(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1隆起部は、前記静止した前記カードの前記カード先端位置と前記第1隆起部の前記頂上を結ぶ線分の長さが前記カードの長さより短くなるよう、前記カード案内面から隆起している請求項1に記載のカード取扱装置。
前記透過経路は、前記損傷予想箇所を経由するよう前記カードガイドまたは前記第1隆起部に埋設された透光性材料から形成されている請求項4に記載のカード取扱装置。
前記カード案内面を挟んで対向するよう前記カード案内面より上方に隆起し、前記第1隆起部と共に前記カード案内面を三方で取り囲む第2隆起部を有する請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のカード取扱装置。
前記カード挿入孔から前記第1隆起部の内壁面に到るまでの前記カード案内面の寸法は、前記カード挿入孔に向かうカード進行方向に沿った前記カードの寸法の1.05〜1.2倍とされている請求項1ないし請求項12いずれかに記載のカード取扱装置。
前記カード挿入孔の開口状況を検知する第4センサーを備え、該第4センサーは、前記検知した開口状況が予め定めた所定の開口状況と相違すると、該所定の開口状況の場合と異なるセンサー出力を発する請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のカード取扱装置。
前記第5センサーは、前記対向する前記第2隆起部の間において前記カード上方位置で光透過経路を形成する光透過型センサーとされている請求項15に記載のカード取扱装置。
前記対向する前記第2隆起部は、前記カード案内面の側の内壁に前記光透過経路と直交して光透過を許容する壁面部位を備え、該壁面部位を前記カード案内面を挟んで対向させている請求項16に記載のカード取扱装置。
前記対向する前記第2隆起部は、前記カード案内面を挟んで対向する前記壁面部位を複数対備え、少なくとも一対の前記壁面部位について前記光透過型センサーの前記第5センサーを有する請求項17に記載のカード取扱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの対処手法によってもスキミングの防止は可能であるが、スキミングは不正な意図をもってなされることから、その意図を削ぐには、多種多様なスキミング対処手法を提案することが要請されている。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、スキミングの意図を削ぎ得る新たな対処手法を提案することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。
【0008】
[適用1:カード取扱装置]
カードの取扱を行うカード取扱装置であって、
カード挿入孔への前記カードの挿入案内と前記カード挿入孔からの前記カードの排出案内を行うためのカード案内面を、前記カード挿入孔から見て装置前方側に形成するカードガイドと、
前記カード挿入孔と対向する側で前記カード
案内面より上方に隆起し、前記カード挿入孔に向かうカード進行方向に沿った前記カードの動作範囲を前記カード案内面において制限する第1隆起部とを備える
ことを要旨とする。
【0009】
上記構成のカード取扱装置によれば、次の利点がある。
【0010】
スキミング機器での情報読み取りは、例えば、磁気ストライプでの磁気的記録であれば、カードがカード挿入孔に向かってカード案内面に挿入案内される際に、カードの磁気ストライプの全域に亘るスキミング機器の接触が必要となる。ICチップ方式の記録であれば、ICチップとスキミング機器との接触が必要となる。このため、スキミング機器による情報の不正読み取りを意図する者(以下、この者をスキミング行為者と称する)は、磁気ストライプの全域に亘る接触ができる領域にスキミング機器を設置しようとする。
【0011】
ところで、通常、カード挿入孔に挿入されたカードは、装置内の搬送機器により装置内に搬送され、その後、この搬送機器によりカード挿入孔から排出されて、カード案内面において静止する。この静止位置は、搬送機器の特性により定まるものの、カード挿入孔から静止位置におけるカード先端までの領域(挿入孔側領域)においてカード案内面が平面でないと、カード挿入孔から排出が阻害される。このため、上記の挿入孔側領域にはスキミング機器が設置し難くなるので、スキミング行為者は、この挿入孔側領域を避けた上で磁気ストライプの全域に亘る接触ができる領域にスキミング機器を設置しようとする傾向がある。ICカードのついても同様である。
【0012】
上記構成のカード
取扱装置では、カード挿入孔に向かうカード進行方向に沿ったカードの動作範囲を第1隆起部によりカード案内面において制限するので、カードの磁気ストライプの全域に亘る接触を確保した上でのスキミング機器の設置可能域、および、ICチップとの接触を確保した上でのスキミング機器の設置可能域についても、これらをカード案内面において制限できる。しかも、仮にスキミング機器が設置されたとしても、そのスキミング機器は、上記した挿入孔側領域を除くカード案内面への設置もしくはカード案内面への埋込設置となり、その設置位置も、磁気ストライプ或いはICチップの形成箇所に限定される。このため、スキミング行為者は、こうして制限された領域にスキミング機器を設置せざるを得ないので、スキミング行為者に対して心理的にスキミング機器設置を躊躇させることが可能となる。また、上記のように制限されたスキミング機器の設置可能域について、ユーザーに注意を喚起すれば、ユーザーによるスキミング機器設置の判別が容易となる。当然に、装置保守要員によるスキミング機器設置の判別も容易である。加えて、仮にカード案内面にスキミング機器が設置されたとしても、その設置済みスキミング機器は、カード案内面上方側から視認され、ユーザーや装置保守要員に違和感を抱かせる。これらの点からも、上記構成のカード
取扱装置によれば、スキミング行為者に対して心理的にスキミング機器設置を躊躇させることが可能となる。
【0013】
上記したカード
取扱装置は、次のような態様とすることができる。例えば、前記カード案内面を挟んで対向するよう前記カード案面より上方に隆起した第2隆起部を備え、この第2隆起部と第1隆起部とでカード案内面を三方で取り囲むようにできる。この態様のカード
取扱装置は、カード案内面をその三方で取り囲む第1、第2の隆起部により、カード案内面の上方側を開放してカード案内面へのカード載置をカード案内面上方側に制限する。しかも、カード案内面を挟んで対向する第2隆起部により、カード挿入孔に向かうカード進行方向と交差する方向についても、カードの動作範囲を制限する。このため、スキミング機器の設置可能域をより厳しく制限できるので、注意喚起を経たユーザーによるスキミング機器設置の判別がより容易となると共に、スキミング機器設置を心理的に躊躇させる実効性が高まる。
【0014】
そして、前記第1、第2の隆起部を、前記カードガイドと一体とすることができ、こうすれば、その製造が簡便となる。
【0015】
また、前記第2隆起部に、該隆起部上端から前記カード案内面に達する切欠を有するようにできる。こうすれば、ユーザーは、カードを把持した指を切欠に差し入れてカードをカード案内面にその上方から載置したり、当該案内面からカードを把持して持ち上げることができる。よって、ユーザーによるカード取扱の簡便化を図ることができる。
【0016】
