特許第5735959号(P5735959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.の特許一覧

特許5735959飲料を作るためのシステム、器具及び方法
<>
  • 特許5735959-飲料を作るためのシステム、器具及び方法 図000002
  • 特許5735959-飲料を作るためのシステム、器具及び方法 図000003
  • 特許5735959-飲料を作るためのシステム、器具及び方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5735959
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】飲料を作るためのシステム、器具及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/34 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   A47J31/34
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-516007(P2012-516007)
(86)(22)【出願日】2009年12月30日
(65)【公表番号】特表2012-530524(P2012-530524A)
(43)【公表日】2012年12月6日
(86)【国際出願番号】NL2009050819
(87)【国際公開番号】WO2010137951
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2012年3月13日
(31)【優先権主張番号】09163013.7
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】09162920.4
(32)【優先日】2009年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】カメルビーク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ポスト ファン ルーン,アンジェニタ ドロテア
(72)【発明者】
【氏名】コエリング,ヘンドリク コルネリス
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/083071(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/153815(WO,A1)
【文献】 特開2003−265320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出可能な製品を使用して、摂取に適する所定量の飲料を作るためのシステムにおいて、該システムは、
底(107)を有する閉じられたカプセル(102)である、第一の交換可能なカプセル(102)と、
入口フィルター(15)を備える底(7)を有する開いているカプセルである、第二の交換可能なカプセル(2)と、
閉じられた第一のカプセル(102)を保持するための支持表面(24)を有する収容器(3)を備え、該閉じられた第一のカプセル(102)の底(107)を貫通することを意図された底貫通手段(112)を有し、かつある量の流体を閉じられた第一のカプセル(102)に加圧下で供給するための流体分配デバイス(5)を有する先行技術の第一の器具(104)と、
開いている第二のカプセルを保持するための支持表面(24)を有する収容器(3)と、ある量の流体、例えば水、を該開いている第二のカプセルに加圧下で供給するための流体分配デバイス(5)とを備える第二の器具(4)とを
備え、
該開いている第二のカプセル(2)が先行技術の第一の器具(104)において使用されるとき、入口フィルター(15)は先行技術の第一の器具(104)の底貫通手段(112)から離して配置されて、該開いている第二のカプセル(2)は底貫通手段(112)により貫通されず、該開いている第二のカプセル(2)の底は無傷のままであり、
該開いている第二のカプセル(2)が第二の器具(4)において使用されるとき、第二の器具(4)の収容器(3)は、収容器を引っ込めると該開いている第二のカプセルが収容器を引っ込める方向(R)に動かされるように、入口フィルターにおいて少なくとも1の開口部を作るように該開いている第二のカプセル(2)の入口フィルター(15)を貫通することを意図された、延ばされた底貫通手段(12)を備える、
前記システム。
【請求項2】
