特許第5736160号(P5736160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プリマハム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5736160-食品移送装置 図000002
  • 特許5736160-食品移送装置 図000003
  • 特許5736160-食品移送装置 図000004
  • 特許5736160-食品移送装置 図000005
  • 特許5736160-食品移送装置 図000006
  • 特許5736160-食品移送装置 図000007
  • 特許5736160-食品移送装置 図000008
  • 特許5736160-食品移送装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736160
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】食品移送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/53 20060101AFI20150528BHJP
   F26B 25/18 20060101ALI20150528BHJP
   F26B 15/14 20060101ALI20150528BHJP
   B65G 59/06 20060101ALI20150528BHJP
   B65B 35/44 20060101ALI20150528BHJP
   A22C 11/00 20060101ALI20150528BHJP
   A23B 4/005 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   B65G47/53 B
   F26B25/18
   F26B15/14
   B65G59/06 102
   B65B35/44
   A22C11/00
   A23B4/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-269453(P2010-269453)
(22)【出願日】2010年12月2日
(65)【公開番号】特開2012-116643(P2012-116643A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2013年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113067
【氏名又は名称】プリマハム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100123168
【弁理士】
【氏名又は名称】大▲高▼ とし子
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 茂明
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−288397(JP,A)
【文献】 特開昭48−052567(JP,A)
【文献】 特開昭60−090104(JP,A)
【文献】 特開平07−144739(JP,A)
【文献】 特表2009−523106(JP,A)
【文献】 特開2001−088941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22−47/51;47/53−47/54;
59/00−59/12
F26B 1/00−25/22
B65B 5/00− 5/12;19/00−23/22;
35/00−35/58
A22C 5/00−29/04
A23B 4/00− 5/06
B65D 6/00−13/02;23/00−25/56;
85/50−85/52;85/60;85/72−84/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を順次連続搬送する第1搬送手段と、
該第1搬送手段の一側に搬送方向に沿って延設された押出板を備え、該押出板により食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された押出手段と、
該押出手段により押し出された食品を載置するトレイと、
前記第1搬送手段の下方に配設された、トレイを前記第1搬送手段の搬送方向に対して垂直方向に搬送する第2搬送手段と、
該第2搬送手段にトレイを供給するトレイ供給手段と、
を備えた食品移送装置であって、
前記押出手段は、押出板が搬送方向に位置する2つの垂直方向に延設された回転軸周りに円運動することにより、押出板が搬送斜め方向に移動すると同時に食品と接触して食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された手段であることを特徴とする食品移送装置。
【請求項2】
食品を順次連続搬送する第1搬送手段と、
該第1搬送手段の一側に搬送方向に沿って延設された押出板を備え、該押出板により食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された押出手段と、
該押出手段により押し出された食品を載置するトレイと、
