特許第5735875号(P5735875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735875
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】融雪機能付き舗装ブロック
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/26 20060101AFI20150528BHJP
   E01C 5/08 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   E01C11/26 A
   E01C5/08
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-159603(P2011-159603)
(22)【出願日】2011年7月21日
(65)【公開番号】特開2013-23906(P2013-23906A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591133815
【氏名又は名称】清田軌道工業株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(73)【特許権者】
【識別番号】507050137
【氏名又は名称】平和コンクリート工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509286868
【氏名又は名称】ソフテレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】清田 穣
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−244935(JP,A)
【文献】 特開2002−285507(JP,A)
【文献】 特開平08−153575(JP,A)
【文献】 特開2001−193008(JP,A)
【文献】 特開2004−238876(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0140597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/26
E01C 5/08
E01B 19/00
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック本体(10)の内部に融雪用の電熱ヒーター(20)が埋設され、その電熱ヒーター(20)に電気を供給するケーブル(23)が、前記ブロック本体(10)の内部から外部へと引き出された融雪機能付き舗装ブロックにおいて、
前記ブロック本体(10)は、そのブロック本体(10)の上方と側方とに開口する凹部(11)とその凹部(11)の内面に開口する孔(12)とを備え、前記凹部(11)内に嵌る蓋部材(15)を設けてその蓋部材(15)の上面(15a)を前記ブロック本体(10)の上面(10a)と面一にし、前記ケーブル(23)は前記孔(12)を通じて前記電熱ヒーター(20)から前記凹部(11)内へ引き出され、前記凹部(11)の内面とその凹部(11)の内面に対向する前記蓋部材(15)の下面との間を通って前記ブロック本体(10)の側面(10c)から外部へ引き出されていることを特徴とする融雪機能付き舗装ブロック。
【請求項2】
前記ブロック本体(10)は複数並列して設けられ、一のブロック本体(10)の前記凹部(11)は、隣り合う他のブロック本体(10)側において側方に開口し、且つその隣り合う他のブロック本体(10)側とは別の側においても側方に開口しており、前記隣り合う他のブロック本体(10)の前記電熱ヒーター(20)及び前記ケーブル(23)には、前記一のブロック本体(10)の前記凹部(11)内を通り前記別の側へ至るケーブル(23)を介して電気が供給されていることを特徴とする請求項1に記載の融雪機能付き舗装ブロック。
【請求項3】
前記凹部(11)の底面(11a)又はその凹部(11)の底面(11a)に対向する前記蓋部材(15)の下面(15b)に溝(13)が設けられ、その溝(13)内に、前記孔(12)から引き出され前記ブロック本体(10)の側面(10c)に至る前記ケーブル(23)が収容され、前記蓋部材(15)と前記凹部(11)とは、前記溝(13)を挟んで両側に設けられた支持部(14)で互いに支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の融雪機能付き舗装ブロック。