また、前記カード挿入孔から前記第1隆起部の内壁面に到るまでの前記カード案内面の寸法を、前記カード挿入孔に向かうカード進行方向に沿った前記カードの寸法の1.05〜1.2倍とすることができる。こうすれば、カード案内面にカードを載置して当該カードをカード挿入孔に挿入する場合、カードの磁気ストライプの全域について情報読み取りが可能な領域、即ちスキミング機器設置可能域を確実に狭めることで、スキミング機器設置を心理的に躊躇させる実効性を高めることができる。上記したカードの寸法は、概ね86mm程度であることから、案内面の上記寸法は、このカード寸法より4.3mm〜17.6mm程度長くなることになる。
【0017】
また、第1隆起部のカード案内面からの隆起の様子を次のようにすることができる。まず、前記カード挿入孔から排出搬送されて静止した前記カードの前記カード案内面におけるカード先端位置から前記第1隆起部の頂上に掛けてカード様のプレートを配設した場合の該プレートが前記カード案内面となす角度θ1と、前記静止して前記カード挿入孔に位置する前記カードをカード先端が前記カード案内面から離れるよう傾斜させたときに前記カードが前記カード案内面となす
角度θ2とを想定する。そして、前記角度θ1が前記角度θ2より大きくなるよう、前記第1隆起部を前記カード案内面から隆起せせることができる。こうすれば次の利点がある。
【0018】
カード案内面から第1隆起部を隆起させたカードガイドに装着可能なスキミング機器としては、カード挿入孔の側に向けて傾斜した傾斜面に情報読取部を備えたスキミング機器が想定でき、当該スキミング機器はカード案内面に装着される。この場合、スキミング機器が傾斜面の下端をカード挿入孔の側の既述した挿入孔側領域に位置させれば、カード挿入孔から静止位置までのカード排出が阻害されるので、スキミング機器の装着が容易に判別される。このため、傾斜面を有するスキミング機器は、傾斜面下端が排出搬送されて静止したカード先端位置と一致、もしくは当該位置よりも第1隆起部の側となるように、カード案内面に装着されることになる。こうして装着されたスキミング機器の傾斜面のなす角度は、上記したプレートがカード案内面となす角度に相当する。そして、この角度θ1を、静止したカードをカード先端がカード案内面から離れるよう傾斜させたときにカードがカード案内面となす
角度θ2より大きくすると、スキミング機器の傾斜面からカード挿入孔に挿入されるカードは、カード後端が傾斜面に乗り、カード先端がカード案内面であることから、カード挿入孔へのカード挿入に支障が起き、ユーザーに違和感を付与できる。また、カードは傾斜面から離れるので、磁気ストライプ全長に亘るスキミングは困難となる。この結果、スキミング機器設置を心理的に躊躇させる実効性を高めることができる。
【0019】
このように角度規定を行った上での前記第1隆起部の隆起と並行して、前記静止した前記カードの前記カード先端位置と前記第1隆起部の前記頂上を結ぶ線分の長さが前記カードの長さより短くなるよう、前記カード案内面から第1隆起部を隆起させることができる。こうすれば、上記したスキミング機器の傾斜面は、カード長さより短くなるので、この傾斜面に情報読取部を設けでも、磁気ストライプ全長に亘るスキミングをできなくできる。そして、仮に、この傾斜面が延長されれば、傾斜面は第1隆起部を乗り越えるようになるので、ユーザーおよび装置保守要員に違和感を付与できる。
【0020】
また、前記カードガイドまたは前記第1隆起部の少なくとも一方に損傷が起きた際に、該損傷のない場合と異なるセンサー出力を発する第1センサーを有するようにできる。こうすれば次の利点がある。
【0021】
上記構成およびそれぞれの態様のカード取扱装置では、既述したようにカード挿入孔に向かうカード進行方向に沿ったカードの動作範囲を第1隆起部によりカード案内面において制限するので、この第1隆起部がなければスキミング機器の設置が危惧され、カードガイドについては、カード案内面自体へのスキミング機器の埋設設置が危惧される。よって、敢えてスキミング機器を設置しようとすれば、スキミング行為者は、第1隆起部を損傷させてスキミング機器を設置し、その後に第1隆起部に擬制した機器復元を図る。或いは、カード案内面にスキミング機器埋設後、案内面の修復を図る。このいずれの場合も、一旦はカードガイド或いは第1隆起部の損傷を引き起こすので、上記態様によれば、第1センサーにて、スキミング機器設置に関連する損傷の有無を検知できる。このため、センサー出力により、異常報知等の種々の対処が取り得る。
【0022】
この場合、前記第1センサーを光透過型センサーとした上で、該光透過型センサーにおける光の透過経路を、前記カードガイドまたは前記第1隆起部の少なくとも一方において損傷が予想される損傷予想箇所を経由して形成し、その形成した透過経路を遮光性材料にて覆うようにできる。こうすれば、透過経路への外光導入を抑制できるので、スキミング機器設置に関連する損傷の有無の検知感度を向上できる。そして、前記透過経路を、前記損傷予想箇所を経由するよう前記カードガイドまたは前記第1隆起部に埋設された透光性材料とすれば、検知感度をより向上できる。
【0023】
また、前記カード案内面に載置された前記カードが有する磁気ストライプと合致する位置において前記カード案内面の損傷が起きた際に、該損傷のない場合と異なるセンサー出力を発する第2センサーを有するようにできる。こうすれば、カード案内面へのスキミング機器埋設に関連する損傷の有無を容易に検知できる。この前記第2センサーについても、これを光透過型センサーとした上で、該光透過型センサーにおける光の透過経路を、前記磁気ストライプに沿うよう前記カード案内面の下方側に形成し、その形成した透過経路を遮光性材料にて覆うようにできる。こうすれば、透過経路への外光導入を抑制できるので、カード案内面へのスキミング機器埋設に関連する損傷の有無の検知感度を向上できる。そして、前記透過経路を、前記カード案内面の下方側に埋設された透光性材料とすれば、検知感度をより向上できる。
【0024】
また、前記カード案内面に案内されて前記カード挿入孔に挿入される際の前記カードの移動状況(以下、カード移動状況と称する)を検知する第3センサーを備え、該第3センサーを、前記検知したカード移動状況が予め定めた所定のカード移動状況と相違すると、該所定のカード移動状況の場合と異なるセンサー出力を発するようにできる。こうすれば、カード移動状況が所定のカード移動状況とならないようなスキミング機器がカード案内面に設置された可能性を検知できるので、センサー出力により、異常報知等の種々の対処が取り得る。
【0025】
また、前記カード挿入孔の開口状況を検知する第4センサーを備え、該第4センサーを、前記検知した開口状況が予め定めた所定の開口状況と相違すると、該所定の開口状況の場合と異なるセンサー出力を発するようにできる。こうすれば、カード挿入孔の開口状況が所定の開口状況とならないようなスキミング機器がカード挿入孔に設置された可能性を検知できるので、センサー出力により、異常報知等の種々の対処が取り得る。
【0026】
また、前記対向する前記第2隆起部に設置された第5センサーと、該第5センサーのセンサー出力を受け取って処理する出力処理部とを備えた上で、第5センサーにて、前記カード案内面に載置された前記カードと干渉しないカード上方位置において、前記カード案内面における前記カード以外の異物の有無を検知し、出力処理部にて、前記第5センサーの出力が定常のカード取扱の際のセンサー出力状況と相違すると、前記カード案内面に前記異物が設置済みである可能性を示す出力を発するようにすることもできる。こうすれば、次の利点がある。
【0027】