前記第1搬送手段の下方に配設された、トレイを前記第1搬送手段の搬送方向に対して垂直方向に搬送する第2搬送手段と、
該第2搬送手段にトレイを供給するトレイ供給手段と、
を備えた食品移送装置であって、
前記トレイが、第1の方向に延びた第1棒状部材が、第1の方向とは垂直な第2方向に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備え、前記第1棒状部材が、多数の円弧状凹部が凸部を介して形成された屈曲棒状部材であり、前記第2棒状部材が、前記屈曲棒状部材上に、円弧状凹部の最下部の両側に配置された直線棒状部材であることを特徴とする食品移送装置。
【請求項3】
押出手段は、押出板が搬送方向に位置する2つの垂直方向に延設された回転軸周りに円運動することにより、押出板が搬送斜め方向に移動すると同時に食品と接触して食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された手段であることを特徴とする請求項記載の食品移送装置。
【請求項4】
押出手段は、押出板が第1搬送手段の搬送方向に沿って延設された回転軸の外周部に設けられ、該回転軸を回転させて押出板により食品を押し出すよう構成された手段であることを特徴とする請求項記載の食品移送装置。
【請求項5】
押出手段が、一回の動作で複数の食品を押し出すことができる手段であることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の食品移送装置。
【請求項6】
第1搬送手段により搬送される食品を検知する検知手段と、該検知手段による検知結果に基づいて押出手段の動作タイミングを制御する制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の食品移送装置。
【請求項7】
第1搬送手段を介して押出板に対向して設けられた、押出板で押し出された食品を受けるガイド板をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の食品移送装置。
【請求項8】
トレイ供給手段が、第2搬送手段の搬送方向の前後方向でトレイの底部両側を支持して重畳的に載置する載置手段と、該載置手段の最下段のトレイを前方側から後方側へ押し出しトレイの片側を第2搬送手段上に落下させると共に、押出し終了時に載置手段の下から2段目のトレイの底部をその先端部で支持する第1ピストン手段と、該第1ピストン手段で押し出された最下段のトレイを後方側から前方側へ押し出しトレイ全体を第2搬送手段上に落下させると共に、押出し終了時に下から2段目のトレイの底部をその先端部で支持する第2ピストン手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の食品移送装置。
【請求項9】
トレイが、直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を固着し、第1棒状部材を屈曲させて網状部が形成されたことを特徴とする請求項記載の食品移送装置。
【請求項10】
食品が、食肉加工品であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の食品移送装置。
【請求項11】
請求項2又は9記載の食品移送装置を用いて、網状トレイ上に棒状食肉加工品を移送させ、該網状トレイ上の棒状食肉加工品を加熱乾燥して、食肉ドライ製品を製造することを特徴とする食肉ドライ製品の製造方法。
【請求項12】
第1の方向に延びた第1棒状部材が、第1の方向とは垂直な第2方向に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備えた網状トレイであって、
前記第1棒状部材が、多数の円弧状凹部が凸部を介して形成された屈曲棒状部材であり、
前記第2棒状部材が、前記屈曲棒状部材上に、円弧状凹部の最下部の両側に配置された直線棒状部材である
ことを特徴とする棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイ。
【請求項13】
直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を固着し、第1棒状部材を屈曲させて網状部を形成したことを特徴とする請求項12記載の棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイ。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかの装置で用いられることを特徴とする請求項12又は13記載の棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔をあけて順次連続搬送されてくる食品を、トレイ上に載置する食品移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サラミやカルパス等のソーセージの製造においては、例えば、ペースト状の食肉材料(食肉ペースト体)をケーシング材でコーティングした後、ゲル化剤等を用いてケーシング材を固め、その後切断する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