特許第5735832号(P5735832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5735832発光素子駆動用のスイッチング電源の制御回路、発光装置および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735832
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】発光素子駆動用のスイッチング電源の制御回路、発光装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20150528BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20150528BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20150528BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20150528BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20150528BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
   H02M3/155 C
   H02M3/155 P
   H02M3/155 J
   F21S2/00 480
   H05B37/02 K
   H05B37/02 J
   G02F1/133 535
   F21Y101:02
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-68843(P2011-68843)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-204679(P2012-204679A)
(43)【公開日】2012年10月22日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】菊池 弘基
(72)【発明者】
【氏名】米丸 昌男
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−186668(JP,A)
【文献】 特開平05−196677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21S 2/00
G02F 1/133
H02M 3/155
H05B 37/02
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の第1端子に駆動電圧を供給するスイッチング電源を制御するとともに、前記発光素子に流れる駆動電流を生成する制御回路であって、
前記発光素子の第2端子が接続されるべき接続端子と、
前記接続端子と接続され、調光用パルス信号に応じた間欠的な駆動電流を生成する電流駆動回路と、
前記接続端子に生ずる検出電圧と所定の基準電圧の誤差に応じたフィードバック電圧を生成する誤差増幅器と、
前記フィードバック電圧に応じたデューティ比を有するパルス信号を生成するパルス変調器と、
前記パルス信号にもとづき前記スイッチング電源のスイッチング素子を駆動するドライバと、
前記検出電圧が所定のしきい値電圧より低いときアサートされる異常検出信号を生成する異常検出用コンパレータと、
制御入力に応じてアクティブ状態、非アクティブ状態が切りかえ可能に構成され、アクティブ状態において前記接続端子に電流を供給するプルアップ回路と、
前記異常検出信号がアサートされると、前記制御入力により前記プルアップ回路をアクティブとし、前記プルアップ回路アクティブ状態において、前記異常検出信号がアサートされたか否かを検出する異常検出回路と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記スイッチング電源の動作開始後に、所定期間、前記電流駆動回路による前記駆動電流の生成を停止させる強制消灯回路をさらに備え、
前記異常検出回路は、前記所定期間において前記異常検出信号がアサートされた場合に前記プルアップ回路をアクティブとし、前記プルアップ回路をアクティブとした後に、前記異常検出信号がアサートされたか否かを検出することを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記強制消灯回路は、前記発光素子に流れる前記駆動電流が所定レベルに達してから前記所定期間、前記電流駆動回路による前記駆動電流の生成を停止させることを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記強制消灯回路は、時間とともに上昇するソフトスタート電圧が所定レベルに達してから前記所定期間、前記電流駆動回路による前記駆動電流の生成を停止させることを特徴とする請求項2または3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記異常検出回路は、
前記電流駆動回路が前記駆動電流を生成する期間において前記異常検出信号がアサートされた場合に前記プルアップ回路をアクティブとし、前記プルアップ回路をアクティブとした後に、前記異常検出信号がアサートされたか否かを検出することを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項6】
前記異常検出回路は、
前記異常検出用コンパレータにより前記異常検出信号がアサートされると前記プルアップ回路をアクティブとし、前記異常検出用コンパレータにより前記異常検出信号がアサートされないとき前記プルアップ回路を非アクティブとし、
前記異常検出信号により前記プルアップ回路をアクティブとした後に、再度、前記異常検出用コンパレータにより前記異常検出信号がアサートされるか否かを検出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御回路。
【請求項7】
発光素子と、
前記発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、
を備え、前記スイッチング電源は、
スイッチング素子を含む出力回路と、
前記スイッチング素子を駆動する請求項1からのいずれかに記載の制御回路と、
を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
液晶パネルと、
前記液晶パネルのバックライトとして設けられた請求項に記載の発光装置と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルのバックライトや照明機器として、LED(発光ダイオード)をはじめとする発光素子を利用した発光装置が利用される。図1は、本発明者が検討した発光装置の構成例を示す回路図である。ここで説明される発光装置1003およびその動作は、本出願人が従来技術と認めるものではない。発光装置1003は、複数(nチャンネル)のLEDストリング6_1〜6_nと、スイッチング電源1004と、電流駆動回路1008を備える。
【0003】
各LEDストリング6は、直列に接続された複数のLEDを含む。スイッチング電源1004は、入力電圧VINを昇圧して複数のLEDストリング6_1〜6_nのアノード側の一端に駆動電圧VOUTを供給する。
【0004】
電流駆動回路1008は、アナログ調光およびバースト調光(PWM調光ともいう)を併用して、LEDストリング6の輝度を調節する。電流源CSi(1≦i≦n)は、対応するLEDストリング6_iのカソード側の一端に接続され、LEDストリング6_iに、目標輝度に応じた駆動電流ILEDを供給する。駆動電流ILEDの大きさにもとづく調光をアナログ調光という。
【0005】
