特許第5735802号(P5735802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735802
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】シランを含まない自己制御触媒組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   C08F4/654
【請求項の数】4
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-521992(P2010-521992)
(86)(22)【出願日】2008年8月20日
(65)【公表番号】特表2010-536998(P2010-536998A)
(43)【公表日】2010年12月2日
(86)【国際出願番号】US2008073678
(87)【国際公開番号】WO2009029447
(87)【国際公開日】20090305
【審査請求日】2011年8月18日
(31)【優先権主張番号】60/957,911
(32)【優先日】2007年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399016927
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リンフェン
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,ジュニア,リチャード,イー.
【審査官】 阪野 誠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−206314(JP,A)
【文献】 特開昭55−127408(JP,A)
【文献】 特開昭63−234003(JP,A)
【文献】 特開昭60−067508(JP,A)
【文献】 米国特許第04567155(US,A)
【文献】 特開2005−306918(JP,A)
【文献】 特開昭60−203606(JP,A)
【文献】 Maria Carmela Sacchi et al.,Role of the Pair of Ineternal and External Donors in MgCl2-Supported Ziegler-Natta Catalysts,Macromolecules,米国,1991年 2月25日,Vol.24,6823-6826
【文献】 Luigi Cavallo et al.,Key Interactions in Heterogeneous Ziegler-Natta Catalytic Systems: Structure and Energetics of TiCl4-Lewis Base Complexes,J.Phys.Chem. C,米国,2007年 1月10日,Vol.111,4412-4419
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60− 4/70
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン部分、マグネシウム化合物並びに、ジオールエステル及び芳香族ジカルボン酸エ
ステルからなる群から選択される内部電子供与体を含むチーグラー・ナッタプロ触媒組成
物と、
トリエチルアルミニウムからなる、アルミニウムを含有する共触媒と、 p−エトキシ
安息香酸エチルと2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物を含む選択性制御剤
(SCA)とを含み、
前記触媒組成物が、35%又はそれ以下の正規化された活性比A100/A67を有し、
ここで前記正規化された活性比はA100/A67により規定され、A100が100℃
での活性であり、A67が67℃での活性である、ただし前記活性は所定の温度で測定されたポリマー重量/触媒重量/時間として定義される、
触媒組成物。
【請求項2】
アルミニウム対p−エトキシ安息香酸エチルの割合が0.5〜20:1である、請求項
1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
アルミニウム対全SCAのモル比が0.5:1〜4:1である、請求項1に記載の触媒
組成物。
【請求項4】
前記触媒組成物が、3%〜5%の、正規化された活性比A115/A67を有し、ここ
で前記正規化された活性比はA115/A67により規定され、A115が115℃での
活性であり、A67が67℃での活性である、請求項1に記載の触媒組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2007年8月24日出願の米国特許仮出願第60/957,911号の優先権を主張し、本出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、重合反応及び特にプロピレン重合で用いる立体選択的なチーグラー・ナッタ触媒組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
選択性(selectivity)及びアイソタクチシティ制御(isotacticity control)を改良させるために、アルコキシシランなどのシラン組成物をチーグラー・ナッタ触媒系に組み込むことが知られている。そのような選択性制御剤には、触媒系に自己制御特性をもたらすために芳香族カルボン酸エステルなどの活性制限剤をさらに含めてもよい。しかし、アルコキシシランを必要としない、改良された触媒活性及び改良された立体選択性を有する自己制御型(self-limiting)のチーグラー・ナッタ触媒系を開発することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、自消性(self-extinguishing)であってシランを含まない、高い触媒活性及び高い立体選択性を有する触媒組成物に関する。本触媒組成物は、高いアイソタクチシティを有するポリプロピレンホモポリマー、又はプロピレン含有ポリマーをさらに生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体(internal electron donor)を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物(procatalystcomposition)、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒(one or more aluminum containing cocatalysts)、及び選択性制御剤(selectivity control agent)(SCA)が含まれる。SCAは、活性制限剤(activity limiting agent)(ALA)及び選択性決定剤(selectivity determining agent)(SDA)の混合物である。一実施形態では、ALAはカルボン酸エステルであり、SDAは非シラン組成物である。この触媒組成物は自消性である。
【0006】
一実施形態では、内部電子供与体は、ジエーテル組成物、スクシネート組成物、ジオールエステル、又は芳香族ジカルボン酸エステルであってもよい。内部電子供与体及び非シラン組成物は同一であっても異なってもよい。
【0007】
カルボン酸エステルは芳香族カルボン酸エステル、脂肪族酸エステル、又は脂肪酸エステルであってもよい。一実施形態では、カルボン酸エステルは、p−エトキシ安息香酸エチルである。非シラン組成物は、ジエーテル組成物、スクシネート組成物、又はピペリジン組成物であってもよい。適したSCAの限定されない例としては、p−エトキシ安息香酸エチル(ALA)及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(SDA)の混合物;2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチル(SDA)及び脂肪族エステル(ALA)の混合物、ならびに2,2−ジ−イソ−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン(SDA)及び脂肪族エステル(ALA)の混合物が挙げられる。
【0008】
本開示は、もう一種類の触媒組成物を提供する。一実施形態では、触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒、及び選択性制御剤(SCA)が含まれる。SCAは、非エステル組成物(ALA)及び非シラン組成物(SDA)の混合物である。この触媒組成物は自消性である。
【0009】
一実施形態では、非エステル組成物は、2,2−ジ−イソ−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン(ALA)などのジエーテル組成物である。SCAの限定されない例は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(SDA)及び2,2−ジ−イソ−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン(ALA)の混合物である。
【0010】
本開示は、もう一種類の触媒組成物を提供する。一実施形態では、触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒、及び選択性制御剤(SCA)が含まれる。SCAは、第1の非シラン組成物(SDA)及び第2の非シラン組成物(SDA)の混合物である。この触媒組成物は自消性である。
【0011】
一実施形態では、第1の非シラン組成物は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり、第2の非シラン組成物は、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチル又は2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンである。さらなる実施形態では、SCAは活性制限剤を含んでもよい。ALAは、第1の非シラン組成物及び/又は第2の非シラン組成物と同じであっても異なってもよい。
【0012】
本開示は、もう一種類の触媒組成物を提供する。一実施形態では、触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子(election)供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒、及び選択性制御剤(SCA)が含まれる。SCAは、ポリ(アルケングリコール)エステル及び非シラン組成物の混合物である。この触媒組成物は自消性である。
【0013】
一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)エステルは、脂肪酸エステルである。
【0014】
一実施形態では、非シラン組成物は、ジエーテル組成物、スクシネート組成物及び/又はピペリジン組成物である。もう一つの実施形態では、アルミニウム対全SCAのモル比は、約100:1〜約0.5:1である。
【0015】
一実施形態では、本明細書に開示される触媒組成物はいずれも、0.5:1〜4:1のアルミニウム対全SCAのモル比を含み得る。
【0016】
本開示の利点は、改良された触媒組成物の提供である。
【0017】
本開示の利点は、改良された立体選択性を有する触媒組成物の提供である。
【0018】
本開示の利点は、改良された生産性を有する触媒組成物の提供である。
【0019】
本開示の利点は、ケイ素を含まない、かつ/又はシラン組成物を含まない自消性触媒組成物の提供である。
