(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736060
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ベビーカー
(51)【国際特許分類】
B62B 7/06 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
B62B7/06
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-555725(P2013-555725)
(86)(22)【出願日】2011年7月18日
(65)【公表番号】特表2014-507333(P2014-507333A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】CN2011077245
(87)【国際公開番号】WO2012116534
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2014年1月16日
(31)【優先権主張番号】201110049301.X
(32)【優先日】2011年3月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507044192
【氏名又は名称】グッドベイビー チャイルド プロダクツ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フ、ジエ
【審査官】
鹿角 剛二
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭53−011440(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101758847(CN,A)
【文献】
米国特許第05667236(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュロッド(3)とプッシュハンドル(4)とを含む折り畳み可能なフレーム(1)であって、前記プッシュハンドル(4)は、その後部に保持用の把持部(11)と、前記プッシュハンドル(4)が第1の作動位置と第2の作動位置との間で前記プッシュロッド(3)に対して軸を中心に回転できるように、前記プッシュロッド(3)の後端部に回転可能に連結された前端部とを有し、前記プッシュハンドル(4)の前記第1の作動位置における前記把持部(11)の最も高い点が、前記プッシュハンドル(4)の前記第2の作動位置における前記把持部(11)の最も高い点よりも高い折り畳み可能なフレーム(1)と、
前記フレーム(1)に備えられたシート機構と、
前記フレーム(1)の底部に配置された複数の車輪(2)と、
前記複数の車輪(2)の少なくとも1つと前記フレーム(1)との間に配置されたブレーキ機構と、
牽引ロープ(7)であって、前記プッシュハンドル(4)が、前記プッシュロッド(3)に対して回転することによって前記牽引ロープを介して前記ブレーキ機構の作用を制御して、前記プッシュハンドル(4)が前記第2の作動位置のときに前記ブレーキ機構を解放状態に変化させ、前記プッシュハンドル(4)が前記第1の作動位置のときに前記ブレーキ機構を制動状態に変化させるように、前記プッシュハンドル(4)と前記ブレーキ機構との間に接続された牽引ロープ(7)とを含むベビーカーであって、
前記フレーム(1)は、前記プッシュハンドル(4)が前記第1の作動位置になりやすくするための弾性部材を更に含み、
前記フレーム(1)が中心面に対して左右対称であり、前記プッシュロッド(3)に対する前記プッシュハンドル(4)の回転軸を前記中心面に投影すると、前記中心面上において直線線分になることを特徴とするベビーカー。
【請求項2】
前記プッシュハンドル(4)の前記第1の作動位置における前記把持部(11)の中心点と前記中心面との間の距離が、前記プッシュハンドル(4)の前記第2の作動位置における前記把持部(11)の中心点と前記中心面との間の距離よりも大きい請求項1に記載のベビーカー。
【請求項3】
前記プッシュハンドル(4)は、スロット(5)が開けられた前部を有し、前記プッシュロッド(3)の上端部が、それ自体を回転軸として、前記スロット(5)に回転可能に挿入されている請求項1に記載のベビーカー。
【請求項4】
前記プッシュハンドル(4)の回転角度を制限するために用いられる位置制限機構が前記プッシュハンドル(4)と前記プッシュロッド(3)との間に配置される請求項1に記載のベビーカー。
【請求項5】
前記牽引ロープ(7)の上端部に連結された摺動体(6)を更に含み、
