【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の構成は、幾何平面を形成する幅および長さと、幅および長さに比べると極めて薄い厚さとを有するシートモールディングコンパウンドに関するものである。このシートモールディングコンパウンドは、繊維片とポリマー材料のマトリックスとで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向が、前記幾何平面においてランダムに分布している第一群の集合体、および繊維片とポリマー材料のマトリックスとで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向が、前記幾何平面における所定の方向に沿って主に分布している少なくとも1つの第二群の集合体を含み、前記少なくとも1つの第二群の集合体は、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が第一群の集合体と異なっている。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「幅および長さ」という用語は、シートモールディングコンパウンドの正方形状を排除するような限定的な意味で解釈されるべきでない。しかしながら、好ましくは、シートモールディングコンパウンドは直方形状であり、より好ましくは、巻取り可能な帯状である。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「主な分布方向」または「分布方向が主に分布」とは、第二群の集合体の各集合体の最大の引張強度の方向が(製造公差からの逸脱したものは定義に含めない)、所定の方向を中心とした所定の角度範囲内に含まれる方向の1つに該当することを指す。前記の所定の角度範囲としては、好ましくは±40°であり、より好ましくは±30°である。
【0016】
集合体に基づく構造により、本発明のシートモールディングコンパウンドは、鋳型に対する良好な充填性を有する。第一群の集合体により、本発明のシートモールディングコンパウンドは、当該シートモールディングコンパウンドの平面の全方向における機械引張強度がゼロでない。他方、第二群の集合体により、本発明のシートモールディングコンパウンドは、主な分布方向において高い機械的な引張強度を有する。したがって、本発明のシートモールディングコンパウンドは、主な分布方向の荷重にさらされる成形物を製作するのに特に適している。というのも、出願人は、このような成形物では、通常、主な荷重は他の方向の小さい荷重成分に分割されるため、これら他の方向においても最小限かつ一定の強度を有する必要があることに気付いた。さらに、本発明のシートモールディングコンパウンドが成形物を製作するのに特に適している理由は他にもある。このような成形物が実際に使用されると、通常は理論的な公称荷重のみを単に考慮するだけの設計時には想定されなかった、応力の局所的な集中が起きるからである。
【0017】
集合体は織り繊維を含むものであってもよいが、好ましくは、互いに並行な繊維片を含むものである。というのも、出願人は、互いに並行な繊維片を含む集合体の形態の方が、鋳型への充填性が良好であることに気付いた。
【0018】
好ましくは、第一群の集合体と第二群の集合体とを異ならせる、第二群の集合体の前記少なくとも1つの特性は、繊維片の種類;集合体の形状;集合体の寸法;集合体内における繊維片の配置形態;および集合体が前記幾何平面に対して平行な、互いに異なる層に配置されていること;で構成されるグループから選択される。
【0019】
好ましくは、第一群の集合体の密度は、第二群の集合体の密度よりも大きく、より好ましくは、第一群の集合体の密度は、第二群の集合体の密度の2倍である。
【0020】
後述するように、第一群の集合体と第二群の集合体とは、積層構造に配置されてもよく、すなわち、第一群の集合体と第二群の集合体とを隔てる平面が存在してもよい。しかしながら、好ましくは、第一群の集合体と第二群の集合体とは、相互侵入層の形態で配置される。
【0021】
集合体は、小さい3次元体であってもよいが、好ましくは厚さが極めて薄いので、実質上の2次元体として扱えるものである。
【0022】
集合体はどんな形状であってもよいが、好ましくは実質上直方形状である。
【0023】
好ましくは、前記第一群は比較的短い集合体を含み、前記第二群は比較的長い集合体を含む。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、量、パラメータおよび百分率などを示す全ての数値は、特記しない限り、その数値の前に「約」を付けて解釈されるべきである。また、全ての数値範囲は、以後特記しない限り、最大値、最小値、および最大値と最小値との間に介在する全数値を含むものとする。
【0025】
好ましくは、第一群の集合体の長さ/幅の比率は6.5以下、より好ましくは5以下である。
【0026】
好ましくは、第二群の集合体の長さ/幅の比率は20以下、より好ましくは12.5以下である。
【0027】
好ましくは、第一群の集合体の長さは0.5〜110ミリメートル(mm)、より好ましくは0.5〜50ミリメートル(mm)、さらに好ましくは30〜45ミリメートル(mm)である。
【0028】
好ましくは、第二群の集合体の長さは30〜150ミリメートル(mm)、より好ましくは100〜150ミリメートル(mm)、さらに好ましくは105〜120ミリメートル(mm)である。
【0029】
