(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種のグリーン積層体を焼成して得られる積層焼成体(圧電デバイス)は、光学レンズの位置制御用素子(例えば、カメラ用オートフォーカスやズーム用の超音波モータ)や、磁気的情報等の読取り及び/又は書込み用素子の位置制御用素子(例えば、ハードディスクドライブの磁気ヘッド用のアクチュエータ)、或いは機械的振動を電気信号に変換するセンサ等として活発に開発されてきている(例えば、特許文献1〜2を参照)。
【0003】
ところで、上記グリーン積層体の上下面には外部電極がそれぞれ設けられる場合が多い。
図7は、この場合の一例を示す。以下、
図7に示すように、1枚の圧電シートと1枚の接着層からなる接合体を「接合部」と呼ぶ。
図8は、
図7に示すグリーン積層体を焼成して得られる積層焼成体(圧電デバイス)の一例を示す。
図7と
図8の比較から理解できるように、焼成により、各「接合部」は一体化して1枚の圧電層となる。これは、以下の理由に基づく。
【0004】
即ち、通常、接着層の形成に使用されるペーストとして、圧電シートの形成に使用されるペーストと成分比率が異なる同じ材料を含むペーストが使用される。これは、圧電シートと内部電極との接合度合を高めるためである。具体的には、圧電シート及び接着層のペーストは、共に圧電材料の粉末とバインダ等からなる一方で、バインダ等の濃度の比率が大きい。焼成によってバインダ等は揮発により除去される。従って、焼成後、圧電シート及び接着層は、同じ成分(圧電材料)からなる焼成体となり区別がなくなる。この結果、各「接合部」は1枚の圧電層となる。
【0005】
図9は、
図7に示すグリーン積層体を作製する際の積層の手順の一例を示す。この例では、
(工程A)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと外部電極がこの順に積層された積層体が形成される。
(工程B)にて、(工程A)で得られた積層体を上下反転したものが平板状の基材に載置され、PETフォルムが除去される。
(工程C)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと内部電極と接着層がこの順に積層された積層体が形成される。(工程C)は3回実行される。即ち、(工程C)で得られる積層体は、3つ作製される。
(工程D)にて、(工程B)で得られた積層体の上に(工程C)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。
(工程E)にて、(工程D)で得られた積層体の上に(工程C)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。
(工程F)にて、(工程E)で得られた積層体の上に、(工程C)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。
(工程G)にて、(工程F)で得られた積層体の上に外部電極が形成される。
以上、(工程A)〜(工程G)を経て、
図7に示したグリーン積層体が完成する。
【発明の概要】
【0007】
ところで、
図9に示した手順では、(工程B)で得られた積層体(即ち、外部電極と圧電シートがこの順で積層された積層体)の上に、(工程C)で得られた積層体が複数回(3回)積層・圧着されていく。即ち、圧電シートY(
図9を参照)は、(工程C)で得られた積層体が積層・圧着される毎に上方から圧着による荷重を受ける。従って、
図9に示す例のように、圧電シートYの下に位置する外部電極が平板状ではない形状(複数の短冊状、複数の島状)を有する場合、圧着荷重を繰り返し受けることによって圧電シートYが変形し易い。加えて、外部電極が平板状ではない形状を有する場合、平板状の基材と圧電シートYとの間に巻き込まれる気泡の存在によっても圧電シートYの変形が発生し得る。
【0008】
このように圧電シートYが変形することは、積層作業を進行していく際の土台が変形することを意味する。従って、圧電シートYが変形すると、グリーン積層体全体に変形や歪が発生し易い。グリーン積層体全体に変形や歪が発生することは、グリーン積層体を焼成して得られる圧電デバイスの作動不良等に繋がるので好ましくない。
【0009】
また、
図8から理解できるように、
図7に示すグリーン積層体を焼成すると、最も上に位置する圧電層が他の(3つの)圧電層と比べて接着層に相当する分だけ薄くなる。これは、他の(3つの)圧電層が「接合部」(=圧電シート+接着層)の焼成によって得られたのに対し、最も上に位置する圧電層が圧電シートのみの焼成によって得られたことに基づく。
【0010】
圧電デバイスにおいて、圧電層は、自身の両面(上下面)に位置する電極間に生じる電位差に応じて変形する機能を有するのみならず、前記電極間の絶縁性を確保する機能をも有する。従って、圧電デバイス内に含まれる複数の圧電層のうちで厚さが小さいものが1枚だけ存在すると、圧電層間の絶縁性のばらつきが発生し、安定した作動特性を確保する上で不利となる。
【0011】
