【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の電熱ヒーターを埋設した舗装ブロックによると、その電熱ヒーターに電源を供給するためのケーブルを、電源へ導かなければならない。この電源は、その道路等から離れた場所にあるのが通常であるので、ケーブルは舗装ブロックの側面や底面から外部へ引き出されて、その道路等の舗装領域外に設けた電源、又はその電源に通じるケーブルに電気的に接続される。
【0007】
しかし、この種の舗装ブロックは、舗装領域の一定のエリア内に複数並列して敷設される場合が多い。例えば、平面視矩形の舗装ブロックを、道路等の幅員方向に沿って一方向に並べて敷設したり、あるいは、その幅方向及び道路の伸びる方向(以下、「道路方向」という)に沿って縦横に並べて敷設したりする。
このように複数の舗装ブロックを並列させると、その並列する各舗装ブロックからそれぞれ引き出されたケーブルを、どのように舗装領域外に設けた電源又はその電源に通じるケーブルに接続するかが問題となる。
【0008】
例えば、
図7(a)に示すように、並列する各舗装ブロック1から引き出されたケーブル3を、それぞれ別々に電源へ導くことにより、各舗装ブロック1の電熱ヒーター2を電源に対して並列に接続する手法が考えられる。
しかし、この手法では、ケーブル3を舗装領域外に引き出すに際し、その舗装ブロック1の外側において多数のケーブル3を地中に配設せざるを得ない。これらのケーブル3は、図中に示すように、隣り合う舗装ブロック1間の隙間(目地部)5に配設されたり、あるいは、その舗装ブロック1の外側を埋めるアスファルト等の舗装材A中に埋設されて舗装領域外に導かれる。このため、ケーブル3の敷設が面倒であるとともに、そのケーブル3のメンテナンス時に、舗装ブロック1や周辺舗装材Aの撤去及びその復旧を伴うので好ましくない。
【0009】
また、例えば、
図7(b)に示すように、並列する各舗装ブロック1から引き出されたケーブル3同士をコネクターを介して接続し、各舗装ブロック1の電熱ヒーター2を電源Dに対して直列に接続しながら、ケーブル3を舗装領域外へ導く手法もある。
しかし、この手法においても、コネクターを介してケーブル3同士を接続するのは、舗装ブロック1の外側となる。このため、例えば、特許文献1に示すように、舗装ブロック1の端面に切欠部を設けて、その切欠部によって形成される舗装ブロック1間の空間にコネクターを収容している。この構成では、ケーブル3の敷設が面倒であるとともに、そのケーブル3のメンテナンス時に、舗装ブロック1や周辺舗装材Aを撤去及びその復旧をしなければならない点は同様である。
【0010】
そこで、この発明は、舗装ブロックに埋設された電熱ヒーターに電源を供給するためのケーブルの敷設及びメンテナンスを容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、ブロック本体の内部に融雪用の電熱ヒーターが埋設され、その電熱ヒーターに電気を供給するケーブルが、前記ブロック本体の内部から外部へと引き出された融雪機能付き舗装ブロックにおいて、前記ブロック本体は、そのブロック本体の上方と側方とに開口する凹部とその凹部の内面に開口する孔とを備え、前記凹部内に嵌る蓋部材を設けてその蓋部材の上面を前記ブロック本体の上面と面一にし、前記ケーブルは前記孔を通じて前記電熱ヒーターから前記凹部内へ引き出され、前記凹部の内面とその凹部の内面に対向する前記蓋部材の
下面との間を通って前記ブロック本体の側面から外部へ引き出されていることを特徴とする融雪機能付き舗装ブロックとした。
【0012】
電熱ヒーターに給電するためのケーブルが、凹部を通ってブロック本体の側面から外部へ引き出されるので、ケーブルを取り扱う際にブロック本体を撤去させたり移動させたりする必要がない。すなわち、ケーブルの敷設が簡単であるとともに、そのケーブルのメンテナンス時に、舗装ブロックや周辺舗装材を撤去及びその復旧をする必要がない。
【0013】
また、その凹部を設けた箇所は、蓋部材によって、その凹部以外の部分と面一になるので、路面の形成に支障しない。
なお、このとき、蓋部材の上面とブロック本体の上面とが面一であるとは、蓋部材の上面とブロック本体の上面のそれ自体が面一な路面となっている場合のほか、その蓋部材とブロック本体の上をそれぞれ覆う薄いアスファルト等の舗装材や、ゴム等のシート類を介して面一な路面となっている場合も考えられる。
【0014】
この構成において、前記ブロック本体は複数並列して設けられ、一のブロック本体の前記凹部は、隣り合う他のブロック本体側において側方に開口し、且つその隣り合う他のブロック本体側とは別の側においても側方に開口しており、前記隣り合う他のブロック本体の前記電熱ヒーター及び前記ケーブルには、前記一のブロック本体の前記凹部内を通り前記別の側の開口へ至るケーブルを介して電気が供給されている構成を採用することができる。
【0015】
この構成によれば、ブロック本体が複数並列する場合において、各ブロック本体のケーブルを、そのブロック本体自身や隣接する他のブロック本体の凹部を用いて、舗装領域外に設けた電源又はその電源に通じるケーブルに容易に接続することができる。
