(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロータリー式インターフォルダは、シートの受け渡しが行なわれる二つ以上のロールを有し、かつ、それらのロールの回転速度をサーボモータによって制御する請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
前記ロータリー式インターフォルダは、少なくとも表面にシートの前後端縁部及びそれらの間の中間部を吸引保持するためのバキューム孔を有するロールを有し、かつ、それらのバキューム孔のバキューム源が2つ以上あり、
それら各バキューム源の吸引力を制御して、ロール上のシートの保持及び受け渡しを行う請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
前記ロータリー式インターフォルダは、連続シートを表面に保持しつつ搬送し、対となるナイフロールととともに供給される連続シートを幅方向にカットし、さらにそのカットされたシートを表面に保持しつつ搬送し、後段のロールに受け渡すベッドロールと、前記ナイフロールによる連続シートのカット時に、前記ナイフロールとで連続シートをニップして保持するプレッシャーロールとを具備し、
前記ナイフロールとベッドロールとによるシートのカット時に前記ナイフロールとプレッシャーロールで連続シートの一部をニップする、請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
薬液が塗布付与されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
薬液付与タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0003】
<薬液付与タイプの製品に用いられる薬液>
薬液付与タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きくは、水及びポリオールを含む水系薬液、主に非水溶性のワックス等を含む常温で半固形の油系薬液に大別される。
また、水系薬液はシートに付与した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)、平面方向に浸透し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその基材表面をコーティングし、人が肌で触れた時に表面の滑らかさを感じるように作用する。
そして、水系薬液は、シートに、その薬液中の水分が含浸することから付与後にシートに付与されたクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
【0004】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0005】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折畳み機構部対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0006】
一方、ロータリー式インターフォルダは、
図31に示すように、フォールディングロールと呼ばれる一対の折ロール571,571と必要に応じて配される他のロールとからなる折畳み機構部を有し、通常一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートS’, S’がそれぞれロールに保持されて搬送されるとともに先端側から裁断され、最終的に一対のフォールディングロール571,571にて折り畳まれるとともに順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。このロータリー式インターフォルダX5は比較的小型でロールの切り替えが容易であり、またシートの揃いなどの折り品質が良いことから、小ロットの高付加価値商品の生産に向いている。
さらに、このロータリー式インターフォルダX5は、加工速度が通常80〜100m/分程度であり、この加工速度から、折り工程の前段において水及びポリオールを含む水系薬液をグラビア方式やフレキソ方式等でオンライン塗布することが可能であるという利点がある。
【0007】
<ティシュペーパー製品とインターフィルダとの関係>
マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、ロータリー式インターフォルダは切り替えがし易い、折畳み品質が良いその利点から、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液付与タイプのティシューなど付加価値の高いティシューの製造に用いられるのが一般的であった(例えば、下記特許文献1)。
ここで、薬液付与タイプの製品を製造するにあたっては、インターフォルダとは別途の例えばプリンタ設備などによって予め一次又は二次原反ロールから一度連続シートを巻きだして薬液を付与し、再度巻取って薬液付与原反ロールを製造し、この薬液付与原反ロールから繰り出した薬液付与シートを折り畳む製造方法もある。また、ロータリー式インターフォルダ内に塗布装置を設置し、オンラインでローション薬液を塗布する製造方法もある。
どちらの製造方法でもロータリー式インターフォルダのほうが折り畳み品質が良く、また、マルチスタンド式インターフォルダでは薬液を含有した変形しやすい薬液付与ロールを多数管理しつつ折り畳むことが困難であるという理由等によりマルチスタンド式インターフォルダは用いられずにロータリー式インターフォルダが用いられる。
しかしながら、ロータリー式インターフォルダは、マルチスタンド式インターフォルダと比較すると、生産性に劣る欠点がある。具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0008】
<改良ロータリー式インターフォルダ>
このように、旧来ロータリー式インターフォルダでは、生産性が低く、上述の薬液付与タイプの製品の需要拡大を消化するのが困難となってきている。
その一方、近年、オンライン塗布に適する、折り品質に優れるといったロータリー式インターフォルダ特有の効果はそのままに、高速化が期待されるロータリー式インターフォルダが開発されている(このロータリー式インターフォルダは改良ロータリー式インターフォルダと称する)。この改良ロータリー式インターフォルダX6は、例えば、米国特許 US 7,452,321 B2に開示される。
かかる改良ロータリー式インターフォルダは、
図32に示すように、先に
図31に示した旧来ロータリー式インターフォルダと比較し、ロール数が多くシートランの長い複雑な構造をしている。
図31に示す旧来のロータリー式インターフォルダはフォールディングロール571,571上でバキューム孔579,579を介して吸引しながらカットし、直後にフォールディングバー573,573にて折り畳むものであり、コンパクトであるというロータリー式インターフォルダの利点がある。しかし、加工速度が上がってくると、バキューム孔579がシートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に一つしかないうえに、各バキューム孔に吸引機能を与える真空源が同一に構成されているため、例えば、バキューム能力を増強し、ブレード572,572の材質を換えてカット適性を維持したとしても、カット後に張力から開放されたシートが流れ方向寸法の縮みを生じるため、シート先端部を掴む部分のタイミングがずれて折り不良が発生しやすくなる。従って、高速化が難しい。
これに対し、
図32に示す改良ロータリー式インターフォルダは、シートのカットとシートの折畳みの工程が分離されている。この分離によって、まず、シートのカットに伴うシートの瞬間的な伸びと縮みによって折畳みでのシート端部の掴みがずれることはなく、安定した折畳み加工が可能となっている
【0009】
また、改良ロータリー式インターフォルダは、シートを運ぶすべてのロールが接しており、シートをフリーな状態にすることなく、ロール上でシートのリード端部を爪で掴んだまま、もしくはシートをバキュームによりロール表面に保持したまま、各機能を持ったロールからロールへと受け渡し、最後にフォールディングロールにより連続的に折畳み製品とすることである。これによりシートはフォールディングロール上の折畳みのための正しい位置に載置され、シートの折り畳みがずれることがなく、製品でのシートの揃いがきれいになる。
【0010】
製品仕様をZ折りのポップアップ式にする場合には、ラップロール681,681と、これに対して減速させたフォールディングロール682,682そしてやや小さなテールロール683,683を利用して、ラップロール681とテールロール683との間でたるみ部(バブルとも称される)680とも称する、いわれるシートの膨れた形状を形成し、これを利用してフォールディングロール682上においてシートの一部分を重ね合わせつつ移行させ、最終的にそのシートが一部重ねられた状態のシート群を折り畳んで製品化することができる。
このように改良ロータリー式インターフォルダでは、シートの保持性が高められており、その高速化が期待される。従って、かかる改良ロータリー式インターフォルダX6などの技術と合わせて薬液塗布タイプの製品を製造することが望まれる。しかしである。この改良されたロータリー式インターフォルダにて薬液付与タイプの製品、特に水系薬液を用いて製造するには高速化の他、以下の問題点がある。
【0011】
<改良ロータリー式インターフォルダにおける問題点(課題)>
まず、水系薬液をティシュペーパー製品の原料シートであるクレープ紙に塗布すると、塗布直後から時間とともにシート内部に浸透していく。そして、十分な浸透によってシートからの紙粉の離脱が抑制されるとともに、ロール表面に薬液が付着しないため紙粉は堆積しない。このため、薬液付与後に十分な浸透時間を取ることができる低速にロータリー式インターフォルダを運転する場合、紙粉堆積の問題は小さい。
しかし、加工速度が速くなるとそれだけシートにかかるテンションが強くなり、MD方向に沿ったスリットやCD方向のカットにおいて紙粉の発生が顕著になる。紙粉の一部はシートに付着したままロールからロールへ移動し、また一部は空中に飛散し、その一部は設備表面に付着する。
粘性の高い油系ローション薬液の場合は高速で塗布加工する場合であっても、シート表面を薬液が覆うため紙粉は油系ローション薬液に粘着しシートから脱離しない。しかし水系ローション薬液を塗布する場合には、シートのスリットやカットにより発生した紙粉は、水系ローション薬液の粘性が低いためにシートから離脱する。
さらに、ロータリー式インターフォルダを高速にした場合、薬液付与後に十分な浸透時間を取ることが困難なために、シートへの薬液の浸透が十分でなくシート表面に部分的に薬液が残り、ロール表面にシート表面の薬液が転移し付着する。このためロール表面に付着した薬液の部分に紙粉が付着し堆積する。すなわち、紙面に薬液が残った部分が存在したまま、多くのロール間をバキューム或いは把持されつつ高速に受け渡されるために、二次連続シートから持ち込んだ、あるいはスリット、カットにより発生した紙粉が各ロールの薬液が付着した部分に付着し堆積することになる。
