(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記強制消灯回路は、前記発光素子に流れる前記駆動電流が所定レベルに達してから前記所定期間、前記電流駆動回路による前記駆動電流の生成を停止させることを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
前記強制消灯回路は、時間とともに上昇するソフトスタート電圧が所定レベルに達してから前記所定期間、前記電流駆動回路による前記駆動電流の生成を停止させることを特徴とする請求項2または3に記載の制御回路。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
図2は、実施の形態に係るスイッチング電源を備える電子機器の構成を示す回路図である。
【0031】
電子機器2は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの電池駆動型の機器であり、発光装置3とLCD(Liquid Crystal Display)パネル5を備える。発光装置3はLCDパネル5のバックライトとして設けられる。
【0032】
発光装置3は、発光素子であるLEDストリング6_1〜6_nと、電流駆動回路8と、スイッチング電源4と、を備える。
【0033】
各LEDストリング6は、直列に接続された複数のLEDを含む。スイッチング電源4は、昇圧型のDC/DCコンバータであり、入力端子P1に入力された入力電圧(たとえば電池電圧)V
INを昇圧して、出力端子P2に接続される出力ラインに、出力電圧(駆動電圧)V
OUTを発生させる。複数のLEDストリング6_1〜6_nそれぞれの一端(アノード)は、出力ラインに共通に接続される。
【0034】
スイッチング電源4は、制御IC100および出力回路102を備える。出力回路102は、インダクタL1、整流ダイオードD1、スイッチングトランジスタM1、出力キャパシタC1を含む。出力回路102のトポロジーは一般的であるため、説明を省略する。またそのトポロジーにさまざまな変形があることが当業者には理解され、本発明において限定されるものではない。
【0035】
制御IC100のスイッチング端子P4は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接続される。制御IC100は、LEDストリング6の点灯に必要な出力電圧V
OUTが得られるように、フィードバックによりスイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比を調節する。なおスイッチングトランジスタM1は制御IC100に内蔵されてもよい。
【0036】
電流駆動回路8は、複数のLEDストリング6_1〜6_nの他端(カソード)と接続される。電流駆動回路8は、LEDストリング6_1〜6_nそれぞれに、目標輝度に応じた間欠的な、あるいは直流の駆動電流I
LED1〜I
LEDnを供給する。具体的には電流駆動回路8は、LEDストリング6_1〜6_nごとに設けられた複数の電流源CS
1〜CS
nと、PWMコントローラ9を備える。i番目の電流源CS
iは、対応するi番目のLEDストリング6_iのカソードと接続されている。電流源CS
iは、PWMコントローラ9から出力される制御信号PWM
iに応じて、駆動電流I
LEDiを出力する動作(アクティブ)状態φ
ONと、駆動電流I
LEDiを停止する停止状態φ
OFFが切りかえ可能に構成される。PWMコントローラ9は、目標輝度に応じたデューティ比を有する制御信号PWM
i〜PWM
nを生成し、電流源CS
1〜CS
nに出力する。制御信号PWM
iがアサート(たとえばハイレベル)される期間(点灯期間T
ON)、対応する電流源CS
iは動作状態φ
ONとなり、LEDストリング6_iは点灯する。制御信号PWM
iがネゲート(たとえばローレベル)される期間(消灯期間T
OFF)、対応する電流源CS
iは停止状態φ
OFFとなり、LEDストリング6_iは消灯する。点灯期間T
ONと消灯期間T
OFFの時間比率を制御することにより、LEDストリング6_iに流れる駆動電流I
LEDの実効値(時間平均値)が制御され、輝度を調節することができる。電流駆動回路8によるPWM駆動の周波数は数十〜数百Hzである。
【0037】
電流駆動回路8は、制御IC100に集積化される。あるいは、制御IC100と電流駆動回路8を別のチップに集積化してもよい。それらは、単一のパッケージ(モジュール)を構成してもよいし、別々のパッケージを構成してもよい。
【0038】
以上が発光装置3全体の構成である。続いて制御IC100の構成を説明する。制御IC100は、LEDストリング6_1〜6_nごとに設けられたLED端子LED
1〜LED
nを備える。各LED端子LED
iは、対応するLEDストリング6_iのカソード端子と接続される。なお、LEDストリングは複数である必要はなく、1個であってもよい。
【0039】
制御IC100は、主としてパルス生成部19、ドライバ28、ソフトスタート回路32、クランプ回路40、点灯検出回路60を備える。
【0040】
パルス生成部19は、LEDストリング6の点灯期間T
ONにおいて、出力電圧V
OUTに応じた検出電圧が所定の基準電圧V
REFと一致するようにデューティ比が調節されるパルス信号S
PWMを生成する。
図2において、検出電圧は、LEDストリング6のカソード端子に生ずる電圧(LED端子電圧)V
LED1〜V
LEDnのうち、最も低いひとつであり、以下ではV
LEDと記す。
【0041】
ドライバ28は、調光用パルス信号PWMが点灯を指示する期間T
ON、パルス信号S
