特許第5736089号(P5736089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5736089-連続物理量のデータ集録方法及び装置 図000034
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736089
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】連続物理量のデータ集録方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   G01D9/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-513898(P2014-513898)
(86)(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公表番号】特表2014-517307(P2014-517307A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】CN2012076697
(87)【国際公開番号】WO2012167749
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2014年2月6日
(31)【優先権主張番号】201110161133.3
(32)【優先日】2011年6月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513310508
【氏名又は名称】▲ハオ▼ 玉山
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 玉山
【審査官】 井上 昌宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−306061(JP,A)
【文献】 特開平07−306064(JP,A)
【文献】 特開平01−136016(JP,A)
【文献】 特開2001−330468(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0109586(US,A1)
【文献】 特開2006−113002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D3/00〜4/18;9/00〜9/42;15/00〜15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続物理量のデータ集録方法であって、
連続物理量を示す電圧信号uが入力され、
アナログサンプリングチャネルを介して電圧信号uをサンプリングすることでサンプリング信号uを取得するとともに、サンプリング周波数をfΔhとし、
サンプリング信号uをリサンプリングしてリサンプリング信号uを取得し、リサンプリング周波数fΔyはクライアントより指定され、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記デジタルローパスフィルタリングの遮断周波数fは、リサンプリング周波数fΔyの0.5倍より小さい
請求項1に記載の連続物理量のデータ集録方法。
【請求項3】
前記デジタルローパスフィルタリングの伝達関数は下記式で表され、
式中、n=2,4,6,8はフィルターの次数であり、G(z)は、常用特殊関数である
請求項1または2に記載の連続物理量のデータ集録方法。
【請求項4】
【請求項5】
である
請求項4に記載の連続物理量のデータ集録方法。
【請求項6】
前記uが定常状態か過渡状態かを判断するための判断規準として、下記式よりサンプリング信号について分散を求め、
請求項4に記載の連続物理量のデータ集録方法。
【請求項7】
【請求項8】
【請求項9】
【請求項10】
前記デジタルローパスフィルター(6)は、平均化手段(7)と判断手段(8)からなり、
前記判断手段(8)は、アナログサンプリングチャネル(1)からのサンプリング信号uが入力され、フラグFを求めて平均化手段(7)へ出力し、サンプリング信号uが定常状態の場合にはF=0となり、逆に、サンプリング信号uが過渡状態の場合にはF=1となり、
【請求項11】
前記平均化手段(7)の計算式は、
である
請求項10に記載の連続物理量のデータ集録装置。
【請求項12】
【請求項13】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続物理量のデータ集録技術に関し、特に、熱工学、化学工業、冶金、電力分野における温度、圧力、流量、電圧、濃度、電流電力、回転速度等の連続物理量のデータ集録方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業の自動化においては、温度、圧力、流量、電圧、濃度等の連続物理量に対する測定及びデータ集録(以下、単にデータ集録とする)が必要である。アナログサンプリングチャネルを用い、クライアントの要求に従ってアナログ信号をデータサンプリングする場合、サンプリング周波数はfΔyとされる。エイリアシングを回避するため、アナログサンプリングチャネルにはアナログローパスフィルターを設ける必要があるが、fΔyが比較的小さいことからfは小さくなり、アナログローパスフィルターにおける難易度とコストが上がってしまう。
【0003】
また、工業の自動化の大部分においては定常状態方式が用いられ、物理量データについて定常値を集録することが求められている。特許文献1及び2(発明者:ハオ 玉山,発明の名称「連続物理量を測定する装置及び方法」)は、一般的な物理量における定常状態量及び全状態量の測定と記録について提示しているが、出力周波数が上記のデータ集録周波数を満たさず、出力内容も多い(起動停止時間等を含む)ため、工業の自動化へそのまま応用するには不都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国発明特許 ZL200910158375.x
