(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指針の基端部は、前記底面、天井面、該指針の背面に位置する偏向面、該指針の側面において前記底面から垂直に切り立つ側壁面、及び該指針の背面において前記底面から垂直に切り立つ起立面、を外周面として有し、
前記遮光性部材は、前記指針の基端部の外周面のうち、前記底面の一部を覆うように、前記本体部から延設されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の指針装置。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるこの種のメータ装置にあっては、一般に、文字、数字、及び目盛り等が設けられた文字板を照明したり、文字板の文字や数字などを指し示す指針を裏面側から専用の光源などで照明するようになっている。このようなメータ装置としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のものなどが知られている。
【0003】
このうち、
図11に示すように、特許文献1に記載のメータ装置100は、回転軸101を前方に延出してなる駆動装置102と、この駆動装置102の前方に配置され回転軸101に対応する軸孔104を有する表示板105と、透明材料で形成された円筒状の指針軸107及び連結部108を介して回転軸101に連結され、表示板105上を回転運動する指針106と、この指針106の背後に配置され指針106を照明する光源111と、この光源111からの光が指針106上方など外部へ漏出するのを防止するキャップ109と、を備えた構成となっている。
【0004】
このメータ装置100によれば、指針106の光導入部分の小型化を図りながら、連結部108の挿入孔108Aの歪みを抑制することができる。即ち、連結部108を他の合成樹脂材で別成形し、そこに挿入孔108Aを設けることで、指針軸107及び連結部108を構成する径大かつ厚肉な軸部110にヒケによる歪みが生じ、この歪みが回転軸101との圧入結合に悪影響を及ぼすことを防止したものである。
【0005】
ところが、このメータ装置100の指針106では、指針軸107に入射後の光源111からの光が外部に漏れるのをキャップ109で防止しても、一部の光がキャップ109の下側の表示板105との隙間103から外部に漏れる、ハレーションを起こす場合がある。このハレーションが微弱な光の場合には視認者に目立ち難いが、強く光るハレーションの場合には視認者にとって目障りでもあるとともに、メータ装置の品質の低下を印象づけてしまう。
【0006】
また、
図12に示すように、特許文献2に記載のメータ装置200は、指針201の基部に被せるように取り付けたキャップ202のほかに、モータ203の出力軸204に、不透明部材で形成したリング205Aを有するスリーブ205を設けている。
【0007】
このメータ装置200では、基板206に実装した光源207からの光が、モータ203の出力軸204に外挿した指針201基部のスリーブ205から外部へ漏れ出して、ハレーションを起こす、といったことを防止するものである。しかしながら、このようなメータ装置では、表示板208とリング205Aとの間に依然として僅かではあるが隙間が形成されているので、ハレーションを起こす光の漏出をうまく防止できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の特許文献1、2に記載のメータ装置にあっては、指針の形状が一定のものに制限されてしまうので、その分、指針を製造する際の設計の自由度が狭められてしまう。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータの回転軸が指針への導光手段となっているタイプのものにおいて、ハレーションを起こす光の漏出を防止することができるのと同時に、キャップの小型化を可能とし、かつ、指針の形状に一定の制約を受けることのないようにした指針装置及びこれを取り付けたメータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る指針装置は、下記(1)〜(7)を特徴としている。
(1)
モータの回転軸が指針への導光手段となっている指針装置において、
導光性を有する指針と、
前記指針に取り付けられた遮光性を有するキャップと、
前記指針の基端部に垂設される指針軸と、
モータ側の導光性を有する回転軸と前記指針軸と
