(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態である回転装置の全体構成を表す縦断面図である。
図1に示すように、回転装置1は、回転電機としてのモータ100と、減速機200とを一体的に備えている。
【0015】
まず、モータ100について説明する。モータ100は、モータ電磁部110と、ブレーキ部120と、エンコーダ部130とを有している。モータ電磁部110とブレーキ部120とは隣接して配置されており、モータ電磁部110とエンコーダ部130との間には、減速機200が配置されている。
【0016】
モータ電磁部110は、回転軸101と同一軸芯となるように固定された回転子111と、この回転子111の外周面と径方向に対向するようにモータフレーム112に固定された固定子113とを備えている。回転軸101は、減速機200の入力軸211と1本の軸として一体成形されている。具体的には、例えば1本の軸を切削加工することによって、回転軸101が減速機200の入力軸211より小径となるように成形されている。
【0017】
回転子111は、ヨーク114及びマグネット115を有しており、回転軸101の反減速機200側(反負荷側。
図1中右側)から挿入され、回転軸101の外周に接着固定されている。固定子113は、積層鉄心体1131と、積層鉄心体1131が挿通されたボビン1132と、ボビン1132に巻き回されたコイル線1133と、コイル線1133の結線基板1135と、結線基板1135に接続された入力端子1136とを有している。ボビン1132は、積層鉄心体1131とコイル線1133とを電気的に絶縁するために、樹脂等の絶縁性材料で構成されている。積層鉄心体1131、ボビン1132、コイル線1133、結線基板1135、入力端子1136は、樹脂1134によりモールドされている。固定子113の反減速機200側には、ブラケット116が設けられている。
【0018】
ブレーキ部120は、回転軸101の反減速機200側に対し制動を行う無励磁作動型の電磁ブレーキであり、モータ電磁部110の反減速機200側に隣接して配置されている。このブレーキ部120は、回転軸101の先端部101aの外周部に固定されたブレーキディスク121と、励磁コイル122及びばね(図示省略)を収納したフィールドコア123と、このフィールドコア123に対向するように減速機200側(負荷側。
図1中左側)に配置されたアーマチュア124とを有している。ブレーキ部120は、ボルト128により、カラー127を介してブラケット116に固定される。ブレーキ部120は、リード線を介して、入力端子1136に接続されている。なお、回転軸101の先端部101aは、例えば切削加工によりそれ以外の部分より小径となるように成形されている。
【0019】
フィールドコア123に収納された上記ばねは、アーマチュア124に対し減速機200側へ押圧する付勢力を作用させる。アーマチュア124は、適宜の磁性体材料(例えば鋼板)によって円板状に形成されており、フィールドコア123とブレーキディスク121との間に軸方向(
図1中左右方向)にのみ移動自在に配置されている。ブレーキディスク121の反減速機200側表面には、摩擦材125が設けられている。
【0020】
上記ブレーキ部120を構成する各機器はブレーキカバー126の内部に収納されている。また、ブレーキカバー126の反減速機200側には、カバー102が設けられている。
【0021】
上記のような構成であるブレーキ部120の動作について説明する。
【0022】
励磁コイル122に通電していない状態(=無励磁状態)では、ブレーキ部120による制動が行われる。すなわち、無励磁状態では、アーマチュア124がばねに押圧されることにより減速機200側へ移動し、摩擦材125に接触する。この結果、ブレーキディスク121は制動され、回転軸101の回転は制動される。一方、励磁コイル122に通電している状態(=励磁状態)では、ブレーキ部120による制動が行われない。すなわち、励磁状態では、励磁コイル122がアーマチュア124に対して反減速機200側への磁気吸引力を与える。これにより、アーマチュア124はばねの付勢力に抗して反減速機200側へ移動する。この結果、アーマチュア124は、摩擦材125から離間して上記制動から解放され、回転軸101は回転可能となる。
【0023】
エンコーダ部130は、減速機200を挟み、モータ電磁部110及びブレーキ部120とは反対側に配置されている。エンコーダ部130は、例えば光学式あるいは磁気式のエンコーダ131と、このエンコーダ131を覆うエンコーダカバー132とを有している。エンコーダ131は、回転軸101の回転角度等を検出する。
【0024】
