(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736041
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】活性硫黄化合物を含むウエハーの裏面被膜
(51)【国際特許分類】
C09J 163/00 20060101AFI20150528BHJP
C09J 201/02 20060101ALI20150528BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20150528BHJP
C09J 163/02 20060101ALI20150528BHJP
C09J 163/04 20060101ALI20150528BHJP
C09J 183/08 20060101ALI20150528BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20150528BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J201/02
C09J11/06
C09J163/02
C09J163/04
C09J183/08
C09J133/00
H01L21/52 E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-514232(P2013-514232)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2013-533339(P2013-533339A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】US2011039061
(87)【国際公開番号】WO2011156225
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】61/352,594
(32)【優先日】2010年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣
(72)【発明者】
【氏名】シャラド・ハジェラ
(72)【発明者】
【氏名】コン・ションチエン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ガーサ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・レオン
(72)【発明者】
【氏名】デュン・ギー・ファン
【審査官】
磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−199518(JP,A)
【文献】
特開平10−306263(JP,A)
【文献】
特開2002−080811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)エポキシ樹脂、
(ii)エチレン性不飽和基を含む樹脂と光開始剤、および
(iii)活性硫黄化合物を含
み、
前記活性硫黄化合物が、以下の構造を有するポリマーのメルカプタン−ペンダントシリコーンであり、nが5と500の間の整数であり、mが1から5の間の整数である、接着剤組成物。
【化1】
【請求項2】
前記エポキシ樹脂が、クレゾールノボラックエポキシ、フェノールノボラックエポキシ、およびビスフェノール−Aエポキシから成る群から選択される、請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂の量が、被膜の20〜40重量%である請求項2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂が、融点が80℃と130℃の間にある固体である請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項5】
さらに、前記エポキシ樹脂用の硬化剤を含む請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項6】
エチレン性不飽和基を含む前記の樹脂が、アクリル樹脂である請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記アクリル樹脂が、環の中に少なくとも1つの酸素を含む5員環または6員環を含み、粘度が50mPa・sより小さく、沸点が150℃より大きい請求項6記載の接着剤組成物。
【請求項8】
(i)前記エポキシ樹脂は、融点が80℃と130℃の間にある固体であり、(ii)エチレン性不飽和基を有する前記の樹脂の粘度が50mPa・sより小さく、沸点が150℃より大きく、および(iii)前記活性硫黄化合物が、以下の構造を有するポリマーのメルカプタン−ペンダントシリコーンであり、nが5と500の間の整数であり、mが1から5の間の整数である、請求項1記載の接着剤組成物。
【化2】
【請求項9】