以上より、本発明の目的は、上述したグリーン積層体であって、複数のセラミックスシート(圧電シート)に変形が発生し難く、且つ、焼成後に得られる複数のセラミックス層(圧電層)の厚さが均一なものを提供することにある。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るグリーン積層体の特徴は以下の点にある。
積層方向における最上層及び最下層としてセラミックスシート(圧電シート)がそれぞれ位置する。
n個(nは3以上の整数)の「接合部」(=セラミックスシートと接着層との接合体)が積層方向において離間して存在する。
(n−1)枚の内部電極のそれぞれが隣り合う2つの「接合部」に挟まれて位置する。
(n−1)枚の内部電極のうち1枚のみの特定の内部電極が2つの接着層に挟まれて位置する。
【0013】
より具体的には、前記特定内部電極より上側に位置する各「接合部」では、セラミックスシートが接着層の上側に位置し、前記特定内部電極より下側に位置する各「接合部」では、セラミックスシートが接着層の下側に位置するように構成され得る。
【0014】
上記構成を有するグリーン積層体では、全てのセラミックスシート(圧電シート)のそれぞれが対応する接着層と接合して「接合部」を構成している。従って、焼成後に得られる複数のセラミックス層(圧電層)の厚さが均一となり得る。この結果、セラミックス層(圧電層)間の絶縁性のばらつきが発生し難い。
【0015】
加えて、上記構成を有するグリーン積層体を作製する際、
図9に示した圧電シートYのように、積層作業を進行していく際の土台としての役割を果たすセラミックスシート(圧電シート)が存在しない(詳細は後述する)。従って、複数のセラミックスシート(圧電シート)に変形が発生し難い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明によるグリーン積層体の各実施形態について説明する。上述のように、「グリーン」とは「焼成前」を意味する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るグリーン積層体の一例を示す。この例では、外部電極を除いて考えると、4枚の圧電材料からなる平板状の圧電シートと、3枚の平板状の内部電極と、4枚の平板状の接着層と、が積層方向(
図1における上下方向)に積層された、直方体状のグリーン積層体が示されている。4枚の接着層のそれぞれは、圧電シートと内部電極とに挟まれて位置している。
【0019】
図1に示すグリーン積層体のサイズは、例えば、縦50〜200mm、横50〜200mm、高さ0.05〜10.0mmである。各圧電シートの厚さは1.0〜100.0μmであり、各接着層の厚さは0.5〜10.0μmであり、各内部電極の厚さは0.3〜10.0μmである。
【0020】
図1に示すグリーン積層体では、外部電極を除いて考えると、積層方向における最上層及び最下層として圧電シートがそれぞれ位置している。1枚の圧電シートと1枚の接着層からなる接合体を「接合部」と呼ぶものとすると、4個の「接合部」が積層方向において離間して存在する。3枚の内部電極のそれぞれが、隣り合う2つの「接合部」に挟まれて位置している。3枚の内部電極のうち1枚のみの内部電極(以下、「特定内部電極X」と呼ぶ。)が2つの接着層に挟まれて位置している。
【0021】
特定内部電極Xより上側に位置する各「接合部」では、圧電シートが接着層の上側に位置している。特定内部電極Xより下側に位置する各「接合部」では、圧電シートが接着層の下側に位置している。また、
図1に示すグリーン積層体の上下面には、外部電極がそれぞれ設けられている。これらの外部電極は、平板状ではない形状(複数の短冊状、複数の島状)を有している。
【0022】
圧電シートは、例えば、ドクターブレード法等の周知の手法の一つを利用して、圧電材料と有機バインダ等を含むペーストを成形することによって形成される。圧電材料としては、例えば、圧電セラミックス、電歪セラミックス、強誘電体セラミックス、或いは反強誘電体セラミックスが採用されることが好適である。具体的な材料としては、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス等を単独であるいは混合物として含有するセラミックスが挙げられる。
【0023】
接着層は、例えば、塗布等の周知の手法の一つを利用して、接着層用のペーストを成形することによって形成される。本例では、接着層用のペーストとして、圧電シート用のペーストと成分比率が異なる同じ材料を含むペーストが使用される。これは、圧電シートと内部電極との接合度合を高めるためである。具体的には、接着層用のペーストも、圧電シート用のペーストと同様に圧電材料と有機バインダ等を含む一方で、有機バインダ等の濃度のみが圧電シート用のペーストと異なる。
【0024】
内部電極及び外部電極は、例えば、スクリーン印刷等の周知の手法の一つを利用して電極材料と有機バインダ等を含むペーストを成形することによってなされる。電極材料としては、室温で固体であり、導電性に優れた金属で構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体、もしくはこれらの合金が採用され得る。