【0020】
本開示の利点は、反応器付着物(reactor fouling)の減少及びポリマー凝集(polymer agglomeration)の減少を伴う重合プロセスの提供である。
【0021】
本開示の利点は、アイソタクチシティが高くキシレン可溶性内容物の少ないプロピレン含有ポリマーの製造である。
【0022】
本開示の利点は、匂いが少ないか又は無臭のプロピレン系ポリマー(propylene-based polymer)をもたらす触媒組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に列挙されるあらゆる数値範囲は、任意の下方値と任意の上方値との間に少なくとも2単位の隔たりが存在するという条件で、下方値から上方値の間の全ての値を1単位の増分で含む。例として、組成特性、物理特性又はその他の特性、例えば分子量、メルトインデックスなどが、100〜1,000と記載される場合、それは、全ての個々の値、例えば100、101、102など、及び下位範囲、例えば100〜144、155〜170、197〜200などが、本明細書において明示的に列挙されることを意図する。1未満の値を含む範囲、又は1より大きい分数(例えば、1.1、1.5など)を含む範囲に関して、1単位は、必要に応じて0.0001、0.001、0.01又は0.1と見なされる。10未満の1桁の数を含む範囲(例えば、1〜5)に関して、1単位は一般に0.1と見なされる。これらは具体的に意図されるものの単なる例であり、列挙される最小値と最大値の間の数値のあらゆる可能性のある組合せは、本出願において明示的に述べられるものと見なされる。本明細書に考察されるように、密度、成分の重量パーセント、タンデルタ、分子量及びその他の特性に関して、数値範囲が列挙されている。
【0024】
本明細書において使用される、用語「組成物」は、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を含む。
【0025】
本明細書において使用される、用語「ポリマー」は、同じ種類のモノマーであろうと異なる種類のモノマーであろうと、モノマーを重合することにより調製された高分子化合物をさす。従ってポリマーという総称は、通常1種類のみのモノマーから調製されるポリマーをさすために用いられる用語ホモポリマー、及び本明細書の下文に定義される用語インターポリマーを包含する。
【0026】
上に考察されるように、本明細書において使用される、用語「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されるポリマーをさす。従って一般名インターポリマーは、通常2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、及び2より多くの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーをさすために用いられる共重合体を含む。
【0027】
本明細書において使用される、用語「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」とは、2又はそれ以上のポリマーからなる組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性(miscible)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離してもしていなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法(transmission electron spectroscopy)から決定される1又はそれ以上のドメイン配置を含んでも含まなくてもよい。
【0028】
本触媒組成物は、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物、共触媒、及び選択性制御剤(SCA)を含み、その各々は下で詳細に考察する。任意の従来の(conventional)チーグラー・ナッタプロ触媒を、当分野で一般に公知の本触媒組成物中に用いることができる。一実施形態では、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物は、遷移金属化合物及び第2族金属化合物を含む。遷移金属化合物は、遷移金属化合物、例えば、チタン−、ジルコニウム−、クロム−もしくはバナジウム−ヒドロカルビル酸化物、ヒドロカルビル、ハロゲン化物、又はそれらの混合物から誘導された固体錯体であってもよい。
【0029】
遷移金属化合物は一般式TrXを有し、ここで、Trは遷移金属であり、Xはハロゲン又はC1−10ヒドロカルボキシル又はヒドロカルビル基であり、xは第2族金属化合物と組み合わせた化合物中のそのようなX基の数である。Trは第4、5又は6族金属であってもよい。一実施形態では、Trは、第4族金属、例えばチタンである。Xは、塩化物、臭化物、C1−4アルコキシド又はフェノキシド、又はそれらの混合物であってもよい。一実施形態では、Xは塩化物である。
【0030】
チーグラー・ナッタプロ触媒組成物を形成するために使用することのできる、適した遷移金属化合物の限定されない例は、TiCl、ZrCl、TiBr、TiCl、Ti(OCCl、Zr(OCCl、Ti(OCBr、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Zr(OCCl、及びTi(OC)Clである。そのような遷移金属化合物の混合物も同様に用いてもよい。少なくとも1つの遷移金属化合物が存在しさえすれば、遷移金属化合物の数に対する制限はない。一実施形態では、遷移金属化合物は、チタン化合物である。
【0031】
適した第2族金属化合物の限定されない例としては、マグネシウムハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムオキサイド、マグネシウムヒドロキシド、及びマグネシウムのカルボン酸塩が挙げられる。一実施形態では、第2族金属化合物は、マグネシウムジクロライドである。
【0032】
さらなる実施形態では、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物は、マグネシウム化合物に担持されるか、そうでなければマグネシウム化合物から誘導される、チタン部分の混合物である。適したマグネシウム化合物としては、無水塩化マグネシウム、塩化マグネシウム付加物、マグネシウムジアルコキシドもしくはアリールオキサイド、又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシドもしくはアリールオキサイドが挙げられる。一実施形態では、マグネシウム化合物は、マグネシウムジ(C1−4)アルコキシド、例えばジエトキシマグネシウムである。
【0033】
適したチタン部分の限定されない例としては、チタンアルコキシド、チタンアリールオキサイド、及び/又はチタンハライドが挙げられる。チーグラー・ナッタプロ触媒組成物を調製するために用いられる化合物としては、1又はそれ以上のマグネシウム−ジ(C1−4)アルコキシド、マグネシウムジハライド、マグネシウムアルコキシハライド、又はそれらの混合物及び1又はそれ以上のチタンテトラ(C1−4)アルコキシド、チタンテトラハライド、チタン(C1−4)アルコキシハライド、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
前駆体組成物を用いて、当分野で一般に公知のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物を調製することができる。前駆体組成物は、前述の混合したマグネシウム化合物、チタン化合物、又はそれらの混合物の塩素化により調製することができ、かつ、固体/固体メタセシスを介して特定の組成物を形成又は可溶化する際に役立つ「クリッピング剤(clipping agents)」と呼ばれる1又はそれ以上の化合物の使用を伴い得る。適したクリッピング剤の限定されない例としては、トリアルキルボレート、特にトリエチルボレート、フェノール化合物、特にクレゾール、及びシランが挙げられる。
【0035】
一実施形態では、前駆体組成物は、式MgTi(ORの混合マグネシウム/チタン化合物であり、式中、Rは、1〜14個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基又はCOR’であり、ここでR’は、1〜14個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基であり;各々のOR基は同一又は異なっており;Xは独立に、塩素、臭素又はヨウ素であり;dは、0.5〜56、又は2〜4;又は3であり;fは、2〜116、又は5〜15であり;かつ、gは、0.5〜116、又は1〜3、又は2である。前駆体は、その調製に用いる反応混合物からのアルコールの除去によって、沈殿を制御することにより調製することができる。一実施形態では、反応媒質は、芳香性液体、特に塩素化芳香族化合物、例えばクロロベンゼンなどと、アルカノール、特にエタノール及び無機塩素化剤の混合物を含む。適した無機塩素化剤としては、ケイ素、アルミニウム及びチタンの塩素誘導体、例えばチタンテトラクロライド又はチタントリクロライド、及び特にチタンテトラクロライドが挙げられる。アルカノールを塩素化に用いた溶液から除去すると、望ましい形態及び表面積を有する固体前駆体の沈殿が結果として生じる。さらに、得られる前駆体は特に均一な粒径をし、粒子の崩壊ならびに得られるプロ触媒の分解に対して抵抗性である。
【0036】
前駆体は、次に、無機ハライド化合物、好ましくはチタンハライド化合物とのさらなる反応(ハロゲン化)、及び内部電子供与体の取り込みにより、固体プロ触媒に変換される。前駆体の中に十分な量でまだ取り込まれていない場合、電子供与体を別にハロゲン化の最中又は後で添加してもよい。この手順は、場合によっては付加的な添加剤又はアジュバントの存在下、1回又はそれ以上反復してもよく、最終固体生成物は脂肪族溶媒で洗浄してもよい。固体プロ触媒を作成、回収及び保存するいずれの方法も、本開示における使用に適している。
【0037】
前駆体のハロゲン化に適した一方法は、場合によっては炭化水素又はハロ炭化水素希釈剤の存在下、前駆体を高い温度で四価のチタンハライドと反応させることである。好ましい四価のチタンハライドは、チタンテトラクロライドである。オレフィン重合プロ触媒の製造で用いた随意の炭化水素もしくはハロ炭化水素溶媒は、好ましくは12個以下の炭素原子、又は9個以下の炭素原子を含む。例示的な炭化水素としては、ペンタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、その他のアルキルベンゼン類、及びデカヒドロナフタレンが挙げられる。例示的な脂肪族ハロ炭化水素としては、メチレンクロライド、メチレンブロマイド、クロロホルム、カーボンテトラクロライド、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロシクロヘキサン、ジクロロフルオロメタン及びテトラクロロオクタンが挙げられる。例示的な芳香族ハロ炭化水素としては、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン及びクロロトルエンが挙げられる。脂肪族ハロ炭化水素は、カーボンテトラクロライド又は1,1,2−トリクロロエタンなどの少なくとも2つのクロライド置換基を含有する化合物であってもよい。芳香族ハロ炭化水素はクロロベンゼン又はo−クロロトルエンであってもよい。
【0038】
