(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エポキシ基反応活性化剤は、エポキシ基含有のアクリレート系反応活性化剤、エポキシ基含有のメタクリル酸グリシジル系反応活性化剤、エポキシ基含有のエポキシ大豆油系反応活性化剤或はそれらの組合を含み、
前記エポキシ基反応活性化剤は、少なくとも三つのエポキシ基/鎖段を含有する分子量が5,000より小さいオリゴマー或はプレポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性澱粉。
【背景技術】
【0002】
生分解性複合材料が「白色汚染」問題を解決するための有効な方法の一つであると認めており、これは堆肥工場で微生物により二酸化炭素及び水に分解されてなるので、環境への影響が小さく、処理コストが低下させる。この外、これらの生分解性材料にあるマトリックス、例えばヒドロキシアルカノエート(PHAs)、ポリ乳酸(PLA)及び澱粉等は、再生可能資源から由来し、一定の程度で非再生エネルギーの消耗も補償し、且つ温室ガスの排出を低下させる。
【0003】
通常、これらの生分解性複合材料を製造するには、澱粉を、生物分解された重合体、例えばPHAs、PLA、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート-ブチレンテレフタレート(PBSA)およびポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート(PBAT)等と混合することで、押出プロセスの条件で、即ち、一定量の水或は可塑剤或は少しの充填物等の存在で、十分に高い温度でTPSを調製し、そうしてTPS、生分解性重合体及び/或は充填材と添加剤との混合物を押出し、最終の分解複合材料顆粒を取得する。
【0004】
天然澱粉がその低いコストで大量に存在し、常に前記生分解性複合材料の調製に使用される。しかし、澱粉は親水性であり、その顆粒表面に大量の水酸基による水素結合が相互に作用し、強い分子内の協同作用があるので、可塑化が困難である。なお、天然澱粉の融点が熱分解温度よりも高いため、その熱加工性を劣化させる。通常の場合には、澱粉を可塑化する時に水を入れ、高温可塑化の過程も澱粉の分解を引き起こし、性能が劣化させる。
現在、天然澱粉をTPSに転化するには、主に水/可塑剤の存在で、分解性重合体を担体として、従来の押出プロセス過程により澱粉の変性を利用してなる。
脆性及び水敏感性のため、澱粉が他の生分解性重合体、特には生分解性ポリエステル、例えばポリ乳酸、PBS(A)及びPBAT等と混和してから応用できることが多く、且つ生分解性材料のコストも低下させる。しかしながら、大多数のポリエステルが疎水性であるが、澱粉及びTPSが相対に親水性である。形成された混和物の厳重な相分離及び性能の劣化を引き起こす。性能の非顕著な劣化を保証する場合には、澱粉/ポリエステル混和物の形成が困難である。一方で、大部分の生分解性ポリエステルが伝統のプラスチック制品より貴い。これにより前記生分解性材料の更なる応用及び発展が制限される。
【0005】
前記既存問題を解決するために、現在に常用される方法及びプロセス過程は澱粉及び/或はポリエステルのグラフト化共重合体を調製し、そうして澱粉/ポリエステルの混和体系に入れ、グラフト化共重合体を利用してこの体系について増容して改性する。このプロセスで、改性の澱粉の調製を一方向とする。澱粉をアセチル化またはエステル化させて酢酸澱粉エステルを調製し、イソシアネートにより澱粉をカルボニル化させ、燐酸エステル或は硝酸エステル等の無機酸エステルを追加して澱粉の無機酸エステル及びエピクロルヒドリンを調製して、澱粉を修飾してヒドロキシプロピル化の澱粉エーテル等を調製する。これらの反応は大体に澱粉でのある水酸基を反応させることで、材料の可塑化温度を低下させ、分解を減少し、性能等を向上させる。この外、更にマレイン酸無水物、メタリン酸ナトリウム及びエピクロルヒドリン等を投入し、輻射の条件で架橋澱粉を調製するが、このような方法は押出プロセスに適合しない。他の方向は、無水マレイン酸、メチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グルコース等のようなグラフト化ポリエステル基を利用して、澱粉及びポリエステルマトリックスのグラフト化共重合体を形成し、混和体系の相構造を改善させ、材料性能を改善させることにある。このようなプロセスの通常やり方は、先ずグラフト化の生分解性ポリエステルを調製してから澱粉に入れて混和する。最後、押出機にはTPS(澱粉/グリセリン/水等の)と溶融混和し、最終の複合材料を得る。 