【請求項4】
前記ブロック本体(10)はコンクリート製であり、前記支持部(14)における前記凹部(11)の底面(11a)と前記蓋部材(15)の下面(15b)との間に緩衝部材(18)を介在させたことを特徴とする請求項3に記載の融雪機能付き舗装ブロック。
【請求項5】
前記蓋部材(15)は、前記ブロック本体(10)に対して係止手段(19)によって固定されており、前記係止手段(19)は、前記支持部(14)に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の融雪機能付き舗装ブロック。
【請求項6】
隣り合う前記ブロック本体(10)同士は、前記蓋部材(15)で連結されていることを特徴とする請求項5に記載の融雪機能付き舗装ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路や通路の路面を形成するために設置される融雪機能付き舗装ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や広場、公園、鉄道の踏切、その他、人や自転車、車等が通行する各種通路(以下、「道路等」という)において、その道路等の路面は、通常、アスファルト舗装やコンクリート舗装によって形成される。しかし、その場所の地形や環境、用途等によっては、路盤上に敷き並べた舗装ブロックによって、路面を形成する場合もある。
この舗装ブロックの素材としては、例えば、アスファルト材やコンクリート等のほか、樹脂やゴム等が用いられる場合もある。
【0003】
ところで、特に、寒冷地では、冬季の積雪や凍結により、路面が滑りやすくなり、タイヤのスリップや、自転車等の転倒、歩行者の転倒等が危惧される。このため、道路等の路面下に、熱により雪や氷を溶かす融雪装置として、内部に熱流体が供給されるヒートパイプや、通電により発熱する電熱ヒーターが埋設される場合がある。
【0004】
この融雪装置は、一般的なアスファルト舗装やコンクリート舗装の場合は、その舗装時に地中に埋設され、舗装ブロックによって路面を形成する場合には、その舗装ブロックの内部に予め融雪装置を埋め込んだものが地盤上に敷設される。
例えば、特許文献1〜3には、融雪装置として電熱ヒーターを埋め込んだ融雪機能付き舗装ブロックの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−71707号公報
【特許文献2】特開2004−11230号公報
【特許文献3】特開2005−315063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の電熱ヒーターを埋設した舗装ブロックによると、その電熱ヒーターに電源を供給するためのケーブルを、電源へ導かなければならない。この電源は、その道路等から離れた場所にあるのが通常であるので、ケーブルは舗装ブロックの側面や底面から外部へ引き出されて、その道路等の舗装領域外に設けた電源、又はその電源に通じるケーブルに電気的に接続される。
【0007】
しかし、この種の舗装ブロックは、舗装領域の一定のエリア内に複数並列して敷設される場合が多い。例えば、平面視矩形の舗装ブロックを、道路等の幅員方向に沿って一方向に並べて敷設したり、あるいは、その幅方向及び道路の伸びる方向(以下、「道路方向」という)に沿って縦横に並べて敷設したりする。
このように複数の舗装ブロックを並列させると、その並列する各舗装ブロックからそれぞれ引き出されたケーブルを、どのように舗装領域外に設けた電源又はその電源に通じるケーブルに接続するかが問題となる。
【0008】
例えば、図7(a)に示すように、並列する各舗装ブロック1から引き出されたケーブル3を、それぞれ別々に電源へ導くことにより、各舗装ブロック1の電熱ヒーター2を電源に対して並列に接続する手法が考えられる。
しかし、この手法では、ケーブル3を舗装領域外に引き出すに際し、その舗装ブロック1の外側において多数のケーブル3を地中に配設せざるを得ない。これらのケーブル3は、図中に示すように、隣り合う舗装ブロック1間の隙間(目地部)5に配設されたり、あるいは、その舗装ブロック1の外側を埋めるアスファルト等の舗装材A中に埋設されて舗装領域外に導かれる。このため、ケーブル3の敷設が面倒であるとともに、そのケーブル3のメンテナンス時に、舗装ブロック1や周辺舗装材Aの撤去及びその復旧を伴うので好ましくない。
