特許第5736181号(P5736181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5736181エネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5736181
(24)【登録日】2015年4月24日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】エネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20150528BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20150528BHJP
   F24D 3/18 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   F24H1/18 301F
   F24H1/18 302L
   F24H1/00 621D
   F24H1/00 621G
   F24D3/18
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-22867(P2011-22867)
(22)【出願日】2011年2月4日
(65)【公開番号】特開2012-163241(P2012-163241A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100120053
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 哲明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 龍雄
(72)【発明者】
【氏名】守谷 和行
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−168389(JP,A)
【文献】 特開2010−197025(JP,A)
【文献】 特開2009−195023(JP,A)
【文献】 特開2005−012906(JP,A)
【文献】 特開2007−178059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 − 1/52
F24D 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を沸上げる加熱源としてのヒートポンプ装置と、前記ヒートポンプ装置により加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、上水道などの給水が底部に供給される前記貯湯タンクの底部の低温水を吸い込んで、前記ヒートポンプ装置で加熱させて前記貯湯タンクの頂部に戻す沸上げ循環ポンプを有する沸上げ循環管路と、前記貯湯タンクの頂部から出湯される湯に前記給水を混合して所定温度に調節する混合弁を有する給湯管路と、前記ヒートポンプ装置と前記沸上げ循環ポンプを駆動するモータを含む電気機器を備えてなるヒートポンプ給湯器において、
前記貯湯タンクに流入される給水の給水温度Tcの計測値と、前記給湯管路から給湯負荷に供給される湯の給湯温度Tmと給湯量Fの計測値とを取り込んで、前記給湯負荷に供給される熱量を設定時間にわたって積分した給湯熱量Qoを求めるとともに、前記電気機器の電力消費量Wの計測値を取り込んで前記設定時間にわたって積分し、熱量に換算した電力消費熱量Qiを求め、前記設定時間におけるエネルギ削減量Qr=Qo−Qiを求める演算手段と、
前記演算手段により求められた少なくともエネルギ削減量Qrを表示するモニタとを設けたことを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記給湯負荷は、台所と洗面とシャワーの少なくとも1つと、ふろを含み、
前記給湯温度Tmと給湯量Fの計測値は、前記台所と洗面とシャワーの少なくとも1つに給湯する第1の給湯管路の給湯温度Tm1と給湯量F1の計測値と、前記ふろ給湯する第2の給湯管路の給湯温度Tm2と給湯量F2の計測値に分けて計測されることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項3】
請求項2に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記給湯負荷は、前記ふろの追炊き装置を含み、
前記追炊き装置は、前記貯湯タンクに貯湯された湯を用いて前記ふろの湯を加熱する追炊き熱交換器と、前記ふろの湯を前記追炊き熱交換器との間で循環する追炊き循環ポンプを有する追炊き循環管路を備えてなり、