PWMコントローラ1009は、目標輝度に応じたデューティ比を有する調光用パルス信号PWM〜PWMを生成し、調光用パルス信号PWMに応じたデューティ比で電流源CS1〜CSnを間欠的にオンさせる。これにより、デューティ比に応じたオン期間(点灯期間)TONにのみ、LEDストリング6に駆動電流ILEDが流れることになり、駆動電流ILEDの時間平均が制御され、輝度が調節される。
【0006】
スイッチング電源1004は、出力回路1102と、制御IC1100を備える。出力回路1102は、インダクタL1、スイッチングトランジスタM1、整流ダイオードD1、出力キャパシタC1を含む。制御IC1100は、スイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比を制御することにより、駆動電圧VOUTを調節する。
【0007】
制御IC1100は、電流源CSの両端間の電圧、つまりLEDストリング6のカソード側の一端の電位(検出電圧という)VLEDが、所定の基準電圧VREFと一致するように、駆動電圧VOUTを安定化させる。
【0008】
誤差増幅器22は、複数チャンネルの検出電圧VLED1〜VLEDnのうち最も低いひとつ(単に検出電圧VLEDという)と基準電圧VREFの誤差を増幅し、フィードバック電圧VFBを生成する。誤差増幅器22は、トランスコンダクタンスアンプ(gmアンプ)21、フィードバックスイッチSW1、位相補償用の抵抗RFBおよびキャパシタCFBを含む。フィードバックスイッチSW1は、調光用パルス信号PWMが点灯期間を示すときにオンする。gmアンプ21は、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じた電流を生成する。この電流によってキャパシタCFBが充放電され、フィードバック(FB)端子にフィードバック電圧VFBが発生する。
【0009】
パルス変調器20は、フィードバック電圧VFBに応じたデューティ比を有するパルス信号SPWMを生成する。ドライバDRは、パルス信号SPWMにもとづきスイッチングトランジスタM1を駆動する。ドライバ28は、バースト調光の点灯期間TONにのみスイッチングトランジスタM1をスイッチングし、消灯期間TOFFにおいてスイッチングを停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−114324号公報
【特許文献2】特開2008−300208号公報
【特許文献3】特開2006−339298号公報
【特許文献4】特開2008−064477号公報
【特許文献5】特開2008−258428号公報
【特許文献6】特開2007−158083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
制御IC1100は、複数のLEDストリング6_1〜6_nそれぞれについて、オープン故障、地絡故障などを検出し、検出した状態に応じた適切な制御あるいは保護を行う必要がある。LEDストリング6_1〜6_nそれぞれの状態を検出するために、LED端子LED〜LEDそれぞれの検出電圧VLED1〜VLEDnを、所定のしきい値電圧と比較する方法が考えられる。
【0012】
i番目のチャンネルに着目する。このチャンネルのLED端子LEDに、LEDストリング6_iが正常に接続される場合、LEDストリング6_iの点灯期間TONにおいて、LED端子LEDの検出電圧VLEDは、基準電圧VREFに一致する。つまり、検出電圧VLEDiは、しきい値電圧より高くなる。
【0013】
一方、このLEDストリング6_iがオープン故障すると、検出電圧VLEDiは接地電位付近に低下する。LED端子LEDが接地端子に地絡(ショート故障)した場合にも、検出電圧VLEDiはやはり、接地電位付近に低下する。また、ユーザがi番目のチャンネルを不使用とする場合、LED端子LEDにLEDストリング6_iが接続されないことになるから、オープン故障時と同様に、検出電圧VLEDiは接地電位付近に低下する。
【0014】
つまり、単純にLED端子LEDの検出電圧VLEDiをしきい値電圧と比較する方法では、LEDストリング6_1の非接続によるオープン状態、LEDストリング6_iの故障によるオープン状態、あるいはLED端子のショート故障を区別することができない。
【0015】
なお、この課題を本発明の分野における共通の一般知識の範囲として捉えてはならない。さらに言えば、上記検討自体が、本出願人がはじめて想到したものである。
【0016】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、発光素子のさまざまな状態を区別して検出可能な制御回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のある態様は、発光素子の第1端子に駆動電圧を供給するスイッチング電源を制御するとともに、発光素子に流れる駆動電流を生成する制御回路に関する。制御回路は、発光素子の第1端子に駆動電圧を供給するスイッチング電源を制御するとともに、発光素子に流れる駆動電流を生成する制御回路であって、発光素子の第2端子が接続されるべき接続端子と、接続端子と接続され、調光用パルス信号に応じた間欠的な駆動電流を生成する電流駆動回路と、接続端子に生ずる検出電圧と所定の基準電圧の誤差に応じたフィードバック電圧を生成する誤差増幅器と、フィードバック電圧に応じたデューティ比を有するパルス信号を生成するパルス変調器と、パルス信号にもとづきスイッチング電源のスイッチング素子を駆動するドライバと、検出電圧が所定のしきい値電圧より低いときアサートされる異常検出信号を生成する異常検出用コンパレータと、アクティブ状態、非アクティブ状態が切りかえ可能に構成され、アクティブ状態において接続端子に電流を供給するプルアップ回路と、異常検出信号がアサートされるとプルアップ回路をアクティブとし、プルアップ回路をアクティブとした後に、異常検出信号がアサートされたか否かを検出する異常検出回路と、を備える。
【0018】
この態様によると、接続端子に発光素子が接続されていない場合、検出電圧はプルアップ回路によってハイレベルにプルアップされ、しきい値電圧より高くなり、異常検出信号がネゲートされる。反対に接続端子が地絡している場合、検出電圧がローレベルを維持するため、しきい値電圧より低くなり、異常検出信号はアサートされる。つまりこの態様によれば、起動時の発光素子の非接続と、地絡故障とを区別して検出でき、それぞれに応じた保護処理、あるいは特定の制御を行うことができる。
【0019】
ある態様の制御回路は、スイッチング電源の動作開始後に、所定期間、電流駆動回路による駆動電流の生成を停止させる強制消灯回路をさらに備えてもよい。異常検出回路は、所定期間において異常検出信号がアサートされた場合にプルアップ回路をアクティブとし、プルアップ回路をアクティブとした後に、異常検出信号がアサートされたか否かを検出してもよい。
この態様では、スイッチング電源の起動直後、駆動電流が停止する所定期間において、起動当初から接続端子に発光素子が接続されていないか、もしくは接続端子が地絡している場合に、検出電圧がしきい値電圧より低くなり、発光素子が正常に接続されている場合には、検出電圧はしきい値電圧より高くなる。この態様によれば、起動当初から発光素子が接続されていない状態、あるいは起動当初から接続端子が地絡した状態を検出することができ、それに応じた保護処理あるいは特定の制御を行うことができる。
【0020】
強制消灯回路は、発光素子に流れる駆動電流が所定レベルに達してから所定期間、電流駆動回路による駆動電流の生成を停止させてもよい。
【0021】
強制消灯回路は、時間とともに上昇するソフトスタート電圧が所定レベルに達してから所定期間、電流駆動回路による駆動電流の生成を停止させてもよい。
【0022】