該開いている第二のカプセルが、外周壁(6)と、第一の端部(8)において該外周壁(6)を閉じる底(7)と、底(9)と反対側の第二端部(10)において外周壁(6)を閉じる蓋(9)とを備え、該壁、該底及び該蓋は、抽出可能な製品を容れる内部空間を取り囲み、蓋(9)は、出口領域を備え、該第二の器具は、作られた飲料を該開いている第二のカプセル(2)から排出させ、そして該飲料を容器例えばカップに供給するように、使用中に出口領域と流体連絡している出口(26)を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
延ばされた底貫通手段(12)と開いている第二のカプセルの入口フィルター(15)との間の初期の結合力が、該開いている第二のカプセル(2)の蓋(9)と収容器(3)の支持表面(24)の少なくとも一部との間のくっつく力より大きい、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
貫通要素の貫通端部(12b)が使用中に、開いている第二のカプセル(2)の入口フィルター(15)を少なくとも部分的に通って延びるように選択された長さを有するところの少なくとも1の貫通要素(12a)、例えば刃を、第二の器具(4)の延ばされた底貫通手段(12)が備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
延ばされた底貫通手段(12)が、カプセルの中心点に関して、より具体的には底の中心点に関して、実質的に等しい距離に配置された少なくとも2の貫通要素を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
該開いている第二のカプセルの入口フィルターの厚さ(t)が約0.7mm±0.05mmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
開いている第二のカプセル(2)が該開いている第二のカプセルの長手方向の中心軸に沿って約23.7mm±0.2mmの長さ(h1)を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
第二の器具(4)の延ばされた底貫通手段(12)が、少なくとも1の貫通要素(12a)を備え、該貫通要素(12a)は、開いている第二のカプセルの入口フィルターから蓋の方へ、カプセルの長手方向の中心軸に沿ってその長さの少なくとも2.7%に亘って、使用中に、該開いている第二のカプセルを貫通するように選択された長さを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
該開いている第二のカプセルの入口フィルターが、
柔軟な多孔質シート、例えばフィルターペーパー、
複数の入口開口部を備えられた柔軟な箔、例えばポリマーフィルム、又は
該開いている第二のカプセルの底に備えられた複数の入口開口部
により形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
摂取に適する所定量の飲料を作るための第二の器具であって、
該器具は、入口フィルターを備える底(7)を有する開いている第二のカプセルを保持するための支持面(24)を備えた容器(3)、および或る量の流体を該開いている第二のカプセルに加圧下で供給するための流体分配デバイス(5)、を備え、
該器具はさらに、該収容器を引っ込めると該開いている第二のカプセルが該収容器を引っ込める方向(R)に動かされるように、該入口フィルターにおいて少なくとも1の開口部を作るように、該開いている第二のカプセル(2)の該入口フィルターを貫通することを意図された、延ばされた底貫通手段(12)を備え、ここで、該延ばされた該底貫通手段(12)は閉じられた第一のカプセル(102)の底(107)から蓋の方向に該閉じられた第一のカプセルの長手方向の中心軸に沿って該閉じられた第一のカプセルの長さの少なくとも21.7%に亘って該底(107)を有する閉じられた第一のカプセル(102)を使用中に貫通するように適合されている、少なくとも1の貫通要素(12a)を備えている、前記第二の器具。
【請求項11】
第一の、閉じられたカプセル(102)が、該閉じられた第一のカプセルの長手方向の中心軸に沿って実質的に30mmの長さ(h2)を有する、請求項10に記載の第二の器具。
【請求項12】
開いている第二のカプセル(2)が該入口フィルター(15)を備える底(7)を有し該入口フィルター(15)は、該開いている第二のカプセルがこの第二の器具の収容器内に保持されるとき、該入口フィルター(15)が第二の器具の該延ばされた底貫通手段(12)によって貫通されるように延ばされた該底貫通手段と協働する請求項10又は11に記載の該第二の器具(4)を使用して、飲料を作るための開いている第二のカプセルを使用する方法。
【請求項13】
抽出可能な製品を使用して、摂取に適する所定量の飲料を作るための方法において、
該方法が、
