(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のスライド抑制機構部は、前記可動支柱が下限位置に位置しているときに、この可動支柱を係止する第1のストッパである、請求項1、または2に記載のゲート装置。
電源供給時に、前記可動支柱を上下方向にスライドする駆動力を発生し、電源供給停止時に回転を制限する回生ブレーキが作用するモータを備えている、請求項1〜3のいずれかに記載のゲート装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、列車の種類によって、1つの車両(1車両)に設けられている車両ドアの個数が異なっている。また、車両の長さも、種類によって異なっている。すなわち、車両ドアの間隔が、列車の種類によって異なっている。
【0006】
落下防止柵は、上述したように、駅ホームに停車した列車に乗降する乗降客の通路が確保できなければならない。言い換えれば、落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する全ての列車について、車両ドアに対向する位置がスライドドア、または可動柵によって開閉されなければならない。
【0007】
特許文献1の落下防止柵は、スライドドアを開したときに、このスライドドアを収納する戸袋が必用である。この戸袋を設けるスペースが、スライドドアの幅や、スライドドアの間隔等を制限する。このため、停車する列車の種類が多い駅ホームの場合、全ての種類の列車について、スライドドアを、各種列車の車両ドアに対向させることが困難であった。また、ダイヤ改正等によって、新たに別の種類の列車が駅ホームに停車することになった場合、この列車の車両ドアと、スライドドアと、が対向しないこともある。
【0008】
このように、駅ホームに停車する列車によって、適用可能な範囲が制限されたり、設置している落下防止柵によって停車可能な列車の種類が制限される(ダイヤ改正等を制限する。)等の問題があった。
【0009】
また、特許文献2の構成では、可動柵を上下方向にスライドさせるので、特許文献1の構成のように戸袋を必用としない。したがって、この可動柵の幅の長さがある程度自由に設定できる。このため、上述した特許文献1のような問題は抑えられる。しかし、この可動柵を上下方向にスライドさせるために2〜3m程度の高さの支柱を駅ホームに立設しなければならない。一方で、地下鉄の駅ホームの場合には、天井の高さによって、立設できる支柱の高さが制限されるという問題がある。
【0010】
また、落下防止柵は、駅ホームにおける乗降客の安全を確保するために、異常発生時に、周辺にいる乗降客が手動で簡単に開することができるのが望ましい。
【0011】
この発明の目的は、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、異常発生時における、周辺にいる人の安全性を向上させたゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のゲート装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために以下の構成を備えている。
【0013】
固定支柱は、入出口の両側のそれぞれに立設している。可動支柱は、固定支柱毎に、この固定支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。さらに、
上側制止バーおよび下側制止バーを、上下方向に並べて2本の可動支柱間に掛け渡している。
上側制止バーは、可動支柱に固定しており、下側制止バーは、可動支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。
【0014】
このため、可動支柱を下限に下げているときに、
上側制止バーおよび下側制止バーが適当な間隔で上下方向に並んで数十cm〜1m程度の高さに位置し、可動支柱を上限まで上げているときに、
上側制止バーおよび下側制止バーが2m程度の高さに達するようにしても、固定支柱、および可動支柱の高さが押えられる。したがって、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられる。特に、駅ホームに適用する場合に、停車する列車の種類による制限や、駅ホームの天井高さ等の環境による影響が十分に抑えられる。
【0016】
また、固定支柱は、内部に、スライド自在に取り付けている可動支柱に対して上方に引き上げる付勢力を作用させる第1のバランサと、スライド自在に取り付けている可動支柱が下限位置に位置しているときに、この可動支柱が第1のバランサによる付勢力によって上方にスライドするのを抑制する第1のスライド抑制機構部と、を備えている。固定支柱に対して可動支柱が自然に上方にスライドしないように、第1のバランサと、第1のスライド抑制機構部とでバランスをとっている。
