(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736053
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】軟質/弾性摩耗層を有するフロアパネル
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
E04F15/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-540327(P2013-540327)
(86)(22)【出願日】2011年11月22日
(65)【公表番号】特表2014-500923(P2014-500923A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2011070701
(87)【国際公開番号】WO2012069485
(87)【国際公開日】20120531
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】202010015754.4
(32)【優先日】2010年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507258098
【氏名又は名称】アクツェンタ パネーレ ウント プロフィレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ユルゲン ハンニッヒ
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第10201087(DE,A1)
【文献】
特表2003−519735(JP,A)
【文献】
特開2009−074255(JP,A)
【文献】
特開2005−098109(JP,A)
【文献】
特表平11−510869(JP,A)
【文献】
特表2003−529692(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01213407(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0000183(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0024199(US,A1)
【文献】
特表2009−523926(JP,A)
【文献】
特許第4447468(JP,B2)
【文献】
特表2004−537663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体層(2、17、23)と、軟質/弾性材料から製造された摩耗層(3、14、18、24)と、互いに対向する係止端縁対(36、37)を少なくとも2対備えるフロアパネル(5、10、16、22、35)であって、少なくとも前記係止端縁対のうちの1対が、互いに嵌合する形状の嵌合端部(6、11、20、25)対としてこれら嵌合端部(6、11、20、25)同士によって2つのフロアパネル(5、10、16、22、35)を接続可能な構成を有し、前記嵌合端部(6、11、20、25)の各々に、接続状態のフロアパネル(5、10、16、22、35)同士のフロア平面内方向でかつ嵌合端部に対して直交する方向への分離を防止する水平方向係止面(8a、13a、27、28)を備え、各嵌合端部(6、11、20、25)が、前記摩耗層(3、14、18、24)の領域に、接合シール領域(6a、11a、29、31)を有しているフロアパネル(5、10、16、22、35)において、
前記摩耗層の頂面近くで先端が終端するようにそれぞれ突出した圧縮領域(9,15,30,32)として構成された前記接合シール領域(6a、11a、29、31)が、2つのフロアパネル(5、10、16、22、35)の接続状態にて互いに対する初期圧縮によって緊密にシールされた接合部(F)が形成されるよう前記水平方向係止面(8a、13a、27、28)と共に調整されていることを特徴とするフロアパネル(5、10、16、22、35)。
【請求項2】
前記突出した圧縮領域(9、15、30、32)がリップ状シール部(9a、15a、30a、32a)を形成することを特徴とする請求項1に記載のフロアパネル。
【請求項3】
