(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述したような従来装置は、複数の磁気センサによって磁気を検知する場合、その磁気検知回路部を備えた基板(主制御基板)に、その磁気センサの数に応じたコネクタ(接続部)を用意しなければならず、その基板の共通化を阻害する要因となっている。
さらに、このように複数の磁気センサによって磁気を検知する場合には、例えば
図9に示すように各磁気センサごとにコンパレータ(比較器)などの回路素子を多数用いなければならないため、処理回路が複雑となり、コストアップを招くと共にその小型化や省電力化が難しいといった問題がある。
【0006】
図10は、このように複数の磁気センサによって磁気を検知する場合の磁気検知回路部の一例を示した回路構成図である。図において、符号C1〜C4は、主制御基板などに設けられたコネクタであり、それぞれ図示しない汎用の機械式あるいは磁気抵抗効果素子などからなる磁気センサを着脱自在に接続する。そして、これら各コネクタC1〜C4には、磁気検出用のコンパレータと断線検出用のコンパレータがそれぞれ一対ずつ(合計8つ)設けられており、いずれかの磁気センサが磁力を検出したときのみならず、いずれかの磁気センサが断線されたときには、その断線信号が主制御基板(の接続確認回路部)に出力される構造となっている。
【0007】
従って、この図からも分かるように従来装置は予め接続できる磁気センサが決まっているため、さらの多くの磁気センサを備えるためには、その数に見合ったコネクタやコンパレータなどの処理回路を用意しなければならないといった不都合がある。
そこで、本発明はこのような課題を解決するために案出されたものであり、その主な目的は、磁気センサの増減に柔軟に対応できると共に処理回路も単純化できる新規な遊技機の磁気検出システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために第1の発明は、
複数の磁気センサモジュールを有する磁気検出部と、当該磁気検出部から出力供給される電源によって前記いずれかの磁気センサモジュールの断線もしくは磁気の有無を判定する断線・磁気判定部とを備え、前記磁気検出部は、断線もしくは磁気を検出しないときは
次段へ電源の出力供給をすると共に断線もしくは磁気を検出したときには電源の出力供給をしない磁気センサモジュールを複数直列に接続し、当該各磁気センサモジュールのうち最終段の磁気センサモジュール
の出力
端を前記断線・磁気判定部に接続し、前記断線・磁気判定部は、前記磁気検出部から電源を出力供給されているときは、断線もしくは磁気が検出されないと判定し、前記磁気検出部からの電源が出力供給されなくなったときは、断線もしくは磁気が検出されたと判定することを特徴とする遊技機の磁気検出システムである。
【0009】
第2の発明は、
第1の発明において、前記磁気センサモジュールは、磁気を検出しないとき
は電源を出力供給すると共に磁気を検出したときには電源の出力供給を停止する磁気センサと、当該磁気センサから電源が出力供給されているときにはオンすると共に当該磁気センサからの電源の出力供給が停止したときにはオフする第1のトランジスタと、当該第1のトランジスタがオンしているときにオンして
次段の磁気センサモジュールへ電源の出力供給をすると共に当該第1のトランジスタがオフしたときにオフして
当該次段の磁気センサモジュールへ電源の出力供給を停止する第2のトランジスタと、を有することを特徴とする遊技機の磁気検出システムである。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、磁気検出部が、断線もしくは磁気を検出しないときは電源の出力供給をし、断線もしくは磁気を検出したときには電源の出力供給を停止することから、断線・磁気判定部は、その磁気検出部から電源の出力供給の有無を検知するだけで、磁気は勿論いずれかの磁気センサモジュールの断線も確実に検出できる。また、断線もしくは磁気の有無を判定するための処理回路も単純化できる。
【0011】