異常検出回路は、電流駆動回路が駆動電流を生成する期間において異常検出信号がアサートされた場合にプルアップ回路をアクティブとし、プルアップ回路をアクティブとした後に、異常検出信号がアサートされたか否かを検出してもよい。
起動後に接続端子から発光素子が外れたり(オープン故障)、接続端子が地絡すると、異常検出信号がアサートされる。つまり、この態様によれば、起動後の故障を検出できる。
【0023】
本発明の別の態様は、発光装置である。この発光装置は、発光素子と、発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、を備える。スイッチング電源は、スイッチング素子を含む出力回路と、スイッチング素子を駆動する上述のいずれかに記載の制御回路と、を含む。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、液晶パネルと、液晶パネルのバックライトとして設けられた上述の発光装置と、を備える。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明のある態様によれば、発光素子のさまざまな状態を区別して検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明者が検討した発光装置の構成例を示す回路図である。
図2】実施の形態に係るスイッチング電源を備える電子機器の構成を示す回路図である。
図3図2のクランプ回路の構成例を示す回路図である。
図4】点灯検出回路および電流源の構成を示す回路図である。
図5図2の発光装置の動作を示す波形図である。
図6】実施の形態に係る制御ICの構成を示す回路図である。
図7図6の異常検出回路の具体的な構成例を示す回路図である。
図8図8は、図6の制御ICの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
図2は、実施の形態に係るスイッチング電源を備える電子機器の構成を示す回路図である。
【0031】
電子機器2は、ノートPC、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの電池駆動型の機器であり、発光装置3とLCD(Liquid Crystal Display)パネル5を備える。発光装置3はLCDパネル5のバックライトとして設けられる。
【0032】
発光装置3は、発光素子であるLEDストリング6_1〜6_nと、電流駆動回路8と、スイッチング電源4と、を備える。
【0033】
各LEDストリング6は、直列に接続された複数のLEDを含む。スイッチング電源4は、昇圧型のDC/DCコンバータであり、入力端子P1に入力された入力電圧(たとえば電池電圧)VINを昇圧して、出力端子P2に接続される出力ラインに、出力電圧(駆動電圧)VOUTを発生させる。複数のLEDストリング6_1〜6_nそれぞれの一端(アノード)は、出力ラインに共通に接続される。
【0034】
スイッチング電源4は、制御IC100および出力回路102を備える。出力回路102は、インダクタL1、整流ダイオードD1、スイッチングトランジスタM1、出力キャパシタC1を含む。出力回路102のトポロジーは一般的であるため、説明を省略する。またそのトポロジーにさまざまな変形があることが当業者には理解され、本発明において限定されるものではない。
【0035】
制御IC100のスイッチング端子P4は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接続される。制御IC100は、LEDストリング6の点灯に必要な出力電圧VOUTが得られるように、フィードバックによりスイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比を調節する。なおスイッチングトランジスタM1は制御IC100に内蔵されてもよい。
【0036】
電流駆動回路8は、複数のLEDストリング6_1〜6_nの他端(カソード)と接続される。電流駆動回路8は、LEDストリング6_1〜6_nそれぞれに、目標輝度に応じた間欠的な、あるいは直流の駆動電流ILED1〜ILEDnを供給する。具体的には電流駆動回路8は、LEDストリング6_1〜6_nごとに設けられた複数の電流源CS〜CSと、PWMコントローラ9を備える。i番目の電流源CSは、対応するi番目のLEDストリング6_iのカソードと接続されている。電流源CSは、PWMコントローラ9から出力される制御信号PWMに応じて、駆動電流ILEDiを出力する動作(アクティブ)状態φONと、駆動電流ILEDiを停止する停止状態φOFFが切りかえ可能に構成される。PWMコントローラ9は、目標輝度に応じたデューティ比を有する制御信号PWM〜PWMを生成し、電流源CS〜CSに出力する。制御信号PWMがアサート(たとえばハイレベル)される期間(点灯期間TON)、対応する電流源CSは動作状態φONとなり、LEDストリング6_iは点灯する。制御信号PWMがネゲート(たとえばローレベル)される期間(消灯期間TOFF)、対応する電流源CSは停止状態φOFFとなり、LEDストリング6_iは消灯する。点灯期間TONと消灯期間TOFFの時間比率を制御することにより、LEDストリング6_iに流れる駆動電流ILEDの実効値(時間平均値)が制御され、輝度を調節することができる。電流駆動回路8によるPWM駆動の周波数は数十〜数百Hzである。
【0037】
電流駆動回路8は、制御IC100に集積化される。あるいは、制御IC100と電流駆動回路8を別のチップに集積化してもよい。それらは、単一のパッケージ(モジュール)を構成してもよいし、別々のパッケージを構成してもよい。
【0038】
以上が発光装置3全体の構成である。続いて制御IC100の構成を説明する。制御IC100は、LEDストリング6_1〜6_nごとに設けられたLED端子LED〜LEDを備える。各LED端子LEDは、対応するLEDストリング6_iのカソード端子と接続される。なお、LEDストリングは複数である必要はなく、1個であってもよい。
【0039】
制御IC100は、主としてパルス生成部19、ドライバ28、ソフトスタート回路32、クランプ回路40、点灯検出回路60を備える。
【0040】
パルス生成部19は、LEDストリング6の点灯期間TONにおいて、出力電圧VOUTに応じた検出電圧が所定の基準電圧VREFと一致するようにデューティ比が調節されるパルス信号SPWMを生成する。図2において、検出電圧は、LEDストリング6のカソード端子に生ずる電圧(LED端子電圧)VLED1〜VLEDnのうち、最も低いひとつであり、以下ではVLEDと記す。
【0041】
ドライバ28は、調光用パルス信号PWMが点灯を指示する期間TON、パルス信号SPWMにもとづきスイッチング信号SWOUTを生成し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。また調光用パルス信号PWMが消灯を指示する期間TOFF、スイッチングトランジスタM1をオフ状態で固定する。
【0042】
点灯期間TONにおいて制御IC100は、スイッチング電源4の出力電圧VOUTを、LEDストリング6_1〜6_nの駆動に最適な電圧レベルに調節する。消灯期間TOFFにおいては、LEDストリング6_1〜6_nに供給される駆動電流ILED1〜ILEDnがゼロ、すなわちスイッチング電源4が無負荷状態となる。ドライバ28は、消灯期間TOFFにおいて制御IC100はスイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止する。
【0043】
続いてパルス生成部19の構成を説明する。パルス生成部19は、誤差増幅器22、パルス変調器20を含む。誤差増幅器22は、LEDストリング6の点灯期間において、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差を増幅し、誤差に応じたフィードバック電圧VFBを生成する。