そして、特に、改良ロータリー式インターフォルダのように、複雑なロール構成であるとともに、各ロール間の回転速度や、ロールからロールへの受け渡しのタイミングがシビアであると、紙粉堆積は、その操業性に大きな影響を与える。また紙粉が堆積した場合ロール表面からはがれ落ちティシュー製品に入り込むこともある。もっとも顕著に紙粉の付着、堆積するのはカットシートが折り畳まれるフォールディングロールの表面である。
【0012】
他方、水系薬液をシートに付与するクレープの伸びに伴って紙力が低減するため、薬液付与から折畳みまでの時間を十分に取るためだけにペーパーランを長くすると、シートテンションのコントロールを難しくし、シートのカット不良や連続シートのしわ、たるみ、断紙の発生を助長する。また、装置規模が大きくなり現実的ではない。
このように、ロータリー式インターフォルダを高速化すると、水系薬液塗工との関係によって問題が生ずる。特に、高速化が期待される改良ロータリー式インターフォルダにおいては、その問題が顕著となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。
<ティシュペーパー製品>
図1〜3に、本発明にかかるティシュペーパー製品X1を示す。本発明にかかるティシュペーパー製品X1は、複数枚のティシュペーパー1が、折り畳まれ重層されてなるティシュペーパーの束10が、上面2Uに取出口又は取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時にその取出口21からティシュペーパー1の一組を取り出すと、隣接して積層されている下層の一組の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。ここでいう一組とは、ティシュペーパーのカットシート単位をいい、単層もしくは複層のクレープ紙からなる。
【0035】
[収納箱]
ティシュペーパー1の束10が収納される収納箱2は、カートン箱とも呼ばれる直六面体形状の箱体である。この収納箱2は、製品外観をなすものであり、ティシュペーパー製品X1を示す
図1及び
図2にも示されているとおり、上面20Uに取出口形成部21である環状のミシン目線21を有する紙箱20と、前記ミシン目線21により囲まれる範囲21aを紙箱内側から覆う樹脂製フィルム22とを有する。
【0036】
紙箱20は、収納箱の外郭をなす紙製の箱体であり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の収納箱の紙箱の構成が採用される。
【0037】
その形状としては、図示例の一対の平行な長手縁20L,20Lとこれらよりも短い一対の平行な短手縁20S,20Sとで構成される長方形の上面2Uを有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面2U、底面(図示されず)及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有し、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して構成される構造が例示できる。
【0038】
収納箱2の大きさは、ティシュペーパー1の束10より若干大きく、概ね束10の外形よりも1〜20mm程度大きい内形とされる。一般的な収納箱2の大きさを例示すると、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150mm程度である。少なくとも本発明においてもこの大きさの収納箱1が採用できる。
【0039】
紙箱20の素材としては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の紙素材が採用できる。好適には、紙箱の素材は、坪量250〜500g/m
2、好適には350〜400g/m
2のコートボール紙である。
【0040】
なお、紙箱は、図示はしないが、花柄、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。紙箱外面に対する模様の付与は、グラビア印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
【0041】
他方、紙箱20の上面2Uに形成されるミシン目線21は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成され、これにより囲まれる範囲の具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱2においては、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0042】
他方、前記樹脂製フィルム22は、前記ミシン目線により囲まれる範囲のサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱上面の内面側において、特に環状ミシン目線21の切り剥がしに影響がないように、環状ミシン目線21の外側で接着されている。この樹脂性フィルム22の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
【0043】
樹脂製フィルム22の厚みは、10〜200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー1の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0044】
他方、この樹脂製フィルム22には、スリット24が形成されており、このスリット24はミシン目線21により囲まれる範囲に位置されている。
従って、
図1及び2に示されるとおり、前記環状ミシン目線に沿ってそのミシン目線21により囲まれる範囲21aを切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取り出口が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口25を介して露出される。なお、前記スリット24の長さは、適宜の長さとすることができ、既知の環状ミシン目線21との大きさの関係で適するとされる長さが採用できる。
【0045】
収納箱2に束として収納されているティシュペーパー1は、前記スリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパーの一部が支持されてカートン箱内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0046】
[ティシュペーパー束の基本構成]
本発明のティシュペーパー1の束10は、ティシュペーパー1が折り畳まれ、積層されてなるものである。より具体的には、
図3からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0047】
本積層構造のティシュペーパー1の束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。そして、かかる構造のティシュペーパー1の束10は、その最上面が上述の上面2Uに取出口25等を有する収納箱2の当該上面に向かいあって収納され、前記取出口25、特にスリット24から最初の一組(最上面に位置する一組)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一組の一部が露出される。なお、本発明のおけるティシュペーパー1の積層枚数が限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240組である。
【0048】
<ティシュペーパー製品の製造方法>
次に、上記のティシュペーパー製品X1の本発明にかかる特徴的な製造方法について説明する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明に用いる二次原反ロールの製造方法について説明する。二次原反ロールを製造するには、
図4に示す抄紙設備例X2により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0049】
まず、ヘッドボックスか31らパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0050】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0051】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0052】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X2の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0053】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0054】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0055】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパー1と同等の坪量となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m
2、好ましくは12〜20g/m
2、より好ましくは13〜16g/m
2とする。坪量が10g/m
2未満であると、ティシュペーパー1の柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m
2を超えると、ティシュペーパー1が硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0056】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー1となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー1となりやすくなる。
【0057】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0058】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0059】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0060】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0061】
(紙料)
ここで、一次原反ロール(一次原反シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0062】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0063】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。ローション薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。また、適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、その配合量はティシューが硬くならない程度に抑えておく必要がある。