さらに第1の発明によれば、磁気検出部が、磁気センサモジュールを複数直列に接続し、最終段の磁気センサモジュールを断線・磁気判定部に接続してなるものであるため、磁気センサモジュールと断線・磁気判定部との接続部(コネクタ)が原則として1つで済むことになる。これによって、磁気センサモジュールの数ごとに基板にコネクタを用意する必要がなくなるため、コストの削減を図ることができる。また、磁気センサの増減に対しても柔軟に対応できる。例えば、磁気センサの搭載数が異なる機種でも断線・磁気判定部は共通であるため、同一の基板を用いることができる。すなわち、基板の共通化が可能となる。
【0012】
第2の発明によれば、各磁気センサモジュールは通常時すなわちその断線または磁気センサによる磁気が検出されないときは、常時所定の電源の出力供給を次の磁気センサモジュールにし、異常時すなわちその断線または磁気が検出されたときは、次の磁気センサモジュールへの電源の出力供給を停止できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
(基本構成)
図1は、本発明に係る遊技機100の実施の一形態を示した外観斜視図である。
図示するようにこの遊技機100は、いわゆるデジパチなどと称されるパチンコ機であり、縦長矩形状をした外枠10とヒンジ機構12により蝶着された内枠14の正面上部には、開閉自在なガラス枠ユニット16で覆われた遊技盤18が設けられている。
【0015】
この遊技盤18とガラス枠ユニット16の間には、
図2に示すように案内レール20によって区画された円形状の空間である遊技領域22が形成されている。そして、発射装置(発射ハンドル)24から案内レール20を介して遊技領域22内上部に打ち込まれた遊技球がその自重によってその遊技領域22内を落下して遊技盤18底部に設けられたアウト口26から遊技領域22外(遊技盤18後方)へ排出されると共に、他の遊技球の一部がその遊技盤18に形成された各種入賞口に入賞するようになっている。この各種入賞口に遊技球が入賞すると、その入賞球数に応じた数の賞球(1個〜15個)がその遊技領域22の下部に設けられた受皿ユニット28側へ次々と払い出される。
【0016】
また、
図2に示すようにこの遊技盤18の中央部には、液晶ディスプレイ(LCDパネル)からなる大型の演出図柄表示器30が設けられており、その下部に設けられた入賞装置32へ遊技球が入賞したときに行われる大当たり(特賞)の抽選結果に対応する所定の演出図柄などを所定の表示モードによって適宜変動表示するようになっている。
また、この入賞装置32は、固定式の第1始動入賞口32aと、その下部に位置する可動式の第2始動入賞口32bとから構成されている。
【0017】
すなわち、この入賞装置32は、遊技盤18上にネジなどによって固定される固定板35の中央上部に第1始動入賞口32aが設けられていると共に、その直下に第2始動入賞口32bが設けられた構造となっており、その近傍を落下する遊技球の一部がその近傍に打ち込まれた釘や役物(図示せず)などに誘導されてそれぞれ適宜入賞可能となっている。
この第1始動入賞口32aは、図示するようにいわゆるヘソなどと称される常時上向きに開口した遊技球入口であり、その直上に位置する釘同士の間隔や角度などを適宜調節することによって予めその入賞(入球)確率が調整可能となっている。
【0018】
一方、第2始動入賞口32bは、いわゆる電チュー(電動チューリップ)などと称される入賞確率可変な電動役物(可動部材)36から構成されており、前記案内レール20の近傍に設けられた普通図柄始動ゲート34を遊技球が通過する際に行われる普通図柄の抽選結果に応じて開閉動作してこの第2始動入賞口32b(入賞装置32)への遊技球の入賞確率をコントロールする。なお、この第2始動入賞口32bが非作動状態のときは、その電動役物(可動部材)が停止した(閉じた)状態となっており、その第2始動入賞口32bへ遊技球が入賞できないようになっている。
【0019】
また、この入賞装置32の下部には、矩形板状の開閉蓋38で塞がれた大入賞口40が形成されている。そして、この入賞装置32への遊技球の入賞を契機に行われた大当たりの抽選で当選したときに、その開閉蓋38を所定時間、所定回数、開閉動作を繰り返すことでその遊技領域22内を落下する遊技球を捕捉して入賞させる。
また、この大入賞口40の近傍には、特別図柄表示器42が設けられており、入賞装置32への遊技球の入賞を契機として行われる大当たりの抽選結果を7セグメントLEDなどからなる表示器によって数値やアルファベットなど用いて表示する。
