(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736057
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】自動車装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20150528BHJP
H02J 17/00 20060101ALI20150528BHJP
B60L 11/14 20060101ALI20150528BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
H02J7/00 PZHV
H02J7/00 301C
H02J7/00 301D
H02J17/00 B
B60L11/14
B60L11/18 C
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-545074(P2013-545074)
(86)(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-507919(P2014-507919A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2011005758
(87)【国際公開番号】WO2012084099
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年8月20日
(31)【優先権主張番号】102010055925.3
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ・バイアー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・クローネヴィッター
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヴェーバー
【審査官】
大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/131349(WO,A1)
【文献】
特開2009−77557(JP,A)
【文献】
特開2008−220130(JP,A)
【文献】
特開2010−4620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 11/14
B60L 11/18
H02J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気および/またはハイブリッドの自動車装置であり、蓄電装置(11)の充電のための充電装置(10)を備え、前記充電装置は第1充電ユニット(12)を有し、前記第1充電ユニットは前記蓄電装置(11)の充電のための接続用素子(13)を有し、前記接続用素子は接触を使用したエネルギー伝送のために提供され、および前記充電装置は第2充電ユニット(14)を有し、前記第2充電ユニットはエネルギー伝送ユニット(15)を有し、前記エネルギー伝送ユニットは前記蓄電装置(11)の充電のために、そして非接触型エネルギー伝送のために提供される自動車装置であって、前記充電装置(10)が充電電子システム(16)を有し、前記充電電子システムは少なくとも2つの充電ユニット(12、14)のための統合されたシステムとして少なくとも部分的に提供されること、
前記充電電子システム(16)が切替装置(19)を有し、それを使用して切替が前記2つの充電ユニット(12、14)の間で行い得ること、
制御および/または調整装置(17)が、アクティブな充電ユニット(12、14)の検知のために提供されること、
少なくとも1つの充電パラメータに依存して、前記制御および/または調整装置(17)が前記充電ユニット(12、14)の同時作動において、前記切替装置(19)を切り替えることが提供されること、および
前記充電パラメータが、少なくとも前記蓄電装置(11)の充電状態および/または利用可能な充電時間に依存していることを特徴とする自動車装置。
【請求項2】
前記充電電子システム(16)が整流器(20)を有し、前記整流器はエネルギー伝送が両方の充電ユニット(12、14)を使用して行い得るように提供されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車装置。
【請求項3】
前記制御および/または調整装置(17)が、前記切替装置(19)を介して前記蓄電装置(11)を単に前記アクティブな充電ユニット(12、14)に接続するために提供されることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車装置。
【請求項4】