【0064】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に付与してもよい。
【0065】
[プライ工程〔二次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
抄紙工程で製造された一次原反ロールJRは、必要に応じて、
図5に示す二次原反ロールの製造設備X3(以下、プライマシンともいう)に移送しプライ加工を行なう。
【0066】
プライマシンX3は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部51に供給されるように構成されている。
【0067】
ここで、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0068】
プライマシンX3は、重ね合わせ部51の後段に、積層連続シートS2を巻取って二次原反ロールRとするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、積層連続シートS2を巻き取り手段56に案内しつつ巻取るための一対のワインディングドラムを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内しつつ巻き取りを補助する。
【0069】
ここで、プライマシンX3においては巻き取り部56の前段にスリット手段55を設けて、積層連続シートS2を連続方向にスリットして、後段のロータリー式インターフォルダの加工幅に合わせて適宜の幅とした後に巻き取ることで二次原反ロールRの幅を適宜調整することが可能である。例えば、積層連続シートS2の連続方向側縁部をカットするようにスリットして、ロータリー式インターフォルダで加工するティシュースリット幅の複数倍に40〜100mm程度のトリム幅を加えた適宜の幅に調整することができる。
【0070】
本発明の二次原反ロールRの幅は、ロータリー式インターフォルダを構成するロール幅、すなわち処理可能な幅に応じて適宜の幅とすることができる。一般的には、ティシュペーパーの幅(150〜250mm)と生産性などから800〜4600mmである。従って、この範囲となるようにスリットすることができる。ロータリー式インターフォルダでは、オンラインでナイフロールの後でトリム工程を有することができるので、ここでスリット等を必ずしも行なう必要はなく、理想的には一次原反ロールJRの幅と実質的に同幅の二次原反ロールRを製造し、そのままインターフォルダの原反ロール支持部にセットするのが操作、設備が簡易となるから望ましい。従って、スリットなどは行なわないほうが望ましい態様である。一次原反ロールJRの幅が過度に大きい場合など、インターフォルダの二次原反ロール支持部との関係で必要となる場合にのみスリット工程を設ければよい。
【0071】
(カレンダー加工)
他方、プライマシンX3においては、重ね合わせ部51から巻き取り部56までの間にカレンダー部52を,52一つ以上設けて積層連続シートS2をカレンダー加工することができる。
【0072】
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0073】
カレンダー部の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0074】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0075】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0076】
本実施形態に係る二次原反ロールRの製造設備X3又は製造方法においては、加工速度は350〜1100m/分、好ましくは700〜1050m/分、より好ましくは900〜1000m/分とする。350m/分未満だと十分な生産性とは言えず本願発明の効果が得られがたくなる。他方、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0077】
[折畳み工程・薬液付与工程〔ロータリー式インターフォルダにおける処理〕]
上記プライマシンX3にて製造された二次原反ロールRは、
図6に示すように示すように、ロータリー式インターフォルダの原反ロール支持部に回動自在に取付けられる。
【0078】
ロータリー式インターフォルダにおいては、前記原反ロール支持部に取付けられた二次原反ロールから二次連続シートを巻きだし、薬液塗工工程にて薬液を塗工した後、折畳み機構部にて折畳みを行ないティシュペーパー束を形成する。
【0079】
本発明においては、このロータリー式インターフォルダにて、折畳み機構部におけるシートの折畳みに先立って、薬液塗工をするにあたり、特徴的に、二次原反ロールRから繰り出した二次連続シートS3に対して水系薬液を予備塗工工程と主薬液塗工工程の2段階で塗工する。
【0080】
予備塗工工程及び主薬液塗工工程は、それぞれ、フレキソ印刷、グラビア印刷、カーテン塗工、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液付与手段を採用できる(以下、予備塗工工程を行なう手段を予備塗工手段、主薬液塗工工程を行なう手段を主薬液塗工手段、両者を分けない場合には単に薬液塗工手段という)。
また、特に予備塗工工程では、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙粉が発生しない直接的に薬液を紙面に付与する非接触型の塗布形態であるカーテン塗工、スプレー塗工、インクジェット印刷が適する。
【0081】
ここで、特に好ましく採用できる予備
塗工手段は設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることが可能なローラーダンプニング方式によるスプレー塗工、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高くムラが発生し難いインクジェット印刷方式である。
【0082】
また、薬液付与手段においては付与中の薬液の飛散防止等のために、例えば二次連続シートS3に対する薬液付与部分近傍をフード9Fなどで覆うのが望ましい。特に、予備塗工手段としてスプレー塗布やカーテン塗工を採用する場合、これらの手段では、噴霧された薬液の飛散、噴霧方向の安定性、カーテン膜の安定形成において周囲の気流の関係を受けやすいことからかかるフード等を設けるのが特に望ましい。
なお、本発明の薬液付与手段においてフレキソ印刷、カーテン塗工、スプレー塗布、インクジェット印刷を採用した場合の具体例は後述する。
【0083】
ここで、予備塗工工程と主薬液塗工工程における水系ローション薬液の合計塗布量は、両面の合計の薬液塗布量で、0.3〜5.0g/m
2とされ、好ましくは1.0〜4.0g/m
2とされる。5.0g/m
2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙など操業性に支障をきたしたり、品質的に紙厚やウエブ嵩が低下したり、べたつき感が過ぎる場合も出てくる。0.3g/m
2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
【0084】
なお、本発明においては、表裏面にほぼ同等量の薬液を塗布するのが基本であるが、二次原反シートの表裏差やその他の操業、品質上の事情により、表裏面において薬液付与量が異なるようにしてもよい。
【0085】
また、予備塗工工程における塗布量を0.1〜3.0g/m
2(全薬液塗布量の10〜60%)、主薬液塗工工程における塗布量を0.2〜4.5g/m
2(全薬液塗布量の40〜90%)とするのが望ましい。このようにすると、短時間で十分に二次連続シート内に薬液が浸透し紙粉の発生が確実に抑えられる。
【0086】
なお、予備塗工工程においては水系薬液ではなく水のみの塗工であってもよい。この場合の水のみの塗工は加湿の意味を含む。予備塗工工程に水を用いる場合、その塗布量は0.1〜2.0g/m
2とされ、好ましくは0.3〜1.0g/m
2とされる。2.0g/m
2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙など操業性に支障をきたしたり、品質的に紙厚やウエブ嵩が低下する場合も出てくる。0.1g/m
2未満であると二次塗布でのローション薬液の吸収が速くなる効果が得られず、ロール面でのローション薬液付着、紙粉付着の問題が解決できなくなってしまう。
【0087】
また、予備塗工工程と主薬液塗工工程の関係は、具体的には二次連続シートをインターフォルダへと供給して折畳み加工を行なう加工速度を150m/分以上、好ましくは200m/分以上として高速生産する場合、特に前記予備
塗工工程から主薬液
塗工工程までの間を0.4秒以上、1.5秒以内とするのが望ましい。このようにすれば、予備塗工工程から主薬液塗工工程までの間にシートの表層部に所望の水系ローション薬液の浸透が生じ、確実に予備
塗工工程における予備塗工目的が達成される。そして2段塗布であることによりプルロールとベッドロールの周速を調整しシート張力を一定にしてたるみを生じさせることなく、安定した操業が可能となる。なお、この場合において、主薬液
塗工工程からフォールディングロールによる折畳み完了までの間を2.1秒以内とするのがよい。このようにすると、ペーパーランでシートがロール面に接している時間が少なく、紙粉堆積の抑制が確実なものとなる。
【0088】
薬液塗工工程で付与する水系ローション薬液については、粘度は40℃で1〜700mPa・sが望ましい。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)である。1mPa・sより小さいと薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと安定した塗布量とするコントロールがしにくくなる。
【0089】
本発明に用いるや薬液は水系ローション薬液であり、ポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものである。
【0090】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
【0091】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0092】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0093】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0094】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0095】
(フレキソ印刷)
予備
塗工工程81及び主薬液塗工工程82における薬液塗布手段90として採用されるフレキソ印刷機の例は