【0020】
また、演出図柄表示器30の近傍には、普通図柄表示器44と入賞保留ランプ46が設けられている。普通図柄表示器44は、前記普通図柄始動ゲート34を遊技球が通過する際に行われる普通図柄の抽選結果を同じく7セグメントLEDなどの表示器を用いて表示する。入賞保留ランプ46は、入賞装置32への遊技球の入賞保留球数を例えば複数のLEDの明滅によって表示するものであり、通常4個(最大で8個)の入賞保留球数を表示する。
なお、
図2中符号48は遊技球の一部が入賞可能な各種入賞口、50,50は、この遊技盤18を内枠14側に対して脱着するための取付部である。また、図示していないが、この遊技盤18上には、これを落下する遊技球の流れを制御するための釘が多数打ち込まれている。
【0021】
一方、
図1に示すようにこの遊技盤18を覆うガラス枠ユニット16の周囲には、電球やLEDなどからなる様々な色彩の表示ランプ(表示灯)52、52が設けられている。そして、これらの表示ランプ(表示灯)52、52は、遊技中の演出や機器の状態(例えば、機器のエラーやガラス枠ユニット16などの開閉状態)などとリンクして点灯または点滅する。
さらに、このガラス枠ユニット16の左右上角部や受皿ユニット28の下部中央には、それぞれフルレンジスピーカーユニット54、54やサブウーファーユニット56が設けられており、遊技中の効果音やエラー音などの他、後述するデモンストレーションの際の効果音などを迫力のある重低音および高音質で発する。
【0022】
また、この遊技盤18の下方の受皿ユニット28には、図示しない貸玉装置から供給された遊技球や払い出された賞球を一時的に保留して遊技球を発射装置24に順次供給する。 なお、
図1中符号58は、図示しない貸玉装置から遊技球を供給するための操作ボタン(玉貸ボタンおよびカード返却ボタン)、60は、遊技中に遊技者が押下操作(プッシュ)することで効果音や演出図柄表示器30で表示される演出などに参加可能なプッシュボタンである。
【0023】
次に、このような構成をした本発明の遊技機100の制御系の構成を説明する。
図3は本発明の遊技機100の制御系の構成を示すブロック図である。
図示するように、この遊技機100の制御系は、主制御部200と、複合サブ制御部300といった2つの制御部から主に構成されている。
主制御部200は、遊技全体の制御を行うと共に、前述した入賞装置32の始動入賞口32a、32bへの遊技球の入賞検出に基づいて内部で発生させた乱数に応じて複合サブ制御部300へ制御コマンドを送信する。また、複合サブ制御部300は、主制御部200から送信される制御コマンドに応じて演出図柄表示部400の制御や効果音などの演出を複合的に制御するものである。
【0024】
この主制御部200は、CPU210、ROM220、RAM230、タイマ240、入力ポート250および出力ポート260と、ROM220に格納された各種の遊技制御プログラムや各種の制御用データとから主に構成されている。
入力ポート250には、前述した入賞装置32の各始動入賞口32a、32bへの遊技球の入賞を検出する始動入賞口スイッチ251と、大入賞口40への遊技球の入賞を検出する大入賞口スイッチ252と、各種入賞口48への遊技球の入賞などを検出する各種入賞口スイッチ253などが接続されており、主制御部200は、これら各スイッチからの検出信号を入力して処理する。
【0025】
また、この入力ポート250には、本発明に係る磁気検出システムを構成する磁気検出部900が接続されており、後に詳述する磁気検出信号などを主制御部210に入力する。なお、この入力ポート250はコネクタ接続方式となっており、主制御部200を構成する基板上に予め設けられた図示しないコネクタに対して各種入賞口スイッチ251,252,253および磁気検出部900の接続端子がそれぞれ着脱自在に接続される。
【0026】
一方、出力ポート260には、この複合サブ制御部300の他、前述した特別図柄表示器42と、普通図柄表示器44と、賞球払出制御装置500と、大入賞口ソレノイド600と、ホールコンピュータ700などが接続されており、主制御部200は、所定の制御プログラムに従ってこれらを直接制御する。