このようなソーセージを製造する装置としては、例えば、食肉ペースト体及びケーシング材を共押出しする共押出しヘッドを備えたソーセージ製造装置であって、前記共押出しヘッドは、食肉ペースト体を放出する充填チューブと、該充填チューブに設けられた、ケーシング材を放出する環状ギャップを有する押出金型とを備え、前記充填チューブが、ケーシング材が環状ギャップを通って充填チューブ上に押し出され、充填チューブに沿って固化可能なように、環状ギャップから所定距離突出している装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、このような装置を用いて製造される多数のケーシング入り食肉加工品のその後の乾燥処理等を効率よく行う満足のいく方法・装置は未だ確立されておらず、その後の工程を効率よく行う方法・装置が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−506435号公報
【特許文献2】特開2009−22279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、所定間隔をあけて順次連続して搬送されてくるケーシング入り食肉加工品等の食品のその後の処理を効率よく行うことができるよう、食品をトレイ上に連続的に移送することができる食品移送装置、及びかかる装置を用いた食肉ドライ製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の円運動を行う押出手段を用いて、順次連続搬送してくる食品を搬送方向に対して垂直方向に押し出し、搬送方向に対して垂直方向に進行するトレイ上に食品を載置することにより、食肉加工製品を効率的に処理することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)食品を順次連続搬送する第1搬送手段と、該第1搬送手段の一側に搬送方向に沿って延設された押出板を備え、該押出板により食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された押出手段と、該押出手段により押し出された食品を載置するトレイと、前記第1搬送手段の下方に配設された、トレイを前記第1搬送手段の搬送方向に対して垂直方向に搬送する第2搬送手段と、該第2搬送手段にトレイを供給するトレイ供給手段と、を備えたことを特徴とする食品移送装置や、(2)押出手段は、押出板が搬送方向に位置する2つの垂直方向に延設された回転軸周りに円運動することにより、押出板が搬送斜め方向に移動すると同時に食品と接触して食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された手段であることを特徴とする前記(1)記載の食品移送装置や、(3)押出手段は、押出板が第1搬送手段の搬送方向に沿って延設された回転軸の外周部に設けられ、該回転軸を回転させて押出板により食品を押し出すよう構成された手段であることを特徴とする前記(1)記載の食品移送装置や、(4)押出手段が、一回の動作で複数の食品を押し出すことができる手段であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか記載の食品移送装置や、(5)第1搬送手段により搬送される食品を検知する検知手段と、該検知手段による検知結果に基づいて押出手段の動作タイミングを制御する制御手段とをさらに備えたことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか記載の食品移送装置や、(6)第1搬送手段を介して押出板に対向して設けられた、押出板で押し出された食品を受けるガイド板をさらに備えたことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか記載の食品移送装置や、(7)トレイ供給手段が、第2搬送手段の搬送方向の前後方向でトレイの底部両側を支持して重畳的に載置する載置手段と、該載置手段の最下段のトレイを前方側から後方側へ押し出しトレイの片側を第2搬送手段上に落下させると共に、押出し終了時に載置手段の下から2段目のトレイの底部をその先端部で支持する第1ピストン手段と、該第1ピストン手段で押し出された最下段のトレイを後方側から前方側へ押し出しトレイ全体を第2搬送手段上に落下させると共に、押出し終了時に下から2段目のトレイの底部をその先端部で支持する第2ピストン手段と、を備えたことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか記載の食品移送装置に関する。
【0008】