前記方法を利用して澱粉及び生分解性ポリエステルを調製して相応の複合材料を形成し、これは技術及び市場に研究開発及び応用されることが多くなる。例えば、欧州特許出願であるEP0947559B1、EP2074176B1;国際特許出願公布となるWO1994/003543A1、WO1996/031561A1、WO2005/116118A1、WO2006/055505A2、W02007/012142A1、W02008/011668A1;アメリカ特許であるUS5844023、US5874486、US6235815B1、US6348524B2、US7153354B2、US7176251B1、US20070129468A1及び中国特許であるCN200810046032.X、CN200810234967.0、CN200610128416.7、CN03117398.5、CN0l138290.2、CN97181071.2、CN93104044.2、CN92101580.1等。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記技術方法に少しの欠点がある。一つの欠点は、調製TPS過程で、高分子量成分-重合体を担体として使用するので、高温の加工条件でも、重合体担体の流動性も比較的悪いで、担体への澱粉の分散を不均一にさせ、顆粒が比較的大きいため、最終に形成されたTPSの性能が悪いことにある。複合材料の調製時にも良く分散できなく、コストを低下させるが性能を低下させ、応用範囲が小さくなる。また、高温による加工条件も澱粉のコークス化及び分解及びポリエステルの熱分解等を引き起こす。
より厳重な一つの欠点は、十分な活性末端基の導入により有効に複合材料成分との相容性を改善し、力学性能及び加工性を向上させることで、伝統プロセス及び設備で加工することを保証しにくい。この外、酸及び水の存在で不良な副反応、特にエステルキーの酸分解を促進して誘発する。このTPS及び相応の複合材料の安定性に大きく影響するので、それらの力学性能等を低下させる。
要約すると、本分野に性能の優良な熱可塑性澱粉(TPS)及び性能の安定な熱可塑性澱粉(TPS)含有の複合材料欠乏する。このため、本分野により優良な力学性能を備え、より良い加工性及び良好な耐加水分解性の複合材料、及び前記性能に達するための熱可塑性澱粉を緊急に要する。
【0008】
本発明による目的は、性能の優良な熱可塑性澱粉(TPS)を取得することにある。
本発明による第二目的は、性能の優良な熱可塑性澱粉(TPS)の調製方法を取得することにある。
本発明による第三目的は、性能の安定な熱可塑性澱粉(TPS)含有の複合材料を取得することにある。
本発明による第四目的は、こ性能の安定な熱可塑性澱粉(TPS)含有の複合材料の調製方法を取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第一方面で、熱可塑性澱粉を提供し、前記熱可塑性澱粉(TPS)は下記のような成分を含む:
20〜80重量部の澱粉と、
粘度範囲が0.30〜1.2 dl/gにありウベローデ粘度計法で測定され、融点範囲が60〜180℃にあり、且つ末端反応基の含有量が1.0〜20.0 meq/kgにあり末端基滴定法で測定され、分子量が10,000〜100,000ダルトンにある5〜40重量部の生分解性ポリエステルプレポリマーと、
0.01〜10重量部の反応活性剤と、
0.01〜1.0重量部の触媒失活剤と、
0.01〜1.0重量部の抗酸化剤と、
5〜50重量部の補助剤。
【0010】
特定の一実施形態で、前記酸化防止剤は亜燐酸エステル系、障害性フェノール系及び二種類の複合酸化防止剤であり、トリアルキルホスフェート、混合アルキル/アリールホスフェート、アルキルアリール燐酸エステル、立体障害型アリール基ホスフェートエステル、脂肪族スピロ環状亜リン酸塩、立体障害型ジホスホネート、ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル及びそれらの混合物を含む。
特定の一実施形態で、前記補助剤は可塑剤及び/或は他の添加剤である。
特定の一実施形態で、前記補助剤は可塑剤である。具体的に、前記可塑剤は環境保護型の可塑剤であり、エチレングリコール、グリセリン、低分子量のポリエチレングリコール、低分子量のポリ乳酸、ソルビトール、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、トリブチルシトレート(TBC)、トリエチルシトレート(TEC)等のクエン酸エステル系可塑剤、エポキシ大豆油、尿素及びそれらの混合物等を含む。