以上のような構成であるモータ100は、回転軸101を回転自在に支持する軸受を有していない。これは、上述したように回転軸101が減速機200の入力軸211と一体成形されているため、減速機200において入力軸211が軸受213により回転自在に支持されることで、回転軸101が片持ち状に支持された構造となっているからである。このため、回転軸101を回転自在に支持する軸受を省くことが可能となる。
【0025】
次に、減速機200について説明する。減速機200は、ローラギヤカム212が設けられた入力軸211と、ローラギヤカム212に順次係合するカムフォロア222が外周に設けられた出力軸221とを有する、いわゆるローラギヤ減速機である。
【0026】
入力軸211は、軸方向両側に配置された軸受213により、ハウジング201に対し回転自在に支持されている。入力軸211には、ローラギヤカム212が一体的に設けられており、このローラギヤカム212には、その回転角度に応じて軸方向の変位が一様に与えられた螺旋状のテーパリブ214が形成されている。また前述したように、入力軸211は、モータ100の回転軸101と1本の軸として一体成形されている。
【0027】
出力軸221は、その軸方向が入力軸211の軸方向と略直角且つねじれの位置関係となるように配設されており、入力軸211に対し垂直な方向に伸びている。この出力軸221は、中空軸であり、軸方向両側に配置された図示しない軸受により、ハウジング201に対し回転自在に支持されている。出力軸221の外周面には、周方向に沿って所定の間隔で複数のカムフォロア222が放射状に設けられている。これらのカムフォロア222のうちの隣接する2つのカムフォロア222が、ローラギヤカム212の回転に伴い順次テーパリブ214の両側面に対して予圧を加えつつ当接係合することにより、入力軸211の回転が減速されて出力軸221に伝達される。
【0028】
ハウジング201は、入力軸211を挿通させる貫通孔202を有しており、当該貫通孔202内に上記軸受213が設けられている。また貫通孔202における軸受213,213の軸方向両端側には、オイルシール203及びこのオイルシール203を支持するとともに、軸受213に予圧を与える軸受予圧部材としてのオイルシールホルダ204が設けられている。貫通孔202の軸方向両側はハウジング201の表面にそれぞれ開口しており、モータ電磁部110側の開口205にはモータフレーム112が、エンコーダ部130側の開口206にはエンコーダカバー132が、所定の位置に固定されている。また、ハウジング201は、モータ電磁部110側の開口205に段差部2051を有している。この段差部2051の内周面と、固定子113の樹脂1134の外周面とが係合することにより、段差部2051と樹脂1134とがインロー結合する。このとき、モータフレーム112の端部が段差部2051と突き当たり、インロー結合時の突き当て面としての役割を果たす。このインロー結合によって、ハウジング201と固定子113とが所定の位置に位置決めされる。
【0029】
以上説明した実施形態の回転装置1においては、モータ100の回転軸101と減速機200の入力軸211とが、1本の軸として一体成形されている。これにより、モータ100を減速機200に取り付ける際には、減速機200より片持ち状に突出した回転軸101に対し、回転子111及びブレーキディスク121等を接着固定し、それらの外周側に固定子113を設けたモータフレーム112及びブレーキカバー126等を設けることで組み立てることが可能となる。したがって、回転軸101と入力軸211とが別体である場合に必要となる軸同士の芯出し作業や連結作業が不要となるので、回転装置1の組立作業を効率良く行うことができる。また、組立作業に要する工数を削減することができる。さらに、モータ100の回転軸101と減速機200の入力軸211とが別体である場合には、例えば中空状の回転軸の内側奥部でのボルト締結作業等が必要となり作業性が低下するが、本実施形態では上述のように減速機200より片持ち状に突出した回転軸101に対し回転子111等を挿入することで組み立てることが可能であるので、作業性を向上することができる。さらに、モータ100の回転軸101と減速機200の入力軸211とが別体である場合には、回転軸101が連結部材を介して入力軸211に対してボルトで連結されることになり、連結部材等のスペースの確保により回転装置1が大型化する傾向にある。しかしながら、本実施形態では、回転軸101と入力軸211とが1本の軸として一体成形されているため、連結部材等が不要となり、回転装置1の小型化を実現することができる。
【0030】