前記摺動体(6)は、細長い溝(8)および螺旋溝(9)に挿入されており、前記細長い溝(8)の長さ方向が前記プッシュロッド(3)に対する前記プッシュハンドル(4)の回転軸と平行になるように、前記プッシュハンドル(4)に前記細長い溝(8)が開けられており、前記螺旋溝(9)の長さ方向が上下方向に沿って延びるように、前記プッシュハンドル(4)に前記螺旋溝(9)が開けられており、
前記螺旋溝は前記スロット(5)と連通している請求項3に記載のベビーカー。
【請求項6】
前記プッシュロッド(3)には前記細長い溝(8)と連通する内部空胴(10)が備えられており、前記摺動体(6)の一部および前記牽引ロープ(7)が前記内部空胴(10)の中に配置されている請求項5に記載のベビーカー。
【請求項7】
2つのブレーキ機構を備え、前記複数の車輪のうちの2つの車輪のそれぞれと前記フレームとの間に、前記2つのブレーキ機構がそれぞれ配置される請求項1〜6のいずれかに記載のベビーカー。
【請求項8】
前記フレーム(1)の左側および右側にそれぞれ配置された2つのプッシュロッド(3)および2つのプッシュハンドル(4)を備え、前記2つのプッシュハンドル(4)の前記把持部(11)は、前記ブレーキ機構が制動状態のときは互いに遠く離れており、前記ブレーキ機構が解放状態のときは互いに近づいている請求項1〜6のいずれかに記載のベビーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来技術のベビーカーは、折り畳み可能なフレームと、弾性部材と、フレームに配置されたシート機構と、フレームの下部に配置された複数の車輪と、複数の車輪およびフレームに取り付けられたブレーキ機構とを含む。フレームは、通常、プッシュロッドと、プッシュロッドに設けられた保持用のプッシュハンドルと、一般には、プッシュロッドまたはプッシュハンドルに回転可能または摺動可能に備えられた動作部とを含む。動作部は、牽引ロープを介してブレーキ機構に連結されており、動作部を制御することによって、ブレーキ機構は、制動状態と解放状態とを切り替えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決すべき技術的課題は、容易に操作可能なブレーキ機構を有することにより、速やかにブレーキをかけることができるベビーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を克服するために、本発明においては、以下の技術的方式が用いられる。
【0005】
ベビーカーは、
プッシュロッドと、後部に保持用の把持部を有するプッシュハンドルとを含む折り畳み可能なフレームと、
前記フレームに備えられたシート機構と、
前記フレームの下部に配置された複数の車輪と、
前記複数の車輪の少なくとも1つと前記フレームとの間に配置され、制動状態および解放状態を有するブレーキ機構とを含み、
前記プッシュハンドルの前端部が前記プッシュロッドの後端部に軸を中心に回転可能に連結されており、牽引ロープが前記プッシュハンドルと前記ブレーキ機構との間に接続されており、前記プッシュハンドルは、前記プッシュロッドに対して回転する過程で、前記牽引ロープを介して前記ブレーキ機構の作用を制御し、前記ブレーキ機構が前記制動状態のとき、前記プッシュハンドルは第1の作動位置にあり、前記ブレーキ機構が前記解放状態のとき、前記プッシュハンドルは第2の作動位置にあり、前記フレームは、前記プッシュハンドルが前記第1の作動位置になりやすくするための弾性部材を更に含み、前記プッシュハンドルが前記第1の作動位置にあるときの前記把持部の最も高い点が、前記プッシュハンドルが前記第2の作動位置にあるときの前記把持部の最も高い点よりも高い。
【0006】
前記フレームが中心面に対して左右対称であり、前記プッシュロッドに対する前記プッシュハンドルの回転軸の投影図形は、前記中心面上において直線線分である。
【0007】
より好ましくは、前記プッシュハンドルが前記第1の作動位置にあるときの前記把持部の中心点と前記中心面との間の距離が、前記プッシュハンドルが前記第2の作動位置にあるときの前記把持部の中心点と前記中心面との間の距離よりも大きい。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記プッシュハンドルは、その前端部にスロットを有し、前記プッシュロッドの上端部が、それ自体を回転軸として、前記スロットに回転可能に挿入されている。
【0009】
いくつかの別の実施形態において、前記プッシュハンドルの回転角度を制限するために用いられる位置制限機構が前記プッシュハンドルと前記プッシュロッドとの間に配置される。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記プッシュハンドルには細長い溝が開けられており、前記細長い溝の長さ方向と、前記プッシュロッドに対する前記プッシュハンドルの回転軸の方向とが一致しており、前記プッシュハンドルには前記スロットと連通する螺旋溝が開けられており、前記螺旋溝の長さ方向が上下方向に沿って延びており、摺動体が前記牽引ロープの上端部に連結されており、前記摺動体は、前記細長い溝および前記螺旋溝に挿入されている。