特定の一実施形態で、前記生分解性ポリエステルプレポリマーが重縮合反応によりなり、
生分解性ポリエステルプレポリマーはヒドロキシ酸、二酸或はジオールを主鎖とするプレポリマーを重縮合反応してなり、
前記生分解性ポリエステルプレポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリコハク酸/サクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート(PBAT)によりなる群から選択される或は幾種を主鎖とするプレポリマーである。
【0011】
特定の一実施形態で、前記反応活性化剤は、カルボキシル基及びヒドロキシル末端基と反応させ、TPS及び/或はポリエステルグラフト化共重合体を形成するための反応活性化剤を選択する。
特定の一実施形態で、前記反応活性化剤は、エポキシ基反応活性化剤、酸無水物基反応活性化剤、イソシアネート基反応活性化剤、オキサゾリン基反応活性化剤である。
【0012】
特定の一実施形態で、前記反応活性化剤は不飽和二重結合含有の反応活性化剤であり、
前記不飽和二重結合含有の反応活性化剤は、不飽和二重結合含有のカルボジイミド反応活性化剤、不飽和二重結合含有の酸無水物基反応活性剤、不飽和二重結合含有のイソシアネート基反応活性化剤であり、
前記不飽和二重結合含有の反応活性化剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ビス(2,6‐ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、1 - エチル - (3 - ジメチルアミノプロピル) - カルボジイミド塩酸塩、ドイツのラインケミー化学会社(Rhein Chemie)製のStabaxol-P、Stabaxol-P200、Stabaxol-100、Stabaxol-I;無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、1,6 - シクロヘキシルジイソシアネート、4,4' - メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ブタンジイソシアネート或はそれらの組合から選択される。
【0013】
特定の一実施形態で、前記エポキシ基反応活性化剤は、エポキシ基含有のアクリレート系反応活性化剤、エポキシ基含有のメタクリル酸グリシジル系反応活性化剤、エポキシ基含有のエポキシ大豆油系反応活性化剤或はそれらの組合を含み、
前記エポキシ基反応活性化剤は、少なくとも三つのエポキシ基/鎖段を含有する分子量が5,000より小さいオリゴマー或はプレポリマーである、一つの具体な反応活性化剤はアメリカBASF社製のJoncry1
TM系列製品である。
【0014】
特定の一実施形態で、前記触媒失活剤は過酸化物触媒失活剤であり、
前記有機過酸化物触媒失活剤を採用し、
アゾ過酸化物、ジアルキルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、過酸化乙酸叔丁エステル、t-ブチルペルオキシド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート或はそれらの組合から選択される。
【0015】
本発明による第二方面で、前記熱可塑性澱粉の調製方法を提供し、前記熱可塑性澱粉は下記のような方法で調製してなる:
生分解性ポリエステル単体が縮合重合させて且つ反応活性化剤と活性末端基のある生分解性性重合体プレポリマーを形成し、
前記澱粉と生分解性重合体のプレポリマーの活性末端基とが反応させて、ポリエステル-TPSグラフト化共重合体、即ち前記熱可塑性澱粉を形成する。
特定の一実施形態で、前記熱可塑性澱粉(TPS)の成分は、澱粉20〜80部、反応活性化剤0.01〜10部、ポリエステルプレポリマー担体5〜40部、触媒失活剤0.01〜10部、以上の可塑剤5〜50部を含有する。
【0016】
本発明による第三方面で、生分解性ポリエステル/澱粉複合材料を提供し、前記生分解性重合体複合材料は、
(a)5〜80重量部の生分解性重合体と
(b)前記の熱可塑性澱粉と
(c)0.01〜30重量部の補助剤と
添加剤及び/或は充填物である前記成分(c)の補助剤を含む。
【0017】
特定の一実施形態で、前記成分(a)の生物降解重合体は生分解性ポリエステルであり、
特定の一実施形態で、前記生分解性ポリエステルが脂肪族ポリエステル、脂肪族共重合エステル、或は脂肪族及び芳香族の共重合エステルから選択され、