外周壁(6)と、第一の端部(8)において該外周壁(6)を閉じる底(7)と、底と反対側の第二端部(10)において外周壁(6)を閉じる蓋(9)とを備える交換可能なカプセル(2)を用意すること、ここで、該壁、該底及び該蓋は抽出可能な製品を容れる内部空間を与え、該カプセルは開いている第二のカプセルの底に入口フィルター(15)を備える開いている第二のカプセル(2)である、
該交換可能な開いている第二のカプセルを保持するための第二の収容器(3)と、ある量の流体を該交換可能な開いている第二のカプセルに加圧下で供給するための流体分配デバイスと、作られた飲料を該開いている第二のカプセルから排出させ、そして飲料を容器に供給するために、使用中に該開いている第二のカプセルと流体連絡している出口とを備える器具(4)を用意すること、
ここで、該開いている第二のカプセルの入口フィルター(15)は、閉じられた第一のカプセルの底を貫通することを意図された底貫通手段(112)を備える第一の器具(102)において使用されるときには、該第一の器具の底貫通手段から離して配置され、該開いている第二のカプセルは該第一の器具の底貫通手段により貫通されずに、該開いている第二のカプセルの底は無傷のままであり、
該システムの該第二の器具(4)の収容器(3)は、収容器を引っ込めると該開いている第二のカプセルが収容器を引っ込める方向(R)に動かされるように、入口フィルター(15)において少なくとも1の開口部を作るために、該開いている第二のカプセルの入口フィルター(15)を貫通することを意図された、延ばされた底貫通手段(112)を備えている、及び
飲料を作るために、該流体を抽出可能な製品に供給すること
を含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出可能な製品を使用して、摂取に適する所定量の飲料を作るためのシステムに関する。
【0002】
公知のシステムは、
底を有する閉じられたカプセルである第一の交換可能なカプセル、
閉じられた第一のカプセルを保持するための支持表面を有する収容器を備え、該閉じられた第一のカプセルの底を貫通することを意図された底貫通手段を有し、かつある量の流体、例えば水、を該閉じられた第一のカプセルに加圧下で供給するための流体分配デバイスを有する先行技術の第一の器具
を備える。
【0003】
特定の種類のこれらのシステムは、抽出可能な製品を含む、密に封止され、閉じられたカプセルを使用して飲料を作るために使用されることができる。飲料を作る間に、そのような閉じられたカプセルの入口領域は、システムの底貫通手段により貫通され、少なくとも1の入口開口部を与え、該入口開口部を介してカプセルの内部空間の交換可能な製品に加圧下で流体を供給する。流体を加圧下で内部空間へ供給することは、カプセルの内部空間における圧力を上昇させる。すると、これは、今度は、収容器の支持表面に存在する蓋貫通手段に対して、該閉じられたカプセルの出口領域が押しつけられるようにする。該出口領域が蓋貫通手段に対して十分な力で押しつけられたとき、該出口領域は該蓋貫通手段に対して引き裂け、少なくとも1の出口開口部を作り出し、該開口部を通って、飲料はカプセルから流れ出すことができる。該閉じられたカプセル(流体がカプセルの内部空間に入いることを可能にするために、使用中に、本システムの底貫通手段で貫通されるカプセル)を使用しているとき、該貫通手段は、該閉じられたカプセルが、より特にその出口領域が、システムの出口から動くことを、より特に器具の支持表面から動くことを、もまた可能にする。
【0004】
飲料を作る間に及び/又は、支持表面の少なくとも一部に対して及び/又は蓋貫通手段の一部に対して出口領域をもまた押しつける流体の圧力のために、例えば出口領域が濡れるので、飲料を作る間に、カプセルの出口領域は(器具の)支持表面にくっつき得る。
【0005】
底貫通手段は、先行技術の閉じられたカプセルの底を通って延在するので、底の物質は、収容器を引っ込めたとき、底貫通手段は先行技術の閉じられたカプセルを支持表面から引っ張るように底貫通手段を取り囲む。収容器が引っ込められた位置にあるとき、カプセルは、例えばシステムに備えられたごみ箱に落ちることにより、容易に収容器を出ることができる。
【0006】
刊行物に掲載されていないさらなるシステムは、入口フィルターを備える底を有する、開いているカプセルである第二の交換可能なカプセルの使用を提供する。該開いている第二のカプセルは第一の(先行技術の)器具に入れられることができる。しかし、該先行技術の第一の器具(即ち入れた後)において該開いている第二のカプセルを使用するとき、その器具の底貫通手段は開いている第二のカプセルの入口フィルターを貫通しないだろう。また、該開いている第二のカプセルの入口フィルターは、流体分配デバイスから該開いている第二のカプセルの内部空間へ流体を供給するように好ましくは既に適合されている。
【0007】