【0011】
さらにいくつかの実施形態において、前記プッシュロッドには前記細長い溝と連通する内部空胴が備えられており、前記摺動体の一部および前記牽引ロープが前記内部空胴の中に配置されている。
【0012】
さらにいくつかの実施形態において、2つのブレーキ機構を備え、前記車輪のうちの2つと前記フレームとの間に、前記2つのブレーキ機構がそれぞれ配置される。
【0013】
好ましくは、前記フレームの左側および右側にそれぞれ配置された2つのプッシュロッドおよび2つのプッシュハンドルを備え、前記2つのプッシュハンドルの前記把持部は、前記ブレーキ機構が制動状態のときは互いに遠く離れており、前記ブレーキ機構が解放状態のときは互いに近づいている。
【0014】
本発明の範囲は、特に上記技術的特徴が組み合わされた技術的方式に限定されない。上記技術的特徴または同等の特徴が任意に組み合わされた他の技術的方式、例えば、上記技術的特徴を、これらに限定されないが、本発明において開示された同様の機能を有する技術的特徴と取り替えることによって形成される技術的方式も本発明に包含されるべきである。
【発明の効果】
【0015】
上記技術的解決を適用することにより、従来技術に比べて、本発明には以下の利点がある。牽引ロープがプッシュハンドルとブレーキ機構との間に接続されているため、プッシュハンドルを押し下げることによって、プッシュロッドに対してプッシュハンドルが回転すると、牽引ロープはブレーキ機構を解放することが可能となり、ベビーカーを動かすことができる。使用者がプッシュハンドルを放したままにしておくと、プッシュハンドルは自動的に元に戻るので、ブレーキ機構が制動状態になり、ベビーカーは動かなくなる。従って、本発明が開示したベビーカーは、より安全に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、プッシュハンドルとプッシュロッドとの連結部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ブレーキ機構が制動状態の場合の第1の作動位置におけるプッシュハンドルを示す模式図である。
【
図4】
図4は、ブレーキ機構が解放状態の場合の第2の作動位置におけるプッシュハンドルを示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明による第1の実施形態の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明による第2の実施形態の側面図である。
【
図7】
図7は、ブレーキ機構が解放状態の場合の
図6におけるベビーカーの正面図である。
【
図8】
図8は、ブレーキ機構が制動状態の場合の
図6におけるベビーカーの正面図である。
【
図9】
図9は、
図6におけるベビーカーのプッシュハンドルの断面図である。
【
図10】
図10は、本発明によるブレーキ機構のいくつかの構成要素を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、添付の図面を参照しながら説明する。しかし、これらの図面は単なる例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。なぜなら、本発明は、他の同様に効果的な実施形態も許容できるからである。
【0018】
第1の実施形態
図5に示すように、ベビーカーの本体は、折り畳み可能なフレーム1と、フレーム1に配置されたシート機構(参照符号で示されていない)と、フレーム1の下部に配置された4つの車輪2と、車輪2とフレーム1との間に取り付けられたブレーキ機構とを含む。さらに、フレーム1は、少なくとも1つのプッシュロッド3と少なくとも1つのプッシュハンドル4とを含み、少なくとも1つのプッシュハンドル4の前端部が少なくとも1つのプッシュロッド3の後端部に回転可能に連結されており、少なくとも1つのプッシュハンドル4は、その後端部に保持用の把持部11を有する。
【0019】
フレーム1は、複数の車輪ブラケット(参照符号で示されていない)も含み、複数の車輪のそれぞれは、水平方向に沿って延びる車輪軸を介して、対応する車輪ブラケットに回転可能に連結されている。ブレーキ機構は、通常、フレーム1の後部における車輪2と対応する車輪ブラケットとの間に配置されるとともに、牽引ロープ7を介してプッシュハンドル4に連結される。好ましい実施形態では、フレーム1の左側および右側にそれぞれ配置された2つのプッシュハンドル4および2つのプッシュロッド3を備える。この構成により、使用者は、2つのプッシュハンドル4の2つの把持部11を両手で握ってベビーカーを押すことができるため、バランスのとれた操作を都合よく実現できる。