図7〜13に示す。フレキソ印刷は樹脂性の弾力性がある刷版を用いるため二次連続シートS3の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗布が可能で、二次連続シートS3にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点がある。
【0096】
ここで、本発明における二次連続シートS3に薬液を付与する場合、十分な薬液付与量としつつインターフォルダで操業性を悪化させないことを考慮すると、フレキソ刷版ロールの線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0097】
アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0098】
ここで、本発明では、前段の薬液付与工程において安定的に薬液が付与できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール及びアニロックロールの線数は重要である。なぜなら、薬液付与工程において不備があると、その後段の折畳み工程もストップするからである。従って、上記操業性を悪化させない各ロールの線数は、薬液塗布量以外にも重要な意義を有する。
【0099】
なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロールへ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を詳述する
【0100】
<ドクターチャンバー方式の実施形態例>
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を
図7〜
図12を参照しながら説明する。本形態例では、二次連続シートS3の表裏面に薬液を付与すべく二つのフレキソ印刷機91A,91Bを用いている。各印刷機91A,91Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ二次連続シートS3の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、二次連続シートS3を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する弾性ロール95A,95Bとで二次連続シートS3に圧力を付与しつつ、刷版ロール95A,95Bから積層連続シートに薬液を塗布する。
【0101】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する(以下、各印刷機91A,91Bについて同様の構成を説明するについては、ドクターチャンバー91A(91B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗布装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーター、二次連続シートS3の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサー等を設置することができる。
【0102】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0103】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0104】
他方、
図9に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えれている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0105】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール91A(91B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0106】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。
【0107】
この自動判別するのならば、
図10に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0108】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(
図10に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0109】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0110】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0111】
さらに、
図11に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0112】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0113】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(
図8に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS3)の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0114】
刷版ロール94A(94B)は、弾性ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS3に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS3に薬液Lを均一に転写することができる。
【0115】
弾性ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS3を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS3を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0116】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、
図8においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は
図8とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0117】
ここで、
図8に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく
図12(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その
図12(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。
図12(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。
図12(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0118】
<2ロール転写方式の実施形態例>
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式を適用した形態例を
図13を参照しながら説明する。本形態例でも、二次連続シートS3の表裏面に薬液Lを付与すべく二つのフレキソ印刷機91C,91Dを用いている。各印刷機91C,91Dにおいては、薬液Lの入っている薬液タンク98C,98Dに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92C,92Dが浸され、このディップロール92C,92Dが薬液タンク98C,98D外で回転可能なアニロックスロール93C,93Dに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93C,93Dに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93C,93Dに受け渡すに、ディップロール92C,92Dを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92C,92Dは薬液タンク98C,98Dから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93C,93Dに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0119】
アニロックスロール93C,93Dは刷版ロール94C,94Dに接しており、ディップロール92C,92Dから転写された薬液Lを刷版ロール94C,94Dに受け渡す。刷版ロール94C,94Dは回転可能に設置され、アニロックスロール93C,93Dと接しているとともに、二次連続シートS3の一面とも接しており、二次連続シートS3を挟んで対向する弾性ロール95C,95Dとで二次連続シートS3に圧力を付与しつつ二次連続シートS3に薬液Lを塗布する。
【0120】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93C、93Dに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗布できる、アニロックスロール93C、93Dから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0121】
なお、薬液タンク98C,98Dには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、二次積層連続シートの幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0122】
<1ロール転写形式の実施形態>
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式を本発明に適用した形態例を説明する。この例は、前述のフ2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0123】
(スプレー塗布)
薬液
塗工工程81,82の薬液付与手段81,82としてスプレー塗布装置110,110を用いた例を
図14〜17を参照しながら説明する。なお、上述のとおりスプレー塗布は、予備塗工工程81で好ましい形態であるが、必ずしも主薬液塗工工程82においてその採用は否定しない。
【0124】
本形態例では、
図14に示すように、二次連続シートS3の表裏面に薬液が付与されるようにスプレー塗布装置を設けることができる。このように表裏面にスプレー塗布するにおいては、図示例のように側方から二次連続シートS2の表裏面に噴霧可能にペーパーランを設計する形態、二次連続シートの表裏面に上下から噴霧する形態、上方から表裏面に噴霧するようにペーパーランを設計する形態、二次連続シートの積層を一度剥離させて、各連続シートにスプレーした後、再度積層する形態等を採ることができる。