また、本実施形態では特に、モータ100が回転軸101を回転自在に支持する軸受を有していない構造となっている。これにより、軸受保持のために所定の厚みが必要であったブラケット116の厚みを薄くできると共に、軸受保持分の長さが必要であった回転軸101の長さを短くできるので、モータ100(すなわち回転装置1)を小型化できる。また、軸受が不要である分、部品点数が少なくなるので、モータ100(すなわち回転装置1)の重量やコストを低減できる効果もある。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0032】
(1)モータがブレーキ部を有しない場合
上記実施形態では、モータ100がブレーキ部120を有する場合を一例として説明したが、ブレーキ部120を有しないモータに対して本発明を適用してもよい。
【0033】
図2は、ブレーキ部120を有しないモータを備えた回転装置の全体構成を表す縦断面図である。
図2に示すように、回転装置1Aは、モータ電磁部110及びエンコーダ部130を有するモータ100Aと、減速機200とを一体的に備えている。モータ100Aは、ブレーキ部120を有しておらず、モータ電磁部110のブラケット116にカバー102が直接設けられている。モータ100Aがブレーキ部120を有していない点以外は、上記実施形態と同様の構成となっている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(2)オイルシールホルダの外側を小径とし内側を大径とする場合
例えば、エンコーダ部側のオイルシールホルダの軸方向外側(エンコーダ部側)を、ハウジングに螺合するねじ部が外周に形成された螺合部とし、エンコーダ部側のオイルシールホルダの軸方向内側(軸受213側)を、螺合部より大径に構成された、軸受213の外輪に当接する予圧部としてもよい。
【0035】
図3は、本変形例の回転装置の全体構成を表す縦断面図である。この
図3において、
図1等と同様の部分には同符号を付し説明を適宜省略する。
図3に示すように、本変形例の回転装置1Bは、比較的大容量のモータと減速機とを備えた場合の一例であり、モータ電磁部110B及びエンコーダ部130Bを有するモータ100Bと、減速機200Bとを一体的に備えている。すなわち、モータ100Bは、上記(1)の変形例におけるモータ100Aと同様、ブレーキ部120を有しておらず、モータ電磁部110Bのブラケット116にカバー102が直接設けられる構成となっている。なお、モータ100Bを、前述の実施形態におけるモータ100と同様に、ブレーキ部120を有する構成としてもよい。
【0036】
モータ電磁部110Bの構成は、前述の実施形態におけるモータ電磁部110と同様である。
【0037】
エンコーダ部130Bは、前述のエンコーダ131と、このエンコーダ131を覆うエンコーダカバー132Bとを有している。モータ100Bが大容量となってもエンコーダは小型のもの(この例では前述の実施形態におけるエンコーダ131)で足りるため、エンコーダ部130Bは、モータ電磁部110Bや減速機200Bに比べて相対的に小さな構成となっている。本変形例では、エンコーダカバー132Bの外径が、前述の軸受213の外径よりも小さくなっている。エンコーダカバー132Bは、その径方向外周側に前述の入力軸211と同心円状に形成された凸部1321を有している。この凸部1321は、軸方向内側(モータ電磁部110B側。
図3中右側)に向けて突出して形成されている。
【0038】
上記以外のモータ100Bの構成は、前述の実施形態におけるモータ100と同様である。
【0039】
減速機200Bは、前述の入力軸211と、前述の出力軸221と、ハウジング201Bと、前述の軸受213と、オイルシールホルダ215,216とを有している。
【0040】
ハウジング201Bは、入力軸211を挿通させる貫通孔202Bを有しており、当該貫通孔202B内における前述のローラギヤカム212の軸方向(
図3中左右方向)両側には、上記軸受213が設けられている。本変形例では、モータ電磁部110B側(
図3中右側)の軸受213及びエンコーダ部130B側(
図3中左側)の軸受213は、互いに同等のサイズとなっている。モータ電磁部110B側の軸受213の軸方向外側には、オイルシール203、及び、このオイルシール203を支持するとともに、軸受213に予圧を与える上記オイルシールホルダ215が設けられており、エンコーダ部130B側の軸受213の軸方向外側には、オイルシール203B、及び、このオイルシール203Bを支持するとともに、軸受213に予圧を与える上記オイルシールホルダ216が設けられている。
【0041】