【0009】
また、例えば、図7(b)に示すように、並列する各舗装ブロック1から引き出されたケーブル3同士をコネクターを介して接続し、各舗装ブロック1の電熱ヒーター2を電源Dに対して直列に接続しながら、ケーブル3を舗装領域外へ導く手法もある。
しかし、この手法においても、コネクターを介してケーブル3同士を接続するのは、舗装ブロック1の外側となる。このため、例えば、特許文献1に示すように、舗装ブロック1の端面に切欠部を設けて、その切欠部によって形成される舗装ブロック1間の空間にコネクターを収容している。この構成では、ケーブル3の敷設が面倒であるとともに、そのケーブル3のメンテナンス時に、舗装ブロック1や周辺舗装材Aを撤去及びその復旧をしなければならない点は同様である。
【0010】
そこで、この発明は、舗装ブロックに埋設された電熱ヒーターに電源を供給するためのケーブルの敷設及びメンテナンスを容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、ブロック本体の内部に融雪用の電熱ヒーターが埋設され、その電熱ヒーターに電気を供給するケーブルが、前記ブロック本体の内部から外部へと引き出された融雪機能付き舗装ブロックにおいて、前記ブロック本体は、そのブロック本体の上方と側方とに開口する凹部とその凹部の内面に開口する孔とを備え、前記凹部内に嵌る蓋部材を設けてその蓋部材の上面を前記ブロック本体の上面と面一にし、前記ケーブルは前記孔を通じて前記電熱ヒーターから前記凹部内へ引き出され、前記凹部の内面とその凹部の内面に対向する前記蓋部材の下面との間を通って前記ブロック本体の側面から外部へ引き出されていることを特徴とする融雪機能付き舗装ブロックとした。
【0012】
電熱ヒーターに給電するためのケーブルが、凹部を通ってブロック本体の側面から外部へ引き出されるので、ケーブルを取り扱う際にブロック本体を撤去させたり移動させたりする必要がない。すなわち、ケーブルの敷設が簡単であるとともに、そのケーブルのメンテナンス時に、舗装ブロックや周辺舗装材を撤去及びその復旧をする必要がない。
【0013】
また、その凹部を設けた箇所は、蓋部材によって、その凹部以外の部分と面一になるので、路面の形成に支障しない。
なお、このとき、蓋部材の上面とブロック本体の上面とが面一であるとは、蓋部材の上面とブロック本体の上面のそれ自体が面一な路面となっている場合のほか、その蓋部材とブロック本体の上をそれぞれ覆う薄いアスファルト等の舗装材や、ゴム等のシート類を介して面一な路面となっている場合も考えられる。
【0014】
この構成において、前記ブロック本体は複数並列して設けられ、一のブロック本体の前記凹部は、隣り合う他のブロック本体側において側方に開口し、且つその隣り合う他のブロック本体側とは別の側においても側方に開口しており、前記隣り合う他のブロック本体の前記電熱ヒーター及び前記ケーブルには、前記一のブロック本体の前記凹部内を通り前記別の側の開口へ至るケーブルを介して電気が供給されている構成を採用することができる。
【0015】
この構成によれば、ブロック本体が複数並列する場合において、各ブロック本体のケーブルを、そのブロック本体自身や隣接する他のブロック本体の凹部を用いて、舗装領域外に設けた電源又はその電源に通じるケーブルに容易に接続することができる。
すなわち、一のブロック本体の凹部を用いてその凹部内にケーブルを配線することにより、そのケーブルによって、隣り合う他のブロック本体の電熱ヒーター及びケーブルに給電することができる。
【0016】
このとき、例えば、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルを、一のブロック本体の電熱ヒーターに通じるケーブルとは別のケーブルによって、その一のブロック本体の凹部を通って舗装領域外に設けた電源へ導いてもよい。その別のケーブルとは、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルに、コネクター等を介して接続されたケーブルであってもよいし、あるいは、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルの長さを充分に長くしておき、それを一のブロック本体の凹部に配設して前記別のケーブルとしてもよい。
