【実施例1】
【0017】
本発明の一実施形態による梱包材3およびこれを使用して得た梱包体1について、
図1ないし
図3を参照して詳述する。この実施形態による梱包体1は、長尺長さ2186mm、短尺長さ316mm、厚さ78mmの床材を6枚積層した床材積層体を被梱包物2として梱包材3で梱包し、一定の間隔で結束バンド4で結束することによって構成される。
【0018】
梱包材3は、6枚の床材積層体である被梱包物2の四周側面(木口面)を包囲する側面被覆片31と、被梱包物2の表裏両面において側面被覆片31の一対の長尺側折曲縁31aからそれぞれ内方に折り曲げられる長尺側折曲片32と、被梱包物2の表裏両面において側面被覆片31の一対の短尺側折曲縁31bからそれぞれ内方に折り曲げられる短尺側折曲片33とを有する。そして、被梱包物2の側面を側面被覆片31で包囲した状態にして、その表裏両面において、長尺側折曲縁31aに沿って長尺側折曲片32を内方に折り曲げると共に短尺側折曲縁31bに沿って短尺側折曲片33を内方に折り曲げてそれぞれ床材2の表裏両面に沿わせて梱包した後、結束バンド4で結束して、梱包体1を得る。被梱包物2の表裏両面四隅の角部では、長尺側折曲片32を短尺側折曲片33の上に折り重ねた状態(
図1,
図2)とする。
【0019】
この実施形態では、梱包材3の厚さが3mmであり、長尺側折曲片32と短尺側折曲片33はいずれも49mmの折曲長さを有している。したがって、被梱包物2の表裏両面には、長尺側折曲片32および短尺側折曲片33によって被覆されていない開放部分34が残されており、この開放部分34では床材の表裏面が露出している。
【0020】
短尺側折曲片33にはその長さ方向(梱包体1の短尺長さ方向)の両端近くにそれぞれ一つの通気口35が形成されている。通気口35は、上述のようにして被梱包物2の表裏両面において四隅角部で長尺側折曲片32が短尺側折曲片33の上に折り重ねた状態としたときに、通気口35の一部が長尺側折曲片32によって被覆ないし閉塞される位置に形成される。この実施形態において、通気口35の形状は、
図3に示すように、短尺側折曲片33の長さ方向に略平行である長軸線の一方側に描かれる径をr1とする第一の円弧縁35aと、該長軸線の他方側に描かれる径をr2(<r1)とする第二の円弧縁35bとからなる変形楕円形状を有し、短尺側折曲縁31bの側に第一の円弧縁35aが位置するように形成されている。
【0021】
本発明者は、通気口35の形状および位置について様々な実施例を試作して試験を行った。まず、通気口の形状として、下記4つの形状を試験対象とした。なお、通気口35の長軸の長さb=30mm、梱包材3の側面被覆片31の短尺側折曲縁31aから通気口35までの距離c=8mmについては試験対象A〜Dに共通とした。
A:
図3に示す変形楕円形状の通気口35を、その第一の円弧縁35aが短尺側折曲縁31bの側に位置するように形成した。
B:矩形状の通気口を、その長辺が短尺側折曲縁31bの側に位置するように形成した。
C:半円形状の通気口を、その直径の直線が短尺側折曲縁31bの側に位置するように形成した。
D:楕円形状の通気口を、その長軸が短尺側折曲縁31bと平行になるように形成した。
【0022】
これらの試験対象について、長尺側折曲片32によって覆われる通気口の面積を0〜100%の範囲で10%ずつ変化させて通気口形成位置を異なるものとしてそれぞれ11種類の梱包体を作製し、高さ100cmから5回自由落下させて、空気の抜けの状態を目視評価すると共に、通気口の周縁における梱包材3の膨れや捲れ、亀裂などの形状変化の有無を目視評価した。これらの結果を
図4に示す。
【0023】
通気口形状Aについては、通気口被覆割合が0%(長尺側折曲片32の折り曲げ先端縁が通気口35まで達していない場合)および10%と小さい場合であっても、落下衝突時の空気の圧力によっても梱包材3に破損や膨れなどの外傷が生ずることはなかったが、通気口35の周縁、特に短尺側折曲縁31bの側に位置する第一の円弧縁35aが波打つように若干の膨れを生ずるものがあった。一方、通気口被覆割合が50%になると、落下衝突時に梱包体1の内部の空気に押されて梱包材3の角部に膨れを起こすものが見られた。この傾向は通気口被覆割合がさらに大きくなると顕著になり、60〜100%になると角部が破損してしまうものもあった。これに対し、通気口被覆割合を20〜40%とした場合は、落下衝突によっても梱包材3の形状に変化は見られず、通気口35から良好に空気抜けが行われたことが確認された。また、通気口周縁の形状も良好に維持され、梱包材角部の膨れや破損もなかった。
【0024】