が圧入されることで前記指針軸と前記回転軸とを連結する筒形状の本体部を有し、前記回転軸内を伝搬し、前記指針軸に入射する光源からの照明光が前記指針軸の外周面から漏光するのを防止する遮光性部材と、
を備えたこと。
(2) 上記(1)の構成の指針装置であって、
前記遮光性部材は、前記キャップ内に位置する前記指針の基端部の底面を覆うように、前記本体部から延設されている、
こと。
(3) 上記(2)の構成の指針装置であって、
前記指針の基端部は、前記底面、天井面、該指針の背面に位置する偏向面、該指針の側面において前記底面から垂直に切り立つ側壁面、及び該指針の背面において前記底面から垂直に切り立つ起立面、を外周面として有し、
前記遮光性部材は、前記指針の基端部の外周面のうち、前記底面の一部を覆うように、前記本体部から延設されている、
こと。
(4) 上記(3)の構成の指針装置であって、
前記遮光性部材は、前記指針の基端部の外周面のうち、さらに、前記側壁面の一部または前記起立面を覆うように、前記本体部から延設されている、
こと。
(5) 上記(3)の構成の指針装置であって、
前記遮光性部材は、前記指針の基端部の外周面のうち、さらに、前記側背面全体を覆うように、前記本体部から延設されている、
こと。
(6) 上記(1)から(5)のいずれか一つの構成の指針装置であって、
前記指針の基端部には、該指針の長手方向に直交する幅方向に沿って、且つ前記指針軸の上方を通過するように、断面略逆三角形又は略扇型の空孔が形成されている、
こと。
(7)
モータの回転軸が指針への導光手段となっている指針装置において、
導光性を有する指針と、
前記指針に取り付けられた遮光性を有するキャップと、
一方側の開口端面が前記指針の基端部の底面に固着されるとともに
他方側の開口端部にモータ側の導光性を有する回転軸が圧入されることで前記指針の基端部と前記回転軸とを連結する筒形状の本体部を有し、前記回転軸内を伝搬してきた光源からの照明光が、前記指針の底面に入射するまでの間に外部へ漏光するのを防止する遮光性部材と、
を備えたこと。
【0012】
上記(1)に記載の指針装置によれば、モータの回転軸を伝搬し指針軸に入射する光源からの照明光が外周面から漏光するのを防止する遮光性部材を備えているので、ハレーションを起こす光の漏出を防止できる。また、この遮光性部材は、同時に指針軸の外周も全て覆うように設置されているので、態々、裾の長いキャップを設けてその下方からの照明光の漏出を防止させなくても済む。即ち、キャップの小型化を可能とする。さらに、従来の指針のように、基端部の幅を狭めるといったような形状に一定の制約を受けることなくハレーションの発生を防止することができる、指針装置を実現させることができる。
上記(2)に記載の指針装置によれば、指針軸を透過後の照明光は、キャップ内部の、指針の基端部の下面についても遮光性部材で覆われているので、指針の指針軸周辺の底面からの漏光も防止できるようになる。
上記(3)に記載の指針装置によれば、指針軸を透過後の照明光は、キャップ内部の、指針の基端部の下面についても遮光性部材で覆われているので、指針の指針軸周辺の底面からの漏光も防止できるようになる。
上記(4)に記載の指針装置によれば、遮光性部材によって指針軸及び指針の基端部側の外周面をより広範囲に覆うように構成されており、光源からの照明光が漏光することを一層防止することができる。この結果、これらの部分からの漏光によるハレーションの発生を回避できるので、キャップの付設も不要となる。
上記(5)に記載のメータ装置によれば、遮光性部材によって指針の背面も覆われているので、その背面からの照明光の漏出も阻止できる。従って、キャップを設けていないにも拘らず、さらに効果的な照明光の漏出防止、延いてはさらに効果的なハレーションの発生防止を図ることができる。
上記(6)に記載の指針装置によれば、指針の幅方向の全体に亘って空孔を設けているので、指針内部の指針軸直上へ進行してきた照明光は、この大部分が、空孔によって側方又は下方側へ反射される。このため、キャップを設けていないにも拘らず、指針の上方から外部へ透過して視認者の目に直接入射する、といったトラブルを回避させることができる。
上記(7)に記載の指針装置によれば、指針軸を遮光性部材に内挿させることが必要ないので、例えば、指針軸の外径を遮光性部材の内径に合わせて設計、製造することが不要となる。
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明に係るメータ装置は、下記(8)を特徴としている。
(8) 導光性を有する回転軸と、
前記回転軸を内部に収容するモータケースが配設される基板上に配置され、前記回転軸を介して指針を発光照明するための光を出射する光源と、