【0044】
誤差増幅器22は、gmアンプ21、フィードバックスイッチSW1、位相補償用の抵抗RFBおよびキャパシタCFBを含む。制御IC100には、FB端子が設けられ、FB端子と外部の接地端子の間には、抵抗RFBおよびキャパシタCFBが直列に外付けされる。
【0045】
gmアンプ21は、電流源CSの両端間に生ずる検出電圧VLEDと所定の基準電圧VREFの誤差に応じた電流を出力(ソースまたはシンク)する。具体的にはgmアンプ21は、複数の反転入力端子(−)と、ひとつの非反転入力端子(+)を有する。複数の反転入力端子にはそれぞれ、LED端子電圧VLED1〜VLEDnが入力され、非反転入力端子には基準電圧VREFが入力される。誤差増幅器22は、最も低いLED端子電圧(検出電圧)VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じた電流を生成する。
【0046】
フィードバックスイッチSW1は、FB端子とgmアンプ21の出力端子との間に設けられ、調光用パルス信号PWMに応じてオンする。調光パルス信号PWMは、各チャンネルの調光パルス信号PWM〜PWMの論理和であり、少なくともひとつのチャンネルが点灯期間を示すときに、所定レベル(たとえばハイレベル)となる。
【0047】
ソフトスタート回路32は、スタンバイ信号STBがスタンバイ状態から通常の動作状態の復帰を指示すると、時間とともに変化するソフトスタート電圧VSSを生成する。また、ソフトスタート回路32は、ソフトスタート電圧VSSがあるしきい値電圧に達するとアサート(ハイレベル)されるソフトスタート完了信号(SS_END信号)を出力する。
【0048】
点灯検出回路60は、LEDストリング6が発光可能な程度まで駆動電圧VOUTが上昇したことを検出し、検出するとアサート(ハイレベル)されるフラグ信号(LED_ON_ALL信号)を出力する。LED_ON_ALL信号は、駆動電圧VOUTが少なくともひとつのLEDストリング6を発光可能なレベルより高いときにハイレベル、低いときハイレベルとなる。つまり、LED_ON_ALL信号は、少なくともひとつのLEDストリング6が発光可能なときにアサート(ハイレベル)される。
【0049】
ORゲート56は、LED_ON_ALL信号とSS_END信号の論理和をとることにより、START_OK信号を生成する。つまり、START_OK信号は、起動直後にローレベルをとり、その後、ソフトスタートが完了するか、いずれかのLEDが点灯するとハイレベルに遷移する。
【0050】
クランプ回路40は、スイッチング電源4の起動開始後、言い換えればスタンバイ信号STBがスタンバイ状態から動作状態への復帰を指示してからある期間、アクティブとなる。アクティブなクランプ回路40は、FB端子に生ずるフィードバック電圧VFBを、検出電圧VLEDのレベルにかかわらず、ソフトスタート電圧VSSと等しくなるように制御する。クランプ回路40は、イネーブル端子EN#(反転論理)を有し、イネーブル端子EN#に入力される信号がローレベルの期間アクティブとなる。本実施の形態において、イネーブル端子EN#には、START_OK信号が入力される。
【0051】
ANDゲート23は、START_OK信号と調光用パルス信号PWMの論理積にもとづき、フィードバックスイッチSW1を制御する。これによりフィードバックスイッチSW1は、START_OK信号がハイレベル、つまりクランプ回路40が非アクティブであり、かつ調光用パルス信号PWMが点灯を指示する期間TONにオンする。
【0052】
パルス変調器20は、たとえばパルス幅変調器であり、フィードバック電圧VFBに応じたデューティ比を有し、かつ固定された周期を有するパルス信号SPWMを生成する。具体的にはフィードバック電圧VFBが高いほどパルス信号SPWMのデューティ比は大きくなる。
【0053】
たとえばパルス変調器20は、オシレータ24、PWMコンパレータ26を含む。オシレータ24は、三角波もしくはのこぎり波の周期電圧VOSCを生成する。PWMコンパレータ26はフィードバック電圧VFBを周期電圧VOSCと比較し、比較結果に応じたレベルを有するPWM信号SPWMを生成する。なお、パルス変調器20としてパルス周波数変調器などを用いてもよい。PWM信号SPWMの周波数は、電流駆動回路8によるPWM駆動の周波数に比べて十分に高く、数百kHz(たとえば600kHz)である。
【0054】
図3は、図2のクランプ回路40の構成例を示す回路図である。クランプ回路40は、主として、NチャンネルMOSFETの第1トランジスタM11と、第1トランジスタM11と相補的な、すなわちPチャンネルMOSFETの第2トランジスタM12と、を備える。第1トランジスタM11の第1端子(ソース)は、FB端子に接続される。第2トランジスタM12のソースは、第1トランジスタM11の制御端子(ゲート)に接続され、第2トランジスタM12の制御端子(ゲート)には、ソフトスタート電圧VSSが入力される。
【0055】
第1トランジスタM11に対する負荷としてインピーダンス回路51が設けられる。インピーダンス回路51は、FB端子と固定電圧端子(接地端子)の間に設けられる。インピーダンス回路51は、抵抗11およびスイッチM13を含む。インバータ54は、START_OK信号を反転し、スイッチM13のゲートに入力する。こうしてスイッチM13は、クランプ回路40がアクティブの期間にオンするよう制御される。
【0056】
第2トランジスタM12のソースと固定電圧端子(電源端子)の間には、第2トランジスタM12に対する負荷として電流源52が設けられる。
【0057】
第1トランジスタM11、第2ランジスタM12それぞれのゲートソース間電圧をVと書くとき、トランジスタM12のソース電位、すなわちトランジスタM11のゲート電位は、VSS+Vとなる。FB端子の電位は、トランジスタM11のゲート電位よりもV低いため、ソフトスタート電圧VSSと等しくなる。
【0058】
オフ回路53は、クランプ回路40が非アクティブの期間に、第1トランジスタM11のゲートの電位を、第1トランジスタM11がオフするレベルに固定する。たとえばオフ回路53は、第1トランジスタM11のゲートと固定電圧端子(接地端子)の間に設けられ、その制御端子にSTART_OK信号が入力されたNチャンネルMOSFET(トランジスタM14)で構成できる。START_OK信号がハイレベルとなると、トランジスタM14がオンし、第1トランジスタM11がオフする。
【0059】
クランプ回路40は、LEDストリング6に流れる駆動電流ILEDが所定レベルより低い期間にアクティブとなり、高い期間に非アクティブとなる。別の観点から見ると、クランプ回路40は、LEDストリング6が発光可能となるまでの期間、アクティブとなり、発光可能となった後に非アクティブとなる。
【0060】
ソフトスタート回路32は、スタンバイ信号STBがハイレベルに遷移すると、クロック信号CLKに応じてカウントアップするデジタルカウンタ34と、カウンタ34のカウント値をアナログ電圧に変換し、ソフトスタート電圧VSSを生成するD/Aコンバータ36を含んでもよい。カウンタ34は、カウント値CNTが所定値に達するとハイレベルとなるSS_END信号を生成する。SS_END信号は、ソフトスタート電圧VSSが所定レベルより低いときローレベル、高いときハイレベルとなる。
【0061】
ソフトスタート回路32は、キャパシタおよびキャパシタを充電、あるいは放電する回路の組み合わせで構成してもよい。
【0062】
続いて点灯検出回路60によるLED_ON_ALL信号の生成について説明する。図4は、点灯検出回路60および電流源CSの構成を示す回路図である。図4には、全nチャンネルのうち、1チャンネル(第iチャンネル)の構成が示される。電流駆動回路8の電流源CSは、駆動トランジスタM21、電流検出抵抗R21、演算増幅器OA1、調光用スイッチM22を備える。