前記生分解性ポリエステルがポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリコハク酸/サクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート共重合体(PBAT)、ポリエステルアミド(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコリドポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)およびポリビニルアルコール(PVOH)或はそれらの組合から選択される。
【0018】
本発明による第四方面で、前記生分解性ポリエステル/澱粉複合材料の調製方法を提供し、該方法は以下の手順を含む:
補助剤の存在で、前記生分解性重合体と前記熱可塑性澱粉とを混和してから押出し、最終の生分解性複合材料を得る。
【0019】
特定の一実施形態で、前記生分解性プレポリマーの重縮合が反応器で行われ、TPS及び最終の複合材料が押出機或は混合機で行られることが好ましい、同方向の二軸スクリュー式押出機で行われることが最も好ましい。
【0020】
特定の一実施形態で、前記生分解性プレポリマーの重縮合条件は、80〜220摂氏度の温度で、一定の真空度で、少なくとも12時間で反応させる。TPSの加工温度は50〜150摂氏度の範囲にある。最終複合材料の押出温度は20〜220摂氏度にあり、80〜200摂氏度にあることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明人は幅広く深入りの研究により、調製プロセスを改進することで得るTPSは良い品質を持ち、最終複合材料は優良な力学性能、良い加工性及び良好な耐加水分解性がある。
本発明の技術構想は、次の通りである:
本発明のTPSは、通常の高分子量重合体担体の代わりに、生分解性ポリエステルのプレポリマーを担体とし、プレポリマーそのものに含有される大量の反応性末端基を利用して澱粉とグラフト化共重合体を形成し、このようなグラフト化共重合体は、担体及び澱粉との相容性を大きく改善でき、より良く澱粉を分散させ、加工調製条件がより温和であり、TPS品質もより良い。同時に、グラフト化共重合体も増容剤として使用して最終の生分解性複合材料の調製でマトリックス成分間の相容性をより一層改善させ、高性能の複合材料を調製できる。
【0022】
なお、本発明は三段階の方法で生分解性複合材料を調製する。第一手順は、縮合重合により生分解性ポリエステルのプレポリマーを調製し、その中で大量の反応性末端基を含有し、且つ生物分解できる。第二手順は、新型の熱可塑性澱粉(TPS)を調製するには、反応性のあるポリエステルプレポリマーを担体として調製し、そのうちの末端基が澱粉及び調製複合材料に使用される生分解性ポリエステルマトリックスと反応と発生でき、グラフト化共重合体を形成し、複合成分間の相容性、力学性能及び加工性等をより一層改善する。前記ポリエステルプレポリマーが直接的な縮合重合反応により得〜、通常に使用される重合体担体と比べて、このプレポリマーがより良い流動性及び比較的低い分子量を有し、TPSの調製に適合し、使得澱粉をより均一に担体に分散させ、且つこのプレポリマーがより多い反応性末端基を備え、大量の水酸基のあるTPSともにグラフト化重合体或は共重合体を形成する。第三手順は、少しの添加剤及び充填物等と生分解性ポリエステル及びTPSを混和して最終の生分解性複合材料を調製し、その全生物分解特性を保証するだけでなく、TPS-ポリエステルグラフト化共重合体の存在でマトリックス成分間の相容性も大きく改善し、その成分を均一に分散させ、構造が安定し、性能が優れる。
以下、本発明の各方面について詳述する。
【0023】
熱可塑性澱粉TPSとその調製方法。
本発明による第一方面で、熱可塑性澱粉を提供し、前記熱可塑性澱粉(TPS)は下記のような成分を含む:
20〜80重量部の澱粉と、
粘度範囲が0.30〜1.2 dl/gにありウベローデ粘度計法で測定され、融点範囲が60〜180℃にあり、且つ末端反応基の含有量が1.0〜20.0 meq/kgにあり末端基滴定法で測定され、分子量が10,000〜100,000ダルトンにある5〜40重量部の生分解性ポリエステルプレポリマーと、
0.01〜10重量部の反応活性剤と、
0.01〜1.0重量部の触媒失活剤と、
0.01〜1.0重量部の抗酸化剤と、
5〜50重量部の補助剤。
【0024】
