(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記柱状の標識部間には前記紐体が複数本架け渡されていると共に、該各紐体が前記各柱状の標識部の側面に上下方向へ並設されて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、並設させた柱状体間にビームあるいはチェーンやロープを架設させ、柱状体に接触した車両等が損傷しにくい進入防止柵の構成が示されているが、架設させたチェーンなどに接触したときには車両に傷が生じる恐れがあった。
【0006】
そこで本発明は、各柱体と共にこれに架設された架設体へ車両等が接触しても破壊されにくく、接触した車両への損傷も生じにくい道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有する柱状の標識部を備えた道路用標示体であって、
前記柱状の標識部が間隔をあけて立設され、
該柱状の標識部間に伸縮自在な弾性材料からなる紐体が架け渡されると共に、該紐体が長手方向への力に対して伸縮して追随可能となされて
、
外力を受けて前記柱状の標識部が撓むときに前記紐体が伸縮を起こすようになされており、
伸縮自在な弾性材料からなる前記紐体は筒形状に形成された固定具を介して前記柱状の標識部へ固定されると共に、前記固定具の筒形状の中空部分に挿入されて前記紐体が固定されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、柱状の標識部を間隔をあけて立設させ、この柱状の標識部間に紐体を架け渡すので、この間を歩行者などの人や車両などが横切ることを防止でき、高い交通規制効果を得ることができる。
また、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を前記各柱状の標識部に備えさせ、前記紐体を伸縮自在な弾性材料で形成させるので、車両が接触する等して外力を受けたときには、前記各柱状の標識部が全体的に撓むとともに、前記紐体が全体的に伸縮や弛みなどをおこして、車両の損傷を抑制すると共に、道路用標示体の破損を抑制する。
【0009】
また、前記柱状の標識部間に前記紐体を複数本架け渡すと共に、この各紐体を前記各柱状の標識部の側面に上下方向へ並設させて固定させれば、歩行者等が前記紐体の下をくぐって通り抜けることを抑制でき、柱状の標識部間の交通規制効果をより高めることができるので、好ましい。
【0010】
また、前記柱状の標識部の側面に前記紐体を固定する固定具を取り付け、
前記固定具を前記柱状の標識部に固定させる外体と、前記紐体に固定させる内体とを備えさせ、前記内体を前記紐体の長手方向を軸方向として回転自在に前記外体に取り付ければ、
紐体が捻れるような力がかかったときに、前記内体が回転して、紐体5へかかる負荷を低減させるので、紐体への損傷が抑制されるので好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の道路用標示体によれば、各柱状の標識部やこれに架設された紐体へ車両等が接触しても破壊されにくく、接触した車両への損傷も生じにくい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
本実施形態の道路用標示体は、一直線に並ぶように立設された3本の柱状の標識部1a、1b、1cの間に、上下方向に並ぶ4本の紐体5a〜5dがそれぞれ架設されて、柵体に形成されている。
尚、各紐体5a〜5dは、それぞれ一方の端部を柱状の標識部1aに固定され、柱状の標識部1bの側面を貫通する貫通穴に挿通されて、他方の端部を柱状の標識部1cに固定されている。
【0014】
各柱状の標識部1a〜1cには、それぞれの外側面に、光の再帰反射性を備えた反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部14が設けられており、これによって周囲からの視認性を向上させている。本実施形態の各柱状の標識部1a〜1cには、上部3カ所に反射部14が設けられており、各紐体5a〜5dの間にそれぞれ配置されるように設けられている。
【0015】