PWMにもとづきスイッチング信号SWOUTを生成し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。また調光用パルス信号PWMが消灯を指示する期間T
OFF、スイッチングトランジスタM1をオフ状態で固定する。
【0042】
点灯期間T
ONにおいて制御IC100は、スイッチング電源4の出力電圧V
OUTを、LEDストリング6_1〜6_nの駆動に最適な電圧レベルに調節する。消灯期間T
OFFにおいては、LEDストリング6_1〜6_nに供給される駆動電流I
LED1〜I
LEDnがゼロ、すなわちスイッチング電源4が無負荷状態となる。ドライバ28は、消灯期間T
OFFにおいて制御IC100はスイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止する。
【0043】
続いてパルス生成部19の構成を説明する。パルス生成部19は、誤差増幅器22、パルス変調器20を含む。誤差増幅器22は、LEDストリング6の点灯期間において、検出電圧V
LEDと基準電圧V
REFの誤差を増幅し、誤差に応じたフィードバック電圧V
FBを生成する。
【0044】
誤差増幅器22は、gmアンプ21、フィードバックスイッチSW1、位相補償用の抵抗R
FBおよびキャパシタC
FBを含む。制御IC100には、FB端子が設けられ、FB端子と外部の接地端子の間には、抵抗R
FBおよびキャパシタC
FBが直列に外付けされる。
【0045】
gmアンプ21は、電流源CSの両端間に生ずる検出電圧V
LEDと所定の基準電圧V
REFの誤差に応じた電流を出力(ソースまたはシンク)する。具体的にはgmアンプ21は、複数の反転入力端子(−)と、ひとつの非反転入力端子(+)を有する。複数の反転入力端子にはそれぞれ、LED端子電圧V
LED1〜V
LEDnが入力され、非反転入力端子には基準電圧V
REFが入力される。誤差増幅器22は、最も低いLED端子電圧(検出電圧)V
LEDと基準電圧V
REFの誤差に応じた電流を生成する。
【0046】
フィードバックスイッチSW1は、FB端子とgmアンプ21の出力端子との間に設けられ、調光用パルス信号PWMに応じてオンする。調光パルス信号PWMは、各チャンネルの調光パルス信号PWM
1〜PWM
nの論理和であり、少なくともひとつのチャンネルが点灯期間を示すときに、所定レベル(たとえばハイレベル)となる。
【0047】
ソフトスタート回路32は、スタンバイ信号STBがスタンバイ状態から通常の動作状態の復帰を指示すると、時間とともに変化するソフトスタート電圧V
SSを生成する。また、ソフトスタート回路32は、ソフトスタート電圧V
SSがあるしきい値電圧に達するとアサート(ハイレベル)されるソフトスタート完了信号(SS_END信号)を出力する。
【0048】
点灯検出回路60は、LEDストリング6が発光可能な程度まで駆動電圧V
OUTが上昇したことを検出し、検出するとアサート(ハイレベル)されるフラグ信号(LED_ON_ALL信号)を出力する。LED_ON_ALL信号は、駆動電圧V
OUTが少なくともひとつのLEDストリング6を発光可能なレベルより高いときにハイレベル、低いときハイレベルとなる。つまり、LED_ON_ALL信号は、少なくともひとつのLEDストリング6が発光可能なときにアサート(ハイレベル)される。
【0049】
ORゲート56は、LED_ON_ALL信号とSS_END信号の論理和をとることにより、START_OK信号を生成する。つまり、START_OK信号は、起動直後にローレベルをとり、その後、ソフトスタートが完了するか、いずれかのLEDが点灯するとハイレベルに遷移する。
【0050】
クランプ回路40は、スイッチング電源4の起動開始後、言い換えればスタンバイ信号STBがスタンバイ状態から動作状態への復帰を指示してからある期間、アクティブとなる。アクティブなクランプ回路40は、FB端子に生ずるフィードバック電圧V
FBを、検出電圧V
LEDのレベルにかかわらず、ソフトスタート電圧V
SSと等しくなるように制御する。クランプ回路40は、イネーブル端子EN#(反転論理)を有し、イネーブル端子EN#に入力される信号がローレベルの期間アクティブとなる。本実施の形態において、イネーブル端子EN#には、START_OK信号が入力される。
【0051】
ANDゲート23は、START_OK信号と調光用パルス信号PWMの論理積にもとづき、フィードバックスイッチSW1を制御する。これによりフィードバックスイッチSW1は、START_OK信号がハイレベル、つまりクランプ回路40が非アクティブであり、かつ調光用パルス信号PWMが点灯を指示する期間T
ONにオンする。
【0052】
パルス変調器20は、たとえばパルス幅変調器であり、フィードバック電圧V
FBに応じたデューティ比を有し、かつ固定された周期を有するパルス信号S
PWMを生成する。具体的にはフィードバック電圧V
FBが高いほどパルス信号S
PWMのデューティ比は大きくなる。
【0053】
たとえばパルス変調器20は、オシレータ24、PWMコンパレータ26を含む。オシレータ24は、三角波もしくはのこぎり波の周期電圧V
OSCを生成する。PWMコンパレータ26はフィードバック電圧V
FBを周期電圧V
OSCと比較し、比較結果に応じたレベルを有するPWM信号S
PWMを生成する。なお、パルス変調器20としてパルス周波数変調器などを用いてもよい。PWM信号S
PWMの周波数は、電流駆動回路8によるPWM駆動の周波数に比べて十分に高く、数百kHz(たとえば600kHz)である。
【0054】
図3は、