カード案内面へのカード載置がない非取扱状況下では、第5センサーは、通常、何も検知することはないので、出力処理部は、検知無しの定常的なセンサー出力を受ける。また、カード案内面にカードが載置されてカード取扱が行われる取引状況下では、カード載置に伴ってユーザーの指などがカード案内面の上に置かれることが有り得るため、ユーザーの指が第5センサーにて異物として検知されることが有り得る。ところが、カード挿入孔へのカード挿入完了やカード取引自体の完了に伴いユーザーの指は取り除かれるので、第5センサーによる指(異物)検知は一時的となりその後に消失する。こうした第5センサーの出力状況、即ち上記した非取引状況下での検知無しの定常的なセンサー出力、および、一時的な検知出力とその後の消失は、定常のカード取扱の際のセンサー出力状況と擬制できる。
【0028】
しかしながら、仮にカード案内面にスキミング機器が装着されたとすると、第5センサーは、非取引状況下と取引状況下とに拘わらず検知有りのセンサー出力を継続して出すことになる。このため、出力処理部は、この継続的な検知有りのセンサー出力を受けて、カード案内面にスキミング機器等の異物が設置済みである可能性を示す出力を発するので、この出力を経て、異常報知等の種々の対処が取り得る。
【0029】
この場合、前記第5センサーについては、これを前記対向する前記第2隆起部の間において前記カード上方位置で光透過経路を形成する光透過型センサーとすることできる。その上で、前記対向する前記第2隆起部については、これを前記カード案内面の側の内壁に前記光透過経路と直交して光透過を許容する壁面部位を備え、該壁面部位を前記カード案内面を挟んで対向させるようにできる。こうすれば、光の透過経路を確保できるので、検知感度の低下を抑制できる。また、壁面部位は、第2隆起部の他の箇所の内壁と相違した外観となるので、スキミング行為者に異物検知がなされていることを認知させるので、スキミング機器設置を心理的に躊躇させる実効性を高めることができる。
【0030】
そして、前記対向する前記第2隆起部において、前記カード案内面を挟んで対向する前記壁面部位を複数対備えつけ、少なくとも一対の前記壁面部位について前記光透過型センサーの前記第5センサーを有するようにできる。こうすれば、スキミング行為者に異物検知が複数箇所でなされていることを認知させるので、スキミング機器設置を心理的に躊躇させる実効性をより高めることができる。
【0031】
また、前記カード挿入孔に挿入された前記カードを装置内に搬送する挿入搬送と前記カードを前記カード挿入孔から排出して前記カード案内面において静止させる排出搬送とを行うカード搬送部に掛かる負荷を検知する第6センサーを備え、該第6センサーを、前記検知した負荷が定常の前記排出搬送の際の負荷に比べて増大すると、前記定常の前記排出搬送の場合と異なるセンサー出力を発するようにできる。こうすれば、次の利点がある。
【0032】
カードの挿入搬送およびその後の排出搬送に際しては、既述したように挿入孔側領域においてカード案内面が平面でないと、カード挿入孔から排出が阻害される。このため、上記の態様によれば、第6センサーの検知負荷増大を通してカード挿入孔からのカード排出の阻害有無、延いてはカード案内面が平面とならないようなスキミング機器がカード案内面に設置された可能性を検知できるので、センサー出力により、異常報知等の種々の対処が取り得る。
【0033】
また、前記第2隆起部を、前記第1隆起部の側にカードを把持したユーザーの手が入り込む開口を残して覆うようにすることもできる。こうすれば、カード案内面へのスキミング機器設置を意図する作業領域を制限できるので、スキミング機器設置が困難となり、スキミング行為者に対して心理的にスキミング機器設置を躊躇させることが可能となる。
【0034】
さらに、本発明は、種々の形態で実現可能であり、例えば、上記したカード
取扱装置を有する現金自動取引装置や、現金自動取引装置にいわゆる後付け設置可能なカード
取扱装置として適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。
図1は本実施例にかかるカード取扱ユニット200を搭載した現金自動取引装置100の外観を示す斜視図、
図2は現金自動取引装置100の電気的な構成を概略的に示すブロック図である。現金自動取引装置100は、銀行などの金融機関によって管理され、ユーザー(顧客)の操作に応じて各種取引を行うための装置である。この現金自動取引装置100は、上記の各図に示すように、装置本体100Bに、紙幣取扱ユニット101と、硬貨取扱ユニット102と、通帳取扱ユニット103と、明細票取扱ユニット104と、顧客操作ユニット105と、カード読取ユニット130と、電源ユニット107と、通信ユニット108と、主制御ユニット120とを備える。主制御ユニット120は、現金自動取引装置100の全体の制御を司り、相互のデータ送信が可能なバス110にて、紙幣取扱ユニット101等との間でデータの送受信を行い、これら各ユニットを統括制御する。
【0037】
紙幣取扱ユニット101は、装置本体100B内の図示しない紙幣収納庫と装置テーブル100T(
図1参照)の現金授受ユニット111との間で紙幣搬送を行いつつ、現金授受ユニット111にてユーザーに対して紙幣の授受を行う。硬貨取扱ユニット102は、装置本体100B内の図示しない硬貨収納庫と現金授受ユニット111との間で硬貨搬送を行いつつ、現金授受ユニット111にてユーザーに対して硬貨の授受を行う。現金授受ユニット111は、装置テーブル100Tに図示しない開閉シャッターを備え、当該シャッターの開閉を経て、ユーザーからの紙幣や硬貨受入とこれらのユーザーへの受け渡しを行う。通帳取扱ユニット103は、通帳挿入孔112から挿入された通帳の受け取りと払い出しを行うほか、取引に応じて、通帳に記されたマークなどの読み取りや、印字処理などを行う。
【0038】
明細票取扱ユニット104は、ユーザーの所望したカード取引の記録、例えば取扱時間や金額等を記録した取引明細票を作成し、当該明細表を発行口113からユーザーに排出する。顧客操作ユニット105は、装置本体100Bの正面ユニット100Fに組み込まれたタッチパネル式のインタフェースであり、ユーザーによる画面操作の受け付けや入出金取引のための情報表示を行う。カード読取ユニット130は、カード挿入孔114から挿入された磁気ストライプカード(いわゆるキャッシュカード、以下、カードKと称する)の装置内への搬送や、カード挿入孔114からのカードKの排出搬送を行うと共に、カードKに記録された情報の読み取りを行う。この際、カード読取ユニット130は、フリッカーランプ115の点灯制御を介して、ユーザーにカード挿入孔114へのカードKの挿入の誘導や、カード挿入孔114から排出されたカードKの取出の誘導を図る。通信ユニット108は、金融機関各店舗に設置される現金自動取引装置100の図示しないホストコンピューターとネットワーク回線NW(例えば、インターネット)を介して接続され、ホストコンピューターからの指令を主制御ユニット120に受け渡したり、主制御ユニット120の演算結果、具体的には保管紙幣・硬貨の残金や、異常発生の信号等をホストコンピューターに送信する。
【0039】
次に、カード取扱ユニット200について詳述する。
図3はカード取扱ユニット200の外観を概略的に示す斜視図、
図4はカード取扱ユニット200を平面視して示す説明図、
図5は
図4における5−5線に沿った概略拡大断面図である。
【0040】
図示するように、カード取扱ユニット200は、現金自動取引装置100の正面ユニット100Fのカード挿入孔114を挟んでカード読取ユニット130(