ベース部12にはその上面から下面に至る貫通穴が3カ所形成されており、この各貫通穴の上方からそれぞれアンカーボルト9aの雄ねじ部分を挿通させて、路面に埋設固定させたアンカーナット9bに螺結させて、各柱状の標識部1a〜cを立設固定させるようになされている。また、各柱状の標識部1a〜1cの設置方法はこれに限るものではなく、アンカーボルト9aを用いずに、ベース12の下面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させてもよく、他の固定方法を用いてもよい。
【0016】
各柱状の標識部1a〜1cは、それぞれ同一形状に形成されている。
図2は道路用標示体を構成する柱状の標識部1cの断面を示す
図1のA−A断面図である。
柱状の標識部1cは、扁平な円錐台形状に形成されたベース部12の上面に、円筒形状に形成されたポール部11を上方に突設させて構成されている。
前記ポール部11はベース部12の上面に融着されて固定されている。また、ポール部11の上部には、その上端を塞ぐようにキャップ13が融着されて固定されている。
本実施形態のポール部11は、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成させているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。また、ベース部12とキャップ13も、これらの材料を用いて好適に形成させることができる。
【0017】
また、各柱状の標識部1a〜1cに架設される各紐体5a〜5dは、それぞれ熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成されており、外力をうけても容易に変形して損傷しないようになされているとともに、長手方向への力に対しても伸縮して追随可能となされている。各紐体5a〜5dの材質は、これに限るものではなく、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
【0018】
本実施形態の柱状の標識部1cのポール部11の側面には、紐体5aを固定する固定具4が固定されている。
本実施形態の固定具4は、両端が開口した中空部分を有する円筒形状に形成された筒部41と、この筒部41の一方の端から径方向外側へ延設されるフランジ形状の鍔部42とを備えるように形成されている。
前記固定具4は、柱状の標識部1cのポール部11の筒壁に設けられた貫通穴15に前記筒部41を挿入させ、前記鍔部42をポール部11の外側面に当接させて、ポール部11に固定されている。
また前記貫通穴15は2個1組で形成されており、円筒形のポール部11の中心を挟むようにその筒壁にそれぞれ1個づつ形成されている。そして2個1組の貫通穴15の一方に前記筒部41を挿入させて固定具4を固定させている。
紐体5aは、前記2個1組の貫通穴15の内、固定具4が固定されていない方の貫通穴15からポール部11に挿入され、ポール部11の内部を通って、他方の貫通穴15に固定された固定具4の筒部41の中空部分に挿通されて固定されている。
【0019】
尚、
図2においては各紐体5b〜5dの図示を省略しているが、
図1に示すようにポール11には上下方向に4組8個の前記貫通穴15が形成され、各紐体5b〜5dはそれぞれ紐体5aと同じ構造で固定具4を介して柱状の標識部1cに固定されている。
また、各紐体5a〜5dは、柱状の標識部1cと同じ構造で、他方の端を各柱状の標識部1aに固定されている。
また、柱状の標識部1bには、各柱状の標識部1a、1cと同様に4組8個の貫通穴15が形成されているが、固定具4は固定されておらず、各紐体5a〜5dは各貫通穴15を通じて柱状の標識部1bの中に挿通されているが、固定はなされていない。
【0020】
本実施形態の固定具4は、外体4Aと内体4Bの2つの部材を組み合わせて形成されている。
図3は
図2の固定具4付近の拡大図であり、
図4は
図3の固定具4を外体4Aと内体4Bとに分解した状況を示す断面図であり、
図5は
図3の固定具の外体を示す(イ)は側面図であり、(ロ)は正面図であり、
図6は
図3の固定具の内体を示す(イ)は側面図であり、(ロ)は正面図である。
【0021】
前記外体4Aは、両端が開口した中空部分を有する円筒形状に形成された外体筒部41Aと、外体筒部41Aの一方の端から径の外側方向へ延設されるフランジ形状の外体鍔部42Aとを備えるように形成されている。