好ましくは、第一群と第二群の集合体の幅は2〜50ミリメートル(mm)、より好ましくは5〜20ミリメートル(mm)、さらに好ましくは6〜10ミリメートル(mm)である。
【0030】
好ましくは、本発明のシートモールディングコンパウンドは、さらに、繊維片とポリマー材料のマトリックスとで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向が前記幾何平面においてランダムに分布する、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が第一群の集合体と異なっている第三群の集合体を含む。
【0031】
好ましくは、第三群の集合体の長さ/幅の比率は2以下、より好ましくは1である。
【0032】
好ましくは、第三群の集合体の長さおよび幅は2〜40ミリメートル(mm)、より好ましくは6〜10ミリメートル(mm)である。
【0033】
本発明の第2の構成は、上述のシートモールディングコンパウンドから成形された成形物に関する。
【0034】
好ましくは、この成形物は一方向に長い形状であり、かつ、第二群の集合体の各集合体の最大の引張強度の分布方向が当該成形物の長手方向に沿って主に分布している。
【0035】
好ましくは、この成形物は自転車部品である。
【0036】
好ましくは、この成形物は自転車のクランクである。
【0037】
本発明の第3の構成は、シートモールディングコンパウンドを製造する方法に関する。このシートモールディングコンパウンド製造方法は、a)繊維片およびポリマー材料のマトリックスを含む少なくとも1つの基材を準備する工程と、b)前記少なくとも1つの基材から、第一群の集合体および少なくとも1つの第二群の集合体を切断する工程と、c)第一群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向がランダムに分布するようにして配置させ、前記少なくとも1つの第二群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向が所定の方向に沿って主に分布するように配置させる工程とを含む。
【0038】
好ましくは、前記a)工程は、一方向繊維およびポリマー材料のマトリックスを含む基材で構成される少なくとも1つのシートを準備することを含む。
【0039】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、d)前記基材の少なくとも1つのシートから第三群の集合体を準備する工程と、e)第三群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向がランダムに分布するようにして配置する工程とを含む。
【0040】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記b)切断工程よりも前に、タック性がほぼ消えるまで前記基材を冷却する工程を含む。
【0041】
好ましくは、この冷却工程は、0℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−15℃以下の温度Tまで冷却することを含む。
【0042】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記b)切断工程よりも前に、前記基材から支持シートを取り外す工程を含む。
【0043】
好ましくは、上記製造方法は、蓄積した過剰な水分を取り除くために、集合体の配置構造体を乾燥させる工程をさらに含む。
【0044】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、集合体の配置構造体に少なくとも1つの付加層を積層する工程を含む。
【0045】
好ましくは、この積層工程における前記少なくとも1つの付加層は、一方向繊維の材料およびポリマー材料のマトリックスを含む層、およびポリマー材料のみ(好ましくは、前記集合体のマトリックスのポリマー材料と同じ材料)を含む層で構成されるグループから選択される。
【0046】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、集合体の配置構造体に圧力を加えて、集合体を所定の厚さにまで圧縮する工程を含む。
【0047】
好ましくは、圧力を加える上記工程は、さらに加熱することを含む。
【0048】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、シートモールディングコンパウンドの縁部を長手方向に切断する工程を含む。
【0049】
好ましくは、上記製造方法は、保存のためにシートモールディングコンパウンドをロール状に巻く工程を含む。
【0050】
変形例として、上記製造方法は、さらに、積み重ねて保存できるシートモールディングコンパウンドのシートを得るために当該シートモールディングコンパウンドに対して横方向の切断を行う工程を含むものであってもよい。
【0051】
好ましくは、上記製造方法は、ポリマー材料のマトリックスの早期硬化を防止するために、集合体の配置構造体を室温よりも低い温度に冷却する工程をさらに含む。
【0052】
好ましくは、前記b)切断工程は、長細体を得るために長手方向の第1の切断を行うことと、前記集合体を得るためにこの長細体に対して横方向の切断を行なうこととを含む。
【0053】