硬化した被膜組成物で被覆された半導体ウエハーであって、該被膜組成物が、(i)融点が80℃と130℃の間にある固体エポキシ樹脂、(ii)粘度が50mPa・sより小さく、沸点が150℃より大きいアクリル樹脂、および(iii)以下の構造を有し、nが5と500の間の整数であり、mが1から5の間の整数である、ポリマーのメルカプタン−ペンダントシリコーンを含む、該半導体ウエハー。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2010年6月8日に出願された米国仮特許出願第61/352,594号の利益を主張するものであり、当該出願の開示内容は、出典明示によりすべて本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、半導体ウエハーの不活性面(裏面)の被膜であって、活性硫黄化合物を含む該被膜に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体パッケージにおける近年の進歩は、積層配置(2つまたはそれを超える半導体ダイを重ねて積層する)に、より薄いダイを用いることにより、パッケージの小型化をもたらした。このダイの積層は、省スペースにおける機能を増加させ、半導体パッケージ全体の小型化を可能とする。通常、ワイヤボンディング、成形、およびハンダリフロー等の作製作業の間、および最終使用の間、パッケージの一体性を確保するために、2つの半導体ダイの間に接着剤ペーストまたはフィルムを用いる。しかしながら、ダイが薄いと、作製工程のハンダリフロー工程における反りや剥離の影響を受け易くなる。リフロー処理を受け、その一体性と機能性を保持する、ペーストまたは液体のウエハー裏面被膜を用いて、反りや剥離を制御できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、半導体ウエハーの不活性面(裏面)に用いる被膜組成物であって、該被膜組成物が、(i)エポキシ樹脂、および必要に応じて該エポキシ樹脂用の硬化剤、(ii)エチレン性不飽和基を含む樹脂および該樹脂用の光開始剤、(iii)活性硫黄化合物、および(iv)必要に応じて非導電性フィラーを含む。1つの態様では、活性硫黄化合物は、ポリマーのメルカプタン−ペンダントシリコーンである。本発明の別の態様は、硬化した上記の被膜組成物で被覆された半導体ウエハーである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で用いているように、用語“Bステージ化”(およびその変形)は、材料が溶媒に溶解または分散している場合に、該材料の一部の硬化を伴いまたは伴うことなく溶媒を留去させる、あるいは材料が溶媒を含まずそのままの場合、該材料の一部が硬化して、粘着状態またはより硬化した状態になるようにする、熱または放射線照射による材料の処理を示すために用いられる。もし材料が流動性の接着剤であれば、Bステージ化は、完全に硬化させることなく非常に低い流動性を与えるので、物品同士を結合させるのに接着剤を用いた後、さらに硬化を行うことができる。溶媒の留去、樹脂またはポリマー、あるいは両方の一部の成長または硬化により、流動性の低下が達成される。
【0006】
本明細書で用いているように、用語“硬化剤”(curing agent)は、組成物の硬化を開始、伝播、または加速する材料または材料の組み合わせを指すのに用いられ、促進剤、触媒、開始剤、および硬膜剤(hardeners)を含むが、それらに限定されない。
【0007】
半導体ウエハーは、所定の産業用途に必要とされる種々のタイプ、大きさ、または厚さのものを用いてよい。
【0008】
本被膜組成物に用いるのに適したエポキシ樹脂は、固体であり、クレゾールノボラックエポキシ、フェノールノボラックエポキシ、ビスフェノール−Aエポキシ、およびフェノールと縮合環系とから成る骨格(例えばジシクロペンチエニル基)を含むグリシジル化樹脂から成る群から選択されるエポキシ類を含む。エポキシ樹脂の1つの態様は、融点が80〜130℃の固体である。別の態様では、エポキシ樹脂の量は、被膜の15〜40重量%である。
【0009】
適切なアクリル樹脂は、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ(アクリレート、1,10デカンジオール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリプロポキシレート(メタ)アクリレートから成る群から選択されるものを含む。
【0010】
他のアクリル樹脂は、共栄社化学社から入手できるポリペントキシレートテトラヒドロフルフリルアクリレート;サートマー社から入手できるポリブタジエンウレタンジメタクリレート(CN302、NTX6513)およびポリブタジエンジメタクリレート(CN301、NTX6039、PRO6270);根上化学社から入手できるポリカーボネートウレタンジアクリレート(アートレジンUN9200A);ラドキュアスペシャリティーズ社から入手できるアクリル化脂肪族ウレタンオリゴマー(エベクリル230、264、265、270、284、4830、4833、4834、4835、4866、4881、4883、8402、8800−20R、8803、8804);ラドキュアスペシャリティーズ社から入手できるポリエステルアクリレートオリゴマー(エベクリル657、770、810、830、1657、1810、1830);およびサートマー社から入手できるエポキシアクリレート樹脂(CN104、111、112、115、116、117,118、119、120、124、136)を含む。