本発明は更に重縮合反応でポリエステルプレポリマーを製造する方法が好ましい、重縮合する単体は、ヒドロキシ酸、二酸、ジオール等と反応活性剤とによりポリ乳酸(PLA)又はポリブチレンサクシネート(PBS)や、ポリブチレンサクシネート/アジペート(PBSA)又はポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート共重合体(PBAT)等の主鎖を含有するプレポリマーを形成し、このプレポリマーの分子量が100,000ダルトン以下となり、多い末端反応基群を備える。前記ポリエステルプレポリマーは生物分解でき、粘度範囲が0.30〜1.2 dl/g(分子量=10,000〜100,000ダルトン)となり、融点範囲が60〜180摂氏度となる。
【0025】
本発明人は前記生物分解するプレポリマーを担体(分散剤)として使用し、熱可塑性澱粉(TPS)を調製することを発見している。担体に存在されるTPSポリエステル共重合体がTPSの安定性を増加するだけでなく、TPS及び最終複合材料マトリックス成分である生分解性ポリエステルとの相容性及び分散の均一性を更に改善する。このため、TPSは出色な加工性を備え、耐加水分解性も改善させる。本発明では、TPS及びプレポリマー担体の比例が1:1〜5:1となり、より多い澱粉の追加を許可するので、コスト利益をより最適化させる。これと共に、大量のTPSと担体とが共重合体を形成させ、澱粉の分散を改善し、最終材料の機械的性能を増加する。
【0026】
現在に追加される成分は、少なくとも触媒失活剤、反応活性剤、酸化防止剤及び加工補助剤を含む。好適な添加剤の例子として、例えばは過酸化物(触媒失活剤)、エポキシ反応試薬(反応活性化剤)、グリセリン(加工補助剤うちの可塑剤)、亜燐酸塩(酸化防止剤)等を包含する。
【0027】
反応活性化剤
本発明により、反応活性化剤がカルボキシル基及びヒドロキシル末端基と反応でき、TPSとポリエステルとのグラフト化共重合体を形成し、マトリックスの安定性を向上させる。このため、前記反応活性化剤として、カルボキシル基及びヒドロキシル末端基と反応できTPS及び/或はポリエステルグラフト化共重合体を形成できる反応活性化剤を選択する。
【0028】
上記反応活性化剤はエポキシ基活性化剤、酸無水物基活性化剤、イソシアネート基活性化剤、オキサゾリン基活性化剤或は不飽和二重結合含有の活性化剤、例えばカルボジイミド等である。
【0029】
特定の一実施形態で、前記反応活性化剤は、エポキシ基反応活性化剤、酸無水物基反応活性化剤、イソシアネート基反応活性化剤、オキサゾリン基反応活性化剤である。
特定の一実施形態で、前記反応活性化剤は不飽和二重結合含有の反応活性化剤であり、
前記不飽和二重結合含有の反応活性化剤は、不飽和二重結合含有のカルボジイミド反応活性化剤、不飽和二重結合含有の酸無水物基反応活性剤、不飽和二重結合含有のイソシアネート基反応活性化剤であり、
前記不飽和二重結合含有の反応活性化剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ビス(2, 6‐ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、1 - エチル - (3 - ジメチルアミノプロピル) - カルボジイミド塩酸塩、ドイツのラインケミー化学会社(Rhein Chemie)製のStabaxol-P、Stabaxol_P200、Stabaxol-100、Stabaxol-I;無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、1,6 - シクロヘキシルジイソシアネート、4,4' - メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ブタンジイソシアネート或はそれらの組合から選択される。
【0030】
特定の一実施形態で、前記エポキシ基反応活性化剤は、エポキシ基含有のアクリレート系反応活性化剤、エポキシ基含有のメタクリル酸グリシジル系反応活性化剤、エポキシ基含有のエポキシ大豆油系反応活性化剤或はそれらの組合を含み、
前記エポキシ基反応活性化剤は、少なくとも三つのエポキシ基/鎖段を含有する分子量が5,000より小さいオリゴマー或はプレポリマーである、一つの具体な反応活性化剤はアメリカBASF社製のJoncry1
TM系列製品である。
【0031】
前記反応活性化剤が重縮合反応生成のポリエステルプレポリマーと反応できる。反応活性化剤の備える反応基(フリーラジカル)も澱粉とリンク結合でき、TPS-ポリエステルのグラフト化共重合体を形成する。
【0032】
触媒失活剤
本発明により、例えば何れかの既知の過酸化物が使用でき、有機過酸化物が好ましい、アゾ過酸化物、ジアルキルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、過酸化乙酸叔丁エステル、t-ブチルペルオキシド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート或はそれらの組合から選択される。