また、一のブロック本体の電熱ヒーターに通じるケーブル自身に、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルを接続してもよい。すなわち、一のブロック本体の電熱ヒーターと、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターとをケーブルを介して直列に接続してもよい。
【0017】
また、これらの各構成において、ケーブルは、ブロック本体の凹部の内面と、その内面に対向する蓋部材の外面(下面又は側面)との間に配設することができる。このとき、ケーブルは、そのブロック本体と蓋部材との間の空間に配設され、その空間は、蓋部材がブロック本体に対してがたつきを生じないように形成されていることが必要である。このため、そのケーブルを、ブロック本体の凹部の内面か、又は、その内面に対向する蓋部材の外面(下面又は側面)に設けた溝内に収容すると、がたつきの防止に効果的である。
【0018】
例えば、前記凹部の底面又はその凹部の底面に対向する前記蓋部材の下面に溝が設けられ、その溝内に、前記孔から引き出され前記ブロック本体の側面に至る前記ケーブルが収容され、前記蓋部材と前記凹部とは、前記溝を挟んで両側に設けられた支持部で互いに支持されている構成を採用することができる。
【0019】
この構成によれば、電熱ヒーターに給電するためのケーブルは、その凹部内の溝を通って外部へ引き出され、蓋部材とブロック本体とは、その溝を挟んで両側の支持部で互いに支持される。このため、蓋部材とブロック本体とのがたつきを、より確実に防止することができる。
【0020】
また、前記支持部を備えた構成において、特に、前記ブロック本体がコンクリート製である場合には、前記支持部における前記凹部の底面と前記蓋部材の下面との間に、緩衝部材を介在させた構成を採用することができる。この緩衝部材としては、例えば、ゴムや樹脂等の弾性体を採用することができる。また、その弾性体は、シート状であることが望ましい。
【0021】
また、緩衝部材として、例えば、金属板の表裏にゴムや樹脂等の弾性体を設けたものを採用することもできる。弾性体は、シート状であることが望ましい。この構成によれば、蓋部材とブロック本体とのがたつきを、さらに効果的に防止することができる。すなわち、弾性体はその厚さが厚いほどその弾性力が高まって、蓋部材に作用する衝撃等に対して高い緩衝効果を発揮するが、その厚さが厚くなりすぎると、逆に、蓋部材がブロック本体上で跳ねたり揺れたりして安定しなくなる。そこで、弾性体と弾性体の間に金属板を介在させることにより、過度な跳ねや揺れを抑制するようにしたものである。
この点について説明すると、前記ブロック本体がコンクリート製である場合、そのコンクリートの表面には微小な凹凸が形成されやすい。このため、向かい合うコンクリート面の間に弾性体のみを介在させるよりも、弾性体とフラットな金属板とを組み合わせて介在させる方が、よりがたつきの防止に効果的である。なお、前記金属板の厚さは、前記各弾性体の厚さよりも厚いことが望ましい。
【0022】
また、これらの各構成において、前記蓋部材は、前記ブロック本体に対して係止手段によって固定されており、前記係止手段は、前記支持部に設けられている構成を採用することができる。
【0023】
この係止手段としては、例えば、蓋部材を上下に貫通する貫通孔と、凹部の底面に形成された雌ネジ孔と、その蓋部材の上方から貫通孔を通って前記雌ネジ孔にねじ込まれるボルトとからなる構成を採用することができる。あるいは、蓋部材の下面と凹部の底面のうち、一方に設けたピンと他方に設けられそのピンが嵌る孔とすることもできる。その他、係止手段としては、周知の係止機構を採用することができる。
また、係止手段を用いずに、蓋部材が凹部内にぴったりと嵌って、その自重により、あるいは、それに加えて蓋部材の外面と凹部の内面との摩擦により、両者が動かないように固定される構成とすることもできる。
【0024】
また、複数の前記ブロック本体を並列して設ける場合において、隣り合う前記ブロック本体同士は、前記蓋部材で連結されている構成を採用することができる。
この構成によれば、凹部を閉じる蓋部材を活用して、ブロック本体同士を固定できるので、部品点数を減少させ、その敷設作業の容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、電熱ヒーターに給電するためのケーブルが、凹部を通ってブロック本体の側面から外部へ引き出されるので、ケーブルを取り扱う際にブロック本体を撤去させたり移動させたりする必要がない。このため、ケーブルの敷設が簡単であるとともに、そのケーブルのメンテナンス時に、舗装ブロックや周辺舗装材を撤去及びその復旧をする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の一実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b断面図、(c)は(b)の要部拡大図