上記(1)から上記(7)のいずれか一つの構成の指針装置と、
を備え、
前記指針装置の前記遮光性部材が有する前記本体部に前記回転軸の先端部を挿入させることによって、前記指針装置と前記回転軸とが組付けられる、
こと。
【0014】
上記(8)に記載のメータ装置によれば、上記(1)〜(7)の何れかに記載の指針装置を有するので、上記した何れかの効果を有するメータ装置が実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の指針装置は、モータの回転軸が指針への導光手段となっているタイプのものにおいて、モータの回転軸を伝搬し指針軸に入射する光源からの照明光が外周面から漏光するのを防止する遮光性部材を備えているので、ハレーションを起こす光の漏出を防止できる。また、この遮光性部材は、同時に指針軸の外周も全て覆うように設置されているので、裾の長いキャップを設けてその下方からの照明光の漏出を防止させなくても済む。即ち、キャップの小型化を可能とする。さらに、従来の指針のように、基端部の幅を狭めるといったような形状に一定の制約を受けることなくハレーションの発生を防止することができる、指針装置を実現させることができる、といった利点がある。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1及び
図2は、本発明の指針装置2Aが適用されたメータ装置1を示すものである。
本実施形態のメータ装置1は、基板B上に実装された光源3と、この光源3が搭載された領域を含む基板Bの上の所定場所に取付けられた、後述の、モータ5、減速ギア列、及び回転軸8などの部品を内設するモータケース4と、このモータケース4の上部に設置された、数字、文字、記号など、車自体或いは車周辺の環境などに関する必要情報を表示する表示板Dと、を有する。
【0019】
本実施形態のメータ装置1は、図示外のコンビネーションメータの一部を構成しており、表面側を形成する表示板Dの上部に見返し板を設けている。また、この見返し板には、メータ装置1を含む各種計器類を設置するための各種表示窓を開口させており、側面及び背面側を構成するコンビネーションメータケースと一体化されている。更に、この見返し板は、黒色系などの透明な図示外のカバーガラスで上部が覆われている。
【0020】
なお、本実施形態のメータ装置1は、速度計を構成しており、図示しないセンサによって検出された現在速度に対応したセンサ信号に基づき、後述の指針9を所定角度だけ回動させ、表示板Dに形成された特定の数字を指し示すことによって、現在速度をアナログ表示する。
【0021】
本実施形態の光源3は、所定波長(λ)の可視光を出射する例えばLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)で構成されており、後述する回転軸8の基端(以下、「下端」とよぶ)の端面に正対するような状態でその直下の基板Bに実装されている。なお、本実施形態の光源3であるLEDは、光軸が基板Bの上面に対して垂直なZ方向に設定されており、このLEDからの主要な大部分の光(以下、「照明光」とよぶ)が直上の回転軸8の下端の端面8Dに向けて出射される。
【0022】
モータケース4は、基板Bに固設された下ケース4Aと、この下ケース4Aに嵌合された上ケース4Bとで構成されている。このモータケース4の内部には、モータ5と、中間ギア6と、出力ギア7が一体に形成された回転軸8と、を備えている。このモータケース4の外部に一部突出している回転軸8の先端(以下、「上端」とよぶ)は、後述の遮光性部材10Aの挿通孔に圧入され嵌合されている。
【0023】
下ケース4Aは、上方が開口された略箱型形状を呈している。また、下ケース4Aには、下面から突出する固定ピンP1と、左右両側方から下方(−Z方向)に向けて突出する図示外の円筒突起とを設けており、これらが基板B上に開口された各固定孔にそれぞれ嵌入される。
【0024】
また、下ケース4Aの内部には、下面に形成された凹部41に対応して、この凹部41とは反対に上ケース4B方向に向けて円筒状に突出する軸受け8Aが形成されている。さらに、この下ケース4Aの内面には、それぞれ、上ケース4B方向に向けて僅かに円筒状に突出した軸受け52B、軸受け6Bが形成されている。
【0025】
一方、上ケース4Bには、下ケース4Aの凹部41の中心部に設けた軸受け8Aに対応してその直上部分に外方(上方)に向けて円筒状に突出する、回転軸8の上部側での軸受け8Bを設けており、この中心部に穿設した軸孔45には回転軸8の上部側が回転可能な状態に貫通している。さらに、この上ケース4Bには、下ケース4Aの軸受け52B、軸受け6Bに対応してその直上部分の内方(下方)に、軸受け52D、軸受け6Cが形成されている。