なお、スプレー塗布では、周囲薬液が飛散することから、他の工程への影響を防止すべく、塗布部分を被覆するフード9Fを設けるのがよい。
【0125】
ここで、スプレー塗布は、具体的にはノズル式噴霧方式、ローターダンプニング噴霧方式等を採用することができる。ノズル式噴霧方式における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、薬液が二次連続シートの幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0126】
また、ノズル式噴霧装置において霧化する方法については、一流体方式、または二流体方式の2種類の方式を選択して使用することができる。このうち一流体噴霧方式は、噴霧する薬液に対して圧搾空気を用いて直接圧力をかけてノズルから霧滴噴射する、または噴出口付近のノズル側面に開けた微細な穴からノズル内に空気を吸引して霧滴噴射する方式である。また、二流体噴霧方式は、ノズル内部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する内部混合型、ノズル外部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する外部混合型、微霧化した霧滴粒子を相互に衝突させて、霧滴粒子をさらに均質化・微粒子化する衝突型等の方式が挙げられる。
【0127】
他方、ローターダンプニング噴霧方式については、高速回転する円盤上に噴霧する液を送り出し、円盤の遠心力によって液を微霧滴化するのであり、円盤の回転数変更によって霧滴粒子径の制御を行い、円盤上への送液量変更によって噴霧液量(付与量)の制御を行なう。ものである。ローターダンプニング塗布装置は、少ない量の噴霧液量を霧滴の飛散を抑えつつ、紙表面に均一に塗布することができ、かつ噴霧速度や霧の粒子径等の調整が容易である利点がある。
【0128】
薬液を二次連続シート表面に均一に噴霧付与するためには、霧化された薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りや二次連続シート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が二次連続シート表面に付着しにくくなる。このため、噴霧付与方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の薬液と圧搾空気の混合比、および薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、付与条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)、上述のフード等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
【0129】
二次連続シート表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
【0130】
図15には、ノズル式噴霧方式、特に二流体方式の薬液噴霧装置110を示した。この装置110は、中心に薬液通路110Aが、その周囲にエアー通路110Bが形成され、薬液通路110A先端から噴出された薬液Lを、エアー通路110Bから吐出されたエアーにより微霧化するものであり、ほぼ円錐形状に薬液Lを噴霧するようにしたものである。110Cは外部の保護ケーシングであり、紙粉などからノズルを保護すると共に、必要によりパージエアー通路を通すエアーによりノズルの清掃を行なうことができるようにしたものである。この種の薬液噴霧装置110は二次連続シートS3の幅方向に一つ又は複数間隔を置いて設けることができる。
【0131】
前述のように噴霧した薬液の跳ね返りや二次連続シート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が二次連続シート表面に付着しにくくなるため、
図16に示すように、一流体方式又は二流体方式の薬液噴霧手段(噴霧ノズル)の周囲から、ケーシング153Eに形成したエアー供給路から噴出させるエアー110Gにより、薬液噴霧手段(噴霧ノズル)からの噴霧薬液を取り囲むようにして薬液が二次連続シートに好適に付与することができる。
【0132】
図17は、ローターダンプニング噴霧装置120の例である。これは必要により設けられる覆い収納室内120Aに、回転ローター120Bを設け、回転ローターの噴出口120Cから薬液を二次連続シートS3に噴霧付与するようにしたものである。
【0133】
(インクジェット印刷)
薬液
塗工工程81,82において、薬液付与手段81,82としてインクジェット印刷機130を用いた例を
図18〜20を参照しながら説明する。なお、上述のとおりインクジェット印刷は、予備塗工工程81で好ましい形態であるが、必ずしも主薬液塗工工程82においてその採用は否定しない。
【0134】
図示例のとおり、本形態では、インクジェット形式とされる薬液塗布部130A,130Bは薬液の入っているタンク131A,131Bを有していて、このタンク131A,131Bが薬液を噴射し得るインクジェットヘッド132A,132Aに配管を介して接続された構造とされている。これに伴って、このタンク131A,131Bから供給ポンプ(図示しない)によりインクジェットヘッド132A,132Bに薬液を供給するようになっている。
【0135】
図18に示すように、このインクジェットヘッド132A(132B)の被塗布材である二次連続シートS3と対向する部分には、この二次連続シートS3の幅分に少なくとも対応する形で、複数のノズル孔134を直線的に並んで設けているノズル板133A(133B)が配置された構造になっている。
【0136】
そして、
図19に示すように、このインクジェットヘッド132A,132B内には、噴射ユニット135が各ノズル孔に対応して複数配置されている。つまり、この噴射ユニット135は、ノズル孔134から射出する為の薬液を一時的に貯める流体室136と、この流体室136を挟んでノズル板133A(133B)と対向する部分に配置された振動板137と、この振動板137に当接して流体室136外に配置され且つピエゾ素子等により形成される圧電素子138とにより、構成されている。
【0137】
尚、振動板138は、例えばステンレス鋼等の金属製の板材により形成されていて、圧電素子138からの振動を流体室136に伝達し易い構造なっている。また、圧電素子68には、配線を介して図示しない制御装置が接続されていて、この制御装置から所定の間隔で圧電素子138に電圧が付与されるようになっている。
【0138】
従って、タンク131A(131B)からインクジェットヘッド132A(132B)に供給された薬液は、各ノズル孔134に対応して存在する流体室136内に送り込まれるようになっていて、必要に応じて制御装置が圧電素子138に電圧を加えることで、各ノズル孔134から一斉に薬液が噴射されることになり、これに伴い、積層連続シートS3の一方の面における幅分全体に亘って薬液が塗布されことになる。
【0139】
尚、上記実施形態では、インクジェット形式として、オンデマンド方式でピエゾ素子を採用した構造とされているが、サーマルジェット型を採用しても良い。更に、オンデマンド方式の替りに連続して噴射可能なコンティニュアス方式の噴射装置を採用しても良い。
【0140】
(カーテン塗工)
薬液
塗工工程81,82において、薬液付与手段81,82としてカーテンコーター140を用いた例を説明する。カーテンコーター140としては、例えば、
図21に示される従来既知のカーテンコーターが使用できる。なお、カーテンコーターは、薬液の膜を垂下させることから、二次連続シートの表裏面に塗工する場合には二次連続シートの表裏面が上方に位置するようにペーパーランを設計して各面に塗工する。なお、上述のとおりカーテン塗工は、予備塗工工程81で好ましい形態であるが、必ずしも主薬液塗工工程82においてその採用は否定しない。
【0141】
図21に示されるカーテンコーター1においては、予め調製された薬液Lは、塗液貯蔵タンクより給液ポンプ等によってコーターヘッド141へ送られる。前記コーターヘッド141の内部は、マニホールド141aおよびスリット141bからなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された疑似接着剤は、前記マニホールド141aに満たされ、更にスリット141bに送られるときに通過する狭い間隙において、給液ポンプの送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、リップ142より流出し、垂直なカーテン膜143Lを形成する。
【0142】
幅方向でプロファイルが均一となった垂直カーテン膜143Lは、連続走行している二次連続シートS3と接触し、二次連続シートS3に塗工される。ここでエッジガイド144はコーターヘッド141の幅を超えず、更に二次連続シートS3の幅を超えて設けられ、垂直カーテン膜は二次連続シートS3の幅を超えて形成される。垂直カーテン膜143Lが二次連続シートS3の幅を超えて形成されているのは、垂直カーテン膜143Lの両端部における薬液Lの厚塗りを防止するためである。二次連続シートS3の幅を超えて流下する薬液Lは、受液槽145に回収され、塗液貯蔵タンクに戻された後再び塗工される。また、二次連続シートS3が切断され塗工が中断された場合も、薬液Lは受液槽145に回収されるように構成されている。
【0143】
連続走行している二次連続シートS3と垂直カーテン膜143Lとの接触部(以後、「塗工部」という。)には二次連想シートS3に同伴する空気流を遮蔽し、カーテン周辺の空気の回流などで垂直カーテン膜143Lが乱れることなく二次連増シートS3に達するようにするため遮風板146が設けられている。また、二次連続シートS3の搬送方向は、塗工部の直前でロール147により方向転換することにより、二次連続シートS2に同伴する空気の塗工部への影響を最小限にとどめるように構成されている。なお、安定した状態で塗工するためには、二次連続シートS3からコーターヘッド141下部の流出部までの高さがある程度必要とされるが、安定に適した高さは60〜300mm、好ましくは100〜250mm、更に好ましくは120〜180mmである。
【0144】
上述のようにして水系薬液が塗工された二次連続シートは、ロータリー式インターフォルダX4の折畳み機構部85へ供給される。
【0145】
なお、本発明においては、主薬液塗工工程82の前段に二次連続シートS2の幅方向量側縁を裁断除去するトリム除去工程を有していてもよい。
図6では、予備
塗工工程81と主薬液塗工工程83の間に、トリム手段86を設けて二次連続シートの幅を適当幅に裁断している。なお、予備塗工工程81と主薬液塗工工程82との間でトリムすることで二次原反ロール端部の水分が低く、しわや傷入りのある部分をカットして、加工を安定させるという効果を奏する。
【0146】
(ロータリー式インターフォルダの構成について)