貫通されていない入口フィルターを有する該開いている第二のカプセルを使用するシステムで飲料を作るとき、該開いている第二のカプセルは収容器を引っ込めると支持体の表面にくっつき得る。そうすると、さらなる開いている第二のカプセルを挿入した後、別の一杯の飲料を作ることができる前に、カプセルを収容器から、例えば道具、ヒトの指又は任意の他の適切な手段で積極的に除去することが必要であり得る。もしユーザーが開いている第二のカプセルが支持体表面に対してくっついていることを気付かず、さらなるカプセルを挿入すると、収容器を閉鎖するとカプセルは損傷され得、品質の劣る飲料を、抽出可能な製品を含む料を又は損傷された器具さえをももたらす。
【0008】
従って、上記のタイプに従う改良されたシステムを提供することが本発明の目的である。より特には、カプセルが収容器にくっつくリスクが最小限にされた、所定量の飲料を作るシステムを提供することが本発明の目的である。
【0009】
それに対して、本発明に従う第一の特徴に従うと、上記のシステムは請求項1の特徴を有する。
【0010】
有利に、抽出可能な製品を使用して、摂取に適する所定量の飲料を作るためのシステムにおいて、
該システムは、
底を有する閉じられたカプセルである第一の交換可能なカプセルと、
入口フィルターを備える底を有する、開いているカプセルである第二の交換可能なカプセルと、
閉じられた第一のカプセルを保持するための支持表面を有する収容器を備え、該閉じられた第一のカプセルの底を貫通することを意図された底貫通手段を有し、かつある量の流体、例えば水、を該閉じられた第一のカプセルに加圧下で供給するための流体分配デバイスを有する先行技術の第一の器具と、
第二のカプセルを保持するための支持表面を有する収容器と、ある量の流体、例えば水、を該第二のカプセルに加圧下で供給するための流体分配デバイスとを備える第二の器具と
を備え、
開いている第二のカプセルの入口フィルターは、先行技術の第一の器具において使用されるとき、先行技術の第一の器具の底貫通手段から離して配置され、該開いている第二のカプセルは底貫通手段により貫通されず、該開いている第二のカプセルの底は無傷のままであり、
第二の器具の収容器は、収容器を引っ込めると、収容器を引っ込める方向に動かされるように開いている第二のカプセルが入口フィルターにおいて少なくとも1の開口部を作るために開いている第二のカプセルの入口フィルターを貫通することを意図された、延ばされた底貫通手段を備える。
【0011】
即ち、開いている第二のカプセルの入口領域を貫通するために配置されている延ばされた底貫通手段を備えることにより、該延ばされた底貫通手段は飲料を作る前に収容器を閉じると入口フィルターを通って延在する。飲料を作った後、収容器は引っ込められ、そうすることにより、底貫通手段をもまた収容器を引っ込める方向に動かす。開いている第二のカプセルの入口フィルターの物質は底貫通手段を取り囲むので、該開いている第二のカプセルは、貫通手段が入口フィルターから除去されるまで、引っ込める方向に底貫通手段と一緒に動かされる。
【0012】
延ばされた底貫通手段と入口フィルターとの間の初期の結合力は、(開いている)第二のカプセルの蓋と収容器の支持表面の少なくとも一部との間のくっつく力より大きく、その結果、開いている第二のカプセルが延ばされた底貫通手段から除去される前に収容器の支持表面から開放される。結果的に、延ばされた底貫通手段を第二の器具に備えさせることにより開いている第二のカプセルは収容器を容易に離れ、そうすることにより、さらに所定の量の飲料を作るためのさらなる開いている第二のカプセルを受け入れる準備ができている受け入れ開口部を器具に用意する。
【0013】
本願発明のさらなる詳細に従うと、もしシステムの第二の器具の延ばされた底貫通手段が少なくとも1の貫通要素、例えば、貫通要素の貫通末端が使用中に開いている第二のカプセルの入口フィルターを少なくとも部分的に通って延在するように選択された長さを有する刃、を備えるならば、延ばされた底貫通手段と開いている第二のカプセルの入口フィルターとの間の所望される初期の結合力を与えることが有利であり得る。本発明のさらなる特徴に従うと、カプセルの中心点に関して、より具体的には底の中心点に関して、実質的に等しい距離に配置された少なくとも2の貫通要素を備える、延ばされた底貫通手段を用意することにより、開いている第二のカプセルは傾き又は傾斜なしにまっすぐに引っ込める方向に引っ込められ得る。従って、収容器からの開いている第二のカプセルの適正な除去はさらに強化される。
【0014】
さらなる実施態様に従うと、開いている第二のカプセルは、外周壁と、第一の端部において該外周壁を閉じる底と、底と反対側の第二端部において外周壁を閉じる蓋とを備え、壁、底及び蓋は、抽出可能な製品を容れる内部空間を取り囲む。例えば、蓋は、出口領域を備え、第二の器具は出口を備えることができ、該出口は使用中に出口領域と流体連絡しており、作られた飲料を開いている第二のカプセルから排出させ、飲料を容器例えばカップに供給する。開いている第二のカプセルの底は、入口領域を備え、システムは(第二の器具の)流体分配デバイスを入口領域と流体連絡させ、流体を抽出可能な製品に供給して、飲料を作るように配置されることができる。