ROM220には、前述したようにCPU210で実行されるパチンコ機を制御するためのプログラムの他、さらに複合サブ制御部300などを制御するための各種制御コマンドなどの各種制御用のデータが読み出し自在に記憶・保持されている。また、特に本実施の形態にあっては、磁気検出部900からの入力信号の有無によって、磁気の検出や磁気検出部900の断線の有無などを判断するための制御プログラムも含まれる。
【0027】
RAM230は、この主制御部200に対する入出力データや演算処理のためのデータ、遊技に関連する乱数カウンタを始めとする各種カウンタなどを一時記憶し、および各保留球の情報を記憶する保留メモリを有する。
また、この主制御部200は、複合サブ制御部300に主に演出用の制御コマンドを送信して複合サブ制御部300を制御する。
【0028】
また、この主制御部200には、電源供給を行うための電源回路800が接続されている。この電源回路800は、主制御部200全体に供給されていた電源ラインの電圧が所定の電圧値以下になったことを検出したときは、電源が遮断された旨を示す電源断検出信号をCPU210に出力する。そして、電源断が検出された場合は、主制御部200全体に供給されていた電源ラインから電源断に伴ってCPU210に直接つながる電源ラインに切り替えられる。これにより、RAM230には、CPU210に直接つながる電源ラインから電源が供給されるので停電などが起きても情報を保持することができる。
複合サブ制御部300は、主制御部200と同様に、図示しないCPU、ROM、RAM、入力ポートおよび出力ポートを備えたものであり、主制御部200から送信される演出制御用の制御コマンドを受信し、その制御コマンドに従って演出表示用の制御コマンドを生成し、生成した制御コマンドを演出図柄制御部400に送信して演出図柄表示器30を制御する。
【0029】
また、この複合サブ制御部300は、少なくとも2つのチャネルを有し各チャネルの合成音をスピーカー54,56から出力するための音声制御を行う音声制御部320と、電飾用ランプ52を点灯させるランプ制御を行うランプ制御部310とを備えており、演出図柄表示器30に表示される演出図柄の表示パターンなどに合わせて所定の効果音や電飾を複合的に制御する。
【0030】
(第1の実施形態)
次に
図4〜
図6は、このような遊技機100に適用される磁気検出システムの第1の実施の形態を示したものである。
(構成)
図示するようにこの磁気検出システムは、複数の磁気センサモジュールM(M1、M2、…MN)を有する磁気検出部900と、この磁気検出部900から出力される電圧によって断線もしくは磁気の有無を判定する断線・磁気判定部950とから主に構成されている。
先ず磁気検出部900は、少なくとも2つ以上の複数の磁気センサモジュールM1、M2、…MNを直列に多段接続(カスケード接続)してなるものであり、最終段の磁気センサモジュールMNがコネクタC(入力ポート250)を介して主制御基板200側の断線・磁気判定部950に着脱自在に接続されている。
【0031】
図5は、これらの各磁気センサモジュールM1、M2、…MNの回路構成を示したものであり、その回路構成はいずれも同じである。
この磁気センサモジュールMは、磁気センサ910と、第1のトランジスタTR1と、第2のトランジスタTR2と、定電圧回路920とから主に構成されている。
この磁気センサ910は、例えば磁気抵抗効果素子などからなり、所定値以上の磁気を検出しないときは所定の電圧(例えば、5V)を出力し、所定値以上の磁気を検出したときには電圧を出力しない(0V)ようになっている。具体的には、アルプス電気株式会社製のHGDFPAシリーズなどで採用されている常時電圧出力型の高精度磁気センサを用いることができる。
【0032】
第1のトランジスタTR1は、ベースが磁気センサ910の出力端に接続されたNPN型トランジスタから構成されており、そのベースに対して磁気センサ910から所定の電圧が出力されているときにはオンしてコレクタからエミッタ側(GND)に電流を流すと共に、磁気センサ910からの出力電圧が停止したときにはオフしてその電流の流れを停止する。