【0017】
第1のバランサは、例えば、一端を可動支柱に連結し、他端を錘や定荷重バネ等に連結したワイヤを、上方に取り付けた定滑車にかけた構成で、可動支柱に対して上方に引き上げる付勢力を作用させる。また、第1のスライド抑制機構部は、例えば、可動支柱、またはこの可動支柱に連結した部材等に半球形状の凹部を形成し、可動支柱が下限位置に位置しているときに、半球形状の凹部に嵌まる球状のストッパ部材を設けた構成にすればよい。また、このストッパ部材については、バネ等の弾性体を利用して、可動支柱側に付勢するのが好ましい。
【0018】
したがって、
上側制止バーや下側制止バー等を持って、可動支柱を上方に持ち上げる力を加えることで、第1のスライド抑制機構部による、可動支柱の上方へのスライドの抑制を解除でき、その後は、錘や定荷重バネ等によって生じる付勢力によって、可動支柱を簡単に上方にスライドさせることができる。
【0019】
したがって、異常発生時等に、周辺にいる人が、簡単に手動で可動支柱を上方にスライドさせて通路を確保することができる。これにより、異常発生時における、周辺にいる人の安全性の向上が図れる。
【0020】
また、
2本の可動支柱に対して上下方向にスライド自在に取り付け
ている下側制止バーについても、上述の可動支柱と同様に、スライド自在に取り付けている
下側制止バーに対して上方に引き上げる付勢力を作用させる第2のバランサと、スライド自在に取り付けている
下側制止バーが下限位置に位置しているときに、この
下側制止バーが第2のバランサによる付勢力によって上方にスライドするのを抑制する第2のスライド抑制機構部と、を設ければよい。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、適用可能な範囲が、設置する場所や、その環境による影響が抑えられ、且つ、周辺にいる人の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明にかかるゲート装置の実施形態について説明する。ここでは、駅ホームで列車を待っている乗客が駅ホームから線路内に落下するのを防止する落下防止柵を例にして説明する。
【0024】
図1は、駅ホームにおける落下防止柵の設置例を示す概略図である。
図1(A)は、駅ホームを上方から見た平面図であり、
図1(B)は、駅ホームの側端部を対向する側から見た平面図である。この落下防止柵は、
図1に示すように、駅ホームの側端部に沿って、適当な間隔(2m〜3m間隔)で設置した複数の可動柵1を有している。各可動柵1が、この発明で言うゲート装置に相当する。
【0025】
上述したように、列車は、その種類によって車両ドアの間隔が異なる。この落下防止柵は、設置した駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、可動柵1をこれらの列車の車両ドアに対向させるため、駅ホームに停車する列車の車両ドアの幅よりも広くしている。可動柵1を開することにより、列車に乗降する乗降客の通路を確保する。また、可動柵1を閉することにより、駅ホームにいる乗降客等が線路内に落ちるのを防止する。また、駅ホームにいる乗降客等が、隣接する可動柵1間から線路内に落ちるのを防止するために、固定バー2を隣接する可動柵1間に掛け渡している。
図1では、隣接する可動柵1間に、2本の固定バー2を上下に並べて掛け渡した例を示しているが、固定バー2の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0026】
なお、可動柵1は、駅ホームに停車する列車の種類毎に、その列車の車両ドアの全体が対向すればよく、列車ドアでない部分と対向する部分があっても、特に問題はない。
【0027】
図2は、列車の車両ドアに対向する駅ホーム側から見た平面図である。
図2は、可動柵が閉している状態(閉状態)である。
【0028】
この可動柵1は、2本の固定支柱11と、2本の可動支柱12と、2本の制止バー13、14と、を備えている。固定支柱11は、駅ホームの側端部に立設している。駅ホームには、固定支柱11の設置位置に台座が取り付けられている。2本の固定支柱11の間が、列車に乗降する乗降客の通路になる。言い換えれば、2本の固定支柱11は、駅ホームに停車する列車の種類に関係なく、各列車の車両ドアが対向する位置をカバーするように設置している。固定支柱11は、その高さが130〜150cm程度である。また、固定支柱11は、100kgf程度のもたれ荷重に耐える鋼材である。
【0029】
なお、制止バー13、14は、乗降客等の通行を制限することができればよく、ロープや、プレート等におきかえて構成してもよい。
【0030】