図5参照)と対向する。カード読取ユニット130は、カード挿入孔114から装置内部に到るカード搬送路132を備え、当該搬送路に、搬送ローラー134と、磁気ヘッド136と、カード検知センサー138とを有する。搬送ローラー134は、正逆回転可能に構成され、カード挿入孔114に挿入されたカードKを装置内に搬送する挿入搬送とカードKをカード挿入孔114から排出してカード案内面204において所定の静止位置に静止させる排出搬送とを行う。なお、こうしたカード搬送については後述する。磁気ヘッド136は、カードKの磁気ストライプに接触して、磁気的に記録済みの情報を読み取る。カード検知センサー138は、カード挿入孔114からのカードKの挿入を検知し、その検知信号を主制御ユニット120に送信する。
【0041】
カード取扱ユニット200は、正面ユニット100Fから突出したカードガイド202を備える。このカードガイド202は、カード挿入孔114へのカードKの挿入案内とカード挿入孔114からのカードKの排出案内を行うカード案内面204を、カード挿入孔114から見て装置前方側に延ばして形成する。この場合、カード案内面204は、その上面が、カード挿入孔114の開口下端、および、カード挿入孔114に繋がるカード搬送路132の上面といわゆる面一とされている。そして、カード挿入孔114は、カード案内面204の側を傾斜入口面114aとし、この傾斜入口面114aは、カード案内面204に対して所定の角度θ2の角度で傾斜している。
【0042】
カード取扱ユニット200は、第1隆起部206と、第2隆起部208とを備え、第1隆起部206は、カード挿入孔114と対向する側でカード案内面204より上方に隆起する。第2隆起部208は、カード案内面204を挟んで対向するようカード案内面204より上方に隆起し、第1隆起部206と一体に繋がって当該隆起部と共にカード案内面204を三方で取り囲む。これにより、カード取扱ユニット200は、カード案内面204を底面とし、これを第1隆起部206と第2隆起部208で取り囲んで上方が開放したカード凹所209を形成する。よって、カード案内面204へのユーザーによるカードKの載置は、カード凹所209の解放側、即ちカード案内面204の上方側からの動作によるものに制限される。そして、カード取扱ユニット200は、第1隆起部206により、カード挿入孔114に向かうカード進行方向に沿ったカードKの動作範囲をカード案内面204において制限すると共に、第2隆起部208によって、カード挿入孔114に向かうカード進行方向と交差する方向についても、カードKの動作範囲を制限する。こうした動作制限を起こす第1隆起部206と第2隆起部208とは一体であることから、その製造、例えば型成型において型形状が簡便となり、製造も容易となる。
【0043】
また、カード取扱ユニット200は、第2隆起部208のほぼ中央箇所に切欠210を有する。この切欠210は、第2隆起部208の上端からカード案内面204に達するよう形成され、カード案内面204に陥没形成された凹所211と繋がっている。
【0044】
次に、カード取扱ユニット200とカードKとの関係、およびカード取扱ユニット200を用いたカード取扱について説明する。
図6はカードKを併記したカード取扱ユニット200の平面図、
図7はカード挿入孔114へのカード挿入までのカード取扱の様子を示す説明図、
図8はカード挿入孔114からのカード排出以降のカード取扱の様子を示す説明図である。
【0045】
図示するように、カード取扱ユニット200は、カード挿入孔114から第1隆起部206の内壁面に到るまでのカード案内面204の寸法204Lを、カード挿入孔114に向かうカード進行方向に沿ったカードKの寸法、即ちカード長の1.06倍とした。また、カード案内面204を挟んで向かい合う第2隆起部208の内壁間距離についても、これを、カードKの幅の1.1倍とした。つまり、カード取扱ユニット200は、カード凹所209におけるカードKの動作範囲を上記寸法にて厳しく制限する。そして、カードKの取扱は次のようになる。なお、カードKの寸法は、概ね86mmであることから、カード案内面204の寸法204Lは約8.6mm、カードKの寸法より長くなる。この場合、カードKの寸法が86mmより大きいときには、カード寸法より、8.6mm〜25mm程度、カード案内面204の寸法204Lを長くするようにすることもできる。
【0046】
まず、
図7に示すように、ユーザーは、指で把持したカードKをカード案内面204のほぼ真上から真っ直ぐ、或いは、カード凹所209の開口周囲から斜めに、カードKをカード凹所209のカード案内面204に載置する(ステップS1)。この場合、ユーザーはカードKを把持した指を切欠210に差し入れてカードKをカード案内面204にその上方から容易に載置でき、カード取扱が簡便である。次に、ユーザーは、カード案内面204に載置済みのカードKをカード挿入孔114に向けて指で押して、カードKをカード挿入孔114に挿入する(ステップS2)。この際、カード案内面204は、カード挿入孔114へのカードKの挿入案内機能を果たし、ユーザーは、カードKが搬送ローラー134に達するまでカードKを挿入する。
【0047】
こうしてカード挿入がなされると、カード読取ユニット130は、搬送ローラー134にてカードKを装置内に搬送し、磁気ヘッド136にて磁気情報を読み取る。ユーザーが所望する現金取引が終了すると、
図8に示すように、カード読取ユニット130は、搬送ローラー134にてカードKをカード挿入孔114からカード案内面204に排出し、所定の静止位置SPにカードKを静止させる。こうして静止位置SPまでのカード排出がなされると、ユーザーは、カードKを指先で押しつつカード挿入孔114からカードKを引き出し(ステップS3)、その後、切欠210に指を入れてカードKを把持し、そのカードKをカード凹所209から持ち上げて取り除く(ステップS4)。このカード取り除きにあっても、切欠210に指を差し入れることができるので簡便である。
【0048】
以上説明した本実施例のカード取扱ユニット200によれば、次の利点がある。
図9はスキミング機器を設置しようとする場合の制限の様子を示す説明図である。
【0049】
図示するように、カードKは、カード読取ユニット130により静止位置SPに静止するまでカード挿入孔114から排出搬送されるので、カード挿入孔114から静止位置SPまでの領域においてカード案内面204に異物、例えばスキミング機器が設置されると、上記の排出搬送が阻害される。よって、カード挿入孔114から静止位置SPまでの領域については、スキミング機器が設置し難い設置不能域SNとできる。
【0050】
その上で、本実施例のカード取扱ユニット200は、第1隆起部206と第2隆起部208で形成したカード凹所209により、カード挿入孔114に向かうカード進行方向に沿ったカードKの動作範囲をカード案内面204において厳しく制限する。このため、カードKの磁気ストライプの全域に亘る接触を確保した上でのスキミング機器の設置可能域を、カードKより僅かに広いだけのカード案内面204においてより確実に制限できる。しかも、仮にスキミング機器が設置されたとしても、そのスキミング機器は、
図9に示す設置不能域SNを除くカード案内面204への設置もしくはカード案内面204への埋込設置となり、その設置位置も、
図6に示すように磁気ストライプMSと合致する設置可能域SKに限定される。このため、本実施例の200によれば、こうして制限された領域にスキミング機器を設置せざるを得ないようにすることができるので、心理的にスキミング機器設置を躊躇させることができる。また、上記のように制限されたスキミング機器の設置可能域SKについて、ユーザーに注意を喚起すれば、ユーザーによるスキミング機器設置の判別が容易となる。この場合の注意喚起としては、例えば「カード案内面の設置可能域SKに異物や異なる文様があれば、ご利用をお控えの上、保守部門にご連絡をお願いします」等の注意喚起文を記載したラベルをカード取扱ユニット200の近傍に貼ったり、顧客操作ユニット105に注意喚起文を表示する。この場合、現金自動取引装置100の現金補充や保守点検を行う装置保守要員にあっては、設置可能域SKにおけるスキミング機器設置の判別を容易に行うことができる。