【0020】
図5に示された実施形態では、2つのブレーキ機構を備え、これらのブレーキ機構は、2つの車輪2とフレーム1との間にそれぞれ配置され、且つ牽引ロープ7を介してプッシュハンドル4にそれぞれ連結される。また、ブレーキ機構の状態は、プッシュロッド3に対してプッシュハンドル4を回転させることによって制御することができる。
図3〜
図4は、
図5の実施形態におけるプッシュハンドル4の状態変化を示す。2つのプッシュハンドル4は、プッシュロッド3に回転可能に連結されており、2つのブレーキ機構が牽引ロープ7を介して対応するプッシュハンドル4にそれぞれ連結されている。
図4に示すように、プッシュハンドル4によってブレーキ機構を解放状態にするように操作する過程で、ベビーカーの2つのプッシュハンドル4は、両方ともプッシュロッド3に対して回転することになる。
【0021】
各ブレーキ機構の全体構成は、図示されていない。なぜなら、ブレーキ機構は、本発明において保護されるべき顕著な技術的特徴ではなく、様々な方法で実現可能だからである。
【0022】
図10は、ブレーキ用のブレーキブロック13を示しており、ブレーキブロック13に一致するように車体の車輪2に複数のブレーキ孔を開けてもよく、好ましくは複数のブレーキ孔は、車体の車輪2の回転中心を中心とする円周上に均等に分布している。
図10のブレーキブロック13には、ブレーキピン131が設けられている。ブレーキブロック13は、牽引ロープ7の下端部に連結されており、圧力ばね14がブレーキブロック13と車輪ブラケットとの間に配置されている。ブレーキ機構が制動状態のとき、ブレーキピン131は、1つのブレーキ孔に挿入される。ブレーキ機構が解放状態のとき、ブレーキピン131は、そのブレーキ孔から外れる。
【0023】
本発明のブレーキ機構として、例えば、車体の車輪に固定車輪軸およびホイールボスを備えた把持ブレーキ装置を用いることができる。このブレーキ機構は、ブレーキバーを含み、ブレーキバーの一端は車輪ブラケットに固定され、ブレーキバーの他端は牽引ロープの下端部に連結される。制動状態では、ブレーキバーが対応するホイールボスを把持し、解放状態では、ブレーキバーが対応するホイールボスから外れる。本明細書中に記載された把持ブレーキ装置は、当該技術において一般に用いられるブレーキ装置であるため、本発明の図面にはより詳細に記載されていない。
【0024】
フレーム1は、中心面に対して左右対称の構成であり、プッシュロッド3に対するプッシュハンドル4の回転軸の投影図形は、中心面上において直線線分である。すなわち、回転軸は、中心面に垂直ではないことが好ましい。一般に、プッシュロッド3はパイプ製であり、好ましくは、回転軸の方向はプッシュロッド3の長さ方向と一致する。
【0025】
ブレーキ機構が制動状態のとき、
図3に示すように、プッシュハンドル4は第1の作動位置にある。ブレーキ機構が解放状態のとき、
図4に示すように、プッシュハンドル4は第2の作動位置にある。プッシュハンドル4は、プッシュハンドル4が第1の作動位置にあるときの把持部11の最も高い点が、プッシュハンドル4が第2の作動位置にあるときの把持部11の最も高い点よりも高くなるように装着されることが好ましい。
【0026】
さらに、ブレーキ機構が制動状態のとき、
図3に示すように、2つのプッシュハンドル4の把持部11は互いに遠く離れている。ブレーキ機構が解放状態のとき、
図4に示すように、2つのプッシュハンドル4の把持部11は互いに近づいている。
【0027】
プッシュハンドル4が第1の作動位置になりやすくするために、フレーム1に弾性部材を配置してもよい。弾性部材は、第2の実施形態において後述するように、プッシュハンドル4とプッシュロッド3との間に配置してもよく、または上記ブレーキブロック13と車輪ブラケットとの間に配置してもよい。すなわち、上記圧力ばね14よって簡単に復帰力が得られるため、ブレーキ機構は、外力を用いずに元に戻って制動状態になる。同時に、圧力ばね14がブレーキブロック13および牽引ロープ7を介してプッシュハンドル4に復帰力を伝達するため、プッシュハンドル4は、第1の作動位置になってとどまる。
【0028】
使用者がベビーカーを押したいのならば、2つのプッシュハンドル4の把持部11の両方を、同時に押し下げる必要がある。これによって、2つのブレーキ機構が解放状態となり、ベビーカーを押すことができる。さらに、プッシュハンドル4の把持部11を押し下げる過程で、2つのプッシュハンドル4の把持部11の両方がフレーム1の内側に移動するので、押す操作の快適さがさらに向上する。
【0029】
ベビーカーの構成をより小型化、合理化且つ簡素化するために、プッシュハンドル4とプッシュロッド3との連結を変更することができる。
図1〜
