特許第5736037号(P5736037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736037
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ポータブル水素豊富水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20060101AFI20150528BHJP
   C25B 1/04 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C25B9/00 A
   C25B1/04
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-508974(P2013-508974)
(86)(22)【出願日】2011年3月21日
(65)【公表番号】特表2013-525612(P2013-525612A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】KR2011001922
(87)【国際公開番号】WO2011139019
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2013年10月28日
(31)【優先権主張番号】20-2010-0004635
(32)【優先日】2010年5月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512262422
【氏名又は名称】キム イルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】パク インチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム イルボン
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−167683(JP,A)
【文献】 特開2003−088737(JP,A)
【文献】 特開2000−093966(JP,A)
【文献】 特表2001−520573(JP,A)
【文献】 特開2005−270927(JP,A)
【文献】 特開2006−239674(JP,A)
【文献】 特開平06−086980(JP,A)
【文献】 特開平09−003679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00−15/08
C02F 1/46− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解して水素ガスを発生させ、水素豊富水を製造する装置において、
飲水カップ(100);
飲水カップ(100)の下部に設けられた水平型の電解セル(102);
飲水カップ(100)下部に設けられたセルカバー(101);
飲水カップ(100)を据え置くことができるタンクベース(103)
水のタンク(104)
タンク(104)に連通された給水管(105);
給水管(105)を介してタンクベース(103)に供給される電解用の水の水位を一定に維持するフロート弁(106)
電源装置(107);及び
飲水カップ(100)のフタ(200)を備え、
前記電解セル(102)は、高分子イオン交換樹脂膜(102−3)と、高分子イオン交換樹脂膜(102−3)を境に分離して構成された陰極(102−1)及び陽極(102−2)と、高分子イオン交換樹脂膜の両端に設けられたガスケット(102−4)とを含み、
電源装置(107)は、直流電源を陰極(102−1)と陽極(102−2)に供給し、
セルカバー(101)を飲水カップ(100)下部に設けることで飲水カップ(100)内の浄水が漏れず、
飲水カップ(100)がタンクベース(103)に据え置かれた際に、陽極(102−2)がタンクベース(103)内の水に浸ることを特徴とするポータブル水素豊富水製造装置。
【請求項2】
フタ(200)と一体に構成された溶存ディスク(201)をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のポータブル水素豊富水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動が容易なポータブル水素豊富水製造装置に関するもので、具体的に、陽極、陰極、高分子イオン交換樹脂膜等を含む電解セルを、分離が可能な飲水カップ下部に構成し、前記飲水カップを据え置くことができ、電解セルの陽極反応が発生するようにタンクベースとタンクから一定量の水が持続的に供給されるフロート弁を含み、電解セルに直流電流を印加するための電源装置を備える。飲水カップに浄水を注ぎ、タンクベースに取付けた後、電源を印加すると、電解セルはタンクベース内の水を電気分解し、タンクベース側の陽極では酸素が発生し、飲水カップ側の陰極では水素が発生し、飲水カップ内の浄水に水素ガスが短い時間内に溶存され、水素豊富水を製造することができる水素豊富水製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に水素を多く含んだ別名水素豊富水は、癌や糖尿病などの成人病予防及び治療効果が優れていると最近国内外で知られており、これに対する研究が継続して活発に進められている。これは、奇跡の水で有名なフランスのルルドの泉を始め、1990年以降その効果が知られ始めたドイツのノルデナウの水、メキシコのトラコテの水を分析した結果、共通して溶存水素濃度が0.3〜1ppmと、一般的な飲料水に比べて数百倍に達する溶存水素が豊富な水であることが明らかになったためである。(抜粋:水素水、今は水素水の時代 ジウンサン博士著、2009、健康新聞社発行)医学及び産業界では、このように各種成人病に特効がある水素豊富水を人為的に製造することができる方法を研究してきた。