本発明に用いられるTPS調製過程にある触媒失活剤の用量が通常0.01〜10重量部であり、0.05〜1重量部(20〜80重量部の澱粉に対応)が好ましい。
【0033】
酸化防止剤
本発明による酸化防止剤として、亜燐酸エステル系及び障害性フェノール系及び二種類の複合酸化防止剤を選択し、トリアルキルホスフェート、混合アルキル/アリールホスフェート、アルキルアリール燐酸エステル、立体障害型アリール基ホスフェートエステル、脂肪族スピロ環状亜リン酸塩、立体障害型ジホスホネート、ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル及びそれらの混合物を含む。主要な商業化製品に酸化防止剤1010、酸化防止剤168、TNPP、Irgafosl68、Ultranox626、 Cyanox2777> Irganox B、Irganox LC, IrganoxLM, IrganoxHP, IrganoxXP, Ultranox815A, Ultranox817A, Ultranox875A, Naugard900, CyanoxXS4等がある。
【0034】
澱粉
本発明に使用される澱粉は含水量が5〜10%(澱粉総重量計)となる。TPSの含水量が通常0.5〜5%となり、2%よりも小さくなることが好ましい、1%よりも小さくなることが最適である。
【0035】
補助剤
本発明において、可塑剤は環境保護型の可塑剤であり、その中でエチレングリコール、グリセリン、低分子量のポリ乳酸、低分子量のポリエチレングリコール、ソルビトール、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、トリブチルシトレート(TBC)、トリエチルシトレート(TEC)等のクエン酸エステル系可塑剤、エポキシ大豆油、尿素及びそれらの混合物等を含む。
【0036】
生分解性ポリエステルプレポリマー
特定の一実施形態で、前記生分解性ポリエステルプレポリマーが重縮合反応によりなり、
生分解性ポリエステルプレポリマーはヒドロキシ酸、二酸或はジオールを主鎖とするプレポリマーを重縮合反応してなり、
前記生分解性ポリエステルプレポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリコハク酸/サクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート(PBAT)によりなる群から選択される或は幾種を主鎖とするプレポリマーである。
【0037】
粘度範囲が0.30〜1.2 dl/gにありウベローデ粘度計法で測定され、融点範囲が60〜180℃にあり、且つ末端反応基の含有量が1.0〜20.0 meq/kgにあり末端基滴定法で測定され、分子量が10,000〜100,000ダルトンにありの生分解性ポリエステルプレポリマーと。
発明人は、以この低粘度のプレポリマーを担体とし、温和の条件で熱可塑性澱粉(TPS)を調製することを発見している。前記熱可塑性澱粉が生分解性複合材料に基礎を提供し、高分子量及び良い耐加水分解性を保持するだけでなく、より優越な力学性能も備える。更に、相応の生分解性複合材料の調製プロセスを形成する。
【0038】
TPSの調製
本発明によるプロセス過程で、TPS成分の調製は例えば、澱粉20〜80部、反応活性化剤0.01〜10部、ポリエステルプレポリマー担体5〜40部、触媒失活剤0.01〜10部、以上の可塑剤5〜50部を含有する。加工温度が50〜150摂氏度とする。
前記熱可塑性澱粉は下記のような方法で調製してなる:
生分解性ポリエステル単体が縮合重合させて且つ反応活性化剤と活性末端基のある生分解性性重合体プレポリマーを形成し、
前記澱粉と生分解性重合体のプレポリマーの活性末端基とが反応させて、ポリエステル-TPSグラフト化共重合体、即ち前記熱可塑性澱粉を形成する。
【0039】
特定の一実施形態で、前記生分解性プレポリマーの重縮合条件は、80〜220摂氏度の温度で、一定の真空度で、少なくとも12時間で反応させる。TPSの加工温度は50〜150摂氏度の範囲にある。最終複合材料の押出温度は20〜220摂氏度にあり、80〜200摂氏度にあることが好ましい。
【0040】
複合材料