図2】同実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
図3】一敷設例を示し、(a)は平面図、(b)は電源へ通じるケーブルの配線の例を示す略図
図4】同実施形態の分解斜視図
図5】同実施形態のブロック本体を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(b)のc−c断面図
図6】同実施形態の蓋部材を示し、(a)は分解斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は(c)のd−d断面図
図7】(a)(b)は、従来例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態は、道路や通路の路面を形成するために設置される融雪機能付き舗装ブロックBであり、特に、踏切の前後において敷設するものである。
【0028】
融雪機能付き舗装ブロックBは、図1及び図2に示すように、鉄筋コンクリート製のブロック本体10の内部に融雪用の電熱ヒーター20が埋設されている。電熱ヒーター20は通電により発熱し、ブロック本体10上の雪や氷を溶かす機能を有する。
また、ブロック本体10は、そのブロック本体10の上方と側方とに開口する凹部11を備え、さらに、その凹部11を塞ぐ蓋部材15を備えている。
【0029】
この実施形態では、蓋部材15は、図6に示すように、鋼製のフレーム15fに縞鋼板15eを溶接により固定して、平面視長方形を成す板状に構成したものを採用しているが、この蓋部材15を鋼製以外のもの、例えば、樹脂や鉄筋コンクリート製等とすることも可能である。
【0030】
凹部11は、並列する各ブロック本体10に設けられ、それぞれ、そのブロック本体10の上方(上面10a側)と側方(側面10c側)とに開口するように設けられている。
この実施形態では、図3に示すように、道路が線路Tと交差する踏切の前後において、平面視矩形のブロック本体10が道路の幅員方向に複数並列して敷設され、各ブロック本体10の凹部11は、それぞれ幅員方向へ直線状に設けられている。また、凹部11は、そのブロック本体10の幅員方向両側において側面10cに開口している。このため、ブロック本体10が複数並列して敷設された状態で、その凹部11も幅員方向に沿って一直線上に繋がった状態である。
【0031】
すなわち、並列する複数のブロック本体10のそれぞれにおいて、一のブロック本体10の凹部11は、隣り合う他のブロック本体10側において側方に開口し、且つその隣り合う他のブロック本体10側とは別の側(幅員方向反対側)においても、側方に開口している。
【0032】
これらの凹部11に板状を成す蓋部材15が嵌められ、その蓋部材15の上面15aをブロック本体10の上面10aと面一にして道路の路面を形成している。
【0033】
なお、図3中の符号Wは、道路の舗装領域を示しており、この部分を人や自動車等の交通が通過する。また、符号Aは、アスファルト等の舗装材、もしくは、その舗装材で舗装された領域を示し、地盤G上にブロック本体10が敷設される部分以外の舗装領域Wに相当する。
なお、道路の幅員や地形、環境、用途等、あるいは、個々のブロック本体10の形状、大きさによっては、このブロック本体10を、道路幅員方向に加え、又は代えて、道路方向に並列して配置する場合も考えられる。また、踏切内において、線路Tの軌間内あるいは軌間外に線路方向へ並列して敷設される踏切用舗装板として採用することもできる。
【0034】
ブロック本体10には、電熱ヒーター20を収容する内部の空間が鉄筋6を避けるように形成され、その空間と凹部11とを結ぶ孔12が形成されている。孔12は、凹部11内に設けられた溝13の底13aに開口している。
電熱ヒーター20に電気を供給するケーブル23は、その一端が、内部の空間に収容された電熱ヒーター20に接続されて、図4及び図5に示すように、孔12を通じてブロック本体10の内部からブロック本体10の外部へと引き出されるとともに、その他端には、別のケーブル23に接続するためのコネクター24が設けられている。