第2のトランジスタTR2は、ベースが前記第1のトランジスタTR1のコレクタ側に接続され、エミッタが電圧源(≒VDD)に接続され、コレクタが開放(VOUT)したPNP型トランジスタから構成されており、第1のトランジスタTR1がオンしているときにオンしてVOUT側に略電源電圧(≒VDD)を出力供給すると共に、第1のトランジスタTR1がオフしたときにオフしてその略電源電圧(≒VDD)の出力供給を遮断する。ここで、略電源電圧(≒VDD)とは、VDDから第2のトランジスタTR2のエミッタ−コレクタ間の電圧を差し引いた値となり、通常VDD−0.2V程度である。
【0033】
定電圧回路920は、ツェナーダイオードZD1や抵抗R1およびトランジスタTR3、コンデンサなどからなる公知の回路であり、例えば電源電圧(VDD)が12Vであるときにこれを磁気センサ910が動作する5Vに変圧して磁気センサ910に出力する。なお、この定電圧回路920としては、
図6に示すようなツェナーダイオードZD1と抵抗R1とからなる簡易的な構成であっても良い。また、一般的な三端子レギュレータを用いても良い。
【0034】
一方、断線・磁気判定部950は、コネクタCを介して主制御基板200側に備えられた発光ダイオードLED(発光素子)とフォトトランジスタTR4(受光素子)とからなるフォトカプラーPCと、主制御基板200に搭載したCPU210などから構成されており、フォトカプラーPCからの出力信号のオン−オフによってCPU210が磁気検出部900の断線および磁気の有無を判定する。
ここで、遊技機100に対する、これら各磁気センサモジュールM1、M2、…MNの具体的な設置箇所としては特に限定されるものではないが、例えば前述したような遊技盤18中央に設けられた入賞装置32の第1始動入賞口32aや第2始動入賞口32bの近傍や各種入賞口48,大入賞口40の近傍などにそれぞれ設置することになる。また、これら各磁気センサモジュールM1、M2、…MNのうち、初段の磁気センサモジュールM1の電源にショート保護用の抵抗を入れても良い。
【0035】
(動作)
次に、このような構成をした本発明に係る磁気検出システムの動作を説明する。
先ず、通常時すなわち磁気検出部900を構成する複数の磁気センサモジュールMの断線および所定値以上の磁気が検出されない状態のときは、磁気検出部900の初段側から供給される電源電圧(VDD)がそのまま磁気センサモジュールMの出力端(VOUT)から次段の磁気センサモジュールMの電源へ順次出力供給される。そして、最終段の磁気センサモジュールMNから出力供給された電源は、コネクタCを介してフォトカプラーPCに出力されて発光ダイオードLEDを発光させる。
これによって、フォトカプラーPCから受信信号がCPU210に対して常時オン出力されるため、主制御基板200側の断線・磁気判定部950は、磁気検出部900において、複数の磁気センサモジュールM1、M2、…MNのいずれも断線および所定値以上の磁気が検出されない正常な状態であると判定する。
【0036】
これに対し、異常時すなわち磁気検出部900を構成する複数の磁気センサモジュールM1、M2、…MNのいずれか1つでも断線または所定値以上の磁気を検出したときは、その磁気センサモジュールMの出力端(VOUT)からは電源が出力供給されなくなってフォトカプラーPCの発光ダイオードLEDが消灯する。例えば、遊技者などが遊技中に不正の目的で遊技盤18の入賞口付近に磁石などを近づけた場合には、磁気センサ910がこれを検知して第1のトランジスタTR1への電圧出力を停止するため、VOUTから電源が出力供給されなくなる。また、偶然あるいは意図的にいずれか1つの磁気センサモジュールMが抜かれることによって断線が生じた場合にもそれよりも下段の磁気センサモジュールMへ電源が出力供給されなくなる。
【0037】
これによって、フォトカプラーPCからCPU210へのオン状態の入力信号が途絶えるため、主制御基板200側の断線・磁気判定部950は、磁気検出部900において、複数の磁気センサモジュールM1、M2、…MNのいずれかに断線または所定値以上の磁気が検出された異常な状態であると判定する。
そして、断線・磁気判定部950は、このような異常な状態であると判定した場合には、出力ポート260を介してホールコンピュータ700などにその旨の信号を出力したり、あるいは警報音を発したり、遊技を中断したりなどの妥当な処理を行うことになる。
【0038】