ハロゲン化は、場合によってはハロゲン化の間及びハロゲン化の後に脂肪族もしくは芳香族炭化水素又はハロ炭化水素などの不活性液体での洗浄を伴って、1回又はそれ以上反復することができる。さらに場合によっては、特に100℃よりも高い又は110℃よりも高い温度で、不活性液体希釈剤、特に脂肪族もしくは芳香族炭化水素又はハロ炭化水素と接触させることを伴う、1又はそれ以上の抽出を用いて不安定な種、特にTiClを除去することができる。
【0039】
一実施形態では、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物には、(i)ジアルコキシマグネシウムを常温で液体である芳香族炭化水素又はハロ炭化水素に懸濁すること、(ii)ジアルコキシマグネシウムをチタンハライドに接触させること、及びさらに(iii)結果として得られる組成物を二回目のチタンハライドに接触させること、さらにジアルコキシマグネシウムを(ii)のチタンハライドで処理している間のある時点で芳香族ジカルボン酸のジエステルに接触させることにより得られる固体触媒成分が含まれる。
【0040】
一実施形態では、チーグラー・ナッタプロ触媒組成物には、(i)式MgTi(ORの混合マグネシウム/チタン化合物を常温で液体である芳香族炭化水素又はハロ炭化水素に懸濁すること、(ii)ジアルコキシマグネシウムをチタンハライドに接触させること、及びさらに(iii)結果として得られる組成物を二回目のチタンハライドに接触させること、さらにジアルコキシマグネシウムを(ii)のチタンハライドで処理している間のある時点で芳香族ジカルボン酸のジエステルに接触させることにより得られる固体触媒成分が含まれる。
【0041】
チーグラー・ナッタプロ触媒組成物には内部電子供与体が含まれる。内部電子供与体は、立体規則性の制御及び触媒微結晶のサイジング(sizing)をもたらす。適した内部電子供与体の限定されない例としては、スクシネート、ジエーテル、ジオールエステル、及び芳香族ジカルボン酸エステルが挙げられる。
【0042】
一実施形態では、ジエーテルは、ジアルキルジ−エーテル化合物であり、次式で表される。
【化1】
【0043】
式中、R〜Rは、相互に独立に、20個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールもしくはアラルキル基であり、場合によっては、第14族、第15族、第16族、又は第17族のヘテロ原子を含む基であってもよく、かつ、R及びRは水素原子であってもよい。ジアルキルエーテルは、線状又は分枝状であってもよく、かつ、以下の群:1〜18個の炭素原子を含む、アルキル基、脂環式基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基、及び水素の1又はそれ以上を含んでもよい。適したジアルキルジエーテル化合物の限定されない例としては、ジメチルジエーテル、ジエチルジエーテル、ジブチルジエーテル、メチルエチルジエーテル、メチルブチルジエーテル、メチルシクロヘキシルジエーテル、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジエチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−n−プロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジエトキシプロパン及び2−n−プロピル−2−シクロヘキシル−1,3−ジエトキシプロパンが挙げられる。2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−n−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジエトキシプロパン、2−クミル−1,3−ジエトキシプロパン、2−(2−フェニルエチル(phenyllethyl))−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(ジフェニルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−ナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−フルオロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−デカヒドロナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−t−ブチルフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−n−プロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−n−プロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−ベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−エチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−n−プロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジブトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−tert−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジネオペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−2−ベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−(3,7−ジメチル)オクチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−n−ヘプチル−2−n−ペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン及び1−エトキシ−2−n−ペントキシベンゼンが挙げられる。一実施形態では、内部電子供与体は1−エトキシ−2−n−ペントキシベンゼンである。
【0044】
一実施形態では、内部供与体は、スクシネート組成物である。スクシネート組成物には、以下の群:場合によってはヘテロ原子を含有する、線状又は分枝状のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基又はアルキルアリール基の1又はそれ以上が含まれ得る。2位及び3位の炭素原子の一方又は両方を介して、1又はそれ以上の環構造を形成することができる。適したスクシネートの限定されない例としては、ジエチル2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソプロピル−2メチルスクシネート、ジエチル2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル2,3−ジ(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル2,3−ジ(9−フルオレニル)スクシネート、ジエチル2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル2−t−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル2,2,3,3−テトラ−n−プロピルスクシネート、ジエチル2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ビス−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジ(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル)スクシネート、ジイソブチル2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジ(9−フルオレニル)スクシネート、ジイソブチル2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル2−n−プロピル−3(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル2,2,3,3−テトラ−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル2,3−ジエチル−2.3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル2,2−ジ−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジ(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル)スクシネート、ジネオペンチル2,3−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジ(9−フルオレニル)スクシネート、ジネオペンチル2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル2−t−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジネオペンチル2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル2,2,3,3−テトラ−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル1,2−シクロヘキサンジカルボキシレート、及びジエチルノルボルネン−2,3−ジカルボキシレートが挙げられる。一実施形態では、内部電子供与体は、ジエチル2,3−ジイソプロピルスクシネートである。
【0045】
一実施形態では、内部供与体はジオールエステルである。ジオールエステルは次式
【化2】