【0015】
該延ばされた底貫通手段のさらなる利点は、閉じられた(第一の)カプセルがシステムの第二の器具において使用されるとき与えられ、該延ばされた底貫通手段は、該閉じられた第一のカプセルの長手方向の中心軸に沿ってその長さの少なくとも21.7%に亘って該閉じられた第一のカプセルを、閉じられた第一のカプセルの底から蓋へ、使用中に貫通するように適合されている少なくとも1の貫通要素を備えていてもよい。そのような延ばされた底貫通手段で、該閉じられた第一のカプセルの内部空間における貫通手段のより高い侵入深さが得られ、そうすることにより作られた飲料の品質と繰り返し性の有利さに該閉じられた第一のカプセル自身を通過する流体に最適な流れの条件を与える。実際、該延ばされた底貫通手段は、該閉じられた第一のカプセルの中で分割する板として作用し得、抽出可能な製品を通る、流体の優先的な流れの通路の発生を防ぐ。さらに、該延ばされた底貫通手段は、該閉じられた第一のカプセル内の抽出可能な製品は抽出プロセスの直前により集中的に圧縮される点においてさらなる利点を与え得るが、それは作られた飲料の品質の観点からもまた好ましい。
【0016】
本発明は、該第二の器具を使って飲料を調製するための開いている第二のカプセルの使用にもまた関する。本発明は、抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を作るための請求項13に記載の本発明にさらに関する。そのようなカプセルの使用及び方法は、本システムについて記載されたのと同様の利点及び効果を提供し得る。該システム及び方法のさらなる実施態様は、従属項に述べられる。
【0017】
本発明は、非制限的な例により図面を参照して、今、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】開いている第二のカプセルを備える、飲料を作るための先行技術の器具を模式的に示す。閉じられたカプセルの一部が破線102により示される。
図2】本発明に従うシステムの第二の器具の第一の実施態様を模式的に示す。及び
図3】閉じられたカプセルを備える、本発明の実施態様に従うシステムの第二の器具を模式的に示す。
【0019】
異なる図面における同一の又は対応する要素は同一の又は対応する参照番号で示されることに留意されたい。
【0020】
図1は、システム先行技術の第一の器具104を示し、該先行技術の第一の器具は抽出可能な製品を使用して摂取に適する所定量の飲料を作るための先行技術の器具104である。図2〜3は、該システムのための第二の器具4の例を示す。
【0021】
先行技術の第一の器具104は、閉じられた第一の(先行技術の)カプセル102を保持するための支持表面を有する収容器3を備える。閉じられた第一のカプセル102の一部は、図1において破線により示される。図3は、第二の器具4に置かれた閉じられた第一のカプセルを示す。
【0022】
図1から分かるように、先行技術の第一の器具104は閉じられた第一のカプセル102の閉じられた底107を貫通することを意図された底貫通手段112(図3を参照のこと)を有し、ある量の水、例えば水、を加圧下で該閉じられた第一のカプセル102に供給するための流体分配デバイス5を有する。一般的に、先行技術の第一の器具の収容器3は、閉じられた第一のカプセル102の形状に少なくとも部分的に相補的である形状を有する。
【0023】
図1において、先行技術の第一の器具104は交換可能な、開いている第二のカプセル2を備える。収容器3は、(例えば、第一の、閉じられたカプセル102の代わりに)該交換可能な開いている第二のカプセル2を保持することができる。一般的に、収容器3は、開いている第二のカプセル2の形状に部分的に相補的である形状を有し得る。流体分配デバイス105は、交換可能な開いている第二のカプセル2に、加圧下で、6バール超、例えば9バールの、ある量の流体、例えば水、を供給することができる。例えば、操作の間に、該圧力は6バール以上まで上がることができる。
【0024】
交換可能な、開いている第のカプセル2は、先行技術の第一の器具104の収容器3に備えられているように、実質的に堅い外周壁6と、外周壁6を第一の端部8において閉じる底7と、底7と反対の第二の端部10において外周壁6を閉じる蓋9とを備える。外周壁6、底7及び蓋9は抽出可能な製品を容れる内部空間11を取り囲む。好ましくは、抽出可能な製品はある量の煎られかつ挽かれたコーヒーを包含する。
【0025】