このように本発明の磁気検出システムは、磁気検出部900が、通常時(正常時)はVDD−0.2×Nの電圧を出力供給し、断線が発生したときもしくは磁気を検出したときには電圧が出力されなくなることから、断線・磁気判定部950は、その磁気検出部から電圧の出力の有無を検知するだけで、磁気は勿論いずれかの磁気センサモジュールMの断線も確実に検出できる。また、断線の有無および磁気を判定するための処理回路も単純化できる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、磁気検出部900が、磁気センサモジュールMを複数直列に接続し、最終段の磁気センサモジュールMNを断線・磁気判定部950に接続してなるものであるため、磁気センサモジュールMの数に係わらず、磁気センサモジュールMと断線・磁気判定部950との接続部(コネクタC)が原則として1つで済むことになる。これによって、磁気センサモジュールMの数ごとにコネクタCを用意する必要がなくなるため、コストの削減と基板の共通化などを図ることができる。また、磁気センサ910の増減に対しても的確に対応できる。
なお、本実施の形態において多段接続(例えばN段)した場合、最終段の出力供給される電圧は、VDD−VCE(TR2)×Nとなり、N段分のTR2のVCEの電圧降下が生じるが、これが定電圧部90および断線・磁気検出部900を正常に作動させる範囲であればその範囲で多段接続が可能である。
【0040】
(第2の実施形態)
次に
図7および
図8は、本発明に係る磁気検出システムの第2の実施の形態を示したものである。
(構成)
本実施の形態は、前述した磁気検出部900として前記第1の実施の形態の構成とは異なり、
図7に示すようにオープンコレクタ型の磁気センサモジュールM1、M2、…、MNを複数並列に接続し、これら磁気センサモジュールM1、M2、…、MNのいずれか1つがオフしたときにオンして前記断線・磁気判定部950への電源電圧の出力を停止するトランジスタTR5を備えたものである。
【0041】
図8は、これらオープンコレクタ型の磁気センサモジュールMの回路構成を示したものである。
この磁気センサモジュールMは、第1の実施形態と同様に磁気抵抗効果素子などからなる常時電力出力型の磁気センサ910と、トランジスタTR6と、定電圧回路920とから主に構成されている。
トランジスタTR6は、ベースが磁気センサ910の出力端に接続されたNPN型トランジスタから構成されており、磁気センサ910からベースに所定の電圧が出力されているときにはオンしてコレクタからエミッタ側(GND)に電流を流すと共に、磁気センサ910からの出力電圧が停止したときにはオフしてその電流の流れを停止する。
【0042】
そして、このトランジスタTR6のコレクタがオープン(VOUT)となっており、
図7に示すように抵抗R1を介して電源電圧(VDD)側に接続されている。
また、さらにこのトランジスタTR6のコレクタ側には、異常モニタ用のLEDと逆流防止用のダイオードDが接続されていると共に、そのダイオードDの端部は、他のダイオードDと共に合流してダイオードOR回路を形成し、トランジスタTR5のベースに接続されている。
そして、このトランジスタTR5は、そのコレクタとエミッタがそれぞれコネクタCをバイパスするようにしてVDDとGND間に接続されている。
【0043】
(動作)
次に、このような構成をした磁気検出部900の動作を説明する。
先ず、通常時すなわち磁気検出部900を構成する複数の磁気センサモジュールM1、M2、…、MNの断線および所定値以上の磁気の検出がなされない状態のときは、各磁気センサモジュールM1、M2、…、MNのトランジスタTR6が磁気センサ910からの出力電圧によってオンしているため、抵抗Rを通過した電流がコレクタからエミッタ側に流れることになる。この結果、異常モニタ用のLEDやダイオードD側の電圧が0Vとなるため、トランジスタTR5のベースには電圧が入力されずオフ状態となる。従って、電源電圧(VDD)がそのままコネクタCを介してフォトカプラーPCに出力されて発光ダイオードLEDを発光させる。
【0044】
これによって、フォトカプラーPCから受信信号がCPU210に対して常時オン出力されるため、主制御基板200側の断線・磁気判定部950は、磁気検出部900において、複数の磁気センサモジュールMの断線および所定値以上の磁気が検出されない正常な状態であると判定する。