また、本発明は、(8)トレイが、第1の方向に延びた第1棒状部材が、第1の方向とは垂直な第2方向に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備え、前記第1棒状部材が、多数の円弧状凹部が凸部を介して形成された屈曲棒状部材であり、前記第2棒状部材が、前記屈曲棒状部材上に、円弧状凹部の最下部の両側に配置された直線棒状部材である、ことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載の食品移送装置や、(9)トレイが、直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を固着し、第1棒状部材を屈曲させて網状部が形成されたことを特徴とする前記(8)記載の食品移送装置や、(10)食品が、食肉加工品であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか記載の食品移送装置や、(11)前記(8)〜(10)のいずれか記載の食品移送装置を用いて、網状トレイ上に棒状食肉加工品を移送させ、該網状トレイ上の棒状食肉加工品を加熱乾燥して、食肉ドライ製品を製造することを特徴とする食肉ドライ製品の製造方法や、(12)第1の方向に延びた第1棒状部材が、第1の方向とは垂直な第2方向に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備えた網状トレイであって、前記第1棒状部材が、多数の円弧状凹部が凸部を介して形成された屈曲棒状部材であり、前記第2棒状部材が、前記屈曲棒状部材上に、円弧状凹部の最下部の両側に配置された直線棒状部材であることを特徴とする棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイや、(13)直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を固着し、第1棒状部材を屈曲させて網状部を形成したことを特徴とする前記(12)記載の棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイや、(14)前記(1)〜(7)のいずれかの装置で用いられることを特徴とする前記(12)又は(13)記載の棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の装置によれば、食品を効率よくトレイ上に移送することができると共に、その後の処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る食品移送装置の概略斜視図である。
図2図1に示される装置の押出手段の動作説明図である。
図3図1に示される装置の第2搬送手段の構成図である。
図4図1に示される装置のトレイ供給手段の構成図である。
図5図1に示される装置のトレイ供給手段の動作説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係るトレイの斜視図である
図7】(A)は、図6に示すトレイの平面図であり、(B)は、A−A断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る食品移送装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の食品移送装置としては、食品を順次連続搬送する第1搬送手段と、該第1搬送手段の一側に搬送方向に沿って延設された押出板を備え、該押出板により食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された押出手段と、該押出手段により押し出された食品を載置するトレイと、前記第1搬送手段の下方に配設された、トレイを前記第1搬送手段の搬送方向に対して垂直方向に搬送する第2搬送手段と、該第2搬送手段にトレイを供給するトレイ供給手段とを備えた装置であれば特に制限されるものではなく、本発明の食品移送装置によれば、所定間隔をあけて順次連続的に搬送される食品を、少なくとも互いに重ならない状態でトレイ上に並べることができ、好ましくは食品を縦横揃えてトレイ上に並べることができる。
【0012】
本発明の装置においては、食品が重ならずに並べられることから、その後に、加熱処理、(加熱)乾燥処理、冷凍処理等を行う場合にもそのまま行うことができ、処理効率を向上させることができる。本発明の装置により処理される食品としては、例えば、食肉加工品、水産加工品、加工野菜等の製造途中の状態のもの及び最終製品を例示することができ、食肉加工品としては、具体的に、サラミ、カルパス、ウインナー等のソーセージ、ハンバーグ、ロールキャベツ、トンカツ等を例示することができる。
【0013】
第1搬送手段は、食品を順次連続搬送することができる手段であれば特に制限されるものではなく、例えば、食品をベルト上に載置して連続搬送するベルトコンベアを挙げることができる。
【0014】
押出手段は、第1搬送手段の一側に搬送方向に沿って延設された押出板を備えている。かかる押出板は、金属材料や合成樹脂材料等の剛性を有する材料からなることが好ましい。また、押出手段は、一回の動作で1つの食品を押し出す手段であってもよいが、複数の食品を押し出すことができる手段であることが好ましく、かかる複数の食品を押し出す手段としては、具体的に、所定間隔をあけて搬送されてくる複数の食品が収まる幅を有する押出板を例示することができる。
【0015】