【0051】
また、仮にカード案内面204の上記した設置可能域SKにスキミング機器が設置されたとしても、その設置済みスキミング機器は、カード案内面204の上方側、即ちカード凹所209の開口側から視認され、ユーザーや装置保守要員に違和感を抱かせる。これらの点からも、本実施例のカード取扱ユニット200によれば、スキミング機器設置を心理的に躊躇させることができる。
【0052】
図10は仮にスキミング機器SMが設置された場合の情報読み取り回避の様子を示す説明図である。本実施例のカード取扱ユニット200に装着可能なスキミング機器SMとしては、
図10に示すように、カード挿入孔114の側に向けて傾斜した傾斜面に情報読取部SSを備えたものが想定でき、このスキミング機器SMはカード凹所209に入り込んでカード案内面204に載置装着され得る。この場合、スキミング機器SMが傾斜面の下端を
図9に示す設置不能域SNに位置させれば、搬送ローラー134によるカード排出搬送により、カードKは、カード先端が上記の傾斜面下端に乗り上がるようカード挿入孔114を境に曲がりながら排出される。よって、カード搬送負荷が増して、カード挿入孔114から静止位置SPまでのカード排出が阻害されるので、スキミング機器SMの装着が容易に判別される。この場合、仮に、カード挿入孔114を境に曲がったまま傾斜面に乗り上げたカードKをユーザーが指先でカード挿入孔114から引き出そうとすると、カードKの傾斜角度が
図5に示す傾斜入口面114aで規定される角度θ2を超えてしまい、カード引き出し不可となり得る。こうしたことから、傾斜面を有するスキミング機器SMは、傾斜面下端が排出搬送されて静止した静止位置SPのカード先端位置と一致、もしくは当該位置よりも第1隆起部206の側となるように、カード案内面に装着されることになる。
【0053】
本実施例のカード取扱ユニット200では、上記した事態を想定し、次のように第1隆起部206を隆起させた。つまり、
図10に示すように、カード挿入孔114から排出搬送されて静止したカードKのカード案内面204におけるカード先端位置、即ち静止位置SPから第1隆起部206の内壁側頂上に掛けてカードKを配設した場合のこのカードKがカード案内面204となす角度θ1が、カード挿入孔114の傾斜入口面114aによって規定されるカードKの傾斜角度θ2より大きくなるように、第1隆起部206をカード案内面204から隆起させた。その上で、本実施例では、静止位置SPと第1隆起部206の内壁側頂上を結ぶ線分の長さがカードKの長さより短くなるようにした。こうすることで、次の利点がある。
【0054】
図10に示すように、カード凹所209に装着されたスキミング機器SMの傾斜面のなす角度は、上記した角度θ1に相当する。そして、本実施例では、この角度θ1は、カード挿入孔114の傾斜入口面114aによって規定されるカード傾斜
角度θ2より大きく、スキミング機器SMの傾斜面長さはカードKの長さより短い。このため、傾斜面上端側に情報読取部SSが位置しても、傾斜面に沿ってカードKが滑っても、この情報読取部SSでは、カード全長に亘る磁気ストライプの全域に接触することはできないので、スキミング機器SMによる情報読み取りを回避できる。また、傾斜面下端側に情報読取部SSが位置しても、スキミング機器SMの傾斜面からカード挿入孔114に挿入されるカードKは、カード後端が傾斜面に乗り、カード先端がカード案内面204に位置して傾斜するので、この傾斜角度が
図5に示す傾斜入口面114aで規定される角度θ2を超えてしまい得る。このため、カード挿入孔114より装置内に位置する搬送ローラー134までのカード挿入に支障を来したり挿入不可とでき、これによりユーザーに違和感を付与できる。しかも、カード先端がカード案内面204に位置すれば、それ以降のカード挿入に際してカードKを傾斜させるので、カードKを傾斜面の情報読取部SSから離間させて、磁気ストライプ全長に亘る情報読み取りを回避できる。これらの結果、本実施例のカード取扱ユニット200によれば、傾斜面に情報読取部SSを有するスキミング機器SMの設置を心理的に躊躇させる実効性を高めることができる。
【0055】
ところで、
図10に示すスキミング機器SMの傾斜面をカード全長より長くすれば、傾斜面上端側の情報読取部SSにて情報読み取りが可能となるものの、この場合の傾斜面は第1隆起部206を乗り越えざるを得ない。よって、ユーザーおよび装置保守要員に違和感を付与できるので、スキミング機器設置を躊躇させて、傾斜面延長により情報読み取りを回避し得る。
【0056】
既述したように、上記の実施例のカード取扱ユニット200によれば、スキミング機器の設置を心理的に躊躇させることができるものの、敢えてこのカード取扱ユニット200にスキミング機器を設置する場合も想定される。よって、以下、スキミング機器の設置に対する対処について説明する。
図11はスキミング機器設置に伴うカード案内面204または第1隆起部206の損傷を想定したセンシング構成を示す説明図、
図12は
図11における12−12線に沿った概略拡大断面図、
図13は
図12における13−13線に沿った概略端面図、
図14は
図11における14−14線に沿った概略拡大断面図、
図15は
図14における15−15線に沿った概略断面図である。
【0057】
図11に示すように、カード取扱ユニット200は、案内面損傷検知センサー250と、第1隆起部頂上損傷検知センサー260と、第1隆起部貫通損傷検知センサー270とを備える。これら各センサーは、光透過型センサーとして構成され、カードガイド202或いは第1隆起部206に埋設設置されている。案内面損傷検知センサー250は、
図11〜
図12に示すように、カードKの磁気ストライプMSと合致する既述した設置可能域SKにおいて第1隆起部206の側とカード挿入孔114の側とで対向するよう、カード案内面204の下方のカードガイド202に埋設設置されている。そして、
図13に示すように、案内面損傷検知センサー250は、その光透過経路を、既述した設置可能域SKに沿ってカード案内面204の下方を貫く光透過経路252とし、当該経路はカード案内面204の損傷が予想される箇所を経由することになる。本実施例では、カードガイド202および第1隆起部206、第2隆起部208を、着色により遮光性を発揮する樹脂から形成したので、光透過経路252は、管状の空間としておくことで、その外周表面にて遮光された上で透光性を発揮する。この場合、管状空間である光透過経路252の外表面に遮光性塗料を塗布したり、光透過経路252をアクリル等の透光性材料で形成し上で、対向する案内面損傷検知センサー250の間に、案内面損傷検知センサー250とともに埋設設置することもできる。他の検知センサーの光透過経路についても同様である。
【0058】
第1隆起部頂上損傷検知センサー260は、
図11〜
図12に示すように、第1隆起部206の両側で対向するよう、第1隆起部206と第2隆起部208の連続箇所に埋設設置されている。そして、
図12に示すように、第1隆起部頂上損傷検知センサー260は、その光透過経路を、既述した第1隆起部206の内壁側頂上の近傍を第1隆起部206の形成範囲に亘って貫く光透過経路262とし、当該経路は後述するように第1隆起部206の頂上部の損傷が予想される箇所を経由することになる。
【0059】
第1隆起部貫通損傷検知センサー270は、
図11と
図14〜
図15に示すように、第1隆起部頂上損傷検知センサー260の上端側と下端側とで対向するよう、第1隆起部206の上下端側に埋設設置されている。そして、