前記演算手段は、前記追炊き循環管路に流れる湯のふろ戻り温度及びふろ往き温度の計測値と、前記追炊き循環管路の循環湯量の計測値に基づいて、前記追炊き装置に係る前記給湯熱量Qoを求めることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記演算手段は、前記電力消費熱量Qiに基づいて、CO2排出量を算出し、算出したCO2排出量を前記モニタに表示する機能を備えてなることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項5】
請求項4に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記演算手段は、前記エネルギ削減量を電力削減量に換算してCO2削減量を求め、求めたCO2削減量を前記モニタに表示する機能を備えてなることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記給湯負荷は、床暖房装置を含み、
前記床暖房装置は、床に設けられた暖房パネルと、前記貯湯タンクに貯留された湯を用いて熱媒を加熱する床暖房用熱交換器と、前記床暖房用熱交換器と前記暖房パネルとの間で前記熱媒を循環する床暖房循環ポンプとを有する床暖房循環管路を備えてなり、
前記演算手段は、前記床暖房循環管路の前記熱媒の戻り温度及び往き温度の計測値と、前記床暖房循環管路の前記冷媒の循環流量の計測値に基づいて、前記床暖房装置に係る前記給湯熱量Qoを求めることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記演算手段は、前記求めた電力消費熱量Qiを深夜電力料金契約分と昼間電力契約分に分類し、それぞれの契約料金に従って電力料金を算出して前記モニタに表示させる機能を有することを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
さらに、前記ヒートポンプ装置に加えて前記加熱源として太陽熱集熱装置を備え、
前記太陽熱集熱装置は、太陽熱集熱器と、前記貯湯タンク内に設けられた太陽熱熱交換器と、前記太陽熱集熱器と前記太陽熱熱交換器の間に熱媒を循環させる熱媒循環ポンプを備えた熱媒循環管路とを備えてなることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
前記演算手段は、前記給湯熱量Qoを前記電力消費熱量Qiで割った給湯効率を求める機能を備えてなることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
さらに、前記給湯熱量Qo、前記電力消費熱量Qi、前記エネルギ削減量Qr、前記電力消費量W、前記電力削減量Wr、前記CO2排出量、前記CO2削減量、前記給湯効率、前記電力料金の少なくとも1つの出力情報を選択可能な入力手段を備え、
前記演算手段は、前記入力手段により選択された出力情報を、前記モニタに数値、数値の時間変化又はグラフにより表示する機能を備えてなることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、
さらに、前記給湯負荷に供給される湯の目標給湯温度、前記貯湯タンクの目標貯湯温度、前記貯湯タンクの目標貯湯量の少なくとも1つの目標値を可変設定可能な入力手段を備え、
前記演算手段は、前記入力手段により可変設定された前記目標値に基づいて、前記ヒートポンプ装置、前記沸上げ循環ポンプ、前記混合弁の制御指令を出力する機能を備えてなることを特徴とするエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器に係り、具体的には、エネルギ削減量及び/又はCO2排出量乃至CO2削減量の実績をリモコン等のモニタに表示する機能を備えたヒートポンプ給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ給湯器は、一般に、湯を沸上げる加熱源として臨界温度の低いCO2冷媒を用いたヒートポンプ装置と、ヒートポンプ装置の冷媒‐水熱交換器により加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、上水道などの給水が底部に供給される貯湯タンクの底部の低温水を吸い込んで冷媒‐水熱交換器で加熱して貯湯タンクの頂部に戻す沸上げ循環ポンプを有する沸上げ循環管路と、貯湯タンクの頂部から出湯される湯に給水を混合して所定温度に調節した湯を給湯負荷(給湯場所)に供給する給湯管路等を備えて構成される(特許文献1、特許文献2等)。
【0003】
このようなヒートポンプ給湯器は、出力エネルギ(熱量)を入力エネルギ(電力量の熱量換算値)で割った値の成績係数(COP)が他の給湯器に比べて高いことが広く知られている。例えば、ヒートポンプ自体の定格COPは3以上であり、貯湯タンク、給水ポンプ、循環ポンプ、その他の補機電気機器を含めたシステムCOP(実働COP又は給湯効率ともいう。)でも1以上であることから、エネルギを削減できる給湯器として広く知られている。また、ヒートポンプ給湯器は、ガスや石油の給湯器とは異なり、電力で湯を沸上げる方式であるから、環境負荷であるCO2の排出量を削減できる。