【0003】
通常、水素豊富水を製造する方法は、水を電気分解して水素ガスを生成させ、これを水に溶存させる方法が高濃度の水素豊富水を製造する方法として知られている。図1は、出願番号10−2004−0110271の公開特許による電解式水素水生成装置として、水電解部2と給電装置3とで構成されている。水電解部2には、水道水を原水4として貯蔵する貯水容器5と、原水4を貯水容器5に供給する給水部6と、貯水容器5から水素水7を取り出す取水部8が設けられている。この発明によると、電解用電極11に矩形波の交流電圧を印加すると、電解質9の原水4が電気分解され、陽極に酸素ガス21が発生し、陰極に水素ガス22が両方の電解用電極11から交互に発生する。電解ガスは連通口23から浄水室10内を浮上するが、浮上初期の非常に微細な水素ガスを活性炭多孔質体12にほとんど吸着させ、活性炭多孔質体12の内部に強制的に充電され、給水弁16を開いて原水4を給水すると、活性炭多孔質体12中に貯蔵された電解ガスが水流に吸い込まれていき、原水4の中に強制溶解される。このように従来技術は、主に水素生成装置を個別に構成し、冷温水浄水器などと共に構成され、水素豊富水を製造、貯蔵する方式を採用しており、これは、装置が複雑になって製造コストが余分なだけでなく、電気分解によって生成された水素ガスと共に酸素ガスまで原水に溶存されている問題がある。つまり、水素豊富水の濃度を決定する溶存水素が、溶存酸素の電子の受け取りにより発生する活性酸素と反応して水分子に還元される過程が付加的に発生するため、結果的に溶存水素濃度を低下させることになる。
【0004】
したがって、構造が簡単で、水素豊富水製造後ただちに飲用することができるポータブル水素豊富水製造装置が求められ、これには、溶存水素と混ざらないように、溶存酸素を別々に分離させる方案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明は、前述した問題点を考慮し、溶存水素が発生するカソード反応と溶存酸素が発生する陽極反応を、高分子イオン交換樹脂膜で分離した電解セルを飲水カップ下部に構成し、前記飲水カップを据え置き、電解セルの陽極反応が発生するようにタンクベースとタンクベースに電解水を供給するためのタンクと、電解セルに直流電流を印加するための電源装置を簡単に構成し、前記飲水カップは水素豊富水を製造した後ただちにタンクベースから分離して飲用することができる、水素豊富水製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点による構成で、移動が可能な飲水カップ100;その下部に電解セル102;セルカバー101を含み、前記電解セル102は、陰極102−1;陽極102−2;高分子イオン交換樹脂膜102−3、ガスケット102−4;を含み、飲水カップ100を据え置くことができるタンクベース103;タンク104;給水管105;フロート弁106;電源装置107を含む。飲水カップ100内に浄水を注ぎ、タンクベース103上に取付けると、飲水カップ100下部の電解セル102の陰極102−1は、飲水カップ内の浄水に浸り、陽極102−2は、タンクベース内の水に浸り、タンクベースの水はタンク104から給水管105を介して給水され、フロート弁106の浄水位遮断機能によって常に一定の水位を維持する。電源装置107から電解セルに直流電源を印加すると、電気分解反応によって陰極で水素ガスが発生し、飲水カップ内の浄水に溶存され、陽極で酸素ガスが発生してタンクベース内の水に溶存されたり上部空間にガス状に分散して外気に流れ出て行く。このようにして飲水カップ内の浄水は、溶存水素を含む水素豊富水と変化し、使用者は、飲水カップを容易にタンクベースから脱着して飲用することができる。
【発明の効果】
【0007】
前述の通り、本発明のポータブル水素豊富水製造装置は、飲水カップ100と電解セルを一体型に構成し、別途原水供給、貯水、取水などの工程に必要な複雑な装置を必要としないシンプルな構造で水素豊富水を生成し、ただちに飲用でき、電解セル102の高分子イオン交換樹脂膜102−3を境に、水素ガスが発生する陰極102−1と酸素ガスが発生する陽極102−2を分離し、水素豊富水の溶存水素濃度を最大化することができる。また、タンク104、給水管105とフロート弁106の簡単な構造でタンクベース103の水が常に浄水位を維持することができ、電気分解反応で陽極による酸素及び次亜塩素酸、二酸化塩素などの酸化剤が発生するため、タンクベース内の水の汚染を防ぐことができる。
【0008】
本発明によると、水素豊富水を経済的な装置として生成させることができ、使用者の必要に応じて、水素豊富水の量と濃度を容易に選択して製造することができ、製造後ただちに飲水カップを着脱して飲用できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来の技術の電解式水素水生成装置の構成図である。