図15に示すように、第1隆起部貫通損傷検知センサー270は、その光透過経路を、カード案内面204を挟んで第1隆起部206を上下に貫く光透過経路272とし、当該経路は後述するように第1隆起部206の損傷が予想される箇所を経由することになる。
【0060】
上記した各検知センサーは、そのセンサー出力を常時或いは定期的に主制御ユニット120に送信する。主制御ユニット120は、このセンサー出力を受けて次のようにしてスキミング機器の設置有無判定と、これに伴う対処処置を行う。
【0061】
カードKの磁気情報のスキミングを意図する場合、スキミング機器は、既述した設置可能域SKに合致したカード案内面204の下方に埋設されることが想定されるが、その際には、スキミング機器、詳しくは非正規の情報読取部の埋設に足りる分だけカード案内面204を陥没させ、その陥没部に情報読取部を埋設し、その後、カード案内面204は修復される。案内面損傷検知センサー250は、このようにしてカード案内面204の陥没があると、陥没がない場合、即ちスキミング機器が非設置で定常取引状況の場合と異なるセンサー出力を主制御ユニット120に送信する。具体的は、案内面損傷検知センサー250は、定常取引状況下では、オン信号を主制御ユニット120に常時送信するが、上記した陥没形成に伴うカード案内面204の損傷時もしくはスキミング機器埋設後には、オン信号を送信しなくなる。よって、主制御ユニット120は、こうしたセンサー出力の相違により、カード案内面204の下方へのスキミング機器埋設に伴う損傷の有無、延いてはスキミング機器の埋設設置の有無を検知できる。このため、主制御ユニット120により、現金自動取引装置100の現金取引の一時的な中断処置や、ホストコンピューターへの異常報知等の種々の異常対処処置を採ることができる。しかも、スキミング機器の埋設を意図する者に対しては、現金取引中断や異常報知を認知することで、スキミング機器の埋設設置のためのカード案内面204への陥没形成作業、延いてはスキミング機器の埋設設置を断念させることが可能となる。また、上記した異常対処処置と共に、主制御ユニット120による防犯処置を採ることもできる。例えば、現金自動取引装置100の周辺を録画する監視カメラの録画画像をホストコンピューターや防犯関連機関に送信したり、メモリーに記録するようにできる。
【0062】
図10にて説明したように、傾斜面に情報読取部SSを有するスキミング機器SMをカード凹所209に収まるようにしただけでは、カードKの磁気ストライプ全長に亘る情報読み取りは困難であるが、傾斜面が長くて傾斜も緩いスキミング機器SMを第1隆起部206をその頂上部において損傷させて設置することも想定される。この場合には、第1隆起部頂上損傷検知センサー260は、第1隆起部206の頂上部が損傷すると、その損傷を引き起こす行為がなされている間および損傷時において、損傷がない場合、即ちスキミング機器が非設置で定常取引状況の場合と異なるセンサー出力を、既述した案内面損傷検知センサー250と同様に主制御ユニット120に送信する。よって、第1隆起部206の頂上部損傷の有無、延いてはスキミング機器の設置の有無を検知できると共に、既述した現金取引中断処置、異常報知等の種々の異常対処処置等を採ることができる。なお、スキミング機器の埋設を意図する者に対してのスキミング機器設置断念等についても同様である。
【0063】
この他、第1隆起部206にカード案内面204と繋がる開口を開け、その開口に、カードKの挿入を促すスキミング機器を設置することも想定される。この場合には、第1隆起部貫通損傷検知センサー270は、第1隆起部206の側壁に開口を開けるための行為がなされている間および開口へのスキミング機器の設置時において、開口形成に伴う損傷がない場合、即ちスキミング機器が非設置で定常取引状況の場合と異なるセンサー出力を、既述した案内面損傷検知センサー250と同様に主制御ユニット120に送信する。よって、第1隆起部206への開口形成に伴う損傷の有無、延いてはスキミング機器の設置の有無を検知できると共に、既述した現金取引中断処置、異常報知等の種々の異常対処処置等を採ることができる。なお、スキミング機器の埋設を意図する者に対してのスキミング機器設置断念等についても同様である。
【0064】
また、本実施例のカード取扱ユニット200では、各損傷検知センサーの光透過経路を、第1隆起部206やカードガイド202のカード案内面204において損傷が予想される箇所を経由して形成した上で、各光透過経路を遮光性材料にて覆うようにした。よって、本実施例のカード取扱ユニット200によれば、上記の各損傷検知センサーについての光透過経路に外光が導入し難くできるので、スキミング機器設置に関連する損傷の有無の検知感度を向上できる。この場合、上記の各損傷検知センサーの光透過経路を透光性材料で形成して第1隆起部206やカード案内面204の下方に埋設することで、上記の検知感度を高めることができる。なお、損傷検知感度の向上は、損傷を招くスキミング機器設置行為の有無を高感度で検知できることを意味するので、スキミング機器の設置を断念させる上で有益である。
【0065】
図16はカード挿入孔114に挿入されるまでのカードKの移動状況を検知するカード取扱ユニット200の説明図、
図17は
図16における17−17線に沿った概略拡大断面図である。
【0066】
図示するように、このカード取扱ユニット200は、カード案内面204にカード移動状況検知センサー280を備える。このカード移動状況検知センサー280は、カード挿入孔114へのカード移動軌跡に沿って前後に並び、フロント側カード検知体280Fおよびバック側カード検知体280Bと、フロント側センサー282Fとバック側センサー282Bとを備える。フロント側カード検知体280Fは、カード案内面204の下方のカードガイド202においてスイング自在に軸支され、カード案内面204にカードKが載置されていない場合は、自重によりスイングして先端をカード案内面204から突出させる。そして、カード案内面204にカードKが載置されると、フロント側カード検知体280Fは、カードの重みによりスイングして、フロント側センサー282Fをオンさせる。フロント側センサー282Fは、このオン信号を主制御ユニット120に出力する。バック側カード検知体280Bについても同様である。この場合、フロント側カード検知体280Fについては、既述した静止位置SPにて先端を204から突出させる。
【0067】
カードKがユーザーによりカード挿入孔114に挿入されるまでの定常的なカード移動状況は、
図7にて既述したように、まず、カード案内面204にカードKが載置される(ステップS1)。この状態では、フロント側カード検知体280Fとバック側カード検知体280Bの両検知体がスイングするので、対応するフロント側センサー282Fとバック側センサー282Bの両センサーが共にオフからオンに推移する。その後、カードKがカード挿入孔114に向けて押されて移動すると(ステップS2)、バック側カード検知体280Bは、カードKから開放されるので、元の位置に戻ってバック側センサー282Bはオンからオフに推移し、フロント側センサー282Fについてはオンのままである。更にカードKが移動してカード後端が静止位置SPに達すると、フロント側カード検知体280FについてもカードKから開放されるので、元の位置に戻ってフロント側センサー282Fはオンからオフに推移する。この時点では、カードKはカード前端側でカード挿入孔114を既に通過しているので、カード検知センサー138にてカード通過が検知される。これらセンサー信号の入力を受ける主制御ユニット120は、フロント側センサー282Fとバック側センサー282Bおよびカード検知センサー138のセンサー信号の上記した推移により、カードKがカード挿入孔114に挿入されるまでの定常的なカード移動状況を検知する。
