特許第5736010号(P5736010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736010
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】板材の切断装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/03 20060101AFI20150528BHJP
   B28D 1/24 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C03B33/03
   B28D1/24
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-148509(P2013-148509)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-20922(P2015-20922A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2013年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513122749
【氏名又は名称】ゴールドマックス アジア パシフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】切通 隆則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隆
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−102204(JP,A)
【文献】 特開2003−063643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/03
B28D 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を搬入及び搬出する搬送ユニットと、
所定の切断位置に移動し、搬入された板材を切断する切断ユニットと、を備え、
前記切断ユニットは、
前記板材を切断する際に前記板材の上面に接して前記板材を切断し、当該切断ユニットの位置替え時に前記板材から離れる切断カッターと、
前記板材を切断する際に前記板材の下面に接し、前記切断カッターから受ける力に抗して前記板材を支持し、当該切断ユニットの位置替え時に前記板材から離れる受台と、
前記板材の下面に空気を噴射して前記受台の近傍で前記板材を非接触で支持する切断支持部と、を有し、これらが一体として移動できるように構成されている、板材の切断装置。
【請求項2】
前記搬送ユニットは、
前記板材の下面に空気を噴射して前記板材を非接触で支持する搬送支持部と、
前記板材を押し出して搬出する搬出部と、を有する、
請求項1に記載の板材の切断装置。
【請求項3】
前記搬出部は、
前記板材の搬出方向と反対側の端縁に接する押出部材と、
前記押出部材を搬出方向に移動させる押出駆動部と、を有する、
請求項2に記載の板材の切断装置。
【請求項4】
前記搬送ユニットは、前記板材の下面と接して該板材を搬入する搬入コンベヤを有し、
該搬入コンベヤは、前記切断ユニットよりも外側に位置している、
請求項2又は3に記載の板材の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材の切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板材の切断装置は、板材を切断して所定の寸法に仕上げる装置である(特許文献1参照)。板材の切断装置は、様々な仕上げ寸法に対応するために、切断ユニットを任意の切断位置に移動(位置替え)できるように構成されている。この切断ユニットには、切断カッターの他、切断カッターに対向して配置された受台や、受台の近傍で板材を支持する支持部材が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−102204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮に、切断装置に板材を載せたままで切断ユニットを移動すると、支持部材が板材と擦れて板材が傷ついたり、板材の位置がずれたりするといった問題が生じる。そのため、切断ユニットを移動させる際には、板材が切断装置に搬入されないように板材の流れを止める必要がある。例えば、溶融方法を採用した製造ラインでは、板材が連続的に製造されるため、切断ユニットの位置替えを行う間は製造された板材を廃棄することになる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、板材の流れを止めることなく、切断ユニットの位置替えを行うことができる板材の切断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある形態に係る板材の切断装置は、板材を搬入及び搬出する搬送ユニットと、所定の切断位置に移動し、搬入された板材を切断する切断ユニットと、を備え、前記切断ユニットは、前記板材を切断する際に前記板材の上面に接して前記板材を切断する切断カッターと、前記板材を切断する際に前記板材の下面に接し、前記切断カッターから受ける力に抗して前記板材を支持する受台と、前記板材の下面に空気を噴射して前記板材を非接触で支持する切断支持部とを有する。
【0007】
かかる構成によれば、切断ユニットは位置替えを行うタイミングにおいて板材と接することはない。そのため、切断装置に板材を載せたまま切断ユニットの位置替えを行ったとしても、板材が傷ついたり、位置ずれが生じたりすることはない。よって、上記の構成によれば、板材の流れを止めることなく切断ユニットの位置替えを行うことができる。
【0008】