【0063】
接地端子LED_GNDは、外部の接地電位と接続される。駆動トランジスタM21および電流検出抵抗R21は、LEDストリング6のカソードであるLED端子LEDと接地端子LED_GNDの間に順に直列に設けられる。演算増幅器OA1の反転入力端子は、駆動トランジスタM21および電流検出抵抗R21の接続点と接続され、その非反転入力端子には、駆動電流ILEDiを指示する制御電圧VDIMが印加される。この電流源CSによって、駆動電流ILEDiが生成される。
LEDi=VDIM/R21
【0064】
調光用スイッチM22は、駆動トランジスタM21の制御端子(ゲート)と接地端子LED_GNDの間に設けられ、調光用パルス信号PWMに応じてオン、オフが制御される。インバータ63は、調光用パルス信号PWMを反転し、調光用スイッチM22のゲートに入力する。調光用パルス信号PWMがローレベルの期間(消灯期間TOFF)、調光用スイッチM22がオンし、駆動トランジスタM21のゲートがローレベルとなり、駆動トランジスタM21がオフする。
【0065】
点灯検出回路60は、調光用パルス信号PWMが点灯を指示する点灯期間TONにおいて、駆動トランジスタM21のゲートの電位Vを所定のレベルVaと比較することにより、LEDストリング6に流れる駆動電流ILEDiが所定レベルに達したことを検出する。検出結果を示すLED_ON信号は、V>Vaのときローレベル、V<Vaのときハイレベルとなる。
【0066】
具体的に点灯検出回路60は、トランジスタM31、電流源62、抵抗68、トランジスタM32を含む。PチャンネルMOSFETであるトランジスタM31のソースは、演算増幅器OA1の上側電源端子VDDに接続され、そのゲートは駆動トランジスタM21の制御端子(ゲート)に接続される。電流源62は、トランジスタM31のドレインと演算増幅器OA1の下側電源端子(LED_GND)の間に設けられる。トランジスタM32はNチャンネルMOSFETであり、そのゲートが、トランジスタM31のドレインに接続され、そのソースが下側電源端子(LED_GND)に接続される。トランジスタM32のドレインと上側電源端子VDDの間には、トランジスタM32に対する負荷として抵抗68が設けられる。
【0067】
点灯検出回路60は、トランジスタM32のドレイン電位VD_M32に応じてLED_ON信号を生成する。インバータ65は、インバータ63の出力を反転する。インバータ65の出力信号は、調光用パルス信号PWMと同じ論理レベルを有する。ANDゲート67は、インバータ65の出力である調光用パルス信号PWMと同期クロックCLKの論理積を生成し、インバータINV1は、ANDゲート67の出力を反転し、フリップフロップ69のクロック端子に入力する。インバータINV2は、トランジスタM32のドレイン電位VD_M32を反転し、フリップフロップ69のデータ端子(D)に入力する。フリップフロップ69の出力が、LED_ON信号となる。LED_ON信号は、第iチャンネルのLEDストリング6にあるレベルの駆動電流ILEDiが流れているとき、言い換えれば、出力電圧VOUTがある電圧レベル以上となっているときにアサート(ハイレベル)される。
【0068】
ORゲート71は、全チャンネルのLED_ON〜LED_ON信号の論理和をとり、LED_ON_ALL信号を生成する。
【0069】
以上が発光装置3の構成である。続いてその動作を説明する。
図5は、図2の発光装置3の動作を示す波形図である。時刻t1にスタンバイ信号STBがハイレベルに遷移し、スイッチング電源4の起動が指示される。起動開始とともにソフトスタート電圧VSSが上昇し始める。このときクランプ回路40はアクティブであり、フィードバック電圧VFBも、ソフトスタート電圧VSSに追従して上昇する。これによりパルス信号SPWMのデューティ比は、ソフトスタート電圧VSSに応じて増大していく。
【0070】
フィードバック電圧VFBが周期電圧VOSCの下限レベルより高くなると(時刻t2)、パルス信号SPWMが生成される。そして調光用パルス信号PWMが点灯期間TONを示す間、ドライバ28によってスイッチング信号SWOUTが生成され、スイッチングトランジスタM1がスイッチングされる。スイッチング信号SWOUTは、調光用パルス信号PWMより高い周波数でパルス変調されているが、図5ではスイッチング信号SWOUTのパルス変調の様子は省略している。
【0071】
スイッチングトランジスタM1がスイッチングする期間と、出力電圧VOUTが上昇する。なお出力電圧VOUTが低い間は、点灯期間TONであっても駆動電流ILEDiが流れない。駆動電流ILEDiが流れ始める前において、駆動トランジスタM21のゲート電圧Vは、点灯期間TONにおいてハイレベル(VDD)、消灯期間TOFFにおいてローレベル(0V)を調光用パルス信号PWMと同期して交互に繰り返す。
【0072】
出力電圧VOUTが上昇するに従い、駆動電流ILEDiが増加していく。駆動電流ILEDiの増加にともない、点灯期間TONにおける駆動トランジスタM21のゲート電圧Vは低下しはじめる。そして、駆動電流ILEDiがあるレベルに達すると、ゲート電圧Vが所定レベルVaに低下し、トランジスタM32のドレイン電位VD_M32がハイレベルとなる。ハイレベルのドレイン電位VD_M32が同期クロックCLKによってフリップフロップ69に取り込まれ、LED_ON信号がハイレベルとなる。つまり、あるレベルの駆動電流ILEDiが流れ始めたことが検出される(時刻t3)。
【0073】
LED_ON信号がハイレベルとなると、クランプ回路40が非アクティブに切りかえられ、フィードバックスイッチSW1がオンする。これにより検出電圧VLEDに応じたフィードバックが有効となり、フィードバック電圧VFBが、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じたレベルとなる。
【0074】
以上が発光装置3の起動動作である。
この発光装置3によれば、スタンバイ状態からの復帰時に、調光用パルス信号PWMのデューティ比が小さい場合であっても、フィードバック電圧VFB、つまりパルス信号SPWMのデューティ比を、ソフトスタート電圧VSSに追従して増大させることができ、出力電圧VOUTを短時間で上昇させる。また、スイッチング電源4の動作開始からある期間が経過した後に、クランプ回路40を非アクティブとしてソフトスタート電圧VSSに応じたフィードバック電圧VFBの制御を解除することにより、検出電圧VLEDが基準電圧VREFと近づくようなフィードバック制御に移行させることができる。
【0075】
移行の直前において、フィードバック電圧VFBの電圧レベルは、ソフトスタート電圧VSSと等しく、移行後は、検出電圧VLEDと基準電圧VREFの誤差に応じて定まる電圧レベルとなる。この回路では、あるレベルの駆動電流ILEDが流れ始めると、フィードバック制御へと移行させるため、2つの電圧レベルを近づけることができる。これにより移行の前後でフィードバック電圧VFBが大きく変動し、出力電圧VOUTが変動するのを抑制することができる。
【0076】
またクランプ回路40の点灯検出回路60は、駆動トランジスタM21の制御端子の電圧Vにもとづいて所定レベルの駆動電流ILEDが流れ始めたことを検出している。これは、出力電圧VOUTに応じたOVP電圧VOVPにもとづいて検出する場合に比べて以下の利点を有する。
【0077】
LEDストリング6にあるレベルの駆動電流ILEDが流れているときの電圧降下(順方向電圧)Vは、駆動電流ILEDの大きさや、LEDストリング6に含まれるLEDの個数に応じてさまざまである。したがってOVP電圧VOVPによって駆動電圧VOUTが十分なレベルに上昇しているかを検出する場合、LEDストリング6に応じて、OVP電圧VOVPと比較すべきしきい値レベルを最適化する必要がある。駆動トランジスタM21の制御端子の電圧にもとづく検出では、LEDストリング6に応じてしきい値レベルを変化させる必要がないという利点がある。これは、さまざまなLEDストリング6を駆動する汎用性が求められる制御IC100において、きわめて重要なメリットである。