図2のクランプ回路40の構成例を示す回路図である。クランプ回路40は、主として、NチャンネルMOSFETの第1トランジスタM11と、第1トランジスタM11と相補的な、すなわちPチャンネルMOSFETの第2トランジスタM12と、を備える。第1トランジスタM11の第1端子(ソース)は、FB端子に接続される。第2トランジスタM12のソースは、第1トランジスタM11の制御端子(ゲート)に接続され、第2トランジスタM12の制御端子(ゲート)には、ソフトスタート電圧V
SSが入力される。
【0055】
第1トランジスタM11に対する負荷としてインピーダンス回路51が設けられる。インピーダンス回路51は、FB端子と固定電圧端子(接地端子)の間に設けられる。インピーダンス回路51は、抵抗11およびスイッチM13を含む。インバータ54は、START_OK信号を反転し、スイッチM13のゲートに入力する。こうしてスイッチM13は、クランプ回路40がアクティブの期間にオンするよう制御される。
【0056】
第2トランジスタM12のソースと固定電圧端子(電源端子)の間には、第2トランジスタM12に対する負荷として電流源52が設けられる。
【0057】
第1トランジスタM11、第2ランジスタM12それぞれのゲートソース間電圧をV
Tと書くとき、トランジスタM12のソース電位、すなわちトランジスタM11のゲート電位は、V
SS+V
Tとなる。FB端子の電位は、トランジスタM11のゲート電位よりもV
T低いため、ソフトスタート電圧V
SSと等しくなる。
【0058】
オフ回路53は、クランプ回路40が非アクティブの期間に、第1トランジスタM11のゲートの電位を、第1トランジスタM11がオフするレベルに固定する。たとえばオフ回路53は、第1トランジスタM11のゲートと固定電圧端子(接地端子)の間に設けられ、その制御端子にSTART_OK信号が入力されたNチャンネルMOSFET(トランジスタM14)で構成できる。START_OK信号がハイレベルとなると、トランジスタM14がオンし、第1トランジスタM11がオフする。
【0059】
クランプ回路40は、LEDストリング6に流れる駆動電流I
LEDが所定レベルより低い期間にアクティブとなり、高い期間に非アクティブとなる。別の観点から見ると、クランプ回路40は、LEDストリング6が発光可能となるまでの期間、アクティブとなり、発光可能となった後に非アクティブとなる。
【0060】
ソフトスタート回路32は、スタンバイ信号STBがハイレベルに遷移すると、クロック信号CLKに応じてカウントアップするデジタルカウンタ34と、カウンタ34のカウント値をアナログ電圧に変換し、ソフトスタート電圧V
SSを生成するD/Aコンバータ36を含んでもよい。カウンタ34は、カウント値CNTが所定値に達するとハイレベルとなるSS_END信号を生成する。SS_END信号は、ソフトスタート電圧V
SSが所定レベルより低いときローレベル、高いときハイレベルとなる。
【0061】
ソフトスタート回路32は、キャパシタおよびキャパシタを充電、あるいは放電する回路の組み合わせで構成してもよい。
【0062】
続いて点灯検出回路60によるLED_ON_ALL信号の生成について説明する。
図4は、点灯検出回路60および電流源CS
iの構成を示す回路図である。
図4には、全nチャンネルのうち、1チャンネル(第iチャンネル)の構成が示される。電流駆動回路8の電流源CS
iは、駆動トランジスタM21、電流検出抵抗R21、演算増幅器OA1、調光用スイッチM22を備える。
【0063】
接地端子LED_GNDは、外部の接地電位と接続される。駆動トランジスタM21および電流検出抵抗R21は、LEDストリング6のカソードであるLED端子LED
iと接地端子LED_GNDの間に順に直列に設けられる。演算増幅器OA1の反転入力端子は、駆動トランジスタM21および電流検出抵抗R21の接続点と接続され、その非反転入力端子には、駆動電流I
LEDiを指示する制御電圧V
DIMが印加される。この電流源CS
iによって、駆動電流I
LEDiが生成される。
I
LEDi=V
DIM/R21
【0064】
調光用スイッチM22は、駆動トランジスタM21の制御端子(ゲート)と接地端子LED_GNDの間に設けられ、調光用パルス信号PWM
iに応じてオン、オフが制御される。インバータ63は、調光用パルス信号PWM
iを反転し、調光用スイッチM22のゲートに入力する。調光用パルス信号PWM
iがローレベルの期間(消灯期間T
OFF)、調光用スイッチM22がオンし、駆動トランジスタM21のゲートがローレベルとなり、駆動トランジスタM21がオフする。
【0065】
点灯検出回路60は、調光用パルス信号PWM
iが点灯を指示する点灯期間T
ONにおいて、駆動トランジスタM21のゲートの電位V
Gを所定のレベルVaと比較することにより、LEDストリング6
iに流れる駆動電流I
LEDiが所定レベルに達したことを検出する。検出結果を示すLED_ON
i信号は、V
G>Vaのときローレベル、V
G<Vaのときハイレベルとなる。
【0066】
具体的に点灯検出回路60は、トランジスタM31、電流源62、抵抗68、トランジスタM32を含む。PチャンネルMOSFETであるトランジスタM31のソースは、演算増幅器OA1の上側電源端子V
DDに接続され、そのゲートは駆動トランジスタM21の制御端子(ゲート)に接続される。電流源62は、トランジスタM31のドレインと演算増幅器OA1の下側電源端子(LED_GND)の間に設けられる。トランジスタM32はNチャンネルMOSFETであり、そのゲートが、トランジスタM31のドレインに接続され、そのソースが下側電源端子(LED_GND)に接続される。トランジスタM32のドレインと上側電源端子V
DDの間には、トランジスタM32に対する負荷として抵抗68が設けられる。
【0067】