また、上記の切断装置において、前記搬送ユニットは、前記板材の下面に空気を噴射して前記板材を非接触で支持する搬送支持部と、前記板材を搬出方向に押し出して搬出する搬出部と、を有していてもよい。かかる構成によれば、切断ユニットの切断支持部だけでなく、搬送ユニットの搬送支持部によって板材を非接触で支持するため、より一層、板材に傷が入りにくくなる。また、上記の切断装置では、板材が非接触で支持されているが、板材は搬出部によって押し出されるため、板材を切断装置から確実に搬出することができる。
【0009】
また、上記の切断装置において、前記搬出部は、前記板材の搬出方向と反対側の端縁に接する押出部材と、前記押出部材を搬出方向に移動させる押出駆動部と、を有していてもよい。かかる構成によれば、搬出部が板材の表面に接することなく、板材を切断装置から搬出することができる。
【0010】
また、上記の切断装置において、前記搬送ユニットは、前記板材の下面と接して該板材を搬入する搬入コンベヤを有し、該搬入コンベヤは、前記切断ユニットよりも外側に位置するようにしてもよい。かかる構成によれば、搬入コンベヤは板材の下面に接した状態で板材を搬入するため、搬入時における位置ずれの発生を抑えることができる。さらに、搬入コンベヤは、切断ユニットよりも外側に位置することから、搬入コンベヤは板材のうち切り落とされる部分と接することになる。つまり、板材のうち製品として使用する部分には搬入コンベヤが接することはないため、搬入コンベヤによって板材に傷が入ったとしても実質的な問題は生じない。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、上記の板材の切断装置によれば、板材の流れを止めることなく、切断ユニットの位置替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る切断装置の概略図である。
図2図2は、第2実施形態に係る切断装置の概略図である。
図3図3は、図2に示す切断装置の平面図である。
図4図4は、図3に示すIV−IV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る切断装置について図を参照しながら説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0014】
(第1実施形態)
はじめに、図1を参照して、第1実施形態に係る切断装置100について説明する。図1は、切断装置100の概略図である。図1において、板材101は紙面奥に向かって搬送(搬入及び搬出)される。また、以下では、搬送方向に対して平行な方向を「前後方向」と称し、この前後方向に垂直な方向(紙面左右方向)を「幅方向」と称して説明する。
【0015】
図1に示すように、切断装置100は、切断ユニット10と、搬送ユニット20と、を備えている。
【0016】
切断ユニット10は、板材101を切断するユニットである。本実施形態では、切断装置100の幅方向両側に切断ユニット10が配置されている。各切断ユニット10は、切断カッター11と、受台12と、切断支持部13と、を有しており、これらが一体となって所定の切断位置に移動(位置替え)できるように構成されている。つまり、切断ユニット10は全体として、幅方向に移動できるように構成されている。
【0017】
切断カッター11は、いわゆるローラカッターであり、板材101を切断する部材である。切断カッター11は、板材101よりも上方に位置しており、上下方向に移動できるように構成されている。切断カッター11は、板材101を切断しないときには板材101から離れており、板材101を切断する際には下方に移動して板材101の上面と接する。そして、切断カッター11が板材101と接した状態で前後方向に移動することにより、板材101は切断される。
【0018】
受台12は、板材101よりも下方に位置しており、板材101を挟んで切断カッター11と対向するように配置されている。また、受台12は、切断カッター11の移動軌跡に沿うようにして、前後方向に延びている(図3参照)。さらに、受台12は、上下方向に移動できるように構成されている。受台12は、板材101を切断しないときには板材101から離れており、板材101を切断する際には上方に移動して板材101の下面と接する。これにより、板材101を切断する際、受台12は切断カッター11から受ける力に抗して板材101を支持することができる。
【0019】
切断支持部13は、板材101よりも下方であって、受台12の近傍に位置している。切断支持部13が受台12の近傍で板材101を支持することにより、板材101を水平な状態で切断することができる。切断支持部13は、断面が矩形である筒状の形状を有しており、前後方向に延びている(図3参照)。また、切断支持部13の上面には、複数の噴射孔14が形成されている。切断装置100の作動時には切断支持部13の内部に圧縮空気が供給され、圧縮空気は噴射孔14から板材101の下面に噴射される。これにより、切断支持部13と板材101との間に空気の膜が形成され、切断支持部13は板材101を非接触で支持することができる。
【0020】
搬送ユニット20は、板材101を切断装置100の切断作業が行われる位置まで搬入するとともに、切断された板材101を切断装置100から搬出するユニットである。本実施形態の搬送ユニット20は、支持ローラ21と、搬送コンベヤ22と、を有している。
【0021】
支持ローラ21は、板材101の下面に接しており、回転しながら板材101を支持する部材である。支持ローラ21は前後方向に列をなして並べられており、本実施形態では、切断装置100の幅方向中央付近に2列、各切断ユニット10の幅方向外側に1列ずつ、合わせて4列配置されている。
【0022】
搬送コンベヤ22は、切断装置100の幅方向両側に配置された切断ユニット10の間の2個所に配置されている。搬送コンベヤ22は、環状に形成され全体として前後方向に延びる無端ベルト23と、無端ベルト23を回転駆動する駆動モータ24とを有している。無端ベルト23は板材101の下面に接しており、無端ベルト23が板材101と接した状態で回転駆動することで、板材101は搬送方向に搬送される。