【0035】
ブロック本体10の外部へ引き出されたケーブル23は、凹部11に沿って舗装領域W外に設けた電源D、又は、その電源Dに通じる給電ケーブルCに導かれる。なお、ここで、電源Dや給電ケーブルCに導くためのケーブル23とは、そのブロック本体10から引き出されたケーブル23(そのブロック本体10内の電熱ヒーター20に直接接続されたケーブル23)自身に加え、そのケーブル23にコネクター24等を介して電気的に接続された別のケーブル23も含まれる。この別のケーブル23とは、両端にコネクター24を備えた単なる延長用のケーブル23である場合もあるし、並列して敷設された他のブロック本体10の電熱ヒーター20から引き出されたケーブル23である場合も想定される。
すなわち、ブロック本体10の電熱ヒーター20及びケーブル23には、並列して敷設された他のブロック本体10の凹部11内に配設されたケーブル23を通じて、電源Dからの電気が供給されている。
【0036】
その配線の例を、図3(a)及び図3(b)に示す。図3(a)に示す配線例は、隣接するブロック本体10の電熱ヒーター20から引き出されたケーブル23同士を、コネクター24を介して順次接続し、その接続されたケーブル23の両端を、給電ケーブルCの給電コネクター22に接続したものである。各ブロック本体10の電熱ヒーター20は、電源Dに対して直列に接続されている。
【0037】
また、図3(b)に示す配線例は、隣接するブロック本体10の電熱ヒーター20から引き出されたケーブル23を、それぞれ別々に、コネクター24を介して給電ケーブルCの給電コネクター22に接続したものである。各ブロック本体10の電熱ヒーター20は、電源Dに対して並列に接続されている。
このとき、各ブロック本体10の電熱ヒーター20から引き出されたケーブル23は、給電ケーブルCの給電コネクター22に届くように、充分な長さとしておく。
【0038】
このように、そのブロック本体10自身や並列して敷設された他のブロック本体10の凹部11を利用することにより、各ブロック本体10のケーブル23を、舗装領域外に設けた電源D又はその電源Dに通じる給電ケーブルCに容易に接続することができる。
【0039】
このとき、ケーブル23は、各ブロック本体10の凹部11において、その凹部11内に設けられた溝13に沿って配設される。また、蓋部材15とブロック本体10とは、その溝13を挟んで両側に設けられた支持部14で互いに支持される。支持部14はフラット面であり、同じくフラット面で構成された蓋部材15の下面15bとの間で、支持部14と蓋部材15とは広い面積で対向するので、蓋部材15とブロック本体10とのがたつきを防止することができる。
なお、凹部11内の溝13に代えて、溝13を蓋部材15の下面15bに形成することもできる。このとき、支持部14は、その蓋部材15の溝13を挟んで両側に設けられる。
【0040】
また、その支持部14において、凹部11の底面11aと蓋部材15の下面15bとの間には、図4に示すように、緩衝部材18を介在させている。この緩衝部材18の素材としては、例えば、ゴムや樹脂等を採用することができる。
【0041】
この緩衝部材18を備えた構成によれば、蓋部材15とブロック本体10とのがたつきを防止することができる。すなわち、緩衝部材18の弾性によって、蓋部材15のブロック本体10に対する跳ねや揺れを抑制することができる。
【0042】
また、その蓋部材15は、ブロック本体10に対して係止手段19によって固定されている。
【0043】
この実施形態では、係止手段19として、蓋部材15を上下に貫通する貫通孔19bと、凹部11の底面に形成された雌ネジ孔19cと、その蓋部材15の上方から貫通孔19bを通って雌ネジ孔19cにねじ込まれるボルト19aとから構成を採用している。雌ネジ孔19cは、ブロック本体10に形成された上下方向の孔に、雌ネジ溝を備えた埋込栓が挿入されて構成されている。蓋部材15は、ブロック本体10の上方からの作業により、そのブロック本体10への着脱が可能である。
【0044】
また、この実施形態では、蓋部材15は、格子状に組まれた鋼製のフレーム15fの上方に、縞鋼板15eを溶接により固定して、平面視長方形を成す板状に構成したものである。貫通孔19bは、その格子状のフレーム15fに溶接で固定された鋼製のブロック15dに形成されている。
【0045】