【0026】
モータ5は、指針9を回動させるためのものであり、減速ギア列、即ち中間ギア6及び出力ギア7(特にこれらのギア列ではなく、単一のギアで減速させる構成でもよい)を介して減速させながら回転軸8を回動させることにより、これと一体の指針9を表示板Dの表面に沿って回動させ、必要な各種情報を指し示すようになっている。本実施形態のモータ5は、適宜の導電性材料で形成されたステータ51と、このステータ51の開口された中央部のロータ軸52Aに取り付けられたロータ52と、を備えており、ステップモータを構成している。
【0027】
ロータ52は、適宜の磁性材料で略円筒形状に形成されてステータ51の開口された中央部に回転自在に設置されており、上部には歯数の少ない小径のロータギア53が同芯状に固設されているとともに外周面にはマグネット52Cを複数固着させている。なお、ロータ52を取付けたロータ軸52Aは、下ケース4Aに設けた軸受け52B及び上ケース4Bに設けた軸受け52Dの間に回転自在に軸支されている。
【0028】
中間ギア6は、支軸6Aに固着されており、この支軸6Aが下ケース4Aに設けた軸受け6B及び上ケース4Bに設けた軸受け6Cの間に回転自在に軸支されている。この中間ギア6は、外周に設けた歯数の多い大歯61が、ロータ52の上部に固着した小歯のロータギア53に噛合しており、ロータ52からの回転速度が減速されて伝達される。また、この中間ギア6の上部には、歯数の少ない小径のピニオン62が支軸6Aと一体に同軸的に固着されている。
【0029】
出力ギア7は、中間ギア6のピニオン62からの回転力を回転軸8に伝達させるため、回転軸8の中間付近においてこれと一体に設けられている。このため、この出力ギア7は、後述する回転軸8と同一材料の導光性に優れた適宜の樹脂材料で成形されていてもよい。
【0030】
また、この出力ギア7は、外周に設けた歯数の多い大歯71が、中間ギア6の上部に設けたピニオン62に噛合しているので、中間ギア6の回転速度がさらに減速されて伝達され、回転する。このため、この出力ギア7と一体に形成された回転軸8は、大幅に減速された出力ギア7と同一角速度で一体に回動することができる。
【0031】
回転軸8は、導光性に優れた適宜の透光性樹脂材料で出力ギア7と一体に取り付けられた略円柱形状を有する。また、この回転軸8は、上述したように、上端部側が上ケース4Bの軸孔45からモータケース4の外部に突出している。この回転軸8は、上端側に遮光性部材10Aを介して指針9の指針軸92が一体に組付けられているとともに、上端側及び下端側が上ケース4B及び下ケース4Aにそれぞれ設けた軸受け8B及び軸受け8Aに回転自在に軸支されている。
【0032】
また、前述したように、この回転軸8は、下端部の端面8Dの部分が光源3の直上で正対するように設けられており、光源3からの照明光がこの端面8D部分に入射すると、この照明光の大部分が回転軸8の内部の外周面との界面部分で反射(例えば、正反射或いは全反射等)を繰り返しながら案内され、上端部へ向けて伝搬していく。
【0033】
指針9は、導光性を有する適宜の樹脂材料で形成されている。この指針9は、回転軸8の直上部分に対応する基端部の背面に偏向面91が形成されており、回転軸8から案内されてきた照明光が指針9の偏向面91で光路を90度変更されて先端側へ案内されるようになっている。また、この指針9には、後に詳細に説明する不透明なキャップCが偏向面91に上から覆い被さるような状態で装着されている。
【0034】
さらに、この指針9には、
図2及び
図3に示すように、裏面9A(
図1では下面がこれに対応する)の基端部側に指針軸92が垂設されている。指針軸92には、この指針軸92を内挿させる円筒状の遮光性部材10Aが取り付けられており、外周面が遮光性部材10Aによって覆われている。
【0035】
この遮光性部材10Aは、適宜の遮光性材料で形成されているとともに中央部に嵌合孔が形成されて上下両端部が開口されており、これが本体部10を構成している。そしてこの遮光性部材10Aには、上述のように上側の開口に指針軸92の下端部が圧入されることによって指針軸92の下端部と本体部10とが嵌合されているとともに、下側の開口に回転軸8の上端部が圧入されることによって回転軸8の上端部と本体部10とが嵌合されている。
【0036】