少なくとも前記嵌合端部(6、11、20、25)の1つにおいて、前記軟質/弾性摩耗層(3、14、18、24)の前記接合シール領域(6a、11a、29、31)に接着剤が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアパネル。
【請求項4】
前記接着剤は、前記フロアパネル(5、10、16、22、35)の敷設中に活性化可能なものであることを特徴とする請求項3に記載のフロアパネル。
【請求項5】
前記接着剤が第1と第2の2つの接着剤成分を含むことを特徴とする請求項4に記載のフロアパネル。
【請求項6】
前記第1の接着剤成分が、前記フロアパネル(5、10、16、22、35)の第1の嵌合端部(6、11、20、25)の前記接合シール領域(6a、11a、29、31)に設けられ、前記第2の接着剤成分が、前記フロアパネル(5、10、16、22、35)の第1の嵌合端部と対向する第2の嵌合端部(6、11、20、25)の前記接合シール領域に設けられることを特徴とする請求項5に記載のフロアパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体層、軟質/弾性材料からなる摩耗層、および互いに対向する係止端縁対を少なくとも二対備えるフロアパネルであって、少なくとも係止端縁対の一つが、互いに嵌合する形状の嵌合端部対として設計され、およびこれらの嵌合端部同士によって2つのフロアパネルを接続することができるように設計され、嵌合端部の各々が水平方向係止面を有し、この水平方向係止面が、接続状態において、フロア平面内方向でかつ嵌合端縁に対して直交する方向へのフロアパネル同士の分離を共に防止するフロアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
必要な軟質/弾性特性を生成するためにフロアパネルの摩耗層がコルク、リノリウムまたはプラスチックからなる一般的なフロアパネルが知られている。組み立てを簡単にするという目的のために、フロアパネルは、互いに嵌合方式で接続することができる係止端縁をそれぞれ有し、これらの係止端縁は、接着剤を使用することなくフロアカバーを形成するのに適している。
【0003】
フロアカバーの形成に関して、軟質/弾性摩耗層を有するフロアパネルの他に、より硬質の摩耗表面を有するいわゆるラミネートパネルも知られている。硬質摩耗層は軟質/弾性摩耗層と比較して非常に薄い。それらの硬質摩耗層も、接着剤を使用することなくフロアカバーを敷設するのに適した多様な実施形態に利用可能である。全ての製造業者はこれらのラミネートパネルを「クリック式ラミネート」と呼んでいる。クリック式ラミネートパネルの係止端縁は、嵌合接続、場合によってはスナップ係合接続を許容するように設計される。「クリック式ラミネート」という用語は、現在、それ自体が、フロアカバーを迅速かつ簡単に形成するためのものであることを強調する同義語として使用されており、最も広範な意味において、複数の層を備えているフロアパネル内のいくつかの他の位置に軟質/弾性摩耗層または軟質/弾性層を有するフロアパネルにも適用される。
【0004】
クリック式ラミネートとは異なる周知の係止端縁の実施形態も、通常、軟質/弾性摩耗層を有するフロアパネルに設けることができる。しかし、これに関連して、係止端縁の形成中およびパネル敷設中に、すなわち係止端縁同士を相補的に接続する際に影響を与える特定の効果に注意を払わなければならない。
【0005】
特許文献1には、担体層および軟質/弾性摩耗層を有するフロアカバー構成要素を含むいわゆる床(フロアカバー)材が記載されている。この従来技術は、フロアカバー要素が置敷き(浮床)方式で敷設され、1つのパネルが他のパネルにスナップ嵌合するクリック式ラミネートとして認識されている。特許文献1の教示は、フロアカバー要素の層構造を対象とし、パネル縁部の設計については何ら言及していない。
【0006】
鋸引きまたはフライス加工等の切断方法が、多くの場合、係止端縁をフロアパネルに形成するために使用される。軟質/弾性摩耗層は切断中に弾性的に変形される。例えば、円形鋸刃が軟質/弾性摩耗層に突入したとき、軟質/弾性摩耗層は円形鋸刃の送り運動によって凹む。フライスも同様に軟質/弾性摩耗層を凹ませる。切断点の領域において、軟質/弾性材料のある領域が引き伸ばされ、他の領域が圧縮される。切断動作が完了すると弾性変形が逆転される。このように形成された表面は、弾性変形の逆転後に、切断工具の移動に沿った輪郭と適合しなくなる。