通気口形状Bについては、通気口被覆割合が0%および10%の場合、落下衝突時の空気の圧力によっても梱包材3に破損や膨れなどの外傷が生ずることはなかったが、通気口の矩形状の角部に亀裂が入り、梱包材3が破れてしまい、短尺側折曲縁31b側の長辺が捲れ上がってしまった。通気口被覆割合を20%としたものは、落下衝突によっても梱包材3の形状に変化は見られず、通気口35からの空気抜けが良好に行われたことが確認された。また、長尺側折曲片32に覆われずに露出している通気口部分の短尺側折曲縁31b側の長辺や梱包材3の縁が多少波打つように膨れたものの、梱包が外れるようなことはなかった。一方、通気口被覆割合が50%以上になると、落下衝突時に梱包体1の内部の空気に押されて梱包材3の角部に膨れや破損を起こすものが見られた。これに対し、通気口被覆割合を30〜40%とした場合は、落下衝突によっても梱包材3の形状に変化は見られず、通気口35からの空気抜けが良好に行われたことが確認された。また、通気口周縁の形状も良好に維持され、梱包材角部の膨れや破損もなかった。
【0025】
通気口形状Cについての結果は実施例2とほぼ同様であった。すなわち、通気口被覆割合が0%および10%の場合は、落下衝突時の空気の圧力によっても梱包材3に破損や膨れなどの外傷が生ずることはなかったが、半円形状の通気口の直径と円弧とがなす角部に亀裂が入り、短尺側折曲縁31b側の長辺が捲れ上がってしまうものがあった。通気口被覆割合を20%としたものは、落下衝突によっても梱包材3の形状に変化は見られず、通気口35からの空気抜けが良好に行われたことが確認され、また、長尺側折曲片32に覆われずに露出している通気口の短尺側折曲縁31b側の直線や円弧との角部に多少の波打ち状の膨れが見られたものの、梱包が外れるようなことはなかった。一方、通気口被覆割合が50%以上になると、落下衝突時に梱包体1の内部の空気に押されて梱包材3の角部に膨れや破損を起こすものが見られた。これに対し、通気口被覆割合を30〜40%とした場合は、落下衝突によっても梱包材3の形状に変化は見られず、通気口35からの空気抜けが良好に行われたことが確認された。また、通気口周縁の形状も良好に維持され、梱包材角部の膨れや破損もなかった。
【0026】
通気口形状Dについては、通気口が長尺側折曲片32によって塞がれない位置に形成した場合(被覆割合0%)、空気の抜けが良好に行われ、梱包材3の角部が破れたり膨れたりすることはなかったが、空気が通気口を抜ける際の圧力によって通気口の周縁、特に短尺側折曲縁31bの側に位置する長径楕円弧縁や、長尺側折曲片32によって塞がれていない内側の短径楕円弧縁において膨れが生じた。通気口被覆割合を10%とした場合、同様に空気の抜けは良好であり梱包材3に特に形状変化は見られなかったが、空気が通気口を抜ける際の圧力によって短尺側折曲縁31bの側に位置する長径楕円弧縁や長尺側折曲片32によって塞がれていない内側の短径楕円弧縁に膨れを起こしたものがあった。通気口被覆割合を20%としたものは、同様に空気の抜けは良好であり梱包材に特に形状変化は見られず、また、短尺側折曲縁31bの側に位置する長径楕円弧縁や長尺側折曲片32によって塞がれていない内側の短径楕円弧縁に僅かながら波打ち状の膨れが見られたものの、破れや捲れを生ずるには至らず、梱包が外れるようなこともなかった。一方、通気口被覆割合が50%以上になると、落下衝突時に梱包体1の内部の空気に押されて梱包材3の角部に膨れや破損を起こすものが見られた。これに対し、通気口被覆割合を30〜40%とした場合は、落下衝突によっても梱包材3に形状変化は見られず、通気口35からの空気抜けが良好に行われたことが確認された。また、通気口周縁の形状も良好に維持され、梱包材角部の膨れや破損もなかった。
【0027】
以上により、通気口35が長尺側折曲片32によって被覆される面積割合は、通気口形状にかかわらず、20〜40%とすることが好ましく、これによって、梱包体の積載の際に放り投げるようにして積み上げた場合であっても、通気口35からの空気抜けが良好に行われ、梱包材3の角部における破損や亀裂を防止すると共に、通気口35の周縁での膨れや捲れを抑制する効果が得られることが実証された。通気口35の周縁が膨れると、その分だけ梱包がずれて緩んでしまい、最悪の場合には梱包が外れてしまうことがあるが、膨れが抑制されることによってそのような不具合の発生を防止することができる。また、通気口35の周縁が捲れ上がると、その上に別の梱包体をスライドさせながら積載するときに該周縁の捲れが引っ掛かり、その引っ掛かり部分から梱包材が破けてしまう恐れがあるが、捲れが抑制されることによってそのような不具合の発生を防止することができる。
【0028】