(式中、R〜Rは、相互に独立に、20個以下の炭素原子を有するアルキル、アリールもしくはアラルキル基であり、場合によっては、第14族、第15族、第16族、又は第17族のヘテロ原子を含む基であってもよく、かつ、R及びRは水素原子であってもよく;nは1〜6整数である)で表される。もう一つの実施形態では、R及び/又はRはフェニルもしくは置換フェニル基である。適したジアルキルジエーテル化合物の限定されない例としては、1,2−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブロモベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−メチルベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブチルベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2−メチル(menthyl)−1,2−プロピレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−メチル−1、2−プロピレン−グリコールジ(p−ブロモベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2−メチル−1,2−プロピレン−グリコールジ(p−ブチルベンゾエート)、1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−エチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−n−プロピル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−n−ブチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、(R)−1−フェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、(S)−1−フェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1、3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−エチル−1,3−ジ(tert−ブチル)−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジエチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−ジメトキシメチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−2−n−プロピル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−イソアミル−2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2−イソアミル−2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2−イソアミル−2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−イソアミル−2−イソプロピル−1 3−プロピレン−グリコールジ(p−メトキシベンゾエート)、2−イソアミル−2−イソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(p−メチルベンゾエート)、2,2−ジイソブチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,3−ジイソプロピル−1,3−プロピレン−グリコールジ(4−n−ブチルベンゾエート)、2−エチル−2−メチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン−グリコールジベンゾエート、1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−1,2−ブチレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2,3,3−トリメチル−1,2−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3,3−トリメチル−1 3−ブチレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、1,2−ブチレン−グリコールジ(p−クロロベンゾエート)、2,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ブチレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2,3−ブチレン−グリコールジ(メチルベンゾエート)、2,3−ブチレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(メチルベンゾエート)、2−メチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(o−ブロモベンゾエート)、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(メチルベンゾエート)、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン−グリコールジ(m−クロロベンゾエート)、2−メチル−1−フェニル−1,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジイソプロピル−1 3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジメチル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジエチル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ジブチル−1,4−ブチレン−グリコールジベンゾエート、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブチレン−グリコールジベンゾエート、2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、4−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3,4,4−テトラメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4−ジメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4,4−トリメチル−2,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−メチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−n−プロピル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3−n−ブチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、(2S,4S)−(+)−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、(2R,4R)−(+)−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ペンタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(m−クロロベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−ブロモベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(o−ブロモベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(p−n−ブチルベンゾエート)、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2−n−ブチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、2,2−ジメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−エチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−n−ブチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−アリル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−メチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−エチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−n−プロピル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2−n−ブチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、1,3−ペンタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(m−クロロベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−ブロモベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(o−ブロモベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−tert−ブチルベンゾエート)、1,3−ペンタンジオールジ(p−n−ブチルベンゾエート)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、3−メチル−1−トリフルオロメチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、2,4−ペンタンジオールジ(p−フルオロメチルベンゾエート)、2,4−ペンタンジオールジ(2−フランカルボキシレート)、3−n−ブチル−3−メチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾエート、2,2−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジベンゾエート、1,5−ジフェニル−1,5−ペンタンジオールジベンゾエート、2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、5−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート 2,3−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、5,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,5,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,4,4−テトラメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,4,5−テトラメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,3,5,5−テトラメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−n−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−イソプロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−メチル−3−n