以上説明の二段階の薬液塗工は、高速化されたインターフォルダにおいて顕著に効果を奏する構成である。もっとも従来の低速なロータリー式インターフォルダに上記二段階の薬液塗工を採用した場合においても、塗工品質に優れた高品位な薬液塗工タイプのティシュペーパー製品が製造される。
【0147】
ここで、本発明にいう高速とは、150m/分以上、好ましくは200m/分以上の速度で連続シートが搬送されることを意味する。ティシュペーパーの生産性と本発明の効果との関係で定めれば、より好ましくは250m/分以上、もっとも好ましくは280m/分以上である。150m/分以上、好ましくは200m/分以上とすることで旧来ロータリー式インターフォルダと比較して生産性の面でのアドバンテージがある。但し、300m/分を超えると薬液付与されたシートを安定して折り畳むことが難しくなる。
【0148】
ここで、加工速度を150m/分以上、好ましくは200m/分以上とした場合には、上述の主薬液付与工程から、フォールディングロールによる折畳み完了まで(対のフォールディングロールの間隙をシートが通過するまで)は、1.0秒間〜2.1秒間とするのが望ましい。この秒数であれば予備塗工の効果によって紙粉発生が確実に防止される。
【0149】
本発明は、すなわち150m/分以上、好ましくは200m/分以上の速度で運転するロータリー式インターフォルダにおいて、顕著な効果を奏するのであり、その高速化達成技術については限定されるものではないが、本発明者らは、本発明の薬液二段塗工との関係で顕著な効果を奏する、ロータリー式インターフォルダの高速化技術についても新たに知見したので、かかる高速化ロータリー式インターフォルダについても説明する。
【0150】
なお、ロータリー式インターフォルダにおける高速化は、主にロール群の構成によりシートにロール上でたるみを形成しないようにする、バキューム機構によりロールへのシートの吸引性を高める、サーボ技術により複数のロールの速度を調整することにより達成可能である。
【0151】
下記に本発明において好適に採用できる高速化に適するロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例1〜4を示す。
【0152】
《ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例1》
本発明にかかるロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例1を
図22及び23を参照しながら説明する。
【0153】
この機構部例1は、ベッドロール71、ナイフロール72、ラップロール73、フォールディングロール75、プレッシャーロール76の各ロールを一対具備し、さらに好ましく テールロール74を具備する(図においてフォールディングロール以外のロールについては一方のみを図示する)。
【0154】
また、各ロールはサーボモータにより駆動され、各サーボモータの回転速度、周速を各々電子制御により調整して、シートの張力等に合わせ周速を調整可能となっている。これによりロール間でのシートの受け渡しのタイミングを一定に保つことが可能となっている。
【0155】
前記ベッドロール71は、二次連続シートS3を、二次連続シートS3のリード端部を爪で掴んだまま、或いは二次連続シートS3をバキューム孔78を介して自身の中心方向に吸引するバキューム機能によって(図示例はバキューム機能による)ロール表面に保持しつつ搬送し、後段のロールへと受け渡すものである。
【0156】
ナイフロール72は、表面にカッター刃72Cを具備し、前記ベッドロール71と対をなして回転して、その刃72Cを適当間隔でベッドロール71上を搬送されてくる二次連続シートS3に接触させて、二次連続シートS3をシート幅方向に裁断する。この裁断幅は、ティシュペーパー製品の幅(長さ)である。従って、ベッドロール71上を搬送されてくる二次連続シートS3はこのナイフロール72のカッター刃72Cとの接触によって上流の二次連続シートS3から切り離される。
【0157】
カットされたシートS4は、ベッドロール71上に保持されつつ搬送され後段のラップロール73に受け渡される。受け渡しはロータリー式インターフォルダで採用されるロールからロールへの既知の受け渡し技術が採用される。例えば、ベッドロール72とラップロール73との近接時にベッドロール72のバキュームを停止し、ラップロール73において自身の内部方向への吸引が開始される技術等である。
【0158】
プレッシャーロール76は、ベッドロールとともにベッドロール上に保持されるシートを挟持するものであり、このプレッシャーロール76の存在によりベッドロール71における吸引能力を上げつつシートをカットしてもシートがばたつかず、順次前端から後端にむかってシートがベッドロール71上に吸引された確実に保持されるようになる。また、プレッシャーロール76とベッドロール71とによって二次連続シートの先端部が挟持された状態でナイフロール72によるカットが行なわれるため、カット時のシートが後方(原反ロール方向)に引っ張られることが防止されるとともに張力変動を効果的に吸収でき、カット時におけるシートのばたつきも防止される。
【0159】
ラップロール73は、ベッドロール72から受け渡されたシートS4を表面に保持しつつ搬送し、その搬送するシートS4の回転方向前縁部を、ラップロール73より減速して回転する対応するフォールディングロール75に移行させる。この受け渡しは所定位置においてシートの回転方向前縁部のバキュームの停止、或いは気体の噴射、機械的なシート把持機構などの既知の技術が採用される。
【0160】
図示例のラップロール73では、シートの回転方向前縁部、回転方向後縁部とこれらの間の2点以上を保持するようにバキューム孔710,710が形成されており、シートを確実にラップロール73上の保持することが可能となっている。
【0161】
なお、図には表れないがロータリー式インターフォルダのロールにおけるバキューム孔は周知のとおりロールの軸心方向に沿って、その表面に点在的に配置されるものであり、本発明及び本明細書におけるバキューム孔もそのように構成されている。したがって、回転方向前端部、回転方向後端部とこれらの間の2点以上を保持するようにバキューム孔が形成されているとは、シートの回転方向前端部等を保持する位置に、ロールの軸心方向に沿ってバキューム孔が複数配されていることを意味する。この孔の数は適宜の設計事項である。
【0162】
必要に応じて具備されるテールロール74は、ラップロール73に近設され、ラップロール73及び後段のフォールディングロール75より小径である。テールロール74は、ラップロール73から前記回転方向前縁部がフォールディングロール75に移行されたシートの回転方向後縁部(テール)が移行され、当該シートの回転方向後縁部を自身の表面に保持する。保持機構は上述のベッドロール等と同様である。
【0163】
上述のラップロール73とフォールディングロールか75の回転速度の差と、シートS4の回転方向前縁部をフォールディングロールに移行した後、回転方向後縁部(テール)をテールロールに移行させることにより、ラップロール73、テールロール74及びフォールディングロール75によってシートS4にたるみ部(バブルとも称される)Stを一次的に形成する。
【0164】
また、ラップロール73からフォールディングロール75へのシートS4の回転方向先端側部分の移行は、先のシートの回転方向後縁部がラップロール73からたるみ部を形成しつつテールロール74上に移行されている際に行なわれる。
そして、先のシートの回転方向後縁部がテールロール74からフォールディングロール75上に移行される際には、その部位には後のシートの回転方向前縁部が存在している。
従って、テールロール74からフォールディングロール75に完全にシートが移行されると、フォールディングロール75上では、先のシートの回転方向後縁部の下方(フォールディングロール側)に、後のシートの回転方向前縁部が位置して重なり合った(ラップされた)状態となる。
【0165】
フォールディングロール75は、一部が重なりあったシート群を折畳むものである。一対のフォールディングロール75,75は互いに近接され、同様に対となるフォールディングロール上を移行してくる一部が重なりあいつつ送られてくるシート群とを自身のシート群とを重ね合わせ、その重ね合わせ部で各シートの縁部を相互に押し合う(引き合う)ようにしてシート群を折り畳む。
【0166】
このように本発明にかかる高速化ロータリー式インターフォルダは、シートをカットするナイフロール72及びベッドロール71とラップロール73とを分離することで、ラップロール73におけるバキューム能力の向上させることができ、さらに各ロールをサーボによって個別にその速度を管理することで高速化が達成されている。
【0167】
その上、ラップロール73、フォールディングロール75及びテールロール74によりたるみ部を一時的に形成することで、先のシートと後のシートの一部を重ね合わせるようにしつる移行させ、かかる一部が重ね合わされたシート群をフォールディングロールで折り畳むようにすることで、きわめて高速な操業を可能となっている。
【0168】
《ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例2》
高速化に適するロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例2を
図24に示す。このロータリー式インターフォルダは、ベッドロール71、ナイフロール72、第1プルロール78A、第2プルロール78B、遅延ロール79A、ニップロール79B、ラップロール73A、カウントロール73Bを各一つ有し、さらに一対のフォールディングロール75,75を有する。必要に応じて適宜の抑えロールRを有する。
【0169】
この折畳み機構部例2は、その初段に、二次連続シートS3を受ける第1プルロール78A及び第2プルロール78Bを有する。第1プルロール78A及び第2プルロール78Bによるニップされつつ二次連続シートS3がこれらのロール間を通過し、第2プルロール78Bとベッドロール71間にニップされつつベッドロール上に供給される。
【0170】
ベッドロール71及びナイフロール72の関係は、上記ロータリー式インターフォルダの折畳み機構部例1と同様であるが、本形態では、上記折り畳み機構部例1と異なり、ナイフロール72とベッドロール71とによる二次連続シートS3のカット時に、二次連続シートS3の後方(原反ロール側)が第2プルロール78Aとベッドロール71とのニップ、さらに第1プルロール78Aと第2プルロール78Bとのニップにより保持される。これにより、カット時のシートが前方に引っ張られることが防止されるとともに張力変動を効果的に吸収でき、カット時におけるシートのばたつきが防止される。
さらに、ナイフロール72によりカットされたシートS4はベッドロールの吸引機構により保持されつつ搬送され、さらにベッドロールによって後段のロールへと搬送される。
【0171】
本機構部例2におけるベッドロールの直近後段のロールは、ベッドロール71より遅い速度で回転する遅延ロール79Aである。
【0172】