好ましくは、前記b)切断工程は、長細体を得るために長手方向の第1の切断を行うことと、前記第一群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第1の距離のところに対する横方向の第2の切断、および前記第二群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第2の距離のところに対する横方向の第3の切断を周期的に行い、それぞれ、第一群の集合体および第二群の集合体を得ることとを含む。
【0054】
好ましくは、前記b)切断工程において、前記第1の距離は前記第2の距離よりも短い。
【0055】
好ましくは、前記b)切断工程における各周期が、前記第1の距離のところに対する2回の切断、および前記第2の距離のところに対する1回の切断を含む。
【0056】
好ましくは、前記c)配置工程は、集合体を、前記平面に向かって、少なくとも1つの落下の高さから可動の支持部へと落下させることを含む。
【0057】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記落下の高さを調整する工程を含む。
【0058】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記可動の支持部の移動速度を調整する工程を含む。
【0059】
本発明の第4の構成は、シートモールディングコンパウンドを製造する製造装置に関する。このシートモールディングコンパウンド製造装置は、繊維片およびポリマー材料のマトリックスを含む少なくとも1つの基材を供給する供給ステーションと、前記少なくとも1つの基材を切断して、少なくとも1つの第一群の集合体および第二群の集合体を形成するように構成された切断ステーションと、この切断ステーションから落下の高さ分下方に離れた位置に設けられた少なくとも1つの可動面体とを備えている。前記切断ステーションおよび前記少なくとも1つの可動面体は、第一群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向が前記少なくとも1つの可動面体においてランダムに分布するようにして配置し、前記少なくとも1つの第二群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向が、前記少なくとも1つの可動面体において所定の方向に沿って主に分布するように配置する。
【0060】
好ましくは、切断ステーションは、長細体を得るために前記基材の第1の切断を行う複数の第1のブレードと、前記第一群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第1の距離のところに対する横方向の第2の切断、および前記第二群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第2の距離のところに対する横方向の第3の切断を周期的に行い、それぞれ、第一群の集合体および第二群の集合体を得るための少なくとも1つの第2のブレードとを備えている。
【0061】
好ましくは、前記第2のブレードは、前記横方向の第2の切断を、前記第2の距離よりも短い第1の距離のところに対して行うように制御されている。
【0062】
より好ましくは、前記第2のブレードは、前記第1の距離のところに対する2回の切断、および前記第2の距離のところに対する1回の切断で各周期が構成される複数の切断周期を行うように制御されている。
【0063】
また、好ましくは、前記少なくとも1つの可動面体が、前記切断ステーションから第1の落下の高さ分下方に離れた位置に設けられた第1の搬送ベルトと、この第1の搬送ベルトから第2の落下の高さ分下方に離れた位置に設けられた第2の搬送ベルトとを含む。
【0064】
好ましくは、前記第1の落下の高さは100センチメートル(cm)以下である。
【0065】
また、好ましくは、前記第2の落下の高さは5〜50センチメートル(cm)である。
【0066】
好ましくは、これら落下の高さを調整するために、上記製造装置において前記第1の搬送ベルトが調整可能な高さで支持される。
【0067】
より好ましくは、上記製造装置において前記第1の搬送ベルトは調整可能なスロープ部に支持されている。
【0068】
また、好ましくは、前記搬送ベルトの少なくとも一方の速度が調整可能である。
【0069】
前記搬送ベルトの少なくとも一方が、さらに、往復運動可能であってもよい。
【0070】
上記製造装置は、前記切断ステーションよりも上流側に、冷却ステーションをさらに備えてもよい。
【0071】
好ましくは、この冷却ステーションは、0℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−15℃以下の温度Tまで冷却するように構成されている。
【0072】
好ましくは、上記製造装置は乾燥機をさらに備える。
【0073】
好ましくは、上記製造装置はカレンダーをさらに備える。
【0074】
また、このカレンダーは一般に加熱されている。
【0075】
上記製造装置は、さらに、前記集合体の配置構造体に少なくとも1つの付加層を積層する積層ステーションを備えていてもよい。
【0076】
上記製造装置は、さらに、平面への集合体の充填を制御する装置を備えていてもよい。
【0077】
好ましくは、この制御装置は、前記少なくとも1つの可動面体を横切るように配置された光電セルのアレイ、および/またはロードセルのアレイを有するものであってもよい。
【0078】
典型的に、上記製造装置は、シートモールディングコンパウンドの長手方向の縁部を切断する仕上げ加工ステーションを備え、この長手方向の縁部を定寸に切断してもよい。