押出手段としては、例えば、押出板が搬送方向に位置する2つの垂直方向に延設された回転軸周りに円運動することにより、押出板が搬送斜め方向に移動すると同時に食品と接触して食品を第1搬送手段の他側に押し出すよう構成された手段を例示することができる。かかる押出手段では、押出板が、このような動作で食品を押し出すことにより、食品との摩擦を低減して、変形しやすい柔らかい食品であっても型崩れを防止することができると共に、食品の落下位置(トレイ上の載置位置)の安定化を図ることができる。さらには、押出板は、食品と同一の方向に進行しながら押し出すので、後続の食品との接触を回避でき、より高速で処理することが可能となる。また、押出手段としては、押出板が第1搬送手段の搬送方向に沿って延設された回転軸の外周部に設けられ、該回転軸を回転させて押出板により食品を押し出すよう構成された手段を例示することができる。回転軸の外周部には、1又は複数の押出板を設けることができ、複数の押出板を設ける場合には、例えば、180°の間隔で2枚や、120°の間隔で3枚設けることができる。
【0016】
押出手段により押し出された食品を載置するトレイは、例えば、縦60〜100cm、横50〜80cm程度のトレイであって、載置部が平らなものであってもよいし、載置部が収容凹部を有するものであってもよい。例えば、処理する食品が棒状形状(好ましくは断面円形)の場合、具体的に、かかるトレイとしては、第1の方向に延びた第1棒状部材が、第1の方向とは垂直な第2方向に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備え、前記第1棒状部材が、多数の円弧状凹部が凸部を介して形成された屈曲棒状部材であり、前記第2棒状部材が、前記屈曲棒状部材上に、円弧状凹部の最下部の両側に配置された直線棒状部材であるもの(以下、網状トレイということがある)を例示することができ、かかる網状トレイは、第1搬送手段の搬送方向と第1棒状部材が延びる第1の方向を一致させて用いることができる。すなわち、棒状食品を円弧状凹部に収容し、円弧状凹部の最下部の両側に配置された2本の直線棒状部材により棒状食品を支持する。かかる2本の直線棒状部材の間隔としては、載置する棒状食品の直径の0.4〜0.7倍程度の長さであることが好ましく、0.5〜0.6倍程度の長さであることがより好ましい。
【0017】
かかるトレイの網状部は、金属材料を用いて製造することが好ましく、直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を固着し、第1棒状部材を屈曲させることにより、容易に製造することができる。また、直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を等間隔をあけて固着し、第1棒状部材を屈曲させることにより、第1棒状部材が、円弧状凹部の最下部の両側に配置されると共に、凸部の両側にも配置されるようにすることが、製造容易性や強度の点から好ましい。
【0018】
第2搬送手段は、第1搬送手段の下方に配設され、トレイを前記第1搬送手段の搬送方向に対して垂直方向に搬送する手段であり、例えば、チェーンコンベアやベルトコンベアを挙げることができる。また、第2搬送手段は、押出手段の押出方向に対していずれの方向に搬送する手段であってもよいが、タイミング調整が容易で、より高速化を図ることが可能であることから、押出方向と同一の方向に搬送する手段であることが好ましい。
【0019】
第2搬送手段にトレイを供給するトレイ供給手段としては、例えば、重畳的に載置されたトレイの最下段のトレイを順次第2搬送手段に供給できる手段を挙げることができ、具体的には、第2搬送手段の搬送方向の前後方向でトレイの底部両側を支持して重畳的に載置する載置手段と、該載置手段の最下段のトレイを前方側から後方側へ押し出しトレイの片側を第2搬送手段上に落下させる共に、押出し終了時に載置手段の下から2段目のトレイの底部をその先端部で支持する第1ピストン手段と、該第1ピストン手段で押し出された最下段のトレイを後方側から前方側へ押し出しトレイ全体を第2搬送手段上に落下させると共に、押出し終了時に下から2段目のトレイの底部をその先端部で支持する第2ピストン手段とを備えた手段であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の食品移送装置は、第1搬送手段により搬送される食品を検知する検知手段と、該検知手段による検知結果に基づいて押出手段の動作タイミングを制御する制御手段を備えていることが好ましい。すなわち、食品が第1搬送手段に正確に一定のタイミングで供給される場合には、かかる検知手段及び制御手段は必ずしも必要ないが、第1搬送手段に供給されるタイミングが一定でない場合等には、かかる検知手段及び制御手段によって、正確に食品が押し出されるようにすることが好ましい。検知手段としては、第1手段上に設けられたセンサーや、第1手段上に載置される食品を製造する装置に設けられたセンサーを例示することができる。
【0021】
さらに、本発明の食品移送装置は、第1搬送手段を介して押出板に対向して設けられた、押出板で押し出された食品を受けるガイド板を備えていることが好ましい。具体的には、押出板と同程度の幅を有する垂下状に設けられた板状部材を例示することができ、押し出された食品の衝撃力を吸収できるよう、押出し前後方向に揺動できるよう設けられることが好ましい。
【0022】