通気口35の形状については、本実施形態で採用したAの形状が特に好ましい。B,Cのように通気口の内周に鋭利な角部を有する形状の場合、通気口から抜け出ようとする空気によって通気口の周縁に圧力がかかったときに、角部付近で膨れや亀裂を生じやすくなる。また、変形楕円形状とした通気口形状Aと楕円形状とした通気口形状Dとを比較すると、通気口被覆割合20%のときに、Dの形状のものは短尺側折曲縁31b側に位置する周縁に僅かながら波打ち状の膨れが見られたが、Aの形状のものは短尺側折曲縁31b側に位置する周縁(第一の円弧縁35a)にも全く膨れや捲れが生じなかった。これは、梱包体内部の空気(被梱包物2の側面と梱包材3の側面被覆片31との間に存在する空気)は梱包体積載の際に勢い良く上下(厚さ方向)に流動した後に通気口35から放出されるので、通気口の周縁のうち最も側面被覆片31に近い部分、すなわち短尺側折曲縁31b側の周縁部分が空気の抵抗を最も受けやすくなる。通気口形状AとDとを比較すると、Aの場合は短尺側折曲縁31b側の周縁部分(第一の円弧縁35a)が反対側の周縁部分(第二の円弧縁35b)よりも大径であるのに対して、Dの場合は短尺側折曲縁31b側と反対側とが対象的な周縁形状を有する。したがって、長軸長さ(b)を同一にしてこれら形状の通気口を形成した場合、DよりもAの方が短尺側折曲縁31b側で大きく開口することになる。このことが、積載時の空気の抜けを良好にし、短尺側折曲縁31b側の通気口周縁の膨れや捲れをより効果的に抑制する上で有意に働いているものと考えられる。
【0029】
このことをさらに確認するために次の試験を行った。通気口形状として、前記形状AおよびDに加えて、次に示すEの形状を試験対象とした。前述の試験と同様、通気口形状Eについても、通気口35の長軸の長さ(b)=30mm、梱包材3の側面被覆片31の短尺側折曲縁31aから通気口35までの距離(c)=8mmとして、形状A,Dと共通とした。また、長尺側折曲片32の長さ(a)の折曲先端領域によって被覆される通気口被覆割合は20%で共通とした。これら通気口形状A,D,Eの梱包材によって得た梱包体を、前述の試験と同様に、高さ100cmから5回自由落下させて、通気口の短尺側折曲縁31a側の周縁と反対側の周縁とで、梱包材3の膨れや捲れ、亀裂などの形状変化の有無を目視評価した。この結果を
図5に示す。
E:
図3に示すと略同様の変形楕円形状の通気口35を、形状Aとは逆向きに、その第二の円弧縁35bが短尺側折曲縁31bの側に位置するように形成した。
【0030】
通気口形状AとDについての試験結果は前述の通りである。通気口形状Aの場合は、短尺側折曲縁31a側の周縁(第一の円弧縁35a)にも反対側の周縁(第二の円弧縁35b)にも落下衝突によっても梱包材3の形状に変化は見られ膨れや捲れなどの形状変化は見られず、通気口形状Dの場合は、短尺側折曲縁31bの側に位置する長径楕円弧縁おいて僅かながら波打ち状の膨れが見られたものの、破れや捲れを生ずるには至らず、梱包が外れるようなこともなかった。これに対し、新たに試験対象とした通気口形状Eの場合は、両側の周縁で膨れが生じた。この結果により、短尺側折曲縁31a側の周縁(第一の円弧縁35a)が反対側の周縁(第二の円弧縁35b)より大きな径を持つようにして変形楕円形状の通気口35を形成することで、通気口35から勢い良く噴出する空気によっても膨れや捲れを生じさせず、通気口35の形状を良好に維持することができることが確認された。
【0031】
なお、図示実施形態では梱包体1の表裏両面において短尺側折曲片33の長さ方向両端付近に通気口35が形成され、短尺側折曲片33の上に折り重ねられる長尺側折曲片32によって該通気口35の一部を被覆ないし閉塞するように構成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、梱包体1の表裏いずれか一方の面において短尺側折曲片33の長さ方向両端付近に通気口35が形成され、その一部が該短尺側折曲片33の上に折り重ねられる長尺側折曲片32によって被覆ないし閉塞されるものであっても良い。この場合、短尺側折曲片33に通気口35が形成されない面においては、長尺側折曲片32と短尺側折曲片33との折り重ね状態は限定的ではなく、通気口形成側の面と同様に長尺側折曲片32が短尺側折曲片33の上に折り重ねられるものであっても良いし、反対に長尺側折曲片32の上に短尺側折曲片33が折り重ねられるものであっても良く、あるいはこれら折曲片の端部をカットして折り重ねが生じないようにしても良い。また、短尺側折曲片33の長さ方向一端付近に一つの通気口35が形成され、その一部が長尺側折曲片32によって被覆ないし閉塞されていても良い。これらの変形態様も本発明の範囲内である。