ここで、本機構部例2では、ベッドロール71と遅延ロール79Aのニップ位置よりも、ベッドロール71の進行方向側で所定間隔離れた位置にニップロール79Bが存在し、これらニップロール71と遅延ロール79Aとニップロール79BとによってシートS4を挟持可能に位置構成されている。かかる構成のうえ、ベッドロール71から遅延ロール79Aにシートを受け渡す際に、まずシートS4の回転方向前縁部がベッドロール71から遅延ロールに受け渡され、回転方向後縁部は一旦ニップロール79Bに移動されたのち、順次遅延ロール79Aとでニップするように構成されている。
【0173】
そして、前記回転方向後縁部がベッドロール71からニップロール79B経由で遅延ロール79Aに受け渡される際その位置には、後続のシートS4の回転方向前縁部がすでにベッドロール71から遅延ロール79Aに受け渡されており、これによって遅延ロール79A上において、先のシートの回転方向後縁部の下方に、後のシートの回転方向先端側縁部が位置して重なり合った(ラップされた)状態となる。
【0174】
遅延ロール79Aの後段には、ラップされたシートが搬送されるラップロール73Aが存在し、重ね合わされたシートを進行させ、カウントロール73Bとともに後段のフォールディングロール75,75へと移送する。図示例においては、ラップロール73Aとフォールディングロール75,75の途中には一対の抑えロールR,Rが位置し、これらの間を通過するように構成されている。
【0175】
フォールディングロール75,75は同様の構成のものが近接して一対二つ配され、前記一部重ね合わされたシート群はこの近接部分に上方から移送される。本例のフォールディングロール75,75は、各ロール75,75にシートを保持するグリップ機構(摘み機構)とタッカー機構と具備するシート保持機構を有し、一部重ね合わされて送られてくるシートS4のシート前縁部及びシート後縁部を当該近接位置において一枚おきに、対となるドールディングロールが交互にそのシート保持機構により保持し開放しつつ下方に移送する。
【0176】
この各ロールのシートの搬送と所定位置における当該縁部の挟持・開放により、各フォールディングロール間の下方にティシュペーパー束が形成される。
【0177】
以上の本機構部例2においては、遅延ロールとニップロールとベッドロールによるシートの一部重ね合わせにより高速化が達成できる。また、第1の機構部例と同様に、カットと折畳み、シートの重ね合わせが別工程となるためシートのばたつきが防止されるとともに、確実にシートをロール表面に保持することができる。
【0178】
もちろん、本機構部例2においても、各ロールはサーボ機構により制御し、ラップロール、ベッドロールにおける吸引力をも強くすることができる。また、各ロールにおけるバキューム孔の位置についても第1の機構部例と同様に、適宜シートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に設けることができるし、望ましい。
以上より本機構部例2も高速化が可能である。
【0179】
《ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例3》
高速化に適するロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例3を
図25に示す。
この機構部例3は、折り畳み機構部例1と同様に別々の二次連続シートS3を互に折り畳むように構成される。本例では各ロール群は左右一対あるので共通する点については一方のみについて説明する(図においてはフォールディングロール25以外のロールについては一方のみを図示する)。
【0180】
まず、本折り畳み機構部例3においては、二次連続シートS3は、第1プルロール78Aに搬送され、さらに第2プルロール78Bへと引き込まれ、さらに第2プルロール78Bからナイフロール72に受け渡される。
【0181】
次に、ナイフロール72では、二次連続シートS3がバキュームによって吸引保持され、さらに後段の移送ロール71Aに受け渡される。
ナイフロール72はブレード72a、72b、72cを含み、これらのブレードは各々上位に位置するアンビルバー72xと接し、連続シートをカットする。
【0182】
また、ナイフロール72から移送ロール71Aへの受け渡しは、バキュームの吸引差により行われる。さらに、移送ロール71AにおいてはシートS4の回転方向前縁部を保持する溝部71bが設けられており、シートS4の回転方向前縁部は、この溝部に位置されて確実に保持される。これにより、シートS4の切断と保持が行われる。
【0183】
さらに、本例の折り畳み機構部例3では、ナイフロール72に設けられた複数のカッター刃間に溝部72aが形成されているとともに、前記移送ロール71Aに突起部71cが形成されており、前記溝部72aに突起部71cが入りこむことでシートS4に折筋を形成するように構成されている。
【0184】
次に、シートS4は移送ロール71Aからフォールディングロール75へと移送される。この移送は、バキュームによって行われる。移送ロール71Aからフォールディングロールへ75のシートの移送については、移送ロール71Aの溝71cに位置されているシートSの縁部がタッカー機構及びバキュームによってフォールディングロール75に移送される。
【0185】
また、フォールディングロール75には周縁に溝部75aを有し、そこにグリップ機構(摘み機構)が形成されている。そして、移送ロール71Aの突起部71cはフォールディングロール75の溝部75cに入りこむようにロールの大きさ位置関係に形成されている。これにより、移送ロール71Aの突起部71c上に位置するシート部位(ナイフロールの溝部とで折り筋が形成されている部分)がフォールディングロール75の溝部75aに入りこみ、そのときにグリップ機構によって当該部位が保持される。
【0186】
そしてフォールディングロール75は、その部位を保持しつつ回転し、所定位置でシート縁部の解放と当該部位の解放を行う。この所定位置は、対となるフォールディングロール75,75との関係で定まる。例えば、対となるフォールディングロールと最近接位置においてグリップ機構を解放する。そのとき、対となるフォールディングロールはシート縁部の解放を行う。このような対となるフォールディングロールの近接位置における折り部と縁部との解放を交互に行うことで、対となるフォールディングロール75,75の近接位置の下方にティシュペーパー束が形成される。
【0187】
本機構部例3では、折り筋の形成及びシート縁部の把持・開放、さらに折りと連続シートの切断の非連続性、フォールディングロール、移送ロールにおける吸引能力の強化の達成により高速化が可能である。もちろん、本機構部例においても各ロールをサーボ機構によりその周速を調整する。また、ロールにおけるバキューム孔の位置についても第1の機構部例と同様に、適宜シートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に設ける。
なお、加工速度など他の点については第1及び第2の機構部例と同様である。
【0188】
《ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例4》
次いで、高速化に適するロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例4を
図26及び
図27を参照しながら説明する。
【0189】
この機構部例4は、前記バキューム孔271Aがシートの前端部分、後端部分、バキューム孔271Bがそれらの中間部分に設けられている。そしてこれらのバキューム孔271A,271Bの回転に伴って吸引(負圧)を付与するバキューム領域270A、270Bが2つあり、それらバキューム領域の一つ270AはカットシートS4の前後端部の吸引孔271Aに、もう一つ270BはカットシートS4の前後端部の中間のバキューム孔に連通している。これら各バキューム領域間の吸引力制御と各ロールのサーボ機構による周速調整により、フォールディングロール上におけるシートの吸引保持を制御でき、カット時、移送時のシートズレが防止され、さらにシートの折り精度が高められている。
【0190】
なお、各バキューム領域270A,270Bとバキューム孔271A,271Bとの関係は、特に
図27に示すとおりであり、各バキューム孔271A,271Bがフォールディングロール75内のバキューム路272A,272Bを介して、フォールディングロール75の端面部分に設けられたバキューム領域270A,270Bに連通するように構成され、さらに各バキューム領域270A,270Bが真空ポンプなどの真空源に連結されている。
【0191】
すなわち、高速化達成のためにバキューム制御を精密にすべくバキューム路272A,272Bを増加させ(図示例では
図30の旧式3路に対して6路に増加)る。なお、これにともなって内部空洞容積が増加し、また、高速運転ではシートの遠心力や風の煽りによりシートがずれる心配があるため、真空ポンプの能力は従来よりも強くする必要があるが、本発明では、バキューム制御を精密に行えるため十分に対応できる。
【0192】
制御を精密にするためには、例えば、真空源を各フォールディングロール毎に設ければ、吸引力の調整、吸引力の向上が達成できる。さらに、真空源をバキューム領域毎に設ければより一層吸引操作を精密に操作することが可能となる。
【0193】
なお、特に図示しないが、フォールディングロールが互いに組み合う部分でシートセンター部をジョーピースにより掴み、交互に各フォールディングロール側に引き寄せて互いに折り込みつつ積み重ね、ジョーピースを開放すると同時に、フォールディングバーによって交互にシートをフォールディングロールから引き落とすなどの周知の技術を用いることによって、ティシュー製品を製造することができる。
なお、フォールディングロール75の端面に回転に対応するバキューム領域271A,271Bを形成するにあたっては、既知のメカニカルバルブ機構を採用できる。
【0194】
なお、本機構部例4を採用することで、旧式ロータリー式インターフォルダに対する明確な有利な点となる真空度については、具体的には、マイナス10〜20kPaであり、真空ポンプ能力は、旧来の8.5m
3/分×200Hg×1910RPM×80Aの1.5〜2倍程度に引き上げることが可能である。これによりシートの保持性が高められる。
【0195】
なお、バキューム孔の配置は適宜の設計事項であるが、直径5mm程度、フォールディングロールの幅方向に15〜20mm間隔で設ければよい。
【0196】
また、メカニカルバルブ機構は、耐磨耗性のよい樹脂、セラミック製でオンジナオイル等の潤滑剤を使用するのが望ましい。
【0197】
さらに、メカニカルバルブ(バキューム領域形成部)をフォールディングロール両端部毎に複数個として、バキューム制御を精密に制御すればより高速化が達成できる。
【0198】
以上の構成の機構部例4によっても高速稼働が可能となり、本発明の2段階塗工を有利なものとすることができる。
【0199】
《ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例6》
高速化に適するロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例6を