貫通孔202Bの軸方向両側は、ハウジング201Bの表面にそれぞれ開口しており、モータ電磁部110B側の開口205にはモータフレーム112が、エンコーダ部130B側の開口206Bにはエンコーダカバー132Bが、所定の位置に位置決めして固定されている。また、ハウジング201Bは、前述の実施形態におけるハウジング201と同様、開口205に段差部2051を有しており、この段差部2051の内周面と、前述の固定子113の樹脂1134の外周面とが係合することにより、段差部2051と樹脂1134とがインロー結合する。このインロー結合によって、ハウジング201Bと固定子113とが所定の位置に位置決めされる。また、貫通孔202Bのエンコーダ部130B側は、孔径が縮小されてハウジング201Bの表面に開口しており、ハウジング201Bは、この開口206Bに段差部2061を有している。この段差部2061の内周面と、エンコーダカバー132Bの凸部1321の外周面とが係合することにより、段差部2061と凸部1321とがインロー結合する。このとき、エンコーダカバー132Bにおける凸部1321よりも外周側の部分が段差部2061と突き当たり、インロー結合時の突き当て面としての役割を果たす。このインロー結合によって、エンコーダカバー132Bが入力軸211と同一軸芯となるようにハウジング201Bに対して位置決めされ、取り付けられている。
【0042】
エンコーダ部130B側のオイルシールホルダ216は、段差部2061の内周に形成されたねじ部(図示省略)に螺合するねじ部2163が外周に形成された螺合部2161と、この螺合部2161より軸方向内側に位置し、エンコーダ部130B側の軸受213の外輪2131に軸方向外側から当接する予圧部2162とを有している。予圧部2162は、螺合部2161より大径に構成されている。本変形例では、軸方向内側の予圧部2162は、軸受213の外径とほぼ同径に構成され、軸方向外側の螺合部2161は、軸受213より小径に構成されている。このように構成されたオイルシールホルダ216は、予圧部2162がエンコーダ部130B側の軸受213の外輪2131に軸方向外側から当接するように、螺合部2161のねじ部2163が上記段差部2061の内周に形成されたねじ部に螺合され、当該段差部2061の内周面に固定されている。
【0043】
エンコーダ部130B側の軸受213及びオイルシールホルダ216のハウジング201Bへの組み付け作業においては、ねじ部2163を上記段差部2061の内周に形成されたねじ部に螺合させつつ、オイルシールホルダ216を段差部2061の内周面に軸方向内側から取り付けた後、貫通孔202Bの内周面に軸受213の外輪2131を取り付ける。軸受213に対して与える予圧を調整するときは、軸方向外側からオイルシールホルダ216の軸方向外側に設けられた治具取り付け用の孔2164に所定の治具を取り付ける。そして、当該治具を介してオイルシールホルダ216を回転させ、ねじ部2163の締め込み量を調整することによって、言い換えれば、オイルシールホルダ216を軸方向内側に押し入れたり、軸方向外側に引き出すことによって、上記予圧の調整を行う。例えば、軸受213に対して与える予圧を大きくするときには、治具を介してオイルシールホルダ216を上記段差部2061への取り付け時とは逆方向に回転させることにより、ねじ部2163の締め込み量を少なくしてオイルシールホルダ216を軸方向内側に押し入れる。これにより、上記予圧を大きくする。また、例えば、軸受213に対して与える予圧を小さくするときには、治具を介してオイルシールホルダ216を上記段差部2061への取り付け時と同じ方向に回転させることにより、ねじ部2163の締め込み量を大きくしてオイルシールホルダ216を軸方向外側に引き出す。これにより、上記予圧を小さくする。
【0044】
モータ電磁部110B側のオイルシールホルダ215は、モータ電磁部110B側の軸受213の外輪2131に軸方向外側から当接するように、外周に形成されたねじ部2151が上記貫通孔202Bの内周に形成されたねじ部(図示省略)に螺合され、当該貫通孔202の内周面に固定されている。当該オイルシールホルダ215の組み付け作業においては、貫通孔202Bの内周面に軸受213の外輪2131を取り付けた後、ねじ部2151を上記貫通孔202Bの内周に形成されたねじ部に螺合させつつ、オイルシールホルダ215を貫通孔202Bの内周面に軸方向外側から取り付ける。
【0045】
上記以外の減速機200Bの構成は、前述の実施形態における減速機200と同様である。
【0046】
以上説明した本変形例により得られる効果について説明する。
【0047】