【0078】
続いて、チャンネルごとのLEDストリング6の、オープン故障、ショート故障、非接続を検出するための技術を説明する。この技術は、上述した制御IC100と組み合わせて、あるいはそれとは別に利用することができる。
【0079】
図6は、実施の形態に係る制御IC100aの構成を示す回路図である。図6は、i番目のチャンネルのみを代表的に示している。
【0080】
制御IC100aは、すでに説明した構成に加えて、主としてチャンネルごとの異常検出用コンパレータCOMP_OPEN、チャンネルごとの強制消灯回路80_i、チャンネルごとのプルアップ回路90_i、ならびに異常検出回路70を備える。
【0081】
異常検出用コンパレータCOMP_OPENは、対応するLED端子(接続端子)LEDの検出電圧VLEDiを所定のしきい値電圧VOPEN_DETと比較する。異常検出用コンパレータCOMP_OPENの入力端子とLED端子LEDの間には、トランジスタM90が設けられる。トランジスタM90のゲートに、たとえばVREG=5Vのハイレベル電圧が入力されると、トランジスタM90はオンし、検出電圧VLEDiが異常検出用コンパレータCOMP_OPENに入力される。
【0082】
たとえばVOPEN_DETは、0.2V程度に設定される。そして異常検出用コンパレータCOMP_OPENは、VLEDi<VOPEN_DETのときアサート(たとえばハイレベル)される異常検出信号OPEN_DETを生成する。
【0083】
フィードバック電圧用コンパレータCOMP_FBは、FB端子に生ずるフィードバック電圧VFBを所定のしきい値電圧VFB_DETと比較する。たとえばしきい値電圧VFB_DETは4V程度である。そしてフィードバック電圧用コンパレータCOMP_FBは、VFB>VFB_DETのときアサートされる。故障などによってi番目のチャンネルのフィードバックに異常が生じ、検出電圧VLEDiが接地電圧付近に低下すると、フィードバック電圧VFBがハイレベルに跳ね上がる。つまり、フィードバック電圧用コンパレータCOMP_FBによっても、検出電圧VLEDiが通常とりうるレベルから外れていることを検出できる。
【0084】
強制消灯回路80は、スイッチング電源4の動作開始後に、所定期間τDETの間、電流駆動回路8による駆動電流ILEDの生成を停止させる。たとえば強制消灯回路80には、駆動電流ILEDの停止のためのトリガーとして、上述したSTART_OK信号が入力される。強制消灯回路80は、START_OK信号がローレベルからハイレベルに遷移(アサート)すると、言い換えれば、スイッチング電源4の起動動作開始後にある期間が経過すると、さらに言い換えれば、LEDストリング6に流れる電流が所定レベルに達すると、もしくは、ソフトスタート電圧VSSが所定レベルに達すると、それを契機として所定時間τDETの間、電流源CSによる駆動電流ILEDiの生成を停止させる。トリガーとして利用される信号は、START_OK信号には限定されず、スイッチング電源4の起動後のある時刻にアサートされるその他の信号、たとえばSS_END信号や、LED_ON信号などを用いてもよい。
【0085】
たとえばPWMコントローラ9は、ヒステリシスコンパレータ91、ORゲート93を含む。ヒステリシスコンパレータ91は、外部からの調光用パルス信号PWM_EXTをしきい値電圧と比較し、チャンネルごとの調光用パルス信号PWM’を生成する。ORゲートは、全チャンネルの調光用パルス信号PWM〜PWMを受け、それらの論理和である調光用パルス信号PWMを生成する。
【0086】
たとえば強制消灯回路80は、ワンショット回路82とANDゲート84を含む。ワンショット回路82は、トリガーとなるSTART_OK信号がアサートされると、所定時間τDETの間、ローレベルとなるパルス信号PULSEを生成する。ANDゲート84は、調光用パルス信号PWM’信号とパルス信号PULSEの論理積である調光用パルス信号PWMを生成する。調光用パルス信号PWMは、所定時間τDETの間、調光用パルス信号PWM’のレベルに関わらずローレベルとなり、電流源CSによる駆動電流ILEDiの生成が停止する。なお強制消灯回路80の構成は、図6のそれに限定されるものではない。
【0087】
図6のソフトスタート回路32aは、キャパシタCSS、電流源33、コンパレータ35を含む。キャパシタCSSを電流源33によって充電することにより、キャパシタCSSには、時間とともに上昇するソフトスタート電圧VSSが発生する。コンパレータ35は、ソフトスタート電圧VSSをしきい値電圧VSS_ENDと比較し、VSS>VSS_ENDとなるとアサート(ハイレベル)されるソフトスタート終了信号(SS_END信号)を生成する。もちろん、ソフトスタート回路32aに代えて、図3のソフトスタート回路32、あるいは別の構成を用いてもよい。
【0088】
プルアップ回路90は、アクティブ状態、非アクティブ状態が切りかえ可能に構成され、アクティブ状態においてLED端子LEDに電流を供給し、LED端子LEDの電位をプルアップする。プルアップ回路90のアクティブ状態、非アクティブ状態は、後述のLEDi_OFF信号によって制御される。
【0089】
プルアップ回路90の構成例を説明する。電流源92は、電流Icを生成する。トランジスタ94、96はカレントミラー回路を形成し、電流Icをコピーする。電流Icは、トランジスタM90を介してLED端子LEDに供給される。トランジスタ98は、トランジスタM94のゲートソース間に設けられる。トランジスタ98がオンすると、トランジスタ94、96がオフとなり、プルアップ回路90の出力電流Icがゼロになる。
【0090】
異常検出回路70には、各チャンネルの異常検出信号OPEN_DET1〜n、フィードバック検出信号FB_DET、各チャンネルの調光用パルス信号PWM1〜nが入力される。異常検出回路70は、これらの信号にもとづき、プルアップ回路90のアクティブ状態、非アクティブ状態を切りかえるとともに、保護処理や特定の制御を行う。具体的に異常検出回路70は、チャンネルごとに、対応するLEDストリング6_iを停止すべきときにアサートされるLEDオフ信号(LEDi_OFF信号)と、全チャンネルのLEDストリング6_1〜6_nを停止すべきときにアサートされる全ラッチ信号(ALL_LATCH信号)を生成する。
【0091】
続いて、異常検出回路70の機能および構成を説明する。図7は、図6の異常検出回路70の具体的な構成例を示す回路図である。図7には、第1チャンネルの構成のみが詳細に示される。他のチャンネルは第1チャンネルと同様に構成される。
【0092】
異常検出回路70は、起動時の異常(オープン、地絡)検出機能と、通常動作時の異常(オープン、地絡)検出機能と、を備える。
【0093】
異常検出回路70は、チャンネルごとに設けられる第1検出部74_i、第2検出部76_i、 第1ORゲートOR1_i、第3ANDゲートAND3_1を備える。また異常検出回路70は、全チャンネルに共通に設けられたカウンタ72、第3ORゲートOR3、第4ORゲートOR4、第4フリップフロップFF4、第5フリップフロップFF5、第4ANDゲートAND4を備える。
【0094】
第1検出部74_iは、起動時の異常検出のために設けられ、駆動電流ILEDiの生成が停止する所定期間τDETにおいて、異常検出信号OPEN_DETがアサート(ハイレベル)された場合に、第1検出信号FF1_Q1をアサート(ハイレベル)する。
【0095】