これに対し、異常時すなわち磁気検出部900を構成する複数の磁気センサモジュールM1、M2、…、MNのいずれか1つでも断線または所定値以上の磁気を検出したときは、そのトランジスタTR6へ磁気センサ910からの出力電圧がなくなってオフするため、抵抗Rを通過した電流が異常モニタ用のLEDやダイオードD側に流れる。すると、トランジスタTR5のベースには電圧がかかってオン状態となり、コネクタC側の電源電圧(VDD)がコネクタCをバイパスしてトランジスタTR5側に流れる。
【0045】
これによって、フォトカプラーPCの発光ダイオードLEDが消灯してフォトカプラーPCからCPU210への入力信号が途絶えるため、主制御基板200側の断線・磁気判定部950は、磁気検出部900において、複数の磁気センサモジュールMのいずれかに断線または所定値以上の磁気が検出された異常な状態であると判定する。
そして、断線・磁気判定部950は、このような異常な状態であると判定した場合には、前記第1の実施形態と同様に出力ポート260を介してホールコンピュータ700などにその旨の信号を出力するといった妥当な処理を実施する。
【0046】
このように本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様に、磁気検出部900が、磁気センサモジュールMのいずれかが断線もしくは磁気を検出しないときは電圧を出力し(オン動作)、断線もしくは磁気を検出したときには電圧を出力しない(オフ動作)ことから、断線・磁気判定部950は、その磁気検出部から電圧の出力の有無を検知するだけで、磁気は勿論いずれかの磁気センサモジュールMの断線も確実に検出できる。また、断線の有無および磁気を判定するための処理回路も単純化できる。
【0047】
また、磁気検出部900が、磁気センサモジュールMを複数並列に接続してなるものであるため、磁気センサモジュールMと断線・磁気判定部950との接続部(コネクタC)が原則として1つで済むことになる。これによって、磁気センサモジュールMの数ごとにコネクタを用意する必要がなくなるため、コストの削減と基板の共通化などを図ることができる。また、磁気センサ910の増減に対しても的確に対応できる。
さらに、本実施の形態にあっては、各磁気センサモジュールM1、M2、…、MNを並列に接続することで直列に接続したときのような電圧降下が殆どみられなくなるため、第1の実施形態に比べてより多くの磁気センサモジュールM1、M2、…、MNを備えることが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態では、各磁気センサモジュールM1、M2、…、MNのコレクタ側の発光ダイオードLEDは省略することができるが、このような発光ダイオードLEDを設けておけば、通常時はこれが消灯し、断線もしくは磁気が検出したときにこれが発光するため、その発光状態を目視するだけでどの磁気センサモジュールMに異常が発生したのかを一目で把握することが可能となる。
また、この磁気センサモジュールMとして汎用(市販)のオープンコレクタタイプの磁気センサを用いることができるため、システム全体の製造コストも低く抑えることが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では各磁気センサモジュールM1、M2、…、MNごとにダイオードDを設け、1つのトランジスタTR5を設けたが、このトランジスタTR5を複数設けるようにしても良い。この場合は、複数個のコレクタ側を従来のトランジスタTR5のコレクタと同じ位置で直接OR結線すればよい。このようにすれば磁気センサモジュールMの数が多くなったときに回路定数の設計が容易になる。
さらには、
図9に示すように各磁気センサモジュールM1、M2、…、MNごとにトランジスタを配するようにしてもよい。このように1つの磁気センサモジュールMに1つのトランジスタを対になるように配することにより、ダイオードが不要となり、ダイオードORでなく、トランジスタOR(トランジスタから見た論理はNOR)回路となる。
このようにすれば
図9に示すように複数のトランジスタを1パッケージに纏めたトランジスタアレイ(TRアレイ)ICを用いることができ、回路構成がすっきりし、部品点数を減らすことができる。