キャップCは、光源3からの光が視認者の目に直接入射するのを回避させるものである。指針9に入射する照明光がそのまま上方へ透過して上部のキャップCに入射しても、ここで吸収させることで、直接上方のキャップC外部へ進行していくのを防止する。なお、回転軸8から指針9へ入射する照明光の大部分は、遮光性部材10Aに吸収されることなく指針軸92の基端面(以下、「下面92A」とよぶ)に到達して効率的に入射するように構成されている。さらに、この指針軸92の下面92Aに入射した照明光は、光路が偏向面91で90度変更されるので、キャップCに殆ど入射することがなく指針9の先端方向に向けて効率的に進行できる。
【0037】
次に、本実施形態の動作について、初めにメータ装置1としての一般的な動作、即ち、指針9による表示動作から説明する。なお、ここでのメータ装置1の説明は、各計器類のうちスピードメータを例に挙げてその作用を説明するが、特にこれに限定されるものではない。また、ここでの動作については、他のアナログタイプのメータ装置の場合でも同様である。
【0038】
メータ装置1のモータケース4の内部に設けたステップモータを構成するモータ5が、図示しないセンサによって検出された現在速度に対応するセンサ信号に基づいて回転駆動し、指針9を所定角度だけ回動し、表示板Dに形成された特定の数字を指示する。即ち、本実施形態のメータ装置1は、図示しないセンサによって検出された速度に対応したセンサ信号が、
図1に示すステータ51側のコイルを流れることで各磁極となる磁芯に磁力が発生し、この磁力によりロータ52が回転する。
【0039】
これにより、
図2に示すように、ロータ52と一体のロータギア53から中間ギア6の大歯61に回転力が減速されて伝達し、中間ギア6及びこれを軸支する支軸6Aが所定の角速度で回転する。そして、回転する中間ギア6のピニオン62から出力ギア7及び回転軸8に回転力がさらに減速されて伝達され、出力ギア7及びこれと一体の回転軸8が所定の角速度で回転する。これによって、回転軸8の上端部に、遮光性部材10Aを介して取付けた指針9が、所定角度だけ回動され、指針9のポインタ部の先端部で表示板D上の特定数字を指し示す。これによって、現在速度を運転者などにアナログ表示させて知らせることができる。
【0040】
次に、光源3からの照明光の、回転軸8及び指針9の内部での伝搬動作などについて説明する。
上述のような速度表示を行うメータ装置1にあっては、光源3から出射した照明光が、
図1に示すように、光源3の直上に配置する回転軸8の下端部の端面8Dである入射面から入射する。そして、この入射面から回転軸8の内部に入射した照明光の大部分は、回転軸8の内部の外周面との界面部分において反射を繰り返しながら、回転軸8内部の上方へ向けて進行していく。なお、この回転軸8内部での照明光の伝搬作用は、勿論、回転軸8が回動動作中であっても、その光路が上方に向けて螺旋状に回転していく以外、静止状態の場合と何らの変わりなく行われる。
【0041】
回転軸8の内部を透過する照明光は、その多くが回転軸8の上面8Cにおいて所定の屈折角度で屈折し空気層Sへ出射していくが、この空気層Sへ入射した光源3からの照明光のうち大部分は、空気層Sをそのまま通過して指針軸92の下面92Aへ入射する。勿論、空気層Sへ入射する光源3からの照明光の一部は、進行する光路によっては遮光性部材10Aに入射してそこで吸収されてしまうものもある。
【0042】
そこで、光源3から回転軸8の下端部の端面8Dへの入射方向を回転軸8の軸線(Z)方向に対してできるだけ平行となるようにすることが好ましい。このため、例えば設置スペースに空間的な余裕があれば、コリメータやボールレンズなどを光源3と端面8Dとの間に配置させたり、回転軸8の端面8Dを凸状の球面加工を施すようにするのが好ましい。
【0043】
このように、本実施形態によれば、光源3からの照明光は回転軸8に入射し、この内部を透過した後に、大部分が空気層S中を進行して指針軸92へ入射する。また、照明光の一部には、回転軸8の上面8Cから空気層Sへ進行後に遮光性部材10Aへ入射するものもあるが、これも遮光性部材10Aで吸収されるので、空気層Sを進行中に外部へ漏れることがない。また、さらに、指針軸92にも、
図2に示すように、全長に亘り外周面をカバーするように遮光性部材10Aが外挿されているので、指針軸92へ入射後の照明光がこの指針軸92から外部へ漏出するのも防止されている。
【0044】
さらに、指針軸92の下面92Aへ入射した照明光は、指針9内部へ効果的に伝搬されて行くが、指針9の基端部はキャップCで覆われているので、指針9の基端部の下面から漏光してその近傍で強く光るハレーションを起こすことも回避されている。また、指針9の基端部の上部や側面もキャップCでカバーされているので、これらの部分からの漏光もない。
【0045】
