いでその後に、圧縮性のストップ部材が単一段の力−圧縮曲線を提供しているか2つの機能曲線に依存して二段の圧縮が単にガスチャンバ内のガスの圧縮によってより大きな力を発生するかを判定することができる。
【0052】
チャンバ58へのガスの付加がチャンバ58を完全に真空にすることなく行われる場合には、チャンバ58内に残留湿度が存在している。この場合には、ハウジング52の内面をクロムメッキすることが好ましい。
【0053】
図1は、ジブストップ45が設けられているクレーン10を示している。ジブストップ45は、ブームストップ15と同じ内部構造を有している。もちろん、圧縮性ストップ部材の種々の部分の大きさは、圧縮性ストップ部材が受けるかも知しれない意図されている荷重に対して設計されている。これらの意図されている荷重は、ブームストップ15及びジブストップ45に対して異なっているので種々の部品の大きさも異なっている。更に、種々のモデルのクレーン及び同じクレーンに対する種々のブーム構造も、ブームストップ及びジブストップにかかる種々の意図された荷重を有するであろう。しかしながら、同じ基本的な設計を有することができ、ある程度は、正確に同じハウジング、自由ピストン及びロッドは、圧縮性ストップ部材内に配置されている圧縮ガス及び液圧オイルを異なる量で使用することができる。
【0054】
図11〜15は、ブーム22の頂部においてブームトップ49に取り付けられ且つラフィングジブ23に取り付けられているジブストップ45を示している。(ブームストップ15と同様に、実際には一対のジブストップ45が設けられているが、これらのうちの一方のみが図11の側面図に見ることができる。)ジブ23は突出部121を備えたジブバットを備えており、突出部121にはビーム材125が取り付けられている。ビーム材125は、ジブストップがブームトップ上に配置される場所に応じてジブバッドよりも幅を広くするか又は狭くすることができる。ビーム材125は、ブームストップ係合部材41と類似しているジブストップ係合部材を備えている。(別の方法として、突出部121とビーム材125とは、ジブストップ係合部材がジブと一体であるように全て一つの溶接物として形成することができる。)ジブストップ45内のロッドは、ビーム材125のジブストップ係合部材と係合する形状及び大きさとされているU字形状部材129によって終端している。位置決めシリンダ131とリンク133とが、ジブ23がジブストップ45に係合するまでジブストップを正しい位置に保持するために使用されている。
【0055】
図11は、ジブストップ45との最初の接触位置にあるラフィングジブ23を示している。この位置では、位置決めシリンダ131は完全に後退している。位置決めシリンダ131は調整可能なロッド端部を有しており、このロッド端部は所望の組み立て隙間寸法を得るために使用することができ、この隙間寸法においては、位置決めシリンダ131は完全に後退せしめられ、U字形状部材129の一方の側部は、ビーム材125上のジブストップ係合部材を形成しているブラケット間に広がっているピンと接触しているが、該ピンはまだU字形状部材129の底部内に着座していない。
【0056】
図12にはラフィングジブ23と係合しているジブストップ45が緩衝作用の開始状態で示されている。図示されている実施形態においては、この緩衝作用は、ラフィングジブがブームの軸線に対して約20°の角度にあるとき始まる。位置決めシリンダ131は依然として一杯まで後退せしめられている。図13は、ブームの軸線に対して約7°の角度へと動かされているジブ23を示している。この位置では、ジブストップ45は固定のストップに到達しており、これはちょうど肩部74がブームストップ15内のハウジング端部56に当たるときである。このようにして、ジブストップ45は、約13°の範囲に亘る緩衝ストッパを提供している。位置決めシリンダ131は依然として一杯まで後退せしめられている。一対のばね荷重がかけられた支柱135(このうちの一つだけが図11〜15の側面図において見ることができる)にジブストップ45の外周に設けられたカラーが取り付けられており且つ位置決めシリンダ131に結合されていてジブストップ45の望ましくない枢動を防止してジブストップ係合部材125とジブストップ45との間の接触を確保している。支柱135は、リンク133を位置決めシリンダ131に取り付けられた状態に保つために使用されている。このことにより、ジブ23がジブストップ45と係合していないときの正しい位置が保証される。支柱135内のばねは、ジブ23がジブストップ45と係合しているときにジブストップ45がリンク133及び位置決めシリンダ131から離れる方向に回転するのを許容している。これらのばねは、予荷重がかけられて所望量の機械動力学による停止位置を維持している。
【0057】
