特許第5735781号(P5735781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735781
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用クランプ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20150528BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20150528BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20150528BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20150528BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   H02G3/26 D
   F16B2/06
   F16B2/08 U
   F16B5/06 X
   F16B5/06 A
   B60R16/02 623D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-261258(P2010-261258)
(22)【出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-115024(P2012-115024A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2013年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】間渕 実良
【審査官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−036509(JP,U)
【文献】 特開2009−291012(JP,A)
【文献】 特開2000−078726(JP,A)
【文献】 実開平06−027615(JP,U)
【文献】 実開平05−058914(JP,U)
【文献】 特開平10−309023(JP,A)
【文献】 特開平07−212943(JP,A)
【文献】 特開2000−002209(JP,A)
【文献】 特開2009−243526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
B60R 16/02
F16B 2/06
F16B 2/08
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にワイヤハーネスが載置される載置板部と、
前記載置板部に載置されたワイヤハーネスを前記載置板部に結束するハーネス結束手段と、
前記載置板部の裏面に突設されて前記ワイヤハーネスを配索する構造物に形成されたクランプ取付穴に嵌合固定されるパネル連結部と、を備えるワイヤハーネス用クランプであって、
前記載置板部の表面には、前記ハーネス結束手段によって前記表面に押圧される前記ワイヤハーネスの表面に食い込んで、ワイヤハーネスの移動を規制する横断突条をワイヤハーネスの軸線と直交する方向に延在して設け、
更に、前記載置板部の表面には、ワイヤハーネスの軸線方向に沿って延在してワイヤハーネスを構成する電線間に挿入される1条の縦断突条を前記横断突条よりも高くなるように設けたことを特徴とするワイヤハーネス用クランプ。
【請求項2】
前記横断突条を、前記載置板部の長さ方向の中間の1箇所に備え、
前記ハーネス結束手段が、ワイヤハーネスの軸線方向に離間し、且つ前記横断突条を挟む2箇所に装備されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス用クランプ。
【請求項3】
前記横断突条を、ワイヤハーネスの長手方向に離間した2箇所に備え、
前記ハーネス結束手段が、これらの2箇所の横断突条間でワイヤハーネスを結束することを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス用クランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物上のワイヤハーネス配索経路にワイヤハーネスを固定するワイヤハーネス用クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、ワイヤハーネス用クランプの従来例を示したものである。
このワイヤハーネス用クランプ101は、下記特許文献1に開示されたもので、載置板部111と、ハーネス結束手段131と、パネル連結部151とを備える。
【0003】