図2】本発明の一実施例によるポータブル水素豊富水製造装置の構成図である。
図3】本発明の一実施例によるポータブル水素豊富水製造装置の電解セルの断面図である。
図4】本発明の他の実施例によるポータブル水素豊富水製造装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述した目的、特徴及び利点は、添付された図面と関連した次の実施例を通してより明らかになる。以下、添付された図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。
【0011】
本発明の一実施例による水素豊富水製造装置は、図2のように、飲水カップ100;その下部に電解セル102;セルカバー101;及びフタ200;を含み、 前記電解セル102は、陰極102−1;陽極102−2;高分子イオン交換樹脂膜102−3;ガスケット102−4;を含み、飲水カップ100を据え置くことができるタンクベース103;タンク104;給水管105;フロート弁106;電源装置107を含む。また、電解セル102は、図3のように、高分子イオン交換樹脂膜102−3を境に陰極102−1と陽極102−2を分離して構成し、高分子イオン交換樹脂膜の両端にガスケット102−4を含み、セルカバー101を飲水カップ100下部に設置することで飲水カップ100内の浄水が漏れない。
【0012】
本発明の動作を詳しく説明すると、飲水カップ100内に飲用に適した浄水を注ぐと、飲水カップ100下部の陰極102−1は、飲水カップ内の浄水に浸かった状態であり、前記飲水カップ100をタンクベース103上に取付けると、電解セル102の陽極102−2は、タンクベース内の水に浸って、この時タンクベース内の水はタンク104から給水管105を介して給水されながらフロート弁106の浄水位遮断機能によって常に一定の水位を維持する。電源装置107は、通常数十ボルト以下の直流電流を発生し、電解セル102の陰極102−1と陽極102−2に直流を印加すると、次の電気分解反応が起こる。
(陽極)2HO(l)=O(g)+4e+4H(aq)
(陰極)4H(aq)+4e=2H(g)
【0013】
前記反応式により、陽極では酸素ガスが発生し、タンクベース内の水に溶存されたり、上部空間にガス状に分散して外気に流れ出てゆき、水に含まれている塩素成分が溶存酸素と結合して次亜塩素酸または二酸化塩素などの酸化剤が生成され、このような物質は殺菌力を持っているため、タンクベース103内の水が汚染されることを防止する。陽極反応で生成された溶存水素イオンは、高分子イオン交換樹脂膜を介して陰極に移動し、前記陰極102−1で電子を受け取り、水素ガスが発生し、水素ガスは水に対して溶解度が大きいため、飲水カップ100下部で気泡状に発生し、上部に上昇する途中でほとんど浄水に溶存し、水素豊富水を生成する。
【0014】
前記本発明は、前述した実施例及び添付された図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を外れない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能なことは、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明らかである。
【0015】
また、他の実施例は、図4に示すように、フタ200と一体に溶存ディスク201を構成し、これは水素気泡が陰極102−1で発生し、飲水カップ100の上部に上昇したときの到達時間を遅延させる作用をすることにより、水素の溶存濃度を高めることができる。溶存ディスク201の形状は、図4に示すように円錐形のディスク形式が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
身体の老化と多くの病気の原因が活性酸素であることが多くの科学的研究を通じて明らかになり、活性酸素を効果的に除去する抗酸化物質として、活性水素の役割が臨床学的に認められたことにより、活性水素水、つまり、水素豊富水に対する需要が増大している。よって、水素豊富水を家庭で製造することができる、簡単かつ効率的な装置が必要であり、純粋な活性水素のみが溶解され、水素豊富水製造後ただちに飲用することができる形式である必要がある。本発明は、前述した必要性を考慮して、溶存水素が発生するカソード反応と溶存酸素が発生する陽極反応を高分子イオン交換樹脂膜で分離した電解セルを飲水カップ下部に構成し、前記飲水カップを据え置き、電解セルの陽極反応が発生するようにタンクベースとタンクベースに電解水を供給するためのタンクと、電解セルに直流電流を印加するように電源装置を簡単に構成し、前記飲水カップは、水素豊富水を製造した後ただちにタンクベースから分離して飲用することができる水素豊富水製造装置を提供する。
【符号の説明】
【0017】
2 水電解部
3 給電装置
4 原水
5 貯水容器
6 給水部
7 水素水
8 取水部
9 電解質
11 電解用電極
12 多孔質体
21 酸素ガス
22 水素ガス
100 飲水カップ
101 セルカバー
102 電解セル
102−1 陰極
102−2 陽極
102−3 高分子イオン交換樹脂膜
102−4 ガスケット
103 タンクベース
104 タンク
105 給水管
106 フロート弁
107 電源装置
200 フタ
201 溶存ディスク
図1
図2
図3
図4