前に述べられたように、先行技術の第一の器具104は、先行技術の閉じられた第一のカプセル102(の閉じられた底107)を貫通することを意図された底貫通手段112を備える。図1に示される該底貫通手段112と収容器の上部3aは延ばされた位置にあり、閉じられた第一のカプセル102の底107において入口開口部124を作り、抽出可能な製品に流体を該入口開口部を通して供給する。底貫通手段112は穴114を備え、該穴を通して、閉じられた第一のカプセル102の内部空間に含まれる抽出可能な製品に流体が供給されることができる。先行技術の第一の器具104は、閉じられた第一のカプセル102の蓋109を貫通することを意図された、蓋貫通手段22(ここでは突出部として具体化されている)をさらに含む。図1に従う、開いている第二のカプセル2は、蓋貫通手段26により貫通されない出口フィルターを有する蓋9を備える。
【0026】
先行技術の第一の器具104に備えられているような、開いている第二のカプセル2もまた底貫通手段112により貫通されない。流体分配デバイス105からの流体は、収容器3と、開いている第二のカプセル2との間に備えられた空洞44に穴114を通って入いる。開いている第二のカプセル2は、開いている第二のカプセル2の内部空間11に空洞44から流体を排出させるように適合された底7に備えられた入口フィルター15を備え、抽出可能な製品、この例では約4.5〜8グラム(例えば5〜6.5グラム)の煎られかつ挽かれたコーヒー、から所望される物質を抽出して、この例では30〜200mlの一杯のカップの飲料、ここではコーヒー、を作る。即ち、より一般的には、図の例において、底7は、底貫通手段112から離して配置されている入口フィルター15により形成されている入口領域を備える。先行技術の第一の器具104は、流体分配デバイス105を入口領域と流体連絡させるように配置され、該流体を飲料を作るための抽出可能な製品に供給する。蓋9は、作られた飲料をカプセル2からシステム1の先行技術の第一の器具104の出口26へ排出するように適合されている開口部23を備えられている。
【0027】
図2は、第二の器具4及び第二の開いているカプセル2を示す。明確性のために、図1と異なる要素のみがここでは詳細に記載される。開いている第二のカプセル2は該開いている第二のカプセル2の底7において入口フィルター15を備える。該入口フィルター15は、流体を第二の器具4の流体分配デバイス5から開いている第二のカプセルの内部空間11へ供給するためのある量の開口部を備える。該開いている第二のカプセルは軸方向において見られる約23.7mm±0.2mmの高さh1を有する。底7の厚さtは約0.7mm±0.05mmであり得る。
【0028】
システム1の第二の器具4は、該開いている第二のカプセル2を使用中に取り囲むように適合されている上部3aと支持表面24とを有する収容器3を備える。該上部3aは、収容器3を閉めるために引っ込められた位置から延ばされた位置へ移動可能であり、そして使用された開いている第二のカプセル2を収容器3から放出するために収容器3を開けて、延ばされた位置から引っ込められた位置へと、引っ込める方向Rにおいて移動可能である。第二の器具4の流体供給デバイス5は、貫通要素12a、例えば貫通するための端部12bをそなえる刃、を備える延ばされた底貫通手段12(先行技術の第一の器具の底貫通手段に対して延ばされている)を備える。該延ばされた貫通手段12は、開いている第二のカプセル2の出口フィルター15を貫通して、入口フィルターに少なくとも1の開口部を作り、収容器を引っ込めると、開いている第二のカプセル2が収容器3の引っ込める方向Rに移動されることを意図されている。
【0029】
貫通要素12の長さは、図2に示されるように、延ばされた位置における貫通端部12bが開いている第二のカプセル2の入口フィルター15を通って、少なくとも部分的に延在するように選択される。貫通要素12は好ましくは、収容器3の上部3aの延ばされた位置において、該開いている第二のカプセル2の入口フィルター15から蓋9の方へ、該開いている第二のカプセルの長手方向の中心軸に沿ってその長さの少なくとも2.7%に亘って、貫通要素12が該開いている第二のカプセル2を貫通するように選択される長さを有する。図示された実施態様に従う入口フィルター15は、開いている第二のカプセル2の底7に備えられた複数の入口開口部を備える。この例において、複数の開口部は、実質的に底7の全体に亘って分布されている。本発明の別の(図示されていない)実施態様において、入口フィルター15は、フィルターペーパー、柔軟な箔などにより形成されていてもよい。
【0030】
図2に示されるシステム1はカップ一杯のコーヒーのために以下のように操作され、ここで該抽出可能な製品は煎られかつ挽かれたコーヒーである。
【0031】