点灯検出回路60は、トランジスタM32のドレイン電位V
D_M32に応じてLED_ON
i信号を生成する。インバータ65は、インバータ63の出力を反転する。インバータ65の出力信号は、調光用パルス信号PWMと同じ論理レベルを有する。ANDゲート67は、インバータ65の出力である調光用パルス信号PWM
iと同期クロックCLKの論理積を生成し、インバータINV1は、ANDゲート67の出力を反転し、フリップフロップ69のクロック端子に入力する。インバータINV2は、トランジスタM32のドレイン電位V
D_M32を反転し、フリップフロップ69のデータ端子(D)に入力する。フリップフロップ69の出力が、LED_ON
i信号となる。LED_ON
i信号は、第iチャンネルのLEDストリング6にあるレベルの駆動電流I
LEDiが流れているとき、言い換えれば、出力電圧V
OUTがある電圧レベル以上となっているときにアサート(ハイレベル)される。
【0068】
ORゲート71は、全チャンネルのLED_ON
1〜LED_ON
n信号の論理和をとり、LED_ON_ALL信号を生成する。
【0069】
以上が発光装置3の構成である。続いてその動作を説明する。
図5は、
図2の発光装置3の動作を示す波形図である。時刻t1にスタンバイ信号STBがハイレベルに遷移し、スイッチング電源4の起動が指示される。起動開始とともにソフトスタート電圧V
SSが上昇し始める。このときクランプ回路40はアクティブであり、フィードバック電圧V
FBも、ソフトスタート電圧V
SSに追従して上昇する。これによりパルス信号S
PWMのデューティ比は、ソフトスタート電圧V
SSに応じて増大していく。
【0070】
フィードバック電圧V
FBが周期電圧V
OSCの下限レベルより高くなると(時刻t2)、パルス信号S
PWMが生成される。そして調光用パルス信号PWM
iが点灯期間T
ONを示す間、ドライバ28によってスイッチング信号SWOUTが生成され、スイッチングトランジスタM1がスイッチングされる。スイッチング信号SWOUTは、調光用パルス信号PWM
iより高い周波数でパルス変調されているが、
図5ではスイッチング信号SWOUTのパルス変調の様子は省略している。
【0071】
スイッチングトランジスタM1がスイッチングする期間と、出力電圧V
OUTが上昇する。なお出力電圧V
OUTが低い間は、点灯期間T
ONであっても駆動電流I
LEDiが流れない。駆動電流I
LEDiが流れ始める前において、駆動トランジスタM21のゲート電圧V
Gは、点灯期間T
ONにおいてハイレベル(V
DD)、消灯期間T
OFFにおいてローレベル(0V)を調光用パルス信号PWM
iと同期して交互に繰り返す。
【0072】
出力電圧V
OUTが上昇するに従い、駆動電流I
LEDiが増加していく。駆動電流I
LEDiの増加にともない、点灯期間T
ONにおける駆動トランジスタM21のゲート電圧V
Gは低下しはじめる。そして、駆動電流I
LEDiがあるレベルに達すると、ゲート電圧V
Gが所定レベルVaに低下し、トランジスタM32のドレイン電位V
D_M32がハイレベルとなる。ハイレベルのドレイン電位V
D_M32が同期クロックCLKによってフリップフロップ69に取り込まれ、LED_ON
i信号がハイレベルとなる。つまり、あるレベルの駆動電流I
LEDiが流れ始めたことが検出される(時刻t3)。
【0073】
LED_ON
i信号がハイレベルとなると、クランプ回路40が非アクティブに切りかえられ、フィードバックスイッチSW1がオンする。これにより検出電圧V
LEDに応じたフィードバックが有効となり、フィードバック電圧V
FBが、検出電圧V
LEDと基準電圧V
REFの誤差に応じたレベルとなる。
【0074】
以上が発光装置3の起動動作である。
この発光装置3によれば、スタンバイ状態からの復帰時に、調光用パルス信号PWMのデューティ比が小さい場合であっても、フィードバック電圧V
FB、つまりパルス信号S
PWMのデューティ比を、ソフトスタート電圧V
SSに追従して増大させることができ、出力電圧V
OUTを短時間で上昇させる。また、スイッチング電源4の動作開始からある期間が経過した後に、クランプ回路40を非アクティブとしてソフトスタート電圧V
SSに応じたフィードバック電圧V
FBの制御を解除することにより、検出電圧V
LEDが基準電圧V
REFと近づくようなフィードバック制御に移行させることができる。
【0075】
移行の直前において、フィードバック電圧V
FBの電圧レベルは、ソフトスタート電圧V
SSと等しく、移行後は、検出電圧V
LEDと基準電圧V
REFの誤差に応じて定まる電圧レベルとなる。この回路では、あるレベルの駆動電流I
LEDが流れ始めると、フィードバック制御へと移行させるため、2つの電圧レベルを近づけることができる。これにより移行の前後でフィードバック電圧V
FBが大きく変動し、出力電圧V
OUTが変動するのを抑制することができる。
【0076】
またクランプ回路40の点灯検出回路60は、駆動トランジスタM21の制御端子の電圧V
Gにもとづいて所定レベルの駆動電流I
LEDが流れ始めたことを検出している。これは、出力電圧V
OUTに応じたOVP電圧V
OVPにもとづいて検出する場合に比べて以下の利点を有する。
【0077】
LEDストリング6にあるレベルの駆動電流I
LEDが流れているときの電圧降下(順方向電圧)V
Fは、駆動電流I
LEDの大きさや、LEDストリング6に含まれるLEDの個数に応じてさまざまである。したがってOVP電圧V
OVPによって駆動電圧V
OUTが十分なレベルに上昇しているかを検出する場合、LEDストリング6に応じて、OVP電圧V