【0025】
図2は、
図1に示すグリーン積層体を焼成して得られる積層焼成体(圧電デバイス)の一例を示す。
図1と
図2の比較から理解できるように、焼成により、各「接合部」(
図1を参照)は一体化して1枚の圧電層となる。これは、以下の理由に基づく。
【0026】
即ち、上述のように、接着層用のペーストは、圧電シート用のペーストと同様に圧電材料と有機バインダ等を含む一方で、有機バインダ等の濃度のみが圧電シート用のペーストと異なる。ここで、焼成によってバインダ等は揮発により除去される。従って、焼成後、圧電シート及び接着層は、同じ成分(圧電材料)からなる焼成体となり区別がなくなる。この結果、各「接合部」は1枚の圧電層となる。
【0027】
この圧電デバイスでは、各圧電層を挟む電極間に与える電位差を調整することによって圧電層(従って、圧電デバイス)の変形量が制御され得る。この原理を利用することによって、この圧電デバイスは、対象物の位置を制御するアクチュエータとして利用され得る。この対象物として、磁気ヘッド、光ヘッド等が挙げられる。また、この圧電デバイスでは、圧電層(従って、圧電デバイス)の変形量に応じて各圧電層を挟む電極間に発生する電位差が変化する。この原理を利用することによって、この圧電デバイスは、超音波センサ、加速度センサ、角速度センサ、衝撃センサ、質量センサ等の各種センサとしても利用され得る。
【0028】
図3は、
図1に示すグリーン積層体を作製する際の積層の手順の一例を示す。この例では、
(工程1)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと接着層がこの順に積層された積層体が形成される。(工程1)は2回実行される。即ち、(工程1)で得られる積層体は、2つ作製される。
(工程2)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと内部電極がこの順に積層された積層体が形成される。(工程2)は2回実行される。即ち、(工程2)で得られる積層体は、2つ作製される。
(工程3)にて、(工程1)で得られた積層体の上に(工程2)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。(工程3)は2回実行される。即ち、(工程3)で得られる積層体は、2つ作製される。
(工程4)にて、(工程3)で得られた積層体の上に接着層と内部電極がこの順に積層・圧着される。
(工程5)にて、(工程3)で得られた積層体の上に接着層のみが積層・圧着される。
(工程6)にて、(工程4)で得られた積層体の上に(工程5)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。この(工程6)にて、特定内部電極X(
図1を参照)、即ち、2つの接着層に挟まれた内部電極が発生する。
(工程7)にて、(工程6)で得られた積層体の上に外部電極が形成される。
(工程8)にて、(工程7)で得られた積層体を上下反転したものが平板状の基材に載置され、PETフォルムが除去される。
(工程9)にて、(工程8)で得られた積層体の上に外部電極が形成される。
以上、(工程1)〜(工程9)を経て、
図1に示したグリーン積層体が完成する。
【0029】
図3に示した積層の手順は、大略的には、以下のように説明され得る。即ち、それぞれがグリーン積層体の一部を構成する複数個の積層体(以下、「部分積層体」と呼ぶ)が個別に形成される。部分積層体同士が順次貼り合わされていく。貼り合せの際、貼り合わされる2つの部材のうち、一方は接着層であり、他方は接着層以外(即ち、内部電極又は圧電シート)である。特定内部電極Xは、前記貼り合わされる2つの部材のうち、一方が接着層であり、他方が「接着層の上に積層された内部電極」である場合に発生する。
【0030】
(作用・効果)
上記第1実施形態に係るグリーン積層体では、全ての圧電シートのそれぞれが対応する接着層と接合して「接合部」を構成している(
図1を参照)。従って、複数の「接合部」の厚さが均一である場合、焼成後に得られる複数の圧電層の厚さも均一となり得る。この結果、圧電層間の絶縁性のばらつきが発生し難い。従って、グリーン積層体を焼成して得られる圧電デバイスにおいて安定した作動特性を確保する上で有利となる。
【0031】
加えて、第1実施形態に係るグリーン積層体を作製する際、
図3に示すように、積層作業を進行していく際の土台としての役割を果たす圧電シート(即ち、
図9に示した圧電シートYのような圧電シート)が存在しない。従って、外部電極が平板状ではない形状を有する場合においても、複数の圧電シートに変形が発生し難い。従って、グリーン積層体全体に変形や歪が発生し易い。この結果、グリーン積層体を焼成して得られる圧電デバイスにおいて作動不良等が発生し難い。
【0032】
(第2実施形態)
次に、
図4を参照しながら、本発明の第2実施形態に係るグリーン積層体について説明する。上述した第1実施形態は、「n枚の圧電シートと、(n−1)枚の内部電極と、n枚の接着層とが積層されたグリーン積層体(nは3以上の整数)」と表現したとき、n=4の場合のグリーン積層体に対応している。これに対し、この第2実施形態は、n=3の場合のグリーン積層体に対応する。第2実施形態は、積層される部材の枚数のみが上記第1実施形態と異なる。以下、主として、係る相違点について説明する。