【特許文献2】中国発明特許 ZL200910158370.7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題点に対し、本発明は連続物理量のデータ集録方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
【0007】
リサンプリングにおいて発生の恐れがあるエイリアシング誤差を回避するため、デジタルローパスフィルタリングの遮断周波数を、リサンプリング周波数fΔyの0.5倍より小さくする
【0008】
アナログローパスフィルタリングの遮断周波数を、サンプリング周波数fΔyの0.5倍より小さくするが、fΔhはfΔyより何倍も大きいことから、デジタルローパスフィルタリング及びリサンプリングを行わない場合と比較して、本方法ではアナログローパスフィルターのfを何倍にも高めることができるため、本方法はアナログローパスフィルターにおける難易度とコストを引き下げることが可能となり、高速のアナログデジタル変換、特にΔ-ΣのAC変換器の製造コストを低く抑えられる。
【0009】
デジタルローパスフィルタリングの伝達関数は下記式で表され、

n=2,4,6,8はフィルターの次数である。G(z)は、常用のn次バターワースまたはn次チェビシェフフィルターのような特殊関数である。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
本発明は、更に、連続物理量のデータ集録装置を提供し、当該装置は、入力された連続物理量の電圧信号uをアナログサンプリングするとともに、サンプリング周波数をfΔhとし、サンプリング信号uを出力するアナログサンプリングチャネル、サンプリング信号uをリサンプリングしてリサンプリング信号uを取得し、リサンプリング信号uをレジスターに出力するとともに、リサンプリング周波数fΔyがクライアントにより指定されるリサンプリングスイッチ、リサンプリング信号uを蓄積するレジスター、レジスターがデータをバスに出力し、バスを介してデータuをクライアントへ出力するよう制御するバス、及び、アナログサンプリングチャネルとリサンプリングスイッチを制御するためのタイミングコントローラーを含み、更に、アナログサンプリングチャネルからのアナログ電圧のサンプリング信号uを受信してローパスフィルタリングした信号
を出力するデジタルローパスフィルターを含む。デジタルローパスフィルターの遮断周波数、リサンプリング周波数fΔyの0.5倍より小さく、アナログサンプリングチャネルにおけるアナログローパスフィルターの遮断周波数、サンプリング周波数fΔhの0.5倍より小さい。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
デジタルローパスフィルター及びリサンプリングスイッチを用いた後に、アナログサンプリングチャネルは廉価なADCやアナログローパスフィルターを用いて、アナログサンプリングチャネルのコストを削減することができる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明における連続物理量のデータ集録方法及び装置を示す説明図
図2】本発明における連続物理量の定常値データ集録方法及び装置を示す説明図
図3】本発明における連続物理量の定常値データ集録方法及び装置を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、連続物理量のデータ集録方法及び装置を示す。
【0023】
【0024】
デジタルローパスフィルターの遮断周波数リサンプリング周波数fΔyの0.5倍より小さく、リサンプリング周波数fΔyはクライアントより指定される。
【0025】
図2は、連続物理量の定常値データ集録方法及び装置を示す。
【0026】
【0027】
【0028】
【数1】
【0029】
判断手段8は判断規準として、サンプリング信号uについて分散を求める。
【0030】
【数2】
【0031】
【0032】
図3は、他の連続物理量の定常値データ集録方法及び装置を示す。
【0033】
図3は、図1のデジタルローパスフィルター6を、図3のαβγフィルター(A)、代入手段(B)及び判断手段(C)に置き換えたことを除き、その他の回路の配置及び作用は全て図1と同様である。図3において、アナログサンプリングチャネル1の出力uはαβγフィルター(A)を通過すると、位置成分S、速度成分ν及び加速度成分aを出力し、フィルターからの出力である位置成分Sは代入手段(B)を通過すると、更にリサンプリングスイッチ5を通過してレジスター2に蓄積される。速度成分υと加速度成分aは判断手段(C)に入力され、uが定常状態の場合にはF=0となり、逆に、uが過渡状態の場合にはF=1となって、判断手段(C)がフラグFを代入手段(B)に出力する。F=0のとき、代入手段(B)の出力は位置成分Sに等しくなるが、F=1のとき、代入手段(B)の出力はuが達成不可能な値と等しくなり、当該達成不可能な値はクライアントに到達した後にバッドデータとして削除される。
【0034】
【0035】
【0036】
上記の実施方案は、CPLD(Complex Programmable Logic Device:複合プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(Field−Programmable Gate Array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:専用集積回路)、または類似のデジタル回路で実現してもよく、DSP(Digital Signal Processor:デジタルシグナルプロセッサー)のプログラムで実現してもよいが、詳細についてはこれらの開発明細書を参照するものとする。また、上記の実施方案を全て集積して1つのチップ内で実現してもよい。
【0037】
本実施例は、具体的な実施形態の一部を提示したにすぎず、本願発明の趣旨から逸脱しない各種の変形が可能であって、これらはすべて本願の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3