【0004】
一方、特許文献1によれば、夏場より冬場の方が使用湯量が多いため、貯湯タンクに貯湯する目標貯湯温度を夏場は低く(例えば65℃)、冬場は高く(例えば90℃)のように、季節ごとに予め設定し、沸上げ循環ポンプの吐出流量やヒートポンプ装置の運転状態を制御することが提案されている。さらに、特許文献2によれば、秋から冬にかけて急激に使用湯量が増えた場合、電力料金が安い夜間の時間帯で沸上げた貯湯量だけでは足りなくなり、昼間の時間帯に沸き増しが必要となり、最悪の場合には湯切れを発生するおそれがあることから、夜間の時間帯においては全量沸上げることを提案している。
【0005】
このように、ヒートポンプ給湯器は、季節(夏期、冬期及び中間期)の違いにより変動する周囲温度(外気温度)、給湯量(使用湯量)、沸上げ温度、貯湯温度、給湯温度、貯湯量、残湯量、ふろ追炊きの有無、貯湯タンクの放熱量、等々の使用態様によって変動することが知られている。したがって、ヒートポンプ給湯器のエネルギ削減量あるいはCO2排出量乃至CO2削減量(以下、本明細書においては、適宜、CO2排出・削減量と表記する。)も使用態様によって変動することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−82803号公報
【特許文献2】特開2004−347229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のヒートポンプ給湯器は、エネルギ削減量あるいはCO2排出・削減量を実測してリモコン等のモニタに表示する機能を備えていない。一方、ヒートポンプ給湯器を導入した利用者は、使用態様によって変動する省エネルギ効果及びCO2排出・削減効果の実績を認識すれば、省エネルギ効果等を一層向上させるような使い方の工夫につながる。つまり、利用者がエネルギ削減量及び/又はCO2排出・削減量の実績を定量的に認識できれば、使用湯量を加減したり、給湯温度を調節したり、季節に応じて貯湯温度の設定値を調節するなどの工夫により、省エネルギ効果及びCO2排出・削減効果を一層向上させることができる場合がある。また、環境に対する意識の高揚を図ることができる。
【0008】
これに対し、従来は、カタログなどにエネルギ削減量を記載したり、CO2排出・削減量をモニタに表示することを提案する例はあるが、それらのエネルギ削減量及びCO2排出・削減量は、いわゆるカタログ的な特定の使用態様にて算出したものであり、使用態様が変動することを考慮していないから、省エネルギ効果及びCO2排出・削減効果を一層向上させる利用者の工夫、又は環境に対する意識の高揚にはつながらない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、エネルギ削減量及び/又はCO2排出・削減量の実績をモニタに表示する機能を備えたヒートポンプ給湯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する本発明のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器は、湯を沸上げる加熱源としてのヒートポンプ装置と、前記ヒートポンプ装置により加熱された湯を貯留する貯湯タンクと、上水道などの給水が底部に供給される前記貯湯タンクの底部の低温水を吸い込んで、前記ヒートポンプ装置で加熱させて前記貯湯タンクの頂部に戻す沸上げ循環ポンプを有する沸上げ循環管路と、前記貯湯タンクの頂部から出湯される湯に前記給水を混合して所定温度に調節する混合弁を有する給湯管路と、前記ヒートポンプ装置と前記沸上げ循環ポンプを駆動するモータを含む電気機器を備え、前記貯湯タンクに流入される給水の給水温度Tcの計測値と、前記給湯管路から給湯負荷に供給される湯の給湯温度Tmと給湯量Fの計測値とを取り込んで、前記給湯負荷に供給される熱量を設定時間にわたって積分した給湯熱量Qoを求めるとともに、前記電気機器の電力消費量Wの計測値を取り込んで前記設定時間にわたって積分し、熱量に換算した電力消費熱量Qiを求め、前記設定時間におけるエネルギ削減量Qr=Qo−Qiを求める演算手段と、前記演算手段により求められた少なくともエネルギ削減量Qrを表示するモニタとを設けたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、給水温度Tc、給湯温度Tm、給湯量Fには、季節(夏期、冬期及び中間期)の違い、あるいは時間帯により変動する周囲温度(外気温度)、給湯量(使用湯量)、給湯温度、沸上げ温度、等の使用態様の変動が反映される。