すなわち、一のブロック本体の凹部を用いてその凹部内にケーブルを配線することにより、そのケーブルによって、隣り合う他のブロック本体の電熱ヒーター及びケーブルに給電することができる。
【0016】
このとき、例えば、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルを、一のブロック本体の電熱ヒーターに通じるケーブルとは別のケーブルによって、その一のブロック本体の凹部を通って舗装領域外に設けた電源へ導いてもよい。その別のケーブルとは、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルに、コネクター等を介して接続されたケーブルであってもよいし、あるいは、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルの長さを充分に長くしておき、それを一のブロック本体の凹部に配設して前記別のケーブルとしてもよい。
また、一のブロック本体の電熱ヒーターに通じるケーブル自身に、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターから引き出されたケーブルを接続してもよい。すなわち、一のブロック本体の電熱ヒーターと、隣接する他のブロック本体の電熱ヒーターとをケーブルを介して直列に接続してもよい。
【0017】
また、これらの各構成において、ケーブルは、ブロック本体の凹部の内面と、その内面に対向する蓋部材の外面(下面又は側面)との間に配設することができる。このとき、ケーブルは、そのブロック本体と蓋部材との間の空間に配設され、その空間は、蓋部材がブロック本体に対してがたつきを生じないように形成されていることが必要である。このため、そのケーブルを、ブロック本体の凹部の内面か、又は、その内面に対向する蓋部材の外面(下面又は側面)に設けた溝内に収容すると、がたつきの防止に効果的である。
【0018】
例えば、前記凹部の底面又はその凹部の底面に対向する前記蓋部材の下面に溝が設けられ、その溝内に、前記孔から引き出され前記ブロック本体の側面に至る前記ケーブルが収容され、前記蓋部材と前記凹部とは、前記溝を挟んで両側に設けられた支持部で互いに支持されている構成を採用することができる。
【0019】
この構成によれば、電熱ヒーターに給電するためのケーブルは、その凹部内の溝を通って外部へ引き出され、蓋部材とブロック本体とは、その溝を挟んで両側の支持部で互いに支持される。このため、蓋部材とブロック本体とのがたつきを、より確実に防止することができる。
【0020】
また、前記支持部を備えた構成において、特に、前記ブロック本体がコンクリート製である場合には、前記支持部における前記凹部の底面と前記蓋部材の下面との間に、緩衝部材を介在させた構成を採用することができる。この緩衝部材としては、例えば、ゴムや樹脂等の弾性体を採用することができる。また、その弾性体は、シート状であることが望ましい。
【0021】
また、緩衝部材として、例えば、金属板の表裏にゴムや樹脂等の弾性体を設けたものを採用することもできる。弾性体は、シート状であることが望ましい。この構成によれば、蓋部材とブロック本体とのがたつきを、さらに効果的に防止することができる。すなわち、弾性体はその厚さが厚いほどその弾性力が高まって、蓋部材に作用する衝撃等に対して高い緩衝効果を発揮するが、その厚さが厚くなりすぎると、逆に、蓋部材がブロック本体上で跳ねたり揺れたりして安定しなくなる。そこで、弾性体と弾性体の間に金属板を介在させることにより、過度な跳ねや揺れを抑制するようにしたものである。
この点について説明すると、前記ブロック本体がコンクリート製である場合、そのコンクリートの表面には微小な凹凸が形成されやすい。このため、向かい合うコンクリート面の間に弾性体のみを介在させるよりも、弾性体とフラットな金属板とを組み合わせて介在させる方が、よりがたつきの防止に効果的である。なお、前記金属板の厚さは、前記各弾性体の厚さよりも厚いことが望ましい。
【0022】
また、これらの各構成において、前記蓋部材は、前記ブロック本体に対して係止手段によって固定されており、前記係止手段は、前記支持部に設けられている構成を採用することができる。
【0023】
この係止手段としては、例えば、蓋部材を上下に貫通する貫通孔と、凹部の底面に形成された雌ネジ孔と、その蓋部材の上方から貫通孔を通って前記雌ネジ孔にねじ込まれるボルトとからなる構成を採用することができる。あるいは、蓋部材の下面と凹部の底面のうち、一方に設けたピンと他方に設けられそのピンが嵌る孔とすることもできる。その他、係止手段としては、周知の係止機構を採用することができる。
また、係止手段を用いずに、蓋部材が凹部内にぴったりと嵌って、その自重により、あるいは、それに加えて蓋部材の外面と凹部の内面との摩擦により、両者が動かないように固定される構成とすることもできる。
【0024】
また、複数の前記ブロック本体を並列して設ける場合において、隣り合う前記ブロック本体同士は、前記蓋部材で連結されている構成を採用することができる。
この構成によれば、凹部を閉じる蓋部材を活用して、ブロック本体同士を固定できるので、部品点数を減少させ、その敷設作業の容易化を図ることができる。