図2に示すように、プッシュハンドル4は、その前端部にスロット5を有し、プッシュロッド3の上端部が、それ自体を回転軸として、上記スロット5に回転可能に挿入される。あるいは、プッシュロッドは、その前端部にスロット5を有し、プッシュハンドル4の下端部が、それ自体を回転軸として、上記スロット5に回転可能に挿入される。このような構成は図示されていないが、
図1〜
図2の構成を変更することによって実現できる。
【0030】
プッシュハンドル4の回転角度を制限するために用いられる位置制限機構がプッシュハンドル4とプッシュロッド3との間に配置される(図示せず)。位置制限機構は、本発明において保護されるべき顕著な技術的特徴ではないため、図面にはより詳細に記載されていない。また、位置制限機構は、簡単な方法で実現できる。例えば、プッシュハンドル4に第1の位置制限部を設けるとともに、プッシュロッド3に2つの第2の位置制限部を設けて、2つの第2の位置制限部により、第1の位置制限部が一定の角度範囲内でしか回転しないように制限される。第1の位置制限部と2つの第2の位置制限部とが互いに接触すると、プッシュハンドルは、プッシュロッド3の周りを回転し続けることができない。
【0031】
図1〜
図2に示すように、プッシュハンドル4には細長い溝8が開けられており、プッシュロッド3に対するプッシュハンドル4の回転軸の方向と、細長い溝8の長さ方向とが一致している。また、プッシュハンドル4にはスロット5と連通する螺旋溝9が開けられており、螺旋溝9の長さ方向が上下方向に沿って延びている。摺動体6が牽引ロープ7の上端部に連結されており、摺動体6は、細長い溝8および螺旋溝9に挿入されている。プッシュハンドル4の回転中に、摺動体6は、螺旋溝9および細長い溝8の内部を摺動するが、螺旋溝9によって、細長い溝8における摺動体6の位置が制御される。摺動中に、牽引ロープ7が引っ張られることにより、ブレーキ機構は、制動状態と解放状態とを切り替えることが可能となる。
【0032】
図1に示すように、プッシュロッド3には細長い溝8と連通する内部空胴10が備えられており、摺動体6の一部および牽引ロープ7が内部空胴10の中に配置されている。
【0033】
第2の実施形態
図6〜
図9は、本発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態は、第1の実施形態とは、ブレーキ機構の数が異なる。
図6〜
図8に示すように、1つのブレーキ機構が複数の車輪2の1つとフレーム1との間に配置される。同様に、このブレーキ機構は、牽引ロープ7によってプッシュハンドル4に連結されており、ブレーキ機構の状態の変化は、プッシュハンドル4を回転することによって制御することができる。それに応じて、本実施形態では、一方のプッシュハンドルだけが、対応するプッシュロッド3に回転可能に連結されるように構成されている。すなわち、このような牽引ロープを介してブレーキ機構に連結されたプッシュハンドル4は、プッシュロッド3に対して回転することができ、
図7および
図8に示すように、ブレーキ機構が制動状態と解放状態とを切り替える過程で、一方のプッシュハンドル4のみが第1の作動位置と第2の作動位置とを切り替え、他方のプッシュハンドル4は初期状態のままである。使用者がベビーカーを押したいのならば、彼/彼女は、一方のプッシュハンドル4を下方に且つフレーム1の内側に押すことにより、ブレーキ機構を解放する。同時に、2つのプッシュハンドル4の把持部11も互いに近づいて、保持するのに便利な位置にいたる。これに対して、
図7〜
図8に示すように、一方のプッシュハンドル4の把持部は、押すことに適合した構成および取付角度を有するように設計されていることが好ましい。その結果、使用者は、ベビーカーを押す前に、習慣的に、他方のプッシュハンドル4の把持部を押し下げることができる。すなわち、一方のプッシュハンドル4は、実質的に、第2の作動位置における他方のプッシュハンドル4の状態と一致する。
【0034】
図9は、プッシュハンドル4とプッシュロッド3との間に配置されたねじりばね12を示す。プッシュハンドル4がねじりばね12を介して復帰力を発揮するため、プッシュハンドル4は、外力を用いずに元に戻って第1の作動位置にとどまることができる。この方法は、第1の実施形態にも適用可能である。すなわち、第1の実施形態で記載された圧力ばね14を取り除き、ねじりばね12だけを用いてプッシュハンドル4を元に戻すと同時に、ブレーキ機構も元に戻して制動状態にする。あるいは、圧力ばね14およびねじりばね12の両方を備えて、プッシュハンドル4がより着実に元に戻るだけでなく、ブレーキ機構もより着実に元に戻って制動状態になるようにすることができる。
【0035】
上述したように、詳細な説明は、本発明の精神に従って記載されているが、本発明は、上記実施形態および実施方法に限定されない。
【0036】
関連技術における当業者は、本発明の範囲内において、多くの変更および方法を行うことができる。