【0033】
図4に示すグリーン積層体では、外部電極を除いて考えると、積層方向における最上層及び最下層として圧電シートがそれぞれ位置している。3個の「接合部」が積層方向において離間して存在する。2枚の内部電極のそれぞれが、隣り合う2つの「接合部」に挟まれて位置している。2枚の内部電極のうち1枚のみが「特定内部電極X」(即ち、2つの接着層に挟まれた内部電極)となっている。
【0034】
特定内部電極Xより上側に位置する各「接合部」では、圧電シートが接着層の上側に位置している。特定内部電極Xより下側に位置する各「接合部」では、圧電シートが接着層の下側に位置している。また、
図4に示すグリーン積層体の上下面には、外部電極がそれぞれ設けられている。これらの外部電極は、平板状ではない形状(複数の短冊状、複数の島状)を有している。
【0035】
図5は、
図4に示すグリーン積層体を焼成して得られる積層焼成体(圧電デバイス)の一例を示す。
図4と
図5の比較から理解できるように、第2実施形態でも、上記第1実施形態と同様、各「接合部」(
図4を参照)は、同じ理由によって、焼成により一体化して1枚の圧電層となる。
【0036】
図6は、
図4に示すグリーン積層体を作製する際の積層の手順の一例を示す。この例では、
上記と同じ(工程1)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと接着層がこの順に積層された積層体が形成される。
上記と同じ(工程2)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと内部電極がこの順に積層された積層体が形成される。
上記と同じ(工程3)にて、(工程1)で得られた積層体の上に(工程2)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。
(工程10)にて、(工程3)で得られた積層体の上に接着層のみが積層・圧着される。
(工程11)にて、PETフィルムの上に、圧電シートと接着層と内部電極がこの順に積層された積層体が形成される。
(工程12)にて、(工程10)で得られた積層体の上に(工程11)で得られた積層体を上下反転したものが積層・圧着され、PETフィルムが除去される。この(工程12)にて、特定内部電極X(
図4を参照)、即ち、2つの接着層に挟まれた内部電極が発生する。
(工程13)にて、(工程12)で得られた積層体の上に外部電極が形成される。
(工程14)にて、(工程13)で得られた積層体を上下反転したものが平板状の基材に載置され、PETフォルムが除去される。
(工程15)にて、(工程14)で得られた積層体の上に外部電極が形成される。
以上、(工程1)〜(工程14)を経て、
図4に示したグリーン積層体が完成する。
【0037】
図6に示した積層の手順も、
図3に示した積層の手順と同様、大略的には、以下のように説明され得る。即ち、複数個の部分積層体が個別に形成される。部分積層体同士が順次貼り合わされていく。貼り合せの際、貼り合わされる2つの部材のうち、一方は接着層であり、他方は接着層以外(即ち、内部電極又は圧電シート)である。特定内部電極Xは、前記貼り合わされる2つの部材のうち、一方が接着層であり、他方が「接着層の上に積層された内部電極」である場合に発生する。この第2実施形態でも、上記第1実施形態と同じ作用・効果を奏する。
【0038】
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、「n枚の圧電シートと、(n−1)枚の内部電極と、n枚の接着層とが積層されたグリーン積層体(nは3以上の整数)」と表現したとき、上記第1実施形態はn=4の場合に対応し、上記第2実施形態はn=3の場合に対応しているが、nが「5以上」であってもよい。
【0039】
nが「5以上」の場合において、グリーン積層体内において最終的に特定内部電極X(即ち、2つの接着層に挟まれた内部電極)が複数存在していても、同グリーン積層体の製造過程(積層過程)の途中で、「積層方向における最上層及び最下層として圧電シートがそれぞれ位置し、n個の接合部が積層方向において離間して存在するとともに、(n−1)枚の内部電極のそれぞれが隣り合う2つの接合部に挟まれて位置し、(n−1)枚の内部電極のうち1枚のみの特定の内部電極が2つの接着層に挟まれて位置する」状態が発生する場合、このグリーン積層体は本発明の範囲内となる。上記の状態は、上記第1実施形態では
図3に示した(工程6)の完了状態に対応し、上記第2実施形態では
図6に示した(工程12)の完了状態に対応する。
【0040】
また、上記実施形態においては、セラミックスシートとして「圧電材料からなる圧電シート」が採用されているが、セラミックスシートとして「圧電材料以外のセラミックス材料からなるシート」が採用されてもよい。加えて、上記実施形態では、グリーン積層体の上下面に外部電極が形成されているが、外部電極が形成されていなくてもよい。