2本の可動支柱12は、固定支柱11毎に、その固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動支柱12は、固定支柱11の背面(線路側)に取り付けている。可動支柱12は、その高さが130cm程度の鋼材である。制止バー13、14は、2本の可動支柱12間に上下に並べて掛け渡している。上側に位置する制止バー13(以下、上側制止バー13と言うこともある。)は、可動支柱12の上端部付近に固定している。一方、下側に位置する制止バー14(以下、下側制止バー14と言うこともある。)は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。
【0031】
可動柵1が
図2に示す閉状態であるとき、上側制止バー13は駅ホームの上面から130cm程度の高さに位置し、下側制止バー14は駅ホームの上面から65cm程度の高さに位置する。制止バー13、14は、例えばその径が48mm、厚さ3.5mmのPC管である。下側制止バー14は、可動柵1が閉状態であるときに、幼児(2歳児の身長80〜90cm)や、車椅子利用者(車椅子の肘掛け高さ60cm程度)が、駅ホーム上面と、下側制止バー14との間を通って、線路に落ちるのを防止する高さである。また、下側制止バー14は、駅ホームにいる乗降客等が足を掛けにくい高さでもある。
【0032】
また、隣接する可動柵1間には、上述した2本の固定バー2を上下に並べて、固定支柱11に掛け渡している。下側の固定バー2は、駅ホームの上面から65cm程度の高さであり、上側の固定バー2は駅ホームの上面から130cm程度の高さである。固定バー2は、例えばその径が50mm、厚さ2mmのSUS管である。このように、固定バー2を固定支柱11に取り付けているので、固定バー2を取り付ける支柱を別途用意する必要がなく、駅ホームの美観を損なうことがないとともに、落下防止柵の設置コストを抑えることができる。
【0033】
図3は、この可動柵の主要部の構成を示すブロック図である。この可動柵1は、制御部50と、可動支柱駆動制御部51と、可動支柱駆動モータ52と、制止バー駆動制御部53と、制止バー駆動モータ54と、通信部55と、報知部56と、を備えている。
【0034】
制御部50は、可動柵1各部の動作を制御する。上述したように、可動柵1は、乗降客の通路の両側に固定支柱11を、設置しているとともに、この固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に可動支柱12を取り付けている。可動柵1は、固定支柱11毎に可動支柱駆動モータ52を設けている。可動支柱駆動制御部51は、制御部50からの指示にしたがって、2本の可動支柱12が略同じ高さで変位するように、2本の固定支柱11に設けている可動支柱駆動モータ52を連動して制御する。
【0035】
詳細については後述するが、固定支柱11は、上下方向に回転駆動される無端ベルトをその内部に張架している。可動支柱12は、固定支柱11の内部に設けた、無端ベルトに結合している。この無端ベルトは、可動支柱駆動モータ52の駆動力により回転駆動される。可動支柱12は、無端ベルトの回転にともない、固定支柱11に対して上下方向にスライドする。可動支柱駆動モータ52は、正方向(可動支柱12が上昇する方向)、および逆方向(可動支柱12が下降する方向)に回転できる。
【0036】
なお、可動支柱駆動制御部51は、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が下限位置にあること、および、固定支柱11に対する可動支柱12の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。また、可動支柱駆動モータ52に設けたエンコーダにより、可動支柱駆動モータ52の駆動量にともなう可動支柱12の変位量が得られる構成である。
【0037】
また、可動柵1は、2本の固定支柱11に対して上下方向にスライド自在に取り付けた可動支柱12間に、2本の制止バー13、14を掛け渡している。上側制止バー13は、上述したように、可動支柱12の上端部付近に固定している。また、下側制止バー14は、可動支柱12に対して上下方向にスライド自在に取り付けている。可動柵1は、可動支柱12毎に制止バー駆動モータ54を設けている。制止バー駆動制御部53は、制御部50からの指示にしたがって、下側制止バー14の両端が可動支柱12に対して略同じ高さで変位するように、2本の可動支柱12に設けている制止バー駆動モータ54を連動して制御する。
【0038】
詳細については後述するが、可動支柱12は、上下方向に回転駆動される無端ベルトをその内部に張架している。下側制止バー14は、この無端ベルトに連結している。この無端ベルトは、制止バー駆動モータ54の駆動力により回転駆動される。下側制止バー14は、無端ベルトの回転にともない、可動支柱12に対して上下方向にスライドする。制止バー駆動モータ54は、正方向(下側制止バー14が上昇する方向)、および逆方向(下側制止バー14が下降する方向)に回転できる。