【0023】
以上が本実施形態に係る切断装置100の構成である。上記のとおり、本実施形態では、切断ユニット10を構成する切断カッター11、受台12、及び切断支持部13は、少なくとも切断ユニット10が位置替えを行うタイミングにおいて、板材101と接触することはない。そのため、切断装置100の搬送ユニット20に板材101を載せたまま切断ユニット10が位置替えを行ったとしても、板材101が傷つくこともなく、また、板材101が位置ずれすることもない。よって、本実施形態によれば、板材101の流れを止めることなく、切断ユニット10の位置替えを行うことができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、図2乃至図4を参照して、第2実施形態に係る切断装置200について説明する。本実施形態に係る切断装置200は、切断ユニット10の構成が第1実施形態と同じであるのに対し、搬送ユニット20の構成が第1実施形態と異なる。具体的には、本実施形態の搬送ユニット20は、板材101の中央部分と接しないように構成されている。以下、本実施形態の搬送ユニット20の詳細について説明する。
【0025】
ここで、図2は、本実施形態に係る切断装置200の概略図である。図1と同様に、図2の紙面左右方向が「幅方向」であり、紙面奥に向かって板材101が搬送される。また、図3は、本実施形態に係る切断装置200の平面図である。なお、図3では、切断カッター11は省略されている。図3の紙面左右方向が「幅方向」であり、紙面上下方向が「前後方向」であり、紙面上方に向かって板材101が搬送される。さらに、図4は、図3に示すIV−IV矢視図である。図4では、紙面左右方向が「前後方向」であり、紙面右方に向かって板材101が搬送される。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の搬送ユニット20は、搬送支持部25と、搬出部26と、搬入コンベヤ27と、を有している。
【0027】
搬送支持部25は、板材101よりも下方であって、切断装置100の幅方向中央付近の2個所に位置している。搬送支持部25の構成は、切断ユニット10を構成する切断支持部13と基本的に同じである。つまり、搬送支持部25は、断面が矩形の筒状の形状を有しており、前後方向に延びている。また、搬送支持部25の上面には、複数の噴射孔28が形成されている。切断装置100の作動時には搬送支持部25の内部に圧縮空気が供給され、圧縮空気は噴射孔28から板材101の下面に噴射される。これにより、搬送支持部25と板材101との間に空気の膜が形成され、搬送支持部25は板材101を非接触で支持することができる。
【0028】
搬出部26は、板材101を切断装置100から搬出する部分である。図3及び図4に示すように、搬出部26は、押出部材29と、押出駆動部30と、を有している。このうち押出部材29は、板状の部材であって、後述する無端ベルト31の表面に取り付けられている。他方、押出駆動部30は、前後方向に延びる環状の無端ベルト31と、無端ベルト31を駆動する駆動モータ32とを有している。駆動モータ32が駆動すると、無端ベルト31が回転し、無端ベルト31に取り付けられた押出部材29が搬出方向(図4では右方)に移動する。これにより、板材101の搬出方向とは反対側の端縁に押出部材29を接触させ、その状態で駆動モータ32を駆動すると、押出部材29によって板材101を搬出方向へ押し出すことができる。
【0029】
搬入コンベヤ27は、切断装置100の切断が行われる位置にまで板材101を搬入する装置である。搬入コンベヤ27は、第1実施形態の搬送コンベヤ22と同じ構成を有している。つまり、搬入コンベヤ27は、環状に形成され全体として前後方向に延びる無端ベルト33と、無端ベルト33を回転駆動させる駆動モータ34とを有している。他方、搬入コンベヤ27は、第1実施形態の搬送コンベヤ22と設置位置が異なる。つまり、搬入コンベヤ27は、切断ユニット10よりも幅方向外側に位置し、板材101の下面に接している。つまり、搬入コンベヤ27は、板材101のうち切り落とされる部分と接する。なお、板材101のうち搬入コンベヤ27と接する部分は切り落とされるが、板材101の搬出は上記の通り搬出部26によって行われる。
【0030】
以上が本実施形態に係る切断装置200の構成である。上記のように、本実施形態では、板材101の中央部分には切断ユニット10のみならず搬送ユニット20も接触しないように構成されている。そのため、板材101のうち製品として使用される部分は第1実施形態の場合と比べても傷が入りにくい。また、上記のように本実施形態では、板材101と接触する搬入コンベヤ27が板材101を切断装置100の所定の位置にまで搬入する。そのため、板材101の搬入時において位置ずれが生じにくく、その結果、板材101を適切な切断位置で切断することができる。さらに、板材101が切断された後においても、板材101の端縁で接触する押出部材29が板材101を搬出方向に押し出すため、板材101に傷が入ることもなく、板材101を切断装置100から確実に搬出することができる。
【0031】
以上、実施形態について図を参照して説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る切断装置は、板材の流れを止めることなく、切断ユニットの位置替えを行うことができるため、切断装置の技術分野において有益である。
【符号の説明】
【0033】
10 切断ユニット
11 切断カッター
12 受台
13 切断支持部
20 搬送ユニット
25 搬送支持部
26 搬出部
27 搬入コンベヤ
29 押出部材
30 押出駆動部
100、200 切断装置
101 板材
図1
図2
図3
図4