−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−3−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4−ジエチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−3−n−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,5−ジメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−2,4,4−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート3−エチル−2,4,5−トリメチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−3−n−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,4−トリメチル−3−n−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5,5−トリメチル−3−n−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,4,5−トリメチル−3−n−プロピル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3,4−ジエチル−2−メチル−2,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−n−プロピル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2−n−ブチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−エチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、4−メチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−メチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、3−エチル−1,3−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,2,4,6,6−ペンタメチル−3,5−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジベンゾエート、ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジベンゾエート(T)、ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジベンゾエート(S)、ヘキサ−3−イン−2,5−ジオールジ(2−フランカルボキシレート)、3,4−ジ−n−ブチル−1,6−ヘキサンジオールジベンゾエート、1,6−ヘキサンジオールジベンゾエート、ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、2−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−メチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−エチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−n−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−n−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−n−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−n−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3−n−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、4−n−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、5−n−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、6−n−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジエチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジ−n−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ジ−n−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジエチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジ−n−プロピル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,3−ジ−n−ブチル−ヘプタ−6−エン−2,4−ジオールジベンゾエート、3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−n−ブチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,3−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,5−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,3−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,5−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,5−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−2−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−3−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−エチル−4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−エチル−4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、5−エチル−4−メチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−3−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−4−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2−メチル−5−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−3−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−4−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、3−メチル−5−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−3−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−4−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−5−n−プロピル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジ(p−クロロベンゾエート)、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジ(p−メチルベンゾエート)、6−メチル−2,4−ヘプタンジオールジ(m−メチルベンゾエート)、3,6−ジメチル−2,4−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾエート、2,6−ジメチル−2,6−ヘプタンジオールジベンゾエート、4−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−エチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−n−プロピル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、5−n−プロピル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−n−ブチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4,4−ジメチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4,4−ジエチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4,4−ジ−n−プロピル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−エチル−4−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、3−フェニル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、3−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、4−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、5−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、6−エチル−2−メチル−3,5−オクタンジオールジベンゾエート、5−メチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−エチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−n−プロピル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−n−ブチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジメチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジエチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジ−n−プロピル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5,5−ジ−n−ブチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、4−エチル−5−メチル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、5−フェニル−4,6−ノナンジオールジベンゾエート、4,6−ノナンジオールジベンゾエート、1,1−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、1,2−シクロヘキサンジオールジベンゾエート、1,3−シクロヘキサンジオールジベンゾエート、1,4−シクロヘキサンジオールジベンゾエート、1,1−ビス(ベンゾイルオキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ベンゾイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−3−シクロヘキセン、9,9−ビス(ベンゾイルオキシメチル)フッ素、9,9−ビス((m−メトキシベンゾイルオキシ)メチル)フッ素、9,9−ビス((m−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フッ素、9,9−ビス((p−クロロベンゾイルオキシ)メチル)フッ素、9,9−フルオレンジメタノールジベンゾエート、1,2−フェニレンジベンゾエート、1,3−フェニレンジベンゾエート、1,4−フェニレンジベンゾエート、2,2'−ビフェニレンジベンゾエート、ビス(2−ベンゾイルオキシナフチル)メタン、1,2−キシレンジオールジベンゾエート、1,3−キシレンジオールジベンゾエート、1,4−キシレンジオールジベンゾエート、2,2'−ビフェニルジメタノール(biphenyidimethanol)ジベンゾエート、2,2'−ビナフチルジメタノール(binaphtyidimethanol)ジベンゾエート、ペンタエリトリトールテトラベンゾエート1,2,3−プロパントリオールトリベンゾエート及び上記の任意の組合せが挙げられる。