【0011】
さらにアクリル樹脂は、単環アセタールアクリレート、環状アセタールを含む(メタ)アクリレート(例えば、サートマー社から入手できるSR531);THFアクリレート(例えば、サートマー社から入手できるSR285);置換シクロヘキシル(メタ)アクリレート(例えば、サートマー社から入手できるCD420);アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトキシプロピルメタクリレート、2−アセトアセトキシプロピルアクリレート、2−アセトアセタミドエチルメタクリレート、および2−アセトアセタミドエチルアクリレート;2−シアノアセトキシエチルメタクリレート、および2−アセトアセタミドエチルアクリレート;2−シアノアセトキシエチルメタクリレート、2−シアノアセトキシエチルアクリレート、N(2−シアノアセトキシエチル)アクリルアミド;2−プロピオニルアセトキエチルアクリレート、N(2−プロピオニルアセトキシエチル)メタクリルアミド、N−4−(アセトアセトキシベンジルフェニルアクリルアミド、エチルアクリロイルアセテート、アクリロイルメチルアセテート、N−エタクリロイルオキシメチルアセトアセタミド、エチルメタクリロイルアセトアセテート、N−アリルシアノアセタミド、メチルアクリロイルアセトアセテート、N(2−メタクリロイルメチル)シアノアセタミド、エチル−a−アセトアセトキシメタクリレート、N−ブチル−N−アクリロイルオキシエチルアセトアセタミド、モノアクリル化ポリオール、モノメタクリロイルオキシエチルフタレート、およびそれらの混合物を含む。
【0012】
1つの態様では、低粘度(<50mPa・s)で沸点が150℃より大きいアクリレートが選択される。特定の態様では、低粘度で高沸点のアクリレートは、環の中に少なくとも1つの酸素を含む5員環または6員環を含む。
【0013】
1つの態様では、アクリル樹脂は、被膜組成物の15〜50重量%である。
【0014】
エポキシ樹脂用の適切な硬化剤の量は、0より大きく50重量%までの範囲であり、限定されるものではないが、フェノール類、芳香族ジアミン類、ジシアンジアミド類、パーオキサイド類、アミン類、イミダゾール類、3級アミン類、およびポリアミド類を含む。適切なフェノール類は、スケネクタディインターナショナル社から市販されている。適切な芳香族ジアミン類は、1級アミン類であり、ジアミノジフェニルスルホンとジアミノジフェニルメタンが含まれ、シグマアルドリッチ社から市販されている。適切なジシアノジアミド類はSKWケミカルズ社から入手できる。適切なポリアミド類はエアープロダクツアンドケミカルズ社から市販されている。適切なイミダゾール類は、エアープロダクツアンドケミカルズ社から市販されている。適切な3級アミン類はシグマアルドリッチ社から入手できる。
【0015】
エチレン性不飽和基を有する樹脂の適切な硬化剤は、その量が0.1〜10wt%であり、特に限定されるものではないが、公知のアセトフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系およびパーオキサイド系の光開始剤のいずれかを含む。例として、ジエトキシアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、チオキサントン、2−エチルアントラキノン等を含む。BASF社により販売されている光開始剤のイルガキュアとダロキュアの系統が、有用な光開始剤の例である。
【0016】
活性硫黄化合物は、チオールとジチオエステルを含む。1つの態様では、活性硫黄化合物は、ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、イソプロピルキサンチンジスルフィド、およびメルカプタン−ペンダンドシリコーンポリマーから成る群から選択される。被膜組成物中の活性硫黄化合物の量は、0.1〜7重量%である。
【0017】
1つの態様では、活性硫黄化合物は、ポリマーのメルカプタン−ペンダントシリコーンである。メルカプタン−ペンダントシリコーンポリマーの1例は以下の構造式を有し、式中、nは5〜500の間の整数であり、繰り返し単位の重合体数を示し、mは1〜5の整数である。ポリマーのメルカプタン−ペンダントシリコーンの量は、被膜組成物の0.1〜7重量%である。
【0019】
フィラーを含んでもよい。いくつかの態様では、非導電性フィラーが存在する。適切な非導電性フィラーの例として、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、バーミキュライト、雲母、ウラストナイト、炭酸カルシウム、チタニア、砂、ガラス、硫酸バリウム、ジルコニウム、カーボンブラック、有機フィラー、および有機ポリマーを含み、該有機ポリマーは限定されるものではないが、ハロゲン化エチレンポリマー、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、および塩化ビニルを含む。