図28を参照しながら説明する。本機構部例は、本機構部例6もフォールディングロール上でシートをカットする例である。本機構部例6では、機構部例5に対して第1プルロール78Aと第2プルロール78Bとを設けて、シートカット時のテンションコントロールを精密にしたものである。なお、図示例では、フォールディングバーを具備する形態ではなく、第1から第4の機構部例と同様に掴み機構によるシート縁部の把持・開放による折畳みを行なう形態となっている。もちろんフォールディングバーを採用することもできる。
【0200】
本機構部例6のその他の構成は、機構部例5と同様である。本機構部例6は、機構部例5の構造によってバキューム制御が精密となりまたバキューム力を向上させることが可能であることからプルロール78A,78Bによってシートカット時のテンションコントロールをより精密に行えるようにしたものである。
【0201】
なお、本機構部例6においては、
図29に示すように、さらにフォールディングロール75,75とカッター刃72C,72Cによってシートをカットする際に二次連続シートS3の進行方向前端をフォールディングロール75とプレッシャーロール76とで挟持する。本機構部例6では、シートカット時における安定性が高まり高速化がより達成しやすくなる。
【0202】
《ロータリー式インターフォルダの高速化》
以上、高速化に適するロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部例を述べたが、本発明のロータリー式インターフォルダはこの例に限定されない。もちろん、本発明の範囲において上記各例において相互に構成を変更してもよい。例えば、折畳み機構例4においてグリップ機構、カッター機構を採用することもできるし、折畳み機構例2や3において真空源、バキューム領域を適当数もうけてそれらを制御してもよい。
【0203】
すなわち、本発明において、ロータリー式インターフォルダを高速化するには、折り畳み機構部を以下のように構成するのが望ましい。
【0204】
まず、ナイフロール等でシートがカットされる時点およびそれ以降、シートを各ロール表面に備わっているバキューム孔(真空吸引口)により保持しつつ、各ロールを回転させるにあたって、各ロールの駆動をサーボモータにより行い、その速度を調整制御する。
例えば、増減速時のナイフロール等でのカット時のシートテンションコントロールを各シートの伸び易さや引張り強度に合わせを行う。
【0205】
このように、サーボモータなどにより各ロールの周速を各々電子制御により調整することにより、シートの張力に合わせ周速差を変更することができ、これによりシートを保持、受け渡しタイミング等を常に一定に保つことが可能となり高速化することが可能となる。
これは、ロール数が多い構成を採る折り畳み機構部の場合に特に有効である。
【0206】
次に、ナイフロールやカッター刃を用いてシートのカットをするように構成するとともに、プレッシャーロールやプルロールを設置し、シートカット時に二次連続シートの一部を保持するように構成する。これにより、シートカット時のシートズレが防止され高速化することが可能となる。さらに、サーボモータと組み合わせ、ナイフロールでシートがカットされる時点で、サーボモータにより各ロールとの周速差を的確に調整すればより一層の高速化が可能となる。また、バキューム孔によるシート保持と併用すればよりシートテンションを的確にコントロールでき高速運転が可能になる。
【0207】
次に、ナイフロール等でシートがカットされた時点以降、折り畳まれる直前まで、バキューム等によりカットされたシートをロール上に貼りつくようにロールからロールへ搬送することで、シートのずれがなく、高速にきれいに折り畳むことが可能となる。(シートをオーバーラップさせる場合でも、カットシートの前後端部は保持され、その他のほとんどの部分はロールに接しシートの形成は一定である。)
【0208】
次に、ニップ間隔の長い中間ロール(移送ロール、遅延ロール、ラップロールや機構部例4、5のフォールディングロール)はバキューム孔を複数設け、さらにバキューム領域や真空源を2つ以上とし、カットシートの前後端部、カットシートの前後端部の間の吸引力を制御する。例えば、均等にMD方向3点で、CD方向に径数mmのバキューム孔(真空吸引口)を均等に5〜30個/100〜200mm間隔配置すると、遠心力や回転による風で位置ずれが生じず、また、ロール間のカットシートの受け渡し精度が高まり高速化が可能となる。
【0209】
合わせて、機構部例1、2のように前後シートの一部を重ね合わせる構成を採用することでも高速化が可能となる。
【0210】
<コンタクトエンボス>
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、シート(プライ)の剥離をし難くするコンタクトエンボス加工を施すことができる。
このコンタクトエンボスは、上記ロータリー式インターフォルダにおいて、適宜の位置、例えば、ナイフロール72のカットの直前においてエンボス凸部を有するエンボスロールと対をなすゴムロール等のエンボス受けロールを設けて付与することができる。
【0211】
このコンタクトエンボスにおける具体的なエンボスパターンは特に限定されない。例えば、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状の単位エンボス群からなるエンボスを、適宜連続シートの幅方向(カット後はこれに対応する方向)に線状に配置すればよい。
【0212】
単位エンボス群の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、コンタクトエンボスは1列に配置してもよいし、2列以上の複数列配置することも考えられる。なお、コンタクトエンボスは、かかるエンボスロールによる機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合してもよい。
【0213】
〔裁断工程〕
以上のようにして形成された二次原反ロール幅或いは幅方向縁部がトリムされた二次連続シートS3の幅の薬液含有の長尺ティシュペーパー束10Cは、適宜の裁断工程(図示されない)ティシュペーパー製品の幅に裁断(切断)されてティシュペーパー束とされる。
【0214】
〔スリット工程〕
なお、本発明のティシュペーパー製品の製造方法においては、
図22及
図23に例示すとおり、ナイフロール72の前段であって主薬液
塗工工程の後段にスリット手段77を設けて、ナイフロールによる二次連続シートの幅方向のカットに先立って、ティシュペーパー製品の幅に二次連連続シートS3をスリットしてもよい。スリット工程を行なうスリット手段は、二次連続シートS3の幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各二次連続シートS3は折畳みベッドロール移行に供給して折畳みを行なえば、後述する裁断工程が不要になり生産性は向上する。
【0215】
『収納工程』
ティシュペーパー束の収納箱への収納例について説明する。なお、ティシュペーパー束の収納箱への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
【0216】
裁断工程によって裁断されて形成されたティシュペーパー束は、
図24に示すように、ロータリー式インターフォルダX4の後段の収納設備において収納箱2に収納される。
【0217】
具体的には、上述の上面2U、底面及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するようにインターフォルダX4から送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0218】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
この接着によって本発明のティシュペーパー製品X1の製造は完了する。
【0219】
なお、本発明にかかるロータリー式インターフォルダにより製造したティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー1の紙の方向は、図示のとおり、ティシュペーパー1の折り畳み部の延在方向に沿って横方向(CD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って縦方向(MD方向)となる。
【0220】
したがって、上述のように収納箱2に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品X1は、
図2に示すように、ティシュペーパー1を収納箱2から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの縦方向(MD方向)と沿うようになっている。
【実施例】
【0221】
本発明の実施例、比較例について紙粉の発生に関して評価したので説明する。比較例は、二次連続シートに一段塗工で塗工する態様で操業したものである。また、本発明の実施例、比較例により製造された製品と、市販品(参考例)との品質の比較をも行なった。
【0222】
品質の評価は、やらかさ、なめらかさ、厚み感、しっとり感、べたつき感を官能評価で評価した。
【0223】
試験に用いた試料の物性・組成などは下記の表中に記載されるとおりである。
なお、表1〜表5中の各実施例の相違は、薬液塗工量である。
【0224】
<紙粉堆積の試験・評価方法>
紙粉堆積の試験・評価方法は以下のとおりである。
二次連続シートを84,000m加工した後にフォールディングロール表面を目視で観察し評価する。評価する前には高速ロータリー式インターフォルダの各ロール及び各掴み部を含む全設備を拭き取り掃除し紙粉を取り除いておく。
《評価基準》
◎:『紙粉が全くフォールディングロール表面に付着、堆積していない。』
○:『わずかに紙粉の付着は見られるが、堆積はしていない。』
△:『紙粉がロール表面に白く付着している。』
×:『紙粉がロール表面に堆積し、一部紙粉の塊が脱落した跡が見られる』
【0225】
<紙粉発生評価法>
84000mを運転後にフォールディングロール表面を目視で4段階評価
◎:紙粉の付着がまったく見られない
○:紙粉の付着がやや認められる
△:紙粉が堆積し紙粉の層を形成している
×:堆積した紙粉の一部が落下した
【0226】
<しわ、たるみ評価法>
84000mを運転中に1段目塗布後から2段目塗布までのシートラン、加工したシートを目視で4段階評価
◎:シートにたるみ、しわはまったくない
○:ややシートにたるみ、しわは見られるものの、操業に支障はない
△:シートにたるみ、しわが頻繁に見られカットシートにしわが入る
×:シートのたるみにより、カット不良、断紙が発生する
【0227】
【表1】
【0228】
【表2】
【0229】
【表3】
【0230】
【表4】
【0231】
【表5】
【0232】
【表6】
【0233】
【表7】
【0234】
【表8】
【0235】
【表9】
【0236】
【表10】
【0237】
表中の操業性の欄をみてみると、本発明の2段塗工では、紙粉堆積や断紙が発生していないのに対して、比較例ではトラブルが確認され、本願発明が特有の効果を奏することが確認された。また、製造される製品の品質面においても、十分高品質なものであることが確認できた。