【0007】
軟質/弾性摩耗層の材料挙動は、接続されたフロアパネル同士の隣接する軟質/弾性摩耗層が互いに滑らかに接触して開口接合部が形成されることのないようにフロアパネルの係止端縁を加工することを困難にする。開口接合部が形成されてしまった場合、汚れが開口接合部に溜まる恐れや、水分が係止端縁同士の間に侵入する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1634696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、表面が閉じられた、フロアカバーの形成に有利である冒頭に記載の一般型フロアパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、その目的は、各嵌合端部が摩耗層の領域に接合シール領域を有することによって、そして2つのフロアパネルの接続状態において、接合シール領域同士の互いに対する初期圧縮が得られるように水平方向係止面および接合シール領域が調整されることによって、結果として、摩耗層の領域に緊密にシールされた接合部が得られることで解決される。
【0011】
接合シール領域は切削ツールを用いて形成される。切削工程の終了後の軟質/弾性摩耗層の弾性変形が逆転されたときに摩耗層の接合シール領域に所望の輪郭が得られるような切削動作のために、前記切削ツールが選択および/またはセットされる。このようにして得られた輪郭は、2つのフロアパネルの係止接続状態において接合シール領域の接触および初期圧縮を保証する。
【0012】
接合シール領域に必要な輪郭は、切削動作中の摩耗層の弾性変形を考慮した対応する形状を有する切削ツールによって形成することができる。或いはまた、切削ツールの位置を適切にセットすることによって、接合シール領域の必要な輪郭が弾性変形の逆転後に完成状態で得られように、軟質/弾性摩耗層の弾性変形に影響を与えることができる。
【0013】
各接合シール領域は
、突出した圧縮領域として設計される。
【0014】
突出した圧縮領域はリップ状シール部を形成することができ、このリップ状シール部は、摩耗層の頂面近くで先端が終端するように設計することができる。摩耗層の接合シール領域の輪郭は、単に、摩耗表面に対して傾斜面となっている。摩耗表面に向かって先端が先細りするこの傾斜面は製造が容易である。
【0015】
他方第2の接合シール領域は、平坦であるように設計することができ、あるいはリップ状シール部を有するかまたは有しない突出した圧縮領域として設計することもできる。
【0016】
少なくとも嵌合端部同士のいずれかにおいて、摩耗層の接合シール領域に接着剤を設けることができる。
【0017】
便宜上、接着剤はフロアパネルの敷設中に活性化され得るものがよい。
【0018】
接着剤が2つの接着剤成分を含むものであることにさらなる利点が見られる。
【0019】
第1の接着剤成分はフロアパネルの第1の嵌合端部の接合シール領域に設けることができ、第2の接着剤成分はフロアパネルの対向する第2の嵌合端部の接合シール領域に設けることができる。
【0020】
本発明の例示的な実施形態を図面に示し、複数の図に基づいて以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】軟質/弾性摩耗層を有するフロアパネルの係止端縁形成開始時の状態図である。
【
図2】分離切断によって形成された2つのパネル端部を示す模式図である。
【
図3】水平方向係止面を備えた改良溝状部を有する係止端部を示す模式図である。
【
図4】
図3による嵌合端部と、回転接続運動中におけるその相補的な嵌合端部を示す模式図である。
【
図5】接続状態または係止状態における、
図4による嵌合端部同士を示す模式図である。
【
図6】代替的な実施形態としての接続状態または係止状態における2つの嵌合端部を示す模式図である。
【
図7】上下運動または上下運動手段によって互いに引っ掛けることができるフック状部を有する2つの嵌合端部を示す模式図である。
【