載置板部111は、略平板状で、表面111aにワイヤハーネス121が載置される部材である。載置板部111は、ワイヤハーネス121の長さ方向に細長く形成されている。
【0004】
ハーネス結束手段131は、載置板部111に載置されたワイヤハーネス121を載置板部111に結束する部材で、この例では、粘着テープである。ハーネス結束手段131は、後述するパネル連結部151を挟む載置板部111の両側で、載置板部111とワイヤハーネス121とに巻き付けられて、ワイヤハーネス121を載置板部111に固定する。
【0005】
パネル連結部151は、載置板部111の裏面の長さ方向の中央部に突設されている。このパネル連結部151は、ワイヤハーネス121を配索する構造物141に形成されたクランプ取付穴142に嵌合固定される突起部である。
【0006】
パネル連結部151は、クランプ取付穴142の中心を挿通する中心軸部152と、中心軸部152の先端から中心軸部152の基端側に向かって斜めに延出したバネ片153と、バネ片153の外側面に形成された係合溝154と、を備える。
【0007】
パネル連結部151は、クランプ取付穴142に差し込むと、バネ片153が中心軸部152側に撓みながらクランプ取付穴142に嵌合し、図示のように、クランプ取付穴142の周縁部の位置まで係合溝154が進むと、係合溝154にクランプ取付穴142の周縁部が係合して、構造物141に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−23722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1のワイヤハーネス用クランプ101は、ワイヤハーネス121に作用する張力で、軸方向(図8の矢印X1方向)に移動が生じるおそれがあった。また、ワイヤハーネス121に捩り力が作用したときには、ワイヤハーネス121が矢印R1で示すように、軸回りに回動してしまうおそれがあった。
【0010】
また、ハーネス結束手段131はテープ巻きによるもので、テープ巻きの範囲を長くしないと、十分な固定強度が得られない。そのため、テープ巻きの範囲を確保するために、載置板部111の長大化が避けられず、ワイヤハーネス用クランプ101の大型化や重量化という問題を招いた。
【0011】
また、テープ巻き作業は自動化が難しく、自動化による作業性の向上を図ることが難しいという問題もあった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、結束するワイヤハーネスに対して、軸方向の移動や軸回りの回動を確実に規制してしっかりと固定することができ、しかも、小型化や軽量化を図ることのできるワイヤハーネス用クランプを提供すること、更に、ワイヤハーネスへの取り付け作業の自動化(機械化)によってワイヤハーネスへの取り付け作業性を向上させることのできるワイヤハーネス用クランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)表面にワイヤハーネスが載置される載置板部と、
前記載置板部に載置されたワイヤハーネスを前記載置板部に結束するハーネス結束手段と、
前記載置板部の裏面に突設されて前記ワイヤハーネスを配索する構造物に形成されたクランプ取付穴に嵌合固定されるパネル連結部と、を備えるワイヤハーネス用クランプであって、
前記載置板部の表面には、前記ハーネス結束手段によって前記表面に押圧される前記ワイヤハーネスの表面に食い込んで、ワイヤハーネスの移動を規制する横断突条をワイヤハーネスの軸線と直交する方向に延在して設け、
更に、前記載置板部の表面には、ワイヤハーネスの軸線方向に沿って延在してワイヤハーネスを構成する電線間に挿入される1条の縦断突条を前記横断突条よりも高くなるように設けたことを特徴とするワイヤハーネス用クランプ。
【0014】
(2)前記横断突条を、前記載置板部の長さ方向の中間の1箇所に備え、
前記ハーネス結束手段が、ワイヤハーネスの軸線方向に離間し、且つ前記横断突条を挟む2箇所に装備されていることを特徴とする上記(1)に記載のワイヤハーネス用クランプ。
【0015】
(3)前記横断突条を、ワイヤハーネスの長手方向に離間した2箇所に備え、
前記ハーネス結束手段が、これらの2箇所の横断突条間でワイヤハーネスを結束することを特徴とする上記(1)に記載のワイヤハーネス用クランプ。
【0017】
上記(1)の構成によれば、載置板部の表面に載置されたワイヤハーネスをハーネス結束手段により載置板部に結束すると、載置板部の表面に設けられた突条がワイヤハーネスの表面に食い込む。このワイヤハーネスに対する突条の食い込みが、ワイヤハーネスに対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制するため、ワイヤハーネスをしっかりと固定することができる。
【0018】