【0020】
別の態様では、導電性フィラーが存在する。適切な導電性フィラーの例として、カーボンブラック、グラファイト、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、およびアルミナを含む。特定の種類のフィラーが重要ではなく、応力緩和やボンドラインの調整等の所定の最終用途の要求に合わせて当業者により選択される。
【0021】
ボンド部のボンドラインの厚さを調整するために、配合の中にスペーサ材も含んでもよく、特定の用途の必要性に合わせて実施者により種類および量が選択される。
【0022】
フィラーは、選択された樹脂系および最終用途に適合するように実施者により決定された量が存在すればよく、一般的には組成物の10〜30重量%の範囲である。
【0023】
フィラーを含む場合、好ましくはフィラーは、平均粒径が2μmより大きく、単位ピークの粒径分布を示す球状である。粒径が小さくなり、2モード分布になると、許容できない程度の高いチキソトロピー指数の状態となる。
【0024】
他の添加剤、限定されるものではないが、接着促進剤、消泡剤、ブリード防止剤、レオロジーコントロール剤、およびフラックス剤が含まれ、その種類および量は当業者には公知であり、被膜配合の中に含有させてもよい。好ましい態様では、溶媒は用いない。
【0025】
被膜の厚さは、所定の製造用途に対する適切な保護、結合、または作業性に必要な厚さであればよく、一般的に12μm〜60μmである。1つの態様では、被膜の厚さは40μmである。
【0026】
産業界で用いられる種々の効果的な方法を用いてウエハー上に被膜を形成することができ、その方法には例えば、孔版印刷、スクリーン印刷、吹き付け処理(超音波法、圧電法、空気圧法)、ジェット処理(例えば熱または圧電(音響)ヘッドによる)、またはスピンコーティングがある。Bステージ硬化は、化学線照射または加熱により達成される。
【0027】
好ましい態様では、180nm〜800nmのパルス紫外線光源を用いて、全照射量0.01〜10J/cm
2を照射することにより被膜をBステージ化できる。適切なパルス紫外線光源は、キセノンランプ(キセノン社、マサチューセッツ州ウィルミントン)である。
【実施例】
【0028】
以下の表に示す成分を含む3種の接着剤組成物を調製した。軟化点85℃、エポキシ当量203のグリジジル化o−クレゾールホルムアルデヒドノボラックを、80℃でテトラヒドロフルフリルアクリレートの中に混合し、これに組成物の残りの成分を添加した。組成物には溶媒は用いなかった。光開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとから成る。メルカプタンペンダントシリコーンは、ジレスト社のペンダントメルカプタン基を有するポリマーシリコーンであり、分子量は4000〜7000である。溶融シリカは、5ミクロンに乾式ふるいされた球状粒子である。混合物は手で混合し、次いで3本ロールセラミックミルに4回通した。
【0029】
【表1】
【0030】
9mm×9mmのプレダイスされた15ミル(厚さ)のウエハーの上に、3種の配合物のそれぞれを厚さ40ミクロンまでスピン塗布した(別々に)。スピンの概略は、350RPMを20秒、1000RPMを30秒、次いで300RPMを5秒である。そのウエハーをダイシングテープを用いて第2の非ダイスのウエハーに接着させ、配合物に紫外線(フュージョン558432HUSA UVランプ、フュージョンUVシステム社製)を照射し、全照射量は1.7J/cm
2とした。
【0031】
プレカットされたダイをウエハーから取り外し、東レFC−100M熱圧着ボンダー(東レエンジニアリング社製)を用い、配合物に対する以下の最適ボンディング条件に基づいて平坦なBT基板の上に結合させた。
【0032】
【表2】
【0033】
基板/ダイの集合体を、炉の中で30分かけて昇温し、150℃で1時間硬化させた。
走査音響写真(SAMs)は、ソニックスUHR−2000装置(ソニックス社製)を用いて撮影した。基板/ダイの集合体を、湿潤炉に移し、85℃、湿度85%で24時間加熱した。次いで、基板/ダイの集合体を、260℃のリフロー炉に3回通した。SAMsをまた撮影した。
【0034】
最初の熱硬化の後、すべての3種の配合物は、結合は完全であり、剥離や空隙は認められなかった。24時間の85℃、湿度85%の処理およびリフローの後、チオールを含まないシリコーンを含む配合物Aは、6個の試料ダイの内の6個が大きな剥離を示し;チオール含有シリコーンを0.2%含む配合物Bは、6個の試料ダイの6個とも欠陥を示していなかった。チオール含有シリコーンを0.4%含む配合物Cは、6個の試料ダイの内の1個が小さな剥離を示した。データは、メルカプタンの存在が剥離の抑制に有効なことを示している。