また、一般に、ヒートポンプ給湯器の使用態様は、1日サイクルを基本として変動し、特に、夏期、冬期及び中間期で大きく変動する。したがって、計測値Tc、Tm、Fの瞬時値に基づいて給湯熱量を求めても意味がない。そこで、本発明では、設定時間t*にわたって積分した給湯熱量Qo求めるようにしている。設定時間t*は、変動を考慮して適宜可変設定することができる。これにより、ヒートポンプ給湯器の使用態様を考慮して設定時間t*を例えば1日に設定し、さらに任意の期間(1週間、1〜3か月)ごとの給湯熱量を算出させることができる。これにより、利用者は任意の期間における給湯熱量及びその変動を把握することができる。また、給湯熱量Qoは、設定時間t*におけるヒートポンプ給湯器の出力エネルギ[MJ]であり、次式(1)で表せる。同式において、Cは、水の比熱[kcal/kg・℃]=4.1796[kJ/kg・K]であり、温度Tm、Tcの単位は[℃]、流量Fの単位は[L]である。
Qo={∫((Tm−Tc)×F)dt}×C/1000 [MJ](1)
【0012】
一方、ヒートポンプ給湯器の入力エネルギは、ヒートポンプ装置の圧縮機及び送風ファンの駆動モータ、膨張弁などの自動弁、制御器の電源、沸上げ循環ポンプ又は給湯管路に設けられる循環ポンプの駆動モータ、電磁弁等の自動弁、及びその他の補機電気機器の電力消費量[kWH]である。ヒートポンプ装置の駆動モータ及び循環ポンプの駆動モータは、他の電気機器に比べて相対的に電力消費量が大きいことから計測することが望ましい。他の電気機器については、カタログ値等から推定した電力消費量を用いることができる。このようにして、ヒートポンプ給湯器全体の電力消費量W[kWH]を設定時間t*にわたって積分して求める。ここで、ヒートポンプ給湯器の給湯熱量Qoである出力エネルギ[MJ]と単位を合わせるために、次式(2)により入力エネルギである電力消費エネルギQi[MJ]に換算する。同式において、定数3.6は、電力消費量[kWH]を熱量[MJ]に換算する係数である。
Qi=W×3.6 [MJ] (2)
【0013】
このようにして算出した給湯熱量Qoと電力消費エネルギQiとから、ヒートポンプ給湯器により給湯することによって削減されるエネルギ削減量Qrは、次式(3)で求めることができる。なお、給湯熱量Qoは実際に有効に使用した給湯熱量である。そのため、例えば貯湯タンク等からの放熱ロスは計測できないが、その放熱ロス分はヒートポンプ給湯器の電力消費エネルギQiに織り込まれているから、エネルギ削減量Qrは正しく求めることができる。一方、貯湯タンクの残湯が保有する熱量は、給湯熱量Qoに反映されない。しかし、ヒートポンプ給湯器は毎日使用するものであるから、前日の残湯量が保有する熱量は翌日有効に利用されるので実質的に問題にならない。
Qr=Qo−Qi [MJ] (3)
【0014】
上記のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、給湯負荷は、台所と洗面とふろの少なくとも1つを含むことができる。この場合、給湯温度Tmと給湯量Fの計測値は、それらの給湯負荷に対して1箇所で計測することができる。また、台所に給湯する第1の給湯管路の給湯温度Tm1と給湯量F1の計測値と、ふろに給湯する第2の給湯管路の給湯温度Tm2と給湯量F2の計測値に分けて計測することができる。これによれば、主として夜間に使用されるふろの給湯量を分けて計測できるから、ふろのエネルギ削減量及び給湯量を記録してモニタに表示させることにより、使い方の工夫に反映することができる。なお、洗面及びシャワーは、一般に、台所の給湯管路に含める。また、給湯負荷としては、ふろ追炊き装置や床暖房装置を含めることができるのは言うまでもない。この場合についても、それらの給湯負荷に供給する給湯温度Tmと給湯量Fを計測して、他の給湯負荷の給湯熱量と合わせて合計の給湯熱量Qoを求め、上記と同様に、エネルギ削減量を求めることができる。
【0015】
一方、ヒートポンプ給湯器は、商用電力を用いて湯を沸上げており、ガスや石油などの化石燃料を用いていないから、CO2排出量を削減できる。CO2排出量の原単位は各電力会社により異なるが、電力消費量W[kWH]に基づいてCO2排出量を算出できる。つまり、演算手段は、電力消費熱量Qiに相当する電力消費量W[kWH]に基づいて、CO2排出量を算出し、算出したCO2排出量をモニタに表示する機能を備えて構成することができる。また、演算手段は、エネルギ削減量Qrを電力削減量Wrに換算してCO2削減量を求め、求めたCO2削減量を前記モニタに表示する機能を備えて構成することができる。これによれば、CO2排出・削減量を実績に基づいてモニタに表示することができ、利用者の環境に対する意識の高揚を図ることができる。
【0016】