OVPと比較すべきしきい値レベルを最適化する必要がある。駆動トランジスタM21の制御端子の電圧にもとづく検出では、LEDストリング6に応じてしきい値レベルを変化させる必要がないという利点がある。これは、さまざまなLEDストリング6を駆動する汎用性が求められる制御IC100において、きわめて重要なメリットである。
【0078】
続いて、チャンネルごとのLEDストリング6の、オープン故障、ショート故障、非接続を検出するための技術を説明する。この技術は、上述した制御IC100と組み合わせて、あるいはそれとは別に利用することができる。
【0079】
図6は、実施の形態に係る制御IC100aの構成を示す回路図である。
図6は、i番目のチャンネルのみを代表的に示している。
【0080】
制御IC100aは、すでに説明した構成に加えて、主としてチャンネルごとの異常検出用コンパレータCOMP_OPEN
i、チャンネルごとの強制消灯回路80_i、チャンネルごとのプルアップ回路90_i、ならびに異常検出回路70を備える。
【0081】
異常検出用コンパレータCOMP_OPEN
iは、対応するLED端子(接続端子)LED
iの検出電圧V
LEDiを所定のしきい値電圧V
OPEN_DETと比較する。異常検出用コンパレータCOMP_OPEN
iの入力端子とLED端子LED
iの間には、トランジスタM90が設けられる。トランジスタM90のゲートに、たとえばV
REG=5Vのハイレベル電圧が入力されると、トランジスタM90はオンし、検出電圧V
LEDiが異常検出用コンパレータCOMP_OPENに入力される。
【0082】
たとえばV
OPEN_DETは、0.2V程度に設定される。そして異常検出用コンパレータCOMP_OPEN
iは、V
LEDi<V
OPEN_DETのときアサート(たとえばハイレベル)される異常検出信号OPEN_DET
iを生成する。
【0083】
フィードバック電圧用コンパレータCOMP_FBは、FB端子に生ずるフィードバック電圧V
FBを所定のしきい値電圧V
FB_DETと比較する。たとえばしきい値電圧V
FB_DETは4V程度である。そしてフィードバック電圧用コンパレータCOMP_FBは、V
FB>V
FB_DETのときアサートされる。故障などによってi番目のチャンネルのフィードバックに異常が生じ、検出電圧V
LEDiが接地電圧付近に低下すると、フィードバック電圧V
FBがハイレベルに跳ね上がる。つまり、フィードバック電圧用コンパレータCOMP_FBによっても、検出電圧V
LEDiが通常とりうるレベルから外れていることを検出できる。
【0084】
強制消灯回路80は、スイッチング電源4の動作開始後に、所定期間τ
DETの間、電流駆動回路8による駆動電流I
LEDの生成を停止させる。たとえば強制消灯回路80には、駆動電流I
LEDの停止のためのトリガーとして、上述したSTART_OK信号が入力される。強制消灯回路80は、START_OK信号がローレベルからハイレベルに遷移(アサート)すると、言い換えれば、スイッチング電源4の起動動作開始後にある期間が経過すると、さらに言い換えれば、LEDストリング6に流れる電流が所定レベルに達すると、もしくは、ソフトスタート電圧V
SSが所定レベルに達すると、それを契機として所定時間τ
DETの間、電流源CS
iによる駆動電流I
LEDiの生成を停止させる。トリガーとして利用される信号は、START_OK信号には限定されず、スイッチング電源4の起動後のある時刻にアサートされるその他の信号、たとえばSS_END信号や、LED_ON信号などを用いてもよい。
【0085】
たとえばPWMコントローラ9は、ヒステリシスコンパレータ91、ORゲート93を含む。ヒステリシスコンパレータ91は、外部からの調光用パルス信号PWM_EXTをしきい値電圧と比較し、チャンネルごとの調光用パルス信号PWM
i’を生成する。ORゲートは、全チャンネルの調光用パルス信号PWM
1〜PWM
nを受け、それらの論理和である調光用パルス信号PWMを生成する。
【0086】
たとえば強制消灯回路80は、ワンショット回路82とANDゲート84を含む。ワンショット回路82は、トリガーとなるSTART_OK信号がアサートされると、所定時間τ
DETの間、ローレベルとなるパルス信号PULSEを生成する。ANDゲート84は、調光用パルス信号PWM
i’信号とパルス信号PULSEの論理積である調光用パルス信号PWM
iを生成する。調光用パルス信号PWM
iは、所定時間τ
DETの間、調光用パルス信号PWM
i’のレベルに関わらずローレベルとなり、電流源CS
iによる駆動電流I
LEDiの生成が停止する。なお強制消灯回路80の構成は、
図6のそれに限定されるものではない。
【0087】
図6のソフトスタート回路32aは、キャパシタC
SS、電流源33、コンパレータ35を含む。キャパシタC
SSを電流源33によって充電することにより、キャパシタC
SSには、時間とともに上昇するソフトスタート電圧V
SSが発生する。コンパレータ35は、ソフトスタート電圧V
SSをしきい値電圧V
SS_ENDと比較し、V
SS>V
SS_ENDとなるとアサート(ハイレベル)されるソフトスタート終了信号(SS_END信号)を生成する。もちろん、ソフトスタート回路32aに代えて、
図3のソフトスタート回路32、あるいは別の構成を用いてもよい。
【0088】
プルアップ回路90は、アクティブ状態、非アクティブ状態が切りかえ可能に構成され、アクティブ状態においてLED端子LED
iに電流を供給し、LED端子LED
iの電位をプルアップする。プルアップ回路90のアクティブ状態、非アクティブ状態は、後述のLEDi_OFF信号によって制御される。
【0089】