図14及び15は、ブーム22及びジブ23が分解のために地面へと降ろされたときにジブストップ45の係合を解除する方法を示している。ジブ23がブームの軸線に対して約30°のような十分大きな角度にあるとき(図14に示されている)は、位置決めシリンダ131が一杯まで後退せしめられているときでさえ、ジブストップ45はビーム材125上のジブストップ係合部材と係合していない。しかしながら、ブーム22及びジブ23を更に降ろすためには、ジブはブームの軸線に対して負の角度まで動く。位置決めシリンダ131は、図15に示されているように伸長せしめられて、ジブストップ45を邪魔にならないように持ち上げることによって隙間を提供している。ジブの角度が、図14に示されているブームの軸線に対して30°の位置から図15に示されている約−7°まで移行すると、位置決めシリンダ131はジブストップ45を邪魔にならないように保持することができる。
【実施例2】
【0058】
ブームストップ15と、穴を備えている一つの連続しているシリンダによって作られているハウジングを備えたジブストップ45とに加えて、本発明の圧縮性のストップ部材は、図16〜19に示されているように、別のハウジング構造によって作ることもできる。図16に示されている特別な圧縮性のストップ部材にする設計上の必要性に適合させるためにハウジングに十分長い穴を機械加工することが難しいときには、相互に溶接された2つのハウジング部材151及び152によって作られたハウジングを備えた圧縮性のストップ部材150を、K形溶接によって溶接された支持プレート153を使用することによって形成することができる。
【0059】
圧縮性のストップ部材150は、ブームストップ15に対して多くの類似点を有しており、この類似点としては、第一のシールされた端部及び第二の端部を有するハウジングがある。ハウジングの内面は、ハウジング部材151によって提供される第一の直径の第一の円筒形面と、ハウジング部材152によって提供される第二の直径の第二の円筒形面とを備えている。ブームストップ15と同様に、圧縮性のストップ部材150は、ハウジング内に、ハウジングの第一の円筒形面と密封係合状態で摺動可能に収容されている自由ピストン155を備えており、自由ピストン155は、ハウジング内における自由ピストン155とハウジングの第一のシールされている端部との間に圧縮ガスチャンバ158を形成している。圧縮性のストップ部材150は、第一の端部と第二の端部とを備え且つ直径がハウジングの第一の直径よりも小さい円筒形部分を備えているロッド156とロッド支持部分157とを備えている。ロッド156は、ハウジングの第二の端部から該ハウジングの第二の端部において摺動係合状態で延びている。ロッドの第二の端部は前記ハウジングの外側にある。ロッド支持部分157は、ハウジング内に、該ハウジングの内側面と摺動係合状態で摺動可能に収容されている。ロッド支持部分64と同様に、ロッド支持部分157は、自由ピストン155とハウジングの第二の端部との間の容積であってロッド156によって占められていない容積を、第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとに分けており、第一の液体チャンバ154は、ハウジング内における自由ピストン155とロッド支持部分157との間の容積からなり、第二の液体チャンバ159は、ロッド支持部分とハウジングの第二の端部との間の空間からなる。ロッド支持部分157は、少なくとも1つの流路197を備えており、該流路は、ロッド支持部分157がハウジング内を摺動するときに液体を第一の液体チャンバと第二の液体チャンバとの間で妨害されることなく流れさせる。
【0060】
2つの部品からなるハウジングの使用に加えて、圧縮性ストップ部材150はブームストップ15とは別の重要な形態で異なっている。ロッドの第二の端部が肩部を備えており且つ該肩部がハウジングの第二の端部と係合している堅牢なストップ構造を設ける代わりに、圧縮性のストップ部材150は、ハウジングの内側に配置されている内側ストッパによって提供される堅牢なストッパを有しており、ロッド支持部分157はこのストッパを越えて動くことができない。この実施例においては、溶接された支持プレート153の内径は、ロッド支持部分157の直径よりも小さい。ロッド156がハウジング内へ押し込まれると、最終的にはロッド支持部分157は溶接された支持プレート153に対する堅牢なストッパを形成し、これはロッドの更なる移動を終わらせる。溶接された支持プレート153の内径は、ロッド156が最初にハウジング内へ押し込まれるときに液体が該支持プレート153内を容易に通過できるほど十分に大きくて、ロッドがハウジング内に入るにともなって、自由ピストン155が動くようにされている。
【実施例3】
【0061】