図8】2つの互いに対向する係止端縁対のうちの一方に第1の嵌合端部対を有し、他方の係止端縁対に第2の嵌合端部対を有する4つのパネル辺を備えたフロアパネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、フロアパネルに係止端縁を形成する開始時の状態を示しており、
図2は、より大きなパネル1を個別のパネル部分1’および1”に切断し、その後、これらのパネル部分に係止端縁を設け、さらに、フロアパネルに加工される場合を示している。パネル1は担体層2を有し、その上に軟質/弾性摩耗層3を有する。
図1および
図2は、パネル1が軟質/弾性摩耗層3を有する場合に、パネル1の加工により伴う技術的問題を示している。
【0023】
図1は、パネル1を切断する鋸刃4を示している。鋸刃4は切断運動および送り運動を行う。送り運動により軟質/弾性摩耗層3が圧縮される。切断点の領域において、この圧縮により、摩耗層3がいくつかの領域で引き伸ばされ、いくつかの領域で圧縮させられる。
【0024】
図2に示したように、鋸刃4がパネル1を切断すると、軟質/弾性摩耗層3の一時的な弾性変形が再び戻される。摩耗層3の領域において、分離切断により、鋸刃4の送り運動が行われる平面に対して傾斜した分離平面3aおよび3bが形成される。分離平面3aおよび3bは互いに対向して略楔状に位置する。
【0025】
対照的に、
図2に見られるように、担体層2の領域に形成された分離平面2aおよび2bは互いに平行に位置し、鋸刃4の送り運動の平面に対しても平行に位置する。
【0026】
図3は、フロアパネル5の部分図である。フロアパネル5は、改良された溝状部7が設けられた嵌合端部6を有する。フロアパネル5は、改良されたサネ形状部を有する相補的な嵌合端部を有するが、この相補的な嵌合端部は
図3の部分図では省略されている。接合シール領域6aは軟質/弾性摩耗層3の領域に形成される。フロアパネル5は
図3の水平状態で示したが、下地基材の図示は省略してある。
【0027】
溝状部7は、水平方向に配置されたアンダーカット8を有し、すなわち、このアンダーカット8は、嵌合端部に対して直交方向から接続され敷設された1つまたは複数のフロアパネル5の平面分離を防止する手段によって、フロアパネルの平面に作用する。上部溝壁7aは下部溝壁7bよりも短い。下部溝壁7bは水平方向係止の目的のために水平方向係止面8aを有する。軟質/弾性摩耗層3の接合シール領域6aには、リップ状シール部9aを形成する突出した圧縮領域9が設けられる。この実施形態では、リップ状シール部9aは、パネル本体から遠位に突出した先端9bを有する。先端9bは、フロアパネル5の摩耗表面を形成する摩耗層3の表面に位置する。
【0028】
図4では、第2の同種のフロアパネル10が追加される。
図4は、改良されたサネ形状部12が設けられる第2のフロアパネル10の相補的な嵌合端部11を示している。
図4において、第2のフロアパネル10は、そのサネ形状部12が第1のフロアパネル5の溝状部7内に達するように、敷設されている第1のフロアパネル5にある角度で保持される。サネ形状部12はアンダーカット13を有し、水平方向係止面13aが設けられ、その水平方向係止面13aは、2つのフロアパネル5および10の係止状態において、他方のフロアパネル5の溝状部の水平方向係止面8aと当接している。同様に、嵌合端部11は軟質/弾性摩耗層14の領域に接合シール領域11aを備えている。接合シール領域11aは、リップ状シール部15aを形成する圧縮領域15を有する。この接合シール領域11aにも溝状部7のリップ状シール部9aと同様の先端15bが設けられる。
【0029】
係止状態は回転接続運動によって達成され、このために、第2のフロアパネル10が矢印Aの方向に第1のフロアパネル5の表面の下方に回動される。結果として、相補的な嵌合端部6と嵌合端部11が係合し、フロアパネル5とフロアパネル10が嵌合方式で接続状態に係止固定される。
【0030】
係止固定状態について以下の
図5および
図6で説明する。
図5によれば、嵌合係止状態が形成されており、ここでは、サネ形状部12の水平方向係止面13aが溝状部7の水平方向係止面8aと当接している。さらに、接合シール領域6aのリップ状シール部9aが接合シール領域11aのリップ状シール部15aと当接していることがわかる。