最終に生分解性複合材料を調製するためのマトリックスは、脂肪族ポリエステル、脂肪族共重合エステル、脂肪族/芳香族の共重合エステル等から選択する。典型の生分解性ポリエステルは、ポリカプロラクトン(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート-ブチレンテレフタレート(PBSA)およびポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート(PBAT)、ポリヒドロキシアルカン酸エステルHAs)、ポリエステルアミド(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコリドポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)およびポリビニルアルコール(PVOH)等がある。
【0041】
本発明により、生分解性ポリエステル/澱粉複合材料は一つの特殊なプロセスで調製し、該過程で水の追加を問わず、澱粉及びポリエステルマトリックスの分解を減少させる。この複合材料には、生分解性ポリエステルの部数を5〜80部、TPS 30〜80部及び他の添加剤及び充填物を0.01〜30部混和させ、混和使用温度が50〜200摂氏度にある。
【0042】
本発明に選択される添加剤及び充填物は、従来の通用添加剤及びを充填し剤であってよく、無機充填材、有機充填材、燃焼阻止剤、顔料、発泡剤及び加工補助剤等は含む。一つ或は複数の添加剤を選択でき、追加量が総量の0〜30%にある。
【0043】
本発明による生分解性複合材料は薄膜、シート、注射、型板及び容器等の製造に用いられる。
加工プロセス過程は、押出機或は混合機で完成され、二軸スクリュー式押出機で行われることが好ましく、同方向の二軸スクリュー式押出機で行われることが最も好ましい。
最終複合材料の押出温度範囲は20〜220摂氏度にあり、80〜200摂氏度にあることが最も好ましい。
【0044】
本発明の技術により、調製される生分解性ポリエステル/澱粉複合材料の長所は以下のようにある:
1)ポリエステル、澱粉及び添加剤等の原料は完全に生物分解できるか或は土壤成分と同じ、環境に何なる負面の影響を与えない。
2)活性末端基ポリエステルを備えるプレポリマーでTPSを調製する新方法を利用する。
3)低粘度プレポリマーを担体とするので、澱粉を更温和な条件で加工して調製されるTPSは、出色な加工性能及び良好な分散性を備える。
4)調製された複合材料の安定性が良く、優良な力学性能がある。これは、澱粉とポリエステルプレポリマーで形成されたグラフト化共重合体は、最終のポリエステル/澱粉成分間の相容性を改善するから。
5)コスト利益の面でより競争力があることは、より多い低いコスト生物基澱粉等の追加によある。
【0045】
具体的に説明しなければ、本発明による各種原料は市販で取得でき、或は本分野の常規方法により調製で取得できる。別に定義或は説明されるほかはなく、本文に使用される全ての専門と科学用語と本分野技術は、当業者の熟知する意義と同じである。このほかに、何なる記載内容と相似或は均等する方法及び材料は全て発明による方法に応用されることができる。
【0046】
本発明による他の方面は、本文の開示内容により、当業者にとって自明である。
以下、具体的な実施例を結合して、本発明をより一層闡明する。これらの実施例は本発明の範囲を制限せず本発明を説明するだけであると理解されている。以下の実施例では、具体的な条件を明記する実験方法は、通常国家標準により測定される。相応の国家標準でなければ、通用の国際標準、常規条件により、或は製造メーカの建議する条件により施行する。説明されるほかはなく、さもなくば全ての部数が重量部であり、全ての百分比が重量百分比である。
【0047】
別に定義或は説明されるほかはなく、本文に使用される全ての専門と科学用語と本分野技術は、当業者の熟知する意義と同じである。このほかに、何なる記載内容と相似或は均等する方法及び材料は全て発明による方法に応用されることができる。
本発明の細部記述は以下の例子を参照して良い。その実例は発明に包含される技術範囲を制限することなく、より良く発明の内容を理解するためである。指摘されるほかはなく、実施例にある部数及びパーセントは重量で計測される。試料調製及び検定は、対応のアメリカASTMにより検定して分析する。
【0048】
[実施例1]
直接縮合重合反応による活性官能基を備える生分解性ポリエステルのプレポリマーの調製