第1検出部74_iは、第1フリップフロップFF1_iを含む。第1フリップフロップFF1_iのデータ端子(D)には、対応する異常検出信号OPEN_DETが入力され、そのクロック端子には、ワンショット回路82からのPULSE信号が入力される。PULSE信号は、START_OK信号がアサートされてから所定時間τDET検出後に、ポジティブエッジを有する。このポジティブエッジによって、異常検出信号OPEN_DETがラッチされる。
【0096】
第2検出部76_iは、ソフトスタート完了後の通常動作時の異常検出のために設けられ、通常動作時において異常状態が所定期間TCP持続するとアサートされる第2検出信号FF2_Qiを生成する。
【0097】
第2検出部76_iは、第3検出部78_i、第2ANDゲートAND2_i、第2フリップフロップFF2_iを備える。
【0098】
第3検出部78_iは、通常動作時において、正常状態の場合に周期的にローレベルに遷移し、異常状態が検出されるとローレベルに遷移せずにハイレベルを持続する第3検出信号FF3_Qiを生成する。
【0099】
第3検出部78_iは、第2ORゲートOR2_i、第1ANDゲートAND1_i、第3フリップフロップFF3_iを含む。第2ORゲートOR2_iは、対応する調光用パルス信号PWMと、対応する第3フリップフロップFF3_iの出力FF3_Qiの論理和を生成する。第1ANDゲートAND1_iは、SS_END信号と、対応する第2ORゲートOR2_iの出力と、対応する異常検出信号OPEN_DETの論理積を生成する。第1ANDゲートAND1_iの出力は、対応する第3フリップフロップFF3_iのリセット端子(反転論理)に入力される。第3フリップフロップFF3_iのデータ端子(D)はハイレベルに固定され、クロック端子には、システムクロックCLKが入力される。
【0100】
LED端子LEDに、LEDストリング6_iが正常に接続されている場合、調光パルス信号PWMがハイレベルとなる点灯期間TONにおいて、VLEDi>VOPEN_DETとなるため、異常検出信号OPEN_DETはネゲート(ローレベル)される。その結果、第1ANDゲートAND1_iの出力がローレベルに変化し、第3フリップフロップFF3_iがリセットされ、異常検出信号FF3_Qiがローレベルに変化する。
【0101】
一方、LED端子LEDにオープン故障あるいは地絡故障が発生すると、調光パルス信号PWMがハイレベルとなる点灯期間TONにおいて、VLEDi<VOPEN_DETとなるため、異常検出信号OPEN_DETがアサート(ハイレベル)される。その結果、第1ANDゲートAND1_iの出力がローレベルに遷移しないため、第3フリップフロップFF3_iがリセットされず、第3フリップフロップFF3_iの出力である異常検出信号FF3_Qiがハイレベルを維持し続ける。
【0102】
カウンタ72および第3ORゲートOR3は、タイマー回路73を構成する。タイマー回路73は、いずれかのチャンネルの異常検出信号FF3_Qiが所定時間TCPの間、ハイレベルを持続するとアサート(ハイレベル)されるカウント完了信号(COUNT_END信号)を生成するタイマー回路73である。またこのタイマー回路73は、後述するLED_GND_DET信号のアサートが、所定時間TCP持続すると、COUNT_END信号をアサートする。
【0103】
第3ORゲートOR3は、正常状態において、周期的にローレベルに変化し、異常が発生すると、ハイレベルに固定されるリセット信号RSTを生成する。第3ORゲートOR3は、各チャンネルの第3フリップフロップFF3_1〜FF3_nそれぞれの出力信号FF3_Q1〜FF3_Qnと、LED端子のいずれかが地絡していることを示す地絡検出信号(LED_GND_DET信号)の論理和を生成し、リセット信号RSTとして、カウンタ72のリセット端子(反転論理)に入力する。
【0104】
カウンタ72は、クロック端子に入力されるクロックCLKと同期してカウントアップする。正常状態においては、カウンタ72のリセット端子(反転論理)に入力される信号は、パルス調光信号PWMと同期して周期的にローレベルに変化し、カウンタ72は毎周期リセットされる。一方、何らかの異常が検出されると、リセット端子がローレベルに変化しなくなる。つまり異常状態がある時間持続すると、カウンタ72がリセットされることなくカウントアップが進み、カウント値が時間TCPに対応する所定値に達すると、カウント終了信号(COUNT_END信号)がアサート(ハイレベル)される。
【0105】
第2ANDゲートAND2_iは、COUNT_END信号と、対応する第3フリップフロップFF3_iの出力FF3_Qiの論理積を生成し、対応する第2フリップフロップFF2_iのクロック端子に入力する。第2フリップフロップFF2_iのデータ端子(D)はハイレベルに固定される。第2フリップフロップFF2_iの出力である第2検出信号FF2_Qiは、通常動作時において異常状態が所定期間TCP持続するとアサートされる。
【0106】
第1ORゲートOR1_iは、対応する第1検出部74_iからの第1検出信号FF1_Qiと、対応する第2検出部76_iからの第2検出信号FF2_Qiの論理和を生成し、対応するLEDストリング6_iの駆動を停止すべきときにアサート(ハイレベル)されるLEDi_OFF信号を生成する。つまりLEDi_OFF信号は、起動時において異常が検出されるか、もしくは通常動作時に異常が検出されるとアサートされる。このLEDi_OFF信号は、対応するプルアップ回路90_iのアクティブ状態、非アクティブ状態を切りかえるためにも利用される。
【0107】
第3ANDゲートAND3_iは、対応するLEDi_OFF信号と、対応する異常検出信号OPEN_DETと、FB_DET信号の論理積を生成する。第4ORゲートOR4は、全チャンネルの第3ANDゲートAND3_1〜AND3_nの出力の論理和を生成する。第4ANDゲートAND4は、SS_END信号と、第4ORゲートOR4の出力の論理積であるLED_GND_DET信号を生成する。つまりプルアップ回路90_iによるプルアップの結果、依然として異常検出信号OPEN_DETがアサートされると、LED_GND_DET信号がアサートされる。
【0108】
第4フリップフロップFF4のデータ端子(D)にはハイレベル電圧が入力され、そのクロック端子にはCOUNT_END信号が入力され、そのリセット端子(反転論理)にはLED_GND_DETが入力される。
【0109】
第5フリップフロップFF5のデータ端子(D)にはハイレベル電圧が入力され、そのクロック端子には、第4フリップフロップFF4の出力FF4_Qが入力される。第5フリップフロップFF5の出力は、ALL_LATCH信号として出力される。
【0110】
以上が異常検出回路70の構成である。続いて、その動作を説明する。図8は、図6の制御IC100aの動作を示すフローチャートである。
【0111】
制御IC100aに対するスタンバイ信号STBが、スタンバイ状態から動作状態への遷移を指示すると、制御IC100aによる起動シーケンスが開始する(S100)。そして、ソフトスタートの終了、あるいはLEDストリング6の点灯まで待機する(S102のN)。SS_END信号がアサートされ、またはLED_ON信号がアサートされると(S102のY)、強制消灯回路80が所定期間τDETの間、駆動電流ILEDを停止する(S104)。その結果、VLEDi>VOPEN_DETの場合(S106のY)、LED端子LEDに正常にLEDストリング6_iが接続されているものとして、通常の起動がなされる(S108)。
【0112】
LEDi<VOPEN_DETの場合(S106のN)、異常検出用コンパレータCOMP_OPENの出力OPEN_DETがアサートされ、第1検出部74_iによって第1検出信号FF1_Qiがアサートされ、起動時に異常があったものと判定される。そして第1ORゲートOR1_iの出力であるLEDi_OFF信号がアサートされて、プルアップ回路90_iがアクティブ(オン)となる(S110)。
【0113】