また、特に本実施形態によれば、
図3に示すように、遮光性部材10Aで照明光を吸収させており、指針軸92から外部へ漏出するのが防止されているので、キャップCを従来のような大型のキャップC´で形成しなくてもよい。つまり、小さなキャップCを用いても、照明光がキャップCの裾の下から外部へ漏れ出す虞がない。このように、本実施形態によれば、キャップCを小型化しても光源3からの漏光が防止できるので、指針9の基端部側から照明光が漏れてハレーションを起こすことが防止できる。
【0046】
従って、本実施形態によれば、回転軸8を透過してきた光源3からの照明光が漏光してハレーションを起こす、といったことがなく効率よく指針発光できるわけである。
【0047】
なお、ここでは、指針9の基端部に垂設させた指針軸92と回転軸8との間に空気層Sである隙間が形成されている状態の場合について説明してきたが、回転軸8の上端部の遮光性部材10Aへの圧入量を最大とした場合には空気層Sが形成されないこともある。この場合であっても、同様に光源3からの照明光が指針9の基端部の下方から漏光するのを遮光性部材10Aで防止できるので、指針9の基端部側下部から照明光が漏れてハレーションを起こすことがない。このような構成および効果は、以下の各実施形態についても、同様である。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して重複説明を避ける。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る指針装置2Bが適用されたメータ装置の要部を示すものであり、このメータ装置に備えた指針装置2Bが第1の実施形態の指針装置2Aと異なる点は、指針9に指針軸を設けていないことと、指針軸がないので遮光性部材10Aの一方の開口端面が指針9の基端部側の底面93に直接固着されていることである。
【0049】
次に、本実施形態における照明光の進行動作を説明する。
メータ装置の光源からの照明光は、回転軸8に入射して内部を透過した後に、大部分が空気層S中を進行して指針9基端部の底面93へ入射する。また、第1の実施形態と同様、照明光の一部は、回転軸8の上面8Cから空気層Sへ進行後に遮光性部材10Aへ入射するものもあるが、その場合の照明光は遮光性部材10Aで吸収されるので、空気層Sから外部へ漏れることがない。
【0050】
また、さらに、遮光性部材10Aの挿通孔内部の空気層Sを進行した後、指針9の底面93へ入射する照明光は、指針9の基端部側では底面93を除く全面がキャップCで覆われているので、この指針9の基端部側から外部へ漏出するのも効果的に防止される。従って、この付近で漏光によるハレーションが発生するのを抑制できる。
【0051】
また、本実施形態によれば、指針軸を遮光性部材10Aに内挿させていないので、例えば、指針軸の外径を遮光性部材10Aの内径に合わせて設計、製造することが不要になる。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して重複説明を避ける。
【0053】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る指針装置2Cが適用されたメータ装置の要部を示すものであり、このメータ装置に備わる指針装置2Cが第1の実施形態の指針装置2Aと異なる点は、遮光性部材の形状である。
【0054】
指針装置2Cの遮光性部材10Bは、略円筒形状の本体部10の上部に、側方外部へ向けて突出する矩形フランジ状の底面部11を設けている。底面部11は、指針軸92が本体部10の嵌合孔に差し込まれた際、指針9の基端部の底面93に当接する、或いは僅かな距離を隔てて面する。
【0055】
次に、本実施形態における照明光の進行動作を説明する。
メータ装置の光源からの照明光は、回転軸8に入射して内部を透過した後に、大部分が空気層S中を進行して指針軸92へ入射する。また、第1の実施形態と同様、照明光の一部は、回転軸8の上面8Cから空気層Sへ進行後に遮光性部材10Bへ入射するものもあるが、この遮光性部材10Bで吸収される。従って、照明光が空気層Sから外部へ漏れることがない。
【0056】
また、さらに、本実施形態によれば、遮光性部材10B内の空気層Sを進行後、指針軸92の下面92Aへ入射する照明光も、指針軸92の外周面が遮光性部材10Bで覆われているので、指針軸92の外周面から外部へ漏光するのも防止されている。さらに、キャップC内部の、指針9の基端部の底面93についても遮光性部材10Bの底面部11で覆われているので、指針軸92を透過後の照明光は、底面93からの漏光もより一層防止されている。さらに、指針9の基端部については、底面93を除く全面がキャップCで覆われているので、この指針9の基端部側から外部へ照明光が漏出するのも防止される。従って、この付近で漏光によるハレーションが発生するのを完全に抑制できる。