【0046】
一実施形態では、内部供与体は芳香族ジカルボン酸エステルである。適した芳香族ジカルボン酸エステルの限定されない例としては、ハロゲン化物あるいはその無水物又は(ポリ)アルキルエーテル誘導体、特にフタル酸又はテレフタル酸のC2−8ジアルキルエステル、フタロイルジクロライド、無水フタル酸、及びそのC1−4(ポリ)アルキルエーテル誘導体が挙げられる。一実施形態では、内部電子供与体はジイソブチルフタレートである。
【0047】
チーグラー・ナッタプロ触媒組成物はまた、不活性担体材料を含んでもよい。この担体は、遷移金属化合物の触媒性能を悪い方向に変えない不活性固体であってもよい。例としては、金属酸化物、例えばアルミナなど、及び半金属酸化物、例えばシリカなどが挙げられる。
【0048】
前述のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物とともに使用する共触媒はアルミニウム含有組成物である。適したアルミニウム含有組成物の限定されない例としては、各々のアルキル基又はアルコキシド基に1〜10個、又は1〜6個の炭素原子を含有する、有機アルミニウム化合物、例えばトリアルキルアルミニウム化合物、ジアルキルアルミニウム水素化物化合物、アルキルアルミニウム二水素化物化合物、ジアルキルアルミニウムハライド化合物、アルキルアルミニウムジハライド化合物、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物、及びアルキルアルミニウムジアルコキシド化合物が挙げられる。一実施形態では、共触媒は、C1−4トリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウム(TEA)である。アルミニウム対チタンのモル比は35:1〜50:1である。一実施形態では、アルミニウム対チタンのモル比は45:1である。
【0049】
触媒組成物には、選択性制御剤(selectivity control agent)(SCA)が含まれる。SCAは、(i)1又はそれ以上の活性制限剤(activity limiting agents)(ALA)及び/又は(ii)1又はそれ以上の選択性決定剤(selectivity determining agents)(SDA)の混合物である。本明細書において使用される、「活性制限剤」は、触媒温度が閾値温度より高くなる時に触媒活性を低下させる組成物である。「選択性決定剤」は、選択性の制御をもたらす組成物である。
【0050】
一実施形態では、SDAは非シラン組成物である。本明細書において使用される、「非シラン組成物」は、Si原子、又はSi−O部分、又はアルコキシシラン基を含まない分子又は化合物である。言い換えれば、非シラン組成物は、ケイ素及び/又はアルコキシシランを欠いているか、又はそうでなければ含まない。SCAが単にSDA非シラン組成物であり、SDA対チタン比が5〜50:1である場合、触媒組成物は約6重量%未満のキシレン可溶物含量を含むプロピレン系ポリマー(すなわち、ポリプロピレンホモポリマー)を生じる。
【0051】
一般式SiR(OR’)4−m(I)を有するシラン組成物は、改良された生産性及び立体選択性のためにチーグラー・ナッタ触媒系で一般に利用されている。本出願人らは、驚くことに、本自消性SCA組成物中で、SDAが立体選択性及び生産性を向上させ、アルコキシシラン組成物を必要としない(すなわち、このSCAはケイ素を含まない)ことを見出した。この発見は、触媒の立体選択性及び触媒の生産性がもはやシラン系化合物を自消性触媒組成物中に組み込むことに制限されないことから有利である。
【0052】
一実施形態では、非シラン組成物はジエーテル組成物、スクシネート組成物、又はピペリジン組成物であってもよい。ジエーテル組成物は、上に考察されるいずれのジアルキルジエーテルであってもよい。内部供与体及びSCAは各々ジエーテル組成物を含んでもよく、このジエーテル組成物は同一であっても異なってもよい。一実施形態では、非シラン組成物は、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンである。
【0053】
一実施形態では、非シラン組成物はスクシネート組成物であってもよい。スクシネート組成物は、本明細書において既に考察されるいずれのスクシネートあってもよい。内部供与体及びSCAは各々スクシネート組成物を含んでもよく、このスクシネート組成物は同一であっても異なってもよい。非シラン組成物として適したスクシネート組成物の限定されない例は、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチルである。
【0054】
一実施形態では、非シラン組成物はピペリジン組成物であってもよい。適したピペリジン化合物の限定されない例としては、2,6−置換ピペリジン、例えば2,6−ジメチルピペリジン及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及び2,5−置換ピペリジンが挙げられる。さらなる実施形態では、ピペリジン化合物は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである。
【0055】
SCAにはALAも含まれる。ALAは芳香族カルボン酸エステル、脂肪族酸エステル、又は非エステル組成物であってもよい。一実施形態では、ALAは、芳香族カルボン酸又はその誘導体、脂肪族エステル、又は非エステル組成物であってもよい。適した芳香族カルボン酸の限定されない例としては、芳香族モノカルボン酸のC1−10アルキルもしくはシクロアルキルエステルが挙げられる。その適した置換誘導体としては、芳香環(1又は複数)又はエステル基の両方で1又はそれ以上の第14族、第15族、第16族、又は第17族ヘテロ原子、特に酸素を含有する1又はそれ以上の置換基によって置換された化合物が挙げられる。そのような置換基の例としては、(ポリ)アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、アリールエーテル、アラルキルエーテル、アルキルチオエーテル、アリールチオエーテル、ジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジアラルキルアミン、及びトリアルキルシラン基が挙げられる。芳香族カルボン酸エステルは、そのヒドロカルビル基が置換されていないか又は1又はそれ以上の第14族、第15族、第16族、又は第17族ヘテロ原子含有置換基で置換されている安息香酸のC1−20ヒドロカルビルエステル、又はそのC1−20(ポリ)ヒドロカルビルエーテル誘導体、又はC1−4安息香酸アルキル及びそのC1−4環アルキル化誘導体、又は安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、p−メトキシ安息香酸メチル、p−エトキシ安息香酸メチル、p−メトキシ安息香酸エチル、及びp−エトキシ安息香酸エチルであってもよい。一実施形態では、芳香族モノカルボン酸は、p−エトキシ安息香酸エチルである。
【0056】
一実施形態では、ALAは脂肪族酸エステルである。脂肪族酸エステルは、脂肪酸エステルであってもよく、C4−30脂肪族酸エステルであってもよく、モノ−もしくはポリ−(2又はそれ以上の)エステルであってもよく、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、かつ、その任意の組合せであってもよい。C4−30脂肪族酸エステルはまた、1又はそれ以上の第14族、第15族、又は第16族、又は第17族ヘテロ原子含有置換基で置換されてもよい。適したC4−30脂肪族酸エステルの限定されない例としては、脂肪族C4−30モノカルボン酸のC1−20アルキルエステル、脂肪族C8−20モノカルボン酸のC1−20アルキルエステル、脂肪族C4−20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1−4アルキルモノ及びジエステル、脂肪族C8−20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1−4アルキルエステル、ならびにC2−100(ポリ)グリコール又はC2−100(ポリ)グリコールエーテルのC4−20アルキルモノ−もしくはポリカルボン酸塩誘導体が挙げられる。さらなる実施形態では、C4−30脂肪族エステルは、ミリスチン酸イソプロピル、及び/又はジ−n−ブチルセバシン酸塩であってもよい。
【0057】
一実施形態では、ALAは、ポリ(アルケングリコール)エステルである。適したポリ(アルケングリコール)エステルの限定されない例としては、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ酢酸塩;(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ−ミリスチン酸塩;(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ−ラウリン酸塩などの脂肪酸エステル;(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ−オレイン酸塩;C2−40脂肪族カルボン酸のグルセリルトリ(アセテート)、グルセリルトリ−エステル;ポリ(エチレングリコール)エステル;リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のグリセリド、及びそれらの混合物;ならびに前述のいずれかの組合せが挙げられる。もう一つの実施形態では、脂肪酸エステルは、Chem Service,Inc.,West Chester,PAよりS−191として市販されているココ脂肪酸エステルである。
【0058】
一実施形態では、ALAは、非エステル組成物である。本明細書において使用される、「非エステル組成物」は、エステル官能基を含まない分子又は化合物である。言い換えれば、「非エステル組成物」は、次の官能基を含まない。
【化3】
【0059】
一実施形態では、非エステル組成物は、ジアルキルジエーテル組成物であってもよい。ジアルキルジエーテル組成物は、前述のジアルキルエーテル化合物のいずれであってもよい。一実施形態では、ALAは、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン(ALA)である。
【0060】
一実施形態では、触媒組成物が提供される。触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒ならびに選択性制御剤(SCA)が含まれる。内部電子供与体は、本明細書に開示されるいずれの内部電子供与体であってもよい。SCAは、カルボン酸エステル(ALA)及び非シラン組成物(SDA)の混合物である。この触媒組成物は自消性である。
【0061】