上述したように、軸受213の軸方向外側には、軸受213に予圧を与えるオイルシールホルダが設けられる。特にローラギヤ減速機においては、入力軸211のローラギヤカム212の位置を軸方向にスライドさせ、ローラギヤカム212のテーパリブ214と出力軸221のカムフォロア222との接触状態の微調整が可能なように、オイルシールホルダの外周に設けたねじ部をハウジング201Bに形成されたねじ部と螺合することにより固定するのが一般的である。このとき、一般的な構造としては、上記変形例におけるモータ電磁部110B側のオイルシールホルダ215のように、オイルシールホルダとして少なくとも軸受213と同等以上の外径を有するものが使用され、ハウジング201Bの外側から締結される。軸方向両側のオイルシールホルダをこのような構造とした場合、軸受213の外径よりも小径であるエンコーダカバー132Bを入力軸211と同一軸芯となるようにハウジング201Bに取り付けようとした場合、エンコーダカバー132Bをオイルシールホルダに対して位置決めし、取り付けることになる。
【0048】
しかしながら、オイルシールホルダは、ハウジング201Bに対しねじ込まれる構造であるため、入力軸211に対し軸芯がずれる可能性がある。また、入力軸211の軸受213の外輪2131は、ハウジング201Bに支持された構造となっている。このため、エンコーダカバー132Bの位置決め精度(入力軸211との同芯度)を確保するためには、ハウジング201Bに対して位置決めする必要がある。
【0049】
ここで、エンコーダカバー132Bをハウジング201Bに対して位置決めし取り付けるために、エンコーダ部130B側の軸受213のサイズをモータ電磁部110B側の軸受213よりも小さくし、エンコーダカバー132Bの外径を軸受の外径よりも大きくすることが考えられる。しかしながら、この場合には、減速機200Bにおける左右両側の軸受のサイズが異なることとなり、アンバランスによる組み付け精度や剛性の低下を招くこととなる。したがって、エンコーダ部130B側の軸受として、モータ電磁部110B側と同等のサイズの軸受を用いる必要がある。また、エンコーダ用の取り付けベースを別途ハウジング201Bに設け、エンコーダカバー132Bを当該取り付けベースに対し位置決めすることも可能であるが、部品点数が増大し、大型化やコストの増大等を招くことになる。
【0050】
以上のような背景から、本変形例では、エンコーダ部130B側のオイルシールホルダ216が、ハウジング201Bに螺合するねじ部2163が外周に形成された螺合部2161と、この螺合部2161より軸方向内側に位置し、螺合部2161より大径に構成された、軸受213の外輪2131に当接する予圧部2162とを有する構造としている。軸方向外側の螺合部2161が、軸受213の外径とほぼ同径である軸方向内側の予圧部2162よりも小径となっていることから、オイルシールホルダ216の軸方向外側において、軸受213の外径よりも小径であるエンコーダカバー132Bをハウジング201Bに対して直接インロー結合により位置決めし、取り付けることができる。これにより、減速機200Bにおける左右両側の軸受213のサイズを同一として組み付け精度や剛性を高く保ちつつ、取り付けベース等を用いずに、軸受213の外径よりも小さなエンコーダカバー132Bをハウジング201Bに対し精度良く、且つ、効率良く組み付けることができる。
【0051】
(3)その他
上記(2)の変形例では、オイルシールホルダ215,216のうち、エンコーダ部130B側のオイルシールホルダ216だけを、軸方向外側を小径とし内側を大径とする構造としたが、これに限られず、モータ電磁部110B側のオイルシールホルダ215についても同様に、軸方向外側を小径とし内側を大径とする構造としてもよい。
【0052】
また以上では、モータ電磁部110,110Bとエンコーダ部130,130Bとを減速機200,200Bの両側に分けて配置した構成だったが、例えばモータ電磁部110,110Bとエンコーダ部130,130Bとを減速機200,200Bの一方側に配置した構成(例えば
図1においてブレーキ部120とエンコーダ部130とを入れ換えた構成)のモータに対して本発明を適用してもよい。また、この場合に減速機200,200Bの他方側にブレーキ部120を配置した構成としてもよいし、ブレーキ部120を配置しない構成としてもよい。さらには、例えばモータ電磁部110,110B、ブレーキ部120、及びエンコーダ部130,130Bの全てを減速機200,200Bの一方側にまとめて配置した構成としてもよい。これらの変形例においても、上記実施形態や各変形例と同様の効果を得ることができる。
【0053】
また以上においては、ヨーク114及びマグネット115を含む界磁を回転子とし、ボビン117等を含む電機子を固定子とするモータ100,100A,100Bを例にとって説明したが、これに限られない。反対に、ヨーク及びマグネットを含む界磁をモータフレームに設けて固定子とし、ボビン等を含む電機子を回転軸に設けて回転子とするモータとしてもよい。この場合も、上記実施形態や各変形例と同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。