さらに、前記演算手段は、前記求めた電力消費熱量Qiに相当する電力消費量Wを深夜電力料金契約分と昼間電力契約分に分類し、それぞれの契約料金に従って電力料金を算出して前記モニタに表示させる機能を有する構成にすることができる。これにより、利用者はモニタを見て一目で電力料金の実績を認識できるから、ヒートポンプ給湯器の使い方を工夫することにつながる。
【0017】
また、前記演算手段は、前記給湯熱量Qoを前記電力消費熱量Qiで割った給湯効率(COPと同じ)を求めて、前記モニタに表示させる機能を備えて構成することができる。さらに、上記のいずれかのエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、前記給湯熱量Qo、前記電力消費熱量Qi、前記エネルギ削減量Qr、前記電力消費量W、前記電力削減量Wr、前記CO2排出量、前記CO2削減量、前記給湯効率、前記電力料金の少なくとも1つの出力情報を選択可能な入力手段を備え、前記演算手段は、前記入力手段により選択された出力情報を、前記モニタに数値、数値の時間変化又はグラフにより表示する機能を備えて構成することができる。
【0018】
また、上記のいずれかのエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器において、前記給湯負荷に供給される湯の目標給湯温度、前記貯湯タンクの目標貯湯温度、前記貯湯タンクの目標貯湯量の少なくとも1つの目標値を可変設定可能な入力手段を備え、前記演算手段は、前記入力手段により可変設定された前記目標値に基づいて、前記ヒートポンプ装置、前記沸上げ循環ポンプ、前記混合弁の制御指令を出力する機能を備えて構成することができる。さらに、前記設定時間を可変設定する入力手段を設けることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、エネルギ削減量及び/又はCO2排出・削減量の実績をモニタに表示する機能を備えたヒートポンプ給湯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のエネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器の一実施例の系統構成図である。
図2】ヒートポンプ給湯器の給湯熱量Qo[MJ]の変動と、電力消費量W[kWH]の変動の一例を示す図である。
図3】本発明のエネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器の他の実施例の系統構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のエネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1に、本発明のエネルギ削減量等の表示機能付きヒートポンプ給湯器の一実施例の全体構成図を示す。図示のように、本実施例のエネルギ削減量表示機能付きヒートポンプ給湯器は、湯を沸上げる加熱源としてのヒートポンプ装置1と、ヒートポンプ装置1により加熱された湯を貯留する貯湯タンク2とを備えて構成されている。ヒートポンプ装置1は、図示していないが、周知のとおり、CO2などの冷媒を圧縮するインバータモータ駆動の圧縮機、圧縮された高温の冷媒と熱交換して低温水を加熱する冷媒‐水熱交換器、冷媒‐水熱交換器で凝縮された冷媒を周囲空気の熱により蒸発させる蒸発器、この蒸発器に設けられたモータ駆動の送風ファン、膨張弁などを備えて構成されている。貯湯タンク2は、縦型筒状に形成され、底部に給水管3aを介して上水道などから給水が流入されるようになっている。沸上げ循環管路4は、沸上げ循環ポンプ5が設けられた沸上げ循環管路4aを有し、沸上げ循環管路4aを介して沸上げ循環ポンプ5により貯湯タンク2の底部の低温水を吸い込み、ヒートポンプ装置1の冷媒‐水熱交換器の水流路に吐出し、冷媒‐水熱交換器から流出される加熱された湯を沸上げ循環管路4bを介して貯湯タンク2の頂部に戻すように構成されている。
【0023】
貯湯タンク2の頂部には、給湯管6の一端が連通され、貯湯タンク2の頂部から出湯される湯は給湯管6を介して、本実施例では給湯管7、9に分岐されている。給湯管7は台所及び図示していない洗面やシャワーなどに給湯し、給湯管9はふろの浴槽8に給湯するようになっている。給湯管7の途中には混合弁10が設けられ、給湯管7から供給される高温の湯と給水管3bから供給される低温の給水とを混合して、予め設定された給湯温度の湯を生成するようになっている。混合弁10で調節された湯は、給湯管11を介して給湯場所である台所に設けられた図示していない混合栓に供給されるようになっている。一方、給湯管9の途中にはふろ用の混合弁12が設けられ、給湯管9から供給される高温の湯と給水管3bから供給される低温の給水とを混合して、予め設定された給湯温度の湯を生成するようになっている。混合弁12で調節された湯は、給湯管13と追炊き往き管路14を介して給湯場所である浴槽8に供給されるようになっている。また、混合弁12の出口側の給湯管13に電磁弁39が設けられている。