【0039】
なお、上側制止バー13は、無端ベルトを張架する軸として利用している。また、制止バー駆動制御部53は、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が下限位置にあること、および、可動支柱12に対する下側制止バー14の位置が上限位置にあることを検出するセンサ(不図示)を有している。また、制止バー駆動モータ54に設けたエンコーダにより、制止バー駆動モータ54の駆動量にともなう下側制止バー14の変位量が得られる構成である。
【0040】
通信部55は、駅ホームに停車した列車や、駅務室に設置された管理装置等の上位装置との間における通信を制御する。列車との通信は、公知のトランスポンダを経由して行う。報知部56は、乗降客や、駅係員等に対して、音声等による警告報知を行う。
【0041】
次に、この可動柵1の開閉動作について簡単に説明しておく。
図4は、この可動柵の閉状態から、開状態状への変化を説明する図である。
【0042】
可動柵1は、通常、閉状態であり、駅ホームに列車が到着すると、開状態に移行する。そして、列車に対する乗降客の乗降が完了すると、閉状態に移行する。可動柵1が閉状態に移行した後、列車は発車する。
【0043】
可動柵1は、通信部55において開指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を上方にスライドする。
図4(A)は、可動柵1の閉状態を示している。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を上方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで上方にスライドする。また、可動支柱駆動モータ52は正回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が上限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(
図4(B)参照)。
【0044】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を上方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を上方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで上方にスライドする。また、制止バー駆動モータ54は正回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が上限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(
図4(C)参照)。この状態が、開状態である。この開状態であるとき、下側制止バー14は、駅ホームの上面から、2m程度の高さに位置する。
【0045】
次に、可動柵1の開状態から閉状態への状態変化について説明する。
図5は、可動柵の開状態から、閉状態への状態変化を説明する図である。
図5(A)は、
図4(C)と同様に、可動柵1の開状態を示している。
【0046】
可動柵1は、通信部55において閉指示を受信すると、可動支柱駆動制御部51が可動支柱駆動モータ52を駆動し、可動支柱12を下方にスライドする。このとき、可動支柱駆動制御部51は、可動支柱駆動モータ52の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、可動支柱12を下方にスライドする。例えば、可動支柱12を、40cm/sで下方にスライドする。また、可動支柱駆動モータ52は逆回転されている。可動支柱駆動制御部51は、可動支柱12が下限位置に達すると、可動支柱駆動モータ52を停止する(
図5(B)参照)。
【0047】
その後、制止バー駆動制御部53が制止バー駆動モータ54を駆動し、下側制止バー14を下方にスライドする。このとき、制止バー駆動制御部53は、制止バー駆動モータ54の回転速度を予め定めた通常速度にする定電力制御を行い、下側制止バー14を下方にスライドする。例えば、下側制止バー14を、40cm/sで下方にスライドする。また、制止バー駆動モータ54は逆回転されている。制止バー駆動制御部53は、下側制止バー14が下限位置に達すると、制止バー駆動モータ54を停止する(
図5(C)参照)。この状態が、閉状態である。
図5(C)は、
図4(A)と同じ閉状態である。
【0048】
次に、可動支柱12が固定支柱11に対して上下方向にスライドする機構、および下側制止バー14が可動支柱12に対して上下方向にスライドする機構について説明する。