オペレータが前記充電ユニット(12、14)の直接選択を容易にできるように制御要素(18)が提供されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の自動車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に従う自動車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、蓄電装置の充電のための充電装置を備えた自動車装置、具体的には電気および/またはハイブリッドの自動車装置はすでに知られており、それは第1充電ユニットを有し、この第1充電ユニットは蓄電装置の充電のための接続用素子を有し、この接続用素子は接触によるエネルギー伝送のために提供され、およびそれは第2充電ユニットを有し、この第2充電ユニットは蓄電装置の充電のためのエネルギー伝送ユニットを有し、このエネルギー伝送ユニットは非接触型のエネルギー伝送のために提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0109604号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、特に少ない構成部品を有する簡素な構造の自動車装置を提供することである。この課題は、請求項1の特徴を通じた発明により解決される。その他の装置は従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自動車装置、具体的には、電気および/またはハイブリッドの自動車装置に関するものであり、蓄電装置の充電のための充電装置を備え、この充電装置は第1充電ユニットを有し、それは蓄電装置の充電のための接続用素子を有し、この接続用素子は接触によってエネルギー伝送を提供し、および、この充電装置は第2充電ユニットを有し、それは蓄電装置の充電のためのエネルギー伝送ユニットを有し、このエネルギー伝送ユニットは非接触型エネルギー伝送のために提供される。
【0006】
充電装置は充電電子システムを有することが示唆され、少なくとも部分的には、少なくとも2つの充電ユニットの一体構造で提供される。これにより、具体的には、各充電ユニットのための分離した個別の充電電子システムの提供が回避され、従って、具体的には、構成部品の数を最小限に抑えることができる。「蓄電装置」は、具体的には、電気エネルギーの一時的な格納のための装置を意味すると理解される。「接続用素子」は、具体的には、統合された電気接触を備えたコネクタを意味すると理解され、これは対応して形成された接続用素子との電子接触の提供のために機械的に分離したり結合したりできる。「エネルギー伝送ユニット」は、具体的には、ゼロコンタクトベースで電気エネルギーを受け取るかまたは伝送することができるユニットのことを意味すると理解される。ここでは、好ましくは2つのエネルギー伝送ユニットが、規定された距離に関し電気エネルギーの非接触型伝送のために提供される。エネルギー伝送ユニットは、少なくとも1つのコイルを有することが好ましい。「充電処理」は、具体的には、自動車の蓄電装置が、エネルギー伝送ユニットを介して外部電源と機能的に結合され、その結果電気エネルギーで充電される処理のことを意味する。「非接触型エネルギー伝送」とはここでは、具体的には、電磁式の、好ましくは誘導性のエネルギー伝送のことを意味する。「提供される」とは、具体的には、特別にプログラムされ、設定され、および/または備え付けられているという意味を含む。「充電エレクトロニクス」という語句は、本文脈では、具体的には、高電圧の電気部品の構成のことを意味し、少なくとも、充電および/または放電処理のために提供される。
【0007】
さらに、充電装置は切替装置を有し、それを使って2つの充電ユニット間で切替を行うことができることが提案される。この方法により、充電ユニットのうちの1つを介して蓄電装置を充電するために、2つの充電ユニット間で有利な切替を行うことができる。「切替装置」は、具体的にはロジックの切替を示唆することを意味すると理解され、充電ユニットのための2つの入力および1つの出力を有し、充電ユニットの入力のうちの1つに機能的に接続することができる。
【0008】
さらに、充電電子システムは整流器を有し、この整流器は両方の充電ユニットのためのエネルギーを伝送するために提供されることが提案される。これを使うことで、具体的には第1および第2充電ユニットの電流は有利に変換される。「整流器」という語句は、具体的には、交流電流を直流電流に変換するために提供される装置のことを意味する。
【0009】
さらに、自動車装置は制御および/または調整装置を有し、アクティブな充電ユニットの検出のために提供されることが提案される。この方法により、どの充電ユニットが蓄電装置の充電に使用できるのかを決定するための、特に有利かつ簡素な方法が得られる。「制御および/または調整装置」は、具体的には、少なくとも1つの制御装置を備えた装置を意味する。「制御装置」は、具体的には、処理装置および記憶装置ならびに記憶装置に格納された操作プログラムを備えた装置を意味する。根本的に、制御および/または調整装置は、一緒につながった多くの制御装置を有することができ、バスシステム、具体的にはCANバスシステムを介してお互いに伝達するために提供されることが好ましい。「アクティブ」とは本文脈では、具体的には外部主電源との接続を意味する。蓄電装置は「アクティブな充電ユニット」を介して充電可能であることが好ましい。