【0024】
また、本実施例では、ふろの追炊き装置15が設けられている。追炊き装置15は、浴槽8の側面の開口に接続された追炊き戻り管路16と、追炊き戻り管路16に設けられた追炊き循環ポンプ17と、追炊き循環ポンプ17から吐出される湯が流通される追炊き熱交換器18と、追炊き熱交換器18から流出される湯を浴槽8の側面に戻す追炊き往き管路14を備えて構成されている。また、追炊き熱交換器18には、貯湯タンク2の頂部から抜き出した湯を追炊き熱交換器18に循環させて、貯湯タンク2の底部に戻す追炊き給湯循環ポンプ19を備えた給湯管20を備えて構成されている。なお、洗面の混合栓は台所の給湯管7に連結してもよい。さらに、ふろと台所と洗面の給湯管7、9の部分を共通にすることができる。また、追炊き熱交換器18は、貯湯タンク2の内部に設置してもよい。
【0025】
ここで、本実施例の特徴構成について説明する。給水管3a,bの入口部に給水温度T1を計測する温度センサ31が設けられている。また、混合弁10の出口部の給湯管11に給湯量F1を計測する流量センサ33と、給湯温度T2を計測する温度センサ32が設けられている。さらに、ふろ用の混合弁12の出口部の給湯管13に給湯量F2を計測する流量センサ34と、給湯温度T3を計測する温度センサ35が設けられている。また、追炊き装置15の追炊き戻り管路16に流れる湯のふろ戻り温度T4を計測する温度センサ36と、追炊き往き管路14に流れる追炊き循環量F3を計測する流量センサ37と、ふろ往き温度T5を計測する温度センサ38とが設けられている。
【0026】
また、ヒートポンプ装置1、沸上げ循環ポンプ5、追炊き循環ポンプ17、追炊き給湯循環ポンプ19及び電磁弁39の駆動を制御するとともに、混合弁10,12の設定温度を可変制御するなど、ヒートポンプ給湯器の全体を制御する制御装置40が設けられている。制御装置40は、リモコンなどの少なくとも1つ手元コントローラ41に設けられた入力手段42から入力される種々の指令に基づいて、ヒートポンプ給湯器の全体を制御するようになっている。また、流量センサ33,34,37及び温度センサ31,32,35,36,38により計測された計測値が入力される演算装置44と、手元コントローラ41に設けられたモニタ45とを備えている。入力手段42は、演算装置44にも種々の指令等を入力することができるようになっている。モニタ45は、制御装置40と演算装置44の指令に基づいて、種々の情報を表示するようになっている。また、制御装置40と演算装置44は相互に種々の情報を送受可能に構成されている。
【0027】
このように構成される実施例の動作について、以下に説明する。制御装置40は、入力手段42により可変設定される混合弁10、12の出口における給湯温度、貯湯タンク2の頂部の目標貯湯温度、貯湯タンク2に貯湯する設定温度以上の目標貯湯量に基づいて、ヒートポンプ装置1の圧縮機の回転数、膨張弁の開度などを制御して沸上げを制御する。制御装置40はカレンダー時計を備えており、入力手段42から設定値が入力されていないときは、カレンダー時計に対応して設定されている夏季、中間期、冬季に応じて、また過去の使用態様(特に、給湯量)に基づいて、給湯温度、目標貯湯温度、目標貯湯量をメモリから読み出してヒートポンプ給湯器を制御するようになっている。また、本実施例では、深夜電力を利用して、貯湯タンク2の底部の低温水を沸上げ循環ポンプ5により吸い込み、ヒートポンプ装置1を介して貯湯タンク2の頂部に循環し、時間をかけて目標貯湯温度及び目標貯湯量の湯を沸上げて貯湯タンク2に貯湯する。深夜電力は、時間帯によって電力料金が定められており、例えば、1時から5時までの時間帯又は23時から7時までの時間帯を選択して契約するようになっている。
【0028】
一方、湯を使用する時間帯は、利用者の使用態様によって異なる。一般に、ヒートポンプ給湯器の使用態様は、1日サイクルを基本として変動するが、1週間サイクル、1ヶ月サイクルでも変動し、特に、夏期、冬期及び中間期の3ヶ月サイクルで大きく変動する。したがって、給水温度T1、給湯温度T2〜T3、ふろ戻り温度T4、ふろ往き温度T5、及び給湯量F(F1,F2、F3)の瞬時値に基づいて給湯熱量の瞬時値を求めても意味がないことから、本実施例では、設定時間t*にわたって積分した給湯熱量Qo求めるようにしている。設定時間t*は、変動を考慮して適宜可変設定することができる。これにより、ヒートポンプ給湯器の使用態様を考慮して設定される設定時間における給湯熱量を求めることができ、例えば、利用者は1〜3か月単位の給湯熱量及びその変動を把握することができる。図2に、電力消費量W[kWH]の変動と、給湯熱量Qo[MJ]の変動の一例を示す。図2の上段は電力消費量Wの変動パターンであり、下段が給湯熱量Qoの変動パターンであり、それぞれ2日間にわたって示している。また、図示例では、沸上げは深夜0時か朝5時までの時間帯で行っている。給湯は生活パターンに応じて給湯熱量が変動している。