SCAには、本明細書において既に開示されている任意のカルボン酸エステル及び1又はそれ以上の非シラン組成物が含まれ得る。カルボン酸エステルは、エチル−p−エトキシベンゾエートであってもよい。カルボン酸エステル及び非シラン組成物を有する、適したSCAの限定されない例としては、p−エトキシ安息香酸エチル及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン;脂肪族エステル(脂肪酸エステルなど)及び2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチル;ならびに脂肪族エステル(脂肪酸エステルなど)及び2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンが挙げられる。
【0062】
一実施形態では、もう一種類の触媒組成物が提供される。触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒ならびに選択性制御剤(SCA)が含まれる。内部電子供与体は、本明細書に開示されるいずれの内部電子供与体であってもよい。SCAは、非エステル組成物(ALA)及び非シラン組成物(SDA)の混合物である。この触媒組成物は自消性である。
【0063】
SCAには、本明細書において既に開示される任意の非エステル組成物及び1又はそれ以上の非シラン組成物が含まれ得る。一実施形態では、非エステル組成物はジエーテル組成物である。適した非エステル組成物の限定されない例は、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンである。さらなる実施形態では、SCAは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及び2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンの混合物である。
【0064】
一実施形態では、もう一種類の触媒組成物が提供される。触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒ならびに選択性制御剤(SCA)が含まれる。内部電子供与体は、本明細書に開示されるいずれの内部電子供与体であってもよい。SCAは、第1のSDA及び第2のSDAの混合物である。触媒組成物は場合によってはALAを含んでもよい。この触媒組成物は自消性である。
【0065】
一実施形態では、第1のSDA及び第2のSDAは、それぞれ第1の非シラン組成物及び第2の非シラン組成物である。第1の非シラン組成物及び第2の非シラン組成物は、本明細書に開示される異なる非シラン組成物の任意の組合せであってもよい。一実施形態では、第1の非シラン組成物は2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり、第2の非シラン組成物はジエチル2,3−ジイソプロピルスクシネートか又は2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンのいずれかである。
【0066】
一実施形態では、SCAにはALAが含まれる。ALAは、本明細書に開示されるいずれの活性制限剤であってもよい。ALAは、第1の非シラン組成物及び/又は第2の非シラン組成物と同一であっても異なってもよい。一実施形態では、ALAはp−エトキシ安息香酸エチルなどの芳香族カルボン酸エステルである。
【0067】
前述の実施形態のいずれかにおいて、アルミニウム対全SCAのモル比は、0.5:1〜4:1(又はその間の任意の値)、又は1:1〜3:1、又は2:1〜3:1又は2.5:1以下であってもよい。本明細書において使用される、「SCA」又は「全SCA」は触媒組成物中に存在するALA(存在する場合)及びSDAの合計量である。一実施形態では、アルミニウム対全SCAのモル比は、3:1である。
【0068】
本出願人らは、驚くことに、アルミニウム対SCA全モル比を0.5:1〜4:1の間で制御すると、優れた操作性で高い生産性を示し、かつ自消性である触媒系を有利に生じることを見出した。本明細書において使用される、「自消性」触媒は、約100℃よりも高い温度で活性の低下を示す触媒である。その上、実践基準として、通常の処理条件で実行される重合プロセス、特に流動床(fluidized bed)気相重合が、ポリマー粒子の凝集に関して不都合な結果を伴うことなく、中断(interruption)及び結果として床(bed)の崩壊を可能とするならば、その触媒組成物は「自消性」と呼ばれる。
【0069】
本明細書で使用するための高温下での重合活性の標準化された尺度として、触媒活性を調節して、温度によって異なるモノマー濃度を補う(compensate for different monomer concentrations)。例えば、液相(スラリー又は溶液)重合条件を用いる場合、高温の反応混合物中のプロピレン溶解度の低下を説明する補正因子が含められる。つまり、触媒活性は低い温度、特に67℃基準と比較して低下した溶解度を補うために「正規化」される。温度T、又はAで「正規化」された活性は、濃度補正因子、[P(67)]/[P(T)](式中、[P(67)]が67℃でのプロピレン濃度であり、[P(T)]が温度Tでのプロピレン濃度である)を乗算した、温度Tで測定された活性、又は(ポリマー重量/触媒重量/時間)として定義される。正規化された活性を求める方程式を下に記載する。
【数1】
【0070】
この方程式において、温度Tでの活性に、67℃のプロピレン濃度の温度Tのプロピレン濃度に対する比が乗算される。温度の上昇に伴うプロピレン濃度の低下に応じて調節された、結果として得られる正規化された活性(A)は、様々な温度条件下での触媒活性の比較に用いることができる。液相重合で用いられる条件に関する補正因子を下に列挙する。

67℃ 85℃ 100℃ 115℃ 130℃ 145℃
1.00 1.42 1.93 2.39 2.98 3.70
【0071】
補正因子は、重合活性が用いる条件下でプロピレン濃度とともに直線的に増加することを仮定する。補正因子は、用いる溶媒又は希釈剤の関数である。例えば、上に列挙した補正因子は一般的なC6−10脂肪族炭化水素混合物(Exxon Chemical Companyより入手可能なIsopar(商標)E)に関するものである。気相重合条件下では、モノマー溶解度は通常因子ではなく、活性は一般に温度差に関して補正されない。つまり、活性と正規化された活性は同じである。
【0072】
「正規化された活性比」は、Aが温度Tでの活性であり、A67が67℃での活性である、A/A67として定義される。この値は、温度に応じた活性の変化の指標として用いることができる。例えば、A100/A67が0.30に等しいということは、100℃での触媒活性が67℃での触媒活性のわずか30パーセントであることを示す。100℃で、35%又はそれ以下のA100/A67比であることは自消性系の触媒系を生じることが見出された。
【0073】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、0.5:1〜4:1のAl/SCA比は、通常の重合温度で重合反応を支持するために十分な量のアルミニウムをもたらすと考えられる。しかし、高温下では(例えば、温度逸脱又はプロセスの異常(process upset)による)、より多くのアルミニウムがその他の触媒成分と反応する。この結果アルミニウムの不足をもたらし、それは重合反応を遅くする。アルミニウムの不足は、アルミニウムと錯体を形成している電子供与体の数において対応する減少を引き起こす。錯体を形成していない供与体の自由電子対は触媒系の作用を阻害し、触媒系は自分で反応を消滅させる。
【0074】
前述の実施形態のいずれかにおいて、SCAは、約60モルパーセント〜約95モルパーセントのALA及び約5モルパーセント〜約40モルパーセントのSLA(又は非シラン組成物)を含んでもよい。
【0075】
アルミニウム対SDAのモル比は、150:1〜1.25:1(又はその間の任意の値)、又は80:1〜1.5:1、又は40:1〜1.67:1、又は20:1〜2.5:1、又は13:1〜5:1であってもよい。
【0076】
アルミニウム対ALAのモル比は、20:1〜0.5:1(又はその間の任意の値)、又は6.7:1〜0.5:1、又は5.7:1〜0.52:1、又は5:1〜0.62:1、又は4.4:1〜0.71:1、又は5.3:1〜0.5:1であってもよい。SCA対チタンのモル比は、約5:1〜約100:1であってもよい。一実施形態では、SCA対チタンのモル比は30:1である。
【0077】
一実施形態では、もう一種類の触媒組成物が提供される。触媒組成物には、1又はそれ以上の遷移金属化合物及び内部電子供与体を有する1又はそれ以上のチーグラー・ナッタプロ触媒組成物、1又はそれ以上のアルミニウム含有共触媒ならびに選択性制御剤(SCA)が含まれる。内部電子供与体は、本明細書に開示されるいずれの内部電子供与体であってもよい。SCAは、非シラン組成物であるSDAと、ポリ(アルケングリコール)エステルであるALAの混合物である。この触媒組成物は自消性である。
【0078】
ポリ(アルケングリコール)エステルは、本明細書に開示される任意のポリ(アルケングリコール)エステルであり得る。適したポリ(アルケングリコール)エステルの限定されない例としては、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ酢酸塩;(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ−ミリスチン酸塩;(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ−ラウリン酸塩などの脂肪酸エステル;(ポリ)(アルキレングリコール)モノ−もしくはジ−オレイン酸塩;C2−40脂肪族カルボン酸のグルセリルトリ(アセテート)、グルセリルトリ−エステル;ポリ(エチレングリコール)エステル;リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸のグリセリド、及びそれらの混合物;ならびに前述のいずれかの組合せが挙げられる。ポリ(アルケングリコール)エステルは、脂肪酸エステルの混合物であり得る。一実施形態では、脂肪酸エステルは、Chem Service,Inc.,West Chester,PAよりS−191として市販されているココ脂肪酸エステルである。
【0079】
非シラン組成物は、本明細書に開示される任意の非シラン組成物であってもよい。例えば、非シラン組成物は、本明細書において既に開示されるいずれのジエーテル組成物、スクシネート 組成物、及び/又はピペリジン組成物であり得る。
【0080】
一実施形態では、触媒組成物のアルミニウム対全SCAのモル比は、約100:1〜約0.5:1、又は約50:1〜0.75:1、又は約20:1〜5:1、又は約18:1〜約15:1である。
【0081】
一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)エステルは脂肪酸エステルであり、SDA非シラン組成物はジエーテル組成物である。ジエーテル組成物は、2,2ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンであり得る。
【0082】
一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)エステルは脂肪酸エステルであり、SDA非シラン組成物はスクシネート組成物である。スクシネート組成物は、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチルであり得る。
【0083】
一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)エステルは脂肪酸エステルであり、SDA非シランはピペリジン組成物である。ピペリジン組成物は2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり得る。