プルアップ回路90の構成例を説明する。電流源92は、電流Icを生成する。トランジスタ94、96はカレントミラー回路を形成し、電流Icをコピーする。電流Icは、トランジスタM90を介してLED端子LED
iに供給される。トランジスタ98は、トランジスタM94のゲートソース間に設けられる。トランジスタ98がオンすると、トランジスタ94、96がオフとなり、プルアップ回路90の出力電流Icがゼロになる。
【0090】
異常検出回路70には、各チャンネルの異常検出信号OPEN_DET
1〜n、フィードバック検出信号FB_DET、各チャンネルの調光用パルス信号PWM
1〜nが入力される。異常検出回路70は、これらの信号にもとづき、プルアップ回路90のアクティブ状態、非アクティブ状態を切りかえるとともに、保護処理や特定の制御を行う。具体的に異常検出回路70は、チャンネルごとに、対応するLEDストリング6_iを停止すべきときにアサートされるLEDオフ信号(LEDi_OFF信号)と、全チャンネルのLEDストリング6_1〜6_nを停止すべきときにアサートされる全ラッチ信号(ALL_LATCH信号)を生成する。
【0091】
続いて、異常検出回路70の機能および構成を説明する。
図7は、
図6の異常検出回路70の具体的な構成例を示す回路図である。
図7には、第1チャンネルの構成のみが詳細に示される。他のチャンネルは第1チャンネルと同様に構成される。
【0092】
異常検出回路70は、起動時の異常(オープン、地絡)検出機能と、通常動作時の異常(オープン、地絡)検出機能と、を備える。
【0093】
異常検出回路70は、チャンネルごとに設けられる第1検出部74_i、第2検出部76_i、 第1ORゲートOR1_i、第3ANDゲートAND3_1を備える。また異常検出回路70は、全チャンネルに共通に設けられたカウンタ72、第3ORゲートOR3、第4ORゲートOR4、第4フリップフロップFF4、第5フリップフロップFF5、第4ANDゲートAND4を備える。
【0094】
第1検出部74_iは、起動時の異常検出のために設けられ、駆動電流I
LEDiの生成が停止する所定期間τ
DETにおいて、異常検出信号OPEN_DET
iがアサート(ハイレベル)された場合に、第1検出信号FF1_Q1をアサート(ハイレベル)する。
【0095】
第1検出部74_iは、第1フリップフロップFF1_iを含む。第1フリップフロップFF1_iのデータ端子(D)には、対応する異常検出信号OPEN_DET
iが入力され、そのクロック端子には、ワンショット回路82からのPULSE信号が入力される。PULSE信号は、START_OK信号がアサートされてから所定時間τ
DET検出後に、ポジティブエッジを有する。このポジティブエッジによって、異常検出信号OPEN_DET
iがラッチされる。
【0096】
第2検出部76_iは、ソフトスタート完了後の通常動作時の異常検出のために設けられ、通常動作時において異常状態が所定期間T
CP持続するとアサートされる第2検出信号FF2_Qiを生成する。
【0097】
第2検出部76_iは、第3検出部78_i、第2ANDゲートAND2_i、第2フリップフロップFF2_iを備える。
【0098】
第3検出部78_iは、通常動作時において、正常状態の場合に周期的にローレベルに遷移し、異常状態が検出されるとローレベルに遷移せずにハイレベルを持続する第3検出信号FF3_Qiを生成する。
【0099】
第3検出部78_iは、第2ORゲートOR2_i、第1ANDゲートAND1_i、第3フリップフロップFF3_iを含む。第2ORゲートOR2_iは、対応する調光用パルス信号PWM
iと、対応する第3フリップフロップFF3_iの出力FF3_Qiの論理和を生成する。第1ANDゲートAND1_iは、SS_END信号と、対応する第2ORゲートOR2_iの出力と、対応する異常検出信号OPEN_DET
iの論理積を生成する。第1ANDゲートAND1_iの出力は、対応する第3フリップフロップFF3_iのリセット端子(反転論理)に入力される。第3フリップフロップFF3_iのデータ端子(D)はハイレベルに固定され、クロック端子には、システムクロックCLKが入力される。
【0100】
LED端子LED
iに、LEDストリング6_iが正常に接続されている場合、調光パルス信号PWM
iがハイレベルとなる点灯期間T
ONにおいて、V
LEDi>V
OPEN_DETとなるため、異常検出信号OPEN_DET
iはネゲート(ローレベル)される。その結果、第1ANDゲートAND1_iの出力がローレベルに変化し、第3フリップフロップFF3_iがリセットされ、異常検出信号FF3_Qiがローレベルに変化する。
【0101】
一方、LED端子LED
iにオープン故障あるいは地絡故障が発生すると、調光パルス信号PWM
iがハイレベルとなる点灯期間T
ONにおいて、V
LEDi<V
OPEN_DETとなるため、異常検出信号OPEN_DET
iがアサート(ハイレベル)される。その結果、第1ANDゲートAND1_iの出力がローレベルに遷移しないため、第3フリップフロップFF3_iがリセットされず、第3フリップフロップFF3_iの出力である異常検出信号FF3_Qiがハイレベルを維持し続ける。
【0102】
カウンタ72および第3ORゲートOR3は、タイマー回路73を構成する。タイマー回路73は、いずれかのチャンネルの異常検出信号FF3_Qiが所定時間T
CPの間、ハイレベルを持続するとアサート(ハイレベル)されるカウント完了信号(COUNT_END信号)を生成するタイマー回路73である。またこのタイマー回路73は、後述するLED_GND_DET信号のアサートが、所定時間T
CP持続すると、COUNT_END信号をアサートする。
【0103】