また、本発明の食品移送装置を用いた食肉ドライ製品を製造する方法としては、上記網状トレイ上に棒状食肉加工品を移送させ、該網状トレイ上の棒状食肉加工品を加熱乾燥する方法を例示することができ、食肉ドライ品としては、例えば、サラミ、カルパス等のドライソーセージを挙げることができる。棒状食肉加工品を網状トレイの円弧状凹部に収容すると共に、棒状食肉加工品を円弧状凹部の最下部の両側に配置された2本の直線棒状部材のみにより支持することにより、加熱乾燥時に生じる加熱跡(焦げ跡)が2本の直線棒状部材に接触した部分のみとなって目立たなくなると共に、乾燥効率が向上する。
【0023】
また、本発明に係る棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイとしては、第1の方向に延びた第1棒状部材が、第1の方向とは垂直な第2方向に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備えた網状トレイであって、前記第1棒状部材が、多数の円弧状凹部が凸部を介して形成された屈曲棒状部材であり、前記第2棒状部材が、前記屈曲棒状部材上に、円弧状凹部の最下部を中心とする両側に配置された直線棒状部材である網状トレイであれば特に制限されるものではなく、かかるトレイを用いることにより、上記のように、食肉ドライ製品への加熱跡(焦げ跡)の付着を防止し、乾燥効率を高めることが可能となる。かかる2本の直線棒状部材の間隔としては、載置する棒状食肉加工品の直径の0.4〜0.7倍程度の長さであることが好ましく、0.5〜0.6倍程度の長さであることがより好ましい。
【0024】
かかる網状トレイの網状部は、金属材料を用いて製造することが好ましく、直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を固着し、第1棒状部材を屈曲させることにより、容易に製造することができる。また、直線状の第1棒状部材上に直線状の第2棒状部材を等間隔をあけて固着し、第1棒状部材を屈曲させることにより、第1棒状部材が、円弧状凹部の最下部の両側に配置されると共に、凸部の両側にも配置されるようにすることが、製造容易性や強度の点から好ましい。本発明の棒状食肉加工品加熱乾燥用トレイは、人の手で食肉加工品を載置して加熱乾燥処理をしてもよいが、例えば上記のような本発明の食品移送装置で用いられることが好ましい。
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の食品移送装置の一例を説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。図1は、本発明の一実施形態に係る食品移送装置の概略斜視図であり、図2は、図1に示される装置の押出手段の動作説明図であり、図3は、図1に示される装置の第2搬送手段の構成図であり、図4及び図5は、図1に示される装置のトレイ供給手段の構成図及び動作説明図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の食品移送装置10は、食肉加工品A(サラミ、カルパス等のケーシング入り食肉加工品)を順次連続搬送する第1搬送手段12と、食肉加工品Aを第1搬送手段12の側方へ押し出す押出手段14と、第1搬送手段12の下方に、第1搬送手段12の搬送方向に対して垂直方向に配設された第2搬送手段16と、押出手段14により押し出された食肉加工品Aを載置するトレイ18と、第2搬送手段16にトレイ18を供給するトレイ供給手段20と、第1搬送手段12により搬送される食肉加工品Aを検知する検知手段22と、検知手段22による検知結果に基づいて押出手段14の動作タイミングを制御する制御手段(不図示)とを備えている。
【0027】
第1搬送手段12は、所定幅を有するベルトを備えたコンベアであって、ベルト上に食肉加工品Aを載置して連続的に搬送する。また、第1搬送手段12の下流の一側には、搬送方向に沿って延設された、所定幅を有する垂下状の押出板24が設けられている。押出板24の上方には、サーボモータ26を駆動させることにより回転する垂直方向に延設された2つの回転軸28が所定間隔をあけて設けられており、かかる回転軸28は、押出板24の押出距離(第1搬送手段12の一側から他側への前進距離)に相当する長さを有する回転部材30を介して、押出板24上部に連結されている。すなわち、図2に示すように、回転軸28が時計回りに回転することにより、押出板24が、搬送斜め方向(図2上、右下方向)に移動すると同時に食肉加工品Aと接触して食肉加工品Aを第1搬送手段12の他側(図2上、右方向)に押し出す。押し出された食肉加工品Aは、第1搬送手段12を介して押出板24に対向して設けられた垂下状のガイド板32及びかかるガイド板32に対向して第1搬送手段12の側部に傾斜して設けられた案内板33に案内されて、下方に位置するトレイ18上に載置される。
【0028】
図3に示すように、トレイ18を搬送する第2搬送手段16は、第1搬送手段12の下流(押出手段14の位置)の下方に配設されており、押出手段14の押出方向(図1上、左下方向)に搬送するよう構成されている。かかる第2搬送手段16は、処理速度(押出速度)に合わせて動作するチェーンコンベア34と、食肉加工品Aの載置が終了したトレイ18をより高速で搬送する高速チェーンコンベア36とを備えており、トレイ18を排出トレイ受け部38まで搬送する。
【0029】