図3に示すように、外体4Aは、外体筒部41Aをポール11の貫通穴15に挿入させ、外体鍔部42Aをポール11の外周側面に当接させて、ポール11に固定される。
外体筒部41Aの外周側面には、径の外側方向へ突出する突条46が2カ所形成されている。
突条46は、前記外体筒部41Aの外周側面の周方向に沿い全周に亘って形成されており、外体筒部41A側から外体鍔部42Aへ至る程徐々に拡径して、前記外体鍔部42A側の端で垂直に縮径するように形成されている。突条46をこのような形状に形成することで、ポール11の貫通穴15を前記外体筒部41Aの外径に対応した大きさに形成させれば、前記外体筒部41Aを挿入させたときに、前記突条46がポール11の内周側面に当接して、外体4Aの抜けが抑制される。
【0022】
前記外体4Aの外体筒部41Aの端から外体鍔部42Aへ挿通する中空部分は、その中央付近より前記筒部41A側が、最も小径に形成されて挿通部43となされている。
そして前記の中空部分は、その中央付近より前記鍔部42A側が、前記挿通部43より拡径されて形成され、内体筒収納部44となされている。
更に前記中空部分は、前記鍔部42A側の縁付近において、前記内体筒収納部44より拡径されて形成され、内体鍔収納部45となされている。
【0023】
前記内体4Bは、両端が開口した中空部分を有する円筒形状に形成された内体筒部41Bと、内体筒部41Bの一方の端から径の外側方向へ延設されるフランジ形状の内体鍔部42Bとを備えるように形成されている。
内体筒部41B及び内体鍔部42Bの外側形状は、それぞれ前記外体4Aに形成された内体筒収納部44及び内体鍔収納部45の内側形状に対応した形状に形成されており、前記外体4Aの外体鍔部42A側から前記内体4Bを挿入させて、前記外体4Aの中空部分の内部へ前記内体4Bを収納可能に形成させている。
前記固定具4は、前記外体4Aに内体4Bを収納して構成されている。
【0024】
図3に示すように前記紐体5aは、前記外体4Aに内体4Bを収納した固定具4を介してポール11に固定されている。
このとき、紐体5aは、固定具4の内体4Bの中空部分内周側面に、接着剤を用いて接着固定されている。
また、固定具4の外体4Aは、ポール11に接着剤を用いて接着固定されている。
紐体5aに接着固定された内体4Bは、その内体鍔部42Bが外体Aに当接されて、ポール11から外れることなく取り付けられる。
また、固定具4の内体4Bは、外体4Aの内部において周方向へ回転可能に収納されており、道路用標示体の施工時や使用時に紐体5aに捻れるような力がかかったときに、前記外体4Aの内部で内体4Bが回転して、紐体5aへの負荷を低減させる。
【0025】
また、本実施形態の固定具4は、筒部41と鍔部42とを備えた円筒形状に形成され、その中空部分に紐体5aを固定させると共に、前記筒部41を柱状の標識部1cのポール11の内部に収納させて固定されている。このため、柱状の標識部1cへ車両などが接触した際に、紐体5aの固定部分である固定具4の筒部41が外部へ露出しておらず、ここへ直接車両などが接触しないようになされており、紐体5aの固定部分が柱状の標識部1cのポール11に保護されて損傷しにくくなされ、紐体5aの固定が外れにくくなされている。
【0026】
前記固定具4の内体4Bの中空部分の内周側面には、径の内側方向へ突出する突条48が形成されている。
前記突条48は、中空部分の内周側面の周方向に沿い全周に亘って形成されており、中空部分の全体に亘って多数形成されている。突条48を形成させることで、
図3に示すように、外体4Aと内体4Bとを組み合わせた固定具4に紐体5aを挿通させて接着固定させるときに、紐体5aの外側に各突条48が食い込むようになされて、紐体5aが固定具4に引っ掛かり、紐体5aの接着作業を効率よく実施できるようになされている。
【0027】
本実施形態の道路用標示体は、立設させた柱状の標識部1a〜1cの間に4本の紐体5a〜5dを架設させているが、これに限るものではなく、架設させる紐体5を3本以下に設けてもよく5本以上に設けてもよく、また立設させる柱状の標識部1を2本にしてもよく、4本以上設けてもよい。
また、各柱状の標識部1a〜1c間に紐体5a〜5dを架設させると共に、更に架設させた紐体5a〜5d間に縦糸となる紐体を上下方向に架設させ、各柱状の標識部1a〜1c間に網体を架設させるように構成させてもよい。