【0029】
このようなことから、演算装置44は、流量センサ33,34,37の計測値F1〜F3、及び温度センサ31,32,35,36,38の計測値T1〜T5を取り込み、次式(4)〜(6)により、設定時間t*にわたって積分することにより、設定時間t*における給湯管11からの給湯熱量Qo1、給湯管13からの給湯熱量Qo2、追炊き装置15の給湯熱量Qo3を求める。なお、それらの式において、Cは水の比熱[kcal/kg・℃]=4.1796[kJ/kg・K]であり、温度T1〜T5の単位は[℃]、流量F1〜F3の単位は[L]である。
Qo1={∫((T2−T1)×F1)dt}×C/1000 [MJ](4)
Qo2={∫((T3−T1)×F2)dt}×C/1000 [MJ](5)
Qo3={∫((T5−T4)×F3)dt}×C/1000 [MJ](6)
次いで、設定時間t*におけるヒートポンプ給湯器全体の給湯熱量Qoを次式(7)により求める。
Qo=Qo1+Qo2+Qo3 (7)
【0030】
次いで、制御装置40により収集された電気機器の電力消費量Wの計測値を取り込み、設定時間t*にわたって積分して電力消費量W[kWH]を求める。ここで、ヒートポンプ給湯器の入力エネルギは、ヒートポンプ装置1の圧縮機駆動モータ、凝縮器の送風ファン、膨張弁などの自動弁、制御器などの電力消費量がある。また、沸上げ循環ポンプの駆動モータ、電磁弁等の自動弁などの電力消費量の他、給湯負荷に応じて設けられるポンプ等の電力消費量を挙げることができる。これらの電気機器の電力消費量が、ヒートポンプ給湯器の入力エネルギである。ヒートポンプ装置の圧縮機駆動モータの電力消費量が相対的に大きいことから、モータ電流を例えばクランプ式等の電流センサにより計測して電力消費量を実測する。他の電気機器についても実測することが好ましいが、電力消費量が相対的に小さい電気機器の場合は、カタログの電力消費量あるいは推定した電力消費量を用いることができる。このようにして計測又は推定した電力消費量に基づき、設定時間にわたって積分してヒートポンプ給湯器全体の電力消費量W[kWH]を求める。
【0031】
次に、電力消費量W[kWH]を給湯熱量Qoの単位である[MJ]に合わせるために、前記式(2)のQi=W×3.6により、熱量に換算した電力消費熱量Qiを求める。ところで、給湯熱量Qoはヒートポンプ給湯器の出力エネルギであり、電力消費熱量Qiはヒートポンプ給湯器の入力エネルギである。したがって、通常は成績係数であるCOPが1以上のヒートポンプ給湯器により削減されるエネルギ削減量Qrは、前記式(3)のQr=Qo−Qiにより求めることができる。
【0032】
また、COPに相当する給湯効率ηは、次式(8)で表せる。
η=Qo/Qi=Qo/(W×3.6) (8)
また、エネルギ削減量Qrを電力に換算した電力削減量Wr[kWH]は、次式(9)で表せる。
Wr=Qr/3.6 [kWH] (9)
さらに、設定時間t*にわたって積分された電力消費量W[kWH]に基づいて、CO2排出量Xを下式(10)により求める。同式において、Eは各電力会社によって決められた単位電力消費量当たりのCO2排出量の原単位であり、単位は[kgCO2/kWH]である。
X=W×E×η [kgCO2] (10)
また、電力削減量Wr[kWH]に対応するCO2削減量Yは、次式(11)により求めることができる。
Y=Wr×E [kgCO2] (11)
【0033】
さらに、電力消費量Wを、深夜電力料金契約分と昼間電力契約分に分類し、それぞれの契約料金に従って電力料金を算出する。つまり、深夜電力契約の電気機器の電力消費量W1と、通常の電力契約の電気機器の電力消費量W2を分けて求める。そして、深夜電力契約の電気料金をA円/kWH、通常の電力契約の電気料金をB円/kWHとすると、設定時間t*における電気料金¥は、次式(12)で表せる。
¥=W1×A+W2×B [円] (12)
これにより、利用者はモニタ45を見て一目で使用実績に対応した電力料金を認識できるから、ヒートポンプ給湯器の使い方を工夫することにつながる。
【0034】
以上説明したように、本実施例によれば、設定時間t*にわたって積分された給湯熱量Qoと電力消費熱量Qiを実測してメモリに記憶しておき、指令に応じて設定時間t*におけるエネルギ削減量Qrをモニタ45に表示するようにしているから、利用者はエネルギ削減量と使用実績とを対比して、さらにエネルギ削減量を増大させる工夫を検討できる。例えば、無駄な湯の使用(給湯量)を減らした場合のエネルギ削減効果を定量的に把握できる。また、目標貯湯温度あるいは目標貯湯量を低くすることとエネルギ削減効果の因果関係を定量的に把握できる。このようにして、使用湯量を加減したり、給湯温度を調節したり、季節に応じて貯湯温度の設定値を調節するなどの工夫により、省エネルギ効果及びCO2排出・削減効果を一層向上させることができる。