プルアップ回路90_iがアクティブとなると、LED端子LEDに電流Icが供給される。LED端子LEDにLEDストリング6_iが接続されていない場合、LED端子LEDがプルアップ回路90_iによってプルアップされ、VLEDi>VOPEN_DETとなり(S112のY)、異常検出信号OPEN_DETはネゲート(ローレベル)される。異常検出信号OPEN_DETがネゲートされ続けると、第1ANDゲートAND1_iの出力はローレベルを、第3フリップフロップFF3_Qiはハイレベルを持続し、カウンタ72によるカウント動作が進み、やがてCOUNT_END信号がアサートされる。これにより、第2検出信号FF2_Qiがアサートされ、i番目のチャンネルが不使用であるものと判定される(S114)。この場合、制御IC100aは、i番目のチャンネルのみを不使用とし、その他のチャンネルのLEDストリング6_iについては、駆動を継続する。
【0114】
プルアップ回路90_iがアクティブとなっても、LED端子LEDが地絡している場合、LED端子LEDはプルアップされない。その結果、VLEDi<VOPEN_DETとなり(S112のN)、OPEN_DETがアサートされる。
このとき検出電圧VLEDiが接地電圧付近であるため、フィードバック電圧VFBが電源電圧付近まで上昇し、COMP_FB信号がアサートされている。またLEDi_OFF信号もアサートされている。したがって、第3ANDゲートAND3_iの出力がハイレベルとなる。またSS_END信号もアサートされているため、第4ANDゲートAND4の出力、つまりLED_GND_DET信号がアサート(ハイレベル)される(S130)。LED_GND_DET信号がアサートされた状態が持続すると、第3ORゲートOR3の出力であるリセット信号RSTはハイレベルを維持し、カウンタ72によるカウントが進み、やがてCOUNT_END信号がアサートされる。COUNT_END信号がアサートされると、ALL_LATCH信号がアサートされる(S132)。ひとつでも地絡故障しているチャンネルが存在すると、回路が損傷するおそれがあることから、ALL_LATCH信号がアサートされると、制御IC100aは、スイッチング電源4および電流駆動回路8を停止する。
【0115】
ステップS108に戻る。起動直後の所定期間τDETにおいて異常が検出されないと、通常の起動シーケンスを経て、LEDストリング6_1〜6_nが駆動される(通常動作状態)。通常動作状態においては、パルス調光信号PWMがアサートされる点灯期間TONにおける検出電圧VLEDiが、しきい値電圧VOPEN_DETと比較される。VLEDi>VOPEN_DETであるとき(S120のY)、LEDストリング6_iが正常と判定され、通常動作状態が持続する。
【0116】
点灯期間TONにおいて、VLEDi<VOPEN_DETとなると(S120のN)、第1ANDゲートAND1の出力がハイレベルを持続し、第3フリップフロップFF3_1がリセットされず、したがってカウンタ72もリセットされない。これにより、カウンタ72のカウントアップが進み(S122のN)、異常状態があるサイクル継続すると、COUNT_END信号がアサートされる(S122のY)。これにより第2フリップフロップFF2_iの出力FF2_Qiがアサートされ、LEDi_OFF信号がアサートされる。これにより、プルアップ回路90_iがアクティブとなる(S124)。その結果、VLEDi>VOPEN_DETが検出されると(S126のY)、第iチャンネルはオープン故障が発生したものと判定される(S128)。この場合、制御IC100aは、i番目のチャンネルのみ駆動を停止し、その他のチャンネルの駆動は継続する。
【0117】
LEDi<VOPEN_DETの場合(S126のN)、異常検出信号OPEN_DETがアサートされる。これによりLED_GND_DET信号がアサートされ(S130)、地絡故障と判定される(S132)。この場合、全チャンネルの駆動を停止する。
【0118】
以上が制御IC100aの動作である。
この制御IC100aによれば、スイッチング電源4の起動直後、駆動電流ILEDが停止する所定期間τDETを設け、その期間における検出電圧VLEDをしきい値電圧と比較することにより、起動当初からLED端子LEDにLEDストリング6_iが接続されていない状態、あるいはLED端子LEDが地絡した状態を検出することができる。
【0119】
さらに、プルアップ回路90_iを設けたことにより、起動直後、あるいは通常動作時において、LED端子LEDがオープンであるのか、地絡しているのかを判定することができる。
【0120】
さらに、チャンネルごとにオープン状態を検出できるため、あるLED端子LEDがオープンと判定された場合、そのチャンネルに関してのみ駆動を停止し、その他のチャンネルについては駆動を持続することができる。
【0121】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセス、それらの組み合わせには、さまざまな変形例が存在しうる。以下、こうした変形例について説明する。
【0122】
LEDストリング6の種類が予め決められている場合には、OVP電圧VOVPにもとづいて、クランプ回路40のアクティブ、非アクティブを切りかえてもよい。
あるいは、電流検出抵抗R21に生ずる電圧降下VR21にもとづいてアクティブ、非アクティブを切りかえてもよい。
【0123】
当業者であれば、図7の異常検出回路70と同等の機能を有する別の回路を、公知のデジタル回路、アナログ回路の組み合わせによって設計することができ、そうした回路も、本発明の範囲に含まれる。
【0124】
当業者には、MOSFETとバイポーラトランジスタを置換しうることが理解される。またNチャンネルとPチャンネル、NPN型とPNP型、を適切に入れかえ、電源端子と接地端子を天地反転した変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0125】
実施の形態ではインダクタを用いた非絶縁型のスイッチング電源を説明したが、本発明はトランスを用いた絶縁型のスイッチング電源にも適用可能である。
【0126】
実施の形態では、発光装置3のアプリケーションとして電子機器を説明したが、用途は特に限定されず、照明などにも利用できる。
【0127】
また、本実施の形態において、各信号のハイレベル、ローレベルの論理信号の設定は一例であって、インバータなどによって適宜反転させることにより自由に変更することが可能である。
【0128】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0129】
SW1…フィードバックスイッチ、OA1…演算増幅器、L1…インダクタ、C1…出力キャパシタ、D1…整流ダイオード、M1…スイッチングトランジスタ、2…電子機器、3…発光装置、4…スイッチング電源、5…LCDパネル、6…LEDストリング、8…電流駆動回路、9…PWMコントローラ、M11…第1トランジスタ、M12…第2トランジスタ、M13…第3トランジスタ、M14…第4トランジスタ、19…パルス生成部、20…パルス変調器、21…gmアンプ、M21…駆動トランジスタ、R21…電流検出抵抗、22…誤差増幅器、M22…調光用スイッチ、24…オシレータ、26…PWMコンパレータ、28…ドライバ、32…ソフトスタート回路、34…カウンタ、36…D/Aコンバータ、40…クランプ回路、60…点灯検出回路、70…異常検出回路、80…強制消灯回路、82…ワンショット回路、84…ANDゲート、COMP_OPEN…異常検出用コンパレータ、COMP_FB…フィードバック電圧用コンパレータ、90…プルアップ回路、94…ANDゲート、100…制御IC、102…出力回路、PWM…調光用パルス信号。
図1
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