第3ORゲートOR3は、正常状態において、周期的にローレベルに変化し、異常が発生すると、ハイレベルに固定されるリセット信号RSTを生成する。第3ORゲートOR3は、各チャンネルの第3フリップフロップFF3_1〜FF3_nそれぞれの出力信号FF3_Q1〜FF3_Qnと、LED端子のいずれかが地絡していることを示す地絡検出信号(LED_GND_DET信号)の論理和を生成し、リセット信号RSTとして、カウンタ72のリセット端子(反転論理)に入力する。
【0104】
カウンタ72は、クロック端子に入力されるクロックCLKと同期してカウントアップする。正常状態においては、カウンタ72のリセット端子(反転論理)に入力される信号は、パルス調光信号PWM
iと同期して周期的にローレベルに変化し、カウンタ72は毎周期リセットされる。一方、何らかの異常が検出されると、リセット端子がローレベルに変化しなくなる。つまり異常状態がある時間持続すると、カウンタ72がリセットされることなくカウントアップが進み、カウント値が時間T
CPに対応する所定値に達すると、カウント終了信号(COUNT_END信号)がアサート(ハイレベル)される。
【0105】
第2ANDゲートAND2_iは、COUNT_END信号と、対応する第3フリップフロップFF3_iの出力FF3_Qiの論理積を生成し、対応する第2フリップフロップFF2_iのクロック端子に入力する。第2フリップフロップFF2_iのデータ端子(D)はハイレベルに固定される。第2フリップフロップFF2_iの出力である第2検出信号FF2_Qiは、通常動作時において異常状態が所定期間T
CP持続するとアサートされる。
【0106】
第1ORゲートOR1_iは、対応する第1検出部74_iからの第1検出信号FF1_Qiと、対応する第2検出部76_iからの第2検出信号FF2_Qiの論理和を生成し、対応するLEDストリング6_iの駆動を停止すべきときにアサート(ハイレベル)されるLEDi_OFF信号を生成する。つまりLEDi_OFF信号は、起動時において異常が検出されるか、もしくは通常動作時に異常が検出されるとアサートされる。このLEDi_OFF信号は、対応するプルアップ回路90_iのアクティブ状態、非アクティブ状態を切りかえるためにも利用される。
【0107】
第3ANDゲートAND3_iは、対応するLEDi_OFF信号と、対応する異常検出信号OPEN_DET
iと、FB_DET信号の論理積を生成する。第4ORゲートOR4は、全チャンネルの第3ANDゲートAND3_1〜AND3_nの出力の論理和を生成する。第4ANDゲートAND4は、SS_END信号と、第4ORゲートOR4の出力の論理積であるLED_GND_DET信号を生成する。つまりプルアップ回路90_iによるプルアップの結果、依然として異常検出信号OPEN_DET
iがアサートされると、LED_GND_DET信号がアサートされる。
【0108】
第4フリップフロップFF4のデータ端子(D)にはハイレベル電圧が入力され、そのクロック端子にはCOUNT_END信号が入力され、そのリセット端子(反転論理)にはLED_GND_DETが入力される。
【0109】
第5フリップフロップFF5のデータ端子(D)にはハイレベル電圧が入力され、そのクロック端子には、第4フリップフロップFF4の出力FF4_Qが入力される。第5フリップフロップFF5の出力は、ALL_LATCH信号として出力される。
【0110】
以上が異常検出回路70の構成である。続いて、その動作を説明する。
図8は、
図6の制御IC100aの動作を示すフローチャートである。
【0111】
制御IC100aに対するスタンバイ信号STBが、スタンバイ状態から動作状態への遷移を指示すると、制御IC100aによる起動シーケンスが開始する(S100)。そして、ソフトスタートの終了、あるいはLEDストリング6の点灯まで待機する(S102のN)。SS_END信号がアサートされ、またはLED_ON信号がアサートされると(S102のY)、強制消灯回路80が所定期間τ
DETの間、駆動電流I
LEDを停止する(S104)。その結果、V
LEDi>V
OPEN_DETの場合(S106のY)、LED端子LED
iに正常にLEDストリング6_iが接続されているものとして、通常の起動がなされる(S108)。
【0112】
V
LEDi<V
OPEN_DETの場合(S106のN)、異常検出用コンパレータCOMP_OPENの出力OPEN_DET
iがアサートされ、第1検出部74_iによって第1検出信号FF1_Qiがアサートされ、起動時に異常があったものと判定される。そして第1ORゲートOR1_iの出力であるLEDi_OFF信号がアサートされて、プルアップ回路90_iがアクティブ(オン)となる(S110)。
【0113】
プルアップ回路90_iがアクティブとなると、LED端子LED
iに電流Icが供給される。LED端子LED
iにLEDストリング6_iが接続されていない場合、LED端子LED
iがプルアップ回路90_iによってプルアップされ、V
LEDi>V
OPEN_DETとなり(S112のY)、異常検出信号OPEN_DET
iはネゲート(ローレベル)される。異常検出信号OPEN_DET
iがネゲートされ続けると、第1ANDゲートAND1_iの出力はローレベルを、第3フリップフロップFF3_Qiはハイレベルを持続し、カウンタ72によるカウント動作が進み、やがてCOUNT_END信号がアサートされる。これにより、第2検出信号FF2_Qiがアサートされ、i番目のチャンネルが不使用であるものと判定される(S114)。この場合、制御IC100aは、i番目のチャンネルのみを不使用とし、その他のチャンネルのLEDストリング6_iについては、駆動を継続する。
【0114】
プルアップ回路90_iがアクティブとなっても、LED端子LED