図4及び図5に示すように、トレイ供給手段20は、第2搬送手段16上流の上方に配置されており、載置手段40と、第1ピストン手段42と、第2ピストン手段44と、ズレ防止ピストン手段46とを備えている。載置手段40は、第2搬送手段16の幅方向に延設された、トレイ18の底部を第2搬送手段16の搬送方向の前後方向両側で支持する支持部材48を備え、かかる支持部材48によりトレイ18を重畳的に載置する。第1ピストン手段42は、載置手段40の第2搬送手段16の前方側(下流側)に、後方側に向かって前進することができるよう設けられ、載置手段40の最下段のトレイ18を前方側から後方側へ押し出し、トレイ18の片側を第2搬送手段16上に落下させると共に、押出し終了時に載置手段40の下から2段目のトレイ18の底部をその先端で支持する。また、第2ピストン手段44は、載置手段40を介して第1ピストン手段42に対向して設けられ、前方側に向かって前進することができるよう設けられ、第1ピストン手段42で押し出された最下段のトレイ18を後方側から前方側へ押し出しトレイ18を第2搬送手段16上に落下させると共に、押出し終了時に下から2段目のトレイ18の底部をその先端部で支持する。また、ズレ防止ピストン手段46は、第2ピストン手段44と並んで設けられている。初期状態においては、第1ピストン手段の後退限での先端部及びズレ防止ピストン手段の前進限での先端部の間にトレイ18が載置される構造となっており、第2ピストン手段の後退限における先端部は、第1ピストン手段の押出距離だけ後方に位置している(図5(1)参照)。
【0030】
図5に示すように、このような構成のトレイ供給手段20は、まず、第1ピストン手段42及びズレ防止ピストン手段46の間で、載置手段40により支持されたトレイ18の前方側部を、第1ピストン手段42により押し出す。これにより、ズレ防止ピストン手段46が後退すると共に、トレイ18の前方片側が第2搬送手段上に落下し、さらに、下から2段目のトレイ18の底部をその先端部で支持する。続いて、第2ピストン手段44により、トレイ18の後端側部を押し出し、トレイ18全体を第2搬送手段16上に落下させると共に、下から2段目のトレイ18の底部をその先端部で支持する。最後に、第1ピストン手段42及び第2ピストン44を後退限まで戻してトレイ18を支持部材48上に落下させ、ズレ防止ピストン手段46を前進限まで戻して初期状態とし、上記動作を繰り返す。
【0031】
続いて、上記食品移送装置10に用いられるトレイ18について説明する。図6は、本発明のトレイの斜視図であり、図7(A)は、図6に示すトレイの平面図、図7(B)は、A−A断面図である。図6及び図7に示すように、本発明のトレイ18は、第1の方向(図7(A)の横方向)に延びた第1棒状部材50が、第1の方向とは垂直な第2方向(図7(A)の縦方向)に所定間隔をあけて設けられると共に、第2の方向に延びた第2棒状部材52が、第1の方向に所定間隔をあけて設けられて形成される網状部を備えている。図7(B)に示すように、第1棒状部材50は、多数の円弧状凹部54が凸部56を介して形成された屈曲棒状部材であり、第2棒状部材52は、屈曲棒状部材上に、円弧状凹部54の最下部の両側及び凸部56の最上部の両側に配置された直線棒状部材である。トレイ18は、直線状の第1棒状部材50上に直線状の第2棒状部材52を等間隔をあけて固着し、第1棒状部材を屈曲させて製造される。かかるトレイ18においては、図7(B)の部分拡大図に示すように、円弧状凹部54の両側に配置された2本の直線状棒状部材により、棒状の食肉加工品を支持することができ、加熱乾燥工程における食肉ドライ製品への加熱跡(焦げ跡)の付着を防止し、乾燥効率を高めることが可能となっている。
【0032】
続いて、本発明の食品移送装置の他の例を説明する。図8は、本発明の他の実施形態に係る食品移送装置の概略斜視図である。かかる食品移送装置60は、上記説明した食品移送装置10と押出手段の構成が異なる。図8に示すように、押出手段62は、第1搬送手段12の搬送方向に沿って延設された回転軸66の外周部に、押出板64が180°の間隔で2枚設けられており、回転軸66の回転により、押出板64が食肉加工品Aを第1搬送手段12の他側に押し出す。なお、押出手段以外の手段については、上記食品移送手段10と同様であるので説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の装置は、食肉ドライ製品等の製造を非常に効率的に行うことができるものであり、産業上の有用性は高い。
【符号の説明】
【0034】
A 食肉加工品(ケーシング入り食肉加工品)
10 食品移送装置
12 第1搬送手段
14 押出手段
16 第2搬送手段
18 トレイ
20 トレイ供給手段
22 検知手段
24 押出板
26 サーボモータ
28 回転軸
30 回転部材
32 ガイド板
33 案内板
34 チェーンコンベア
36 高速チェーンコンベア
38 排出トレイ受け部
40 載置手段
42 第1ピストン手段
44 第2ピストン手段
46 ズレ防止ピストン手段
48 支持部材
50 第1棒状部材
52 第2棒状部材
54 円弧状凹部
56 凸部
58 カッティング手段
60 食品移送装置
62 押出手段
64 押出板
66 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8