開いている第二のカプセル2が収容器3に置かれる。収容器3の上部3aは収容器3の支持表面24の方へ延ばされる。収容器の上部3aの移動の故に、延ばされた底貫通手段12は作動されて開いている第二のカプセル2の底7を貫通し、該延ばされた底貫通手段12は入口フィルター15を通って少なくとも部分的に延びる。すると、流体、ここでは加圧下の熱湯、が貫通手段12設けられた穴14及び穴の開口部14を介して、入口フィルター15の開口部及び貫通された開口部を通って内部空間11の抽出可能な製品に供給される。
【0032】
作られたコーヒーは、支持表面24の出口開口部26を通って開いている第二のカプセル2から排出し、容器例えばカップ(図示されていない)に供給される。
【0033】
第二の器具の使用の間に、(第二の開いているカプセルの)蓋9は、支持表面24及び蓋貫通手段22に少なくとも部分的にくっつき得る。飲料を作った後、収容器の上部3aは、引っ込める方向Rに引っ込められ、延ばされた底貫通手段12は引っ込める方向Rに引っ込められる。延ばされた底貫通手段12と入口フィルター15の間の初期の結合力は、開いている第二のカプセル2の蓋9と収容器3の支持表面24との間のくっつく力より大きいので、開いている第二のカプセル2は延ばされた底貫通手段22と一緒に引っ込める方向Rに連れて行かれる。結果的に、開いている第二のカプセル2は、容易な方法で、収容器3から除去され、そうすることにより、開いている第二のカプセル2が収容器3に付着されることを防ぐ。
【0034】
図3において、本発明に従うシステム1の第二の器具4は、第一の閉じられたカプセル102を備えていることが図示されている。明確性のために、図2で示され記載されたシステム1の第二の器具4と相違する要素のみがここでは記載されている。図3においては、明確性のために閉じられた第一のカプセル102と収容器3との間に隙間が描かれている。使用中には、閉じられた第一のカプセル2は収容器3と接触していてもよいことが理解されるだろう。閉じられた第一のカプセル102は、該閉じられた第一のカプセル102の長手方向の中心軸に沿って実質的に30mmの長さh2を有する。図3に示されるように、収容器3の延ばされた位置において、延ばされた底貫通手段12の貫通要素12aは、閉じられた第一のカプセル102の長手方向の中心軸に沿ってその長さh2の少なくとも21.7%(図3におけるl)に亘って、閉じられた第一のカプセル102を通って延在する。閉じられた第一のカプセル102を使用するとき、本発明に従うシステム1の第二の器具4の延ばされた底貫通手段12は閉じられた第一のカプセル102を通過する流体に最適の流動条件を用意し、抽出可能な製品を通る優先的な流体の流れの通路の発生を防ぎ、抽出可能な製品をより集中的に圧縮させ得、そのことは作られたコーヒーの品質に有利である。
【0035】
上記の明細書において、本発明は、本発明の実施態様の特定の例を参照して記載された。しかし、種々の改良及び変更が、添付の特許請求の範囲に述べられた本発明のより広い精神及び範囲から外れることなく、そこでなされ得ることは明白である。
【0036】
そのカプセル及び部品は種々の物質、又は種々の物質の組み合わせから作られ得る。又、カプセルは種々の形状を有し得る。例えば、カプセルの外周壁は任意の形状、例えば円柱、円錐台、又は多角形、例えば六角形若しくは八角形を有し得る。また、底及び蓋は、種々の形状、例えば非平坦な形状を有し得る。さらに、延ばされた底貫通手段は種々の形状を有し得、種々の量の貫通要素を備え、種々の寸法を有し得る。さらに、収容器は、収容器の上部が支持表面まで移動されることができ支持表面から引っ込められることができる限り、種々の構造を有し得る。
【0037】
しかし、他の改良、変更及び代替もまた可能である。従って、明細書、図面及び実施例は、制限的な意味におけるよりむしろ例示として見なされるべきである。
【0038】
特許請求の範囲において、括弧の中の参照記号はいかなるものも、請求項を制限すると解釈されてはならない。用語「備える」は、請求項に挙げられた特徴又は段階以外の特徴又は段階の存在を排除しない。さらに、用語「一つの」は「ただ一つの」に制限されると解釈されてはならず、代わりに「少なくとも1の」を意味し、複数を排除しない。ある手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが役立つために使用されることができないことを意味しない。
【符号の説明】
【0039】
2:第二の開いているカプセル
3:収容器
3a:収容器3の上部
4:第二の器具
5:流体分配デバイス
6:外周壁
7:底
9:蓋
10:第二の端部
11:内部空間
12:底貫通手段
12a:貫通要素
12b:貫通するための端部
14:穴
14a:穴の開口部
15:入口フィルター
22:蓋貫通手段
23:開口部
24:支持表面
26:出口
44:空洞
R:引っ込める方向
図1
図2
図3