【0010】
加えて、制御および/または調整装置は、蓄電装置を切替装置を介してアクティブな充電ユニットと接続するために提供されることが提案される。この方法により、充電ユニットは蓄電装置と有利に簡単に接続することができ、これにより充電処理が行われ得る。「接続」とは、具体的には、電気接触が行われることを意味する。好ましくは、電気接触はまた、多くの構成部品を通して行うことができる。
【0011】
さらに、制御および/または調整装置は、切替装置が少なくとも1つの充電パラメータに従って切替えられるように、充電ユニットの同時アクティブ化を提供することが提案される。この方法により、状況に関連付けられた最適の充電オプションが採用される。「同時アクティブ化」とは、具体的には、両方の充電ユニットが所定の時点でアクティブ状態であることを意味する。両方の充電ユニットはしたがって、交互にアクティブであることが好ましい。根本的には、充電ユニットは同時にアクティブであるとも考えられる。「充電パラメータ」という語句は、具体的には、制御および/または調整装置の中に蓄積したデータに関し、それは目前および/または現在の充電処理の現データと揃えられる。
【0012】
また、充電パラメータが蓄電装置の充電状態の、および/または利用可能な充電時間の、少なくとも1つに依存することが示唆される。この方法により、充電装置は現状に有利に合うことが可能である。「蓄電装置の充電状態」は、具体的には、蓄電装置のエネルギー容量のことを意味し、具体的には、無負荷状態における蓄電装置の電圧を介して決定されることができる。「利用可能な充電時間」によって意味されることは、具体的には、目前のまたは現在の充電処理のために利用可能な時間である。「利用可能な充電時間」は、充電処理前にオペレータによって入力されることが好ましい。
【0013】
特に有利な実施形態では、自動車装置は操作要素を有し、それによりオペレータ充電ユニットを直接選択することができる。これを使って、オペレータは個人的に有利に充電ユニットを選択できる。「操作要素」という表現によって意味するものは、具体的には、操作処理においてオペレータの入力パラメータが受け入れられ、そして具体的には、直接接続されるように提供される要素であり、それによって操作要素との接触が感知され、および/または、操作要素におよぶ作動力が感知され、および/または、装置の作動のために機械的に転送される。
さらなる利点は、以下の図の説明から生じる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図、明細書および特許請求の範囲は、組み合せると多くの機能を含む。専門家はまた、個々の特徴の利点を考慮し、賢明なさらなる組み合せにそれらをまとめるであろう。
【0016】
図1は自動車装置、具体的には、自動車のための電気および/またはハイブリッドの自動車装置の概略図を示す。自動車は、電気および/またはハイブリッド自動車として形成される。自動車は、推進手段として、電動機駆動装置を備えた部分的に示されたドライブトレインを有する。根本的に、ドライブトレインは数多くの電動機駆動装置を有することも考えられる。自動車は蓄電装置11を有し、少なくとも電動機駆動装置にエネルギーを供給するために提供される。根本的に、自動車は少なくとも1つの電動機駆動装置に加えて、ドライブトレインの中に少なくとも1つの内燃機関を有することも考えられる。
【0017】
蓄電装置11は高電圧バッテリーを含む。蓄電装置11は少なくとも100ボルトの直流電圧を供給する。高電圧バッテリーは、直列に配置された数多くの個々の電池を含む。最小のバッテリー電圧は105.6ボルトである。最大のバッテリー電圧は413ボルトであり、根本的に最大バッテリー電圧も高くなることがある。蓄電装置11は2つのバッテリーターミナルを有し、それぞれ蓄電装置11の1つの定義された電極を形成している。
【0018】
電動機駆動装置は、三相電流モーターの形態を取る。電動機駆動装置は3つのモーターコイルを含む。エネルギー供給を提供するために、電動機駆動装置は2つの個別の位相を有する。駆動モードでは、電動機駆動装置は、供給される電力から駆動トルクを生成する。生成操作モードでは、電動機駆動装置は、それに供給された機械動力から電力を生成し、それは例えば電動機駆動装置に供給することができる。
【0019】
蓄電装置11の充電のために、自動車装置は充電装置10を有する。充電装置10は、第1充電ユニット12および第2充電ユニット14を含む。充電装置10は充電電子システム16を有する。充電電子システム16は、充電ユニット10と14両方のために提供される。充電装置16は切替装置19を有する。切替装置19は第1入力21および第2入力22を有する。第1入力21は第1充電ユニット12と接続されており、第2入力22は第2充電ユニット14と接続されている。