【0084】
本触媒系は、さらに、高い剛性、高いメルトフローレート、及び高いアイソタクチシティを有する(すなわちキシレン可溶物含量の低い)ポリプロピレン組成物を生じる。特定の理論に縛られることを望むものではないが、アルミニウム種のSCAに対するモル比が、安息香酸エステルを電子供与体として利用する第三世代触媒の自消性特性を複製する触媒組成物をもたらすと考えられる。しかし、安息香酸エステル、例えばp−エトキシ安息香酸エチル(PEEB)は、結果として生じるポリマー例えばポリプロピレンなどに望ましくない臭気を付与する。フタル酸塩内部供与体を含み得る第四世代触媒を使用すると同時に、本触媒組成物は安息香酸エステルを含んでも含まなくてもよい。安息香酸エステルを含まない触媒組成物の実施形態は、相応して臭気を含まないポリプロピレンを製造することができる。言い換えれば、本触媒系は、臭気を含まないポリプロピレン組成物をさらに製造するPEEB系触媒系を複製する。その上、本触媒組成物は、従来の第四世代触媒の活性に適うか又はそれをしのぎ、一般に、第三世代触媒の活性をしのぐ。
【0085】
一実施形態では、重合プロセスが提供される。重合プロセスには、重合反応器中でプロピレンを触媒組成物に、接触させることが含まれる。触媒組成物は前述の触媒組成物のいずれであってもよい。本方法には、アルミニウム対全SCAのモル比を約0.5:1〜約4:1に維持することが含まれる。言い換えれば、アルミニウムの全SCAに対する比は、重合プロセスの間中、この比を0.5:1〜4:1、又は1:1〜3:1の範囲、又は3:1に保持又は制御するよう調節される。この重合プロセスは、プロピレン含有ポリマーを形成することをさらに含む。
【0086】
一実施形態では、重合プロセスは、アルミニウム対チタン比を約45:1に維持、調節、又はそうでなければ制御することも含んでもよい。従って、アルミニウム対SCA比は、アルミニウムを一定の量に維持しながら、反応に導入されるSCA成分の量を調節することにより制御される。
【0087】
重合プロセスを経由して形成されるプロピレン含有ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー、又はプロピレンと1又はそれ以上のコモノマーの共重合体であってもよい。このコモノマーは、2〜12個の炭素原子を有するα−オレフィンであってもよい。適したコモノマーの限定されない例としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−ヘプテン、及び1−オクテンが挙げられる。結果的に、ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレンホモポリマー、又はプロピレンモノマーと1又はそれ以上のコモノマーを含むポリマーであり得る。一実施形態では、プロピレン含有ポリマーのキシレン可溶物含量は、約0.5%〜約6.0重量%、又は約2.0%〜約5.0重量%である。
【0088】
一実施形態では、重合プロセスには、重合反応器中の温度が約100℃よりも高い場合に重合プロセス又は反応を触媒組成物とともに消滅させることが含まれる。
【0089】
重合プロセスは、1又はそれ以上の反応器で動作する気相重合、スラリー重合、又はバルク重合プロセスであってもよい。適した気相重合プロセスとしては、付加した不活性低沸点化合物を含むガス成分が反応器の中に熱除去のために液体形態で注入される、凝縮モード(condensing mode)ならびに超凝縮モードの使用が挙げられる。複数の反応器を用いる場合、それらは順次作動すること、つまり第1の反応器からの流出物が第2の反応器に装入され、さらなるモノマー又は異なるモノマーが添加されて重合を継続すること、が望ましい。追加の触媒又は触媒成分(つまりプロ触媒又は共触媒)を、追加数量のSCA混合物、別のSCA混合物、又は個々のアルコキシシラン及び/又は1又はそれ以上の活性制限剤と同様に添加してもよい。
【0090】
一実施形態では、重合プロセスは、2種類のオレフィン、例えばプロピレンとエチレンが接触して耐衝撃性共重合体(impact copolymer)を調製する2つの反応器で実施される。ポリプロピレンが第1の反応器で調製され、エチレンとプロピレンの共重合体が、第1の反応器からのポリプロピレンの存在下、第2の反応器で調製される。用いる重合法に関わらず、SCA、プロ触媒、及び/又はその共触媒をその他の重合成分、特にモノマーの不在下で反応器に添加する前に接触させることになる。一実施形態では、前述の二重重合プロセスは、溶液重合である。
【0091】
重合反応器の温度は、40〜130℃又は60〜100℃、又は65℃〜80℃である。前述の温度は、反応器の内壁で測定した反応混合物の平均温度である。反応器の分離された領域は、前述の制限を上回る局所温度を経験し得る。
【0092】
限定ではなく例として、これから本開示の実施例を示す。
【実施例】
【0093】
(1)触媒(Catalysts)
【0094】
A:2.59重量%のTiを含む市販のSHAC(商標)320触媒。
【0095】
B:(1)12.00gのMagTi前駆体を、175mlのTiCl MCB溶液(1:1、容積:容積)に接触させた後、2.60mlのDiBPに接触させた。混合物を115℃まで加熱し、その温度で60分間維持した後に濾過して溶媒を除去した。(2)175mlのTiCl MCB溶液(1:1、容積:容積)を該固体に添加し、混合物を115℃で30分間維持した後、濾過した。この手順を一回繰り返した。(3)結果として得られる固体を200mlのイソオクタンで25℃にて3回洗浄した後、濾過した。次に、固体をN流で乾燥させた。X線蛍光による分析により、該固体触媒が3.35重量%のTiを含むことが示された。
【0096】
C:(1)12.00gのMagTi前駆体を、175mlのTiCl MCB溶液(1:1、容積:容積)に接触させた後、4.80mlの1−エトキシ−2−n−ペントキシベンゼン(EPB)に接触させた。混合物を110℃まで加熱し、その温度で60分間維持した後に濾過して溶媒を除去した。この手順を二回繰り返した。(2)結果として得られる固体を200mlのイソオクタンで25℃にて3回洗浄した後、濾過した。次に、固体をN流で乾燥させた。X線蛍光による分析により、該固体触媒が4.45重量%のTiを含むことが示された。
【0097】
D:(1)12.00gのMagTi前駆体を、175mlのTiCl MCB溶液(1:1、容積:容積)に接触させた後、2.48mlの2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチル(DEDiPS)に接触させた。混合物を115℃まで加熱し、その温度で60分間維持した後に濾過して溶媒を除去した。(2)175mlのTiCl MCB溶液(1:1、容積:容積)を該固体に添加し、混合物を115℃で30分間維持した後、濾過した。この手順を一回繰り返した。(3)結果として得られる固体を200mlのイソオクタンで25℃にて3回洗浄した後、濾過した。次に、固体をN流で乾燥させた。X線蛍光による分析により、該固体触媒が3.75重量%のTiを含むことが示された。
【0098】
(2)重合(Polymerization)
【0099】
重合反応は平行重合反応器(Symyxによる)で行った。
【0100】
触媒粉末の粒径を、攪拌棒で触媒固体を30〜45分間攪拌することにより減少させた。次に、触媒スラリーをトルエン中に調製した。スラリーの濃度及び各々の触媒の負荷量を下に記載する。
【表1】
【0101】
PPRに注入する前にトルエンに溶解したS−191を除いて、全てのSCA及びALAをIsopar E(商標)に希釈して0.005Mとした。TEA1をIsopar E(商標)中で調製して、0.02M又は0.1M溶液として使用した。
【0102】
パージしたPPR反応器を加熱して50℃TEA1とし、Isopar E(商標)メイクアップ溶媒を各々の反応器に添加し、それに続いてHを添加して5psigの安定した圧力とした。反応器を割り当てられた温度(67℃、100℃又は115℃)に加熱した。プロピレンを添加して100psigとし、放置して10分間安定させた。各々の反応器に、SCA又はSDAとALAの混合物及び500ulのIsopar E(商標)チェイサーを添加し、その後直ちに触媒(275ul)及び500ulのIsopar E(商標)チェイサーを添加した。60分後又は最大相対転化率が110に達した時にCOで反応をクエンチした。
【0103】
(4)XS測定(XS Measurement)
【0104】
ポリプロピレン(PP)中のキシレン可溶物パーセント(%XS)は、多くの製品仕様書に記載される材料特性であり、測定手順はASTM方法D 5492−98により指定されている。この方法により、25℃でo−キシレンに可溶性なPPサンプルの分率(fraction)が決定される。この可溶性分率(soluble fraction)は、PP中の非晶質分率パーセント(per cent amorphous fraction)と良好な相関関係がある。非晶質分率含量は、最終生成物の性能特性と密接に関連しており、また、プロセス制御に重要(critical)である。新しいXSスクリーンは、Midland Core R&D Organic Chemistry&Catalysis High Throughput Laboratoryのワークフローに統合される。このツールを用いてトリクロロベンゼン中のポリプロピレン(PP)可溶物%(%TCB)を測定し、この値をPP標準に基づくキシレン可溶物%と相関させる。システム設計は、Cavro液体マニピュレーターフットプリント(liquid manipulator footprint)に基づき、熱ポリマー溶液の操作、蓋締め、濾過、及び分析をするために注文製作した周辺装置を収容する。このCavroロボットシステム及びポリマー溶液濃度を決定するためのPolymer Char IR4フィルタに基づく赤外線検出器は、パーソナルコンピュータに接続される。このユニットの多用性により、これを用いてポリマーサンプルを希釈し、独立モードで複製サンプルを作製することを可能にする。48のサンプルは10時間で処理することができ、同様の手動によるASTMの調製法と比較して約10倍の増加である、これは、標準的な2gmのサンプルに対して30mgと同程度に少ないサンプルを用いる。一般に、希釈したサンプルを加熱し、解析の間160℃で保持し、次に、IR4赤外線検出器による分析のためにサンプルを175℃に加熱するサンプリングブロックに個々のサンプルを移す。全てのサンプルが解析されたら、サンプルブロックを40℃まで1時間冷却し、濾過し、60℃まで温めて残留ポリプロピレンを溶液中に保持し、次いで175℃でIR4を用いて再び解析する。前後の読みの差により最終%TCB値のベースが得られ、次にそれをXS%に変換する。
【0105】
表1
【0106】
単一の非シランSDAsを用いるフタル酸塩系触媒系の性能
【表2】
【0107】
表2
【0108】
単一の非シランSCAsを用いる非フタル酸塩系触媒系の性能
【表3】
【0109】
表3
【0110】
混合触媒を用いる触媒系の性能
【表4】
【0111】
米国特許実務の目的上、本明細書において参照されるあらゆる特許、特許出願又は公報の内容は、特に構造の開示、合成技法及び当分野での一般知識に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正は当業者に明らかであることは当然理解される。そのような変更及び修正は、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、かつその意図される利点を減ずることなく行われ得る。したがって、そのような変更及び修正は添付される特許請求の範囲の対象となることが意図される。