しかも、突条の食い込みでワイヤハーネスの移動を規制する構成では、テープ巻きによってワイヤハーネスの移動を規制する場合と比較して、ワイヤハーネスの軸方向に延在する載置板部の長さ寸法を短縮しても、ワイヤハーネスに対して、安定した位置規制ができる。そのため、載置板部の長さ寸法の短縮により、小型化や軽量化を図ることもできる。
また、縦断突条は、ワイヤハーネスの軸方向に沿って、ワイヤハーネスを構成する電線間に割り込むため、ワイヤハーネスに作用する捩り力でワイヤハーネスが軸回りへ回動することを防止することができる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、ワイヤハーネスは、突条と接触する部分と、ハーネス結束手段により結束される部分とが逆の曲がり形状となり、ワイヤハーネスが蛇行形状で載置板部に固定されるため、ワイヤハーネスに対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制する効力が高まり、ワイヤハーネスの位置決め精度が向上する。
【0020】
上記(3)の構成の場合も、ワイヤハーネスは、突条と接触する部分と、ハーネス結束手段により結束される部分とが逆の曲がり形状となり、ワイヤハーネスが蛇行形状で載置板部に固定されるため、ワイヤハーネスに対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制する効力が高まり、ワイヤハーネスの位置決め精度が向上する。
【0021】
しかも、上記(3)の構成の場合は、ハーネス結束手段の装備箇所は一箇所に低減することができ、ハーネス結束手段によってワイヤハーネスを結束する作業を低減して、ワイヤハーネスへの取り付け作業性を向上させることができる。
【0022】
上記(2)、(3)の構成によれば、横断突条は、ワイヤハーネスに対して軸線方向に直交する方向の屈曲を与えて、ワイヤハーネスに作用する張力でワイヤハーネスが軸方向へ移動することを防止する。
【0023】
即ち、ワイヤハーネスの軸方向への移動と、軸回りの回動とを、それぞれ専用の突条により確実に規制する構成で、ワイヤハーネスの軸方向への移動及び軸回りの回動のそれぞれを、より確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるワイヤハーネス用クランプによれば、載置板部の表面に載置されたワイヤハーネスをハーネス結束手段により載置板部に結束すると、載置板部の表面に設けられた突条がワイヤハーネスの表面に食い込む。このワイヤハーネスに対する突条の食い込みが、ワイヤハーネスに対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制するため、ワイヤハーネスをしっかりと固定することができる。
【0025】
しかも、突条の食い込みでワイヤハーネスの移動を規制する構成では、テープ巻きによってワイヤハーネスの移動を規制する従来の場合と比較して、ワイヤハーネスの軸方向に延在する載置板部の長さ寸法を短縮しても、ワイヤハーネスに対して、安定した位置規制ができる。そのため、載置板部の長さ寸法の短縮により、小型化や軽量化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係るワイヤハーネス用クランプの第1実施形態の側面図である。
図2図1に示したワイヤハーネス用クランプの平面図である。
図3】本発明に係るワイヤハーネス用クランプの第2実施形態の斜視図である。
図4】本発明に係るワイヤハーネス用クランプの第3実施形態の斜視図である。
図5図4に示したワイヤハーネス用クランプの分解斜視図である。
図6図5に示した載置板部及びパネル連結部を裏面側から見た拡大斜視図である。
図7図6に示した載置板部を表面側から見た拡大斜視図である。
図8】従来のワイヤハーネス用クランプの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るワイヤハーネス用クランプの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1及び図2は本発明に係るワイヤハーネス用クランプの第1実施形態を示したもので、図1は本発明の第1実施形態のワイヤハーネス用クランプの側面図、図2図1に示したワイヤハーネス用クランプの平面図である。
【0029】
この第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1は、載置板部11と、ハーネス結束手段21と、パネル連結部31と、横断突条41と、を備える。
【0030】
載置板部11は、略平板状で、表面11aにワイヤハーネス51が載置される部材である。本実施形態の場合、図2に示すように、載置板部11は、縦横の寸法が略等しい矩形に形成されている。
【0031】