【0020】
充電電子システム16は整流器20を有し、充電ユニット12と14の両方へのエネルギー伝送を促進するために提供される。整流器20は切替ロジックを有し、さらなる詳細は記載しないが、これは充電ユニット12と14の電圧および電流を整流するためのものである。充電処理では、蓄電装置11は第1充電ユニット12を介して充電され、整流器20は、第1充電ユニット12から切替装置19を介して整流器20へ送られる三相電流を直流電流へと変換する。充電処理では、蓄電装置11は第2充電ユニット14を介して充電され、整流器20は、第2充電ユニットから切替装置19を介して整流器20へ送られる交流電流を直流電流へと変換する。
【0021】
第1充電ユニット12は、接続用素子13を含み、接触によるエネルギー伝送処理のために提供される。充電処理のために、接続用素子13は対応する接続用素子23との機械的に分離可能な接続を備えて供給され、外部主電源24と接続される。充電ユニット12は、コンダクタ25を含み、それは接続用素子13を切替装置19の第1入力21と接続させる。コンダクタ25はプラスチックの被覆ケーブルとして少なくとも部分的に形成される。
【0022】
第2充電ユニット14は、蓄電装置11の充電のための車両側エネルギー伝送ユニット15を有する。車両側エネルギー伝送ユニット15は、非接触型エネルギー伝送のために提供される。非接触型エネルギー伝送のために、車両側エネルギー伝送ユニット15は少なくとも1つのコイルを有する。充電ユニット14は、コンダクタ26を含み、それは車両側エネルギー伝送ユニット15を切替装置19の第2入力22と接続する。車両側エネルギー伝送ユニット15は充電処理の中でエネルギー受信ユニットとして形成される。エネルギー伝送ユニット15は、自動車の中で統合され固定される。車両側エネルギー伝送ユニット15は、自動車のフロアパンに設置される。根本的に、車両側エネルギー伝送ユニット15は、電気および/またはハイブリッド自動車の別のポイントに設置されることも考えられる。
【0023】
車両側エネルギー伝送ユニット15は、据え置き型のエネルギー伝送ユニット27に機能的に接続されるために、容易に提供される。据え置き型のエネルギー伝送ユニット27は、例えば駐車場の床や別の位置など、自動車を使って簡単に届く、周辺の位置に固定される。据え置き型のエネルギー伝送ユニット27は、外部主電源24と接続している。非接触型エネルギー伝送のために、据え置き型のエネルギー伝送ユニット27は、少なくとも1つのコイルを有する。自動車の蓄電装置11の充電処理では、据え置き型のエネルギー伝送ユニット27はエネルギー送出側装置の形態をとる。据え置き型のエネルギー伝送ユニット27はしたがって、常に床の上に位置していることが好ましいが、据え置き型のエネルギー伝送ユニット27は別のポジション、例えば壁などに配置されることも考えられる。この理由により、車両側エネルギー伝送ユニット15は、2つのエネルギー伝送ユニット15と27の結合を容易にするために、自動車に適切に設置された第2充電ユニット14を有する必要がある。
【0024】
自動車装置は制御および調整装置17を有する。制御および調整装置17は、少なくとも電動機駆動装置および蓄電装置11の充電処理を調整する。制御および調整装置17はセンサー装置を使って、ここではその詳細は説明しないが、2つの充電ユニット12と14のうちいずれがアクティブか、従っていずれが外部主電源と接続されているかを検出する。制御および調整装置17は、従って単に切替装置19を介して蓄電装置11をアクティブな充電ユニット12、14に接続するものであり、それは従って切替装置19を適宜制御するものである。
【0025】
充電パラメータは、制御および調整装置17に格納されている。充電パラメータは蓄電装置11の充電状態および利用可能な充電時間に少なくとも依存している。充電ユニット12と14の両方がアクティブな場合、制御および調整装置17は充電パラメータに依存して切替装置19を切り替えることができる。蓄電装置11の利用可能な充電時間と充電状態が最小の場合、充電パラメータは、制御および調整装置17が第1充電ユニット12を蓄電装置11と接続するように形成される。というのは、これらを介して高いエネルギー伝送を発生することができるためである。蓄電装置11の利用可能な充電時間および/または充電状態が高い場合、充電パラメータは、制御および調整装置17が第2充電ユニット14を蓄電装置11と接続するように形成される。
【0026】
自動車装置は操作要素18を有し、それによりオペレータは充電ユニット12、14を直接選択できる。操作要素18はしたがって、例えば運転手エリアのダッシュボードの上など、オペレータが簡単に手の届く場所に設置される。操作要素18の作動により、オペレータは第1充電ユニット12および第2充電ユニット14の間の切替を手動で行うことが可能である。