図5の線記号((( )))は、接合シール領域6a/11aの初期圧縮が存在し、この初期圧縮が、接合領域Fの摩耗層3または摩耗層14の軟質/弾性材料の圧縮を生じさせていることを表している。
図5によれば、リップ状シール部9a/15aは、その圧縮が接合領域Fにおいてフロア表面の隆起をもたらすのには十分でない程度の僅かなものであるように設計されている。
【0031】
図6は、初期圧縮が接合領域Fにおいてフロア表面の僅かな隆起を生じさせるようなものであるようにリップ状シール部9a/15aが設計される代替的な実施形態を示している。この隆起が僅かに保持された場合、その隆起は有利には初期圧縮の存在の指標として役立つことができる。しかし、隆起接合領域はあまりにも急速に摩耗するので、高い隆起は回避されるべきである。
【0032】
図7は、2つの同種のフロアパネルの部分図である。フロアパネル16は担体層17および軟質/弾性摩耗層18を有する。図示した部分はその係止端縁19のみである。フロアパネル16の対向側の相補的な係止端縁は省略してある。係止端縁19は嵌合端部20として設計され、下側フック状部21を有する。フロアパネル16の相補的な係止端縁(不図示)は、図示した第2のフロアパネル22の相補的な係止端縁に対応する。第2のフロアパネル22は担体層23および軟質/弾性摩耗層24を有する。ここに示した部分は、上側フック状部26を有する嵌合端部25である。
【0033】
引っ掛けられた状態において、下側フック状部21はフロアパネル22の上側フック状部26によって覆われる。
【0034】
上下運動によってまたは上下運動手段によって、フック状部21および26を互いに引っ掛けることができる。上下とは、パネル平面に対して垂直方向の移動成分を意味する。下側フック状部21は水平方向係止面27を有し、上側フック状部26には水平方向係止面28が設けられる。2つのフロアパネル16および22の接続状態では、水平方向係止面27および28が当接し、したがって、フロア平面内方向でかつ嵌合端部20/25に対して直交する方向への2つのフロアパネル16と22の分離を防止する。
【0035】
軟質/弾性摩耗層18において、嵌合端部20は、圧縮領域30として設計された接合シール領域29を有する。圧縮領域30はリップ状シール部30aを形成する。同様に、フロアパネル22の嵌合端部25は、圧縮領域32として設計されかつリップ状シール部32aを形成する接合シール領域31を有する。フック状部21/26の引っ掛けられた状態において、リップ状シール部30a/32aが互いに押し付けられて圧縮され、これによって、緊密にシールされた接合部Fを形成する。
【0036】
図7によれば、下側フック状部21の水平方向係止面27は、パネル表面に対して直角方向に配置されず、垂直面から角度αだけ傾斜し、すなわちパネル平面に対する直角方向から傾斜している。上側フック状部26の水平方向係止面28は、水平方向係止面27に対して平行であり、すなわち、同じ角度αだけ垂直面から傾斜しており、このことは、2つの水平方向係止面が引っ掛けられた状態にあるときに互いに当接することを意味する。
【0037】
フロアパネル16のリップ状シール部30aは角度βだけ垂直面から傾斜する。同じことが、リップ状シール部30aに対して対称的に配置されるリップ状シール部32aに適用される。
【0038】
角度αが大きくなると、それだけ、リップ状シール部30a/32aを緩やかに接触させることができる。角度αには5°〜45°の範囲の値が好ましく、角度βには1°〜5°の範囲の値が好ましい。角度αとして下限値5°が選択された場合に、水平方向係止効果が最良となる。しかし、この場合、リップ状シール部は、接続運動中に、より大きな角度αが選択された場合よりも激しく変形する。このことは、より大きな角度αが接続運動のためにより大きな空間を作ることによるものである。より大きな空間が接続運動のために利用可能である場合、リップ状シール部30a/32aは互いにそれほど強くは擦れず、接続運動がより緩やかになる。角度α=16°と角度β=2°とが組み合わされると、有利な妥協点になることが証明された。
【0039】