加熱・攪拌反応器を備える50L反応器に16.4kgの1、4-ブタンジオール(99%)、17.7kgの琥珀酸及び4.3kgのアジピン酸を投入して混合した後、反応触媒剤としてチタン酸テトラブチル(99%)を194.0g追加する。混合反応温度が120摂氏度に設定され、1時間当たり30摂氏度の速度で180摂氏度まで加温し、且つ温度時点毎に5時間保持させ、且つ攪拌を保持する。加温するともに、真空システムに接通し、100 mbar/時間の速度で50mbarの真空に減らす。そうして、温度が220摂氏度に向上させて、且つ5時間で保持される。この後、真空状態を釈放させ、且つ側給送口から市販ADR4368C型の材料を963.0g反応器に追加して、プレポリマーと30分で反応させる。最終製品が同方向の二軸スクリュー式押出機で押出された後、冷却して造粒される。典型の押出温度が80〜150摂氏度にあり、スクリューの回転速度が120rpmとなる。該活性プレポリマー製品が浅黄色であり、比濃粘度:0.82dl/g、分子量:51,000ダルトン及び融点:96摂氏度。
【0049】
[実施例2]
プレポリマーによる熱可塑性澱粉(TPS)の調製
トウモロコシ澱粉12.0kg、グリセリン4.0kg、生分解性ポリエステルのプレポリマー2.06kg(実施例1で調製)、尿素400g、滑石粉1.0kg、ステアリン酸カルシウム600g及び過酸化ベンゾイル10.0gを先ず、高速混合機に混合し、そうして同方向の二軸スクリュー式押出機で押出する。TPS調製の典型押出等級の設定温度が60〜140摂氏度であり、スクリューの回転速度が150rpmである。押出されたTPSがベルトコンベヤーを通過して風で冷却された後、造粒されて使用に供える。
【0050】
[実施例3]
生分解性ポリエステル/熱可塑性澱粉複合材料の調製
10.0kgのTPS(実施例2で調製)と5.0kgのBionolle 3001 PBSA(ポリコハク酸/サクシネートアジペート)高速混合機に入れて混合し、そうして二軸スクリューの押出機で押出され、造粒されて最終材料を得る。典型の押出温度が60〜150摂氏度である。ASTM要求により試料を作製し、検定して分析する。
【0051】
[実施例4]
生分解性ポリエステル/熱可塑性澱粉複合材料の調製
10.0kgのTPS(実施例で2調製)、3.0kgのBionolle 3001 PBSA(ポリコハク酸/サクシネートアジペート)及び2.0kgのNatureworks 3051D PLAを高速混合機に入れて混合し、そうして二軸スクリューの押出機で押出して造粒させて最終材料を得る。典型の押出温度が80〜180摂氏度である。ASTM要求により試料を作製し、検定して分析する。
【0052】
[比較例5]
生分解性ポリエステルの直接的な利用する熱可塑性澱粉(TPS)の調製
12.0kgのトウモロコシ澱粉、4.0kgのグリセリン、2.0kgのBionolle 3001 PBSA(ポリコハク酸/サクシネートアジペート)、400gの尿素、1.0kgの滑石粉、600gのステアリン酸カルシウム及び10.0g過酸化ベンゾイルを先ず高速混合機に混合し、そうして同方向の二軸スクリュー式押出機で押出する。TPS調製用の典型押出等級の制定温度が80〜180摂氏度であり、スクリューの回転速度が150rpmである。押出されたTPSがベルトコンベヤーを通過して風で冷却された後、造粒されて使用に供える。
【0053】
[比較例6]
生分解性ポリエステル/熱可塑性澱粉複合材料の調製
10.0kgのTPS(実施例5で調製)と5.0kgのBionolle 3001 PBSA(ポリコハク酸/サクシネートアジペート)高速混合機に入れて混合し、そうして二軸スクリューの押出機で押出され、造粒されて最終材料を得る。典型の押出温度が80〜180摂氏度である。ASTM要求により試料を作製し、検定して分析する。
【0054】
[比較例7]
生分解性ポリエステル/熱可塑性澱粉複合材料の調製
10.0kgのTPS(実施例で5調製)、3.0kgのBionolle 3001 PBSA(ポリコハク酸/サクシネートアジペート)及び2.0kgのNatureworks 3051D PLAを高速混合機に入れて混合し、そうして二軸スクリューの押出機で押出して造粒させて最終材料を得る。典型の押出温度が80〜200摂氏度である。ASTM要求により試料を作製し、検定して分析する。
ASTMの要求により、前記七実施例の試料を検定して分析し、その結果を表1のように示す。
【0056】
以上の記載は本発明の実質技術内容範囲を限定せず、本発明の好適な実施例であるにすぎなく、本発明の実質技術内容は本願の請求の範囲に広義に定義され、何なる他人の完成する技術実体或は方法が、本願の請求の範囲に定義されるものと全く同じであれば、或は等効の変更であれば、該請求の範囲に包含されると見なす。
本発明に記載された全ての文献は参考として本願に引用され、同様に各文献が参考として単独に引用される。また、本発明の前記内容を閲読した上、当業者が本発明をさまざま変更或は修正でき、これらの等価形式が同様に本願の請求の範囲に限定された範囲にあると理解すべくである。