【0068】
仮に、カード検知センサー138にてカード挿入孔114のカード通過を検知したにも拘わらず、バック側センサー282Bが継続してオンのままであったり、このバック側センサー282Bがオフからオンおよびその後のオフへの推移を来さないと、こうした状況でのセンサー出力推移は、定常的なカード移動状況における出力推移と相違する。この他、カード検知センサー138にてカードKがカード挿入孔114を通過して装置内に移動済みであるにも拘わらず、フロント側センサー282Fとバック側センサー282Bのいずれかが継続してオンのままであったりする場合も、センサー出力推移は、定常的なカード移動状況における出力推移と相違する。カード挿入孔114からのカードKの排出搬送の場合も同様である。つまり、カード移動状況検知センサー280における上記のフロント、バックの両センサーとカード検知センサー138とは、カードKの移動状況が定常的なカード移動状況と相違すると、定常的なカード移動状況と異なるセンサー出力を主制御ユニット120に発することになる。
【0069】
主制御ユニット120は、定常的なカード移動状況に対応したセンサー出力の推移が得られない何らかの原因が起きたことについての対処を行う。例えば、主制御ユニット120は、
図10にて説明したようなスキミング機器SMがカード凹所209に装着された可能性があるとして、顧客操作ユニット105への既述したような注意喚起文の表示等によりユーザーへの注意喚起を図ったり、ホストコンピューターへの異常報知や装置保守要員への通報、取引中断等を行う。
【0070】
次に、カード挿入孔114におけるセンシングについて説明する。
図17に示すように、カード取扱ユニット200は、カード挿入孔114の上方における正面ユニット100Fに開口状況検知センサー300を有する。この開口状況検知センサー300は、接触式或いは反射型の近接センサーであり、
図6に示した磁気ストライプMSの通過箇所上方に位置し、この位置にて、カード挿入孔114の開口状況、この場合は、挿入孔開口の上下端面間の隔たりを検知する。通常、この上下端面間の隔たりは、現金自動取引装置100の出荷もしくは設置の際から一定であるので、仮に、カード挿入孔114の下端面に何らかの異物、例えば既述した情報読取部SSが装着されれば、開口状況検知センサー300のセンサー出力は、この異物装着前と変わることになる。主制御ユニット120は、開口状況検知センサー300からのセンサー出力を受け取り、カード挿入孔114の開口状況が通常の開口状況とならないようなスキミング機器がカード挿入孔114に設置された可能性があるとして、既述したような取引中断等の対処を図る。なお、開口状況検知センサー300は、磁気ストライプMSの通過ラインにおけるカードKの厚み方向の距離を検知できれば良く、リンク機構や相対するローラーもしくは単体のローラーを利用して機構的に検知する構成とすることもできる。
【0071】
次に、カード案内面204への異物装着のセンシングについて説明する。
図18はカード案内面204の上面での異物装着のセンシングを図るカード取扱ユニット200を示す説明図、
図19は
図18においてカード案内面204と平行な面で第1隆起部206と第2隆起部208を断面視して示す説明図である。
【0072】
図示するように、このカード取扱ユニット200は、カード案内面204を挟んで向き合う第2隆起部208に、異物検知センサー290を埋設して備える。異物検知センサー290は、光透過型センサーとして構成され、
図19に示すように、カード案内面204の上方にてその光透過経路292を交差させている。第2隆起部208は、異物検知センサー290の前方に凹所294〜297を備え、凹所294と凹所295、および凹所296と凹所297とを、カード案内面204を挟んで対向させる。この場合、第2隆起部208は、上記の各凹所において異物検知センサー290と対向する凹所壁を透光性とした上で光透過経路292と直交させる。これにより、異物検知センサー290は、支障なくセンサー間の異物有無を検知し、その検知信号を主制御ユニット120に出力する。しかも、各凹所において異物検知センサー290と対向する凹所壁を光透過経路と直交させたので、当該凹所壁を光が透過する際の光路ズレを抑制でき、検知感度を高めることができる。
【0073】
図17に示すように。凹所294と凹所296は、カード案内面204の上方に位置し、異物検知センサー290は、上記凹所の設置箇所にて異物検知を行う。異物検知センサー290による異物検知箇所は、カード案内面204に載置されたカードKと干渉しないと共に、既述したカード移動状況検知センサー280とも干渉しない。よって、異物検知センサー290とカード移動状況検知センサー280とを併用することができる。
【0074】
上記した異物検知センサー290を有するカード取扱ユニット200では、そのセンサー出力を受ける主制御ユニット120によって、以下に説明するように異物、例えば、
図10にて説明したようなスキミング機器SMがカード凹所209に装着された可能性を検知できる。
【0075】
カード案内面204へのカード載置がない非取扱状況下では、異物検知センサー290は、その光透過経路292が遮光されないので、主制御ユニット120に継続してオン信号を出力する。また、カード案内面204にカードKが載置されてカード取扱が行われる取引状況下では、カード載置に伴ってカードKが光透過経路292を遮光したり、ユーザーの指などがカード案内面204の上に置かれて光透過経路292が遮光されることが有り得る。このため、取引状況下では、異物検知センサー290は、一時的にオフ信号を発した後、カードKの載置完了および指が離れることで、オン信号に推移し、静止位置SPまでのカードKの排出搬送が完了するまでは(
図8参照)、オン信号の出力を継続する。排出搬送されたカードKをカード案内面204から取り除く場合も同様である。こうしたカード取引状況下での異物検知センサー290のセンサー出力状況は、一時的にオフ信号に推移するとはいえ、カード取引完了後には、非取引状況下のセンサー出力となる。よって、こうした異物検知センサー290のセンサー出力状況により、主制御ユニット120では、カード取扱ユニット200が定常な非取引状況下にあるか、および、定常のカード取扱の状況下にあるかを判別可能となる。
【0076】
しかしながら、仮に
図10にて説明したようなスキミング機器SMがカード凹所209に装着されたとすると、このスキミング機器SMは光透過経路292を遮光するので、異物検知センサー290は、非取引状況下とカード取引状況下とに拘わらずオフ信号を継続して出力することになる。このため、主制御ユニット120は、この継続的な異物検知センサー290からのオフ信号出力を受けて、カード案内面204にスキミング機器SM等の異物が設置済みである可能性を判別して、それに対応した出力、例えば、既述したような顧客操作ユニット105への注意喚起文の表示等を経たユーザーへの注意喚起や、ホストコンピューターへの異常報知並びに取引中断等を行う。
【0077】
また、上記のカード取扱ユニット200では、異物検知センサー290に対応した凹所294〜297を第2隆起部208に備え、これら各凹所部位は、他の第2隆起部208の内壁と相違した外観を呈する。このため、カード取扱ユニット200のカード凹所209に