図6は、一方の側の固定支柱、および可動支柱の内部構成を示す概略図である。また、
図6は、可動支柱12、および下側制止バー14が下限位置に位置している状態(可動柵1が閉状態)を示している。
【0049】
なお、可動柵1を構成する他方の側の固定支柱11、および可動支柱12の内部構成も
図6に示す構成である。
【0050】
固定支柱11は、上下に並べて配置した駆動プーリ21、22に無端ベルト23を張架している。可動支柱駆動モータ52は、駆動力を、下側に位置する駆動プーリ22に与える。上述したように、可動支柱駆動モータ52は、可動支柱駆動制御部51により駆動制御される。
【0051】
可動支柱12は、連結部材24により、駆動プーリ21、22に張架している無端ベルト23に連結している。したがって、可動支柱12は、下側に位置する駆動プーリ22が可動支柱駆動モータ52の駆動力によって駆動され、無端ベルト23が上下方向に回転駆動すると、この無端ベルト23とともに、上下方向にスライドする。
【0052】
また、連結部材24は、図示するように、半球形状の凹部24aを形成している。また、固定支柱11の内部には、可動支柱12が下限位置に位置しているときに、凹部24aに嵌まる球状のストッパ25が設けられている。このストッパ25は、バネ26によって、連結部材24側に付勢している。バネ26は、ゴム等の他の弾性体に置き換えてもよい。また、ここでは、バネ26が、ストッパ25を取り付けている軸を連結部材24側に押す構成としているが、ストッパ25を取り付けている軸を連結部材24側に引く構成としてもよい。
【0053】
さらに、固定支柱11は、内部に定滑車27を設けている。この定滑車27は、無端ベルト23を張架している上側の駆動プーリ21よりも上方に取り付けている。定滑車27には、ワイヤ28がかけられている。ワイヤ28は、その一端を連結部材24につないでいる。また、ワイヤ28は、その他端を錘29につないでいる。可動支柱12においては、定滑車27、およびワイヤ28により錘29に働く重力が、上方にスライドさせる方向の付勢力として作用する。
【0054】
次に、下側制止バー14を上下方向にスライドする構成について説明する。可動支柱12は、上下に並べて配置した駆動プーリ31、32に無端ベルト33を張架している。制止バー駆動モータ54は、駆動力を、下側に位置する駆動プーリ32に与える。上述したように、制止バー駆動モータ54は、制止バー駆動制御部53により駆動制御される。
【0055】
下側制止バー14は、連結部材34により、駆動プーリ31、32に張架している無端ベルト33に連結している。したがって、下側制止バー14は、下側に位置する駆動プーリ32が制止バー駆動モータ54の駆動力によって駆動され、無端ベルト33が上下方向に回転駆動すると、この無端ベルト33とともに、上下方向にスライドする。
【0056】
また、連結部材34は、図示するように、半球形状の凹部34aを形成している。また、可動支柱12の内部には、下側制止バー14が下限位置に位置しているときに、凹部34aに嵌まる球状のストッパ35が設けられている。このストッパ35は、バネ36によって、連結部材34側に付勢している。バネ36は、ゴム等の他の弾性体に置き換えてもよい。また、ここでは、バネ36が、ストッパ35を取り付けている軸を連結部材34側に押す構成としているが、ストッパ35を取り付けている軸を連結部材34側に引く構成としてもよい。
【0057】
さらに、可動支柱12は、内部に定滑車37を設けている。この定滑車37は、無端ベルト33を張架している上側の駆動プーリ31よりも上方に取り付けている。定滑車37には、ワイヤ38がかけられている。ワイヤ38は、その一端を連結部材34につないでいる。また、ワイヤ38は、その他端を定荷重バネ39につないでいる。下側制止バー14においては、定荷重バネ39がワイヤ38を引く付勢力が、上方にスライドさせる方向の付勢力として作用する。
【0058】
なお、バネ26、36は、ソレノイドに置き換えてもよい。また、可動支柱12内部に設ける定荷重バネ39は、錘に置き換えてもよいが、その分だけ可動支柱12の重量がアップするので、可動支柱12を手動で押し上げるときの負担が増加する。言い換えれば、錘よりも、定荷重バネ39を用いるほうが、可動支柱12を手動で押し上げるときの負担が小さく、望ましい。また、上述の固定支柱11内部に設ける錘29については、定荷重バネで構成してもよい。
【0059】
また、上側制止バー13については、可動支柱12のフレームに固定しているので、
図6に示されていないが、無端ベルト33を張架している上側の駆動プーリ31と略同じ高さである。
【0060】
可動柵1は、錘29に働く重力が、可動支柱12に働く重力よりも、少し大きくなるようにバランスさせている。したがって、可動支柱12は、上方に付勢されている。
【0061】