iが地絡している場合、LED端子LED
iはプルアップされない。その結果、V
LEDi<V
OPEN_DETとなり(S112のN)、OPEN_DET
iがアサートされる。
このとき検出電圧V
LEDiが接地電圧付近であるため、フィードバック電圧V
FBが電源電圧付近まで上昇し、COMP_FB信号がアサートされている。またLEDi_OFF信号もアサートされている。したがって、第3ANDゲートAND3_iの出力がハイレベルとなる。またSS_END信号もアサートされているため、第4ANDゲートAND4の出力、つまりLED_GND_DET信号がアサート(ハイレベル)される(S130)。LED_GND_DET信号がアサートされた状態が持続すると、第3ORゲートOR3の出力であるリセット信号RSTはハイレベルを維持し、カウンタ72によるカウントが進み、やがてCOUNT_END信号がアサートされる。COUNT_END信号がアサートされると、ALL_LATCH信号がアサートされる(S132)。ひとつでも地絡故障しているチャンネルが存在すると、回路が損傷するおそれがあることから、ALL_LATCH信号がアサートされると、制御IC100aは、スイッチング電源4および電流駆動回路8を停止する。
【0115】
ステップS108に戻る。起動直後の所定期間τ
DETにおいて異常が検出されないと、通常の起動シーケンスを経て、LEDストリング6_1〜6_nが駆動される(通常動作状態)。通常動作状態においては、パルス調光信号PWM
iがアサートされる点灯期間T
ONにおける検出電圧V
LEDiが、しきい値電圧V
OPEN_DETと比較される。V
LEDi>V
OPEN_DETであるとき(S120のY)、LEDストリング6_iが正常と判定され、通常動作状態が持続する。
【0116】
点灯期間T
ONにおいて、V
LEDi<V
OPEN_DETとなると(S120のN)、第1ANDゲートAND1の出力がハイレベルを持続し、第3フリップフロップFF3_1がリセットされず、したがってカウンタ72もリセットされない。これにより、カウンタ72のカウントアップが進み(S122のN)、異常状態があるサイクル継続すると、COUNT_END信号がアサートされる(S122のY)。これにより第2フリップフロップFF2_iの出力FF2_Qiがアサートされ、LEDi_OFF信号がアサートされる。これにより、プルアップ回路90_iがアクティブとなる(S124)。その結果、V
LEDi>V
OPEN_DETが検出されると(S126のY)、第iチャンネルはオープン故障が発生したものと判定される(S128)。この場合、制御IC100aは、i番目のチャンネルのみ駆動を停止し、その他のチャンネルの駆動は継続する。
【0117】
V
LEDi<V
OPEN_DETの場合(S126のN)、異常検出信号OPEN_DET
iがアサートされる。これによりLED_GND_DET信号がアサートされ(S130)、地絡故障と判定される(S132)。この場合、全チャンネルの駆動を停止する。
【0118】
以上が制御IC100aの動作である。
この制御IC100aによれば、スイッチング電源4の起動直後、駆動電流I
LEDが停止する所定期間τ
DETを設け、その期間における検出電圧V
LEDをしきい値電圧と比較することにより、起動当初からLED端子LED
iにLEDストリング6_iが接続されていない状態、あるいはLED端子LED
iが地絡した状態を検出することができる。
【0119】
さらに、プルアップ回路90_iを設けたことにより、起動直後、あるいは通常動作時において、LED端子LED
iがオープンであるのか、地絡しているのかを判定することができる。
【0120】
さらに、チャンネルごとにオープン状態を検出できるため、あるLED端子LED
iがオープンと判定された場合、そのチャンネルに関してのみ駆動を停止し、その他のチャンネルについては駆動を持続することができる。
【0121】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセス、それらの組み合わせには、さまざまな変形例が存在しうる。以下、こうした変形例について説明する。
【0122】
LEDストリング6の種類が予め決められている場合には、OVP電圧V
OVPにもとづいて、クランプ回路40のアクティブ、非アクティブを切りかえてもよい。
あるいは、電流検出抵抗R21に生ずる電圧降下V
R21にもとづいてアクティブ、非アクティブを切りかえてもよい。
【0123】
当業者であれば、
図7の異常検出回路70と同等の機能を有する別の回路を、公知のデジタル回路、アナログ回路の組み合わせによって設計することができ、そうした回路も、本発明の範囲に含まれる。
【0124】
当業者には、MOSFETとバイポーラトランジスタを置換しうることが理解される。またNチャンネルとPチャンネル、NPN型とPNP型、を適切に入れかえ、電源端子と接地端子を天地反転した変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0125】
実施の形態ではインダクタを用いた非絶縁型のスイッチング電源を説明したが、本発明はトランスを用いた絶縁型のスイッチング電源にも適用可能である。
【0126】
実施の形態では、発光装置3のアプリケーションとして電子機器を説明したが、用途は特に限定されず、照明などにも利用できる。
【0127】
また、本実施の形態において、各信号のハイレベル、ローレベルの論理信号の設定は一例であって、インバータなどによって適宜反転させることにより自由に変更することが可能である。
【0128】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。