【0035】
同様に、電力消費量W、電力削減量Wr、給湯効率η、CO2排出量X、CO2削減量X、電気料金¥についても算出していることから、エネルギ削減及びCO2排出・削減について使用態様との因果関係を把握できる。その結果、エネルギ削減量を増大させる工夫をしたり、環境に対する意識の高揚を図ることができる。
【0036】
さらに、本実施例1の入力手段42を、給湯熱量Qo、電力消費熱量Qi、エネルギ削減量Qr、電力消費量W、電力削減量Wr、CO2排出量、CO2削減量、給湯効率、電力料金の少なくとも1つの出力情報を選択可能に形成することができる。この場合は、演算装置44は、入力手段42により選択された出力情報を、モニタ45に数値、数値の時間変化又はグラフにより表示させるように構成することができる。
【0037】
さらに、入力手段42は、ふろ等の給湯負荷に供給される湯の目標給湯温度、貯湯タンク2の目標貯湯温度、貯湯タンク2の目標貯湯量の少なくとも1つの目標値を可変設定可能に構成することができる。この場合、演算装置44は、入力手段42により可変設定される各目標値に基づいて、ヒートポンプ装置1、沸上げ循環ポンプ5、混合弁10,12の制御指令を出力する機能を備えて構成することができる。これにより、利用者は、使用湯量を加減したり、給湯温度を調節したり、季節に応じて貯湯温度、貯湯量の設定値を調節するなどの工夫により、省エネルギ効果及びCO2排出・削減効果を一層向上させることができる。
【実施例2】
【0038】
図3に、本発明の実施例2のヒートポンプ給湯器の系統構成図を示す。実施例1と異なる点は、湯の沸上げ加熱源としてヒートポンプ装置1に加えて、周知の太陽熱集熱装置を付加したことにある。すなわち、図示のように、貯湯タンク2内の中間よりもやや下部の位置にコイル状に卷回した太陽熱熱交換器51を配置し、太陽熱熱交換器51と太陽熱を集熱する集熱器52との間に熱媒を循環させる熱媒循環ポンプ53を備えた熱媒循環管路54を設けている。本実施例によれば、昼間は集熱器52により集熱した太陽熱により加熱された熱媒が、貯湯タンク2内の太陽熱熱交換器51に循環されて、貯湯タンク2内の低温水又は中温水が加熱される。これにより、深夜電力により駆動されるヒートポンプ装置1が停止している昼間に、貯湯タンク2の貯湯量を補うことができる。
【0039】
また、本実施例によれば、前記式(1)の給湯熱量Qoは変わらないが、太陽熱集熱装置の入力エネルギに応じてヒートポンプ給湯装置1の駆動時間ないし駆動エネルギが削減されるから、熱媒循環ポンプ53を駆動するモータの電力消費を電力消費量Wに加えても、電力消費熱量Qiを削減することができる。これにより、実施例1に比べて、給湯効率η、CO2排出・削減効果、電力料金の削減効果、などを向上させることができる。
【実施例3】
【0040】
実施例1、2では、給湯負荷としての床暖房装置を備えていないヒートポンプ給湯器について説明したが、本発明は床暖房装置を備えたヒートポンプ給湯器に適用できることは言うまでもない。本実施例3では、実施例1の貯湯タンク2に貯留された湯を用いて、熱媒を加熱する床暖房用熱交換器を別途設け、床暖房用熱交換器と床に設けられた暖房パネルとの間で熱媒を循環する床暖房循環ポンプを有する床暖房循環管路を設けて構成する。また、床暖房用熱交換器は、実施例1の貯湯タンク2内に配置することができる。
【0041】
本実施例の場合、演算装置44は、床暖房循環管路の熱媒の戻り温度及び往き温度の計測値T5と、床暖房循環管路の冷媒の循環量の計測値F4に基づいて、床暖房装置に係る給湯熱量Qo4を求め、これを式(7)に加えて、給湯熱量Qoを求める。また、演算装置44は、床暖房循環ポンプの電力消費量を計測して、上述の実施例と同様に、エネルギ削減量Qr、電力消費量W、電力削減量Wr、給湯効率η、CO2排出量X、CO2削減量X、電気料金¥を算出して記憶しておき、入力手段42の指令に応じてモニタ45に表示する。
【符号の説明】
【0042】
1 ヒートポンプ装置
2 貯湯タンク
3a,b 給水管
4a,b 沸上げ循環管路
5 沸上げ循環ポンプ
6、7、9、13、20 給湯管
8 浴槽
10、12 混合弁
15 追炊き装置
14 追炊き往き管路
16 追炊き戻り管路
17 追炊き循環ポンプ
18 追炊き熱交換器
19 追炊き給湯循環ポンプ
31、32、35、36、38 温度センサ
33、34、37 流量センサ
40 制御装置
41 手元コントローラ
42 入力手段
44 演算装置
45 モニタ
51 太陽熱熱交換器
52 集熱器
53 熱媒循環ポンプ
54 熱媒循環管路
図1
図2
図3