可動柵1は、可動支柱12が下限位置にあるとき、連結部材24の凹部24aにストッパ25が嵌まっており、可動支柱12が上方にスライドするのを抑制する。また、可動支柱駆動モータ52の回生ブレーキが、可動支柱12が上方にスライドするのを抑制する。可動柵1は、上述したように、錘29に働く重力が、可動支柱12に働く重力よりも、少し大きくなるようにバランスさせているが、可動支柱12が下限位置にあるとき、ストッパ25による係止力と、可動支柱駆動モータ52の回生ブレーキ力によって、この可動支柱12が自然に上方にスライドしないようにバランスさせている。
【0062】
また、可動柵1は、例えば上側制止バー13を持って、ストッパ25による係止力と、可動支柱駆動モータ52の回生ブレーキ力との和よりも強い力で上方に持ち上げると、
図7に示すように、ストッパ25が連結部材24の凹部24aから外れる。ストッパ25が連結部材24の凹部24aから外れた後は、可動支柱12は、可動支柱駆動モータ52の回生ブレーキ力よりも強い力で上方に(上限位置まで)持ち上げることができる。
【0063】
このように、下限位置にある可動支柱12は、最初に少し力を加えて持ち上げ、ストッパ25が連結部材24の凹部24aから外れると、比較的に弱い力で上限位置まで押し上げることができる。
【0064】
また、上述したように、錘29に働く重力が、可動支柱12に働く重力よりも、少し大きくなるようにバランスさせているので、上限位置まで押し上げた可動支柱12については支えていなくても、下限位置に下がってくることはない。
【0065】
なお、上記の説明では、上側制止バー13を持って、可動支柱12を上限位置に押し上げるとしたが、以下に示すように、下側制止バー14を上限位置まで押し上げ、さらに、下側制止バー14に力を加えて、可動支柱12を上限位置に押し上げてもよい。
【0066】
また、可動支柱12、および下側制止バー14は、それぞれ、スライド可能な範囲が、上限位置よりも上方にスライドするのを規制する上限位置規制部材(不図示)、および下限位置よりも下方にスライドするのを規制する下限位置規制部材(不図示)によって制限されている。
【0067】
また、可動柵1は、定荷重バネ39がワイヤ38を引く付勢力が、下側制止バー14に働く重力よりも、少し大きくなるようにバランスさせている。したがって、下側制止バー14は、上方に付勢されている。
【0068】
可動柵1は、下側制止バー14が下限位置にあるとき、連結部材34の凹部34aにストッパ35が嵌まっており、下側制止バー14が上方にスライドするのを抑制する。また、制止バー駆動モータ54の回生ブレーキが、下側制止バー14が上方にスライドするのを抑制する。可動柵1は、上述したように、定荷重バネ39がワイヤ38を引く付勢力が、下側制止バー14に働く重力よりも、少し大きくなるようにバランスさせているが、下側制止バー14が下限位置にあるとき、ストッパ35による係止力と、制止バー駆動モータ54の回生ブレーキ力によって、この下側制止バー14が自然に上方にスライドしないようにバランスさせている。
【0069】
また、可動柵1は、下側制止バー14を、ストッパ35による係止力と、制止バー駆動モータ54の回生ブレーキ力との和よりも強い力で上方に持ち上げると、
図8に示すように、ストッパ35が連結部材34の凹部34aから外れる。ストッパ35が連結部材34の凹部34aから外れた後は、下側制止バー14は、制止バー駆動モータ54の回生ブレーキ力よりも強い力で上方に(上限位置まで)持ち上げることができる。
【0070】
このように、下限位置にある下側制止バー14は、最初に少し力を加えて持ち上げ、ストッパ35が連結部材34の凹部34aから外れると、比較的に弱い力で上限位置まで押し上げることができる。
【0071】
また、上述したように、定荷重バネ39がワイヤ38を引く付勢力が、下側制止バー14に働く重力よりも、少し大きくなるようにバランスさせているので、上限位置まで押し上げた下側制止バー14については、支えていなくても、下限位置に下がってくることはない。
【0072】
したがって、異常発生時等に、周辺にいる人が、手動で簡単に可動支柱12や、下側制止バー14を上方にスライドさせて通路を確保することができる。これにより、異常発生時における、周辺にいる人の安全性の向上が図れる。
【0074】
また、可動支柱12や、下側制止バー14については、下限位置に位置しているかどうかを検出するセンサを備えているので、いたずら等で可動支柱12や、下側制止バー14が上方に持ち上げられたときには、そのことを検知し、戻すことができる。
【0075】
なお、上記の例における無端ベルト23、33は、チェーン等の他の部材に置き換えてもよい。また、上記の例では、本願発明を駅ホームに設置される可動柵1に適用した場合を例にして説明したが、工事現場等において車両が出入りする出入口等に設けるゲート装置としても利用できる。