ハーネス結束手段21は、載置板部11に載置されたワイヤハーネス51を載置板部11に結束する部材である。本実施形態の場合、ハーネス結束手段21は、載置板部11とは別体の可撓性を有した樹脂製線材21a(図5参照)から形成される。このハーネス結束手段21は、載置板部11に貫通形成された線材挿通孔12を貫通した樹脂製線材21aの両端部を溶着することで、載置板部11に固定される。
【0032】
線材挿通孔12は、樹脂製線材21aの端部を挿通可能な孔で、図6に示すように、載置板部11の前端側及び後端側にそれぞれ2箇所ずつ、合計4箇所に装備されている。
【0033】
パネル連結部31は、載置板部11の裏面の略中心部に突設されている。このパネル連結部31は、ワイヤハーネス51を配索する不図示の構造物(図8における構造物141に相当)に形成されたクランプ取付穴に嵌合固定される突起部である。
【0034】
本実施形態におけるパネル連結部31は、不図示のクランプ取付穴の中心を挿通する中心軸部32と、中心軸部32の先端から中心軸部32の基端側に向かって斜めに延出したバネ片33とを備えている。このパネル連結部31は、中心軸部32側にバネ片33が撓んだ状態でクランプ取付穴を挿通した後、クランプ取付穴の裏側でバネ片33が撓みを戻して、クランプ取付穴の周縁部にバネ片33が引っかかることで、構造物への固定を果たす。
【0035】
横断突条41は、載置板部11の表面に突設された突条である。この横断突条41は、ワイヤハーネス51の軸線と直交する方向に延在している。また、本実施形態の場合、横断突条41は、ワイヤハーネス51の軸線方向における長さの中間の1箇所に備えられている。
【0036】
また、本実施形態の場合、前述のハーネス結束手段21は、ワイヤハーネス51の軸線方向に離間し、且つ横断突条41を挟む2箇所に装備されている。
【0037】
横断突条41は、図1に示すように、ハーネス結束手段21によって載置板部11の表面に押圧されるワイヤハーネス51の表面に食い込んで、ワイヤハーネス51に軸線と直交する方向に延在する稜線状の屈曲部52を形成する。横断突条41は、屈曲部52との係合により、ワイヤハーネス51の軸線方向の移動と、軸線回りの回動とを規制する。
【0038】
以上に説明した第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1では、載置板部11の表面に載置されたワイヤハーネス51をハーネス結束手段21により載置板部11に結束すると、載置板部11の表面に設けられた横断突条41がワイヤハーネス51の表面に食い込む。このワイヤハーネス51に対する横断突条41の食い込みが、軸方向と直交する方向に延在する稜線状の屈曲部52をワイヤハーネス51に作り、ワイヤハーネス51に対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制するため、ワイヤハーネス51をしっかりと固定することができる。
【0039】
しかも、横断突条41の食い込みでワイヤハーネス51の移動を規制する構成では、テープ巻きによってワイヤハーネスの移動を規制する従来の場合と比較して、ワイヤハーネス51の軸方向に延在する載置板部11の長さ寸法を短縮しても、ワイヤハーネス51に対して、安定した位置規制ができる。そのため、載置板部11の長さ寸法の短縮により、小型化や軽量化を図ることもできる。
【0040】
また、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1では、ワイヤハーネス51は、横断突条41と接触する部分と、ハーネス結束手段21により結束される部分とが逆の曲がり形状となり、ワイヤハーネス51が蛇行形状で載置板部11に固定されるため、ワイヤハーネス51に対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制する効力が高まり、ワイヤハーネス51の位置決め精度が向上する。
【0041】
更に、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1では、ハーネス結束手段21の載置板部11への連結作業は、ハーネス結束手段21としての樹脂製線材21aの両端部を載置板部11の線材挿通孔12に挿通させる線材移動工程と、載置板部11の線材挿通孔12を貫通した樹脂製線材21aの両端部を溶着する溶着工程との、少ない作業工程で完了させることができ、従来のテープ巻き作業と比較すると、自動化を図り易い。
【0042】
そのため、ワイヤハーネス51への取り付け作業の自動化(機械化)によってワイヤハーネス51への取り付け作業性を向上させることができる。
【0043】
図3は、本発明に係るワイヤハーネス用クランプの第2実施形態の斜視図である。
この第2実施形態のワイヤハーネス用クランプ2は、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1の一部を改良したものである。