図10に示すようなスキミング機器SMを装着しようとする者に対して、カード案内面204への異物装着の検知がなされていることを認知させるので、スキミング機器設置を高い実効性で躊躇させることができる。この場合、異物検知センサー290を第2隆起部208の内壁から露出することもでき、こうしても、カード案内面204への異物装着の検知がなされていることを認知させることで、スキミング機器設置を高い実効性で躊躇させることができる。
【0078】
加えて、第2隆起部208の内壁面には、異物検知センサー290に対応した複数の凹所294〜297を設けているので、カード案内面204への異物装着の検知が複数箇所でなされていることを認知させることができる。これにより、スキミング機器設置を躊躇させる実効性をより高めることができる。なお、上記の実施例では、二対の異物検知センサー290を設けたが、異物検知センサー290を一対とした上で、第2隆起部208には複数の凹所294〜297を設けるようにできる。つまり、一対の凹所を異物検知センサー290の実装のないダミーの凹所とする。異物検知センサー290は、上記の凹所に塞がれて視認されにくいので、複数の凹所294〜297を設けてその内の一対の凹所に異物検知センサー290を設置するだけで、カード案内面204への異物装着の検知が複数箇所でなされているように認知させることができる。しかも、実際に異物検知センサー290が配設されている凹所を見分け難くできるので、異物検知センサー290の実装箇所の推定をし難くして、これによってもスキミング機器設置を躊躇させることが可能となる。この場合、凹所294〜297に相当するダミーの凹所を3以上の多数対とすることもでき、こうすれば、異物検知センサー290の実装箇所の推定の困難化と複数箇所での異物検知の擬制とにより、スキミング機器設置をより確実に躊躇させることが可能となる。
【0079】
以上説明したカード取扱ユニット200および各種の検知センサーを有するカード取扱ユニット200にあっては、当該ユニットを現金自動取引装置100に装着するに当たり、搬送ローラー134によるカード搬送に影響を及ぼさない。よって、カード読取ユニット130におけるカード搬送制御の複雑化を招くことがない。
【0080】
次に、カードKの搬送状況のセンシングについて説明する。
図17に示すように、搬送ローラー134の駆動用のモーター135に負荷検知センサー310を装着する。この負荷検知センサー310は、モーター135の負荷状況を検知して、その検知結果を主制御ユニット120に出力する。モーター135は、搬送ローラー134に正逆の駆動力を伝達して、カードKをカード挿入孔114から装置内に搬送する挿入搬送とカードKをカード挿入孔114から排出して既述した静止位置SPまで搬送して静止させる排出搬送とに関与する。既述した非取扱状況下では、負荷検知センサー310は、モーター135が停止していることから、負荷を検知することはない。一方、上記のカード搬送を伴うカード取引状況下では、定常のモーター負荷を継続して検知して、その検知負荷に応じた定常のセンサー出力を主制御ユニット120に送信する。仮に、カード挿入孔114の内部やカード挿入孔114の手前の既述した設置不能域SNに情報読取部SS等の異物が存在すれば、この異物は上記のカード搬送の障害となり、モーター135の負荷は増大すると想定される。このため、負荷検知センサー310からの検出負荷も増大するので、主制御ユニット120は、この負荷検知センサー310からの検知負荷信号を受けて、カード搬送に際しての搬送阻害の有無、延いてはカード案内面204が平面とならないようなスキミング機器がカード案内面204に設置された可能性を判別して、それに対応した出力、例えば、既述したような顧客操作ユニット105への注意喚起文の表示等を経たユーザーへの注意喚起や、ホストコンピューターへの異常報知並びに取引中断等を行う。
【0081】
次に、カード取扱ユニット200への機器装着のためのアクセスの制限について説明する。
図20はカード取扱ユニット200への機器装着のためのアクセス制限を正面ユニット100Fにて図る一例を説明する説明図、
図21はアクセス制限をカバーにて図る例を示す説明図である。
図20では、現金自動取引装置100の正面に立つユーザーの側の第1隆起部206の正面を正面ユニット100Fと同じとし、この正面ユニット100Fにカード挿入孔114までの深さの正面凹所100FRを形成する。そして、この正面凹所100FRの内部において、既述したカード取扱ユニット200を設置する。
図21では、正面ユニット100Fから延びたカバー330でカード取扱ユニット200を覆う。この正面凹所100FRおよびカバー330は、第1隆起部206の側にカードKを把持したユーザーの手が入り込む開口を残して、第2隆起部208をその上方で覆う。よって、仮に既述したスキミング機器SMをカード案内面204に装着しようとする場合、機器装着のための作業領域を凹所内部或いはカバー内部に制限できるので、スキミング機器設置が困難となり、心理的にスキミング機器設置を躊躇させることが可能となる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態を実施例にて説明したが、本発明は上記した実施例や変形例の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。例えば、上記の実施例では、カード取扱ユニット200を有する現金自動取引装置100について説明したが、これに限られない。例えば、既存の現金自動取引装置100に、カード取扱ユニット200を後付けする態様とできる。この場合には、既存の現金自動取引装置100が有するカード挿入孔114にカード案内面204が段差なく繋がるよう、カード取扱ユニット200を既存装置正面に設置すればよい。また、クレジットカード等のカード情報読取専用の装置や室内への入退室管理を行う管理装置としても適用でき、この場合には、カード搬送とカード情報の読み取りを行うカード読取ユニット130を読取専用装置本体や管理装置本体に収容し、その装置にカード取扱ユニット200を装着すればよい。
【0083】
また、上記の実施例では、案内面損傷検知センサー250等の検知センサーを光透過型センサーとして構成したが、エナメル線等の外力により簡単に切断される信号線等を既述した各検知センサーの光透過経路に沿って埋め込み、信号線の切断により損傷検知を図るようにすることもできる。
【0084】
また、カード案内面204については、平面とすることができるほか、カードKの載置、並びにカード挿入孔114に向けたカードKの押し込み搬送、搬送ローラー134によるカード搬送に支障がなければ、カード挿入孔114に向かうカード進行方向と交差した波状断面の面とすることもできる。
【0085】
また、光透過型センサーとして案内面損傷検知センサー250等の損傷検知センサーについては、光透過経路の交差配置と光の分配により、光照射素子を共通できる。
図22は光透過経路を交差配置させた損傷検知の様子を示す説明図である。図示するように、案内面損傷検知センサー250の光透過経路252は、第1隆起部貫通損傷検知センサー270の光透過経路272まで延びて当該経路と交差する。そして、その交差箇所には、光透過経路272を透過する光を、当該経路のまま透過させると共に光透過経路252に屈曲して透過させるハーフミラー275が配設されている。こうすれば、光透過経路252については光照射素子を省略できると共に、第1隆起部貫通損傷検知センサー270の光照射素子にて、第1隆起部貫通損傷検知センサー270による第1隆起部206の開口損傷検知と、案内面損傷検知センサー250によるカード案内面204の損傷検知を図ることができる。
【0086】
また、第2隆起部208については、第1隆起部206と個別に形成できるほか、これを省略することもできる。