【0057】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る第4の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において第1の実施形態乃至第3の実施形態と同一部分については同一符号を付して重複説明を避ける。
【0058】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る指針装置2Dが適用されたメータ装置の要部を示すものであり、このメータ装置に備えた指針装置2Dが第1の実施形態の指針装置2A乃至第3の実施形態の指針装置2Cと異なる点は、遮光性部材10Cが、指針軸92の外周面だけでなく、指針9の基端部の外周面のうち、天井面及び背面側の偏向面91を除く、外周面全体に亘って下面まで設けられていることである。また、この遮光性部材10Cを取り付けた指針装置2Dには、第1の実施形態の指針装置2A乃至第3の実施形態の指針装置2Cに備えていたキャップCが取り付けてない点でも、これらの実施形態と構成が異なる。
【0059】
遮光性部材10Cは、
図7に示すように、適宜の不透明材料を用いて、円筒形状の下部側に対してこの上部側に開口した箱形状のものを取り付けた形状を有している。即ち、本実施形態の遮光性部材10Cは、具体的には、指針軸92の外周面を覆うように指針軸92を内挿する円筒状の本体部10と、指針9の基端部側の底面93、つまり指針軸92の周囲である底面部分を覆う底面部11と、指針9の背面側において底面から垂直に切り立った起立面を覆う背面部12と、指針9の側壁面の下半分程度を覆う側面部13と、で構成されている。
【0060】
このように、本実施形態の遮光性部材10Cは、固有の形状を有する遮光性部材10Cによって、指針軸92及び指針9の基端部側の外周面の下半分程度を覆うように構成されている。その結果、指針軸92の外周面及び指針9の基端部側の下半分の外周面からは、光源からの照明光が漏出することがない。これにより、これらの部分からの漏光によるハレーションの発生を回避できるので、キャップも不要となっている。
【0061】
(第5の実施形態)
次に、本発明に係る第5の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において第1乃至第4の実施形態と同一部分については同一符号を付して重複説明を避ける。
図8は、本発明の第5の実施形態に係る指針装置2Eが適用されたメータ装置の要部を示すものであり、このメータ装置に備えた指針装置2Eが第1の実施形態の指針装置2A乃至第4の実施形態の指針装置2Dと異なる点は、遮光性部材10Dの形状が第1の実施形態乃至第3の実施形態の遮光性部材10A乃至10Cと異なることと、指針9´に空孔94を有することである。また、この指針装置2Eでは、キャップが取り付けてない点で第4の実施形態とは構成が同じである。
【0062】
さらに、本実施形態の指針9´では、基端部側の背面が、第1乃至第4の実施形態の指針9の偏向面91とは異なり、下方に向けて、換言すれば、視認者側にとは反対方向に向けて傾斜した偏向面95を有する。
【0063】
即ち、この遮光性部材10Dは、適宜の不透明材料を用いて、円筒形状の下部に対して、左右両側に壁面を有する箱状のものをその上部に取付けた形状に形成されている。換言すれば、遮光性部材10Dは、指針9´の基端部の外周面のうち、天井面及び背面の偏向面95を除く、外周面の下半部全体に亘って下面まで設けられているものである。
【0064】
本実施形態の遮光性部材10Dは、回転軸8の上部とともに指針軸92全体を内挿させる円筒状の本体部10と、指針9´の基端部側の、指針軸92周囲の底面93を覆う略矩形状の底面部11と、この底面部11の両側面から拡開する状態で斜め上方に立上がり、指針9´の左右両側壁面の下半分程度を覆う側面部13´と、で構成されている。つまり、この遮光性部材10Dは、第4の実施形態の遮光性部材10Cから背面部12を取り去った形状とほぼ同様の形状を有している。
【0065】
さらに、この指針装置2Eの指針9´では、第1の実施形態の指針装置2A乃至第4の実施形態の指針装置2Dと異なり、指針軸92の取付け部位の直上の指針9´の内部に、前述の空孔94が形成されている。
【0066】
この空孔94は、