圧縮性のストップ部材160の別の実施例であって2部品からなるハウジングを備えている実施例が図17に示されている。圧縮性のストップ部材160は、溶接結合を使用する代わりにハウジング部材161及び162がボルト止めによるフランジ結合163によって相互に固定されている点以外は、圧縮性のストップ部材150と類似している。このタイプの結合においては、第一の直径の第一の円筒形の面はハウジング部材161によって提供されており、第二の直径の第二の円筒形の面はハウジング部材162によって提供されており、これらが一つの連続した面を形成している。自由ピストン165とロッド166のロッド支持部分167との両方が、チャンバ168内のガスとチャンバ164及び169内の液体との相対的な量及びロッドの必要とされる移動がこのような動きを許容する場合に、摺動して結合部163における継手を通り過ぎることができる。圧縮性のストップ部材160においては、堅牢なストッパは、ブームストップ15と同様にハウジングの端部と接触するロッド166上の肩部によって提供される。更に、ブームストップ15と同様に、ハウジング内の液体の量、ロッドの形状及びハウジングの形状は、圧縮性のストップ部材170が、ロッド166の円筒形部分が十分に長い場合に、ロッド166がハウジング内の第一の位置(図示せず)へと押し込まれた後に、ロッドと自由ピストン165とが相互に物理的に接触してロッドがある距離だけ前記第一の位置を通り過ぎてハウジング内へ更に動くことによって、自由ピストンは同じ距離だけ動くように直接付勢されるようになされている。
【実施例4】
【0062】
ハウジング内面の第一及び第二の直径は同じである必要はない。図18及び19に示されている圧縮性のストップ部材170及び180は、直径が異なっているハウジングの例である。圧縮性のストップ部材170のハウジングの内面は、第一の直径の第一の円筒形面を備えており、この第一の直径は、ハウジング部材172によって提供されている第二の円筒形の面の直径よりも小さい。ハウジング部材171及び172はボルト止めされた結合部によって結合されており、該結合部は、第一のハウジング部材171に溶接されている端部の部材173と第二のハウジング部材172に取り付けられている溶接されている端部193との間に形成されている。圧縮性のストップ部材170の機能は、他の実施例とちょうど同じである。ロッド176に力がかけられるにつれて、ロッドは(図18で見て)右側へ動き、流体はチャンバ174からロッド支持部分177内の流路198を通ってチャンバ179へと移動する。チャンバ179は、単位長さ当たりの容積がチャンバ174より小さいので、自由ピストン175もまた右側へと押されてチャンバ178内の圧力を増大させ、従って、ロッド支持部分177に作用するチャンバ174内の流体の圧力を増大させる。圧縮性のストップ部材170においては、堅牢なストッパは、ハウジングと接触しているロッド176の端部上の肩部によって提供されるか又は空間が調整されている場合には溶接されている端部部分193と接触するロッド支持部分177によって提供される。溶接されている端部部分193はハウジング部材同士を結合させるために使用されるボルト穴を提供している。
【実施例5】
【0063】
圧縮性のストップ部材180はハウジング内面を有しており、この内面において、ハウジング部材181によって提供される第一の円筒形面の直径はハウジング部材182によって堤供される第二円筒形面の直径よりも大きい。ハウジング部材間の結合は、環状部材183に対する溶接によって提供されている。圧縮性のストップ部材180は、以前に説明した実施例とは、伸長部195がロッド186上のロッド支持部分187の前方に形成されている点で異なっている。伸長部195が使用される液体の量に対して十分に長い場合には、圧縮性のストップ部材180は、伸長部195がロッド186と自由ピストン185とが相互に直接的な物理的接触を形成してロッドの更なる動きによって自由ピストンがチャンバ188内へと更に直接押し込まれるようになされている場合に二段階の力曲線を示す。
【0064】
本発明の好ましい実施例は、大きな停止力を発生し且つ高能力のクレーン上のブームストップ又はジブストップに必要とされる大きなエネルギ量を吸収することができる構成部品のコンパクトなスペースを可能にする。更に、この圧縮性のストップ部材は、部材を圧縮した状態が終了した後に柱状部材を通常の状態に戻す補助として使用することができ又は通常の状態に戻されたときに少なくともロッドを付勢して柱状部材に追従させることができる。
【0065】