別個の係止要素33は、パネル平面に対して垂直方向の係止のために設けられている。別個の係止要素33は、遠位方向に開放された溝34内に収容されている。遠位方向は矢印Dで示されている。溝基部34bはその溝開口部34aに対して近位に配置されている。溝34はフロアパネル16の担体層17内に延在する。フロアパネル16の相補的な嵌合端部は図示していない。しかし、フロアパネル16の相補的な嵌合端部は、フロアパネル22に図示されている上側フック状部26を有する嵌合端部25に相当するものである。上側フック状部は別個の係止要素33用の係止溝Sを有する。引っ掛けられた状態において、フック状部の別個の係止要素33が部分的に溝34に、部分的に係止溝Sに配置されるか、またはフック状部を引っ掛けた後に、前記別個の係止要素33が部分的に溝34に、部分的に係止溝Sに配置されるように前記別個の係止要素33を少なくとも挿入することができるように、係止溝Sが設計される。
【0040】
図7に示した機能設計は別として、別個の係止要素は異なる他の設計であってもよい。別個の係止要素は、弾性設計として係止溝に自動的にスナップ係合するようにできる。代わりに、別個の係止要素は、それが収容溝内への横方向摺動によって係止溝内にのみ移動され、このようにして係止効果をもたらすように設計してもよい。この横方向摺動は、弾性変形が生じても生じなくても行うことができる。例えば、
図7に示したように、フック状部同士が互いに引っ掛けられる前に別個の係止要素を適用することができるように、その別個の係止要素を設計することができる。代わりに、フック状部同士が互いに引っ掛けられた後に別個の係止要素が嵌合され得るように、その別個の係止要素を設計してもよい。本発明に適切な別個の係止要素の例は、以下の特許文献、例えば、欧州特許第1415056号明細書、欧州特許第1420125号明細書、独国特許第202006019869号明細書、欧州特許第2049749号明細書、欧州特許第2000610号明細書、国際公開第01/51732号公報および国際公開第2008/004960号公報に示されている。
【0041】
図8には、フロアパネル35の一例が概略的に示されている。フロアパネル35は互いに対向する第1の係止端縁対36および互いに対向する第2の係止端縁対37を有する。第1の係止端縁対36は第2の係止端縁対37と異なる。
【0042】
第1の係止端縁対36は、溝状部7(
図5による)を有する嵌合端部36aと、サネ形状部12(
図5による)を有する嵌合端部36bとを備えている。
【0043】
第2の係止端縁対37は、下側フック状部21(
図7による)を有する嵌合端部37aと、上側フック状部26(
図7による)を有する嵌合端部37bとを備えている。下側フック状部21には別個の係止要素33が設けられている。
【0044】
新しいフロアパネル35を、既に着手したフロアカバーに、すなわち、前の列のフロアパネル35および同じ列の少なくとも1つのフロアパネル35を有するフロアカバーに取り付けるときに、新しいフロアパネル35(
図5による)を下方に回動させることによって、嵌合端部36bを接続することができ、これに関連して、それと同時に、新しいフロアパネル35の嵌合端部37bが、同じパネルの列に既に存在しているフロアパネルの嵌合端部37aと係止される。
【符号の説明】
【0045】
1 パネル
1’ パネル部分
1” パネル部分
2 担体層
2a 分離平面
2b 分離平面
3 軟質/弾性摩耗層
3a 分離平面
3b 分離平面
4 鋸刃
5 フロアパネル
6 嵌合端部
6a 接合シール領域
7 溝状部
7a 上部溝壁
7b 下部溝壁
8 アンダーカット
8a 水平方向係止面
9 圧縮領域
9a リップ状シール部
9b 先端
10 フロアパネル
11 嵌合端部
11a 接合シール領域
12 サネ形状部
13 アンダーカット
13a 水平方向係止面
14 軟質/弾性摩耗層
15 圧縮領域
15a リップ状シール部
15b 先端
16 フロアパネル
17 担体層
18 軟質/弾性摩耗層
19 係止端縁
20 嵌合端部
21 下側フック状部
22 フロアパネル
23 担体層
24 軟質/弾性摩耗層
25 嵌合端部
26 上側フック状部
27 水平方向係止面
28 水平方向係止面
29 接合シール領域
30 圧縮領域
30a リップ状シール部
31 接合シール領域
32 圧縮領域
32a リップ状シール部
33 別個の係止要素
34 溝
34a 溝開口部
34b 溝基部
35 フロアパネル
36 第1の係止端縁対
36a 嵌合端部
36b 嵌合端部
37 第2の係止端縁対
37a 嵌合端部
37b 嵌合端部