【0044】
この第2実施形態のワイヤハーネス用クランプ2において、略正方形状の載置板部11の裏面の中心にパネル連結部31が突設される構成、載置板部11の表面側に横断突条41が突設される構成、載置板部11にワイヤハーネス51を結束するハーネス結束手段21が載置板部11とは別体の樹脂製線材21aを使用したものである構成等は、第1実施形態と共通である。
【0045】
なお、図3において、符号21bは、溶着処理によって径方向に膨出した形状に成形された樹脂製線材21aの端部21bである。
【0046】
次に、第2実施形態のワイヤハーネス用クランプ2が、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1と相異している点について説明する。
【0047】
この第2実施形態のワイヤハーネス用クランプ2の場合、ハーネス結束手段21の移動を規制するための突条として、ワイヤハーネス51の軸線と直交する方向に延在する横断突条41を、ワイヤハーネス51の長手方向に離間した2箇所に備えている。
【0048】
そして、ハーネス結束手段21は、装備箇所が1箇所に削減され、これらの2箇所の横断突条41間でワイヤハーネス51を結束する。
【0049】
図3に示した第2実施形態のワイヤハーネス用クランプ2の場合も、ワイヤハーネス51は、横断突条41と接触する部分と、ハーネス結束手段21により結束される部分とが逆の曲がり形状となり、ワイヤハーネス51が蛇行形状で載置板部11に固定されるため、ワイヤハーネス51に対して、軸方向の移動や軸回りの回動を規制する効力が高まり、ワイヤハーネス51の位置決め精度が向上する。
【0050】
しかも、第2実施形態のワイヤハーネス用クランプ2の場合は、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1と比較して、ハーネス結束手段21の装備箇所は一箇所に低減することができ、ハーネス結束手段21によってワイヤハーネス51を結束する作業を低減して、ワイヤハーネス51への取り付け作業性を向上させることができる。
【0051】
図4図7は本発明に係るワイヤハーネス用クランプの第3実施形態を示したもので、図4は本発明の第3実施形態のワイヤハーネス用クランプの斜視図、図5図4に示したワイヤハーネス用クランプの分解斜視図、図6図5に示した載置板部及びパネル連結部を裏面側から見た拡大斜視図、図7図6に示した載置板部を表面側から見た拡大斜視図である。
【0052】
この第3実施形態のワイヤハーネス用クランプ3は、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1の一部を改良したものである。
【0053】
改良した点は、ワイヤハーネス51の移動を規制する突条として、第1実施形態に示した横断突条41の他に、ワイヤハーネス51の軸線方向に沿って延在してワイヤハーネス51を構成する電線間に挿入される縦断突条43を備えた点である。
【0054】
第3実施形態のワイヤハーネス用クランプ3において、縦断突条43以外の構成は、第1実施形態のワイヤハーネス用クランプ1と共通で良く、共通の構成については第1実施形態と同番号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施形態の場合、縦断突条43は、ワイヤハーネス51の電線間に割り込ませ易いように、先端側が鋭角に面取りされている。
【0056】
以上に説明した第3実施形態のワイヤハーネス用クランプ3では、横断突条41は、ワイヤハーネス51に対して軸線方向に直交する方向の屈曲を与えて、ワイヤハーネス51に作用する張力でワイヤハーネス51が軸方向へ移動することを防止する。一方、縦断突条43は、ワイヤハーネス51の軸方向に沿って、ワイヤハーネス51を構成する電線間に割り込むため、ワイヤハーネス51に作用する捩り力でワイヤハーネス51が軸回りへ回動することを防止することができる。
【0057】
即ち、第3実施形態のワイヤハーネス用クランプ3は、ワイヤハーネス51の軸方向への移動と、軸回りの回動とを、それぞれ専用の突条により確実に規制する構成で、ワイヤハーネス51の軸方向への移動及び軸回りの回動のそれぞれを、より確実に防止することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1,2,3 ワイヤハーネス用クランプ
11 載置板部
11a 表面
12 線材挿通孔
21 ハーネス結束手段
21a 樹脂製線材
21b 端部(溶着部)
31 パネル連結部
41 横断突条(突条)
43 縦断突条(突条)
51 ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8