本明細書に記載した現在のところ好ましい実施例に種々の変更及び改造を加えることができることは理解されるべきである。例えば、ロッドの第一の端部77及びロッド支持部分64は一つの一体部品として作ることができ、又は、ロッド支持部分64はロッド76の第一の端部77の外径に固定される幾つかの部分又は別個の単一の部分によって作ることができる。ハウジングの内面においては、ロッド支持部分が動く部分の直径は第二の液体チャンバを形成している直径よりも大きくするか又は小さくすることができる。クレーン上の柱状部材の制限される動作に加えて、本発明の圧縮性の部材は、他の用途であってクレーン部材の動きが制限される必要があり且つ緩衝及び戻り作用又は追従作用が望ましい他の用途において使用することができる。このような変更及び改造は、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく且つ意図されている利点を減らすことなく行うことができる。従って、このような変更及び改造も特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0066】
10 移動式巻き上げクレーン、
12 車体、
13 補巻きロープ、
14,16 クローラー、接地部材、
15 ブームストップ、
17 荷巻上げワイヤーロープ、
18 ワイヤーロープガイド、
19 ラフィングジブ巻き上げワイヤーロープ、
20 回転床、
21 ペンダント、
22 ブーム、
23 ラフィングジブ、
24 荷巻き上げワイヤーロープ、
25 ブーム巻き上げワイヤーロープ
26 フック、
27 ジブ支柱、
28 マスト、
29 主要な支柱、
30 後方連結器、
31 支柱キャップ、
32 引っ張り部材、
33 ジブのバックステーストラップ、
34 カウンタウエイトユニット、
35 支柱ストップ、
36 直線作動装置、
37 ジブ支持ストラップ、
38 後方アーム、
39 角度が付けられた部分、
40 枢動フレーム、
41 ブームストップ係合部材、
43 ヘッド部材、
44 カウンタウエイト部材、
45 ジブストップ、
46 カウンタウエイト支持装置、
47 下方スライド平衡装置、
48 上方スライド平衡装置、
50 ブーム巻き上げ索具のための巻き上げドラム、
51 持ち上げ用突起、
52 ハウジング、
53 内側円筒形面、
54 第一のシールされた端部、
56 ハウジングの第二の端部、
57 第一の液体チャンバ、
58 圧縮チャンバ、
59 第二の液体チャンバ、
60 ブーム巻き上げドラムのためのフレーム、
61 安定化耳状部、
62 自由ピストン、
64 ロッド支持部分、
65 流路、
66 ロッドワイパー、
67 ロッドシール、
68 緩衝シール、
69 ピストンガイド、
70 第一の主要な荷巻き上げドラム、
71 第一の主要な荷巻き上げドラムのフレーム、
72 フレーム71の脚部、
73 脚部、
74 肩部、
75 緩衝装置、
76 ロッド、
77 ロッドの第一の端部、
78 ロッドの第二の端部、
79 U字形状の部材、
80 第二の主要な巻き上げドラム、
81 第二の主要な荷巻き上げドラムのフレーム、
82 フレーム81の脚部、
83 シール,O−リング、
84 ガイド、
86 ガイド、
87 ねじ、
88 支持部材、
89 ポート、
90 補巻きロープのための補助荷巻上げドラム、
91 補助の荷巻上げドラムのフレーム、
92 対角状の脚部、
93 伸長部、
94 ピン穴、
95 ハンドル、
96 圧力ゲージ、
97 過圧防止装置、
99 充填及び抽気ポート、
100 ラフティジブ巻き上げドラム、
110 索具巻き上げドラム、
111 索具巻き上げワイヤーロープ、
121 突出部、
125 ビーム材、
129 U字形状部材、
131 位置決めシリンダ、
133 リンク、
135 支柱、
150 圧縮性のストップ部材、
151 ハウジング部材、
152 ハウジング部材、
153 支持プレート、
154 第一の液体チャンバ、
155 自由ピストン、
156 ロッド、
157 ロッド支持部分、
158 圧縮ガスチャンバ、
159 第二の液体チャンバ、
160 圧縮性のストップ部材、
161,162 ハウジング部材、
163 フランジ結合、
164 チャンバ、
165 自由ピストン、
166 ロッド、
167 ロッド支持部分、
168 チャンバ、
169 チャンバ、
170 圧縮性のストップ部材、
171 第一のハウジング部材、
172 第二のハウジング部材、
173 端部部材、
174 チャンバ、
175 自由ピストン、
176 ロッド、
177 ロッド支持部分、
178 チャンバ、
179 チャンバ、
180 圧縮性のストップ部材、
181 ハウジング部材、
182 ハウジング部材、
183 環状部材、
185 自由ピストン、
186 ロッド、
187 ロッド支持部分、
188 チャンバ、
193 端部、
195 伸長部、
197 流路、
198 流路、
図1
図2
図3
図4
図5
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