図9(A)に示すように、指針9´内部の、指針軸92取付け部位の直上において、指針9´の長手方向に直交する幅方向全体に亘って形成されている。本実施形態の空孔94は、断面略扇型(又は断面略逆三角形)に形成されており、下方に向けてドーム状に湾曲した凹状の天井面94Aと、この左右両側に形成された斜面94B及び94Cで構成されている。
【0067】
次に、本実施形態における作用及び効果について、照明光の進行動作に沿って説明する。
メータ装置の光源からの照明光は、回転軸8に入射して内部を透過した後に、大部分が空気層S中を進行して指針軸92へ入射する。また、第1の実施形態と同様、照明光の一部は、回転軸8の上面8Cから空気層Sへ進行中に遮光性部材10Dへ入射するものもあるが、遮光性部材10Dで吸収されるので、照明光が空気層Sを進行中に外部へ漏れることがない。
【0068】
また、さらに、遮光性部材10D内の空気層Sを進行後、指針軸92の下面92Aへ入射した後の照明光も、指針軸92の外周面が遮光性部材10Dで覆われているので、指針軸92の外周面から外部へ漏光するのも防止されている。さらに、指針軸92を透過後の照明光は、
図9にて照明光の光路を示すように、指針9´の基端部側の底面93でも遮光性部材10Dの底面部11で覆われているので、この部分の底面93からの漏光も防止されている。さらに、指針9´の基端部側については、背面を除く側面の下半部の全面に亘って遮光性部材10Dで覆われているので、この指針9´の基端部側下半分から外部へ照明光が漏出するのも防止される。従って、この付近で漏光によるハレーションが発生するのを、キャップを備えていなくても抑制できる。
【0069】
一方、指針9´内部の指針軸92直上へ進行してきた照明光は、
図9に示すように、この大部分が、指針9´の幅方向の全体に亘って設けられた空孔94によって側方又は下方側へ反射される。このため、キャップを設けていないにも拘らず、指針9´の上方へ透過して視認者の目に直接入射するといったことを効果的に回避させることもできる。また、勿論、指針9´の基端部側の下方から漏光してハレーションを起こすといったことも、遮光性部材10Dで回避することができる。
【0070】
(第6の実施形態)
次に、本発明に係る第6の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において第1乃至第5の実施形態と同一部分については同一符号を付して重複説明を避ける。
図10は、本発明の第6の実施形態に係る指針装置2Fが適用されたメータ装置の要部を示すものであり、このメータ装置に備えた指針装置2Fが第5の実施形態の指針装置2Eと異なる点は、遮光性部材10Eの形状が第5の実施形態の遮光性部材10Dと一部異なることである。また、この指針装置2Fでも、第5の実施形態の指針装置2Eと同様に、キャップが取り付けられてない。
【0071】
遮光性部材10Eには、遮光性部材10Dと異なり、指針9´の基端部側の背面である偏向面95の全体を覆うように背面部12´が形成されている。このような背面部12´を設けることで、指針9´の基端部側の偏向面95に入射する照明光をすべて吸収できる。従って、キャップを設けていなくても、偏向面95の外界との界面で反射してその後上面から視認者に向けて進行しようとする照明光の発生を回避できるので、視認者の目に対して眩しさをもたらすことが防止できる。
【0072】
従って、本実施形態によれば、第5の実施形態における照明光の遮光の効果の他に、指針9´の基端部側の背面である偏向面95から外部への照明光の出射を阻止できるので、この偏向面95側での漏光によるハレーションの発生を完全に阻止させることもできる。
【0073】
以上、本発明に係る各実施形態のメータ装置では、遮光性部材の内部の、指針9の基端部に垂設させた指針軸92又は指針9の基端部の底面93と回転軸8の上面との間に、空気層Sである隙間が形成されている状態の場合について説明してきた。しかしながら、第1の実施形態で説明したように、回転軸8の上端部の遮光性部材10Aへの圧入量を最大とすることで、空気層Sが形成されないように構成したものでも構わない。この場合であっても、同様に光源からの照明光が指針軸や指針の基端部の下方などから漏光するのを遮光性部材で防止できるので、指針の基端部側から照明光が漏れてハレーションを起こすことがない。
【0074】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。即ち、本発明の指針装置が適用された回転軸を備えたメータ装置としては、例えば、燃料計部、タコメータ部、スピードメータ部、及び水温計等の各種計器類に適用可能である。