さらに、図中の符号16は、蓋部材15を取り下ろし、あるいは、引き上げする際に、吊り下げ手段であるロープ等を接続するための係止部である。係止部は、雌ネジ部等で構成することができ、吊り下げ手段であるロープ等の先端に設けた雄ネジ部を、その雌ネジ部へねじ込むことにより、蓋部材15を吊り下げできるようになっている。この実施形態では、縞鋼板15eに設けられた貫通孔の直下にナットが溶接固定されることで、雌ネジ部を備えた係止部16が構成されているが、その他、吊り下げ手段であるロープ等の先端に設けたフック部を係止可能な孔を備えた係止部16等としてもよい。
【0046】
さらに、フレーム15fの下方には、溶接によりベースプレート15gが固定されている。ベースプレート15gは、蓋部材15の長手方向(ブロック本体10の凹部11の伸びる方向)に沿って、2枚並列して設けられている。蓋部材15は、このベースプレート15gを設けた部分が、ブロック本体10の凹部11の底面11a上に設けられた支持部14に対して、緩衝部材18を挟んで載置される。
【0047】
また、この実施形態では、図1図3等に示すように、複数のブロック本体10を並列して敷設するに際し、隣り合うブロック本体10同士を共通の蓋部材15で連結している。すなわち、二つのブロック本体10に跨って蓋部材15が配置され、その蓋部材15の一方の側の端部は一のブロック本体10に、他方の側の端部は他のブロック本体10に係止手段19を介して固定されている。このため、ブロック本体10同士の相対移動が規制される。このように、凹部11を閉じる蓋部材15を活用して、ブロック本体10同士を固定できるので、部品点数を減少させ、その敷設作業の容易化を図ることができる。
【0048】
なお、この蓋部材15を用いて隣り合うブロック本体10同士を順次連結することにより、三つ以上の並列するブロック本体10を互いに連結することができる。このとき、一つの蓋部材15が、二つ、三つ、あるいは、それ以上の数のブロック本体10に跨って固定される構成を採用することができる。
【0049】
これらの実施形態では、ブロック本体10の凹部11は、そのブロック本体10が並列して敷設された状態で、凹部11がブロック本体10の並列方向に一直線上に繋がった構成を採用したが、凹部11の配置形態は自由に設定できる。例えば、他の実施形態として、平面視L字状の凹部11とすることもできる。このとき、凹部11は、少なくとも隣り合うブロック本体10側において開口し、且つ、その隣り合う他のブロック本体10の凹部11と繋がっている構成とする。凹部11同士が繋がっていれば、その繋がった側のブロック本体10の凹部11を通じて、ケーブル23を、舗装領域W外の電源Dへ導くことができる。なお、溝13は、ケーブル23を配線する方向、すなわち、その凹部11の伸びる方向に沿って形成することが望ましい。
【0050】
これらの実施形態では、凹部11の内面あるいは蓋部材15の外面にケーブル23を収容するための溝13を形成したが、この溝13は必要に応じて省略することができる。溝13を省略した場合、ケーブル23は、ブロック本体10の凹部11の内面(底面11a又は側面11b)と、その内面に対向する蓋部材15の外面(下面15b又は側面15c)との間に配設することができる。このとき、ケーブルは、そのブロック本体10と蓋部材15との間の空間に配設され、その空間は、蓋部材15がブロック本体10に対してがたつきを生じないように形成されていることが必要である。
【0051】
また、これらの実施形態では、ブロック本体10をコンクリート製としたが、このブロック本体10をコンクリート製以外のものとすることもできる。例えば、ゴム製や樹脂製のブロック本体10が考えられる。なお、ブロック本体10と蓋部材15の少なくともいずれかが樹脂製、ゴム製であれば、緩衝部材18を省略しても、そのブロック本体10又は蓋部材15自身の素材によって緩衝効果を発揮し得る。
【符号の説明】
【0052】
1 舗装ブロック
2 電熱ヒーター
3 ケーブル
4 コネクター
5 目地部
6 鉄筋
10 ブロック本体
10a 上面
10b 下面
10c 側面
11 凹部
11a 底面
11b 側面
12 孔
13 溝
13a 底
14 支持部
15 蓋部材
15a 上面
15b 下面
15c 側面
16 係止部
18 緩衝部材
19 係止手段
20 電熱ヒーター
22 給電コネクター
23 ケーブル
24 コネクター
A 舗装材
B 融雪機能付き舗装ブロック
C 給電ケーブル
D 電源
G 地盤
T 線路
W 舗装領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7